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マグロ - Wikipedia

マグロまぐろくろ漫魚、きむ鎗魚、眞黒まっくろ、𩻩)は、スズキサバマグロぞくマグロぞく学名がくめいThunnus)に分類ぶんるいされる硬骨魚こうこつぎょるい総称そうしょう暖海だんかいせい外洋がいようせい回遊かいゆうせい大型おおがた肉食にくしょくさかなで、日本にっぽんはじめとする世界せかい各地かくち重要じゅうよう食用しょくようぎょとして漁獲ぎょかくされている。

マグロぞく
生息せいそく年代ねんだい: ルテシアン現世げんせい
[1]
地質ちしつ時代じだい
新生代しんせいだいふるだい三紀みきはじめしん中期ちゅうきルテシアン - 現世げんせいだいよんかんしんサブアトランティックja])[1]
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : じょうひれつな Actinopterygii
: スズキ Perciformes
: サバ Scombridae
ぞく : マグロぞく Thunnini
ぞく : マグロぞく Thunnus
学名がくめい
Thunnus
South1845
英名えいめい
Tuna (その一部いちぶ

呼称こしょう 編集へんしゅう

学名がくめい 編集へんしゅう

ぞくめい Thunnus仮名かめい転写てんしゃれい:トゥンヌス)は「マグロ」を意味いみするラテン語らてんご[ちゅう 1]

しょ言語げんごめい 編集へんしゅう

おおきくくろさかなであることから(目黒めぐろ - まぐろ)とばれる。日本にっぽんではマグロぞくなかの1しゅであるクロマグロ学名がくめいThunnus orientalis)のみをして「マグロ」と場合ばあいすくなくない。また、「カジキマグロ」(カジキ俗称ぞくしょう)および「イソマグロ」(イソマグロぞく)は和名わみょうに「マグロ」をふくむが、学術がくじゅつじょうはマグロ(ぞく)ではなく、生物せいぶつがく成立せいりつ以前いぜんから存在そんざいした通俗つうぞくめい梶木かじきまぐろいそまぐろ、など)をいだものである。

英語えいご Tuna は「マグロ」と日本語にほんごやくされがちであるが、実際じっさい上位じょうい分類ぶんるいぐんのマグロぞく (Thunnini) 全般ぜんぱんし、マグロだけでなくカツオソウダガツオ(マルソウダ、ヒラソウダ)、スマなどをふくむ(詳細しょうさいツナ参照さんしょう)。

特徴とくちょう 編集へんしゅう

全長ぜんちょうは60 cmほどのものから3 mたっするものまで種類しゅるいによってことなる。最大さいだいしゅタイセイヨウクロマグロ全長ぜんちょう4.5 m・体重たいじゅう680 kgをえる。

水中すいちゅう生物せいぶつとしてはかなり高速こうそく遊泳ゆうえいすることができる。全長ぜんちょう1.7-3.3 mのタイセイヨウクロマグロのれの遊泳ゆうえい速度そくど測定そくていした結果けっか平均へいきん遊泳ゆうえい速度そくどは3.6-10.8 km/h計算けいさんされている。また、瞬間しゅんかんてき最大さいだい速度そくどは80 km/hにたっすると推定すいていされている[2]

体型たいけい紡錘形ぼうすいけいで、からだ横断おうだんめんはほぼ楕円だえんがたうろこむねひれ周辺しゅうへんのぞけばごくちいさいかほとんどく、高速こうそく遊泳ゆうえいてきした体型たいけいである。吻はわずかに前方ぜんぽうとがる。尾鰭おびれ体高たいこうおなじくらいのおおきな三日月みかづきかたちだが、それ以外いがいかくひれちいさい。だい背鰭せびれしりひれうしろにはいくつかのしょうはなれひれ(しょうりき)がある。ただし、種類しゅるい成長せいちょう段階だんかいによってはむねひれだい背鰭せびれしりひれなどがかまじょう細長ほそながびるものもいる。

筋肉きんにくうち血管けっかん動脈どうみゃく静脈じょうみゃく近接きんせつする、もう(きもう : Rete mirabile)という構造こうぞうつ。これで体内たいないねつげるのをふせぎ、体温たいおん海水温かいすいおんよりたかたもって運動うんどう能力のうりょく低下ていかおさえる。

生態せいたい 編集へんしゅう

ぜん世界せかい熱帯ねったい温帯おんたい海域かいいきひろ分布ぶんぷするが、種類しゅるいによって分布ぶんぷいき生息せいそく水深すいしんことなる。海中かいちゅうではくちえらぶたけて遊泳ゆうえいし、ここをとおける海水かいすい呼吸こきゅうする。およぎをめると窒息ちっそくするため、たとえ睡眠すいみんでもまらない。

しょくせい肉食にくしょくで、表層ひょうそう中層ちゅうそうせい魚類ぎょるい甲殻こうかくるいあたまあしるいなどを捕食ほしょくする。海洋かいよう食物しょくもつ連鎖れんさにおいてはクジラアザラシカジキサメなどとなら高次こうじ消費しょうひしゃである。それゆえ相対そうたいてき個体こたいすうすくなく、また、生物せいぶつ濃縮のうしゅくによって汚染おせん物質ぶっしつ蓄積ちくせきしやすいため、様々さまざま問題もんだいきている(後述こうじゅつ)。

マグロぞく構成こうせいしゅ 編集へんしゅう

 
マグロぞく8しゅ全長ぜんちょうあらわすグラフ。うえからタイセイヨウクロマグロ、クロマグロ、メバチ、ミナミマグロ、キハダ、コシナガ、ビンナガ、タイセイヨウマグロ。

マグロぞく 編集へんしゅう

マグロぞくThunnus)には下記かきの5しゅふくまれる。

クロマグロ黒鮪くろまぐろ
学名がくめい Thunnus orientalis (Temminck & Schlegel1844)、英名えいめい Pacific bluefin tuna
全長ぜんちょう3 m・体重たいじゅう400 kgをえる。ほんしゅ・タイセイヨウクロマグロ・ミナミマグロの3しゅはマグロぞくなかでもむねひれみじかく、だい背鰭せびれとどかないてんたね区別くべつできる。日本にっぽん近海きんかいふく太平洋たいへいよう熱帯ねったい温帯おんたい海域かいいきひろ分布ぶんぷする。
日本にっぽん地方ちほうめいとしては、わかさかなをヨコ、ヨコワ(近畿きんき四国しこく)、メジ(中部ちゅうぶ関東かんとう)、ヒッサゲ、成魚せいぎょをホンマグロ(東京とうきょう)、シビ、クロシビ(各地かくち)などとぶ。とく青森あおもりけん大間だいままちおきさんの「だいあいだまぐろ」がさい上等じょうとうしゅとされ、豊洲とよす市場いちば築地つきじ市場いちばから移転いてん)のはつでは1ひきおくえん単位たんいくこともある[3]さかなたいいろ希少きしょう価値かちから「くろダイヤ」ともばれる。タイセイヨウクロマグロと同種どうしゅまたは亜種あしゅとすることがある。亜種あしゅ場合ばあい学名がくめいThunnus thynnus orientalisとなる。
タイセイヨウクロマグロ大西洋たいせいよう黒鮪くろまぐろ
学名がくめい Thunnus thynnus (Linnaeus1758)、英名えいめい Atlantic bluefin tuna
全長ぜんちょう4.5 m・体重たいじゅう680 kgにたっし、マグロぞく、ひいてはサバでも最大さいだいしゅである。地中海ちちゅうかい黒海こっかいふく大西おおにしひろし熱帯ねったい温帯おんたい海域かいいき分布ぶんぷする。IUCNレッドリストでは絶滅ぜつめつ危惧きぐ評価ひょうかされている。
ミナミマグロみなみまぐろ
学名がくめい Thunnus maccoyii (Castelnau1872)、英名えいめい Southern bluefin tuna
別名べつめいインドマグロ。全長ぜんちょう2.5 mにたっする。南半球みなみはんきゅう南緯なんい60までの亜熱帯あねったい温帯おんたい海域かいいき分布ぶんぷする。あぶら豊富ほうふで、寿司すしたね寿司すしネタ)にこのんでもちいられるが、IUCNレッドリストではCR(絶滅ぜつめつ危惧きぐIAるい : もっと絶滅ぜつめつ危惧きぐされる動物どうぶつのランク)に記載きさいされている。
メバチ(メバチマグロ/ばち
学名がくめい Thunnus obesus (Lowe[4]1839)、英名えいめい Bigeye tuna
全長ぜんちょう2 mほどの中型ちゅうがたしゅたねよりふといずんぐりした体型たいけいおおきなながむねひれつ。和名わみょう「メバチ」や英名えいめい"Bigeye tuna"は、おおきな由来ゆらいする。にちちゅうのマグロよりふかそうおよぐが、よる表層ひょうそうがってくる。赤道あかみちから南北なんぼく緯度いど35範囲はんいおお生息せいそくする。世界せかいてき漁獲ぎょかくりょうはキハダにぐが、日本にっぽんでの流通りゅうつうりょう最多さいたで、店頭てんとうなら機会きかいおおい。地方ちほうめいはバチ(東北とうほく関東かんとう)、メブト(九州きゅうしゅう)、幼魚ようぎょ各地かくちでダルマともばれる。IUCNレッドリストVU(絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるい)。
ビンナガ(ビンナガマグロ/鬢長びんなが
学名がくめい Thunnus alalunga (Bonnaterre1788)、英名えいめい Albacore tuna
体長たいちょう1 mほど小型こがたしゅ。「ビンナガ」のしょう長大ちょうだいむねひれびん(もみあげ)に見立みたてたもので、トンボの翅に見立みたてたトンボ、シビとう異称いしょうもある。赤道せきどうから南北なんぼく緯度いど10-35熱帯ねったい亜熱帯あねったい海域かいいきひろ分布ぶんぷする。あわピンク色ぴんくいろでややみずっぽく、酸味さんみがある。鶏肉とりにくることから欧米おうべいでの需要じゅようたかく、缶詰かんづめなどの加工かこう食品しょくひんおお流通りゅうつうする。生食なましょく需要じゅようたかまっていて、一部いちぶ寿司すしでは「ビントロ」という名前なまえ販売はんばいされている。IUCNレッドリストDD(情報じょうほう不足ふそく)。

しんマグロぞく 編集へんしゅう

しんマグロぞくNeothunnus)はマグロぞくのうちヒレにあじがあるものをし、3しゅある。

タイセイヨウマグロ大西洋たいせいようまぐろ
学名がくめい Thunnus atlanticus (Lesson1831)、英名えいめい Blackfin tuna
全長ぜんちょう1 m程度ていどとマグロぞく最小さいしょう小型こがたしゅ大西洋たいせいよう西岸せいがん分布ぶんぷする。日本にっぽんさかなおろしではクロヒレとばれる。
キハダ(キハダマグロ/はだひれ
学名がくめい Thunnus albacares (Bonnaterre1788)、英名えいめい Yellowfin tuna
日本にっぽん近海きんかいでは全長ぜんちょう1-1.5 mほどのものがおおいが、インド洋いんどようさん全長ぜんちょう3 mにたっするものもいる。だい背鰭せびれしりひれ黄色おうしょくかまじょうながび、からだひょうもやや黄色おうしょくびる。赤道せきどうから南北なんぼく緯度いど35範囲はんいおお生息せいそくし、マグロるいなかではコシナガとならんでとく熱帯ねったい表層ひょうそうこのむ。漁獲ぎょかくりょうは8しゅなか最多さいたで、缶詰かんづめなどの材料ざいりょうとして重要じゅうようである。はトロにたる部分ぶぶんがなく、脂肪しぼうすくない。わかさかなはキワダ(東京とうきょう和歌山わかやまけん)と区別くべつされ、地方ちほうめいはゲスナガ(静岡しずおかけん)、イトシビ(高知こうちけん)、わかさかなはキメジ(木目もくめ)ともばれる。IUCNレッドリストLC(軽度けいど懸念けねん)。
タイヘイヨウマグロ
学名がくめい Thunnus tonggol (Bleeker1851)、英名えいめい Longtail tuna
全長ぜんちょう1 mをえるものもいるが、60cmほどのものがおおく、マグロとしては小型こがたしゅである。和名わみょうどおがらながく、たねよりも体型たいけい細長ほそながい。インド太平洋たいへいよう熱帯ねったい亜熱帯あねったい海域かいいき分布ぶんぷする。日本にっぽん近海きんかいでは夏季かき捕獲ほかくされ、おも加工かこうしてもちいられる。外観がいかんのよくたヨコワ(クロマグロの幼魚ようぎょ)と混同こんどうされるが、ヨコワの漁期ぎょきはるあきであり、タイヘイヨウマグロはむねひれながいことでも区別くべつできる。西日本にしにほんではヨコワの鮮魚せんぎょとしての消費しょうひがあるが、タイヘイヨウマグロの食味しょくみはヨコワ。

日本にっぽんにおける利用りよう 編集へんしゅう

 
マグロの寿司すし

ほぼすべてのたね食用しょくようになり、直接ちょくせつしょくかたちでは刺身さしみ寿司すししゅざかなステーキ缶詰かんづめなど幅広はばひろい。それ以外いがいではほね加工かこうしてダシを用途ようとにももちいられる。背中せなかがわはらがわでは脂肪しぼう含有がんゆうりょうことなり、部位ぶいによって「赤身あかみ」「なかトロ」「だいトロ」とばれる。目玉めだまあたまにく、カマ(えらのまわり)、内臓ないぞうなども食味しょくみく、産地さんち中心ちゅうしんべられている。人間にんげん食用しょくよう以外いがいにおいても、安価あんかなキハダやメバチ、ビンナガとう一部いちぶたねペットフード(おもねこ)としての需要じゅようもある。

適切てきせつ温度おんど管理かんりしたで48あいだ熟成じゅくせいさせると、イノシンさんグルタミン酸ぐるたみんさんといったうま成分せいぶんえることが、くら寿司ずし東京大学とうきょうだいがく大学院だいがくいん農学のうがく生命せいめい科学かがく研究けんきゅうによりあきらかになっている[5]

また冷凍れいとうすることで,半日はんにちでうまみ成分せいぶんえることもかっている。

日本人にっぽんじんとマグロ 編集へんしゅう

 
築地つきじ市場いちばきされる冷凍れいとうマグロ
 
まぐろ包丁ぼうちょうもちいたマグロ解体かいたい築地つきじ市場いちば

日本人にっぽんじんふるくからマグロを食用しょくようとし、縄文じょうもん時代じだい貝塚かいづかからマグロのほね出土しゅつどしている[6]。『古事記こじき』『万葉集まんようしゅう』にも「シビ」の記述きじゅつされており、「だいさかな(おふを)よし」は「まぐろ」の枕詞まくらことば

現代げんだいでこそ人気にんきたかいマグロであるが、冷蔵れいぞう冷凍れいとう技術ぎじゅつ存在そんざいしない江戸えど時代じだい以前いぜんは、鮮度せんどたも方法ほうほうがなく、腐敗ふはいしやすいことから、不人気ふにんきさかなだった。江戸えど世相せそうしるした随筆ずいひつ慶長けいちょう見聞けんぶんしゅう』ではこれを「しびとこえひびききこえて不吉ふきつなり」とするなど、不遇ふぐうあつかいをけていた。冷蔵れいぞう冷凍れいとう技術ぎじゅつのない時代じだい魚介ぎょかいるい鮮度せんどたもつには、水槽すいそうかしたまま流通りゅうつうさせる方法ほうほうがあったが、マグロのおおきさではそれが不可能ふかのうであった。ぎょとして乾燥かんそうさせる方法ほうほうもあるが、マグロの場合ばあいべるにこまるほどかたくなる(カツオの場合ばあいは、乾燥かんそうさせたうえ熟成じゅくせいさせ、鰹節かつおぶしとして利用りようしたが、マグロはそのおおきさから、当時とうじはマグロぶしとしては使つかわれなかった)。しおづけにすると、マグロの場合ばあい食味しょくみがかなりちてしまうためにしたぎょとされ、貧民ひんみんそうものだった。

江戸えど時代じだい中期ちゅうきから調味ちょうみりょうとして醤油じょうゆすると、マグロの醤油じょうゆけにするというあらたな保存ほぞん方法ほうほうまれ、「あかベロベロの醤油じょうゆけ」、りゃくして「ヅケ」とばれ、にぎ寿司ずしのネタとして使つかわれした。西郷さいごう隆盛たかもり好物こうぶつでもあったとわれる。

近代きんだい以降いこう冷蔵れいぞう技術ぎじゅつ進歩しんぽしたことから、赤身あかみ部分ぶぶん生食なましょく普及ふきゅうしたが、だい世界せかい大戦たいせんまえまでは大衆たいしゅうぎょであった。北大路魯山人きたおおじろさんじんは「マグロそのものが下手物げてものであって、一流いちりゅう食通しょくつう満足まんぞくさせるものではない」とひょうした。脂身あぶらみである「トロ」はとく腐敗ふはいしやすいため、(さかなこのむとおもわれがちな)ねこもまたいでとおる「ねこまたぎ」とも揶揄やゆされるほど不人気ふにんきで、もっぱら缶詰かんづめなどの加工かこうようだった。冷凍れいとう保存ほぞん技術ぎじゅつ進歩しんぽ生活せいかつ洋風ようふうともなあじ嗜好しこう濃厚のうこうで、1960年代ねんだい以降いこう生食なましょくよう珍重ちんちょうされる部位ぶいとなった。マグロの品質ひんしつ低下ていかしない冷凍れいとう温度おんどたいは-30以下いかであり、実際じっさい流通りゅうつうじょうでは-50℃のちょう低温ていおん冷蔵庫れいぞうこ保管ほかんする。一旦いったん解凍かいとうしたマグロをさい凍結とうけつすると組織そしき破壊はかいされ、非常ひじょうしつ劣化れっかする。さい解凍かいとうにはドリップ(旨味うまみ成分せいぶんとう多量たりょうふくんだしる)がながすなどして風味ふうみちてしまう。

1995ねん統計とうけいでは、世界せかいのマグロ漁獲ぎょかくりょう191まんtたいし、日本にっぽん消費しょうひりょうは71まんt。そのうち60まんtを刺身さしみ寿司すしとう生食なましょく消費しょうひしている。加工かこうひんでは「ツナ」もしくは「シーチキン」(商標しょうひょう)とばれるサラダオイルけの缶詰かんづめおおい。

日本にっぽんかく都道府県とどうふけんちょう所在地しょざいちでの家計調査かけいちょうさ[7]によると、いち世帯せたいたりのマグロの購入こうにゅうりょう年々ねんねん減少げんしょうしている。消費しょうひりつはマグロ水揚みずあ日本一にっぽんいち静岡しずおかけん隣接りんせつする山梨やまなしけん筆頭ひっとう関東かんとう地方ちほう東北とうほく地方ちほう上位じょういめる。一方いっぽうで、西日本にしにほんでは白身しろみぎょ人気にんきで、マグロなどの赤身あかみぎょ消費しょうひりょう軒並のきなひくく、しょく文化ぶんか相違そういられる。ただし、沖縄おきなわけんだけはマグロの水揚みずありょう消費しょうひりょうともにたかい。

2019ねん1がつ5にち豊洲とよす市場いちば青森あおもりけん大間だいまさんのクロマグロ(だいあいだまぐろ、278キログラム)が3おく3360まんえん史上しじょうさい高値たかね落札らくさつされた[3][8]近年きんねん史上しじょうさい高値たかね更新こうしんは、2001ねん青森あおもりけん大間だいまさん2020まんえん(202キログラム)、2011ねん北海道ほっかいどう戸井といさん(2004ねんまでは戸井といむらおよび戸井といまち、それ以降いこう函館はこだて戸井といまち)3249まんえん(342キログラム)、2012ねん青森あおもりけん大間だいまさん5649まんえん(269キログラム)、2013ねん青森あおもりけん大間だいまさん1おく5540まんえん(222キログラム)となっていた。

りょう 編集へんしゅう

延縄はえなわ(はえなわ)、一本いっぽん、曳縄(トローリング)、きんぼうもう定置網ていちあみなどで漁獲ぎょかくされる。近年きんねん種苗しゅびょう個体こたいして肥育ひいくした養殖ようしょく(蓄養)もの流通りゅうつうしている。

かつてマグロ漁船ぎょせんといえば重労働じゅうろうどうこう収入しゅうにゅう代名詞だいめいしで、とく遠洋えんようマグロりょうさかえた気仙沼けせんぬま漁港ぎょこう塩釜しおがま漁港ぎょこう周辺しゅうへんには、漁師りょうしたちにより「唐桑からくわ御殿ごてん」とばれる広壮こうそう入母屋いりもやつくりの家屋かおくきそうようにてられるなど、漁港ぎょこう周辺しゅうへんはマグロりょう関連かんれん産業さんぎょうにより活気かっきづいていた(唐桑からくわまち気仙沼けせんぬま漁港ぎょこう近郊きんこう)。 1973ねんには鹿児島かごしまけんのマグロ漁船ぎょせんみなみアフリカ西沖にしおき出漁しゅつぎょし、いち航海こうかいあたりのみずあげだかで3おくえんという日本にっぽん記録きろくした。このさい乗組のりくみいん最高さいこう年収ねんしゅうは1000まんえんたっした[9]。 こうしたはなし尾鰭おびれがつき、借金しゃっきんなどできゅう大金たいきん場合ばあいには「マグロ漁船ぎょせんせる」などといういいまわしももちいられたが、21世紀せいきはいると乱獲らんかくによる資源しげん減少げんしょう漁業ぎょぎょう規制きせい外国がいこくせん漁獲ぎょかくした輸入ゆにゅうマグロの増加ぞうか養殖ようしょくぶつ流通りゅうつうとうにより、かならずしもこう収入しゅうにゅうとはえなくなりつつある。

かつて日本にっぽんのマグロ漁船ぎょせん生活せいかつ環境かんきょうは、航海こうかい期間きかんながさやせま生活せいかつ空間くうかんなどにより、ストレスがたまりやすく人間にんげん関係かんけい悪化あっかしやすいものであった。1975ねん船内せんない発生はっせいした殺人さつじん殺人さつじん未遂みすい傷害しょうがい致死ちし事件じけんは23けん大半たいはんがマグロ漁船ぎょせんない発生はっせいしていた[10]。21世紀せいきにおける遠洋えんようマグロ漁船ぎょせんは、インドネシアなどから外国がいこくじんおおんでいる。乗組のりくみいん確保かくほのため、個室こしつづけや、インターネット陸上りくじょうとの交信こうしんやテレビ視聴しちょうができるなど快適かいてきさを重視じゅうしした漁船ぎょせん導入どうにゅうされている[11]

一方いっぽう中国ちゅうごく台湾たいわんなどのマグロ漁船ぎょせん労働ろうどう環境かんきょう依然いぜんとして改善かいぜんしていないため、船員せんいんは「現代げんだい奴隷どれい」とひょうされることがある[12]。2021ねん、アメリカは過酷かこく労働ろうどう環境かんきょう漁獲ぎょかくされたマグロを使用しようした製品せいひんを「強制きょうせい労働ろうどうによってされた商品しょうひん」として国内こくないから方針ほうしんしめしている[13]

価格かかく高騰こうとう 編集へんしゅう

消費しょうひりょう拡大かくだいともない、マグロの価格かかくたかくなった。日本にっぽん輸入ゆにゅうマグロの割合わりあいえ、価格かかく影響えいきょうけやすくなっている。さらに原油げんゆ価格かかく高騰こうとう漁船ぎょせん燃料ねんりょう高騰こうとうによる出漁しゅつぎょのコストぞう、マグロ減少げんしょうによる漁場ぎょじょう遠距離えんきょり出漁しゅつぎょたいする成果せいか低下ていかかさなり、価格かかく高騰こうとう拍車はくしゃけている。 マグロをあつか日本にっぽん国内こくないかく漁業ぎょぎょう協同きょうどう組合くみあい水産すいさん企業きぎょうでは漁船ぎょせん燃費ねんぴ節約せつやくせまられたが、対応たいおうできず倒産とうさんする水産すいさん企業きぎょう相次あいつぎ、漁協ぎょきょう解散かいさんれいすらもた。これもマグロ漁獲ぎょかくだか減少げんしょう価格かかく上昇じょうしょうにつながっている。

1990年代ねんだい後半こうはんから2000年代ねんだいはじめにかけて、台湾たいわん漁船ぎょせん大量たいりょう漁獲ぎょかくによって、日本にっぽんでの水揚みずあげが減少げんしょうしたため、日本にっぽん減少げんしょうぶん台湾たいわんから輸入ゆにゅうして維持いじしたが、海洋かいよう資源しげん保護ほご立場たちばから、台湾たいわんのマグロりょうきゅう拡大かくだい批判ひはんされたため、台湾たいわん政府せいふはマグロりょう規制きせいし、マグロ漁船ぎょせん公開こうかい解体かいたいするなどで海外かいがいにアピールした。台湾たいわんでの規制きせいによって日本にっぽんはいるマグロが減少げんしょうした。

さらに、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく都市としでの日本にっぽんしょくブームによってマグロ需要じゅよう急増きゅうぞうし、にちだい漁獲ぎょかく減少げんしょうすきいて、中国ちゅうごく漁船ぎょせんによる活動かつどう拡大かくだいし、競争きょうそう激化げきかしている。また、乱獲らんかく防止ぼうし資源しげん保護ほごのため漁獲ぎょかくりょうが2わりげんまりさらに高騰こうとうするといわれる。そのために近年きんねんでは世界中せかいじゅうアカマンボウなどのマグロの代替だいたいひん[よう出典しゅってん]えている。

過去かこアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくオセアニアにおいては、脂身あぶらみであるトロは商品しょうひんてき価値かち需要じゅようひくかったので、日本にっぽん商社しょうしゃはトロを安価あんか購入こうにゅうすることが出来できた。しかし、近年きんねん日本にっぽんしょく・「sushi」ブームの影響えいきょう欧米おうべいでもトロにたいする需要じゅようこり、価格かかく高騰こうとうしている。また、1990年代ねんだい後半こうはんには台湾たいわんで、2000年代ねんだいはいってからは中国ちゅうごくで、日本にっぽんしょく中心ちゅうしんとした海産物かいさんぶつ人気にんきたかまり、中国ちゅうごくけの漁獲ぎょかく急増きゅうぞうしているため、競争きょうそうはますます熾烈しれつになっている。

乱獲らんかく問題もんだい 編集へんしゅう

前述ぜんじゅつのように相対そうたいてき個体こたいすうすくないうえ需要じゅよう増加ぞうか価格かかく高騰こうとう拍車はくしゃをかけるかたち世界中せかいじゅうでマグロが乱獲らんかくされ、国際こくさいてき資源しげん保護ほごさけばれている。絶滅ぜつめつ危惧きぐされる生物せいぶつ記載きさいしたIUCNレッドリストには、マグロ8しゅのうち5しゅ記載きさいされている。過激かげき保護ほご運動うんどうおこな環境かんきょう団体だんたいには、クジラみにマグロりょう禁止きんしもとめる強硬きょうこうもいる。こういった国際こくさいてきうごきにたいして、日本にっぽんは2001ねんから2002ねんにかけて、水産すいさん業界ぎょうかい中心ちゅうしん不利ふり規制きせい多数決たすうけつとおされるおそれがあると「中西部ちゅうせいぶ太平洋たいへいようマグロるい条約じょうやく」の準備じゅんび会合かいごうをボイコットしたが、結局けっきょく2004ねん日本にっぽんきで発効はっこうされ、日本にっぽんはその翌年よくねん加盟かめいすることとなった。国際こくさい連合れんごう食糧しょくりょう農業のうぎょう機関きかんFAO水産すいさん局長きょくちょうはやしつかさせん早稲田大学わせだだいがく教授きょうじゅ)は日本にっぽん世界中せかいじゅううみでマグロをりまくっていながら、規制きせい強化きょうかにはうしきだ、というわるいイメージをあたえたとしている[14]。その、2010ねん3がつドーハでのワシントン条約じょうやく締結ていけつこく会議かいぎにおいて21世紀せいき初頭しょとう個体こたいすうが1970年代ねんだい比較ひかくして90%減少げんしょうしたタイセイヨウクロマグロ附属ふぞくしょIへの掲載けいさい是非ぜひについて審議しんぎおこなわれたが、18にち採決さいけつでは大差たいさ否決ひけつされた。

国際こくさい条約じょうやく 編集へんしゅう

養殖ようしょく 編集へんしゅう

マグロは長距離ちょうきょり遊泳ゆうえいすること、大型おおがたさかな成熟せいじゅく時間じかんかること、ちいさなきずにつながるほど皮膚ひふよわいことなどがあり、捕獲ほかくしたマグロの稚魚ちぎょわかさかな養殖ようしょくする「蓄養」が中心ちゅうしんで、たまごから成魚せいぎょまでそだてる「完全かんぜん養殖ようしょく」の技術ぎじゅつ確立かくりついそがれている。

蓄養 編集へんしゅう

マグロ価格かかく高騰こうとう天然てんねんぶつ漁獲ぎょかくりょう低下ていかかぜもあり、蓄養による養殖ようしょく出荷しゅっかりょう増加ぞうかしている。ていコスト安全あんぜんせい向上こうじょうほか、トロの割合わりあいおおくし価値かちたかめる研究けんきゅうおこなわれている。クロマグロの蓄養は、幼魚ようぎょ黒潮くろしおって回遊かいゆうしてくる西日本にしにほん各地かくちおこなわれている。蓄養マグロの出荷しゅっかりょうは、1鹿児島かごしまけんが2長崎ながさきけん以下いかおおきくはなしている。完全かんぜん養殖ようしょくによる生産せいさんはじまったばかりであり、現在げんざい流通りゅうつうしている養殖ようしょくのマグロはほぼ蓄養によるものである。これにたいし(前述ぜんじゅつ乱獲らんかく問題もんだいにもつらなるが)、稚魚ちぎょ乱獲らんかくになるという批判ひはんもある。

完全かんぜん養殖ようしょく 編集へんしゅう

2002ねん近畿大学きんきだいがく水産すいさん研究所けんきゅうじょが30年余ねんよかけて、商業しょうぎょうけて研究けんきゅうつづ世界せかいはじめてクロマグロの完全かんぜん養殖ようしょく成功せいこうし、2004ねんには市場いちばへと出荷しゅっか開始かいしされた(近大きんだいマグロ)。近畿大学きんきだいがく和歌山わかやまけん串本くしもとまち大島おおしま実験じっけんじょう奄美あまみ大島おおしま奄美あまみ実験じっけんじょう拠点きょてん技術ぎじゅつ開発かいはつすすめ、稚魚ちぎょ生産せいさんえたことと稚魚ちぎょ輸送ゆそう技術ぎじゅつ確立かくりつされたことなどから、2007ねん12月から自身じしん完全かんぜん養殖ようしょく稚魚ちぎょ人工じんこう孵化ふかだいさん世代せだい)をの蓄養業者ぎょうしゃ出荷しゅっかする事業じぎょう開始かいし[15]。2009ねんにはやく4まんひき稚魚ちぎょ育成いくせい内約ないやく3まんひき養殖ようしょく業者ぎょうしゃ出荷しゅっかしている[16](4まん日本にっぽんうみ漁獲ぎょかくされている幼魚ようぎょの10ぶんの1のりょう[17]今後こんごは、2010ねん現在げんざい3から5パーセントの稚魚ちぎょ生存せいぞんりつを10から20パーセント程度ていど向上こうじょうさせるのが目標もくひょうとなっている。また、マルハニチロは2015ねんやく1まんひき出荷しゅっか目指めざして完全かんぜん養殖ようしょくんでいる[18][16]。2020ねんまでには東南とうなんアジアへ2,000ひき輸出ゆしゅつ目標もくひょうとしている[19]

東京とうきょう海洋かいよう大学だいがく吉崎よしざき悟朗ごろうは、生殖せいしょくみき細胞さいぼう移植いしょくによってサバにマグロの配偶はいぐうつくらせることより、マグロを量産りょうさんする方法ほうほう研究けんきゅうすすめている。

生物せいぶつ濃縮のうしゅくによる汚染おせん 編集へんしゅう

食物しょくもつ連鎖れんさ頂点ちょうてんにある生物せいぶつには様々さまざま物質ぶっしつ生物せいぶつ濃縮のうしゅくにより蓄積ちくせきすることは以前いぜんからられており、海洋かいよう生物せいぶつのトップであるクジラやマグロも例外れいがいではない。マグロは小型こがたさかなより汚染おせん物質ぶっしつ濃度のうどたかいことも同様どうようられている。問題もんだいされることがある汚染おせん物質ぶっしつは、有機ゆうき水銀すいぎん(メチル水銀すいぎん)、ダイオキシンるい放射ほうしゃせい物質ぶっしつなどである[20]が、通常つうじょう食事しょくじにおいてはドコサヘキサエンさん (DHA) などの飽和ほうわ脂肪酸しぼうさんなどおお忌避きひする理由りゆうはない。

有機ゆうき水銀すいぎん 編集へんしゅう

メチル水銀すいぎん場合ばあいアメリカのアメリカ食品しょくひん医薬品いやくひんきょく (FDA) は、2003ねんにん授乳じゅにゅうちゅう女性じょせいおよび子供こどものマグロ摂取せっしゅりょう制限せいげん勧告かんこくおこなっている(6オンス=やく170 g/しゅう[21])。ニューヨークでは、2007ねんいくつかの寿司すし料理りょうりてんにおいて基準きじゅん水銀すいぎん検出けんしゅつされた[22]が、世界せかい水銀すいぎん汚染おせんすすんでいるということではなく、健康けんこう被害ひがいはないものの調査ちょうさ研究けんきゅうおこなうこととなっている[23]

それらのさわぎが発生はっせいするまえに、厚生こうせい労働省ろうどうしょうによる見解けんかいが2003ねんと2005ねんしめされている。2003ねん発表はっぴょうにおいて海外かいがい調査ちょうさ報告ほうこくおこなわれ、2005ねん発表はっぴょうではにん摂取せっしゅかんして言及げんきゅうしている。そこでは便宜べんぎてきにメチル水銀すいぎんたん水銀すいぎん表記ひょうきしている[24]

欧州おうしゅう食品しょくひん安全あんぜん機関きかん (EFSA) は、2014ねん12月19にち魚介ぎょかいるい/水産物すいさんぶつちゅうのメチル水銀すいぎん (methylmercury) のリスクと比較ひかくした魚介ぎょかいるい/水産物すいさんぶつ摂取せっしゅ便益べんえきかんする声明せいめいしょ』を採択さいたく[25]、その声明せいめいのなかで「出生しゅっしょうまえ神経しんけい発達はったつ毒性どくせいもとづき、メチル水銀すいぎんのTWIである1.3μみゅーg/kg体重たいじゅう/しゅう設定せっていした。また、幼児ようじ小児しょうにおよ妊娠にんしん可能かのう年齢ねんれい女性じょせいについては、メチル水銀すいぎん含有がんゆうりょうすくないさかなしゅ摂取せっしゅやすことによってさかなしょく便益べんえきることがのぞましい」などとした[25]

放射ほうしゃせい物質ぶっしつ 編集へんしゅう

おもに軟組織そしきひろまれて分布ぶんぷし、生物せいぶつ濃縮のうしゅくによりさかなしょくせいたかさかなしゅカツオマグロタラスズキなど)でのたか濃縮のうしゅくしめすデータがられているが、そこせい生物せいぶつおもえさとするさかなしゅカレイハタハタ甲殻こうかくるいあたまあしるい貝類かいるい)では比較的ひかくてき濃縮のうしゅくひくい。また大型おおがたさかなしゅほど、濃縮のうしゅくたかくなることが示唆しさされている。わかさかな高水たかみずあつしいき生息せいそくするさかなほど、代謝たいしゃ排出はいしゅつりょうおおくなるため蓄積ちくせきりょうすくないとかんがえられている。体内たいないまれる経路けいろは、えさがほとんどであるが、えらつうじて直接ちょくせつまれる経路けいろもあり、それぞれの経路けいろ比率ひりつについてのデータは不足ふそくしている[26]

食材しょくざい 編集へんしゅう

栄養えいよう 編集へんしゅう

くろまぐろ 赤身あかみ せい[27]
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 523 kJ (125 kcal)
0.1 g
1.4 g
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 0.25 g
一価いっか飽和ほうわ 0.29 g
あたい飽和ほうわ 0.19 g
26.4 g
ビタミン
ビタミンA相当そうとうりょう
(10%)
83 µg
チアミン (B1)
(9%)
0.10 mg
リボフラビン (B2)
(4%)
0.05 mg
ナイアシン (B3)
(95%)
14.2 mg
パントテンさん (B5)
(8%)
0.41 mg
ビタミンB6
(65%)
0.85 mg
葉酸ようさん (B9)
(2%)
8 µg
ビタミンB12
(54%)
1.3 µg
ビタミンC
(2%)
2 mg
ビタミンD
(33%)
5.0 µg
ビタミンE
(5%)
0.8 mg
ミネラル
ナトリウム
(3%)
49 mg
カリウム
(8%)
380 mg
カルシウム
(1%)
5 mg
マグネシウム
(13%)
45 mg
リン
(39%)
270 mg
鉄分てつぶん
(8%)
1.1 mg
亜鉛あえん
(4%)
0.4 mg
どう
(2%)
0.04 mg
セレン
(157%)
110 µg
成分せいぶん
水分すいぶん 70.4 g
コレステロール 50 mg
ビオチン(B7 1.9 µg

ビタミンEはαあるふぁ─トコフェロールのみをしめした[28]別名べつめい: まぐろ、ほんまぐろ、しび かわなし) 
%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい
マグロ(100 gなか)のおも脂肪酸しぼうさん種類しゅるい[29]
項目こうもく 分量ぶんりょう(g)
脂肪しぼう 4.9
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 1.257
14:0(ミリスチンさん 0.139
16:0(パルミチンさん 0.81
18:0(ステアリンさん 0.307
一価いっか飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 1.6
16:1(パルミトレインさん 0.162
18:1(オレインさん 0.924
20:1 0.277
22:1 0.237
あたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 1.433
18:2(リノールさん 0.053
18:4(ステアリドンさん 0.039
20:4(同定どうてい 0.043
20:5 n-3(エイコサペンタエンさん(EPA)) 0.283
22:5 n-3(ドコサペンタエンさん(DPA)) 0.125
22:6 n-3(ドコサヘキサエンさん(DHA)) 0.89

食中毒しょくちゅうどく 編集へんしゅう

サバなどと同様どうよう鮮度せんど低下ていかした場合ばあいヒスタミンさんせいきんによりヒスタミンが生成せいせいされ、喫食することで食中毒しょくちゅうどく発生はっせいする[30][31]

寄生虫きせいちゅう 編集へんしゅう

  • ヒラメ食中毒しょくちゅうどく事例じれい報告ほうこくされている寄生虫きせいちゅうクドアぞく粘液ねんえき胞子ほうしちゅうKudoa septempunctataきんえんKudoa grammatorcyniKudoa scomberomori[32]Kudoa neothunni[33]が、日本にっぽん近海きんかいさんのマグロからも検出けんしゅつされている。2014ねん時点じてんでマグロに寄生きせいするクドアぞく粘液ねんえき胞子ほうしちゅう食中毒しょくちゅうどく科学かがくてき証明しょうめいはされていないが[34]食中毒しょくちゅうどく報告ほうこく体制たいせい充実じゅうじつした2011ねんごろから原因げんいん不明ふめい食中毒しょくちゅうどく報告ほうこくされ[35]調査ちょうさからはメジマグロが原因げんいんかんがえられる症例しょうれい報道ほうどうされている[36]。なお、東京とうきょう健康けんこう安全あんぜん研究けんきゅうセンターからうたが事例じれいから Kudoa sp. BPT の検出けんしゅつ報告ほうこくされている[37]新潟にいがたけん事例じれいでは、Kudoa hexapunctata検出けんしゅつされている[38]

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく 編集へんしゅう

  1. ^ だいプリニウス『博物はくぶつ』にも用例ようれいがある。このかたり自体じたい古典こてんギリシア θύννος欧字おうじ転写てんしゃthýnnos仮名かめい転写てんしゃれい:テュンノス)からの不規則ふきそく借用しゃくよう

出典しゅってん 編集へんしゅう

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参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう

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  • 岩井いわいたもつさかながく入門にゅうもん恒星こうせいしゃ厚生こうせいかく、2005ねん3がつ25にちISBN 978-4-7699-1012-1 
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関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

外部がいぶリンク 編集へんしゅう

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