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てこ - Wikipedia

てこ

よわちからおもたいものをうごかしたりする物理ぶつりのことである。
てこの原理げんりから転送てんそう

てこ梃子てこてこ英語えいご: Leverage)とは、よわちからおもたいものをうごかしたり、微小びしょう運動うんどうだい規模きぼ運動うんどう変換へんかんする道具どうぐのこと。単純たんじゅん機械きかいひとつであり、あらゆる機械きかい基礎きそとなっている。

てこ使つかえば、100 kg の物体ぶったいを 5 kg の物体ぶったいげることができる。

てこの原理げんり

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支点してん力点りきてん作用さようてん関係かんけい

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てこには支点してん力点りきてん作用さようてんがあり、支点してん中心ちゅうしん回転かいてんしうる天秤てんびんじくがあるとき力点りきてんちからくわえるてん作用さようてんちからはたらてんであり、普通ふつう作用さようてんにはおもりなどの負荷ふかがある。支点してんうごかないよう固定こていしているため、力点りきてんうごかすと作用さようてんうご仕組しくみである。

てこを使つかうえ重要じゅうようなのは、支点してん力点りきてん作用さようてん位置いち関係かんけいとくにその間隔かんかくである。てこでおおきなちからようとおもえば、なるべく支点してんからはなれたところに力点りきてんく、あるいは支点してんのなるべくちかくに作用さようてんけばよい。ちいさいちからようとおもえばそのぎゃくおこなえばよい。実験じっけんをすると支点してんから力点りきてんまでの距離きょり支点してんから作用さようてんまでの距離きょりの2ばいであれば、られるちからくわえたちからの2ばいになることがわかる。この関係かんけいしきあらわすと、下記かきのようになる。

 
  : 支点してん力点りきてんあいだ距離きょり
  : 力点りきてんくわえるちから
  : 支点してん作用さようてんあいだ距離きょり
  : 作用さようてんられるちから

ただし、うえしき単純たんじゅんのため力点りきてん支点してんにかかるちから平行へいこうだとしたときしきであり、本来ほんらい モーメントアーム支点してんからちからのベクトルにろした垂線すいせんながさ)であるてん注意ちゅういようする。

このモーメントアーム×ちからちからのモーメントび、ちからのモーメントのいがてこの原理げんり本質ほんしつである。

力点りきてん作用さようてんという名前なまえ

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小学校しょうがっこうでは支点してん力点りきてん作用さようてんの3てんセットでおそわるが、大学だいがく力学りきがくでは力点りきてん物理ぶつり用語ようごとしては普通ふつう登場とうじょうしない[1]

力学りきがくでは「ちから」はテンソルとしてあつかわれる。大抵たいてい場合ばあい単純たんじゅんのため「1かいのテンソル」(ベクトル[よう曖昧あいまい回避かいひ])としてあつかわれ、おおきさ・き・始点してんつ(中学校ちゅうがっこう以上いじょうではこちらの概念がいねんまなぶ)。これをちからさん要素ようそび、とくにベクトルの始点してん作用さようてん(または力点りきてん)とぶ。このため力学りきがくで'てこ'をあつかさいは、ひとがてこにくわえるちからと、おもりがてこにくわえるちからのそれぞれの作用さようてんがあるだけである。たとえば英語えいごでは、ちから作用さようてんを point of application とぶが、てこを説明せつめいするさいは「ひとくわえるちから」の作用さようてんを point of effort、「おもりがくわえるちから」の作用さようてんをpoint of load と[2]。この2てん小学校しょうがっこうでは力点りきてん作用さようてんんでおり、物理ぶつりがくまなんだもの混乱こんらんしないように注意ちゅうい必要ひつようである。

なぜ2つのちからのベクトルの始点してんことなる名前なまえ必要ひつようがあるかといえば、てこの分類ぶんるい必要ひつようであるからである。もし力点りきてん作用さようてん区別くべつしなければ、「てこの種類しゅるい」でべるだい2しゅてこだい3しゅてこ分類ぶんるいできない。このような分類ぶんるいをする理由りゆうは、てこが「ちから増幅ぞうふくさせ、あるいはちからきを変更へんこうさせる」もっと基礎きそてき装置そうちとして古代こだい開発かいはつされた道具どうぐ単純たんじゅん機械きかい)であり、ちから伝達でんたつする装置そうちであるからである。ちから伝達でんたつ装置そうち入力にゅうりょく出力しゅつりょく区別くべつするため、力点りきてん作用さようてんということなる名前なまえ必要ひつようだったのである。

なお、天秤てんびんにおいては力点りきてん作用さようてん区別くべつできない。これは、てことは道具どうぐ目的もくてきことなるからである。ある小学校しょうがっこう指導しどうあん[3]では、「てんびん」を学習がくしゅうさせたのち、てんびんの片方かたがたのおもりをはずしてし、おもいおもりをちいさいちからげられるという「てこの原理げんり」を体感たいかんさせることで「てこ」を学習がくしゅうさせる。ここで自分じぶんがあるほうが力点りきてんとなり、同時どうじ天秤てんびんおもものげる道具どうぐになっている。

ちなみに支点してん力学りきがくでも重要じゅうようであり、英語えいごでは Fulcrum[4]という固有こゆう単語たんごがある。

てこの歴史れきし

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古代こだいイタリアのシチリアとうシラクサまれたアルキメデスは、「てこの原理げんり」を発見はっけんし、物理ぶつりがくるいいにした。これは、シラクサがポエニ戦争せんそうまれたときおおきな威力いりょく発揮はっきした。とく投石とうせきなどである。また、さらにそのとき、「支点してんながぼうあたえよ。されば地球ちきゅうをもうごかさん。」とったとされる伝説でんせつのこされている。

てこの種類しゅるい

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てこは支点してん力点りきてん作用さようてん位置いち関係かんけいにより、以下いかさん種類しゅるい分類ぶんるいされる。さんてん一直線いっちょくせんじょうならべたとき、なか支点してんになるものをだい1しゅてことぶ。同様どうようなか作用さようてんであればだい2しゅ力点りきてんであればだい3しゅぶ。英語えいごでは、てこのさん種類しゅるいなかてんをそれぞれfulcrum(支点してん), load(作用さようてん), effort(力点りきてん)として、flex とおぼかたがある[5]

ここでは、説明せつめいのため支点してん力点りきてん作用さようてん一直線いっちょくせんじょうにあるが、実際じっさいはその必要ひつようはない。くぎきはそのよいれい

だい1しゅてこ

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だい1しゅてこ記号きごうがあるところ力点りきてん支点してん三角形さんかっけいささえられている。矢印やじるしおおきさはちからおおきさをあらわす。

てこでおおきなちから場合ばあいは、力点りきてん作用さようてんあいだ支点してんく。力点りきてん右側みぎがわとした場合ばあいは、ひだりから「作用さようてん支点してん力点りきてん」のじゅんになる(みぎ参照さんしょう)。力点りきてんくわえたちいさい下向したむりょくは、三角形さんかっけいささえられる支点してん媒介ばいかいして、作用さようてんおおきな上向うわむきのちからとなる。 力点りきてん作用さようてんえるとようするちからおおきくなるが、うごきをおおきく、あるいははやくすることができる。

代表だいひょうてきなてこの一種いっしゅで、ふるくから巨石きょせきなどをうごかすのにも使つかわれてきた。この種類しゅるいのてこをもちいておおきなものをちいさいちからうごかす仕組しくみを使つかっている道具どうぐとして、くぎようはさみ缶切かんきラジオペンチひとしがある。 ちいさなものをはやおおきくうごかす仕組しくみとしてはトレビュシェットがある。おもりが落下らっかすることによっていしだん高速こうそく投擲とうてき(とうてき)することができるが、おもりはいしだんすうばいすうじゅうばい重量じゅうりょう必要ひつようとなる。

だい2しゅてこ

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だい2しゅてこ

おおきいちから使つか場合ばあいはもうひとつの構図こうずもある。作用さようてん中心ちゅうしんき、力点りきてん支点してん外側そとがわになる場合ばあいである。力点りきてん左側ひだりがわいた場合ばあいは、ひだりから「力点りきてん作用さようてん支点してん」のじゅんになる(みぎ参照さんしょう)。力点りきてんくわえたちいさい上向うわむきのちからは、作用さようてんおおきな上向うわむきのちからとなる。

これも、ちいさいちからおおきなちからえてくわえることができる。この方法ほうほう使つかっておおきなちからくわえてもちいる道具どうぐには、栓抜せんぬくるみかにあなあけパンチかんつぶしとうがある。

だい3しゅてこ

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だい3しゅてこ

ぎゃくに、てこでおおきな運動うんどう場合ばあいは、支点してん力点りきてん作用さようてん外側そとがわで、かつ力点りきてんちか場所ばしょく。左側ひだりがわ作用さようてんとした場合ばあいは、ひだりから「作用さようてん力点りきてん支点してん」のじゅんになる(みぎ参照さんしょう)。力点りきてんくわえたちいさな運動うんどうは、作用さようてんにおいておおきな運動うんどうとなる。その代償だいしょうとして、この種類しゅるいのてこでは、くわえたちからよりもちいさいちからつたえられる。この種類しゅるいのてこをもちいた道具どうぐには、ピンセットトング手持てもしきホッチキスはしかずやっとこなどがある。

てこの応用おうよう

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実際じっさい道具どうぐ機械きかいには、てこの仕組しくみを複数ふくすう使つかっているものがある。たとえばつまは、力点りきてん支点してん作用さようてんかく2つずつあるとかんがえることができる[6]

鉄道てつどう連動れんどう装置そうちでは、かつて転轍機てんてつき信号しんごう人力じんりきうごかすために、巨大きょだいなレバーをてことしてうごかしていた。その名残なごりで、電気でんきてきなスイッチの操作そうさむようになったのちも「てこ」とならわされている。

てこの原理げんり格闘技かくとうぎにおける関節かんせつわざにも使用しようされており、少林寺拳法しょうりんじけんぽうでも重宝ちょうほうすべき原理げんりとされている[7]

工事こうじ現場げんばのてこ

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てこは工事こうじ現場げんばなどで、てこの原理げんり使つかっていし樹木じゅもくをこじげてうごかしたり、石材せきざいごうはしわせたり、樹木じゅもくきをえるための専用せんよう道具どうぐ名称めいしょうでもある[8]木製もくせいでこや鉄製てつせいかねてこがある[8]

いてこ
てこを物体ぶったいしたにこじれ、てこのさき地面じめんせっするてん支点してん物体ぶったいこうがわ移動いどうさせる方法ほうほう[8]
ちてこ
てこを物体ぶったいしたにこじれ、てこのさき地面じめんせっするてん支点してん物体ぶったいげる方法ほうほう[8]
はねてこ
てこを物体ぶったいしたにこじれ、角材かくざいなどのまくらみ、それを支点してん物体ぶったいげる方法ほうほう[8]
ふね
てこを使つかって3にんがかりで物体ぶったいすこしずつ移動いどうする方法ほうほう[8]りょうわきを”はねてこ”でささえ、ふねかいのようなうごきでしつつ、うしろから”いてこ”です。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 小学校しょうがっこうではちからくわえるてん力点りきてん、てこがちからおもりにあたえるてん作用さようてんとしているが、作用さよう反作用はんさよう法則ほうそくにより力点りきてん作用さようてん外力がいりょくけ、はんちからしているというてんでなんらわりがない。そのため力学りきがくでは力点りきてん作用さようてんをまとめて作用さようてん(もしくは力点りきてん)とぶ。
  2. ^ en:Lever参照さんしょう
  3. ^ アーカイブされたコピー”. 2007ねん10がつ27にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2008ねん5がつ10日とおか閲覧えつらん
  4. ^ en:Fulcrum
  5. ^ 参考さんこう en:LeverのMnemonic
  6. ^ てこを使つかったさまざまな道具どうぐたち 理科りかねっとわーく、2017ねん10がつ4にち閲覧えつらん
  7. ^ 少林寺拳法しょうりんじけんぽうのススメ』16ぺーじ
  8. ^ a b c d e f 人力じんりきによる運搬うんぱん組立くみた工法こうほう手引てびき”. 日本にっぽん造園ぞうえん組合くみあい連合れんごうかい. 2019ねん10がつ16にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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