火力 発電
CO2や
分類
- 汽力
発電 燃料 をボイラーで直接 燃焼 し、高温 ・高 圧 の蒸気 を発生 させ、蒸気 タービンを回 して発電 する方式 [4]。石油 、天然 ガス、高炉 ガス、石炭 、コークス、木質 チップなど多種 多様 の燃料 を使用 することができる。直接 燃焼 式 のバイオマス発電 や廃棄 物 発電 もこの発電 方式 である主 蒸気 の温度 や圧 力 により変 わるが、発電 端 熱 効率 は35-45%程度 (LHV)である狭義 の汽力発電 は燃料 燃焼 による火力 発電 のみを指 すが、広義 には原子力 発電 や地熱 発電 、太陽熱 発電 も含 まれる- ガスタービン
発電 空気 圧縮 機 で圧縮 空気 を作 り、燃焼 器 で燃料 を燃焼 させ、発生 した高温 ・高 圧 の燃焼 ガスを直接 ガスタービンに吹 き付 けて発電 する方式 [4]。高速 回転 するガスタービンに直接 燃焼 ガスを吹 き付 けるため、天然 ガスや不純物 の少 ない軽質 燃料 (軽油 や灯油 など)しか使用 することが出来 ない[4]。- ガスタービン
単独 での発電 端 効率 は40%未満 であることから[5]、単独 で常用 されることは少 なく、汽力発電 と組 み合 わせたコンバインドサイクル発電 や、非 常用 発電 として使用 されることが多 い。 - コンバインドサイクル
発電 (CC:Combined Cycle) 内燃 機関 の排 熱 で汽力発電 を行 う複 合 発電 の方式 。内燃 機関 としては主 にガスタービンが使用 され、この場合 はガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC:Gas Turbine Combined Cycle)と呼 ばれる[6]。- ガスタービンを
回 した後 の排気 は500~600℃程度 と高温 であることから、ガスタービン排気 の熱 を回収 する排 熱 回収 ボイラ(HRSG:Heat Recovery Steam Generator)を下流 に設置 し、蒸気 を作 って蒸気 タービンを駆動 させる。ガスタービンと蒸気 タービンを組 み合 わせることにより、発電 端 熱 効率 を50-60%程度 (LHV)にまで高 めており、日本 の西 名古屋 火力 発電 所 で世界 最高 効率 である63%(LHV)を達成 している[7]。また、2023年 現在 、三菱重工 の最 新鋭 J形 ガスタービンを適用 したプラントの発電 効率 は、世界 最高 水準 を更新 して64%以上 を達成 している[8]。 内燃 力 発電 内燃 機関 で燃料 を燃焼 させて発電 機 を駆動 させる方式 [9]。ガスタービンエンジン式 とレシプロエンジン式 に大別 されるが、内燃 力 発電 所 といった場合 には後者 を指 すことが一般 的 である。- レシプロエンジンとしてはディーゼルエンジンやガスエンジン、ガソリンエンジンなどが
用 いられている。軽油 、重油 、液化 石油 ガス(LPガス)、天然 ガスなど多 種類 の燃料 を用 いることが出来 る。島嶼 用 の発電 設備 として広 く使用 されており、出力 は数 十 kWの小規模 なものから1万 kW程度 の中 容量 のものまで様々 ある[9]。
また、
燃料 電池 発電 燃料 の持 つ化学 エネルギーを直接 電気 エネルギーに変換 する発電 である。使用 温度 により固体 高分子 形 (PEFC)、リン酸 形 (PAFC)などの低温 型 燃料 電池 と溶融 炭酸 塩 形 (MCFC)、固体 酸化 物 形 (SOFC)などの高温 型 燃料 電池 に分類 される。この内 、高温 型 の固体 酸化 物 燃料 電池 (SOFC)をガスタービン・コンバインドサイクル発電 に組 み込 むトリプル複 合 発電 の実証 試験 が検討 されている。石炭 ガス化 複 合 発電 (IGCC : Integrated coal Gasification Combined Cycle)石炭 をガス化 し、ガスタービン・コンバインドサイクルで発電 を行 う方式 。天然 ガスより埋蔵 量 の多 い石炭 で、従来 型 の汽力発電 方式 に比 べて更 なる発電 効率 向上 を目指 したシステムである。実証 試験 プラントでの試験 は成功 し、国内 では2013年 より勿来 発電 所 10号機 で商用 プラントの運転 が始 まった[10]ほか、大崎 発電 所 においても、2017年 より酸素 吹IGCC実証 機 が稼働 している。- トリプル
複 合 発電 - ガスタービン・コンバインドサイクル
発電 と固体 酸化 物 燃料 電池 (SOFC)を組 み合 わせた複 合 発電 方式 である。天然 ガスを燃料 とした場合 の発電 端 熱 効率 は66%(HHV)に達 する。石炭 ガス化 複 合 発電 (IGCC)と組 み合 わせたものは特 に石炭 ガス化 燃料 電池 複 合 発電 (IGFC:Integrated coal Gasification Fuel Cell combined cycle)と呼 ばれる。IGFCは究極 の高 効率 石炭 火力 発電 方式 と言 われ、現状 の石炭 火力 発電 (汽力発電 方式 )を大 きく上回 る発電 端 熱 効率 (HHVで55%程度 )が期待 でき[11]、石炭 資源 のより効率 的 な利用 が可能 となる。2021年度 より大崎 発電 所 にて実証 試験 プラントでの試験 が計画 されている[12]。 - バイオマス
発電 - バイオマスを
利用 する発電 である。利用 形態 として直接 燃焼 する汽力発電 方式 と、バイオマスをガス化 してからガスタービン・コンバインドサイクル発電 へ利用 する方式 がある。現在 の主流 方式 は前者 であるが、後者 も徐々 に利用 が広 がっている。 水素 タービン発電 燃料 に水素 ガスを利用 したガスタービン発電 またはガスタービン・コンバインドサイクル発電 である。水素 ガスと天然 ガスを混合 燃焼 させる方式 と水素 ガス100%の方式 がある。熱 電 発電 金属 中 の温度 差 により起電 力 が生 じるゼーベック効果 を利用 した発電 である。燃焼 ガスの最終 排気 や復 水 器 の冷却 水 など低温 で利用 しにくい排 熱 の回収 方法 として、火力 発電 の補助 発電 への組 み込 みが考 えられている。- MHD
発電 高温 のプラズマを発生 させ、ファラデーの電磁 誘導 の法則 を利用 して発電 する。
主 な設備
ボイラー
なお、
ガスタービン
ガスタービン
ガスタービンは
コンバインドサイクル
蒸気 タービン
なお、
復 水 器
発電 機
主 変圧 器
煤煙 処理 設備
集 塵 装置 :煤塵 の排出 量 を低減 する。静電気 の力 を利用 して分離 、捕 集 する電気 式 集 塵 装置 が主 に採用 される。排煙 脱硝 装置 :窒素 酸化 物 (NOx) の排出 量 を低減 する。選択 触媒 還元 脱硝 装置 (乾式 アンモニア接触 還元 法 )が主 に採用 される。排煙 脱硫 装置 :硫黄 酸化 物 (SOx) の排出 量 を低減 する。湿式 石灰 石膏 法 が主 に採用 される。
なお、LNG(
また、
煙突
燃料
長所 と短所
長所
安定 した電力 を供給 可能 である。太陽光 発電 や風力 発電 は変動 が多 いため、発電 量 が少 ない場合 のバックアップとして補完 することができる[21]。再生 エネルギーで水 から生成 した水素 を活用 できれば[18]、デメリットである環境 負荷 を抑 えられる。電力 需要 の変化 に対応 できる[21]。原子力 発電 や太陽光 発電 、風力 発電 と違 い、刻々 と変化 する需要 に応 じて発電 量 を柔軟 に調整 でき[22]、水力 発電 と比 べても長 く調整 ができる[21]。ただし、揚水 発電 や、南 オーストラリア州 では大 規模 のエネルギー蓄電 施設 により75%電気 代 が値下 げされ約 45億 円 の節約 につながる等 、蓄電 技術 の向上 等 により出力 や需要 の変動 の問題 は解決 できる可能 性 がある[23]。万 一 事故 を起 こしても、被害 は局所 的 なものにとどまることが多 い。但 し台風 などがオイルタンク破壊 と結 びつく場合 、生態 破壊 や土壌 汚染 などは他 の発電 に比 べて、大 きく長期 的 なものになる(その災害 の規模 に依存 する)。石油 火力 発電 所 は1979年 以降 、新規 建設 が禁止 されている。
短所
大気 汚染 と環境 破壊
日本 は省 エネが進 み、経済 協力 開発 機構 (OECD)平均 よりもエネルギーの消費 効率 が高 いにもかかわらず、国民 一 人 あたりのCO2(2016年 )を比較 したところ、9.0トンとOECD35カ国 中 27位 で平均 (7.6トン)よりも多 く、政府 は火力 発電 に頼 る供給 側 に弱 みがあると分析 している[24]。
特 に石炭 火力 発電 は二酸化炭素 排出 量 が、天然 ガスを使 う同 規模 の火力 発電 の約 2倍 多 く、欧州 諸国 やカナダが廃止 していく方針 を打 ち出 すなど、「脱 石炭 」の流 れが世界 で強 まっている[25]。地球 温暖 化 をパリ協定 の目標 である1.5°Cまたは2°C未満 に保 つには、数 百 から数 千 の石炭 火力 発電 所 を早期 に廃止 する必要 がある[26]。国連 事務 総長 アントニオ・グテーレスは各国 に化石 燃料 への補助 金 を削減 し、新規 の石炭 火力 発電 所 の建設 中止 をくり返 し求 めているが、環境 NGO気候 ネットワークの調査 によると、日本 では2019年 時点 で約 100基 の石炭 火力 発電 所 が稼働 中 で、計画 中 (建設 中 含 む)の22基 が稼働 すればさらに年 7474万 トンが排出 される。この石炭 火力 発電 をめぐり、日本 の安倍晋三 首相 とオーストラリアのスコット・モリソン首相 は、米 ニューヨークで2019年 9月 23日 に開 かれた国連 気候 行動 サミットで演説 を要望 したが、認 められなかった。サミットに合 わせて、石炭 を使 った発電 を続 ける日本 に対 する抗議 デモも開 かれた[27][28][29]。
経済 的 リスク
英国 のシンクタンクOverseas Development Instituteおよびその他 11のNGOは、人口 のかなりの割合 が電力 にアクセスできない国 での新 しい石炭 火力 発電 所 の建設 の影響 に関 するレポートを2016年 10月 に発表 している。報告 書 は、石炭 火力 発電 所 の建設 は貧困 層 をほとんど助 けず、むしろより貧 しくする可能 性 があると結論 付 けている[30][31]。
- 2019
年 10月 6日 、東京大学 と英 シンクタンクのカーボントラッカー、機関 投資 家 が運営 するカーボン・ディスクロージャー・プロジェクトは、日本 では再生 可能 エネルギーのコスト低下 によって、洋上 風力 発電 、太陽光 発電 、陸上 風力 発電 のコストはそれぞれ2022年 、23年 、25年 までに新規 計画 中 の石炭 火力 発電 よりも安 くなり、石炭 火力 発電 関連 施設 には最大 710億 ドル相当 の「座礁 資産 化 リスク」があるとの調査 報告 書 を公表 した[32]。
二酸化炭素 回収 ・貯蔵 技術 は各国 で開発 が進 められており技術 的 に実現 可能 であるが、太陽光 発電 技術 のコストが低下 しているため、石炭 との併用 は経済 的 に実行 可能 ではないことの試算 もある[33]。
火力 発電 には大量 の化石 燃料 を必要 とするが、日本 の2018年 の化石 燃料 の海外 依存 度 は、石油 99.7%、LNG(液化 天然 ガス)97.5%、石炭 99.3%となっており、そのほとんどを海外 からの輸入 に頼 っている[34]。そのため、エネルギーコストがかかり、国際 的 な燃料 価格 の影響 を受 けやすく、化石 燃料 が値上 がりすると、貿易 赤字 や電気 代 値上 がりで膨大 な国民 損失 を発生 させる[35]。国内 の投資 ・雇用 誘発 効果 が低 い。ただし、六本木 エネルギーサービスのように街 全体 の再 開発 の中 で、都市 ガスから電気 と熱 を供給 して多 くの雇用 を生 んでいる例 もある[36]。
事故死
脚注
注釈
- ^
水力 及 び原子力 については、全 て発電 過程 での事故 による死亡 者 数 。発電 所外 の死亡 は含 まれない
出典
- ^
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図解 入門 よく分 かる最新 火力 発電 の基本 と仕組 み』、p10 - ^ 『
図解 入門 よく分 かる最新 火力 発電 の基本 と仕組 み』、p26 - ^ ガスタービン・コンバインドサイクル
発電 プラント(GTCC)は、化石 燃料 を使用 した最 もクリーンかつ高 効率 な発電 設備 です。 - ^ 「
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参考 文献
- 『
図解 入門 よく分 かる最新 火力 発電 の基本 と仕組 み』秀和 システム、2011年 、ISBN 978-4-7980-3062-3 - 『
三菱重工 技 報 』原動機 特集 、新 技術 特集 日立 評論 デジタルアーカイブ最近 の火力 ・水力 発電 技術 、電力 ・エネルギー分野 の最新 技術 産業 技術 史 資料 情報 センター技術 の系統 化 調査 報告 書 (電気 ・電力 関連 、自動車 ・船 ・一般 機械 関連 )
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