ケニア中央のライキピア県ナニュキ(英語版)近くに立つ、赤道を示す標識。
「赤道」という言葉は、古代中国の天文学において、太陽が真上を通るとされる地点を天球図で表現する際に、赤い線を用いたことが由来である。
地球の赤道の全周長は約40,075 km。春分と秋分の年2回、太陽が真上に来る。
赤道上は世界で唯一、太陽が天頂から天底までまっすぐに沈む場所である。そしてそのような場所は理論上、昼の長さと夜の長さが、共に1年を通じて12時間である。しかし実際は大気が太陽光を屈折させるので、2、3分のずれが出る。
かなり厳密に言うと、赤道は理論通りの位置にきっちり固定されているわけではない。実際の赤道面は常に必ず地球の自転軸に垂直をなしているものである。自転軸は、“比較的”安定であるが、極運動という現象によって、自転軸は1年かけて半径約9メートルの円を描く。このため、赤道面も赤道も、僅かながら動く。しかし、この移動は繊細な科学調査にのみ関係する程度の、わずかな移動である。
地球で最も気温の高い地域を熱赤道と言う。熱赤道は公転軸に対して地軸が傾いているため移動し、この結果、季節が生ずる。北半球が冬の時期は赤道付近にあるものの、夏になると北緯20度付近にまで移動する。
航海中に赤道を通過する際には「赤道祭」(せきどうさい)と呼ばれる祭りが船上で行われる[1]。
赤道上は年間を通じた日射量(面積あたりの日射量)が最も大きい。そのため温暖で、強い上昇気流を生じている。この上昇気流のため低気圧地帯(熱帯収束帯)を生じ、雨量の豊富な熱帯の気候を形成している。
また、赤道付近の上昇気流は激しい渦巻き気流を伴った熱帯低気圧となり、台風やサイクロン、ハリケーンなどとして、赤道から南北へと波及することがある。
赤道は、本初子午線から東に向かって以下の場所を通っている。
サントメ・プリンシペのロラス島にある、赤道を示すモニュメント。
以下の14か国は領土(領海)に赤道が通る。赤道直下の国とも表現する。首都が赤道から緯度1度未満の国は5か国あり、その中でエクアドルのキトが赤道に最も近く南緯0度19分(距離にして40 km未満)である。
赤道ギニアはその名前にもかかわらず赤道が通らないが、赤道を挟んでアンノボン島も領土である。
下記の国は、赤道が海上の国境となっている。
赤道に近い首都を以下に一覧する (北緯・南緯とも2度以内)。緯度1度は60分で約111 kmである。
首都 |
国 |
緯度 |
標高 |
人口 (統計年)
|
サントメ |
サントメ・プリンシペ |
020/北緯0度20分10秒 |
0137 m |
006万7000 (2012年)
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リーブルヴィル |
ガボン |
023/北緯0度23分24秒 |
0012 m |
070万3904 (2013年)
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カンパラ |
ウガンダ |
018/北緯0度18分49秒 |
1190 m |
165万9600 (2011年)
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ナイロビ |
ケニア |
117/北緯1度17分 |
1661 m |
313万8369 (2009年)
|
シンガポール |
シンガポール |
117/北緯1度17分 |
0015 m以下 |
561万2300 (2017年)
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ヤレン |
ナウル |
032/南緯0度32分51秒 |
0025 m |
0000747 (2011年)
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タラワ |
キリバス |
120/北緯1度20分 |
0003 m |
005万6284 (2010年)
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キト |
エクアドル |
013/南緯0度13分 |
2850 m |
267万1191 (2014年)
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