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石油発動機 - Wikipedia

石油せきゆ発動はつどう(せきゆはつどうき、オイルエンジン、ケロシンエンジン)は、灯油とうゆケロシン)を燃料ねんりょうとする内燃ないねん機関きかん一種いっしゅである。

「シノダ」石油せきゆ発動はつどう埼玉さいたまけん川口かわぐち篠田しのだ発動はつどうせい小型こがた発動はつどう典型てんけいれい。シリンダじょう冷却れいきゃくすいホッパとガラスせいのオイラーをそなえ、右側みぎがわのフライホイール内側うちがわには点火てんかようマグネトーを装備そうび自動じどう吸気きゅうきべんつ「1ほんぼうがた

概説がいせつ

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レシプロしき内燃ないねん機関きかん代表だいひょうてきなものには、ガソリン燃料ねんりょうとする火花ひばな点火てんか機関きかん軽油けいゆ重油じゅうゆなどを燃料ねんりょうとする圧縮あっしゅく点火てんか機関きかんがあるが、石油せきゆ機関きかんおも燃料ねんりょう灯油とうゆもちいる気化きかしき火花ひばな点火てんか機関きかんである[1]

基本きほん構造こうぞうガソリンエンジンとほぼ共通きょうつうする[1]。ただし、灯油とうゆオクタン価おくたんかがガソリンにくらべてひくいため圧縮あっしゅくをあまりげることはできず、ねつ効率こうりつではガソリンエンジンにおと[1] が、安価あんか入手にゅうしゅしやすいケロシンを燃料ねんりょう使つかうことができるため、農作業のうさぎょうようなどにひろもちいられた[1]

グローエンジン(または焼玉やきだまエンジン)やディーゼルエンジンとは点火てんか着火ちゃっか方式ほうしきにおいて別種べっしゅのものであるが、ケロシンを燃料ねんりょう使つかうことができるために往々おうおうにして混同こんどうされる。石油せきゆ発動はつどうは、焼玉やきだまエンジンよりはあつかいが容易よういである。ガソリンエンジンと比較ひかくしてひく圧縮あっしゅくてい回転かいてんでの使用しよう前提ぜんていで、構成こうせい部品ぶひんたか工作こうさく精度せいど要求ようきゅうされないため、点火てんかようマグネトー[注釈ちゅうしゃく 1]のぞけば全般ぜんぱん製作せいさく容易よういで、地方ちほう零細れいさい企業きぎょうなどでひろ製造せいぞうされた。1930年代ねんだいから1950年代ねんだい最盛さいせいには、日本にっぽん国内こくないでも地方ちほう小規模しょうきぼメーカーにいたるまで100ちかいメーカーが存在そんざいしたとつたえられる。

かつては農業のうぎょう漁業ぎょぎょうひろもちいられたが、1950年代ねんだい以降いこう先進せんしんこくでは効率こうりつ小型こがたディーゼル発動はつどう小型こがた軽量けいりょうこう出力しゅつりょくのガソリンエンジンにとってかわられたものの、発展はってん途上とじょうこくでは依然いぜんとして強制きょうせい空冷くうれいしき小型こがた石油せきゆ発動はつどう製造せいぞうされている。そのおおくは圧縮あっしゅくひくサイドバルブかた小型こがたガソリンエンジンの圧縮あっしゅくをさらにとし、ケロシンとガソリンタンクをち、キャブレターにおく燃料ねんりょうをコックでえる仕様しようである。代表だいひょうてきなものとしてはロビンEY-Kシリーズがあり2017ねんまで製造せいぞうされていた。ロビンやホンダのサイドバルブしき石油せきゆ発動はつどうコピー製品せいひん中国ちゅうごく大量たいりょう生産せいさんされていて、現在げんざいでも世界中せかいじゅうてい開発かいはつ諸国しょこく使用しようされている。

過去かこにはヤマハ発動機やまははつどうきが、始動しどうにガソリンを使つかい、運転うんてんしゅとしてケロシンを使つか2ストローク石油せきゆ発動はつどう製造せいぞう販売はんばいしていた[2] [3]。この製品せいひんでは始動しどうようのガソリンにも、通常つうじょう使用しよう灯油とうゆにも2ストロークオイル混合こんごうして使用しようする。2ストロークのため燃費ねんぴわるいが小型こがた軽量けいりょうわり出力しゅつりょくおおきく、メンテナンスが簡単かんたんなため普及ふきゅうしていた[4]

旧式きゅうしき石油せきゆ発動はつどうは、最近さいきんになって各地かくち熱心ねっしん愛好あいこうあいだ復元ふくげんされており、発動はつどう修理しゅうりする業者ぎょうしゃ[5]存在そんざいする。また、当時とうじ製造せいぞうしていたメーカーから模型もけい販売はんばいされている[6]

構造こうぞう

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自然しぜん蒸発じょうはつする冷却れいきゃくすい湯気ゆげげて運転うんてんちゅうの「ごこく」石油せきゆ発動はつどう愛知機械工業あいちきかいこうぎょうせい)。吸排気はいきともプッシュロッド駆動くどうの「2ほんぼううえべんしきがた
 
クボタ石油せきゆ発動はつどう搭載とうさい耕耘こううん

灯油とうゆしゅたる燃料ねんりょうとするレシプロエンジンである。ガソリンエンジン同様どうようキャブレター燃料ねんりょうきりし、圧縮あっしゅくした混合こんごうをマグネトーと点火てんかプラグによって電気でんき着火ちゃっかする。軽便けいべん用途ようと目的もくてきとすることから、その全盛期ぜんせいきには一般いっぱんてい出力しゅつりょく簡易かんいたん気筒きとうかたがほとんどであり、生産せいさんせい強度きょうど確保かくほめんから鋳造ちゅうぞう部品ぶひん多用たようして製造せいぞうされていた。また安定あんてい水平すいへいシリンダがたとして、木製もくせいないしかたちこうせい土台どだいたいわく)に固定こていされ、搬性をくしてあるものがおおかった。冷却れいきゃく装置そうちシリンダーウォータージャケット上部じょうぶにホッパーをつのみで、冷却れいきゃくすい沸騰ふっとう蒸発じょうはつにより冷却れいきゃくはかるホッパー水冷すいれいしき大半たいはんである。

原理げんりはガソリン機関きかんわりないが、気化きかしにくい灯油とうゆ燃料ねんりょうでも作動さどうする一方いっぽうで、灯油とうゆ発火はっかてんはガソリンよりひくノッキング対策たいさくのため圧縮あっしゅくをあまりげられず、回転かいてんたかくできないため効率こうりつひくい。気化きか促進そくしんさせるため吸気きゅうき予熱よねつする設計せっけいとしたものもあった。比較的ひかくてき初期しょき製品せいひん吸気きゅうきべんは、気筒きとうないあつともなって自動的じどうてきひらかれる自動じどう吸気きゅうきべんであることがおおく、このてんでも高速こうそく回転かいてんにはかない。自動じどう吸気きゅうきべんがたは、プッシュロッド排気はいきようの1ほんのみをそなえる。だい世界せかい大戦たいせんのちになってからは石油せきゆ発動はつどうでも1,500 - 1,800 rpm高速こうそくがたえ、吸気きゅうきがわカム駆動くどうとなり、プッシュロッドも2ほんとなる。その外観がいかんから、現在げんざいでは愛好あいこう家内かないではそれぞれを「一本いっぽんぼう」、「二本棒にほんぼう」と呼称こしょうされているようである。

なお、1930年代ねんだい久保田くぼた鉄工てっこうしょげんクボタ)が、1ほんのプッシュロッドできゅうはいバルブとも駆動くどうする(プッシュロッドが中点ちゅうてんよりバルブがわうごくと中央ちゅうおう支点してんのあるロッカーアームが排気はいきバルブをげてけ、中点ちゅうてんよりカムがわうごくとロッカーアームからたアームが支点してんかいさずに直接ちょくせつ吸気きゅうきバルブをげることでそれぞれを別々べつべつのタイミングでバルブを開閉かいへいする。プッシュロッドは吸気きゅうきバルブをけるときにカムに追随ついずいするためスプリングでカムがわけてある)『トバダしき発動はつどう』を製作せいさく販売はんばいしている[7]

灯油とうゆ気化きかせいわるいため始動しどうにはてきさず、発動はつどう始動しどうのみ補助ほじょてきガソリン利用りようする。キャブレターのフロートしつにガソリンをれ、手動しゅどうによるべん開放かいほう操作そうさ(「デコンプ」とばれる)でシリンダー圧縮あっしゅく機能きのうさせないようにしつつ、ピストンをうえてん付近ふきん移動いどうさせて始動しどう準備じゅんびをする。始動しどうフライホイール手回てまわし、もしくは出力しゅつりょくじくのロープ牽引けんいん一種いっしゅリコイルスターター)により、いきおいをけてクランクシャフト初動しょどう回転かいてんあたえる。この手動しゅどう始動しどう自体じたいは、てい圧縮あっしゅくとガソリンの着火ちゃっかせいさから、予備よび作業さぎょうんでいればさほど困難こんなんではない。始動しどうはしばらくだん運転うんてんさせ、回転かいてん安定あんていしてから、灯油とうゆ燃料ねんりょうえる。機関きかん回転かいてんすうガバナーによってほぼ一定いってい制御せいぎょすることができた。

戦中せんちゅう戦後せんごには代用だいよう燃料ねんりょうするため木炭もくたんガス発生はっせいべつけ、ガスエンジンとする改造かいぞうおおかったようである。木炭もくたんガス発生はっせい装置そうちについては木炭もくたん自動車じどうしゃ参照さんしょう

現在げんざい製造せいぞう販売はんばいされている石油せきゆ発動はつどう(ケロシンエンジン)は基本きほん構造こうぞうについては通常つうじょうのサイドバルブしき、およびOHVしきかくガソリンエンジンと圧縮あっしゅくひくいこと以外いがいはほぼおなじだが、燃料ねんりょうタンクが内部ないぶ始動しどうようのガソリンと運転うんてんよう灯油とうゆ分割ぶんかつされており、燃料ねんりょう充填じゅうてんようキャップも2ついている。通常つうじょう始動しどうにキャブレターのフロートしつのこった石油せきゆいてガソリンを充填じゅうてんする機構きこうと、だん灯油とうゆえるコックがついている。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 汎用はんよう既製きせいひんおおもちいられた

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d ねつ機関きかん工学こうがく西脇にしわき仁一ひとかず編著へんちょ朝倉書店あさくらしょてん、1970ねん、p. 80
  2. ^ 漁業ぎょぎょう近代きんだいストーリー ガソリン以外いがい燃料ねんりょううごふねがい開発かいはつ”. ヤマハ発動機やまははつどうき. 2023ねん1がつ20日はつか閲覧えつらん
  3. ^ ヤマハ ケロシンせんがい” (PDF). ヤマハ発動機やまははつどうき. 2023ねん1がつ20日はつか閲覧えつらん
  4. ^ Product kerosene generator Haomax
  5. ^ 谷本たにもと自動車じどうしゃ発動はつどうレストア
  6. ^ 小林こばやし発動はつどう模型もけい工房こうぼう
  7. ^ ニコニコ動画どうが[いにしえの発動はつどうたち] 1935ねんごろ? トバタりくよう発動はつどう ALSがた 5馬力ばりき』。2015ねん5月21にち投稿とうこう

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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