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ガソリンエンジン - Wikipedia

ガソリンエンジン

ガソリンを使用しようする内燃ないねん機関きかん

ガソリンエンジンえい: gasoline engine)は、ガソリン機関きかんともいい、燃料ねんりょうであるガソリン空気くうき混合こんごう圧縮あっしゅくしたあと点火てんか燃焼ねんしょう混合こんごう燃焼ねんしょう)・膨張ぼうちょうさせるという行程こうていかえし、運動うんどうエネルギー出力しゅつりょくする内燃ないねん機関きかんである。

4ストロークエンジン
 (1)吸入きゅうにゅう
 (2)圧縮あっしゅく
 (3)燃焼ねんしょう膨張ぼうちょう
 (4)排気はいき
4ストローク機関きかんのシリンダー周辺しゅうへん構造こうぞう
  C – クランクシャフト
  E排気はいきカムシャフト
  I吸気きゅうきカムシャフト
  P – ピストン
  R – コネクティングロッド
  S点火てんかプラグ
  V – バルブ  あか排気はいきようあお吸気きゅうきよう 
  W冷却れいきゃくすいジャケット
  灰色はいいろ部分ぶぶんはシリンダーブロック

概要がいよう 編集へんしゅう

ガソリンを燃焼ねんしょうさせるそともえ機関きかんもあるため(そともえ機関きかん基本きほんてき熱源ねつげんえらばない)、より厳密げんみつに「ガソリンを使つかって火花ひばなにより点火てんかするエンジン」を表現ひょうげんしたいときは、「ガソリン火花ひばな点火てんかしき内燃ないねん機関きかん」とぶ。 火花ひばな放電ほうでんにより点火てんかすることから火花ひばな点火てんか内燃ないねん機関きかん火花ひばな点火てんかエンジンとかれることもあるが、火花ひばな点火てんか燃料ねんりょうガスなどによるエンジンも同様どうようであるため、より幅広はばひろ意味合いみあいになる。模型もけいようガソリンエンジンの一部いちぶおよびマグネトー開発かいはつ以前いぜんのガソリンエンジン開発かいはつ初期しょきにはグロープラグ点火てんかによる「ガソリングローエンジン」もある。

ほとんどは、ピストン往復おうふく運動うんどうさせてコンロッドクランクシャフト回転かいてんじく出力しゅつりょくするレシプロエンジンであり、行程こうていかずによりさら分類ぶんるいされる。 吸気きゅうき圧縮あっしゅく膨張ぼうちょう排気はいきの4つの行程こうていをとる4ストローク機関きかんおも使つかわれるサイクルはオットーサイクルである。燃焼ねんしょう混合こんごう体積たいせき最小さいしょうになるうえてん付近ふきん短時間たんじかん一気いっきおこなわれるため、容積ようせきがほぼ一定いってい燃焼ねんしょうする。このためていせき燃焼ねんしょうサイクル、または開発かいはつしゃ名前なまえからオットーサイクルとばれる。かつてマツダスーパーチャージャーミラーサイクル機関きかん実用じつようした。トヨタハイブリッドカーであるプリウスのエンジンはアトキンソンサイクル機関きかんしょうしているが、そのうちのミラーサイクル機関きかんである。 吸気きゅうき圧縮あっしゅく膨張ぼうちょう排気はいきの2つの行程こうていをとる2ストローク機関きかんはクラークサイクルである。 ごく少数しょうすうではあるが、6つの行程こうてい6ストローク機関きかん存在そんざいする。

に、往復おうふく運動うんどうともなわないロータリーエンジン実用じつようされている。

気筒きとうあたりの行程こうてい容積ようせきが600mL程度ていどえるとねつ効率こうりつわるくなるので、だい出力しゅつりょく仕事率しごとりつ)エンジンは気筒きとうでなければならない[1]ディーゼルエンジン圧縮あっしゅく着火ちゃっかエンジン)よりも、高速こうそく回転かいてん可能かのうで、排気はいきりょうあたりの出力しゅつりょくおおきく、振動しんどう騒音そうおんちいさくしずかであり、しょう出力しゅつりょくてきしている。乗用車じょうようしゃをはじめ小型こがた商用しょうようしゃ自動じどうりんしゃなどにひろ利用りようされる。かつては航空機こうくうきように1,000馬力ばりき以上いじょう気筒きとうエンジンがもちいられたこともあったが、だい世界せかい大戦たいせんのちジェットエンジン普及ふきゅうにより姿すがたし、今日きょうでは小型こがたのものがけい飛行機ひこうきなどにもちいられるにとどまる。また寒冷かんれいにはディーゼルエンジンよりもてきしているため、該当がいとう地域ちいき運用うんようされる軍用ぐんようしゃには優先ゆうせんてきもちいられていた。

意図いとして圧縮あっしゅく着火ちゃっかこさせる一部いちぶのエンジンを例外れいがいとして、圧縮あっしゅくちゅうきりじょう気化きかガソリンが自己じこ着火ちゃっかしノッキングをこすと、不完全ふかんぜん燃焼ねんしょうやエンジンがいたむなど不都合ふつごうなので、どう排気はいきりょうどう燃料ねんりょう消費しょうひりょうから出力しゅつりょく向上こうじょうさせるべく圧縮あっしゅくげるには、自己じこ着火ちゃっかがたい=オクタン価おくたんかたかいガソリンを使用しようすること必要ひつようとなる。そのためかつてはよんアルキルなまりなど有機ゆうきなまり化合かごうぶつ添加てんかされていたが、環境かんきょう安全あんぜんせい観点かんてんから航空機こうくうきようなどをのぞいてほとんどのくに禁止きんしされ、わりのアンチノックざい添加てんかされるようになった。排気はいきガスには有毒ゆうどく成分せいぶんおおふくまれているが、制御せいぎょ後処理あとしょり容易ようい安価あんか削減さくげんでき、排気はいきガス有毒ゆうどく成分せいぶん規制きせい開始かいし直後ちょくごには各種かくしゅ方式ほうしきためされたが、そのさんげん触媒しょくばい方式ほうしき収斂しゅうれんした。前述ぜんじゅつよんアルキルなまりなど有機ゆうきなまり化合かごうぶつは、この触媒しょくばい機能きのうそこなうので禁止きんしされた事情じじょうもある。

構造こうぞう 編集へんしゅう

4ストローク機関きかん主要しゅよう部分ぶぶんは、以下いかかく部品ぶひん構成こうせいされる。

シリンダーブロック
おも鋳鉄ちゅうてつせいまたはアルミニウム合金ごうきんせいのブロックで、内部ないぶにシリンダーのほか冷却れいきゃくすい潤滑油じゅんかつゆ通路つうろもうけられている。 冷却れいきゃくすいもちいず、外側そとがわにフィンをもうけた空冷くうれい方式ほうしきもある。
ピストン
おもにアルミニウム合金ごうきんせい円筒えんとう形状けいじょう部品ぶひんで、シリンダない往復おうふく運動うんどうおこなう。圧縮あっしゅく工程こうていでは上昇じょうしょうしながら燃焼ねんしょうしつない混合こんごう圧縮あっしゅくし、燃焼ねんしょう行程こうていでは燃焼ねんしょう圧力あつりょくけながら下降かこうし、そのちからをコンロッドにつたえる。排気はいき工程こうていでは上昇じょうしょうしながら燃焼ねんしょう排気はいきをシリンダがいおくし、吸気きゅうき工程こうていでは下降かこうしながらあたらしい混合こんごうをシリンダない吸入きゅうにゅうする機能きのうつ。ねつ伝導でんどうせいすぐれ、ねつ膨張ぼうちょうちいさく軽量けいりょうなものがのぞまれる。 おおくの場合ばあい燃焼ねんしょうしつがわ側面そくめんみぞられ、複数ふくすうピストンリングめられ気密きみつせい向上こうじょうさせ、オイルがり・オイルがりを実用じつようてき範囲はんいめる。
コネクティングロッド
ピストンとクランクシャフトを連結れんけつし、ピストンの上下じょうげ運動うんどうをクランクシャフトの回転かいてん運動うんどう変換へんかんする。材料ざいりょうにはクロームモリブデンこう炭素たんそこうもちいられる。
クランクシャフト
ピストンの上下じょうげ運動うんどう回転かいてん運動うんどう変換へんかんする。クランクシャフトの回転かいてん運動うんどうは、エンジンの出力しゅつりょくすだけでなく、カムシャフトやオイルポンプなど、エンジン自体じたい構成こうせいする部品ぶひんるい駆動くどうりょく発生はっせいする。
吸気きゅうきバルブ
インテークマニホールドとシリンダーのあいだもうけられたバルブで、エンジンが吸気きゅうき行程こうていうつったときにひらくことにより、混合こんごうをシリンダーない導入どうにゅうする。
排気はいきバルブ
エキゾーストマニホールドとシリンダーのあいだもうけられたバルブで、エンジンが排気はいき行程こうていうつったときにひらくことにより、燃焼ねんしょう排気はいきをシリンダーがい排出はいしゅつする。
カムシャフト
吸気きゅうきバルブ、排気はいきバルブを適切てきせつなタイミングで開閉かいへいするためのカムをつシャフトで、かくバルブの開閉かいへいタイミングは、クランクシャフトの回転かいてんつたえるタイミングベルトにより決定けっていされる。
点火てんかプラグ
電気でんきてき発生はっせいさせた火花ひばな赤熱しゃくねつにより、圧縮あっしゅくされた混合こんごう点火てんかする。
キャブレター燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち
エンジンが吸気きゅうきする空気くうきにガソリンを混合こんごうさせ、燃焼ねんしょうする混合こんごうにする。燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち燃焼ねんしょうしつないにガソリンを噴霧ふんむする場合ばあいもある。
ラジエーター
エンジンのきを防止ぼうしするため、シリンダーを冷却れいきゃくする冷却れいきゃくすいからねつ空中くうちゅう発散はっさんさせ、冷却れいきゃくすい適温てきおん維持いじする。空冷くうれいなどで省略しょうりゃくされる場合ばあいもある。

ねつ勘定かんじょう 編集へんしゅう

燃料ねんりょう燃焼ねんしょうするさいねつを100%とした場合ばあい、そのねつがどのように使つかわれるかをしめ言葉ことばに、ねつ勘定かんじょうというものがある。

以下いかカルノーサイクルしたがうガソリンエンジンのねつ勘定かんじょういちれいである。実際じっさいにはエンジンの性能せいのう動作どうさ環境かんきょうによりこの割合わりあいことなる[2]

  • 燃焼ねんしょうぜんエネルギー:100%
  • 有効ゆうこう仕事しごと:20 - 30%
  • 機械きかいてき損失そんしつ:5 - 10%
  • 放射ほうしゃ損失そんしつ:1 - 5%
  • 排気はいき損失そんしつ:30 - 35%
  • 冷却れいきゃく損失そんしつ:30 - 45%

すなわち、燃焼ねんしょうのエネルギーの2わりから3わり程度ていどしか仕事しごとせない。 これはエンジンないのみの勘定かんじょうであるため、実際じっさいには機構きこう伝達でんたつするさい、さらに伝達でんたつ損失そんしつこるが、排気はいきからタービンひとしによりエネルギーをさら場合ばあいもある。

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

  1. ^ 櫻木さくらぎとおる (2011ねん6がつ). “しょう気筒きとうながれ~インターナショナルエンジンオフザイヤー2011~”. コラム. じゅうしょうアビーム自動車じどうしゃ総合そうごう研究所けんきゅうじょ. 2014ねん12月28にち閲覧えつらん
  2. ^ 萩原はぎはら芳彦よしひこ 監修かんしゅう 『ハンディブック 機械きかい 改訂かいてい2はんム社むしゃ 2007ねん3がつ20日はつか p.449

参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう

  • 全国ぜんこく自動車じどうしゃ整備せいび専門せんもん学校がっこう協会きょうかい へん『ガゾリン・エンジン構造こうぞう山海さんかいどう、2005ねん4がつ5にちISBN 9784381088444 

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

外部がいぶリンク 編集へんしゅう