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潤滑油 - Wikipedia

潤滑油じゅんかつゆ(じゅんかつゆ)(Lube ルーブ、Lubricant ルブリカント)とは、機械きかい歯車はぐるまなどを効率こうりつよく潤滑じゅんかつするための潤滑じゅんかつざいとして使つかわれるあぶらであり、ときには冷却れいきゃくにもえきする。エンジンオイルもこの一種いっしゅ。 また、この化学かがくてき性質せいしつたとえとして、物事ものごと円滑えんかつはこばれるための仲立なかだちとなるものひと言葉ことば

概要がいよう

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あぶら分子ぶんしりょうおおきく、液体えきたいとしてはみずなどにくら粘性ねんせいたか皮膜ひまく丈夫じょうぶで、物体ぶったいあいだ摩擦まさつ軽減けいげんさせる。このためおおくの機械きかい装置そうち潤滑じゅんかつにはあぶら利用りようされる。また機械きかい装置そうち利用りようするじょうでは、電気でんきてき性質せいしつ中性ちゅうせい金属きんぞくさび酸化さんか)を誘発ゆうはつさせないなど都合つごうがよい。絶縁ぜつえん性質せいしつつよいものがおおい。

潤滑油じゅんかつゆは、機械きかい機械きかい要素ようそあいだはたら摩擦まさつ軽減けいげんするために利用りようされるあぶら全般ぜんぱん表現ひょうげんで、一般いっぱんには機械きかいともばれるが、機械きかい自体じたい切削せっさくつてねつざいとしての利用りようなど、潤滑じゅんかつ以外いがい利用りようされているあぶらふくまれ、潤滑油じゅんかつゆふく概念がいねんである。

こういったあぶらおおくは、とく機械きかい装置そうちない潤滑じゅんかつする場合ばあいいて長期間ちょうきかんねばたびわらないことがもとめられ、そのためには酸化さんかがたいことや温度おんど変化へんか極端きょくたん粘性ねんせい変化へんかしないことなどがもとめられる。とく内燃ないねん機関きかんでは高温こうおん環境かんきょう変質へんしつしたり燃焼ねんしょうしないよう、たか沸点ふってんのものが利用りようされる。またなんもえざい添加てんかざいなどをくわえ、沸点ふってんげることもおこなわれるが、この添加てんかざいによっては有害ゆうがいなものもある(カドミウムなど)。

潤滑油じゅんかつゆ作用さよう

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潤滑油じゅんかつゆ以下いか作用さようしょうじる[1]

  • 摩擦まさつ軽減けいげん : めんどうしに油膜ゆまく形成けいせいすることで摩擦まさつ低下ていか
  • 摩耗まもう低減ていげん : めんどうしが直接ちょくせつ接触せっしょくするのをふせぎ、摩耗まもうちいさくする
  • 冷却れいきゃく : 摩擦まさつねつ吸収きゅうしゅうし、やききを防止ぼうしする
  • 密封みっぷう : 形成けいせいされた油膜ゆまくによって外部がいぶ物質ぶっしつなどが出入でいりするのをふせ
  • 錆止さびどめ : 金属きんぞく表面ひょうめん吸着きゅうちゃくすることではつさびふせ
  • 異物いぶつ除去じょきょ : 外部がいぶからの異物いぶつ排除はいじょする。とく内燃ないねん機関きかんではすす凝集ぎょうしゅうすることをふせぐ。

潤滑油じゅんかつゆ(もと)の種類しゅるい

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潤滑じゅんかつ必要ひつよう場所ばしょ性質せいしつによってさまざまな種類しゅるいがあり、また鉱物こうぶつ石油せきゆ原料げんりょうとする)から動植物どうしょくぶつよりられるものまでさまざまなあぶら利用りようされてきた。

鉱物こうぶつ

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鉱物こうぶつ鉱油こうゆ)とは、石油せきゆ精製せいせいによりられる油分ゆぶんである[2]潤滑油じゅんかつゆの90%以上いじょう鉱油こうゆである。その成分せいぶんによって、パラフィンけい、ナフテンけいなどにけられる[3]一般いっぱんてきに、かん分析ぶんせき(n-d-Mほう)でパラフィンの炭素たんそすうが50以上いじょうをパラフィンけい、そのなかでも分子ぶんし結合けつごうちょくくさりじょうのものをノルマル・パラフィン、がわくさりつものをイソパラフィンという。ナフテンの炭素たんそすうが30~45をナフテンけいぶ。潤滑油じゅんかつゆとしては粘土ねんど指数しすうたかいパラフィンけいもっと安定あんていしており、ナフテンけいがそれにいで安定あんていしている[3]

安価あんかである。ねばたび範囲はんいひろく、さまざまなねばたび鉱油こうゆ存在そんざいする。

精製せいせいでは不純物ふじゅんぶつ完全かんぜん除去じょきょすることはできない。また一般いっぱんに、不純物ふじゅんぶつ分子ぶんし構造こうぞうによりねつ安定あんていせいひくく、流動りゅうどうてんたかい。ひくくとも-20℃で凝固ぎょうこする[4]。このため、不純物ふじゅんぶつがなくたか粘土ねんど指数しすう合成ごうせいくらべると性能せいのう使用しよう温度おんど範囲はんいせまいが、最近さいきん高度こうど水素すいそ添加てんか異性いせいなどにより合成ごうせいちか特性とくせいをもつ高度こうど精製せいせい鉱物こうぶつもある。

合成ごうせい

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一般いっぱんてき合成ごうせいけい潤滑油じゅんかつゆとは、化学かがく合成ごうせいにより生産せいさんされた潤滑油じゅんかつゆである。製造せいぞう工程こうていではまず石油せきゆ原料げんりょう分解ぶんかいし、目的もくてき物質ぶっしつおうじて各種かくしゅ精製せいせい合成ごうせいおこなう。潤滑油じゅんかつゆ用途ようとかぎっても、合成ごうせい種類しゅるい製造せいぞうほう非常ひじょう多岐たきにわたる。

鉱油こうゆくら高価こうかで、条件じょうけんによっては性質せいしつおと問題もんだいてんがある[3]鉱油こうゆ十分じゅうぶん代替だいたいできる場合ばあい鉱油こうゆけい潤滑油じゅんかつゆもちいられることがおおい。鉱油こうゆけい潤滑油じゅんかつゆでは能力のうりょくめん問題もんだいがある場合ばあいにこの種類しゅるい潤滑油じゅんかつゆもちいられる[5]たとえば、低温ていおん潤滑じゅんかつ高温こうおん潤滑じゅんかつ高速こうそく剪断、たい樹脂じゅしたいゴム、真空しんくうなどである。

炭化たんか水素すいそけい

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ポリアルファオレフィン
ねばたび指数しすう120~140、流動りゅうどうてん-50.0以下いかひろ温度おんど範囲はんい使用しようできる。自動車じどうしゃエンジン駆動くどうけいあぶら、ギヤ真空しんくうポンプ、グリースなどに使つかわれる。
ポリブデン
製品せいひんねばたび範囲はんいひろく、たい熱性ねっせいたい薬品やくひんせいすぐれている。絶縁ぜつえん、コンプレッサ、2サイクルエンジンなどに使つかわれる。
アルキルベンゼン
低温ていおん流動りゅうどうせいねつ安定あんていせいすぐれている。絶縁ぜつえん、コンプレッサ、コンデンサなどに使つかわれる。
シクロアルカンるい
ねつ安定あんていせい酸化さんか安定あんていせいすぐれトラクション係数けいすうたかい。トラクションなどに使つかわれる。

エステルけい

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一般いっぱんねつ安定あんていせいたか潤滑じゅんかつせいすぐれるが加水かすい分解ぶんかいしやすい欠点けってんがある。

モノエステル
単体たんたい潤滑油じゅんかつゆとしてもちいられることはない。油性ゆせいざいとして鉱油こうゆに10~20%混合こんごうされる。
ジエステル(DOS)
潤滑じゅんかつせい低温ていおん流動りゅうどうせいねばたび温度おんど特性とくせいすぐれているが、ベータ炭素たんそじょう水素すいそ原子げんしのため加水かすい分解ぶんかいたいする安定あんていせいおとる。エンジン耐寒たいかんようグリースもとなどに使つかわれる。使用しよう温度おんど範囲はんい非常ひじょうひろ一部いちぶのジエステルはジェット機じぇっときようのエンジンオイル(使用しよう温度おんど範囲はんいは-55~+220℃)に使つかわれる。
ポリオールエステル
原料げんりょうはネオペンチルグリコール(NPG)、トリメチロールプロパン(TMP)、ペンタエリスリトール(PE)などのあたいアルコールとC5-C18のちょくくさりまたは分岐ぶんき脂肪酸しぼうさんである。ベータ炭素たんそじょう水素すいそ原子げんしいためジエステルより加水かすい分解ぶんかいされにくい。原料げんりょうわせで非常ひじょうおおくの種類しゅるいがあり、用途ようとわせた合成ごうせいができる。一般いっぱんてき特性とくせいとしては[6](1)てい流動りゅうどうてんかつこうねばたび指数しすう使用しよう温度おんど範囲はんいひろい(2)引火いんかてんたかく、また蒸発じょうはつりょうすくない(3)ねつ酸化さんか安定あんていせいすぐれている(4)潤滑じゅんかつせいい(5)清浄せいじょう分散ぶんさん作用さようがある(溶解ようかいりょくがある)(6)なま分解ぶんかいせいがある。とくに、有機ゆうきさんとアルコールの一部いちぶ水素すいそもとをアルキルもと置換ちかんしたものを原料げんりょうとするヒンダードエステルは、ねつ酸化さんか安定あんていせいすぐれる。しかし一方いっぽうで、ポリオールエステルの一部いちぶはゴム、シールざい樹脂じゅしるい塗料とりょうでの使用しよう制限せいげんされている。ポリオールエステルはジェットエンジン作動さどうなどに使つかわれる。
リンさんエステル
原料げんりょうはオキシ塩化えんかリンとアルコール、フェノールるいである。アルキルタイプとアリールタイプがあり、いずれもなんもえせい自己じこ消火しょうかせい)と潤滑じゅんかつせいたい摩耗まもうせいすぐれている。一方いっぽうで、加水かすい分解ぶんかい安定あんていせいねばたび温度おんど特性とくせいおとる。アリールタイプのねばたび指数しすうひくい。なんもえせい作動さどう圧縮あっしゅくなどに使つかわれる。
ケイ酸けいさんエステル(シリケート)
アルキルタイプとフェニルタイプがある。てい流動りゅうどうてんかつこうねばたび指数しすうであり、使用しよう温度おんど範囲はんいひろい。

エーテルけい

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ポリグリコール
ねばたび指数しすうたかく、劣化れっかけてもスラッジを生成せいせいしないが吸湿きゅうしつせいがある。自動車じどうしゃようブレーキえき不燃ふねんせい作動さどうえき金属きんぞく加工かこうなどに使つかわれる。
フェニルエーテル(mpm-5P4E)
たい熱性ねっせいたい放射線ほうしゃせんせいすぐれているが低温ていおん流動りゅうどうせいおとる。ちょう音速おんそくジェットエンジンたい放射線ほうしゃせんせい原子げんしよう作動さどうなどに使つかわれる。

シリコーンけい

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性質せいしつ安定あんていしているため、ひろ範囲はんい使つかわれる。

ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン)
低温ていおん流動りゅうどうせいねばたび温度おんど特性とくせいねつ安定あんていせい酸化さんか安定あんていせい電気でんき特性とくせいすぐれているが、はがね潤滑じゅんかつ用途ようと不適ふてきである。絶縁ぜつえんはなれがたざい、グリースもとなどに使つかわれる。
シリケートエステル
誘電ゆうでん特性とくせいねつ安定あんていせいすぐれているが、酸化さんか安定あんていせいみず分解ぶんかい安定あんていせいひくい。航空こうくう作動さどう高温こうおんようねつ媒体ばいたいなどに使つかわれる。

フッ素ふっそけい

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ハロカーボン(トリフルオロエチレン)
たい薬品やくひんねつ安定あんていせい酸化さんか安定あんていせいすぐれている。一部いちぶ低温ていおん流動りゅうどうせいねばたび温度おんど特性とくせい非常ひじょうひくい。コンプレッサなんもえせい作動さどう真空しんくうポンプなどに使つかわれる。

植物しょくぶつ

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植物しょくぶつ由来ゆらい潤滑油じゅんかつゆ植物しょくぶつ由来ゆらい潤滑じゅんかつざいがいして液体えきたいである。

植物しょくぶつはまた代表だいひょうてき油性ゆせいざいでもある。また、種々しゅじゅ化学かがく反応はんのう処理しょりすることにより、もと油性ゆせいざいごくあつ添加てんかざい乳化にゅうか分散ぶんさんざいになる。このように、原料げんりょうのままでも加工かこうしたものでも潤滑じゅんかつざいよう添加てんかざいとしてもちいられている。

一般いっぱんなま分解ぶんかいせいであり、環境かんきょうちゅう放出ほうしゅつされても早期そうき消失しょうしつする。また、人体じんたいたいして無害むがいである。このため、農業のうぎょうよう食品しょくひん工場こうじょうよう機械きかいもちいられている。環境かんきょう汚染おせん防止ぼうし環境かんきょう保全ほぜん観点かんてんから、鉱油こうゆ合成ごうせいから動植物どうしょくぶつへの代替だいたいすすんでいる。たとえば、てい公害こうがいしゃ燃料ねんりょうにパームのメチルエステルや菜種油なたねあぶら活用かつよう欧米おうべいやマレーシアなどで開発かいはつされている。ナタネ脂肪酸しぼうさんメチルエステルはヨーロッパにおいて自動車じどうしゃ農機具のうきぐ、チェンソーよう潤滑油じゅんかつゆ利用りようされている。

植物しょくぶつ油脂ゆし

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トリグリセライド構造こうぞうにより、鉱油こうゆにない潤滑じゅんかつ特性とくせいをもっている。また、鉱油こうゆより潤滑じゅんかつせいたかい。圧延あつえんもともちいられる。また、油性ゆせい向上こうじょうざいでもあり、圧延あつえん切削せっさく研削けんさく、プレス引抜ひきぬけしんせん使用しようされる。

パーム
パーム主要しゅよう生産せいさんこくはマレーシアとインドネシアである。近年きんねん、インドネシアではパーム潤滑油じゅんかつゆ利用りよう工業こうぎょう分野ぶんや発展はってんさかんにおこなわれており、えき固体こたいあぶら分別ふんべつ油脂ゆし分解ぶんかい脂肪酸しぼうさん誘導体ゆうどうたい開発かいはつおこなわれている[7]
菜種油なたねあぶら
食用しょくよう代表だいひょうかくだが、日本にっぽんでは照明しょうめいにも使つかわれ、比較的ひかくてきひろ範囲はんい菜種なたね栽培さいばいされやすかったため、築城ちくじょうなどのおりおおきないし運搬うんぱんで、ソリの潤滑じゅんかつにも使つかわれた。
ヒマシ
ねばたびたかいがねばたび指数しすうはさほどたかくない。

ポリオキシアルキレン油脂ゆし

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油脂ゆし酸化さんかアルキレンが付加ふかされたもの。潤滑油じゅんかつゆ一般いっぱん油性ゆせい向上こうじょうざいおよび、水溶すいようせい潤滑油じゅんかつゆもと乳化剤にゅうかざい分散ぶんさんざいもちいられる。

硬化こうかヒマシ

塩素えんそあぶら

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油脂ゆしじゅう結合けつごう部分ぶぶん塩素えんそ(Cl)が付加ふかされたもの。ごくあつ添加てんかざいもちいられる。

硫化りゅうか

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油脂ゆしじゅう結合けつごう部分ぶぶん硫黄いおう(S)が付加ふかされたもの。ごくあつ添加てんかざいもちいられる。

重合じゅうごう

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油脂ゆしねつ、または酸化さんか重合じゅうごうされたもの。潤滑油じゅんかつゆ一般いっぱん油性ゆせい向上こうじょうざいおよび、水溶すいようせい切削せっさく水溶すいようせい研削けんさくもとざいもちいられる。

固形こけい照明しょうめいにも使つかわれるが、建具たてぐなどの潤滑じゅんかつにも利用りようされる。障子しょうじふすまみぞるのはそのいちれい

脂肪酸しぼうさん誘導体ゆうどうたい

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以下いかに、植物しょくぶつ原料げんりょう由来ゆらい脂肪酸しぼうさん誘導体ゆうどうたいしめす。これらも潤滑油じゅんかつゆ油性ゆせい向上こうじょうざいもちいられる。

脂肪酸しぼうさん(RCOOH)
油脂ゆしをケンまたは酵素こうそ分解ぶんかいしたもの。末端まったんにカルボキシルもと(-COOH)をもち,この極性きょくせいもと油性ゆせい向上こうじょう効果こうかをもたらす。油性ゆせい向上こうじょうざいもちいられる。
セッケン(RCOOMe)
有機ゆうきアミンセッケン、金属きんぞくセッケン、アルカノールアミンしおなどがある。引抜ひきぬけしんせんどうやアルミよう)、水溶すいようせい切削せっさくもとおよび、アルミ圧延あつえん油性ゆせいざい乳化剤にゅうかざいおよび、グリースぞうねばざいもちいられる。
エステル(RCOOR)
C8~18モノエステルやポリエステルがある。ねばたび低下ていか浸透しんとうりょく向上こうじょう効果こうかがある。油圧ゆあつ作動さどう、エンジン燃料ねんりょうもともちいられる。水溶すいようせいおよび水溶すいようせい潤滑油じゅんかつゆ油性ゆせい向上こうじょうざいていねばたび溶剤ようざいにも使用しようされる。
アミド
脂肪酸しぼうさんアルカノールアミドがある。スカム分散ぶんさんざい乳化剤にゅうかざい(オレインさん、ヤシ脂肪酸しぼうさん)にもちいられる。
ポリオキシアルキレン付加ふかたい
POE3~8モル付加ふかたいがある。水溶すいようせい潤滑油じゅんかつゆ乳化剤にゅうかざい一般いっぱん潤滑油じゅんかつゆしょうあわざいもちいられる。
塩素えんそ硫化りゅうか重合じゅうごう
脂肪酸しぼうさんアルキルエステルが塩素えんそ硫化りゅうか、あるいは重合じゅうごうされたもの。なん切削せっさくやプレス引抜ひきぬけきょくあつ添加てんかざいもちいられる。

動物どうぶつ

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マッコウクジラあぶら
低温ていおん環境かんきょうでも硬化こうかせず、寒冷かんれい仕様しよう腕時計うでどけいなどにも利用りようされた。安定あんていした性質せいしつ合成ごうせいができてからはあま需要じゅようもなくなったが、それまでの1970年代ねんだいまではわる潤滑油じゅんかつゆかった。
ラード(ぶたあぶら)・牛脂ぎゅうし(ヘット)
ふるくからもっとも身近みぢかにありふれた動物どうぶつせい油脂ゆしであり、潤滑じゅんかつざいとしてひろ利用りようされていた。融点ゆうてんたかく、常温じょうおんでははん固形こけいじょうとなるためグリースにるいする用途ようと使用しようされるほか鉱油こうゆ不足ふそくする油性ゆせい向上こうじょうする目的もくてき添加てんかする場合ばあいもあった。硫化りゅうかすることで安定あんていせい潤滑じゅんかつせい向上こうじょうさせたものも利用りようされる。ふくまれる脂肪酸しぼうさん合成ごうせい潤滑じゅんかつざい原料げんりょうとして利用りようされる。

潤滑油じゅんかつゆ添加てんかざい

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基本きほんてき潤滑油じゅんかつゆには性能せいのう向上こうじょう付加ふかのために添加てんかざい混入こんにゅうされている[8][9]

清浄せいじょう分散ぶんさんざい

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エンジンなどの運転うんてん生成せいせいする有害ゆうがい不純物ふじゅんぶつ潤滑じゅんかつめんからのぞき、エンジンなどの内部ないぶ清浄せいじょう維持いじする。また、きや故障こしょうふせぐ。一般いっぱんてき清浄せいじょう分散ぶんさんざい使用しようするとエンジンなどの寿命じゅみょうながくなる。おもエンジンオイルもちいられる。通常つうじょう添加てんかりょうは2~10%であり、添加てんかざいくらべてもとたいする配合はいごうりょうたかい。米国べいこく日本にっぽんでは添加てんかざい需要じゅようりょうにおける清浄せいじょう分散ぶんさんざい比率ひりつが50%前後ぜんこうたっするとかんがえられている[8]

不純物ふじゅんぶつとは不溶性ふようせい金属きんぞくスラッジ)であり、金属きんぞく表面ひょうめん摩擦まさつすると微少びしょうながら金属きんぞくけずれて溶解ようかいせい金属きんぞく分子ぶんしのスラッジ前駆ぜんくたい(スラッジプリカーサ)があらわれる。スラッジ前駆ぜんくたいあぶらちゅう蓄積ちくせきしていくと多数たすう前駆ぜんくたい重合じゅうごうして高分子こうぶんしりょう不溶性ふようせい成分せいぶんとなる。不溶性ふようせい成分せいぶん凝集ぎょうしゅうしくは沈殿ちんでんしてスラッジとなる[10]潤滑じゅんかつめん存在そんざいすると摩擦まさつ摩耗まもう原因げんいんとなり、潤滑油じゅんかつゆ混入こんにゅうすると潤滑油じゅんかつゆ酸化さんか劣化れっか原因げんいんとなる。すると、機械きかいきや故障こしょうにつながる。

清浄せいじょう分散ぶんさんざい機能きのうであり、スラッジの分散ぶんさん作用さよう、スラッジ前駆ぜんくたい溶化作用さよう燃料ねんりょう燃焼ねんしょう生成せいせいぶつ潤滑油じゅんかつゆ劣化れっか生成せいせいぶつ由来ゆらいする酸性さんせい物質ぶっしつ中和ちゅうわ作用さようつ。さらに、スルホネートぼうさび作用さようも、フェネート酸化さんか防止ぼうし作用さようゆうする。

  • 清浄せいじょうざい:スラッジ前駆ぜんくたい化学かがくてき中和ちゅうわしてスラッジの発生はっせい防止ぼうしするための有機ゆうきさん金属きんぞくしお化合かごうぶつ金属きんぞく清浄せいじょうざいともばれる。ディーゼルエンジンオイルの場合ばあいカーボンデポジット高温こうおんによりしょうじ、清浄せいじょうざいはカーボンデポジットのエンジンない付着ふちゃくふせぐ。中性ちゅうせい/塩基えんきせい金属きんぞく(Ba,Ca,Mg)スルホネート、塩基えんきせい金属きんぞく(Ba,Ca,Mg)フェネート、塩基えんきせい金属きんぞく(Ca,Mg)サリシレートなど。
  • 分散ぶんさんざい低温ていおんでスラッジやすすあぶらない分散ぶんさんさせ、摩擦まさつ磨耗まもう防止ぼうしする。コハクさんイミドコハクさんエステルベンジルアミンマンニッヒ化合かごうぶつ)など。

酸化さんか防止ぼうしざい

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潤滑油じゅんかつゆ酸化さんか防止ぼうしし、かつ、あぶら酸化さんか起因きいんするワニスやスラッジの生成せいせい抑制よくせいする。酸化さんか防止ぼうしざいは、ワニスやスラッジの生成せいせい要因よういんである遊離ゆうりイオンや酸化さんかぶつ反応はんのうして安定あんてい物質ぶっしつ変換へんかんする。ジチオリンさん亜鉛あえん有機ゆうき硫黄いおう化合かごうぶつヒンダードフェノール芳香ほうこうぞくアミンN,N'-ジサリシリデン-1,2-ジアミノプロパンなど。通常つうじょう添加てんかりょうは0.1~1%。

潤滑油じゅんかつゆ空気くうきちゅう酸素さんそ分子ぶんしによって酸化さんかされ、潤滑油じゅんかつゆ成分せいぶんはアルコールるいケトンるいとなる。下記かき潤滑油じゅんかつゆ酸化さんか反応はんのうしめ[11]

RH(炭化たんか水素すいそ) + エネルギー(ねつひかり触媒しょくばい) → R*(ラジカル) ・・・(1)
R* + O2 → R-O-O*(遊離ゆうりもと) ・・・(2)
R-O-O* + RH → R-O-O-H + R* ・・・(3)

上記じょうき(1)~(3)はエネルギーが付加ふかされたさい潤滑油じゅんかつゆちゅう炭化たんか水素すいそ酸化さんかされる過程かていである。 酸化さんか生成せいせいぶつであるラジカルや遊離ゆうりもとはそのままべつ炭化たんか水素すいそ酸化さんか反応はんのうこす。したがって、いちでも炭化たんか水素すいそからラジカルがしょうじると酸化さんか下記かき終結しゅうけつ反応はんのうまでかえされる。すなわち、潤滑油じゅんかつゆ酸化さんか連鎖れんさ反応はんのうである。終結しゅうけつ反応はんのう下記かきしめす。

2 R* → R-R ・・・(4)
R* + R-O-O* → R-O-O-R ・・・(5)
2 R-O-O* → R-O-O-H + O2 ・・・(6)

これらだか活性かっせい有機物ゆうきぶつ蓄積ちくせきしてじゅうちぢみあいするとスラッジとなる。潤滑油じゅんかつゆ酸化さんか使用しよう高温こうおん作用さよう、剪断による撹拌かくはん作用さよう、および金属きんぞく表面ひょうめん活性かっせい金属きんぞく触媒しょくばい作用さようにより促進そくしんされる。ここで活性かっせい金属きんぞくとはだいいち遊離ゆうり金属きんぞくイオンや酸化さんかぶつであり、金属きんぞく表面ひょうめん摩擦まさつにより生成せいせいされる。だいに、金属きんぞく石鹸せっけんといった潤滑油じゅんかつゆ添加てんかざいである。また、使用しようちゅうだけでなく、保管ほかん条件じょうけんによっては保管ほかんちゅうにも酸化さんか進行しんこうする。

  • 連鎖れんさ反応はんのう停止ていしざい: (4)~(6)の終結しゅうけつ反応はんのう基質きしつとなり、ラジカルや遊離ゆうりもと安定あんてい物質ぶっしつえる。これにより潤滑油じゅんかつゆ成分せいぶん酸化さんか生成せいせいぶつじゅうちぢみあい反応はんのう停止ていしさせ、スラッジへと成長せいちょうすることをふせぐ。フェノールけい酸化さんか防止ぼうしざいアミンけい酸化さんか防止ぼうしざいがある。
  • 酸化さんかぶつ分解ぶんかいがた: 潤滑油じゅんかつゆ成分せいぶん酸化さんかぶつ分解ぶんかいし、酸化さんか進行しんこうめる。ジアルキルジチオリンさん亜鉛あえん(ZnDTP)や有機ゆうき硫黄いおうけい酸化さんか防止ぼうしざいがある。
  • 金属きんぞく活性かっせいざい: 金属きんぞく表面ひょうめん活性かっせいさせ、潤滑油じゅんかつゆ酸化さんか劣化れっか防止ぼうしする添加てんかざい金属きんぞく活性かっせいすると触媒しょくばいとなり、潤滑油じゅんかつゆ炭化たんか水素すいそ添加てんかざい酸化さんかさせる。含窒もと化合かごうぶつベンゾトリアゾールN,N'-ジサリシリデン-1,2-ジアミノプロパン2,5-ジアルキルメルカプト-1,3,4-チアジアゾールなどがある。通常つうじょう添加てんかりょうは0.3%未満みまん

たい荷重かじゅう添加てんかざい

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潤滑油じゅんかつゆ潤滑じゅんかつ性能せいのうたい荷重かじゅう性能せいのう向上こうじょうさせる添加てんかざい。これにより磨耗まもうきを防止ぼうしする。

  • 油性ゆせい向上こうじょうざい油性ゆせいざい):てい荷重かじゅうにおいて摩擦まさつおよび摩耗まもう減少げんしょうさせるちょうくさり炭化たんか水素すいそ炭化たんか水素すいそくさり片方かたがたはし官能かんのうもといており、金属きんぞく結合けつごうする。すると、金属きんぞく表面ひょうめんから外側そとがわけて炭化たんか水素すいそ露出ろしゅつし、油膜ゆまく形成けいせいされて摩擦まさつめん保護ほごする。結合けつごうのためこの油膜ゆまくは剪断にたいしてつよく、おおきな剪断応力おうりょくけても排除はいじょされない。一方いっぽう金属きんぞく結合けつごうしないもと成分せいぶん一定いってい以上いじょうの剪断応力おうりょくけると摩擦まさつめんから排除はいじょされる。ちょうくさり脂肪酸しぼうさん脂肪酸しぼうさんエステル高級こうきゅうアルコールアルキルアミンなど。通常つうじょう添加てんかりょうは1~2.5%。
  • 摩耗まもう防止ぼうしざい摩擦まさつねつにより2てき化合かごうぶつとなって保護ほごまく形成けいせいし、摩耗まもう防止ぼうしする。リンさんエステルジチオリンさん亜鉛あえんなど。通常つうじょう添加てんかりょうは5~10%。
  • ごくあつざい(EPざい):ごくあつ潤滑じゅんかつ状態じょうたいにおける焼付やきつきやスカッフィング防止ぼうしする。有機ゆうき硫黄いおうリン化合かごうぶつ有機ゆうきハロゲン化合かごうぶつ通常つうじょう添加てんかりょうは5~10%。
  • 固体こたい潤滑じゅんかつざい境界きょうかい混合こんごう潤滑じゅんかつ領域りょういき摩擦まさつ低減ていげんする。金属きんぞく同士どうし直接ちょくせつ接触せっしょく阻止そし摩耗まもう防止ぼうし金属きんぞくめんあらさを低減ていげんして油膜ゆまく維持いじする。硫化りゅうかモリブデン硫化りゅうかタングステングラファイト窒化ホウ素ほうそよんフッエチレンポリマー(PTFE)、フッグラファイトフラーレン(C60,C70)などがある。

錆止さびどざい

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てつさび防止ぼうしする添加てんかざい作用さようじょとしてはだいいちに、金属きんぞく表面ひょうめん保護ほごまく形成けいせいし、さび原因げんいん物質ぶっしつである酸素さんそ分子ぶんしみず金属きんぞく接触せっしょくさせなくする。この効果こうかたい荷重かじゅう添加てんかざいゆうするため、錆止さびどざいかつたい荷重かじゅう添加てんかざいである物質ぶっしつ存在そんざいする。だい潤滑油じゅんかつゆない酸性さんせい物質ぶっしつ中和ちゅうわしてさび発生はっせい防止ぼうしする。錆止さびどざいにはカルボンさんスルホネートリンさんしおアルコールエステルなどがある。通常つうじょう添加てんかりょうは0.1~1%。

腐食ふしょく防止ぼうしざい

編集へんしゅう

てつ以外いがい金属きんぞくさび腐食ふしょく)を防止ぼうしする添加てんかざい基本きほんてき作用さようじょ錆止さびどざいおなじ。含窒もと化合かごうぶつベンゾトリアゾールおよびその誘導体ゆうどうたい2,5-ジアルキルメルカプト-1,3,4-チアジアゾール)、ジチオリンさん亜鉛あえんなどがある。通常つうじょう添加てんかりょうは0.4~2%。

ねばたび指数しすう向上こうじょうざい

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温度おんど変化へんかともな潤滑油じゅんかつゆねばたび変化へんかとく低温ていおんでのねばたび増加ぞうか低減ていげんする。おも用途ようとはエンジンであり、一般いっぱんてき潤滑油じゅんかつゆにはねばたび指数しすう向上こうじょうざいもちいられない。エンジン場合ばあい起動きどう直後ちょくごおよび、冬場ふゆば寒冷かんれいでの低温ていおんねばたび指数しすうわるいとエンジンのがりや運転うんてん効率こうりつとなる。ねばたび指数しすう向上こうじょうざい添加てんかしょう燃費ねんぴせい向上こうじょう、エンジン消費しょうひりょう低減ていげん、エンジン交換こうかん時期じき延長えんちょう、エンジンの長寿ちょうじゅいのち低温ていおんでの始動しどう効率こうりつられる。ポリメタクリレートオレフィンコポリマースチレンオレフィンコポリマーポリイソブチレンなどがある。通常つうじょう添加てんかりょうは2~20%である。

流動りゅうどうてん降下こうかざい

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潤滑油じゅんかつゆ流動りゅうどうてん低下ていかさせ、潤滑油じゅんかつゆとして使用しよう可能かのう温度おんど範囲はんい低温ていおんがわひろげる添加てんかざい作用さようじょについては、低温ていおんにおける潤滑油じゅんかつゆちゅうろうぶん結晶けっしょう防止ぼうしする。結晶けっしょう進行しんこうすると流動りゅうどうせいくなり、潤滑じゅんかつ性能せいのううしなわれる。ポリメタクリレートアルキル芳香ほうこうぞく化合かごうぶつフマレート酢酸さくさんビニルきょう重合じゅうごうたいエチレン酢酸さくさんビニルども重合じゅうごうぶつなどがある。通常つうじょう添加てんかりょうは0.05~0.5%である。

しょうあわざい

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潤滑油じゅんかつゆあわ破壊はかいし、潤滑油じゅんかつゆあわちを抑制よくせいする添加てんかざいポリメチルシロキサンシリケート有機ゆうきフッ素ふっそ化合かごうぶつ金属きんぞく石鹸せっけん脂肪酸しぼうさんエステルリンさんエステル高級こうきゅうアルコールポリアルキレングリコールなどがある。通常つうじょう添加てんかりょうは1~1,000ppmである。

乳化剤にゅうかざい

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あぶら乳化にゅうかし、生成せいせいしたエマルション安定あんていせいたも界面かいめん活性かっせいざいエチレンオキサイド付加ふかぶつエチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロックポリマーエステルカルボンさんしお硫酸りゅうさんエステルスルホンさんしおリンさんエステルアミン誘導体ゆうどうたいだい4きゅうアンモニウムしおなどがある。通常つうじょう添加てんかりょうは3%未満みまんである。

こう乳化剤にゅうかざい

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エマルションを破壊はかいする。また、潤滑油じゅんかつゆ乳化にゅうか防止ぼうしする。エチレンオキサイド付加ふかぶつエチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロックポリマーアルキルフェノールホルマリンちぢみごうぶつのエチレンオキサイド付加ふかぶつだい4きゅうアンモニウムしおなどがある。通常つうじょう添加てんかりょうは3%未満みまんである。

カビ防止ぼうしざい

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エマルションちゅう生存せいぞんする細菌さいきん、カビ、酵母こうぼなどの微生物びせいぶつ増殖ぞうしょくふせぎ、それらに起因きいんする障害しょうがい抑制よくせいする。フェノール化合かごうぶつホルムアルデヒド供与きょうよたい化合かごうぶつサリチリアリニド化合かごうぶつなどがある。

潤滑油じゅんかつゆ等級とうきゅう

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業界ぎょうかいでは以下いかのように添加てんかざい配合はいごう有無うむによる分類ぶんるい存在そんざいする。現代げんだいでは一部いちぶのぞくほとんどの潤滑油じゅんかつゆ高級こうきゅう潤滑油じゅんかつゆとなるためもちいられることはあまりおおくない。

なみきゅう潤滑油じゅんかつゆ

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もと鉱油こうゆ)のみで構成こうせいされ添加てんかざいふくまないストレート軸受じくうけとしてはマシン、スピンドル、ダイナモ、タービン、そのはモーター、シリンダー絶縁ぜつえん一部いちぶなど。 添加てんか軸受じくうけかんしてはきゅうJIS規格きかくではタービンのぞきマシン、スピンドル、ダイナモそれぞれに規格きかく存在そんざいしたが1979ねんに(広義こうぎの)マシン(JIS K 2238)として統合とうごうされた[12]。これはねばたびのぞくとおおきなちがいがなく、ISOで分類ぶんるいされるぜんそんしき添加てんか潤滑油じゅんかつゆとの規格きかく共通きょうつうせいたせるためでもある。

なみきゅう潤滑油じゅんかつゆたか性能せいのうもとめられないことから精製せいせいひく鉱油こうゆ許容きょようされていたが、鉱油こうゆふくまれるたまき芳香ほうこうぞく(PCA)のはつガンせいたいする懸念けねんから現在げんざいでは基準きじゅん以下いかとなるようになみきゅう潤滑油じゅんかつゆにおいても一定いってい以上いじょう高度こうど精製せいせいおこなわれている。

高級こうきゅう潤滑油じゅんかつゆ

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もと添加てんかざい配合はいごうした潤滑油じゅんかつゆたか性能せいのう要求ようきゅうされる現代げんだい潤滑油じゅんかつゆではなにかしらの添加てんかざい配合はいごうされるため、自動車じどうしゃ産業さんぎょう工業こうぎょうよう潤滑油じゅんかつゆだい多数たすう高級こうきゅう潤滑じゅんかつざい分類ぶんるいされる。

戦前せんぜん戦中せんちゅうなど添加てんかざい配合はいごうすることが一般いっぱんてきではなく、ストレートがスタンダードだった時代じだいにおいて言及げんきゅうされる「高級こうきゅう潤滑油じゅんかつゆ」は添加てんかざい有無うむではなく、一定いってい以上いじょう性能せいのうつもの、いてえばねばたび指数しすうおよび精製せいせい相当そうとうたかいもの(れい:当時とうじ高性能こうせいのうモビール航空こうくう潤滑油じゅんかつゆなど)をすこともある。このねばたび指数しすう精製せいせい定義ていぎした場合ばあい現在げんざい流通りゅうつうするなみきゅう潤滑油じゅんかつゆ当時とうじ高級こうきゅう潤滑油じゅんかつゆ相当そうとうする場合ばあいもある。

化学かがくてき性質せいしつ

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潤滑油じゅんかつゆにはおおくの化学かがくてき性質せいしつ要求ようきゅうされており、そのために試験しけん方法ほうほう規定きていされている[13]試験しけん項目こうもくとして代表だいひょうてきなものは以下いかとおりである[14]

  • 酸化さんか安定あんてい(JIS K 2519)
  • あわち(JIS K 2518)
  • こう乳化にゅうかせい(JIS K 2520)
  • 中和ちゅうわ(JIS K 2501)
  • 銅板どうばん腐食ふしょく(JIS K 2513)
  • ねつ安定あんてい(JIS K 2540)
  • 引火いんかてん(JIS 2265)
  • 流動りゅうどうてん(JIS K 2269)
  • くもてん(JIS K 2269)

なお、潤滑油じゅんかつゆ時間じかん経過けいかによって酸化さんか重合じゅうごうなど化学かがく反応はんのうともなって変質へんしつ劣化れっかする[15]

潤滑油じゅんかつゆてきさないれい

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ちいさいちからうごくよう設計せっけいされている精密せいみつ機械きかいではあぶら粘性ねんせいがかえって邪魔じゃまになることもある。たとえば腕時計うでどけいのような微小びしょう装置そうちや、カメラシャッターのような高速こうそくうごくことを前提ぜんていとした機構きこうでは、ねばたびたか潤滑油じゅんかつゆ場合ばあい動作どうさ確実かくじつなものとしてしまう。

そのほか、空気くうきちゅうほこりなど微細びさいよごれを吸着きゅうちゃくし、作動さどう不良ふりょうまねくことがある。たとえばふる動作どうさかたくなった鍵穴かぎあな潤滑油じゅんかつゆすと、そのとき動作どうさかるくなるが、後々あとあとすななどがくっついてしまい、余計よけい動作どうさわるくなることがある。

こういったものの潤滑じゅんかつには専用せんよう潤滑じゅんかつざいとく摩擦まさつ影響えいきょうけやすい場所ばしょだけに適量てきりょう塗布とふしたり、あるいは脱脂だっしなどで余計よけいよごれやあぶらのぞいたりする。

極端きょくたんには潤滑油じゅんかつゆ使用しようけ、固体こたい潤滑じゅんかつざい使用しようする。宇宙うちゅうのように真空しんくう暴露ばくろされるので液体えきたいではすぐに揮発きはつしてしまう場合ばあいなどは、固体こたい被膜ひまく潤滑じゅんかつざい必須ひっすである。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 岡本おかもと純三じゅんぞう中山なかやまけい佐藤さとう昌夫まさお 1993, p. 53.
  2. ^ 各種かくしゅ潤滑油じゅんかつゆ製造せいぞう使つかわれるベースオイルの品質ひんしつ性状せいじょう”. ジュンツウネット21. 2017ねん3がつ28にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c 岡本おかもと純三じゅんぞう中山なかやまけい佐藤さとう昌夫まさお 1993, p. 56.
  4. ^ ジェイテクト「ベアリング入門にゅうもんしょ編集へんしゅう委員いいんかい. 図解ずかい入門にゅうもんよくわかる最新さいしんベアリングの基本きほん仕組しく 
  5. ^ 岡本おかもと純三じゅんぞう中山なかやまけい佐藤さとう昌夫まさお 1993, p. 57.
  6. ^ エステルけい合成ごうせい潤滑油じゅんかつゆ使つかかた”. ジュンツウネット21. 2017ねん4がつ6にち閲覧えつらん
  7. ^ 潤滑油じゅんかつゆ分野ぶんや利用りようされている動植物どうしょくぶつ現状げんじょう将来しょうらいせい”. ジュンツウネット21. 2017ねん4がつ7にち閲覧えつらん
  8. ^ a b 潤滑油じゅんかつゆ添加てんかざい種類しゅるい用途ようと”. ジュンツウネット21. 2017ねん1がつ16にち閲覧えつらん
  9. ^ 添加てんかざい種類しゅるい使用しよう目的もくてき”. ジュンツウネット21. 2017ねん1がつ16にち閲覧えつらん
  10. ^ 内燃ないねん機関きかんのオイル劣化れっか判定はんてい装置そうち”. j-platpat. 2022ねん3がつ10日とおか閲覧えつらん
  11. ^ 豊口とよぐちみつる. 潤滑油じゅんかつゆ酸化さんか防止ぼうしざいについて. doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.13.512. https://doi.org/10.5059/yukigoseikyokaishi.13.512. 
  12. ^ 同時どうじ添加てんかざい配合はいごうしたものは「軸受じくうけ JIS K 2239」として規格きかくされた
  13. ^ 岡本おかもと純三じゅんぞう中山なかやまけい佐藤さとう昌夫まさお 1993, p. 70.
  14. ^ 岡本おかもと純三じゅんぞう中山なかやまけい佐藤さとう昌夫まさお 1993, pp. 70–71.
  15. ^ 岡本おかもと純三じゅんぞう中山なかやまけい佐藤さとう昌夫まさお 1993, p. 71.

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 岡本おかもと純三じゅんぞう中山なかやまけい佐藤さとう昌夫まさお『トライボロジー入門にゅうもんこう書房しょぼう、1993ねん4がつ30にちISBN 4-7821-0101-5 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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