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定時飛行場実況気象通報式 - Wikipedia
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定時ていじ飛行場ひこうじょう実況じっきょう気象きしょう通報つうほう式しき

定時ていじ航空こうくう実況じっきょう気象きしょう通報つうほう式しき（ていじこうくうじっきょうきしょうつうほうしき）、または定時ていじ飛行場ひこうじょう実況じっきょう気象きしょう通報つうほう式しき（ていじひこうじょうじっきょうきしょうつうほうしき）、略称りゃくしょう：METARは、気象きしょう通報つうほう式しきの一種いっしゅであり、航空こうくう気象きしょう情報じょうほうを英数字えいすうじによって通報つうほうするための書式しょしき（フォーマット）である。通常つうじょうは空港くうこうまたは航空こうくう気象台きしょうだい[1]から定期ていき的てきに発はっせられ、主しゅとしてパイロットや航空こうくう管制かんせい官かん、ディスパッチャーなどの航空こうくう関係かんけい者しゃが、空港くうこうまたは飛行場ひこうじょうの気象きしょう状況じょうきょうを把握はあくするために使用しようされている[2]。気象きしょう予報よほう士しが天気てんき予報よほうのために利用りようすることもある。

概要がいよう 編集へんしゅう

歴史れきし 編集へんしゅう

METARは航空こうくう気象きしょう情報じょうほうを定期ていき的てきに通報つうほうするために定さだめられた英数字えいすうじによる書式しょしきである。基本きほん形式けいしきは国際こくさい民間みんかん航空こうくう機関きかん(ICAO)が定さだめ、詳細しょうさいの国際こくさい符号ふごうを世界せかい気象きしょう機関きかん(WMO)が策定さくていする。1968年ねん1月がつ1日にちに導入どうにゅうされて以来いらい、これまでに数すう回かい修正しゅうせいされている。

北米ほくべい諸国しょこくでは気象きしょう通報つうほうに SAO (Surface Aviation Observation、別称べっしょうサキューラーN)が使つかわれていたが、1989年ねんのジュネーヴ合意ごういで承認しょうにんされた METAR の変形へんけいが1995年ねんから1996年ねんにかけて相次あいついで採用さいようされた[3]。

発信はっしん頻度ひんど 編集へんしゅう

通常つうじょう、METARは1時じ間あいだごと、または30分ふんごとの定時ていじに観測かんそく情報じょうほうが発信はっしんされ、加くわえて自動じどう観測かんそく装置そうちによる自動じどう配信はいしん(METAR AUTO)が提供ていきょうされる場合ばあいもある[4][5]。米国べいこくでは空港くうこうや軍ぐん基地きちによってASOSと呼よばれる自動じどう気象きしょう観測かんそくシステムが利用りようされている。

名称めいしょう 編集へんしゅう

「METAR」の由来ゆらいは、フランス語ふらんすごで「定時ていじ航空こうくう気象きしょう観測かんそく通報つうほう」を意味いみするフレーズである "message d’observation météorologique régulière pour l’aviation" から"MÉTéorologique" （気象きしょう）、"Aviation" （航空こうくう）、"Régulière" （定時ていじ）を短縮たんしゅくしたものと考かんがえられているが、各かく機関きかんの文書ぶんしょ上じょうでは、WMOが"Aerodrome Routine Meteorological Report"としており、アメリカ連邦れんぽう航空局こうくうきょく(FAA)やアメリカ海洋かいよう大気たいき庁ちょう(NOAA)、イギリス気象庁きしょうちょう(UKMO)では"Aviation Routine Weather Report" としている。日本にっぽんの国土こくど交通省こうつうしょうや気象庁きしょうちょうをはじめとする省庁しょうちょうの文書ぶんしょでは「定時ていじ航空こうくう実況じっきょう気象きしょう通報つうほう式しき」が用もちいられている。

METARとSPECI 編集へんしゅう

METARと同様どうようの気象きしょう情報じょうほうにSPECI（特別とくべつ飛行場ひこうじょう実況じっきょう気象きしょう通報つうほう式しき）があり、両者りょうしゃの書式しょしき自体じたいはまったく同おなじである。 METARは定時ていじの気象きしょう観測かんそくを通報つうほうするのに対たいし、SPECIは定時ていじ観測かんそく以外いがいの臨時りんじ的てきな気象きしょう観測かんそく（特別とくべつ観測かんそく）を行おこなった際さいに通報つうほうされる。特別とくべつ観測かんそくは、以下いかの場合ばあいに行おこなわれる。

  • 天候てんこうが急激きゅうげきに変化へんかし、一定いっていのしきい値ちを超こえたとき。なお、しきい値ちは空港くうこうによって異ことなる。(SPECI)
  • 航空こうくう会社かいしゃなどから照会しょうかいがあったとき。（照会しょうかい特別とくべつ観測かんそく:REQUEST）
  • 航空機こうくうき事故じこが発生はっせいしたとき。（事故じこ特別とくべつ観測かんそく:ACCIDENT）

METARの内容ないよう 編集へんしゅう

標準ひょうじゅん的てきな METAR には、発表はっぴょう日び時じ、風ふう向こう風速ふうそく、視程してい、降水こうすい、滑走かっそう路ろ視し距離きょりや視程してい障害しょうがい現象げんしょう等とうの現在げんざい天気てんき、雲量うんりょう、雲くも高だか、温度おんど、露点ろてん、気圧きあつなどのデータが含ふくまれている。また、総そう降水こうすい量りょうや雷かみなり、その他たパイロットや気象きしょう学者がくしゃが関心かんしんを持もつカラー・ステート (Colour State) のような情報じょうほうが含ふくまれることもある。（ただし、日本にっぽんでは降水こうすい量りょうを報ほうじることはなく、カラー・ステートという概念がいねんもない。）

またMETARの最後さいごには、発表はっぴょう時刻じこくから2時じ間あいだに起おこりうる気象きしょうの変化へんかを取とり扱あつかう TRENDと呼よばれる短期たんき予報よほうが付つけ加くわえられることがある。これは、飛行場ひこうじょう予報よほう (TAF) と同おなじようなフォーマットであるが、TAFと大おおきく異ことなるのは、特とくに重要じゅうような変化へんかがない場合ばあい、NOSIG(No significant change)が付加ふかされることと、適用てきよう時間じかんがTAFの30時間じかん（日本にっぽんの場合ばあい）に対たいし最大さいだいで2時じ間あいだ程度ていどの違ちがいである。日本にっぽんでTREND報ほうが発はっせられるのは成田なりた国際こくさい空港くうこう及および東京とうきょう国際こくさい空港くうこう、関西国際空港かんさいこくさいくうこう、中部ちゅうぶ国際こくさい空港くうこうの4国際こくさい空港くうこうである。

TAF は「現在げんざいの気象きしょう情報じょうほう」ではなく当該とうがい飛行場ひこうじょうの「予報よほう」の通報つうほうであり、METARとは通報つうほうするべき要素ようそは共通きょうつうするものの、内容ないようがかなり異ことなっている。VOLMET放送ほうそうでは、METAR と TAF が使つかわれているが、VOLMET放送ほうそうの放送ほうそう時間じかん枠わくの関係かんけいから、TAFのうち5群ぐん（基本きほん群ぐんと変化へんか群ぐん4群ぐん）を超こえた部分ぶぶんは放送ほうそうされない。

METARは、その基本きほん的てきな形式けいしきがICAO技術ぎじゅつ規則きそくAnnex-3で定義ていぎされ、世界せかい気象きしょう機関きかん (WMO)では、『WMO PUBLICATION NO. 306 - MANUAL ON CODES』において通報つうほう式しきを定義ていぎしている(同書どうしょVolume I.1 - Part A, Section Aにおいて、FM-15としてMETARのフォーマットが定義ていぎされ、FM-16としてSPECIのフォーマットが定義ていぎされている)。

国際こくさい METAR コード 編集へんしゅう

以下いかに示しめす例れいは、ブルガリアのブルガスにあるブルガス国際こくさい空港くうこうにおける 2005年ねん2月がつ4日にち 16:00 UTC の METAR である。

METAR LBBG 041600Z 12003MPS 310V290 1400 R04/P1500N R22/P1500U +SN BKN022 OVC050 M04/M07 Q1020 NOSIG 9949//91=

  • METAR は、以下いかに続つづくのが通常つうじょうの1時じ間あいだごとの定時ていじ観測かんそくであることを示しめす。
  • LBBG は、ブルガス国際こくさい空港くうこうのICAOコードである。
  • 041600Z は、月つきの日付ひづけが4日にちであり、時刻じこくが協定きょうてい世界せかい時じで16時じ00分ふん、東ひがしヨーロッパ時間じかんで午後ごご6時じ00分ふんであることを示しめす。
  • 12003MPS は、風速ふうそく3メートル/秒びょうの風かぜが真ま北きたより120度どの方向ほうこう（東南東とうなんとう）から吹ふいていることを示しめす。なお、東欧とうおう・中国ちゅうごく等とうでは単位たんいにMPS（メートル/秒びょう）を用もちいるが、それ以外いがいではKT（ノット）を用もちいる。
  • 310V290 は、風向ふうこうの変動へんどうが310度ど（北西ほくせい）～120度ど（東南東とうなんとう）～290度ど（西北西せいほくせい）であることを示しめす。
  • 1400 は、視程していが1400メートルであることを示しめす。なお、ヨーロッパ系けいではスペインを除のぞき視程していは最短さいたん視程していである。その他たの多おおくの国くにでは卓越たくえつ視程していである。
  • R04/P1500N は、滑走かっそう路ろ04での滑走かっそう路ろ視し距離きょり (RVR) が1500メートル以上いじょうで、特とくに変化へんかが無ないことを示しめす。
  • R22/P1500U は、滑走かっそう路ろ22での RVR が1500メートル以上いじょうで、上昇じょうしょうしていることを示しめす。
  • +SN は、激はげしい雪ゆきが降ふっていることを示しめす。
  • BKN022 は、雲くも底そこ高だかが地上ちじょう高だか (AGL; Above Ground Level) 2,200フィートで雲くもに隙間すきまがあること（雲量うんりょうが5/8～7/8）を示しめし、シーリングである。
  • OVC050 は、雲くも底そこ高だかが地上ちじょう高だか5,000フィートで雲くもに隙間すきまが無ないこと（雲量うんりょうが8/8）を示しめす。
  • M04/M07 は、気温きおんが摂氏せっしマイナス4度どで、露点ろてんが摂氏せっしマイナス7度どであることを示しめす。
  • Q1020 は、高度こうど計けい規正きせい値ち(QNH方式ほうしき)が1020hPaであることを示しめす。
  • NOSIG は、METAR に追加ついかされるTREND 予報よほうの例れいである。NOSIG は、次つぎの2時じ間あいだには大おおきな変化へんかが無ないことを意味いみする。
  • 9949//91 は、滑走かっそう路ろの状況じょうきょうを示しめす。フォーマットは「abcdefgh」で、ab は滑走かっそう路ろの方位ほうい（99 は以前いぜん示しめされた滑走かっそう路ろ、または、全すべての滑走かっそう路ろ）、c は堆積たいせき物ぶつの種類しゅるい（4は乾いぬい雪ゆき）、d は堆積たいせき物ぶつの占しめる割合わりあい（9 は滑走かっそう路ろの51～100%が覆おおわれている）、ef は堆積たいせき物ぶつの厚あつさ (mm) （// は計測けいそく不能ふのうか滑走かっそう路ろの使用しように支障ししょうが無ないことを示しめす）、gh は制動せいどう指数しすう（91 はブレーキの効ききが非常ひじょうに悪わるい）を示しめす。滑走かっそう路ろ状態じょうたいを報ほうじる規定きていは地域ちいき航空こうくう協定きょうていによるもので、国際こくさいMETARコードで定さだめられているものではない。この例れいはMOTNE（Meteorogical Operational Telecommunication Network Europe）のフォーマット。
  • = は、METAR の終おわりを示しめす。

米国べいこく/カナダ METAR コード 編集へんしゅう

北米ほくべいで使用しようされている METAR は、WMOが定さだめている FM 15-XII コードに修正しゅうせいが加くわえられたものとなっている。METAR 自体じたいは国際こくさい的てきに採択さいたくされている標準ひょうじゅんであるが、各国かっこくが運用うんよう上じょう細部さいぶの修正しゅうせいを加くわえることを認みとめている。たとえば、米国べいこくではマイル、ノット、インチなどの単位たんいを独自どくじに採用さいようしている[6]。詳細しょうさいは、FAA の航空こうくう情報じょうほうマニュアル (AIM) に記しるされている。以下いかに示しめす例れいは、ニュージャージー州しゅうのトレントン近郊きんこうにあるトレントン・マーサー空港くうこうにおける 2003年ねん12月5日にち 18:53 UTC の METAR である。

METAR KTTN 051853Z 04011KT 1/2SM VCTS SN FZFG BKN003 OVC010 M02/M02 A3006 RMK AO2 TSB40 SLP176 P0002 T10171017=

  • METAR は、以下いかに続つづくのが通常つうじょうの1時じ間あいだごとの観測かんそくであることを示しめす。
  • KTTN は、この通報つうほうがアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのトレントン近郊きんこうにあるトレントン・マーサー空港くうこうのものであることを示しめす。
  • 051853Z は、月つきの日付ひづけが5日にちで、時刻じこくが協定きょうてい世界せかい時じで1853、グリニッジ標準時ひょうじゅんじで午後ごご6時じ53分ふん、東部とうぶ標準時ひょうじゅんじで午後ごご1時じ53分ふんであることを示しめす。
  • 04011KT は、風速ふうそく11ノット（約やく13マイル/時とき;20km/時どき）の風かぜが真ま北きたより40度どの方向ほうこう（北東ほくとう）から吹ふいていることを示しめす。
  • 1/2SM は、卓越たくえつ視程していが0.5マイル（800m）であることを示しめす。
  • VCTS は、周辺しゅうへん（10マイル（16km）以内いない、5マイル（8km）超ちょう）に雷電らいでんがあることを示しめす。
  • SN は、並なみの強つよさで雪ゆきが降ふっていることを示しめす。
  • FZFG は、着ちゃく氷ごおり性せいの霧きりが出でていることを示しめす。
  • BKN003 は、雲くも底そこの高たかさが地上ちじょう高だか300フィートで雲くもに隙間すきまがあることを示しめす。
  • OVC010 は、雲くも底そこの高たかさが地上ちじょう高だか1,000フィートで雲くもに隙間すきまが無ないことを示しめす。
  • M02/M02 は、気温きおんが摂氏せっしマイナス2度どで、露点ろてんが摂氏せっしマイナス2度どであることを示しめす。
  • A3006 は、高度こうど計けいを30.06inHgで規正きせいすべきであることを示しめす。

これ以降いこうは、国際こくさい的てきなフォーマットの一部いちぶではない点てんに注意ちゅうい。この例れいはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくに特有とくゆうで、カナダと共通きょうつうのフォーマットではない。

  • RMK は、注釈ちゅうしゃくが後のちに続つづくことを示しめす。
  • AO2 は、雨あめや雪ゆきの降水こうすいセンサーで自動じどう化かされた測候所そっこうじょであることを示しめす。（降水こうすいセンサーが設置せっちされていない自動じどう測候所そっこうじょは AO1）
  • TSB40 は、雷電らいでんが始はじまったのが正ただし時ときの40分ふん、協定きょうてい世界せかい時じで1840、グリニッジ標準時ひょうじゅんじで午後ごご6時じ40分ふん、東部とうぶ標準時ひょうじゅんじで午後ごご1時じ40分ふんであることを示しめす。
  • SLP176 は、海面かいめん校正こうせいした気圧きあつが1017.6hPaであることを示しめす。
  • P0002 は、過去かこ1時じ間あいだの水みずに換算かんさんした降水こうすい量りょうが0.02インチ（0.5 mm）であることを示しめす。
  • T10171017 は、気温きおんが摂氏せっしマイナス1.7度ど（華氏かしに換算かんさんすると29度ど）で、露点ろてんが摂氏せっしマイナス1.7度ど（華氏かしに換算かんさんすると29度ど）であることを示しめす。
  • = は、METAR の終おわりを示しめす。

注意ちゅういすることは、向むきを示しめす情報じょうほうはRVRを除のぞくと、真方まがた位い（極きょくを南北なんぼくとする）で示しめされることで、コンパス（方位ほうい磁針じしん）で示しめされる方位ほうい（磁方位い）ではない。

参考さんこう文献ぶんけんおよび出典しゅってん 編集へんしゅう

  1. ^ “日本にっぽんのTAF&METAR1”. 航空こうくう安全あんぜん委員いいん会かい. 2010年ねん8月がつ20日はつか閲覧えつらん。
  2. ^ “航空こうくう実用じつよう事典じてん”. JAL. 2010年ねん8月がつ20日はつか閲覧えつらん。
  3. ^ Lankford, Terry T. (2000). Aircraft icing: a pilot's guide. New York: McGraw-Hill. pp. 100. ISBN 0-07-134139-0 
  4. ^ “関空かんくう島とう WEATHER TOPICS 2009年ねん6月がつ号ごう” (PDF). 気象庁きしょうちょう. 2010年ねん8月がつ20日はつか閲覧えつらん。
  5. ^ “航空こうくう気象きしょう観測かんそく通報つうほう時刻じこく一覧いちらん”. 那覇なは航空こうくう測候所そっこうじょ. 2010年ねん8月がつ20日はつか閲覧えつらん。
  6. ^ Spence, Charles (2006). AIM/FAR 2007: aeronautical information manual/federal aviation regulations. McGraw-Hill Professional. pp. 291-292. ISBN 0-07-147924-4 

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

外部がいぶリンク 編集へんしゅう

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