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重合反応 - Wikipedia

重合じゅうごう反応はんのう

重合じゅうごうから転送てんそう

重合じゅうごう反応はんのう(じゅうごうはんのう、えい: polymerization)とはじゅう合体がったい(ポリマー)を合成ごうせいすることを目的もくてきにした一群いちぐん化学かがく反応はんのう呼称こしょうである。また重合じゅうごう反応はんのうはそのもととなる反応はんのう反応はんのう機構きこう化学かがく反応はんのうしゅにより細分さいぶんされ、区分くぶんされた反応はんのうめいおもまたは重合じゅうごうかたりくわえることで重合じゅうごうたい合成ごうせい反応はんのうであることをあらわす。

特徴とくちょう分類ぶんるい

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広義こうぎにおける高分子こうぶんし分子ぶんしりょうすうせん以下いかオリゴマーふくめ、高分子こうぶんし呼称こしょうしているが。厳密げんみつ意味いみでの高分子こうぶんしとは、じゅう合体がったい物性ぶっせい分子ぶんしりょうあるいは重合じゅうごう大小だいしょう変化へんかし、分子ぶんしりょうで10,000以上いじょう重合じゅうごうでおおよそ100をえると重合じゅうごう由来ゆらいする物性ぶっせい変化へんかられなくなる程度ていど分子ぶんしサイズのじゅう合体がったいす。たとえば重合じゅうごうが100になるには連鎖れんさ重合じゅうごうでは99段階だんかい逐次ちくじ重合じゅうごうではすくなくとも7段階だんかい反応はんのうないと到達とうたつしえない。いいかえると逐次ちくじ重合じゅうごうで7段階だんかいかえしたのちおさむりつおお見積みつもっても50%であるためにはたん段階だんかいおさむりつ    すなわち   以上いじょうある必要ひつようがあることがわかる。実際じっさい高分子こうぶんし製品せいひん重合じゅうごうは1,000をえるものもめずらしくないので高分子こうぶんし合成ごうせいする反応はんのうは、ふく反応はんのうこさないこうおさむりつ反応はんのうである必要ひつようがある。

  • 連鎖れんさ重合じゅうごう
    • 付加ふか重合じゅうごう
      • ラジカル重合じゅうごう
      • カチオン重合じゅうごう
      • アニオン重合じゅうごう
      • はい重合じゅうごう
    • ひらけかん重合じゅうごう
      • ラジカル重合じゅうごう
      • カチオン重合じゅうごう
      • アニオン重合じゅうごう
      • はい重合じゅうごう
    • 連鎖れんさちぢみあい重合じゅうごう
  • 逐次ちくじ重合じゅうごう
    • じゅうちぢみあい
    • じゅう付加ふか
    • 付加ふかちぢみあい
  • リビング重合じゅうごう
    • リビングアニオン重合じゅうごう
    • リビングカチオン重合じゅうごう
    • リビングラジカル重合じゅうごう
    • リビングはい重合じゅうごう

また、きょう重合じゅうごうからだ単位たんい構造こうぞう配列はいれつによる分類ぶんるい方法ほうほうもある。

  • ランダムども重合じゅうごうたい
  • 交互こうごども重合じゅうごうたい
  • ブロックども重合じゅうごうたい
  • グラフトども重合じゅうごうたい

連鎖れんさ重合じゅうごう

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連鎖れんさ重合じゅうごうえい: chain polymerization)とは、反応はんのう開始かいしされると基質きしつ成長せいちょう活性かっせいしゅラジカルカチオン、またはアニオン)となり、反応はんのう連鎖れんさてきつづ反応はんのうである。成長せいちょう活性かっせいしゅ反応はんのう開始かいしざい反応はんのうすると、反応はんのう活性かっせいたか部位ぶい反応はんのうてん)があらわれる。反応はんのうてんモノマー反応はんのうすると、おな構造こうぞうあたらしい反応はんのうてんあらわれる。こうして次々つぎつぎ反応はんのうつづき、高分子こうぶんし伸長しんちょうする。反応はんのう初期しょき段階だんかいから、たか重合じゅうごう生成せいせいぶつあらわれる。連鎖れんさ重合じゅうごうには、ビニルモノマーの重合じゅうごうである付加ふか重合じゅうごう(addition polymerization)と、環状かんじょうモノマーがひらけたまきして重合じゅうごうするひらけかん重合じゅうごう(ring-opening polymerization)がある。このふたつの重合じゅうごう成長せいちょう活性かっせいしゅにより、ラジカル重合じゅうごう、カチオン重合じゅうごう、アニオン重合じゅうごうはい重合じゅうごうにそれぞれさらけられる。付加ふか重合じゅうごう反応はんのう過程かてい開始かいし成長せいちょう停止ていしからる。

イオン重合じゅうごう

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イオン重合じゅうごう(—じゅうごう、えい: ionic polymerization)とは、付加ふか重合じゅうごうのうち活性かっせいしゅアニオンもしくはカチオンである重合じゅうごうのことで、それぞれアニオン重合じゅうごうおよびカチオン重合じゅうごうばれる。特徴とくちょうとしては、一般いっぱんラジカル重合じゅうごう反応はんのうモノマーの減少げんしょうともな連鎖れんさ反応はんのう減少げんしょうするとともにポリマーラジカル同士どうしふく反応はんのうのラジカル反応はんのう終端しゅうたん反応はんのう増加ぞうかしラジカルしゅ減少げんしょう消滅しょうめつする。そしてラジカル重合じゅうごう水系すいけいなどプロトン溶媒ようばいなかでも進行しんこうするが、一方いっぽうイオン重合じゅうごうではイオンしゅ消滅しょうめつしないようにするためプロトン溶媒ようばい使用しようされ、あるいはてい密度みつどポリエチレンのようにしょう反応はんのうさせる必要ひつようがある。しかし、そのような反応はんのう溶媒ようばいちゅうではけいちゅうモノマー消費しょうひしたのちでも成長せいちょうまつはしであるアニオンおよびカチオンは比較的ひかくてき安定あんていであり、同一どういつあるいは別種べっしゅのモノマーを追加ついかすることで重合じゅうごう再開さいかいする(リビング重合じゅうごう)。とくスチレンジエンなど炭化たんか水素すいそをモノマーとするアニオン重合じゅうごう成長せいちょうちゅうカルボアニオン安定あんていため、リビング重合じゅうごうもちいられる。また、分子ぶんしりょう分布ぶんぷ比較的ひかくてきせまいのも特徴とくちょうひとつである。また重合じゅうごう反応はんのう反応はんのう形式けいしきひとつであるひらくかん重合じゅうごうは、イオン重合じゅうごうにより進行しんこうする。

カチオン重合じゅうごう

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カチオン重合じゅうごう(—じゅうごう、えい: cationic polymerization)とは、イオン重合じゅうごうのうち、活性かっせいしゅカチオンである重合じゅうごうのこと。一般いっぱんてきもちいられる開始かいしざいとしては、一般いっぱんのブレンステッドさんほかさん塩化えんかアルミニウム代表だいひょうされるルイスさんなどももちいられる。また、もちいるモノマーとしては電子でんし供与きょうよせいもとアルケンほう活性かっせいしゅであるカチオン安定あんていするために重合じゅうごう活性かっせいたかい。

アニオン重合じゅうごう

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アニオン重合じゅうごう(—じゅうごう、えい: anionic polymerization)とは、イオン重合じゅうごうのうち、活性かっせいしゅアニオンである重合じゅうごうのこと。もちいられる開始かいしざいとしてはアルキルリチウム化合かごうぶつがよくもちいられる。また、もちいるモノマーとしては電子でんしもとめ引性もとアルケンほう活性かっせいしゅであるアニオンを安定あんていするために重合じゅうごう活性かっせいたかい。

代表だいひょうてきれいとしては、瞬間しゅんかん接着せっちゃくざいのシアノアクリルさんエステルは少量しょうりょうみず開始かいしざいとしてアニオン重合じゅうごうすることで固化こか接着せっちゃくする。

逐次ちくじ重合じゅうごう

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逐次ちくじ重合じゅうごう(ちくじじゅうごう、えい: step polymerization)とは、反応はんのうてんがモノマーに存在そんざいする重合じゅうごう反応はんのうである。反応はんのうはモノマーの官能かんのうもとあいだとでこり、重合じゅうごう段階だんかいてきすすむ。反応はんのう初期しょきてい重合じゅうごうじゅう合体がったいおおいが、モノマーが消失しょうしつするにつれ重合じゅうごうたい反応はんのうえ、反応はんのう後半こうはんになってこう重合じゅうごうじゅう合体がったいあらわれてくる。

じゅうちぢみあい

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じゅうちぢみあい(じゅうしゅくごう、えい: polycondensation)とは、ちぢみあい反応はんのうかえしによる重合じゅうごう反応はんのうである。ちぢみ重合じゅうごう(しゅくじゅうごう)ともばれる。代表だいひょうてき重合じゅうごうたいつぎしめす。

じゅう付加ふか

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じゅう付加ふか(じゅうふか、えい: polyaddition)とは、付加ふか反応はんのうかえしによる重合じゅうごう反応はんのうである。おおきくけて、活性かっせい水素すいそをもつヘテロ原子げんしもと多重たじゅう結合けつごうなどに付加ふかする水素すいそ移動いどうがたじゅう付加ふかと、ペリ環状かんじょう反応はんのう多重たじゅう結合けつごう付加ふかする電子でんし移動いどうがたじゅう付加ふかとがある。代表だいひょうてき重合じゅうごうたいつぎしめす。

  • 水素すいそ移動いどうがたじゅう付加ふか
  • 電子でんし移動いどうがたじゅう付加ふか
    • 環状かんじょうポリオレフィン樹脂じゅし

また、広義こうぎには(のちべる)付加ふかちぢみあいふくむ。

付加ふかちぢみあい

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付加ふかちぢみあい(ふかしゅくごう、えい: addition condensation)がある。付加ふか反応はんのうちぢみあい反応はんのう両方りょうほうかえされる重合じゅうごう反応はんのう付加ふか重合じゅうごうぶ。代表だいひょうてき重合じゅうごうたいつぎしめす。

フェノール樹脂じゅし合成ごうせいはフェノールへのホルムアルデヒド付加ふか反応はんのうはじまる。付加ふか生成せいせいぶつのヒドロキシメチルもととフェノールはちぢみあい反応はんのうをし、そのちぢみあい生成せいせいぶつへとホルムアルデヒドは付加ふか反応はんのうする。これがかえされてフェノール樹脂じゅし重合じゅうごうされる。

これらの樹脂じゅし形成けいせい熱処理ねつしょりにより付加ふかちぢみあい進行しんこうし、架橋かきょう構造こうぞう形成けいせいされて硬化こうかする特徴とくちょう利用りようされることがおおい。

リビング重合じゅうごう

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リビング重合じゅうごう開始かいし反応はんのうおよ成長せいちょう反応はんのうのみで構成こうせいされているため、じゅうちぢみあい反応はんのうにおいてじゅう合体がったいまつはしにも反応はんのうてん維持いじされる場合ばあいは、反応はんのう前半ぜんはん後半こうはん関係かんけいなく重合じゅうごう反応はんのうりつ比例ひれいする。リビング重合じゅうごうしめ重合じゅうごうたい反応はんのうせい維持いじしているため、反応はんのう一旦いったん終了しゅうりょうしたのち、モノマーを追加ついかした場合ばあい重合じゅうごう反応はんのう再開さいかいする。この性質せいしつブロック重合じゅうごうポリマーアロイでは重要じゅうよう性質せいしつである。また、リビング重合じゅうごうはその反応はんのう機構きこうから、リビングアニオン重合じゅうごう、リビングカチオン重合じゅうごう、リビングラジカル重合じゅうごう、リビング転位てんい重合じゅうごうなどにこまかくけられる。

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 小澤おざわ美奈子みなこ (2006). 社団しゃだん法人ほうじん高分子こうぶんし学会がっかい. ed. 基礎きそ高分子こうぶんし化学かがく. 東京とうきょう: 東京とうきょう化学かがく同人どうじん. ISBN 978-4-8079-0635-2 
  • ちゅうしのぜんじゅちゅうけんかい (2015). だいしま幸一郎こういちろう大塚おおつか浩二こうじ川崎かわさき昌博まさひろ木村きむら俊作しゅんさく田中たなか一義かずよし田中たなか勝久かつひさちゅうしのぜんじゅ. ed. 高分子こうぶんし化学かがく合成ごうせいへん. 丸善まるぜん出版しゅっぱん. ISBN 978-4-621-08259-1 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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