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潤滑剤 - Wikipedia

潤滑じゅんかつざい(じゅんかつざい、英語えいご:lubricant)とは、潤滑じゅんかつのために使用しようする、グリース潤滑油じゅんかつゆなどといった物質ぶっしつのこと。減摩げんまざいともいう。機械きかい可動かどう部分ぶぶんって相接あいせっする固体こたい摩擦まさつらし、摩擦まさつねつ摩耗まもうふせぐ。

潤滑じゅんかつざいにより適切てきせつ潤滑じゅんかつほどこすことによって、摩擦まさつ部分ぶぶん寿命じゅみょう延長えんちょう、エネルギーロスの削減さくげん可能かのうとなる。潤滑じゅんかつざい機能きのうとして下記かき項目こうもくげられる。

  • 減摩げんま作用さよう乾燥かんそう摩擦まさつによるトラブルをふせぎ、流体りゅうたい摩擦まさつ状態じょうたいたもって摩擦まさつ低減ていげんさせる作用さよう摩擦まさつめんでの潤滑じゅんかつざいまく安定あんていせいこうねばたびのものほど良好りょうこうであるが、あまりたかすぎると潤滑じゅんかつざい自身じしん摩擦まさつねつ温度おんどがってしまう。
  • 冷却れいきゃく作用さようこう荷重かじゅう高速こうそくまわ歯車はぐるまひとしでは、摩擦まさつねつによるのぼりあつしけられない。その場合ばあい大量たいりょう潤滑油じゅんかつゆ循環じゅんかんさせて局部きょくぶてき温度おんど上昇じょうしょうおさえる機能きのうたせている。放熱ほうねつせい潤滑油じゅんかつゆねばたびひくほう良好りょうこうで、固体こたいじょうグリースには冷却れいきゃく作用さよう期待きたいできない。
  • 応力おうりょく分散ぶんさん作用さよう歯車はぐるまベアリング回転かいてん潤滑じゅんかつざいいと、金属きんぞく同士どうし接触せっしょくめんてんまたはせんであり、接触せっしょくめんおおきな応力おうりょく集中しゅうちゅうこる。金属きんぞくあいだねばたびたか油膜ゆまくがあれば これがクッションの役割やくわりをして応力おうりょく集中しゅうちゅう緩和かんわする。
  • 密封みっぷう作用さよう自動車じどうしゃのエンジンをかんがえると、金属きんぞく部品ぶひんであるシリンダーピストンリングじか接触せっしょくしていないが、潤滑じゅんかつざいであるエンジンオイルがエンジンの密閉みっぺいせいっている。

そのぼうさび作用さようさび予防よぼう)、防塵ぼうじん作用さよう(グリースを使つか場合ばあい)も期待きたいされる。

種類しゅるい性質せいしつ

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潤滑じゅんかつざいとしては、液体えきたい潤滑油じゅんかつゆはん固形こけいグリース固体こたい潤滑じゅんかつざいなどがある。

潤滑油じゅんかつゆ

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一般いっぱん使つかわれる潤滑油じゅんかつゆ石油せきゆ精製せいせいぶつである。目的もくてきおうじてねばたび精製せいせい添加てんかぶつとうことなるグレードが市販しはんされている。潤滑油じゅんかつゆねばたびはVGあらわされるが、これは40℃におけるどうねばたび(cSt)センチストークス相当そうとうする。低速ていそくのウォームギヤようのVG460はねっとりとしたあぶらであり、油圧ゆあつよう使つかわれるVG46のねばたび大豆だいずあぶらちかい。潤滑油じゅんかつゆとしてもっとひくねばたびのVG2はてい荷重かじゅう高速こうそくよう使つかわれ、サラサラのあぶらである。

また潤滑油じゅんかつゆねばたび温度おんど依存いぞんし、温度おんどたかくなるとねばたび低下ていかする。潤滑油じゅんかつゆとしては温度おんどによるねばたび変化へんかすくないほうのぞましい。温度おんどによるねばたび変化へんかおおきさをねばたび指数しすうび、この数値すうちたかほうねばたび変化へんかすくないあぶらである。一般いっぱん潤滑油じゅんかつゆねばたび指数しすう80以上いじょうであるが、一般いっぱん油圧ゆあつ作動さどうねばたび指数しすう106~113、航空機こうくうきよう作動さどうは120~140のものもある。

添加てんかざいとしては、エンジンオイル使つかわれるきょくあつ添加てんかざい亜鉛あえんモリブデンなどの金属きんぞくけい化合かごうぶつ主体しゅたいとした添加てんかぶつであるが、シリンダーやピストンリングの表面ひょうめん吸着きゅうちゃくして潤滑じゅんかつまく形成けいせいし、境界きょうかい摩擦まさつ状態じょうたいでもははざい保護ほごする。上記じょうきねばたび指数しすう改善かいぜんする目的もくてきねばたび指数しすう向上こうじょうざい使つかわれる。

グリースはぞうちょうざい潤滑油じゅんかつゆ保持ほじさせることでゆら変性へんせいチキソトロピー)をあたえた、粘着ねんちゃくせい潤滑じゅんかつざいゆら変性へんせい物質ぶっしつしずかおけ状態じょうたいでは流動りゅうどうせず、そとからちからくわえられることで流動りゅうどうせいしめすが、流動りゅうどうようするちからおおきさをちょうび、ちょうおおきいほどやわらかいグリースである。グリースは温度おんどたかくなるとぞうちょうざいの3次元じげん網目あみめ構造こうぞう崩壊ほうかいなどにより、しずかおけ状態じょうたいにおいても流動りゅうどうせいたもてなくなるが、その温度おんどしずくてんんでいる。

固体こたい潤滑じゅんかつざい

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正式せいしきには、自己じこ潤滑じゅんかつせいのある固体こたい材料ざいりょう定義ていぎされる。固体こたい潤滑じゅんかつざいには黒鉛こくえん(グラファイト)、硫化りゅうかモリブデンポリテトラフルオロエチレン(PTFE:テフロン)、ぎんなまりひとし使つかわれている。微粉びふんまつ使用しようするもの、まく形成けいせいさせるもの、含浸がんしんさせるものとうがある。いずれも表面ひょうめんかたさがひくい、融点ゆうてんたかきつきにくい、化学かがくてき安定あんていせいいなどの性質せいしつゆうしている。

人類じんるいは、有史ゆうし以前いぜんからこすなど積極せっきょくてき摩擦まさつ摩耗まもう利用りようしてきた。しかしながら、産業さんぎょう革命かくめい本格ほんかくする18世紀せいきまで摩擦まさつ自体じたい学問がくもんとして体系たいけいてき研究けんきゅうされることはほとんどなかった。1966ねんイギリスでまとめられた摩擦まさつ摩耗まもうによる損害そんがい推定すいていした報告ほうこくしょ(ジョストレポート)のなかで、ピーター・ジョスト(Peter Jost)は適正てきせい潤滑じゅんかつおこなえば51,500まんポンドの節減せつげん可能かのうであると報告ほうこくし、摩擦まさつ摩耗まもう潤滑じゅんかつかんする技術ぎじゅつ重要じゅうようせい認識にんしきされるようになった。これがトライボロジーはじまりとされることもある。

しかしながら、理論りろん研究けんきゅうこそ最近さいきんまでおこなわれなかったものの、人類じんるい試行しこう錯誤さくごしながら潤滑油じゅんかつゆつくって歴史れきし非常ひじょうふるい。古代こだいエジプトでは、石像せきぞううごかすのにオリおりブ油ぶゆもちいられたことをしめ壁画へきががある。現在げんざい主力しゅりょくである石油せきゆけい潤滑油じゅんかつゆのほとんどは、油田ゆでん発掘はっくつされた19世紀せいき後半こうはん以降いこう開発かいはつされたが、BC400年代ねんだいヘロドトスの「歴史れきし」には石油せきゆ精製せいせいほうとその利用りよう方法ほうほう記載きさいされている[よう出典しゅってん]旧約きゅうやく聖書せいしょにも石油せきゆについての記述きじゅつつかることがられている[よう出典しゅってん]

種類しゅるい

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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