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海水 - Wikipedia

海水かいすい(かいすい)とは、うみみずのこと[1]みず主成分しゅせいぶんとし、3.5 %程度ていどしお(えん)、微量びりょう金属きんぞくから構成こうせいされる。

海面かいめんじょうから海水かいすいシンガポール
スクーバダイビングなか海水かいすいふかあお(タイのシミランにて)

地球ちきゅううえ海水かいすいりょうやく13.7おく km3で、地球ちきゅうじょう水分すいぶんの97 %をめる。密度みつどは1.02 - 1.035 g/cm3

構成こうせい成分せいぶん

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海水かいすい塩分えんぶん濃度のうど測定そくてい位置いちにより一様いちようではないが、塩分えんぶん構成こうせいについてはほぼ一定いっていである。

このうち塩分えんぶんは、質量しつりょうパーセントで、

海水かいすいふくまれる主要しゅようイオン化学かがくしゅ以下いかとおりである。

海水かいすいふくまれる主要しゅようなイオン・化学かがくしゅ[3]
成分せいぶん  化学かがくしき 質量しつりょう% 溶質ようしつ%
ナトリウムイオン   1.0556 30.61
マグネシウムイオン   0.1272 3.69
カルシウムイオン   0.0400 1.16
カリウムイオン   0.0380 1.10
ストロンチウムイオン   0.0008 0.03
塩化えんかぶつイオン   1.8980 55.05
硫酸りゅうさんイオン   0.2649 7.68
臭化物しゅうかぶつイオン   0.0065 0.19
炭酸たんさん水素すいそイオン   0.0140 0.41
フッ化物ばけものイオン   0.0001 0.003
ホウさん   0.0026 0.07

海水かいすいちゅう硫酸りゅうさんイオンは植物しょくぶつプランクトンまれ、体内たいない有機ゆうき硫黄いおう化合かごうぶつであるジメチルスルフィドDMS、CH3SCH3)に還元かんげんされる。生理せいり作用さようにより生成せいせい排出はいしゅつされたDMSはなん溶性ようせい揮発きはつせいで、海水かいすいから大気たいき放出ほうしゅつされる[4]

塩分えんぶん

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大洋たいようとし平均へいきん表面ひょうめん塩分えんぶん濃度のうど[5]

上述じょうじゅつとおり、海水かいすいは3.5%程度ていど塩分えんぶんふくむ。これは、地球ちきゅう形成けいせいされ、うみ形成けいせいされた当時とうじ海水かいすい酸性さんせいであり、それにより地殻ちかくかし、アルカリ金属きんぞくアルカリるい金属きんぞくによって中和ちゅうわしたことによる。ただ、海水かいすい中性ちゅうせいになって以降いこうわずかながら地殻ちかくかしつづけており、これにより塩分えんぶん濃度のうど徐々じょじょ上昇じょうしょうつづけている。しかし氷河ひょうが時代じだいによる極地きょくちごおりかんむり成長せいちょう融解ゆうかいメルトダウンで多少たしょう上下じょうげがある。

海洋かいよう塩分えんぶん地球ちきゅうじょう観測かんそく場所ばしょにより3.1%から3.8%のばらつきがあり、海洋かいようにおいて一様いちようではない。とくに河口かこう氷河ひょうが崩落ほうらくする地域ちいきでは汽水されている。もっと塩分えんぶんたか外洋がいよう紅海こうかいであり、海水かいすい蒸発じょうはつりょうおおさ、降水こうすいすくなさ、河川かせん流入りゅうにゅう地形ちけいにより海水かいすいの攪拌がすくないことなどが影響えいきょうしている。

なお、しおみずうみにおいては、海水かいすいよりもさらに塩分えんぶんたか場合ばあいがある。もっとたかいのはうみであり、塩分えんぶん濃度のうどやく30%である。これらしおみずうみは、河川かせんから淡水たんすい流入りゅうにゅうするものの、蒸発じょうはつはげしく、流出りゅうしゅつする河川かせんことによって成立せいりつしている。河川かせん淡水たんすいわずかながら塩分えんぶんふくんでいるため、水分すいぶん蒸発じょうはつにより塩分えんぶん濃縮のうしゅくされるのである。河川かせんによるみず流入りゅうにゅうはあっても流出りゅうしゅつがないという意味いみでは、しおうみおなじである。

塩分えんぶん生物せいぶつ

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塩分えんぶん摂取せっしゅのため海水かいすいうしエストニアKesselaidとう海岸かいがん

塩分えんぶん組成そせい比率ひりつはヒトの体液たいえきとほぼおなじであるとまことしやかにわれることもある(一部いちぶ天然てんねんしお宣伝せんでんなど)が、ヒト生体せいたい塩分えんぶん濃度のうどやく0.9%であり、海水かいすい塩分えんぶん濃度のうど生体せいたいよりもかなりたかい。大量たいりょうまないかぎがいはないが、塩分えんぶんおお浸透しんとうあつたかすぎるため水分すいぶん摂取せっしゅにはてきさない。また、体質たいしつによりマグネシウムイオンにたいして敏感びんかん場合ばあい下痢げり原因げんいんとなる。

ただしかい生息せいそくする哺乳類ほにゅうるいなかには海水かいすい適応てきおうしているたねもあり、ラッコはカワウソるい平均へいきんの2ばいものおおきさの腎臓じんぞうにより海水かいすい塩分えんぶん濾過ろかできるため、水分すいぶん補給ほきゅうのためにむことが出来できる。またアオバトなどうみちか場所ばしょ生息せいそくする動物どうぶつは、塩分えんぶん摂取せっしゅ目的もくてきとしてたねもある。ヒト水分すいぶん蒸発じょうはつさせて固体こたい食塩しょくえん採取さいしゅするか、過去かこうみだった陸地りくちにおいて岩塩がんえん採取さいしゅ摂取せっしゅする。

塩分えんぶん組成そせい比率ひりつについては、現在げんざい塩分えんぶん濃度のうどよりも、その生物せいぶつまれた当時とうじ海水かいすい塩分えんぶん濃度のうど組成そせいちかいとえる[6]硬骨魚こうこつぎょるいふくおおくの脊椎動物せきついどうぶつ塩分えんぶん濃度のうどは0.8-0.9%前後ぜんごであり、これは4おくねんぐらいまえ海水かいすい塩分えんぶん濃度のうどちかいとかんがえられている[7]脊椎動物せきついどうぶつ登場とうじょうが5おく4200まんねんまえ脊椎動物せきついどうぶつ両生類りょうせいるい)の上陸じょうりくが3おく6000まんねんまえわれている。一方いっぽう硬骨魚こうこつぎょるいことなり淡水たんすいでの進化しんか経験けいけんしていない軟骨なんこつ魚類ぎょるいクラゲイソギンチャクなどのとげ動物どうぶつかいやイカ・タコなどの軟体動物なんたいどうぶつ、ウニやヒトデなどの棘皮動物きょくひどうぶつホヤるい甲殻こうかくるいなどの脊椎動物せきついどうぶつについては、体液たいえき海水かいすいとほぼおな組成そせいで、浸透しんとうあつ海水かいすいとうはりである。 ただし、過去かこすうおくねん海水かいすい塩分えんぶん濃度のうどについては現在げんざいよりもたかかったという見方みかた存在そんざいする[8][9]

炭素たんそ循環じゅんかん

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炭素たんそ循環じゅんかんにおいて海洋かいよう非常ひじょう重要じゅうようなリザーバーであり、とくに深海しんかい地球ちきゅうじょうでもっとも炭素たんそ保持ほじりょうおおい。

塩分えんぶん・ミネラルのもと
塩分えんぶん・ミネラルの摂取せっしゅ目的もくてきとしてそのまま飲用いんようするれいすくない。海岸かいがん付近ふきん住民じゅうみん船舶せんぱくじょうにおいて、調理ちょうり使つかみず海水かいすいもちいて適度てきど塩味しおあじをつける場合ばあいがある。
だつしおした海洋かいよう深層しんそうすい製品せいひんとして販売はんばいされることがあり、ミネラル摂取せっしゅ目的もくてきにも使つかわれる。
上述じょうじゅつとおり、海水かいすい水分すいぶん摂取せっしゅ使用しようするには塩分えんぶん濃度のうどたかぎるため、そのままではなく、古来こらいより水分すいぶん乾燥かんそうさせ、食塩しょくえん精製せいせいするための原料げんりょうとして使つかわれる。
現在げんざいでは、工業こうぎょう原料げんりょうとしてアルカリ金属きんぞくやアルカリるい金属きんぞく臭素しゅうそ用途ようと比率ひりつが、食塩しょくえん用途ようとよりもおおきくなっている。
なお、希少きしょう微量びりょう金属きんぞくリチウムコバルトチタンウランなど)をも含有がんゆうしているため、現在げんざい海水かいすいからそれらを回収かいしゅうする技術ぎじゅつ開発かいはつ途上とじょうにあるが、きわめて微量びりょうであるため、現在げんざいところ採算さいさんせいのある手法しゅほう発明はつめいされていない。
真水まみずのもと
しま乾燥かんそう地帯ちたいなど、水不足みずぶそく深刻しんこく地域ちいきでは、ぎゃく浸透しんとうまくなどを利用りようした海水かいすい淡水たんすい装置そうち海水かいすい真水まみずにして、生活せいかつ用水ようすいとして使用しようしている。アラブ首長しゅちょうこく連邦れんぽうなどでは、石油せきゆつくった電力でんりょく淡水たんすい大々的だいだいてきって貴重きちょう真水まみずている。これらのくにでは(一般いっぱんに)、リットルあたりの単価たんかは、石油せきゆよりみずのほうがたかい。シンガポールでもハイフラックスしゃ淡水たんすい設備せつびち、マレーシアから輸入ゆにゅうしているみず資源しげんのバックアップにしている。
バラスト
タンカーなどの貨物かもつせんは、積荷つみにがないときにバランスをとるため、船底ふなそこ海水かいすいんでバラストすいとして利用りようしている。
生活せいかつ用水ようすい
風呂ふろすい
船舶せんぱく艦船かんせんぐん用船ようせん)・漁船ぎょせん)などでは、海水かいすい風呂ふろすいとしてかして使つかっている場合ばあいが(多々たた)ある。真水まみず備蓄びちくするのに限界げんかいがあるため。海水かいすいあたたかいはいり、風呂ふろあがりに、身体しんたい表面ひょうめん塩分えんぶんをなくすために真水まみずふくませたタオルでいたり、あるいは、ごく少量しょうりょう真水まみずでさっとながす。
海水かいすいがミネラルをふくことから、温泉おんせん同様どうよう人体じんたいにも好影響こうえいきょうであるとして、その目的もくてき海水かいすい風呂ふろすいとして積極せっきょくてきもちいるれいもある。東京とうきょう品川しながわ東品川ひがししながわ存在そんざいする銭湯せんとうの「海水かいすい」は、創業そうぎょう近所きんじょ東京とうきょうわん運河うんがから海水かいすいげて風呂ふろみず利用りようしていた。現在げんざいでも、大阪おおさかさかいには沖合おきあいからパイプでげた海水かいすい使用しようしたしお浴槽よくそう銭湯せんとう営業えいぎょうしている。
トイレ洗浄せんじょうすい
慢性まんせいてき水不足みずぶそく香港ほんこんでは、水洗すいせんトイレ洗浄せんじょうすいとして海水かいすい利用りようしており、建物たてものには飲用いんようすいと2系統けいとう給水きゅうすい系統けいとうもうけている。海水かいすいふくまれるヤコウチュウがそのままトイレにはいんで、トイレのみずひか現象げんしょうきる場合ばあいがある。
フェリーひとし船舶せんぱくでも、水洗すいせんトイレの洗浄せんじょうすいとして海水かいすい利用りようしている。
冷却れいきゃくすい
工業こうぎょう施設しせつにおいて大量たいりょう冷却れいきゃくすい必要ひつようとする場合ばあい海水かいすいをその目的もくてきもちいるため、施設しせつ海岸かいがん設置せっちされるれいおおい。これら工業こうぎょう施設しせつからの排水はいすいは、周囲しゅうい海水かいすいより2から4程度ていどたかく(ゆたか排水はいすい)、海中かいちゅう生物せいぶつ影響えいきょうあたえるおそれもある。火力かりょく発電はつでん原子力げんしりょく発電はつでんなどの汽力発電はつでんでは、タービンまわした蒸気じょうきみずもどすための冷却れいきゃくもちいられることがある。タービンをまわ系統けいとうでは真水まみず循環じゅんかんし、冷却れいきゃく系統けいとう海水かいすいとはふくすい隔壁かくへきごしにねつのみを交換こうかんし、直接ちょくせつざらない。
加熱かねつ
天然てんねんガス受入うけいれ基地きちでは、輸入ゆにゅうしたLNGさいガスするために海水かいすいもちいることがおおい。LNGはちょう低温ていおん液化えきかガスのため、おおくのくにでは海水かいすいとの温度おんど気化きかすることができる。

人間にんげん経済けいざい活動かつどうともな排出はいしゅつぶつ自然しぜん環境かんきょうちゅうへの投棄とうき化学かがくプラント・船舶せんぱく事故じこ自然しぜん環境かんきょう変化へんか連動れんどうしたものなどにけられる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ デジタル大辞泉だいじせん海水かいすい
  2. ^ 世界せかいしお資源しげん海水かいすい成分せいぶん世界せかいしお資源しげん分布ぶんぷ - たばことしお博物館はくぶつかん
  3. ^ 松井まつい義人よしひといちこく雅巳まさみ やく 『メイスン 一般いっぱん地球ちきゅう化学かがく』 岩波書店いわなみしょてん、1970ねん
  4. ^ 海洋かいようからの生物せいぶつ起源きげん硫黄いおう化合かごうぶつ濃度のうど分布ぶんぷ気候きこう変動へんどうへの影響えいきょう
  5. ^ World Ocean Atlas 2009. nodc.noaa.gov
  6. ^ http://plaza.umin.ac.jp/~histsite/fluidtxt.pdf[リンク]
  7. ^ 原始げんし海洋かいよう人間にんげん血液けつえきちゅうでもフジツボが成育せいいくする”. 2010ねん8がつ23にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2022ねん5がつ21にち閲覧えつらん
  8. ^ How Salty Has The Sea Been Over the Past 541 Million Years? – Aliosha Pittaka Bielenberg”. 2022ねん5がつ21にち閲覧えつらん
  9. ^ Spice world — Earth’s early oceans may have been heavy on the salt”. 2022ねん5がつ21にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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