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気圧 - Wikipedia

気圧きあつ

気体きたい圧力あつりょく

気圧きあつ(きあつ、英語えいご: air pressure[1])とは、気体きたい圧力あつりょくのことである。たんに「気圧きあつ」という場合ばあいは、大気たいきあつ(たいきあつ、英語えいご: atmospheric pressure[1]大気たいき圧力あつりょく)のことを場合ばあいおおい。

気圧きあつけい

気圧きあつ計量けいりょう単位たんいでもある。日本にっぽん計量けいりょうほうでは、圧力あつりょく法定ほうてい単位たんいとしてさだめられている(後述こうじゅつ)。

気体きたい圧力あつりょく

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気体きたい圧力あつりょくは、温度おんど体積たいせき影響えいきょうける。たとえば、気体きたい一定いってい体積たいせきのまま(容器ようきめた状態じょうたい相当そうとうする)加熱かねつすると、気圧きあつ温度おんどとほぼ比例ひれいして上昇じょうしょうする。このような、気圧きあつ体積たいせき温度おんどについての関係かんけいは、ボイルの法則ほうそくシャルルの法則ほうそくボイル=シャルルの法則ほうそくなどによりしめされている。

気体きたい圧力あつりょくは、混合こんごう場合ばあい構成こうせいしている気体きたいのそれぞれの圧力あつりょくぶんあつ)の合計ごうけいとなる。

大気たいきあつ

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空気くうき物質ぶっしつであるため、質量しつりょうがあり、地球ちきゅう重力じゅうりょくける。これにたいして応力おうりょくがあり、さらに、重力じゅうりょくとこれがつりあうことで大気たいき力学りきがくてき平衡へいこうちか状態じょうたいにある。地球ちきゅうをおおっている大気たいきそうによって、海面かいめんでは、面積めんせき1cm2あたりやく1kgf(水銀すいぎんはしらやく76cm、みず場合ばあいやく10mに相当そうとう)の圧力あつりょくがかかる。これを大気たいきあつまたはたん気圧きあつという。高所こうしょほど、その上方かみがたにある空気くうきばしらたかさがひくくなるので、気圧きあつひくくなる。海面かいめんでの大気たいきあつを 1 とする圧力あつりょく単位たんいとしてももちいられる。

海上かいじょう水蒸気すいじょうき蒸発じょうはつによって、上昇じょうしょう気流きりゅう発生はっせいする箇所かしょ空気くうき密度みつどがややがり、気圧きあつがややひくくなることがあるなど、おな海抜かいばつ高度こうどでも、すこしずつ気圧きあつことなり、気圧きあつ高低こうていつね変化へんかする。この気圧きあつさんたに高気圧こうきあつてい気圧きあつぶ。気圧きあつしょうじると、高気圧こうきあつ空気くうきてい気圧きあつ領域りょういきながむ。これがふうのおもな成因せいいんになっている。

気圧きあつ測定そくていには気圧きあつけいラジオゾンデもちいる(気象きしょう業務ぎょうむほうだい1じょうの2、気象きしょう業務ぎょうむほうだい1じょうの3も参照さんしょう)。

天気てんき予報よほうでは、気圧きあつ単位たんいは、かつてはCGS単位たんいけいのミリバール (mb)、トル (Torr) または水銀柱すいぎんちゅうミリメートル (mmHg) が使つかわれていたが、現在げんざい国際こくさい単位たんいけい (SI) のヘクトパスカル (hPa) が使用しようされている。

大気たいきあつ変動へんどう

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大気たいきあつ高度こうど緯度いどによっても変化へんかする。標準ひょうじゅん大気たいきあつ(1気圧きあつ)は海面かいめんじょうで 1013.25 hPa とされるが、大気たいきあつ上方かみがた空気くうきおもみをしめ圧力あつりょくであるから、高所こうしょへいくほど低下ていかする。高度こうど上昇じょうしょう気圧きあつ低下ていか比率ひりつは、てい高度こうどではおおむね 10 m の上昇じょうしょうたいして 1.2hPa であり、計算けいさんじょう富士ふじ山頂さんちょうやく0.7気圧きあつ高度こうど5,500 m でやく0.5気圧きあつ、エベレストの頂上ちょうじょうではやく0.3気圧きあつになる。[疑問ぎもんてん]ただし、高度こうどにより(気圧きあつにより)空気くうき密度みつどことなるため、高度こうど上昇じょうしょうたいする気圧きあつ低下ていか比率ひりつ一定いっていではない。高度こうどがるにしたがい、高度こうど上昇じょうしょう気圧きあつ低下ていかゆるやかなものとなる。このような高度こうどによる気圧きあつ変化へんか利用りようした高度こうどけいつくられている。

また、大気たいき太陽光たいようあきらなどのねつにより、局所きょくしょてき加熱かねつされる場合ばあい体積たいせきして密度みつど低下ていかする。膨張ぼうちょうしたかる空気くうき周囲しゅういおも空気くうきによりげられるため、上昇じょうしょう気流きりゅうむ。ぎゃく大気たいき冷却れいきゃくされると、体積たいせき減少げんしょう密度みつどして沈降ちんこう下降かこう気流きりゅうむ。

緯度いどにより、大気たいきおよび地表ちひょう太陽たいようからけるねつエネルギー密度みつどことなる。赤道あかみち周辺しゅうへんが、年間ねんかんつうじて大気たいきあたためられ高温こうおんであるのと比較ひかくし、極地きょくち周辺しゅうへんは、つね低温ていおんである。このような緯度いどによる大気たいき温度おんどにより、赤道あかみち直下ちょっか極地きょくちでは特有とくゆう上昇じょうしょうりゅう下降かこうりゅうしょうじ、それぞれ熱帯ねったい収束しゅうそくたいきょくだかあつたい形成けいせいする。気圧きあつによって、高気圧こうきあつ地域ちいきからてい気圧きあつ地域ちいきけてふうき、貿易ぼうえきふう偏西風へんせいふうごく東風こちとなる。これらは、ハドレー循環じゅんかん熱帯ねったい収束しゅうそくたい亜熱帯あねったいだかあつたいあいだ)、フェレル循環じゅんかん亜熱帯あねったいだかあつたい高緯度こういど低圧ていあつたいあいだ)、ごく循環じゅんかん高緯度こういど低圧ていあつたいごくこうあつたいあいだ)とばれる。このような大気たいきだい規模きぼ循環じゅんかんを、大気たいき循環じゅんかんぶ。また、海洋かいよう陸地りくちとを比較ひかくすると、海水かいすい熱容量ねつようりょうおおきさから、海洋かいよう陸地りくちより温度おんど変化へんかすくない。よって、太陽光たいようこうつよ状況じょうきょうでは、陸地りくち海洋かいようより高温こうおんになることがおおく、陸地りくちてい気圧きあつ海洋かいよう高気圧こうきあつ配置はいちとなり、海洋かいようから陸地りくちふうく。陸地りくち冷却れいきゃくされる状況じょうきょうでは、このぎゃくである。これにより、海陸かいりくふうモンスーン発生はっせいする。

大気たいきあつ関連かんれんする事象じしょう

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その数々かずかず日常にちじょう事象じしょう生命せいめい現象げんしょうは、大気たいき圧力あつりょくのもとで適応てきおう利用りようされている。

単位たんいとしての気圧きあつ

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気圧きあつ(きあつ)
記号きごう atm
けい SI単位たんい
りょう 圧力あつりょく
定義ていぎ 101 325 Pa(計量けいりょうほう
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上述じょうじゅつのように、海面かいめんでの大気たいきあつ圧力あつりょくとく気圧きあつ水圧すいあつ)の単位たんいとしてももちいられる。海面かいめんでの大気たいきあつを「1 気圧きあつ」とする。単位たんいとしての「気圧きあつ」の元々もともと定義ていぎは「海面かいめんでの大気たいきあつ」であるが、大気たいきあつ場所ばしょ気象きしょう条件じょうけんによってことなる。そこで、海面かいめんでの大気たいきあつ標準ひょうじゅんとして標準ひょうじゅん気圧きあつさだめ、このを1気圧きあつ定義ていぎした。

標準ひょうじゅん大気たいきあつは、1954ねんだい10かい国際こくさい度量衡どりょうこう総会そうかい (CGPM) において、正確せいかくに 101 325 パスカル (Pa) とさだめられた。これは、元々もともとは760 水銀柱すいぎんちゅうミリメートル (mmHg) をパスカルに換算かんさんし、小数点しょうすうてん以下いかはしすうてたものである。

現在げんざいでは、気圧きあつは、国際こくさい単位たんいけい (SI) においては定義ていぎされていないSI単位たんいである。しかし日本にっぽん計量けいりょうほうにおいては、法定ほうてい計量けいりょう単位たんいとして定義ていぎされている[2]計量けいりょうほうにおける定義ていぎは、1954ねんCGPMにおけるものと同一どういつの、101 325 パスカルである[3]

単位たんい記号きごう

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気圧きあつ単位たんい記号きごうは、大気たいき意味いみする atmosphere由来ゆらいする atm である[4]

気圧きあつ水銀柱すいぎんちゅうミリメートル、トルの関係かんけい

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水銀柱すいぎんちゅうミリメートルトルは、計量けいりょう法体ほうたいけいにおいて、まった同一どういつ定義ていぎとなっていて、どちらも正確せいかく101 325/760Pa である[5][6]。これは標準ひょうじゅん気圧きあつ1760という意味いみである。やく 133.322Pa にたる。

また、1 気圧きあつ は 1 バール数値すうちちかい(1atm = 正確せいかくに1.01325 バール)が 1.325%のがある。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b 文部省もんぶしょう日本にっぽん気象きしょう学会がっかいへん学術がくじゅつ用語ようごしゅう 気象きしょうがくへん』(ぞうていばん日本にっぽん学術がくじゅつ振興しんこうかい、1987ねんISBN 4-8181-8703-8http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi 
  2. ^ 計量けいりょうほう 別表べっぴょうだいさん 圧力あつりょくらん気圧きあつ
  3. ^ 計量けいりょう単位たんいれい 別表べっぴょうだいさん こうばん2、圧力あつりょく気圧きあつらん 「パスカルまたはニュートンごと平方へいほうメートルのじゅうまんせんさんひゃくじゅうばい
  4. ^ 計量けいりょう単位たんい規則きそく 別表べっぴょうだい2 圧力あつりょく(2かいらん)、気圧きあつらん、「atm」
  5. ^ 計量けいりょう単位たんいれい 別表べっぴょうだいろくこうばん12、血圧けつあつ計量けいりょう水銀柱すいぎんちゅうミリメートル、「パスカルまたはニュートンごと平方へいほうメートルのななひゃくろくじゅうぶんじゅうまんせんさんひゃくじゅう
  6. ^ 計量けいりょう単位たんいれい 別表べっぴょうだいろくこうばん11、生体せいたいない圧力あつりょく計量けいりょう、トル、「パスカルまたはニュートンごと平方へいほうメートルのななひゃくろくじゅうぶんじゅうまんせんさんひゃくじゅう

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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圧力あつりょく単位たんい
パスカルSI単位たんい バール 工学こうがく気圧きあつ 気圧きあつ トル psi
1 Pa N/m2 = 10−5 bar 10.2×10−6 at 9.87×10−6 atm 7.5×10−3 Torr 145×10−6 psi
1 bar = 100000 Pa ≡ 106 dyn/cm2 ≈ 1.02 at ≈ 0.987 atm ≈ 750 Torr ≈ 14.504 psi
1 at = 98066.5 Pa = 0.980665 bar kgf/cm2 ≈ 0.968 atm ≈ 736 Torr ≈ 14.223 psi
1 atm = 101325 Pa = 1.01325 bar ≈ 1.033 at p0 = 760 Torr ≈ 14.696 psi
1 Torr ≈ 133.322 Pa ≈ 1.333×10−3 bar ≈ 1.360×10−3 at ≈ 1.316×10−3 atm ≡ 1 mmHg ≈ 19.337×10−3 psi
1 psi 6894.757 Pa 68.948×10−3 bar ≈ 70.307×10−3 at ≈ 68.046×10−3 atm 51.7149 Torr ≡ 1 lbf/in2