石炭せきたん紀き

地質ちしつ時代じだい - 顕あらわ生せい代だい

累代るいだい	代だい	紀きの	基底きてい年代ねんだい Mya
顕あらわ生せい代だい	新生代しんせいだい	第だい四よん紀き	2.58
		新しん第だい三紀みき	23.03
		古ふる第だい三紀みき	66
	中生代ちゅうせいだい	白はく亜紀あき	145
		ジュラ紀じゅらき	201.3
		三さん畳じょう紀き	251.902
	古生代こせいだい	ペルム紀き	298.9
		石炭せきたん紀き	358.9
		デボン紀き	419.2
		シルル紀おさむ	443.8
		オルドビス紀き	485.4
		カンブリア紀き	541
原生代げんせいだい			2500
太古たいこ代だい			4000
冥めい王代おうだい			4600

石炭せきたん紀き（せきたんき、Carboniferous period）は、地質ちしつ時代じだいの区分くぶんのひとつ。古生代こせいだいの後半こうはんで、デボン紀きの後のち、ペルム紀きの前まえの時代じだいを指さし、これはおおよそ現在げんざいより3億おく5920万まん年ねん前まえから2億おく9900万まん年ねん前まえまでの時期じきにあたる。この期間きかんはデボン紀き末まつの大量たいりょう絶滅ぜつめつからペルム紀き直前ちょくぜんの数すう百ひゃく万まん年ねんに及およぶ氷河ひょうが時代じだいで区切くぎられている。

名前なまえの由来ゆらいはこの時代じだいの地層ちそうから多おおく石炭せきたんを産さんすることによる。この地層ちそうから石炭せきたんを産さんするのは当時とうじ非常ひじょうに大おおきな森林しんりんが形成けいせいされていたことの傍証ぼうしょうとなる。

北米ほくべいでは石炭せきたん紀きの前半ぜんはんをミシシッピ紀き（Mississippian）、後半こうはんをペンシルベニア紀き (Pennsylvanian) と呼よぶ研究けんきゅう者しゃもいる。これらはおおよそ3億おく2300万まん年ねん前まえよりも前まえか後のちかで分わけられる。

生物せいぶつ

陸上りくじょうでは、シダ植物しょくぶつが発達はったつし、昆虫こんちゅうや両生類りょうせいるいが栄さかえた。この時代じだい、両生類りょうせいるいから陸上りくじょう生活せいかつに適応てきおうした有ゆう羊ひつじ膜まく類るいが出現しゅつげんし、やがて二ふたつの大おおきなグループが分岐ぶんきした。竜りゅう弓ゆみ類るい（鳥類ちょうるいを含ふくむ爬虫類はちゅうるいへとつながる系統けいとう）と単たん弓ゆみ類るい（哺乳類ほにゅうるいへと繋つながる系統けいとう）である。当時とうじの爬虫類はちゅうるいではヒロノムスなどが知しられている。また、パレオディクティオプテラやゴキブリの祖先そせんプロトファスマなど翅を持もった昆虫こんちゅうが初はじめて出現しゅつげんした。これらは史上しじょう初はじめて空そらへ進出しんしゅつした生物せいぶつである。

デボン紀きから引ひき続つづいて節足動物せっそくどうぶつの巨大きょだい化かも著いちじるしく、全長ぜんちょう45cmの巨大きょだいウミサソリ（メガラクネ）や翼つばさ長ちょう70cmの巨大きょだいオオトンボ（メガネウラ）、全長ぜんちょう2mの巨大きょだいヤスデ（アースロプレウラ）などが発見はっけんされている。これらの節足動物せっそくどうぶつは陸上りくじょう進出しんしゅつを果はたした両生類りょうせいるいや有ゆう羊ひつじ膜まく類るいの貴重きちょうな蛋白たんぱく源げんになったといわれている。逆ぎゃくに三さん葉虫はむしは衰おとろえてプロエトゥス目め（またはプロエタス目め）のみとなった。末期まっきには数すう百ひゃく万まん年ねんに渡わたる氷河ひょうが時代じだいが到来とうらいし多おおくの生物せいぶつが死滅しめつした。

巨大きょだいなシダ類るいが繁栄はんえいし、中なかでもリンボク（レピドデンドロン）は大おおきいもので直径ちょっけい2m、高たかさ38mのものが存在そんざいし、このような巨大きょだいなシダ類るいが湿地しっち帯たいに大だい森林しんりんを形成けいせいしていた。これらの巨木きょぼくは標準ひょうじゅん的てきなものでも20m〜30mの高たかさがあった。

アメリカのイリノイ州しゅうには石炭せきたん紀きの無む脊椎動物せきついどうぶつの化石かせきを多おおく産出さんしゅつする地層ちそうがあり、ここから発見はっけんされる動物どうぶつ群ぐんを特とくにメゾンクリーク動物どうぶつ群ぐんと呼よぶ。メゾンクリーク動物どうぶつ群ぐんには腕うで足あし類るいやウミユリなどが多おおく含ふくまれ、トリモンストラム・グレガリウム（トゥリモンストゥルム）など異様いような形態けいたいの動物どうぶつも見受みうけられる。

後期こうきにはエダフォサウルスなどの単たん弓ゆみ類るい（哺乳類ほにゅうるい型がた爬虫類はちゅうるい）が繁栄はんえいしていく。

環境かんきょう

多おおくの地域ちいきは年間ねんかんを通とおして季き節ぶしの変化へんかはあまりなく、1年ねん中ちゅう湿潤しつじゅんな熱帯ねったい気候きこうであったといわれる。一方いっぽうで南極なんきょくでは氷河ひょうがが形成けいせいされるなど、寒冷かんれい化かが進行しんこうしつつあった。石炭せきたん紀きには木材もくざいのリグニンを分解ぶんかいできる菌類きんるいが十分じゅうぶんに進化しんかしておらず森林しんりんの繁栄はんえいにより大量たいりょうの炭素たんそが石炭せきたんとして固定こてい化かされ、ペルム紀き初期しょきの大気たいき中なかの酸素さんそ濃度のうどは35%に達たっしたといわれる（現代げんだいは21%）。このことが動植物どうしょくぶつの大型おおがた化かを可能かのうにしたと考かんがえられている。
また、植物しょくぶつが繁栄はんえいしたことで大量たいりょうの二酸化炭素にさんかたんそが吸収きゅうしゅうされ、その多おおくが大気たいき中ちゅうに還元かんげんされずに石炭せきたん化かしていったため、大気たいき中ちゅうの二酸化炭素にさんかたんそ濃度のうどが激減げきげんした。これが寒冷かんれい化かと氷河ひょうがの発達はったつ、ひいては氷河ひょうが時代じだいの一因いちいんとされる。
単たん弓ゆみ類るい（哺乳類ほにゅうるい型がた爬虫類はちゅうるい）が一番いちばん栄さかえたのは石炭せきたん紀きに次つぐペルム紀き（2億おく9900万まん年ねん前まえから2億おく5100万まん年ねん前まえ頃ごろ）であり、高こう酸素さんそ下かで呼吸こきゅうに支障ししょうはなかった。その後ご、二酸化炭素にさんかたんそ低下ていかによる寒冷かんれい化かに伴ともなう植物しょくぶつの炭素たんそ固定こてい能のうの減退げんたい及および菌類きんるいによるリグニンの分解ぶんかいなどにより酸素さんそ濃度のうどは減少げんしょうし続つづけ、最終さいしゅう的てきにジュラ紀じゅらき前期ぜんきの約やく2億おく年ねん前まえには酸素さんそ濃度のうどは12%まで低下ていかした。哺乳類ほにゅうるい型がた爬虫類はちゅうるいの一部いちぶや哺乳類ほにゅうるいが獲得かくとくしていた横隔膜おうかくまく式しきの呼吸こきゅうは低てい酸素さんそ下かでは換気かんき能のうの低ひくさが問題もんだいとなった。鳥類ちょうるいは気嚢きのうを持もち、鳥類ちょうるいの祖先そせんである恐竜きょうりゅう（少すくなくとも竜りゅう盤ばん目め）も同様どうように換気かんき能のうの高たかい気嚢きのうを持もち、低てい酸素さんそ下かで支障ししょうがなかったと考かんがえられている。この低てい酸素さんそ環境かんきょうが哺乳類ほにゅうるい型がた爬虫類はちゅうるいの大だい部分ぶぶんの絶滅ぜつめつを引ひき起おこし、中生代ちゅうせいだいの恐竜きょうりゅうの発展はってんの一因いちいんとなったと考かんがえられている。

巨大きょだいな陸りく塊かたまりであるゴンドワナ大陸たいりくの南部なんぶが南極なんきょくにあったこともあり、ここには大だい規模きぼな氷河ひょうが（氷こおり床ゆか）が形成けいせいされていき、終盤しゅうばんに氷河ひょうが時代じだいが訪おとずれた。

地質ちしつ

地質ちしつ的てきにはバリスカン造山つくりやま運動うんどうの活動かつどう期きに当あたる。デボン紀きから存在そんざいしていたライク海うみ（リーク海うみ、レーイック海うみまたはミドローピアン海うみとも呼よぶ）はゴンドワナ大陸たいりくとユーラメリカ大陸たいりくにはさまれて末期まっきには消滅しょうめつし、これがやがて次つぎの時代じだいのパンゲア大陸たいりくとなる。ライク海うみの消滅しょうめつと歩調ほちょうをあわせるかのように生物せいぶつの陸上りくじょう進出しんしゅつも進すすんだ。

この他ほかにもシベリア大陸たいりく、カザフ大陸たいりく（カザフスタニア）などの小ちいさな大陸たいりくが存在そんざいしていた。

脚注きゃくちゅう

関連かんれん項目こうもく

• 地質ちしつ時代じだい - 顕あらわ生せい代だい - 古生代こせいだい

外部がいぶリンク

• “地質ちしつ系統けいとう・年代ねんだいの日本語にほんご記述きじゅつガイドライン　2014年ねん1月がつ改訂かいてい版ばん”. 日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい. 2014年ねん3月がつ19日にち閲覧えつらん。
• “INTERNATIONAL CHRONOSTRATIGRAPHIC CHART （国際こくさい年代層ねんだいそう序じょ表ひょう）” (PDF). 日本にっぽん地質ちしつ学会がっかい. 2016年ねん5月がつ9日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2014年ねん3月がつ19日にち閲覧えつらん。
• 仲田なかた崇志たかし (2009年ねん10月がつ29日にち). “地質ちしつ年ねん代表だいひょう”. きまぐれ生物せいぶつ学がく. 2011年ねん2月がつ14日にち閲覧えつらん。