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マッコウクジラ - Wikipedia

マッコウクジラ

マッコウクジラマッコウクジラぞくのクジラ

マッコウクジラ抹香鯨まっこうくじら学名がくめいPhyseter macrocephalus)は、偶蹄ぐうてい[注釈ちゅうしゃく 2]マッコウクジラマッコウクジラぞく分類ぶんるいされるクジラである。

マッコウクジラ
マッコウクジラ P. macrocephalus
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか[1][2]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
ワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょI
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 哺乳ほにゅうつな Mammalia
: 偶蹄ぐうてい/くじら偶蹄ぐうてい
Artiodactyla/Cetartiodactyla
: Whippomorpha
下目しため : Cetacea
小目こもく : ハクジラ小目こもく Odontoceti[3]
: マッコウクジラ
Physeteridae Gray, 1821[4]
ぞく : マッコウクジラぞく Physeter
Linnaeus, 1758[4]
たね : マッコウクジラ P. macrocephalus
学名がくめい
Physeter macrocephalus
Linnaeus, 1758[2][4]
シノニム
  • Physeter catodon Linnaeus, 1758[2]
  • Physeter australasianus Desmoulins, 1822
  • Physeter australis Gray, 1846
和名わみょう
マッコウクジラ[5][6]
英名えいめい
Sperm whale
とく集中しゅうちゅうしている海域かいいき[注釈ちゅうしゃく 1]

分類ぶんるい

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ほんたねのみでマッコウクジラぞく構成こうせいする。

マッコウクジラうえなかでも、マッコウクジラぞくのみでマッコウクジラ構成こうせいするせつもある[4]

MSW3(Mead & Brownell,2005)ではマッコウクジラコマッコウぞくふくみとめていない[7]

呼称こしょう

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学名がくめい

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ぞくめいの「Physeter」は「くじら潮吹しおふ」を意味いみする古代こだいギリシアの「φυσητηρ[注釈ちゅうしゃく 3]由来ゆらいする。

とりわけマッコウクジラは前方ぜんぽうしおがよく目立めだつためか、のちにそのぞくめいかんされることとなった。英語えいごでは「ファイシター」のごとく発音はつおんする[注釈ちゅうしゃく 4]日本語にほんごでは慣用かんようてきに「フィセテル」や「フィセター」などとぶことがおおい。

たね小名しょうみょうの「macrocephalus」は古代こだいギリシアの「μάκρος[注釈ちゅうしゃく 5]と「κεφαλή[注釈ちゅうしゃく 6]合成ごうせいである。

和名わみょう香料こうりょう

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龍涎香りゅうぜんこう(りゅうぜんこう)

和名わみょうの「マッコウクジラ」の漢字かんじ表記ひょうきは「抹香鯨まっこうくじら」である。古代こだいからアラビア商人しょうにんあつかい、よう東西とうざいわず珍重ちんちょうされてきたしなに、香料こうりょうであり医薬いやくでも媚薬びやくでもある龍涎香りゅうぜんこうというものがあったが、それは海岸かいがんせられたりうみただよっているものを偶然ぐうぜんたよってつけ以外いがいれる方法ほうほうかった。

しかし、この香料こうりょう正体しょうたいはマッコウクジラのちょうないでごくまれに形成けいせいされることがあり、自然しぜん排泄はいせつされることもあった結石けっせきであり、捕鯨ほげいさかんにおこなわれる時代じだいはいるとったマッコウクジラから直接ちょくせつすことが可能かのうになった。マルコ・ポーロの『東方とうほう見聞けんぶんろく』には、マダガスカルとうおきでマッコウクジラが捕獲ほかくされ龍涎香りゅうぜんこうれたことがしるされている。マッコウクジラの「龍涎香りゅうぜんこう」が、抹香まっこうかおりをっていることから、近代きんだい日本にっぽん博物学はくぶつがくでは中国ちゅうごく抹香鯨まっこうくじら」にならって「抹香まっこうのような龍涎香りゅうぜんこう体内たいないくじら」との意味合いみあいでばれ、そのまま和名わみょうとして定着ていちゃくした。

英語えいごめい油脂ゆし

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英語えいごめいの「sperm whale」の原義げんぎは、「精液せいえき(のような液体えきたいである鯨蝋げいろうれる)くじら」である(「#のう鯨蝋げいろう」のふし参照さんしょう)。別名べつめいフランス語ふらんすご由来ゆらいとする「Cachalot(キャシャロット)」があり、これはアメリカ海軍かいぐんかんめいにもなっている(別項べっこう潜水せんすいかんカシャロット」を参照さんしょう)。

 
カイコウラにおけるホエールウォッチング
 
ブリーチング(英語えいごばん)をおこな頻度ひんどたかくない(アゾレス諸島しょとうにて)。

北極ほっきょくから南極なんきょくまで世界せかい規模きぼ分布ぶんぷしており、深海ふかうみおきもっとおおくが生息せいそくしている。社会しゃかいてき単位たんい安定あんていしていて、めす部分ぶぶんてき母系ぼけい集団しゅうだんらす。ゆう高緯度こういどかん流域りゅういきにも進出しんしゅつするが、メスとだん流域りゅういきそとることは滅多めったにない。

ほんしゅ基本きほんてきには深海しんかいせいだが、たとえばアジアけんでは千島ちしま列島れっとうコマンドルスキー諸島しょとう知床半島しれとこはんとうきむ華山かざんおき東京とうきょうわん房総半島ぼうそうはんとう周辺しゅうへん[注釈ちゅうしゃく 7][8][9]伊豆半島いずはんとう周辺しゅうへん[10][11]から伊豆諸島いずしょとう火山列島かざんれっとう屋久島やくしま奄美諸島あまみしょとうから南西諸島なんせいしょとう[12][13]台湾たいわんマリアナ諸島しょとう[14]など、沿岸えんがんちかくにられる海域かいいき数多かずおお存在そんざいする。これらの海域かいいきでは積極せっきょくてき観察かんさつ対象たいしょうになることもおおい。とく成熟せいじゅくゆうなどは満足まんぞく遊泳ゆうえいができないほどのあさわんなどにはいみ、しばらく休息きゅうそくしてから外洋がいようていくこともある。スコットランドおきフィリピン沿岸えんがんになど、沿岸えんがんせい特殊とくしゅ個体こたいぐんなども存在そんざいする[15]

日本にっぽんでは小笠原諸島おがさわらしょとう近海きんかいめす子供こどもれが定住ていじゅうし、知床半島しれとこはんとう近海きんかいには陸地りくち間近まぢかゆうられる[注釈ちゅうしゃく 8]カイコウラおきイオニアかい地中海ちちゅうかい)などにも完全かんぜんなあるいはぶしてき定住ていじゅうぐん存在そんざいする。通常つうじょうマッコウクジラは回遊かいゆうすることがおおいので、これは特異とくい事例じれいである。

また、日本にっぽん列島れっとうにおいてはほかにも北海道ほっかいどう釧路くしろおき宮城みやぎけんきむ華山かざんおき千葉ちばけん銚子ちょうし館山たてやまおき静岡しずおかけん富戸ふと駿河湾するがわん伊豆諸島いずしょとう遠州灘えんしゅうなだ熊野灘くまのなだ室戸岬むろとみさき土佐湾とさわんおき玄界灘げんかいなだ五島列島ごとうれっとう男女群島だんじょぐんとうおき鹿児島かごしまけん笠沙かささまちおき屋久島やくしま奄美あまみ大島おおしまおき南西諸島なんせいしょとうなどを回遊かいゆうすることがあり、これらの地域ちいきおおくではホエールウォッチングおこなわれてきた[16]

しかし、ほんしゅ現代げんだい北西ほくせい太平洋たいへいよう生息せいそくする大型おおがたくじらるいではもっと個体こたいすう豊富ほうふいちしゅであるものの、現在げんざい日本にっぽん列島れっとう沿岸えんがんでの生息せいそくじょうきょう捕鯨ほげい時代じだいから十分じゅうぶん回復かいふくしているとはえず、個体こたいすういちじるしく低下ていかしただけでなく、たとえば北海道ほっかいどうから常磐ときわおき越冬えっとうしていた個体こたいぐんなど、激減げきげんした個体こたいぐん海域かいいき存在そんざいする[16]。また、相模さがみわんおよび伊豆いず大島おおしま壱岐いきおよび対馬つしま周辺しゅうへんなど、ほんたね高速こうそくせん衝突しょうとつ危険きけんせいがある海域かいいき散見さんけんされる[17][8][18][19]

日本海にほんかいには基本きほんてきには分布ぶんぷしないとされる場合ばあい目立めだつが、実際じっさいには捕鯨ほげいおこなわれていたことから日本海にほんかいにも生息せいそくしていたことは確実かくじつである。近年きんねんでも韓国かんこく日本にっぽん沿岸えんがん近海きんかい少数しょうすう確認かくにんされており、2024ねん発表はっぴょうされた調査ちょうさ結果けっかでは、朝鮮半島ちょうせんはんとう近海きんかいほんたね増加ぞうか復活ふっかつ)しつつあることが判明はんめいしている[20][21]

世界せかい規模きぼおお生息せいそくしている個体こたいぐんには明確めいかくなものもあり、地中海ちちゅうかいにおけるクリックおん観測かんそく目撃もくげき情報じょうほうなどの分析ぶんせきから、詳細しょうさい不明ふめいながらも、想定そうてい以上いじょうおお生息せいそくしているであろう事実じじつ確認かくにんされたこともある(詳細しょうさいは「深海しんかいへの適応てきおう参照さんしょう)。ただし、北米ほくべい大陸たいりく西海岸にしかいがんおきイギリス周辺しゅうへんオーストラリア南西なんせいニュージーランド周辺しゅうへん[注釈ちゅうしゃく 9]日本にっぽん列島れっとう沿岸えんがん各地かくちなど、捕鯨ほげい影響えいきょうから回復かいふくおくれているために個体こたいすうすくない海域かいいき点在てんざいする。

形態けいたい

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マッコウクジラのヒトとのおおきさの比較ひかく
 
ヒトとのおおきさの比較ひかく。ただし、確認かくにんされた最大さいだい体長たいちょうは20.7メートルである[22]
 
ならんでおよぐ2とう噴気ふんきあなえる)

現生げんなまハクジラるいなかもっとおおきく、現生げんなまくじらるい全体ぜんたいでもナガスクジラセミクジラおおきさをつ。また、のある動物どうぶつ[23]では世界せかい最大さいだいであり、巨大きょだい頭部とうぶとその形状けいじょう特徴とくちょうてきである。

ほんしゅすべてのクジラるいなかもっとおおきな性差せいさをもつ。標準ひょうじゅんてきなオスの体長たいちょうやく16 - 18メートルであり(ながさの比較ひかく資料しりょう1 E1 m)、メスのやく12 - 14メートルとくらべて30 - 50%もおおきい。体重たいじゅうはオスの50トンたいし、メスは25トン と、ほぼ 2ばい差異さいがある。なお、誕生たんじょう雌雄しゆういずれも体長たいちょうやく4メートル、体重たいじゅう1トン程度ていどである。ハクジラなかでは最大さいだいしゅであり、成長せいちょうしたオスには体長たいちょうが20メートルをえるものもいる。24メートル以上いじょうという記録きろく複数ふくすう存在そんざいし、エセックスごう英語えいごばん)を撃沈げきちんした個体こたい[注釈ちゅうしゃく 10]は26メートルにたっしたともされているが、これらの記録きろく捕獲ほかくした個体こたいからだひょう沿って計測けいそくされたとおもわしいため、確認かくにんされている最大さいだい記録きろくとしては、千島ちしま列島れっとう捕獲ほかくされた体長たいちょう20.7メートル、推定すいてい体重たいじゅう80トンのゆう存在そんざいする[22][24]

ほんたね特徴とくちょうづけるいちじるしく肥大ひだいした頭部とうぶは、そのながさがオスで体長たいちょうの3ぶんの1にたっする。これは、クジラるいなかでも例外れいがいてき巨大きょだいである。のうは、おそらくすべての動物どうぶつなかでも最大さいだいさい重量じゅうりょうであり、成体せいたいのオスでは平均へいきんで7キログラムにたっするが、身体しんたいサイズにくらべればけっしておおきなのうではない。

背中せなかいろ一様いちよう灰色はいいろだが、日光にっこうしたでは褐色かっしょくえるかもしれない。背中せなか皮膚ひふ通常つうじょう凸凹でこぼこ(でこぼこ)で、おおきなクジラのほとんどがなめらかな皮膚ひふをしているのとは対照たいしょうてき

噴気ふんきあな呼吸こきゅうあな鼻孔びこう)の位置いち頭部とうぶ正面しょうめん集中しゅうちゅうしており、遊泳ゆうえい方向ほうこうかって左側ひだりがわにずれている。そのため、潮吹しおふ前方ぜんぽうかった特徴とくちょうてきなものとなる。背鰭せびれ(せびれ)は背骨せぼね沿ってまえから3ぶんの2の場所ばしょ位置いちし、通常つうじょうみじか二等辺三角形にとうへんさんかっけい形状けいじょうをしている。三角形さんかっけい非常ひじょうあつい。クジラがふか潜水せんすいはじめるまえには、水面すいめんから非常ひじょうたかげられる。

生態せいたい

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しょくせい

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ダイオウイカによってきざけられた吸盤きゅうばん傷跡きずあとのこるマッコウクジラの皮膚ひふ[注釈ちゅうしゃく 11]

しもあご(したあご)に20 - 26つい円錐えんすいかたちゆうする。それぞれのやく1キログラムもの重量じゅうりょうがある。

丸呑まるのみが可能かのうなイカるいべるために不要ふようかんがえられており、ほんしゅそなえている理由りゆうははっきりとはかっていない。たないにもかかわらず健康けんこうふとった野生やせい個体こたいも、実際じっさい観察かんさつされている。現在げんざいでは、同種どうしゅのオス同士どうしあらそさい使用しようされるのではないかとかんがえられている。この仮説かせつは、成熟せいじゅくしたオス個体こたい頭部とうぶつかるきず形状けいじょう歯形はがたにあっていたり、円錐えんすいがたひろ間隔かんかくけて配置はいちされている理由りゆう説明せつめいできる。上顎じょうがくなかにも発達はったつ存在そんざいするが、口腔こうくうないまでてくることはまれである。しょくせいハナゴンドウもマッコウクジラとおなじくしもあごにのみゆうしている。このたねマイルカぞくすが、おおくの部分ぶぶんでマッコウクジラと酷似こくじしている。

近年きんねん研究けんきゅうでは、海面かいめんのこしたまま深海しんかい獲物えものりにいったおやが、らえた獲物えものえさとしてくわえたままかえ姿すがた確認かくにんされている。映像えいぞうおさめられている獲物えものダイオウイカであり、いちひきまるごとではなく、一部いちぶだけをかえってきた。このことから、存在そんざい理由りゆう獲物えものをかみること、獲物えもの深海しんかいから海面かいめんはこぶときのすべめとするなどの仮説かせつかんがえられる。

食餌しょくじ

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ダイオウイカ捕食ほしょくアメリカ自然しぜん博物館はくぶつかん

ヤリイカダイオウイカなどおもしょくせいはイカるいであり、スケソウダラメヌケフリソデウオツノザメのような大型おおがた深海魚しんかいぎょるいえさとなる。

試算しさんでは、マッコウクジラのえさりょう年間ねんかんで9せんまんトン - 2おく2せん8ひゃくまんトンと推計すいけいされる[25]。この95%がイカとすれば、およそ8せんまんトン - 2おくトンのイカがマッコウクジラにべられ、それは世界中せかいじゅう年間ねんかん漁獲ぎょかくりょうの30 - 66ばいになるという[25]。もっとも、マッコウクジラがしょくするイカは、おもちゅう深層しんそう生息せいそくするクラゲイカといった大型おおがたイカ[注釈ちゅうしゃく 12]かんがえられ、それらのイカは人間にんげん食用しょくようしゅではない[25]

また、日本にっぽん政府せいふ捕鯨ほげい問題もんだいにおいて捕鯨ほげい正当せいとうするためにもちいた「くじら食害しょくがいろん」は国内外こくないがい識者しきしゃからの批判ひはんけており、2009ねん6がつ国際こくさい捕鯨ほげい委員いいんかい年次ねんじ会合かいごうにて、日本にっぽん政府せいふ代表だいひょう代理だいりだった森下もりした丈二じょうじ水産庁すいさんちょう参事官さんじかんくじらるいによる漁業ぎょぎょう被害ひがいがいじゅうろん)を撤回てっかいしている[26]

ほかにも、優先ゆうせんひくいもののウバザメオンデンザメメガマウスアオザメエイマグロなどの大型おおがた魚類ぎょるいウナギサーモンなどの多様たよう魚類ぎょるい捕食ほしょくしているとかんがえられる記録きろくもある[27][28]

子育こそだてと社会しゃかい形成けいせい

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れのメンバー同士どうしきずなつよい(アゾレス諸島しょとう

ほんしゅ家族かぞくきずながとてもつよい。まれてすぐには深海しんかいくぐることができない。母親ははおや深海しんかいくぐることができるようにするため、しばしば訓練くんれんをするが、がなかなかくぐろうとしない場合ばあい母乳ぼにゅうませながらくぐる。最近さいきん研究けんきゅうでは頻繁ひんぱん深海しんかい海面かいめんすることがかっている。

成熟せいじゅくしたゆうは、通常つうじょうひとちし、めす子供こども進出しんしゅつしないきょくうみいたるまで広範囲こうはんい回遊かいゆうする。わかゆう同士どうし独自どくじのグループを形成けいせいする。また、めす子供こどもれがシャチ捕鯨ほげいせんなどにおそわれたさい救出きゅうしゅつにくることもある[29]れをまもるために捕鯨ほげいせん大型おおがた帆船はんせん)をゆう攻撃こうげきして沈没ちんぼつさせたれい[注釈ちゅうしゃく 13]存在そんざいする。

また、後述こうじゅつとおり、花形はながた円陣えんじん(マーガレット・フォーメーション)をんでシャチへの抵抗ていこうせることがある[30]

異種いしゅあいだ交流こうりゅう

編集へんしゅう

近年きんねんホエールウォッチング世界中せかいじゅうさかんになり、比較的ひかくてき個体こたいすうおおほんしゅ観察かんさつ対象たいしょうとされる。とくカイコウラなどの様々さまざま地域ちいきがマッコウクジラを対象たいしょうとしたホエールウォッチングで発展はってんしてきた。また、捕鯨ほげいらないわか世代せだいえたこともあり、人間にんげん船舶せんぱくなどにたいする警戒けいかいしんうすれ、より人懐ひとなつっこくなりつつある[31]

ザトウクジラナガスクジラミンククジラシャチなどと行動こうどうともにする場合ばあいがある。日本にっぽんでは、根室海峡ねむろかいきょう[32]伊豆諸島いずしょとうとうでこれらの交流こうりゅう観察かんさつされた。

2011ねんには、アゾレス諸島しょとうにて、奇形きけいゆえにれから脱落だつらくしたとおもわしいハンドウイルカにマッコウクジラのれがっていた観察かんさつれい報告ほうこくされている[33]

潜水せんすい

編集へんしゅう
 
潜水せんすいするさいびれ(メキシコわん

また、その生涯しょうがいの3ぶんの2を深海しんかいごす。かるく2,000メートルはくぐることができ、集団しゅうだんりをするとかんがえられている。ひかりとどかない深海しんかいにおいてはイルカひとし代表だいひょうされる反響はんきょう定位ていい(エコーロケーション)をもちいている。家族かぞく同士どうしでの会話かいわにもおと利用りようしているとかんがえられている。

ほんしゅ潜水せんすい能力のうりょくクジラなかでも特筆とくひつすべきである[注釈ちゅうしゃく 14][34]ヒゲクジラるい潜水せんすい深度しんどは200- 300メートル程度ていどとされる。マッコウクジラの場合ばあいは、全身ぜんしん筋肉きんにく大量たいりょうミオグロビン保有ほゆうし、これに大量たいりょう酸素さんそたくわえることが可能かのうである。このため、1あいだものあいだ呼吸こきゅうすることなくもぐっていることが可能かのうで、さらに、これによってはいそらにして深海しんかいでの水圧すいあつ影響えいきょうけないこともあきらかとなった。通常つうじょうでは、やく1,000メートルちかくの深海しんかいもぐってから息継いきつぎをするために水面すいめんがりはじめるまでの20ふんほどのあいだ深海しんかいにて捕食ほしょくなどの活動かつどうおこなっていることがかっている。また、3,000メートルをもぐったとする記録きろくもあり(ながさの比較ひかく資料しりょう1 E3 m)、深海しんかいそうでの原子力げんしりょく潜水せんすいかんとの衝突しょうとつ事故じこや、海底かいていケーブルっかかって溺死できししたとられる死骸しがい発見はっけんなどの実例じつれいが、この記録きろくうらづける。しかし、2,000メートル以上いじょうふかさまでくぐると捕食ほしょくすべきイカなどのかずすくなくなるため、それ以上いじょうはあまり積極せっきょくてきくぐろうとするとはかんがえにくいともわれている。マッコウクジラと衝突しょうとつした場合ばあい大型おおがたせん船体せんたい破損はそんさせることはないが、ヨットや木造もくぞうせんであった場合ばあいには多大ただい損傷そんしょうをこうむることが予想よそうされる。

深海しんかいへの適応てきおう

編集へんしゅう
 
ダイオウイカ捕食ほしょく再現さいげんした模型もけい

マッコウクジラは、ハクジラのなかでも特殊とくしゅ深海しんかい潜行せんこうがたとして高度こうど進化しんか適応てきおうげたしゅである。この進化しんかがどのような条件下じょうけんかこされたものであるかについてはいまつまびらかにされないものの、かれらの祖先そせんにあたるクジラが、大小だいしょう多様たようなハクジラるい大型おおがたサメるいとのあさ海域かいいきでの生存せいぞん競争きょうそうやぶれ、いはぐれての結果けっかてき選択せんたくであるとの推論すいろん[35]。そのような動物どうぶつ他所よそ活路かつろ見出みいだして、そのうえあらたな環境かんきょうへの的確てきかく適応てきおうげられた場合ばあいかぎって、あたらしいしゅとして子孫しそんのこし、進化しんかつぎ段階だんかいすすめていくことが可能かのうとなる。しかしまた、優勢ゆうせいしゅであるがためにその一部いちぶ分布ぶんぷいき拡大かくだいしていくうちに、ことなる形質けいしつ獲得かくとくしていき、ついにはべつたねとして分化ぶんかした、とのかんがかたもありる。いずれにしても、かれらの祖先そせんは、なんらかの条件じょうけんしたでクジラるいにとっては未踏みとう海域かいいきであった深海ふかうみという環境かんきょういどみ、なが時間じかんをかけて現在げんざい高度こうど適応てきおうしたマッコウクジラの形質けいしつ獲得かくとくしていったとかんがえられ、ダイオウイカとう巨大きょだい脊椎動物せきついどうぶつ生息せいそくによって深海ふかうみという環境かんきょう生物せいぶつりょうけっしてまずしくはないことが、かれらの祖先そせん進化しんかしたささえしつつうながしたといえる。ハクジラるいっている反響はんきょう定位ていい能力のうりょく深海しんかいにあっておおいに威力いりょく発揮はっきし、かれらを優勢ゆうせいしゅげている。

ハイドロフォン(英語えいごばん)によるニュートリノ検出けんしゅつ目的もくてきとした海洋かいようノイズ検出けんしゅつ実験じっけんにおいて、カターニア東方とうほうにある深度しんど2,000メートルのテスト海域かいいきでマッコウクジラのクリックおん観測かんそくされた。また目撃もくげき情報じょうほう海面かいめんちかくの音響おんきょう記録きろくもとづいた調査ちょうさによって、分布ぶんぷまれだとおもわれていた海域かいいきにおいても予想よそう以上いじょうにマッコウクジラが棲息せいそくしていることがあきらかになった。観測かんそくされたクリックおんのパターンが種類しゅるいあることから、地中海ちちゅうかいうみぼんそとから一時いちじてきはいってくるとおりすがりのクジラの存在そんざい示唆しさされたが、地中海ちちゅうかいのマッコウクジラが1つの閉鎖へいさ個体こたいぐんなのか、それとも外海がいかい個体こたいぐんとのやりとりがあるのかは判明はんめいしておらず、生態せいたいには未知みち部分ぶぶんのこされている[36]

繁殖はんしょく寿命じゅみょう

編集へんしゅう

ほんしゅひく出生しゅっしょうりつおそ成熟せいじゅく長命ちょうめい獲得かくとくしている。メスは4さいから6さい成熟せいじゅくし、メスの妊娠にんしん期間きかんすくなくとも12かげつ最長さいちょうで18かげつ。そして、子育こそだては2 - 3ねんつづく。マッコウクジラの家族かぞくは、母系ぼけい家族かぞくでメスが中心ちゅうしんとなる。オスは単独たんどく行動こうどう、もしくはわかゆう同士どうしちいさなれをつくる。オスの繁殖はんしょく適齢てきれいは10さいごろから20さいごろまでのやく10年間ねんかんつづき、40さいえても成長せいちょうまらず、やく50さい最大さいだいたっする。また、出産しゅっさんは5ねんいちしかおこなわない。

ゆう一体いったい複数ふくすうめす獲得かくとくするハーレム英語えいごばんによって子孫しそんのこ性質せいしつで、複数ふくすうめす交尾こうびしたのちには子育こそだてには参加さんかしない。成熟せいじゅくしたゆうのペニスのながさは1メートルをえる。

れをつくめす子供こどもたち結束けっそくつよく、よわってきずついた仲間なかまかこって天敵てんてきであるシャチやサメなどの攻撃こうげきからまもったり、そのがこいをかずにそのままの姿勢しせい安全あんぜん地帯ちたいへとしやるような行動こうどう観察かんさつされている。

大型おおがた老熟ろうじゅくしたマッコウクジラのからだひょうにはおおくのきず見受みうけられる。とく個体こたいには頭部とうぶ前述ぜんじゅつによってったきずおおく、これは繁殖はんしょくめすをめぐって同士どうしあらそのちによくられるといわれる。なおきず時間じかんともしろ変色へんしょくしていってからだひょうにそのままのこるか、皮膚ひふうずもれていく。

成熟せいじゅくした個体こたいには、リングじょうきず帯状おびじょういていて、とくくちかおまわりにおおいが、これはダイオウイカの必死ひっし抵抗ていこうにより、強力きょうりょくさわうでにしがみつかれ、皮膚ひふきずったものである。南極なんきょくちかくに個体こたいには、ダイオウホウズキイカによってけられたとおもわれるかぎつめさったままのものも見受みうけられた。

およぎがおそく、深海しんかいせいのため、あたたかいうみにいる個体こたいダルマザメ標的ひょうてきにもされている。

天敵てんてき

編集へんしゅう
 
マーガレット・フォーメーション[注釈ちゅうしゃく 15]

人間にんげんのほかにはシャチ天敵てんてきであり[37]ようじゅうだけでなく成体せいたいもシャチのれにおそわれころされることがある[38]

しかし、成獣せいじゅう通常つうじょうは1とうだけでもシャチの集団しゅうだんにとって手強てごわく、日本にっぽん列島れっとう沖合おきあいで、シャチのれにおそわれためす子供こどもかられを、どこからともなくあらわれた成熟せいじゅくゆう救援きゅうえんし、シャチたちを攪乱かくらんしてからそのれをひきいて脱出だっしゅつする光景こうけい観察かんさつされている[39]。また、れをまもるために捕鯨ほげいせん大型おおがた帆船はんせん)を成熟せいじゅくゆう攻撃こうげきして沈没ちんぼつさせたれい存在そんざいする[注釈ちゅうしゃく 16]

また、花形はながた円陣えんじん(マーガレット・フォーメーション)をんでシャチへの抵抗ていこうせることがあるが、これはほんしゅ以外いがいではミナミセミクジラでも確認かくにんされたことがある。なお、この行動こうどう天敵てんてきがいない状況じょうきょうでもられる場合ばあいがある[30]

2024ねんには、西にしオーストラリアおきシャチれに対抗たいこうする防衛ぼうえい手段しゅだんひとつとして意図いとてき排泄はいせつしてくそ周囲しゅうい散布さんぷする行動こうどうがみられたが、これはきんえん系統けいとうであるコマッコウオガワコマッコウによくられてきた行動こうどうである[40]

のう鯨蝋げいろう

編集へんしゅう

鯨蝋げいろう(げいろう)とは頭部とうぶから採取さいしゅされる白濁はくだくしょくのう別名べつめいである。のう精液せいえきているため、精液せいえき誤解ごかいされていたことがあり、英語えいごでは spermaceti (はらよし:「くじら-精液せいえき」)とばれている。英名えいめいの sperm whale はこのことに由来ゆらいする。

のうはイルカやシャチなどのハクジラるいにみられる反響はんきょう定位ていい(エコーロケーション)のさい音波おんぱ集中しゅうちゅうするレンズ機能きのうメロンばれる頭部とうぶ器官きかんたすワックスエステルである。なお、一部いちぶ脳漿のうしょうきもあるが、脳漿のうしょうのうずいえきためまった無関係むかんけいである。反響はんきょう定位ていいによる音波おんぱのハクジラるい同様どうように、遊泳ゆうえい障害しょうがいぶつ探知たんち獲物えもの捜索そうさく使つかわれるが、マッコウクジラののうであれば、獲物えものたいしてたか指向しこうせいった強力きょうりょく音波おんぱはなつことで失神しっしんあるいは麻痺まひおちいらせ、らえること可能かのうであるというせつもある。実際じっさいには確認かくにんされていない。

のうのハクジラるいのメロンとことなり、マッコウクジラの体温たいおんでは液状えきじょうであるが、やく25℃で凝固ぎょうこすることがられている。くじらるい学者がくしゃクラークはこの性質せいしつ着目ちゃくもくし、潜水せんすいさいにははなから海水かいすいんでのうやすことで固化こかさせて比重ひじゅうたかめ、浮上ふじょうさいには海水かいすい血液けつえきながあたためることで液化えきかさせて比重ひじゅうちいさくすることで、急速きゅうそく潜水せんすいおよび浮上ふじょう可能かのうにしているというせつとなえている。潜水せんすい浮上ふじょうはほぼ垂直すいちょくに、かつ、急速きゅうそくおこなわれることが確認かくにんされているが、潜水病せんすいびょうおちいらないことも確認かくにんされている。

 
捕獲ほかくすう推移すいい

鯨蝋げいろう高級こうきゅう蝋燭ろうそく石鹸せっけん原料げんりょう灯油とうゆ機械きかいとして利用りようされた。とく精密せいみつ機械きかい潤滑油じゅんかつゆとしては代替だいたいひんく、1970年代ねんだいまで需要じゅようがあった。かつてはこの鯨蝋げいろう目的もくてき大量たいりょうのマッコウクジラが乱獲らんかくされた。とく米国べいこくでは18世紀せいきから19世紀せいきにかけてさかんにマッコウクジラを捕獲ほかくした。米国べいこく日本にっぽん開国かいこくせまった理由りゆうひとつに捕鯨ほげいせん中継ちゅうけい基地きち設置せっちげられるが、アメリカ大陸あめりかたいりく近海きんかいのマッコウクジラをくし、日本にっぽん列島れっとうちか西太平洋にしたいへいよう地域ちいきおなじマッコウクジラのだい規模きぼれがあるのを発見はっけんしてのことである。いまでもどう海域かいいきにはすうまんとうのマッコウクジラがいるといわれる。

1910年代ねんだい以降いこう北西ほくせい太平洋たいへいようにおける乱獲らんかく日本にっぽんソビエト連邦れんぽう主体しゅたいになっておこない、日本にっぽん国内こくないでは不正ふせい捕獲ほかく密猟みつりょう横行おうこうしていた可能かのうせい指摘してきされている[16]

性格せいかくはクジラのなかでも獰猛どうもうとされ、近代きんだいでも捕鯨ほげいのキャッチャーボートが破損はそんさせられたれいすう記録きろくされている。1937ねん昭和しょうわ12ねん)2がつ17にちには、共同きょうどう漁業ぎょぎょうだいさん捕鯨ほげいまる(102トン)がマッコウクジラからたたきつけられる攻撃こうげき浸水しんすい沈没ちんぼつ寸前すんぜんいやられたれいもある[41]

マッコウクジラはにくにもろうふくむため、食用しょくようさいあぶらきをする。日本にっぽんではおも大和やまともちいられたり、大阪おおさかではあぶらきをしたかわ(コロ)をおでん関東かんとう)でしょくすのが一般いっぱんてきである[42]和歌山わかやまけん田辺たなべ鮎川あいかわインドネシアしょうスンダ列島れっとうロンブレン(レンバタ)とうでは干物ひものにする[43]

あぶらきをしないで大量たいりょうべると下痢げりをするおそれがあり、アメリカじん捕鯨ほげい船員せんいんくじらにくにはどくがあるという迷信めいしんもあり、にくてられたというのは、このよう食用しょくよう不向ふむきであったてんもある。また、このマッコウクジラを最高さいこう目標もくひょうとしたアメリカしき捕鯨ほげい時代じだいにおいて、冷蔵れいぞう技術ぎじゅつもない当時とうじ、3ねん以上いじょう標準ひょうじゅんであった捕鯨ほげい航海こうかいあいだにく商品しょうひん価値かちのある状態じょうたい保管ほかんするのは不可能ふかのうであった。

あくまで小説しょうせつちゅうはなしではあるものの、捕鯨ほげい船員せんいんのキャリアをハーマン・メルヴィルいた『白鯨はくげい』のなかでは、欧米おうべいにおいてもくじらしょくつよくタブーとしていなかったため、どう時代じだいじんからても「船員せんいん食肉しょくにくとすらしない」というのは疑問ぎもんであったようである。これにたいして「まえすうじゅうトンのにくかたまり食欲しょくよくもよおすことはない」「捕鯨ほげいせんでは商品しょうひんにならないしぼかすあぶらとして使つかうが、くじらにくくじら自身じしんあぶらくのはさすがに縁起えんぎわるい」とった主旨しゅしのことがべられている。一方いっぽう価値かちられたゆえべたいという船員せんいんたいしてめることもなかったようであり、マッコウののステーキなども紹介しょうかいされている。

なお、前述ぜんじゅつ鮎川あいかわにおいても余剰よじょうくじらにくてられており、のちくじらこえ活用かつようするようになった(クジラ#くじら利用りようのその残滓ざんし利用りよう参照さんしょう)。

食料しょくりょうとして場合ばあい、マッコウクジラの体内たいないふくまれる微量びりょう水銀すいぎん注意ちゅういする必要ひつようがある。厚生こうせい労働省ろうどうしょうは、マッコウクジラをにん摂食せっしょくりょう注意ちゅういすべき魚介ぎょかいるいひとつとしてげており、2005ねん11月2にち発表はっぴょうでは、1かいべるりょうやく80グラムとした場合ばあい、マッコウクジラの摂食せっしょくしゅうに1かいまで(1週間しゅうかんたり80グラム程度ていど)を目安めやすとしている[44]

映像えいぞう

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  • NHK BS3 「ワイルドライフ いのちかがやき「大西洋たいせいようアゾレス諸島しょとう クジラがつどうみ楽園らくえん」」 (2019ねん9がつ放映ほうえい)

文化ぶんかてき側面そくめん

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白鯨はくげい
 
2023ねん漂着ひょうちゃくした「よどみちゃん

フィクション

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白鯨はくげい モビー=ディック
マッコウクジラを題材だいざいとした創作そうさくぶつとしてもっと著名ちょめいなものはハーマン・メルヴィル小説しょうせつ白鯨はくげい』であり、そこに登場とうじょうするクジラ「モビー=ディック」であろう。この白鯨はくげいとしてのマッコウクジラは、創作そうさくてきなかたちをとっておおくの娯楽ごらく作品さくひん映画えいが漫画まんがアニメゲームひとし)に登場とうじょうしている(それについては「白鯨はくげいほんこうくわしいので参照さんしょうのこと)。
白鯨はくげい以外いがいのマッコウクジラ
白鯨はくげいではないマッコウクジラは、それほどおおくの創作そうさくぶつおおきく[注釈ちゅうしゃく 17]あつかわれてこなかったようであるが、それでも以下いか作品さくひんげられよう。ひとつは生物せいぶつとしてのほんたね人間にんげんかかわりをえがき、ひとつは発想はっそう原点げんてんとしてほんしゅ存在そんざいかんかそうとしている。

愛称あいしょう

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 知床半島しれとこはんとう相模さがみわん駿河湾するがわん熊野灘くまのなだ五島列島ごとうれっとう男女群島だんじょぐんとう台湾たいわん東海岸ひがしかいがん南シナ海みなみしなかいなど重要じゅうよう生息せいそくけん多数たすう欠落けつらくしている。
  2. ^ くじら偶蹄ぐうてい」とするせつもあり。
  3. ^ physētēr(ピュセーテール)」。 アリストテレス著書ちょしょ動物どうぶつ』においてもちいた用語ようごで、本来ほんらいは「ふいご」を意味いみする言葉ことばであった。
  4. ^ 音声おんせい資料しりょう- howjsay.com当該とうがい文字もじにカーソルをわせればかえ聴取ちょうしゅ可能かのう
  5. ^ makros」、「ながい、おおきい」の
  6. ^ kephalē」、「あたま」の
  7. ^ 館山湾たてやまわん三浦半島みうらはんとう白浜しらはまおき千倉ちくらまちなど。
  8. ^ 成熟せいじゅくちかゆうれをし、ツチクジラ、クロツチクジラとう深海しんかいせい種類しゅるい陸上りくじょうからの観察かんさつ可能かのうなほどろく接近せっきんするというてん特有とくゆうである。
  9. ^ ケルマデク諸島しょとうフィヨルドランド沿岸えんがんなど。
  10. ^ モカ・ディックともに、『白鯨はくげい』に登場とうじょうするモビーディックのモデルになったともされる。
  11. ^ イカの吸盤きゅうばんにはかたいノコギリじょういており、マッコウクジラは獲物えものとしてらえながらもこのようなきずう。
  12. ^ ニュウドウイカ、アカイカ、ヒロビレイカ、ツメイカ、ウロコイカ、サメハダホウズキイカ、テカギイカ、ダイオウイカなどが代表だいひょうてきしゅである。(『マッコウクジラの自然しぜん加藤かとう秀弘ひでひろ 平凡社へいぼんしゃ 1995ねん ISBN 4582527205 246ぺーじ)ダイオウイカぞくのイカはマッコウクジラにとって重要じゅうようえさである(250ぺーじ)、もっとも北半球きたはんきゅうから南半球みなみはんきゅうまで幅広はばひろ分布ぶんぷするほんしゅにおいて、生息せいそく海域かいいきでその内訳うちわけ大幅おおはばことなるてんには留意りゅういしたい。
  13. ^ この「マッコウクジラに逆襲ぎゃくしゅうされて沈没ちんぼつした捕鯨ほげいせん」エセックスごう乗組のりくみいんのそのは「悲惨ひさん漂流ひょうりゅうサバイバルれい」として有名ゆうめい(英語えいごばん)ハーマン・メルヴィルの『白鯨はくげい』のモデルにもなっている。
  14. ^ 潜水せんすい時間じかんアカボウクジラ哺乳類ほにゅうるい最長さいちょうだとされる。
  15. ^ 陣形じんけい中心ちゅうしん保護ほご対象たいしょうとする個体こたい設置せっちし、武器ぶきであるびれを外部がいぶシャチ)にける。
  16. ^ この「マッコウクジラに逆襲ぎゃくしゅうされて沈没ちんぼつした捕鯨ほげいせん」エセックスごう乗組のりくみいんのそのは「悲惨ひさん漂流ひょうりゅうサバイバルれい」として有名ゆうめいであり(英語えいごばん)ハーマン・メルヴィルの『白鯨はくげい』のモデルにもなっている。
  17. ^ 目立めだ外観がいかんなどの特徴とくちょうからアニメや漫画まんがなどの短編たんぺんにすることはある。ただし、しもあごにしかない上下じょうげえていたり、マッコウクジラの形態けいたい忠実ちゅうじつ再現さいげんしたものですらない場合ばあいおおい。

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • Cetacean Societies Field Studies of Dolphins and Whales, Mann, Connor, Tyack and Whitehead (eds). ISBN 0226503410

関連かんれん項目こうもく

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