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日本の鉄道 - Wikipedia

日本にっぽん鉄道てつどう

日本にっぽん国内こくないにおける広義こうぎ鉄道てつどう
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日本にっぽん鉄道てつどう(にほんのてつどう)では、日本にっぽん国内こくないにおける広義こうぎ鉄道てつどうについてべる。日本にっぽんには217しゃ鉄道てつどう事業じぎょうしゃ存在そんざいし、最大さいだい事業じぎょうしゃJRグループである[1]

日本にっぽん
運営うんえい
主要しゅよう事業じぎょうしゃ JRグループ [1]
統計とうけい
乗客じょうきゃくすう 177おくにん (2020ねん)[2][1]
旅客りょかく輸送ゆそうりょう (ひとキロ) 2631おく (2020ねん) [2][1]
貨物かもつ輸送ゆそうりょう (トンキロ) 1833おく (2020ねん)[2]
距離きょり
そう延長えんちょう 30,625 km
電化でんか距離きょり 21,600 km
高速こうそく鉄道てつどう 2,997 km (新幹線しんかんせん;2020ねん
軌間きかん
おも軌間きかん 1,067 mm
高速こうそく鉄道てつどう 標準軌ひょうじゅんき
電化でんか方式ほうしき
しゅ電化でんか方式ほうしき 交流こうりゅう/直流ちょくりゅう混在こんざい
設備せつび
路線ろせん

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さんだい歌川うたがわ広重ひろしげさく横浜よこはま海岸かいがん鉄道てつどう蒸気じょうき車之くるまの

日本にっぽんは、比較的ひかくてき人口じんこう密度みつどたかく、都市としうち輸送ゆそう都市としあいだ輸送ゆそうにおいて鉄道てつどう重要じゅうよう役割やくわりになっているため、日本にっぽん鉄道てつどう公共こうきょう交通こうつうにおいて81.7%のシェアをゆうする(2021ねん[1]旅客りょかく輸送ゆそうキロすうは、中国ちゅうごくいで世界せかい2である[3]。また定時ていじ運行うんこうせいについては、世界せかいもっとすぐれた水準すいじゅんたっしている。

しかしながら、鉄道てつどうインフラへの公的こうてき支援しえんよわく、貧弱ひんじゃくなインフラで大量たいりょう旅客りょかく輸送ゆそうおこなう“輸送ゆそう”を前提ぜんていとしているため、先進せんしんこく鉄道てつどうくら接客せっきゃくサービスの水準すいじゅんたかいとはえず、ごく一部いちぶ大手おおて私鉄してつのぞ事業じぎょうしゃ経営けいえい脆弱ぜいじゃくである。また輸送ゆそう密度みつどひく過疎かそ地域ちいきにおいては、人口じんこう減少げんしょうモータリゼーション定着ていちゃくもあって、かなりきびしい経営けいえいとならざるをない。利用りようきゃく減少げんしょうげん便びん利便りべんせい低下ていか→さらなる利用りようきゃく減少げんしょうという悪循環あくじゅんかん見舞みまわれた結果けっかはいせんまれるカル線かるせんおおい。ただ、鉄道てつどう部門ぶもん赤字あかじでも不動産ふどうさん観光かんこう事業じぎょうなどのサイドビジネス黒字くろじしている中小ちゅうしょう鉄道てつどう事業じぎょうしゃもある。

概説がいせつ

編集へんしゅう

日本にっぽんにおける鉄道てつどうとは、狭義きょうぎには鉄道てつどう事業じぎょうほうもとづいた国土こくど交通省こうつうしょう鉄道てつどうきょく所管しょかんにあるものをす。軌道きどうほうもとづいて建設けんせつされたものは法的ほうてきには軌道きどうばれ、鉄道てつどうとはことなるものであるが、一般いっぱんてきにはこれも鉄道てつどうばれる。鉄道てつどう事業じぎょうほう軌道きどうほうの2種類しゅるいがあるのは、軌道きどうほうおも道路どうろ敷設ふせつされる鉄道てつどう対象たいしょうとしているからである。また、鉄道てつどう事業じぎょうほうきゅう運輸省うんゆしょう単独たんどく所管しょかん軌道きどうほうきゅう運輸省うんゆしょうおよびきゅう建設省けんせつしょう共管きょうかんと、所管しょかん官庁かんちょうことなっていた。2001ねん平成へいせい13ねん)1がつ6にち中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへんによって、運輸省うんゆしょうおよび建設省けんせつしょう統合とうごうされ、国土こくど交通省こうつうしょうとなっている。

鉄道てつどう事業じぎょうほう軌道きどうほう以外いがい法規ほうき適用てきようをうける鉄道てつどうもある。森林しんりん鉄道てつどう鉱山こうざん鉄道てつどう、かつて存在そんざいした簡易かんい軌道きどう(←殖民しょくみん軌道きどうがこれにあたる。

これらとはべつに、一部いちぶ私有地しゆうちにおいて、鉄道てつどう事業じぎょうほう軌道きどうほうもとづかず建設けんせつされた鉄道てつどう存在そんざいする。旅館りょかんなどの送迎そうげいなどに使つかわれるもののほか、小規模しょうきぼトロッコゆう園地えんちの「おとぎ汽車きしゃ」のような園内えんない遊覧ゆうらん鉄道てつどう遊具ゆうぐ)がこれにあたる。

日本にっぽん法律ほうりつでは、鉄道てつどう事業じぎょうほう施行しこう規則きそくだいよんじょうで、つぎのものが列挙れっきょされている。

だいよんじょう ほうだいよんじょうだいいちこうだいろくごう国土こくど交通省こうつうしょうれいさだめる鉄道てつどう種類しゅるいは、つぎのとおりとする。

いち 普通ふつう鉄道てつどう - ごく一般いっぱんてき鉄道てつどう(2ほんてつせい線路せんろうえはしるもの。新幹線しんかんせんから地下鉄ちかてつ軽便鉄道けいべんてつどうひとしゃ軌道きどうまで)
懸垂けんすいしき鉄道てつどう - 懸垂けんすいしきモノレールスカイレール
さん またがしき鉄道てつどう - またがしきモノレール
よん 案内あんない軌条きじょうしき鉄道てつどう - しん交通こうつうシステム (AGT)・ガイドウェイバス (GBS)
軌条きじょう電車でんしゃ - トロリーバス
ろく 鋼索こうさく鉄道てつどう - ケーブルカー
なな 浮上ふじょうしき鉄道てつどう - 磁気じき浮上ふじょうしき鉄道てつどうリニアモーターカー(ただし浮上ふじょうせず、いち該当がいとうするリニアモーターカーもある。→リニア地下鉄ちかてつなど)・空気くうき浮上ふじょうしき鉄道てつどう
はち ぜん各号かくごうかかげる鉄道てつどう以外いがい鉄道てつどう

上記じょうきはち)にたるものとしては、2005ねん日本にっぽん国際こくさい博覧はくらんかいあい地球ちきゅうはく)のIMTSあい地球ちきゅうはくせん)が「磁気じき誘導ゆうどうしき鉄道てつどう」として追加ついかされた。

上記じょうき以外いがいではローラーコースターロープウェイ鉄道てつどうにややちか形態けいたいだが、鉄道てつどうにはふくまれていない。ただし、ロープウェイやリフト鉄道てつどうおな法律ほうりつ鉄道てつどう事業じぎょうほう)で「索道さくどう事業じぎょう」として規定きていされている。

事業じぎょうしゃ

編集へんしゅう

国鉄こくてつながれをくむJRグループのほか、地域ちいきによっては私鉄してつ存在そんざいする。JRグループの旅客りょかく輸送ゆそうひとキロベースで5わりのシェアをゆうする[1]

大都市だいとしけんにある大手おおて私鉄してつじゅん大手おおて私鉄してつおも都心としん郊外こうがいむす路線ろせんもう構築こうちくしている。中小ちゅうしょう私鉄してつおもにJRのえきからはなれた都市としとJRえきむす役割やくわりのものがおおい。大都市だいとしでは地下鉄ちかてつもある。日本にっぽんでは地下鉄ちかてつはいずれも特殊とくしゅ会社かいしゃまたは地方ちほう公営こうえい企業きぎょう公営こうえい交通こうつう)の形態けいたいをとっている[注釈ちゅうしゃく 1]大都市だいとしけんには拠点きょてんえき空港くうこう郊外こうがい住宅じゅうたくむすモノレールしん交通こうつうシステム存在そんざいする。地方ちほうには、おもきゅう国鉄こくてつ赤字あかじカル線かるせん継承けいしょうした、地元じもと自治体じちたいとう出資しゅっしによるだいさんセクター鉄道てつどう存在そんざいする。おも山岳さんがく観光かんこうにはケーブルカー存在そんざいする。

法規ほうきじょう路面ろめん電車でんしゃ軌道きどうほう準拠じゅんきょする。戦後せんご高度こうど成長せいちょうモータリゼーション進行しんこう結果けっか路面ろめん電車でんしゃ撤去てっきょすすんだが、現在げんざいでも一部いちぶ都市とし運行うんこうされている。地方ちほう公営こうえい企業きぎょう公営こうえい交通こうつう形態けいたいのものと民間みんかん企業きぎょう私鉄してつ形態けいたいのものが混在こんざいする。2000年代ねんだい以降いこうコンパクトシティ政策せいさくなどで路面ろめん電車でんしゃ有効ゆうこうせい見直みなおされ、JRの在来ざいらいせん路面ろめん電車でんしゃ再編さいへんされたり(富山とやまライトレール)、宇都宮うつのみやライトレール全線ぜんせん新設しんせつされたりしている。

1987ねん日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう国鉄こくてつ)の分割ぶんかつ民営みんえいともない、JRグループとして北海道旅客鉄道ほっかいどうりょかくてつどう(JR北海道ほっかいどう)、東日本旅客鉄道ひがしにほんりょかくてつどう(JR東日本ひがしにっぽん)、東海旅客鉄道とうかいりょかくてつどう(JR東海とうかい)、西日本旅客鉄道にしにほんりょかくてつどう(JR西日本にしにほん)、四国旅客鉄道しこくりょかくてつどう(JR四国しこく)、九州旅客鉄道きゅうしゅうりょかくてつどう(JR九州きゅうしゅう)、日本にっぽん貨物かもつ鉄道てつどう(JR貨物かもつ)の7しゃ発足ほっそくした。これら7しゃのうち、JR東日本ひがしにっぽん、JR東海とうかい、JR西日本にしにほん、JR九州きゅうしゅうの4しゃについては、のちくに保有ほゆうしていた株式かぶしきをすべて市場いちば売却ばいきゃくし、完全かんぜん民営みんえい達成たっせいした。これにたいし、JR北海道ほっかいどう、JR四国しこく、JR貨物かもつの3しゃかんしては、JR会社かいしゃほう適用てきようけ、政府せいふが100%出資しゅっしする株式会社かぶしきがいしゃ形態けいたい特殊とくしゅ会社かいしゃとなっており、株式かぶしき上場じょうじょうおこなわれていない。

大手おおて私鉄してつ

編集へんしゅう

大手おおて私鉄してつ各社かくしゃは、大都市だいとし中心ちゅうしんとしておおくの輸送ゆそうりょうゆうし、どの会社かいしゃ利益りえきげている。しかし、日本にっぽん全体ぜんたい人口じんこうげん分割ぶんかつ民営みんえいされたJRの攻勢こうせいによる競争きょうそう激化げきかなどの影響えいきょうけ、輸送ゆそう人員じんいん減少げんしょう傾向けいこうである。鉄道てつどう事業じぎょうだけではなく、不動産ふどうさん事業じぎょうなどの関連かんれん事業じぎょう利益りえきしている会社かいしゃおおい。

一般いっぱんに、以下いかの16の鉄道てつどう会社かいしゃが、大手おおて私鉄してつばれる。東京とうきょうけん最初さいしょの9しゃ大阪おおさかけんは2つの都市としけんむす近鉄きんてつふくめて5しゃ名古屋なごや名鉄めいてつ福岡ふくおかけん西鉄にしてつのみである。

中小ちゅうしょう私鉄してつ

編集へんしゅう

一般いっぱんに、以下いかの5の鉄道てつどう会社かいしゃが、じゅん大手おおて私鉄してつばれる。

大都市だいとし近郊きんこうじゅん大手おおて私鉄してつは、沿線えんせん開発かいはつえき周辺しゅうへん商業しょうぎょう施設しせつ運営うんえいかかわり、経営けいえい基盤きばん比較的ひかくてき安定あんていしている。それ以外いがい地方ちほう私鉄してつは、人口じんこうげん過疎かそ、モータリゼーションの定着ていちゃくなどの影響えいきょうつよけている。都市としあいだ輸送ゆそう観光かんこう輸送ゆそう政令せいれい指定してい都市とし中核ちゅうかくクラスの都市としでの通勤つうきん通学つうがく輸送ゆそうなど一定いってい需要じゅよう存在そんざいする路線ろせん以外いがいは、路線ろせん縮小しゅくしょう廃止はいし相次あいついでいる。既存きそん路線ろせん高速こうそく新規しんき車輌しゃりょう導入どうにゅうなど改善かいぜんさく実施じっしが、財政難ざいせいなんから不可能ふかのう会社かいしゃもある。昨今さっこん地方ちほう公共こうきょう団体だんたい財政ざいせい状態じょうたい悪化あっかにより補助ほじょきん減少げんしょうあるいは停止ていしされること、鉄道てつどう事業じぎょうほう改正かいせいにより届出とどけでだけで廃止はいし可能かのうになったことが、地方ちほう私鉄してつ環境かんきょうをさらにきびしいものとしている。

公営こうえい鉄道てつどうだいさんセクター鉄道てつどう

編集へんしゅう

地方ちほう公共こうきょう団体だんたい公営こうえい交通こうつう)や、民間みんかん企業きぎょう地方ちほう公共こうきょう団体だんたい共同きょうどう出資しゅっしによるだいさんセクターによる鉄道てつどうは、都市とし地下鉄ちかてつや、交通こうつうもう脆弱ぜいじゃく地域ちいき交通こうつう需要じゅようになっている。しかし、地方ちほうにおいては、きゅう国鉄こくてつ赤字あかじ路線ろせんをそのままぐなど、経営けいえい状態じょうたいはどこもくるしいのが実情じつじょうである。都市としにおいてはまとまった需要じゅようがあるため、路線ろせんにより様々さまざま状況じょうきょうがある。建設けんせつ高騰こうとうから運賃うんちん高価こうかになり、そのため輸送ゆそうりょうなやみ、沿線えんせん開発かいはつすすまないという悪循環あくじゅんかんおちいっている路線ろせんおおい。その一方いっぽうつくばエクスプレスのように好調こうちょう輸送ゆそう実績じっせきをあげ、沿線えんせん開発かいはつさかんにおこなわれている鉄道てつどう路線ろせんもある。公営こうえいという性質せいしつじょう保守ほしゅてき経営けいえい形態けいたいをとるものがおお一方いっぽうで、路線ろせん新設しんせつし、LRT導入どうにゅうした富山とやまライトレールのようにあたらしい戦略せんりゃくをとる会社かいしゃもある。

旅客りょかく輸送ゆそう

編集へんしゅう
事業じぎょうしゃべつ旅客りょかく輸送ゆそうりょう(2020ねん[4]
事業じぎょうしゃ 輸送ゆそう人員じんいん
(せんにん)
輸送ゆそうじんキロ
(せんにんキロ)
JR北海道ほっかいどう 94,371 2,234,907
JR東日本ひがしにっぽん 4,536,596 84,550,898
JR東海とうかい 363,589 24,609,783
JR西日本にしにほん 1,425,216 34,110,292
JR四国しこく 33,863 875,935
JR九州きゅうしゅう 251,050 5,564,720
東武とうぶ 677,046 8,576,472
西武せいぶ 471,752 6,129,730
京成けいせい 208,714 2,534,868
京王けいおう 450,644 5,174,055
小田急おだきゅう 525,225 7,581,302
東急とうきゅう 805,783 7,376,243
京急けいきゅう 334,904 4,354,440
相鉄そうてつ 174,827 1,846,771
名鉄めいてつ 296,235 5,228,401
近鉄きんてつ 425,869 7,210,138
南海なんかい 178,159 2,704,849
京阪けいはん 207,726 2,834,177
阪急はんきゅう 485,104 6,481,959
阪神はんしん 183,551 1,657,108
西鉄にしてつ 79,048 1,120,731

日本にっぽん鉄道てつどう旅客りょかく輸送ゆそうりょう高水準こうすいじゅんであり、とく都市とし鉄道てつどうとして東京とうきょうけん関西かんさいけん主要しゅよう路線ろせんと、都市としあいだむす鉄道てつどうとして東海道新幹線とうかいどうしんかんせんは、世界せかい鉄道てつどうでもたか輸送ゆそう密度みつどゆうしている。東海道新幹線とうかいどうしんかんせん東京とうきょう - 新大阪しんおおさかあいだは、通勤つうきん列車れっしゃなみの頻度ひんど運行うんこうされ、最大さいだい毎時まいじ16ほんもの列車れっしゃはしっているが、これだけの輸送ゆそうりょう頻度ひんどちゅう長距離ちょうきょり都市としあいだむす高速こうそく鉄道てつどうまれである。

特別とくべつ高速こうそく運転うんてんができるように設計せっけい建設けんせつされた新幹線しんかんせんでは、山陽新幹線さんようしんかんせんのぞみ」の西明石にしあかし以西いせいでは最高さいこう速度そくど300 km/h、東北新幹線とうほくしんかんせんはやぶさ」の宇都宮うつのみや - 盛岡もりおかあいだにおいて、最高さいこう速度そくど320 km/hの高速こうそく運転うんてんがなされている。

一方いっぽう在来ざいらいせんさい高速度こうそくどはごく一部いちぶに160 km/h走行そうこう可能かのう路線ろせんがある程度ていどで、重要じゅうよう幹線かんせんでもおおむね120 - 130 km/hにとどまっている。おも理由りゆう

  • おおくの路線ろせん狭軌きょうきであり、台車だいしゃちいさくなるのでこう出力しゅつりょくのモーターを搭載とうさいするのがむずかしかった。
  • 山地さんちおおいが、長大ちょうだいトンネル建設けんせつするのがむずかしかったため1930年代ねんだい以前いぜん建設けんせつされた路線ろせんカーブおおい(蒸気じょうき機関きかんしゃ走行そうこうにはカーブをやしてでも勾配こうばいをできるだけけたほう有利ゆうりであった。また、長大ちょうだいトンネルは建設けんせつとうのほかに蒸気じょうき機関きかんしゃからの煤煙ばいえん問題もんだいがあった)。
  • 人口じんこう密集みっしゅうしているために踏切ふみきりおおく、そのため非常ひじょうブレーキをかけてから600 m以内いない停止ていししなければならないという規制きせいがあった(600メートル条項じょうこう)。

などがげられる。

安全あんぜん対策たいさく

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鉄道てつどう交通こうつう機関きかんなかでは事故じこりつもっとひくく、安全あんぜんたいする信頼しんらいかんたかいものの、福知山ふくちやません脱線だっせん事故じこなどの重大じゅうだい事故じこは、鉄道てつどう安全あんぜんせいへの問題もんだいてん注目ちゅうもくされる契機けいきとなっている。鉄道てつどう各社かくしゃとも、継続けいぞくてき安全あんぜん対策たいさくへの投資とうし実施じっししている。自動じどう列車れっしゃ制御せいぎょ装置そうち (ATC) 、自動じどう列車れっしゃ停止ていし装置そうち (ATS) などの基幹きかんてき安全あんぜん対策たいさくくわえて、ホームドアひとしあらたな安全あんぜん対策たいさく普及ふきゅうしてきている。

バリアフリー

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交通こうつうバリアフリーほう施行しこうともない、かく事業じぎょうしゃとも、バリアフリーちかられている。おもエスカレーターエレベーター設備せつび拡充かくじゅうが、都市とし中心ちゅうしんおこなわれている。えきトイレ多目的たもくてきトイレの増設ぞうせつなどがおこなわれている。列車れっしゃないトイレ多目的たもくてきしたものもある。しかし、経営けいえい状態じょうたいのよくない事業じぎょうしゃではバリアフリー進展しんてんしていないところもおおい。路面ろめん電車でんしゃにおいてはていゆか車両しゃりょうであるLRVちょうていゆか電車でんしゃ)がさかんに導入どうにゅうされている。

サービス向上こうじょう

編集へんしゅう

利用りようしゃ増加ぞうかはかるためにはサービス向上こうじょう必要ひつようであり、このためにかく事業じぎょうしゃとも種々しゅじゅ施策しさくこうじている。社員しゃいん教育きょういくなどの人的じんてきてんから、複数ふくすう路線ろせんをまたがって利用りようしたときの精算せいさん手間てまはぶ共通きょうつうカード導入どうにゅう、さらにキャッシュレスなどがおこなわれている。

また、えき構内こうない店舗てんぽ勧誘かんゆう設置せっちする(いわゆる「えきナカ」)ことにより、利用りようしゃ利便りべんせい向上こうじょうし、同時どうじ鉄道てつどう事業じぎょうしゃ収益しゅうえき確保かくほする手法しゅほうひろもちいられている。JRは、民営みんえいによってきゅう国鉄こくてつ時代じだいくらべて自由じゆう事業じぎょう実施じっしできるようになったため、大都市だいとし主要しゅようえき中心ちゅうしんに、おおくのテナント駅舎えきしゃない展開てんかいするようになった。しかし、えき構内こうないという圧倒的あっとうてき有利ゆうり立地りっち商店しょうてん開業かいぎょうすることで、えき周辺しゅうへん商店しょうてんへの影響えいきょうている場合ばあいもある。

都市とし過密かみつ旅客りょかく輸送ゆそう

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たか旅客りょかく輸送ゆそう密度みつど

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東京とうきょうけん主要しゅよう31区間くかんのピークにおける平均へいきん混雑こんざつりつとう推移すいい国土こくど交通省こうつうしょう鉄道てつどうきょく

東京とうきょうけんでは、山手やまてせん中央ちゅうおう快速かいそくせんとう路線ろせんで、10りょう編成へんせいで3,000 - 4,000にん乗客じょうきゃく輸送ゆそうされ、複線ふくせんでラッシュ片道かたみち10まんにん/どき程度ていど輸送ゆそう人員じんいんたっするが、これはモスクワ地下鉄ちかてつの13.8まんにん/とき[5]輸送ゆそう密度みつどである。一時期いちじき混雑こんざつ椅子いすがすべて収容しゅうようされる他国たこくるいのない設計せっけい6とびらしゃ大量たいりょう投入とうにゅうされるほどであった。過酷かこく通勤つうきんラッシュ他国たこくでもしばしば紹介しょうかいされることがある。

世界せかい最大さいだい都市としけんである首都しゅとけん経済けいざい活動かつどうはこのような鉄道てつどうなしには成立せいりつしえない反面はんめん人々ひとびと生活せいかつ快適かいてきせい福祉ふくし観点かんてんからは問題もんだいがある。高度こうど経済けいざい成長せいちょう以降いこう国鉄こくてつ通勤つうきん方面ほうめん作戦さくせん代表だいひょうされる複々線ふくふくせん営団えいだん地下鉄ちかてつしんせん開業かいぎょうなど、混雑こんざつ緩和かんわのための輸送ゆそうりょく強化きょうか精力せいりょくてきまれたが、人口じんこう東京とうきょういちきょく集中しゅうちゅうすすなか解消かいしょうには程遠ほどとお状況じょうきょうで、さらにインフラ増強ぞうきょう国鉄こくてつ営団えいだん民営みんえいにより停滞ていたいするなど、いまいたるまで抜本ばっぽんてき改善かいぜんていない。さらに鉄道てつどう事業じぎょう赤字あかじなや事業じぎょうしゃ合理ごうりによって営業えいぎょう本数ほんすう編成へんせい車両しゃりょうすう削減さくげんすすめられた結果けっか近年きんねん地方ちほう線区せんくでもラッシュ輸送ゆそうられるようになっている。

乗降じょうこう客数きゃくすうおおえき

編集へんしゅう
 
新宿しんじゅくえき

前述ぜんじゅつのようなたか輸送ゆそう人員じんいん輸送ゆそう密度みつど旅客りょかくシェアなどが関連かんれんされ、世界一せかいいち乗降じょうこう客数きゃくすうおおえき日本にっぽん新宿しんじゅくえき(JR東日本ひがしにっぽんだけで1にち平均へいきんやく150まんにん私鉄してつふくやく350まんにん)となっている[6][7]。さらに世界せかいだい2以下いか渋谷しぶやえき池袋いけぶくろえき梅田うめだえき大阪おおさかえき横浜よこはまえき日本にっぽんえきつづいている[7]

一方いっぽう日本にっぽん国外こくがいもっと乗降じょうこう客数きゃくすうおおえき台湾たいわん台北たいぺいえきであり、いでフランスのパリきたえきであるが[7]年間ねんかん1おく9せんまんにん乗降じょうこう客数きゃくすうフランス国鉄こくてつぶんのみでメトロふくまない)をっているが[8]、1にち平均へいきんなおすとやく52まんにんであり、これは、新宿しんじゅくえきの7ぶんの1で、日本にっぽんえきでは阪急はんきゅう梅田うめだえきどう程度ていどにすぎない。

これらのたか需要じゅようとシェア、時間じかん正確せいかくさは後述こうじゅつするほか特徴とくちょうにも影響えいきょうあたえている。また、三戸さんのへ祐子ゆうこによればたか需要じゅよう時間じかん正確せいかくさについても相互そうごてき影響えいきょうあたえていると推測すいそくしている。

貨物かもつ輸送ゆそう

編集へんしゅう

貨物かもつ鉄道てつどう事業じぎょうしゃは22しゃ存在そんざいする[9]

国鉄こくてつ分割ぶんかつ民営みんえいともない、鉄道てつどう貨物かもつ輸送ゆそう日本にっぽん貨物かもつ鉄道てつどう(JR貨物かもつ)にゆだねられた。かつて鉄道てつどう貨物かもつ日本にっぽん貨物かもつ輸送ゆそう基軸きじくになっていたものの、昭和しょうわ40年代ねんだい以降いこう高速こうそく道路どうろもう伸長しんちょう宅配たくはいサービスの充実じゅうじつストけんストによる国鉄こくてつ貨物かもつへの信頼しんらい失墜しっついなどの影響えいきょう貨物かもつ輸送ゆそうりょう激減げきげんした、昭和しょうわ50年代ねんだい国鉄こくてつ末期まっきには、経営けいえい合理ごうりのために、貨物かもつ列車れっしゃ設備せつび大幅おおはば整理せいりされたうえで、JR貨物かもつがれた。

JR貨物かもつ発足ほっそくも、鉄道てつどう貨物かもつ輸送ゆそうりょうてい水準すいじゅんにとどまっているが、環境かんきょう保護ほごという観点かんてんや、鉄道てつどう輸送ゆそうのメリットのさい見直みなおし、貨車かしゃくるま扱貨ぶつ)からコンテナ新車しんしゃ導入どうにゅうによる速達そくたつなどの営業えいぎょう努力どりょくにより、JR貨物かもつ経営けいえい黒字くろじてんじている。

しかし、地方ちほう貨物かもつ輸送ゆそう中心ちゅうしんとする中小ちゅうしょう私鉄してつ臨海りんかい鉄道てつどうひとし)については、経営けいえいきびしいところもおおい。

統計とうけい

編集へんしゅう

日本にっぽん鉄道てつどう輸送ゆそう人員じんいんやく230おくにん[10]で、世界一せかいいちである。番目ばんめ旅客りょかく輸送ゆそう人員じんいんおおくにはインドで、インドの鉄道てつどう輸送ゆそう人員じんいんやく50おくにん[11]であり、この数字すうじはJR東日本ひがしにっぽんよりもすくなくなっている[10]

輸送ゆそうシェア

編集へんしゅう
日本にっぽん旅客りょかく輸送ゆそうりょうおくにんキロ)[12]
1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2012 2014 2016 2018 2019 2020
自動車じどうしゃ 1,208 2,842 3,609 4,317 4,893 8,531 9,174 9,513 9,330 777 757 726 701 701 656 256
鉄道てつどう 2,555 2,888 3,238 3,145 3,301 3,875 4,001 3,843 3,912 3,934 4,044 4,159 4,290 4,418 4,350 2,631
水運すいうん 34 48 69 61 58 63 55 43 40 30 31 30 33 34 31 15
航空こうくう 30 93 191 297 331 516 650 797 832 738 779 868 888 962 945 315
自動車じどうしゃは2010ねんより、自家用じかよう乗用車じょうようしゃ軽自動車けいじどうしゃ除外じょがいされる。
日本にっぽん貨物かもつ輸送ゆそうりょうおくトンキロ)[13]
1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2017 2018 2019
自動車じどうしゃ 54 95 208 484 1,359 1,297 1,789 2,059 2,742 2,946 3,131 3,350 2,432 2,043 2,108 2,105 2,138
鉄道てつどう 312 427 539 567 630 471 374 219 272 251 221 228 204 215 217 194 200
内陸ないりく海運かいうん 255 290 636 806 1,512 1,836 2,222 2,058 2,445 2,383 2,417 2,116 1,799 1,804 1,809 1,791 1,697
航空こうくう 0.0 0.0 0.1 0.2 0.7 1.5 2.9 4.8 8.0 9.2 10.8 10.8 10.3 10.6 10.7 9.8 9.3
自動車じどうしゃは2010ねんより集計しゅうけい方法ほうほうわったため、連続れんぞくしない。

日本にっぽん鉄道てつどう旅客りょかく輸送ゆそうのシェアは、昭和しょうわ30年代ねんだい、40年代ねんだい自動車じどうしゃ普及ふきゅうモータリゼーション)を大幅おおはば低下ていかしたのちも、やく30 %維持いじしており、世界せかい各国かっこく比較ひかくしてももっとたか水準すいじゅんである。とく東京とうきょうけん大阪おおさかけん鉄道てつどう新幹線しんかんせんは、交通こうつう機関きかんくらべて相対そうたいてき利便りべんせいたかいため、日常にちじょうてき人々ひとびと利用りようされしたしまれている。ただし東京とうきょうけん大阪おおさかけん以外いがい地方ちほうでは自動車じどうしゃ利便りべんせいほうたかく、鉄道てつどうはあまり利用りようされない場合ばあいおおい。なお貨物かもつ輸送ゆそうのシェアは5 %じゃくてい水準すいじゅんにとどまっている(2019ねん[13]

輸送ゆそうりょう

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車両しゃりょうキロの推移すいい[14]
とし 旅客りょかく輸送ゆそう 貨物かもつ輸送ゆそう
昭和しょうわ40 4,278,671 4,151,793
45 5,291,582 4,125,914
50 5,878,893 2,982,165
55 6,123,283 2,188,584
60 6,113,268 1,190,771
平成へいせい2 7,176,375 1,483,303
7 7,531,706 1,454,950
12 7,770,227 1,247,096
17 8,237,240 1,192,123
19 8,301,381 1,270,008
21 8,376,123 1,228,156
22 8,332,137 1,131,987
23 8,288,215 1,101,298
24 8,419,252 1,112,761
25 8,468,738 1,153,618
26 8,481,176 1,089,722
27 8,610,770 1,231,867
28 8,645,444 1,193,760
29 8,677,590 1,200,296
30 8,683,466 1,146,342
れい 8,770,453 1,248,597
2 8,503,218 1,210,085

昭和しょうわ30年代ねんだいまでは全体ぜんたいてき増加ぞうか傾向けいこうにあったが、昭和しょうわ40年代ねんだい以降いこうは、まず高度こうど経済けいざい成長せいちょう産業さんぎょう構造こうぞう変化へんかにともなう人口じんこう分布ぶんぷ変化へんか大都市だいとしへの集中しゅうちゅう)と、自家用車じかようしゃ普及ふきゅうにより地方ちほう中小ちゅうしょう私鉄してつ輸送ゆそうりょう減少げんしょうすすみ、おおくの中小ちゅうしょう私鉄してつはいせんとなった。昭和しょうわ40年代ねんだい後半こうはん1970年代ねんだい以降いこう航空こうくう運賃うんちん低廉ていれん道路どうろ特定とくてい財源ざいげん制度せいどひとし利用りようして高速こうそく道路どうろ建設けんせつとう道路どうろ整備せいびオイルショック石油せきゆてい価格かかくによる自動車じどうしゃ航空機こうくうき増加ぞうかで、鉄道てつどうによる長距離ちょうきょり輸送ゆそう需要じゅようげんすすんだ。

現在げんざいでは少子化しょうしか高齢こうれい人口じんこう分布ぶんぷ都心としん回帰かいきすすみ、地方ちほう中小ちゅうしょう私鉄してつだけでなく、大都市だいとしけん私鉄してつでも、都心としん郊外こうがいむす路線ろせんについては輸送ゆそう人員じんいん増加ぞうかから減少げんしょうてんじる路線ろせんてきている。

一方いっぽう都市としにおいては輸送ゆそうりょう年々ねんねん増加ぞうかしている路線ろせんもあるうえ路線ろせん開業かいぎょうによる輸送ゆそうりょう増加ぞうかもみられる。地方ちほうにおいても自動車じどうしゃ航空機こうくうき対抗たいこうした種々しゅじゅ改善かいぜんさく観光かんこうきゃく増加ぞうかなどにより、一部いちぶ路線ろせんにおいては輸送ゆそうりょうえているところもある。

JRおよび私鉄してつ輸送ゆそうキロ推移すいい旅客りょかく/貨物かもつ

1872ねん明治めいじ5ねん)に開業かいぎょうした日本にっぽん最初さいしょ鉄道てつどうは、くにによる建設けんせつであり、日本にっぽん鉄道てつどう国有こくゆう国営こくえいむねとしたが、その勃発ぼっぱつした西南せいなん戦争せんそうによる政府せいふ財政ざいせい窮乏きゅうぼうにより、幹線かんせん鉄道てつどうもう一部いちぶ日本にっぽん鉄道てつどうなどの私鉄してつにより建設けんせつされた。しかし、にちしんにちりょう戦争せんそうて、軍事ぐんじ輸送ゆそう観点かんてんなどから鉄道てつどう国有こくゆうろんたかまり、1906ねん明治めいじ39ねん)に鉄道てつどう国有こくゆうほう制定せいていされ、日本にっぽん鉄道てつどうもう基本きほんてきくに運営うんえいすることとなった。一部いちぶ私鉄してつ民営みんえいのままのこったが、いち地方ちほう輸送ゆそうになうのみとなった。そのも、鉄道てつどう敷設ふせつほうもとづいて、私鉄してつ買収ばいしゅう国有こくゆうおこなわれた。

鉄道てつどう国有こくゆうほう以降いこうだい世界せかい大戦たいせん直後ちょくごまでは、くに鉄道てつどうりょう鉄道てつどういん鉄道てつどうしょう運輸省うんゆしょう)が全国ぜんこく主要しゅよう路線ろせん国有こくゆう鉄道てつどう)を直接ちょくせつ運営うんえいしていたが、1949ねん昭和しょうわ24ねん)の公共こうきょう企業きぎょうたい日本にっぽん国有こくゆう鉄道てつどう)への改組かいそて、1987ねん昭和しょうわ62ねん)には国鉄こくてつ分割ぶんかつ民営みんえいにより国鉄こくてつそのものが解体かいたいされ、JRグループ7しゃ承継しょうけいされている。

個別こべつ項目こうもく

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以下いか項目こうもく参照さんしょう


地域ちいきべつ鉄道てつどう概要がいよう

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他国たこく鉄道てつどうとの比較ひかく

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定時ていじせいたかさと脆弱ぜいじゃく輸送ゆそうインフラ

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日本にっぽん鉄道てつどうは、日本にっぽん以外いがいくに鉄道てつどう比較ひかくして、定時ていじせいがきわめてたかいといわれている。

紀行きこう作家さっか宮脇みやわき俊三しゅんぞうは、日本にっぽん鉄道てつどう世界せかいほこれることとして、列車れっしゃ本数ほんすうおおさと時間じかん正確せいかくさをげていた[17]げん日本にっぽん国外こくがい鉄道てつどう関係かんけいしゃ来日らいにちして新幹線しんかんせん乗車じょうしゃしたさい各人かくじん懐中時計かいちゅうどけいたせてえき到着とうちゃく時刻じこくはからせたら、1びょうちがわず到着とうちゃくするのをて「クレイジー」であると証言しょうげんしたという逸話いつわ存在そんざいしている[18]。また、日本にっぽん以外いがいでは5 - 15ふん程度ていどおくれは(高速こうそく鉄道てつどうであろうと)定時ていじとみなすところがおおいが、日本にっぽん国内こくないでは15 - 30びょう程度ていどのずれもおくれとなされることもあり、時間じかんかんする日本人にっぽんじん感覚かんかく裏付うらづけるもととしてかく書籍しょせきぶつ紹介しょうかいされることさえある。一方いっぽう定時ていじせいへの固執こしつ問題もんだいになったのが2005ねん福知山ふくちやません脱線だっせん事故じこである。

鉄道てつどう正確せいかくさをささえたもの
  • 列車れっしゃ本数ほんすうおおさ - 人口じんこう密集みっしゅうしている日本にっぽんにおいては、列車れっしゃ本数ほんすう諸国しょこくくらべても必然ひつぜんてきおおくなる傾向けいこうがあるが、そうなるとわずかな時間じかんでも列車れっしゃ影響えいきょうおよぼすため、必然ひつぜんてき定時ていじせいたも必要ひつようてきた。
  • 路線ろせんもう複雑ふくざつさ - 分岐ぶんきえき列車れっしゃ同士どうし接続せつぞくすることもおおくなり、ときには分割ぶんかつ併結をおこなうこともある。この場合ばあいわずかなずれがしょうじると、全部ぜんぶ路線ろせん多数たすう列車れっしゃ影響えいきょうおよぼすことになるため、定時ていじせいたかまる。
反面はんめん合理ごうり以下いかのような定時ていじせい確保かくほさまたげになるものがしょうじている。
  • インフラストラクチャの貧弱ひんじゃくさ - 日本にっぽん鉄道てつどうは、列車れっしゃ本数ほんすう輸送ゆそうりょうおおさにたいして、線路せんろえき設備せつびなどのインフラストラクチャが貧弱ひんじゃくである。本来ほんらいなら複々線ふくふくせん適当てきとう線区せんくでも、複線ふくせんしか敷設ふせつされていないこともおおい。そのため、ある列車れっしゃのわずかなおくれで、関係かんけいする路線ろせんすべてに影響えいきょうおよぼす。近年きんねんとくに「合理ごうり」を目的もくてきに、待避たいひせんちがせん撤去てっきょなどをおこなっており、ダイヤみだれにたいする回復かいふくりょく低下ていかしている。
  • 人的じんてき能力のうりょく - 以前いぜんは、列車れっしゃ正確せいかく運行うんこうささえるため、おおくの社員しゃいん職員しょくいん努力どりょくしていたほか、ダイヤがみだれた場合ばあいでも、局所きょくしょてき対応たいおう場合ばあいおおかったが、近年きんねん要員よういん削減さくげん合理ごうり指令しれい一元いちげんなどにより、きめこまかな運転うんてん整理せいりむずかしくなっている。また、コンピュータの導入どうにゅうにより、ダイヤがみだれた場合ばあい融通ゆうずうかなくなっている。
定時ていじ確保かくほのための努力どりょく
工夫くふう努力どりょくなしでは定時ていじせいたもつことはできなかった。「運転うんてん神様かみさま」とばれる結城ゆうき弘毅こうきをはじめ、様々さまざま関係かんけいしゃ鉄道てつどう定時ていじせいたもとうと苦心くしんした結果けっか現在げんざい定時ていじせいたもたれている。最近さいきんでは各地かくちでダイヤの見直みなおしによって一旦いったん競合きょうごう交通こうつう機関きかん対策たいさく短縮たんしゅくした所要しょよう時間じかん多少たしょうばしておくれても問題もんだいないように余裕よゆう時間じかんやしている鉄道てつどう会社かいしゃもある[注釈ちゅうしゃく 2]

民間みんかん部門ぶもんつよさと公的こうてき支援しえんよわ

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日本にっぽんでは、とく東京とうきょうけん大阪おおさかけん名古屋なごやけん福岡ふくおかけん鉄道てつどうは、私鉄してつたす役割やくわりおおきい。また分割ぶんかつ民営みんえいJRも、JR東日本ひがしにっぽんJR東海とうかいJR西日本にしにほんの3しゃ黒字くろじ経営けいえいつづけている。これらのJR、私鉄してつは、鉄道てつどうぎょう中心ちゅうしんとして、不動産ふどうさん小売こうりぎょう宿泊しゅくはくぎょうなど、鉄道てつどう利用りようしゃ沿線えんせん住民じゅうみん生活せいかつかんする様々さまざま関連かんれん事業じぎょう展開てんかいしている。

他国たこくでは、現在げんざいでは鉄道てつどうぎょう採算さいさん成立せいりつすることはきわめてむずかしく、鉄道てつどう事業じぎょう政府せいふなどの出資しゅっしなしにはりたないとされる。それゆえ諸国しょこくでの鉄道てつどうぎょうは、公営こうえい鉄道てつどう国有こくゆう鉄道てつどうくに地方ちほう公共こうきょう事業じぎょうとなっていることがおおい。鉄道てつどう草創そうそう民間みんかん事業じぎょうしゃによって鉄道てつどうもう発展はってんしたくにおおいものの、21世紀せいきはいって国家こっかてき規模きぼ民間みんかん事業じぎょうしゃによる路線ろせんもう成立せいりつしているくには、日本にっぽん以外いがいではアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく[注釈ちゅうしゃく 3]などごく一部いちぶにとどまる。

このような事業じぎょうおこなえる要因よういんとしては、先述せんじゅつとお他国たこく比較ひかくして旅客りょかく鉄道てつどうたいするきわめてたか需要じゅようがあるからである。しかし、東京とうきょうけん大阪おおさかけんのような過密かみつ運行うんこうができる線区せんくがほとんどないJR三島みしま会社かいしゃJR北海道ほっかいどうJR九州きゅうしゅうJR四国しこく)、およびおおくの中小ちゅうしょう私鉄してつ事業じぎょうしゃ路線ろせんもう維持いじするにりるだけの収益しゅうえきられない状況じょうきょうで、関連かんれん事業じぎょう収益しゅうえき鉄道てつどう部門ぶもん赤字あかじめるにりない場合ばあい経営けいえいなん直面ちょくめんすることになる。整備せいび新幹線しんかんせん開業かいぎょう発足ほっそくした並行へいこう在来ざいらいせんなどは地元じもと自治体じちたい支援しえんけているが、JR北海道ほっかいどうおよびJR四国しこく路線ろせん全線ぜんせん赤字あかじ、JR九州きゅうしゅう篠栗線ささぐりせんのぞ全線ぜんせん赤字あかじであり、このような地域ちいき事業じぎょうしゃ独立どくりつ採算さいさん前提ぜんていにしたスキームを適用てきようするのは無理むりがある。

JR九州きゅうしゅう鉄道てつどう事業じぎょう売上うりあげめる割合わりあいやく4わり程度ていどであり、利益りえき流通りゅうつう事業じぎょう不動産ふどうさん事業じぎょうなどの関連かんれん事業じぎょうかせしている。2017ねん完全かんぜん民営みんえいした同社どうしゃは、株主かぶぬしから赤字あかじ部門ぶもんである鉄道てつどう事業じぎょう合理ごうりもとめられ、2018ねん3がつのダイヤ改正かいせい大都市だいとしけん主要しゅよう幹線かんせんふくめた大幅おおはばげん便びん断行だんこうカル線かるせん利便りべんせい悪化あっかのみならず、大都市だいとしけんではラッシュ混雑こんざつ悪化あっかなどが予想よそうされている。

また地域ちいき鉄道てつどうについては、事業じぎょうしゃの96%が経常けいじょう赤字あかじであった(2021年度ねんど[1]

治安ちあん清潔せいけつせいたか

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日本にっぽん鉄道てつどう治安ちあん清潔せいけつせい世界せかいもっとたかくにひとつである。治安ちあん悪化あっか指摘してきするこえもあるものの[19]日本にっぽんでは地下鉄ちかてつ車内しゃない乗客じょうきゃく居眠いねむりをしても犯罪はんざい可能かのうせいひくく、また深夜しんやでも女性じょせい安心あんしんして1人ひとり鉄道てつどう利用りようできる。これは世界せかいてきにみれば特筆とくひつすべきことである。また鉄道てつどう車両しゃりょうへの落書らくがき、器物きぶつ破損はそんヴァンダリズム)により荒廃こうはいした列車れっしゃられるくにおおいものの、現在げんざい日本にっぽんではこのようなことはめずらしく[注釈ちゅうしゃく 4]一般いっぱん鉄道てつどう車両しゃりょう公共こうきょうぶつとして尊重そんちょうされ、清潔せいけつ状態じょうたいたもたれている。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ このうち東京とうきょう地下鉄ちかてつ東京とうきょうメトロ)は大手おおて私鉄してつにもふくまれる。
  2. ^ JR福知山ふくちやません脱線だっせん事故じこ以降いこうJR西日本にしにほんがそのれい
  3. ^ なお、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく鉄道てつどうあみ構成こうせいする民間みんかん事業じぎょうしゃ基本きほんてき貨物かもつ専業せんぎょうであり、公営こうえいアムトラックなどの旅客りょかく事業じぎょうしゃは、線路せんろりるかたち運行うんこうしている。
  4. ^ かり落書らくがきやシートなどがられるなどの器物きぶつ破損はそんがあっても発見はっけんされ次第しだい修繕しゅうぜんされるので、被害ひがい様子ようす露見ろけんすることはすくない。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g 交通こうつう政策せいさく白書はくしょ れい年版ねんばん』(レポート)国土こくど交通省こうつうしょう、2023ねんhttps://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_fr_000154.html 
  2. ^ a b c 鉄道てつどう輸送ゆそう統計とうけい調査ちょうさ 2022』(レポート)国土こくど交通省こうつうしょう、2022ねん9がつ12にちhttps://www.e-stat.go.jp/statistics/00600350 
  3. ^ Railways, passengers carried (million passenger-km)”. 世界銀行せかいぎんこう. 2023ねん10がつ閲覧えつらん
  4. ^ 鉄道てつどう統計とうけい年報ねんぽう れい年度ねんど』(レポート)国土こくど交通省こうつうしょう、2021ねんhttps://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_tk2_000057.html 
  5. ^ モスクワ地下鉄ちかてつこう頻度ひんど運行うんこう管理かんり (PDF, p.35 2.4 路線ろせんべつ輸送ゆそう人員じんいん)
  6. ^ Busiest station”. ギネスワールドレコーズ (2022ねん). 2024ねん5がつ閲覧えつらん
  7. ^ a b c Master Blaster (2013ねん2がつ6にち). “The 51 busiest train stations in the world– All but 6 located in Japan”. JAPAN TODAY. 2015ねん8がつ13にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2015ねん8がつ13にち閲覧えつらん
  8. ^ http://www.gare-ensemble.fr/IMG/pdf/ANNEXES.pdf
  9. ^ 貨物かもつ鉄道てつどう事業じぎょうしゃ概況がいきょう』(レポート)国土こくど交通省こうつうしょうhttps://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_tk2_000017.html2023ねん9がつ閲覧えつらん 
  10. ^ a b 鉄道てつどう事業じぎょう 輸送ゆそう (PDF, p.36 国内こくない鉄道てつどう事業じぎょうにおけるシェア) - JR東日本ひがしにっぽん
  11. ^ 日本にっぽん都市とし鉄道てつどう特徴とくちょう (PDF, p.25 国内こくない鉄道てつどう事業じぎょうにおけるシェア)
  12. ^ 旅客りょかく輸送ゆそう機関きかんべつ輸送ゆそうりょう分担ぶんたんりつ推移すいい』(レポート)国土こくど交通省こうつうしょう、2021ねんhttps://www.mlit.go.jp/statistics/details/tetsudo_list.html 
  13. ^ a b 貨物かもつ輸送ゆそう機関きかんべつ輸送ゆそうりょう分担ぶんたんりつ推移すいい』(レポート)国土こくど交通省こうつうしょう、2020ねんhttps://www.mlit.go.jp/statistics/details/tetsudo_list.html 
  14. ^ 車両しゃりょうキロおよ列車れっしゃキロの推移すいい』(レポート)国土こくど交通省こうつうしょうhttps://www.mlit.go.jp/statistics/details/tetsudo_list.html 
  15. ^ a b c d e f g h i j k l 鉄道てつどうきょく鉄道てつどう主要しゅよう年表ねんぴょう』(レポート)国土こくど交通省こうつうしょう、2012ねん11月1にちhttps://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_fr1_000037.html 
  16. ^ 藤田ふじた正一しょういち国鉄こくてつ経営けいえい: 国鉄こくてつ再建さいけん計画けいかくについてのいち考察こうさつ.」『国有こくゆう企業きぎょう経営けいえい 資本しほん主義しゅぎ社会しゃかい主義しゅぎ』1983ねん 
  17. ^ 宮脇みやわき俊三しゅんぞう時刻じこくひょうひとりたび講談社こうだんしゃ、1981ねん
  18. ^ 三戸さんのへ祐子ゆうこ定刻ていこく発車はっしゃ交通こうつう新聞しんぶんしゃ、2001ねん
  19. ^ 梅原うめはらあつし鉄道てつどう未来みらいがく角川書店かどかわしょてん、2011ねんISBN 9784041100233

関連かんれん項目こうもく

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