初代 しょだい ロールス・ロイス・シルヴァーゴースト 用 よう に開発 かいはつ されたサイドバルブ水冷 すいれい 直列 ちょくれつ 6気筒 きとう エンジン
かつてトヨペットSA型 がた セダン や初代 しょだい 前期 ぜんき 型 がた (ST10型 がた )トヨペットコロナ などに搭載 とうさい されていたトヨタ・S型 がた エンジン のカットモデル
ハーレーダビッドソン 社 しゃ 製 せい サイドバルブ空冷 くうれい V型 がた 2気筒 きとう エンジン
1935年 ねん のザ・オートカー 誌 し に掲載 けいさい されたクロスフロー・Tヘッドエンジンの構造 こうぞう 図 ず
シリンダーヘッドを外 はず した サイドバルブエンジン
同 どう 、バルブスプリング側 がわ この下 した にカムシャフトが位置 いち する
DOHC やSOHC が自動車 じどうしゃ ・オートバイ 用 よう エンジン の主流 しゅりゅう となっている現在 げんざい 、すでに旧式 きゅうしき となりつつあるプッシュロッド駆動 くどう 式 しき のOHV (オーバーヘッドバルブ)よりも、更 さら に旧式 きゅうしき の機構 きこう であり、ガソリンエンジンが実用 じつよう 化 か された初期 しょき から用 もち いられていた方式 ほうしき である。吸・排気 はいき バルブ がピストン の上 うえ ではなく、シリンダー の横 よこ に並 なら んで上向 うわむ きに配置 はいち されているのが大 おお きな特徴 とくちょう 。これをクランクシャフト 近 ちか くに配置 はいち されたカムシャフト で直接 ちょくせつ 駆動 くどう する。
構造 こうぞう がシンプルであり、エンジン本体 ほんたい 、特 とく にシリンダーヘッド をコンパクトにすることができ[注釈 ちゅうしゃく 1] 、エンジン内部 ないぶ の駆動 くどう 箇所 かしょ が少 すく ないために丈夫 じょうぶ なエンジンになる。OHV が主流 しゅりゅう になる以前 いぜん には、動 どう 弁 べん 系 けい の運動 うんどう 部品 ぶひん が少 すく ない分 ぶん 、静粛 せいしゅく 性 せい で勝 まさ る利点 りてん が高級 こうきゅう 車 しゃ で好 この まれた時代 じだい もあった。ヘッドには点火 てんか プラグ以外 いがい の付属 ふぞく 部品 ぶひん が不要 ふよう で、ヘッドを外 はず しての清掃 せいそう や修理 しゅうり 、調整 ちょうせい も容易 ようい である。このため、堅牢 けんろう で整備 せいび しやすく低 てい 品質 ひんしつ の燃料 ねんりょう が使 つか えることから、軍用 ぐんよう や産業 さんぎょう 用 よう といった用途 ようと で長 なが く使 つか い続 つづ けられてきた。
しかしその反面 はんめん 、燃焼 ねんしょう 室 しつ が横 よこ に長 なが く広 ひろ い形状 けいじょう になってしまうため、圧縮 あっしゅく 比 ひ を十分 じゅうぶん に上 あ げることができない(圧縮 あっしゅく 比 ひ が低 ひく かったからこそ、耐久 たいきゅう 性 せい が高 たか く、また低 ひく オクタン価 おくたんか 燃料 ねんりょう に耐 た えられたという実情 じつじょう もある)。また燃焼 ねんしょう 室 しつ の表面積 ひょうめんせき が大 おお きく熱 ねつ 効率 こうりつ が低 ひく いうえ、すす が蓄積 ちくせき しやすく、定期 ていき 的 てき に清掃 せいそう しないとデトネーション が起 お こりやすくなる。さらに、OHV 、OHC (SOHC )、DOHC に比 くら べると、燃費 ねんぴ があまりにも悪 わる い。
また、多 おお くのサイドバルブエンジンがターンフロー の吸排気 はいき レイアウトを持 も つ事 こと と相 あい まって、吸排気 はいき の流 なが れが非常 ひじょう に悪 わる く、火炎 かえん 伝播 でんぱ にかかる時間 じかん が長 なが いため、エンジンの許容 きょよう 回転 かいてん 数 すう も5,000 rpm 程度 ていど か、それ以下 いか に制限 せいげん され、圧縮 あっしゅく 比 ひ が低 ひく いこともあり最高 さいこう 出力 しゅつりょく が低 ひく くなるのが最大 さいだい の弱点 じゃくてん である。さらに排気 はいき 弁 べん および排気 はいき ポートがシリンダーに接 せっ する形 かたち で配置 はいち されるため、排気 はいき 弁 べん 付近 ふきん のシリンダーが高温 こうおん となる傾向 けいこう があり、圧縮 あっしゅく 比 ひ の低 ひく さと共 とも に高 こう 出力 しゅつりょく 化 か へ足枷 あしかせ となっていた。また吸気 きゅうき ポートも排気 はいき ポートに接 せっ する形 かたち となる事 こと から吸気 きゅうき も高温 こうおん となる。これは燃料 ねんりょう の気化 きか に寄与 きよ する面 めん もあるが効率 こうりつ 的 てき には好 この ましくはない。
これらの欠点 けってん を解消 かいしょう すべく、レシプロエンジンの構造 こうぞう はOHV、更 さら にはOHC(オーバーヘッドカムシャフト、SOHC→DOHC)へと進化 しんか していくこととなったのである。
サイドバルブは、第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 当時 とうじ の各国 かっこく の軍用 ぐんよう 車両 しゃりょう (アメリカ軍 ぐん のジープ やハーレーダビッドソン・WLA 、ドイツ国防 こくぼう 軍 ぐん のBMW・R12 、日本 にっぽん 陸軍 りくぐん の九七式側車付自動二輪車 など)では、本国 ほんごく から遠 とお く離 はな れた戦地 せんち での劣悪 れつあく な補給 ほきゅう ・整備 せいび 事情 じじょう も考慮 こうりょ した結果 けっか 、整備 せいび 性 せい や信頼 しんらい 性 せい の高 たか さを買 か われて当時 とうじ 登場 とうじょう し始 はじ めたばかりのOHVを差 さ し置 お いてサイドバルブ付 つ きエンジンが積極 せっきょく 的 てき に採用 さいよう された事 こと もあった。第 だい 二 に 次 じ 大戦 たいせん 後 ご もしばらくは、特 とく にアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく 、イギリス 、日本 にっぽん などで四 よん 輪 りん 自動車 じどうしゃ に至 いた るまで広 ひろ く使 つか われていた[注釈 ちゅうしゃく 2] 。特 とく に戦後 せんご 混乱 こんらん 期 き の日本 にっぽん では戦争 せんそう による生産 せいさん 設備 せつび の損傷 そんしょう や資材 しざい の欠乏 けつぼう 、生産 せいさん 性 せい や信頼 しんらい 性 せい 、整備 せいび 性 せい などの点 てん ではSVにメリットがあり、中 なか には後述 こうじゅつ のトヨタ自動車 とよたじどうしゃ 工業 こうぎょう (当時 とうじ )のようにOHVからSVに回帰 かいき する例 れい もあった。ただし、同 どう 時期 じき に四 よん 輪 りん 車 しゃ ではOHV、二輪車 にりんしゃ ではOHVのほかさらに進 すす んだOHCが急速 きゅうそく に普及 ふきゅう 。日本 にっぽん 車 しゃ ではオートバイは1959年 ねん (昭和 しょうわ 34年 ねん )の陸 りく 王 おう ・RT-2[注釈 ちゅうしゃく 3] 、自動車 じどうしゃ では1963年 ねん (昭和 しょうわ 38年 ねん )のダットサン・キャブライト の生産 せいさん 終了 しゅうりょう を最後 さいご に純然 じゅんぜん たるサイドバルブエンジンは姿 すがた を消 け し、フラットヘッド型 がた 燃焼 ねんしょう 室 しつ も1973年 ねん (昭和 しょうわ 48年 ねん )の三菱 みつびし ・ジープJ3R型 がた [注釈 ちゅうしゃく 4] を最後 さいご に姿 すがた を消 け した。またアメリカ製 せい 量産 りょうさん 乗用車 じょうようしゃ で最後 さいご のフラットヘッドエンジンはランブラー・アメリカン 1965年 ねん モデルに搭載 とうさい された3.2L6気筒 きとう である。
トヨタ は、戦前 せんぜん のAA型 がた で、既 すで にOHVのA型 がた エンジン を採用 さいよう しているが、戦後 せんご のトヨペット・SA型 がた で、あえてサイドバルブのS型 がた エンジン を採用 さいよう し、後 ご のSKB型 がた トラック(後 ご の初代 しょだい トヨエース) や初代 しょだい コロナ 、フォークリフト に用 もち いている。事情 じじょう は同 どう 項 こう を参照 さんしょう のこと。
現在 げんざい ではもはや自動車 じどうしゃ (道路 どうろ 運送 うんそう 車両 しゃりょう 法 ほう における原動機 げんどうき 付 づけ 自転車 じてんしゃ に該当 がいとう するミニカー と、これまで検討 けんとう されてきた超 ちょう 小型車 こがたしゃ を除 のぞ く)・オートバイ用 よう (サイドカー を備 そな えない125 cc以下 いか の自動 じどう 二 に 輪 りん 車 しゃ と原動機 げんどうき 付 づけ 自転車 じてんしゃ を除 のぞ く)機関 きかん としては成立 せいりつ せず、用途 ようと は発電 はつでん 機 き やポンプ 用 もちい 、一部 いちぶ の管理 かんり 機 き 用 もちい (マキタ沼津 ぬまづ (旧 きゅう ・富士 ふじ ロビン、現 げん ・マキタ )製 せい 「ラーニー管理 かんり 機 き 」(現 げん ・ラビット管理 かんり 機 き )シリーズの一部 いちぶ )などの汎用 はんよう エンジン (例 れい ・富士重工業 ふじじゅうこうぎょう (現 げん ・SUBARU )製 せい ロビンエンジン 「EY型 がた (ガソリン )/EY-K型 がた (ケロシン )シリーズ」等 とう )に限 かぎ られている。しかしその汎用 はんよう エンジンでも、近年 きんねん の排出 はいしゅつ ガス規制 きせい の影響 えいきょう で先進 せんしん 国 こく ではOHV、更 さら に上級 じょうきゅう 機種 きしゅ ではSOHC(そのほとんどがホンダ製 せい )に取 と って代 か わられた。最後 さいご まで汎用 はんよう 型 がた サイドバルブエンジンの牙城 がじょう を守 まも り続 つづ けてきた富士重工業 ふじじゅうこうぎょう 製 せい ロビンエンジンのEY型 がた /EY-K型 がた 汎用 はんよう エンジンシリーズの国内 こくない 向 む け製品 せいひん が2008年 ねん (平成 へいせい 20年 ねん )9月 がつ までに販売 はんばい 終了 しゅうりょう したため[注釈 ちゅうしゃく 5] 、日本 にっぽん 国内 こくない で販売 はんばい されているサイドバルブエンジンは姿 すがた を消 け すこととなった。
低 てい 開発 かいはつ 諸国 しょこく ではガソリンが高価 こうか で品質 ひんしつ も安定 あんてい していないため、ガソリンの代 か わりにケロシン を使 つか うサイドバルブ式 しき 汎用 はんよう エンジンが依然 いぜん として多 おお く使 つか われている。多 おお くはロビンエンジン のEY-K型 がた およびそのコピー品 ひん であるが、本田技研工業 ほんだぎけんこうぎょう およびその現地 げんち 提携 ていけい 先 さき の企業 きぎょう からはケロシン 対応 たいおう でサイドバルブ式 しき のEBKシリーズが現時点 げんじてん でも販売 はんばい されている。これ以外 いがい にも、多 おお くのメーカーからケロシン仕様 しよう のサイドバルブ式 しき のエンジンが供給 きょうきゅう されている。これらは冷 ひや 間 あいだ 始動 しどう 時 とき にはガソリンを使 つか い、暖気 だんき 後 ご に灯油 とうゆ を使 つか う構造 こうぞう になっている。このためキャブレター のフロート室 しつ の内容 ないよう を敏速 びんそく に入 い れ替 か えるための弁 べん が装備 そうび されているのが特徴 とくちょう 的 てき である。
内燃 ないねん 機関 きかん の燃焼 ねんしょう 特性 とくせい を研究 けんきゅう する際 さい に、台 たい 上 じょう 試験 しけん に供 きょう する単 たん 気筒 きとう エンジンのヘッド回 まわ りを透明 とうめい で強度 きょうど のある石英 せきえい ガラス材料 ざいりょう に置 お き換 か え、高速度 こうそくど カメラで燃焼 ねんしょう 室 しつ 内 ない の動画 どうが 撮影 さつえい を行 おこな う手法 しゅほう がある。サイドバルブ式 しき は他 た のバルブ方式 ほうしき と異 こと なり、ボア全体 ぜんたい を透明 とうめい な素材 そざい に置 お き換 か えて燃焼 ねんしょう 室 しつ 直上 ちょくじょう から撮影 さつえい できるため、燃焼 ねんしょう 室 しつ 内 ない の様子 ようす を捉 とら えやすいことから、OHV燃焼 ねんしょう 室 しつ を要 よう さない試験 しけん 撮影 さつえい 用途 ようと には引 ひ き続 つづ き多用 たよう されている。
サイドバルブからOHVへと至 いた る過程 かてい の中途 ちゅうと には、動 どう 弁 べん 形式 けいしき は側 がわ 弁 べん のままで吸排気 はいき レイアウトのみをクロスフロー へ改良 かいりょう したものが存在 そんざい した。動 どう 弁 べん 系 けい の配置 はいち や構造 こうぞう が複雑 ふくざつ となる割 わり に出力 しゅつりょく 向上 こうじょう は低 ひく く、また通常 つうじょう のターンフロー型 がた サイドバルブヘッドに比 くら べて更 さら に燃焼 ねんしょう 室 しつ 面積 めんせき が広 ひろ がってしまうことから、圧縮 あっしゅく 比 ひ を上 あ げるのに適 てき さなくなってしまう。後発 こうはつ のOHVに出力 しゅつりょく 面 めん でも生産 せいさん 性 せい でも劣 おと っていた事 こと から、短期間 たんきかん の内 うち に姿 すがた を消 け している。この形式 けいしき はシリンダーと燃焼 ねんしょう 室 しつ が呈 てい する形状 けいじょう からTヘッドエンジン とも呼 よ ばれ、サイドバルブをターンフローとクロスフローに敢 あ えて分類 ぶんるい して論 ろん じる際 さい には、シリンダーとバルブのレイアウトから前者 ぜんしゃ をLヘッド (レイアウト的 てき には逆 ぎゃく L字 じ )、後者 こうしゃ をTヘッドとして区分 くぶん が行 おこな われる。
1911年 ねん Yale IOE エンジン
ローバー社 しゃ 3リッターIOEエンジンのシリンダ傾斜 けいしゃ したピストン、排気 はいき 弁 べん 、独特 どくとく の燃焼 ねんしょう 室 しつ が確認 かくにん できる
初期 しょき のガソリンエンジンには、吸気 きゅうき 弁 べん のみをOHV、排気 はいき 弁 べん をSVとした折衷 せっちゅう 的 てき レイアウトも存在 そんざい した。これをIOE(intake/inlet over exhaust)エンジン と呼 よ び、レイアウトから米国 べいこく などではFヘッド とも言 い われる。
極 ごく 初期 しょき のIOEエンジンは、吸気 きゅうき バルブの駆動 くどう をカムからの伝達 でんたつ に頼 たよ らず、弱 よわ く調整 ちょうせい したスプリングのみを用 もち いることで、吸気 きゅうき 時 じ のピストン下降 かこう 負 ふ 圧 あつ によりポペットバルブの開閉 かいへい を行 おこな った。この種 たね の設計 せっけい はガソリンエンジン実用 じつよう 化 か の1890年代 ねんだい から見 み られる。負 ふ 圧 あつ 吸気 きゅうき IOEはヘッドに複雑 ふくざつ な動 どう 弁 べん 機構 きこう が存在 そんざい せず、サイドの排気 はいき バルブの駆動 くどう のみで済 す むという点 てん で、吸排気 はいき ともサイドバルブを用 もち いるエンジンよりシンプルで軽量 けいりょう コンパクトになったが、負 ふ 圧 あつ で開閉 かいへい を行 おこな うという受動 じゅどう 的 てき な作動 さどう では吸気 きゅうき 効率 こうりつ や確実 かくじつ 性 せい が低 ひく く、回転 かいてん 数 すう の向上 こうじょう に対応 たいおう できないという欠点 けってん があり、自動車 じどうしゃ 用 よう としては通常 つうじょう 型 がた SVエンジンに早 はや く主役 しゅやく を譲 ゆず った。もっとも、構造 こうぞう の簡易 かんい さから二輪車 にりんしゃ や農 のう 機 き 用 よう エンジンなどではその後 ご も用 もち いられた(例 れい :初期 しょき のハーレーダビッドソンやFN Four 、右 みぎ 画像 がぞう など)。
これに代 か わり1900年代 ねんだい には吸気 きゅうき バルブをもカムとプッシュロッドで開閉 かいへい する進歩 しんぽ したIOE型 がた エンジンが実用 じつよう 化 か され、一部 いちぶ の自動車 じどうしゃ で用 もち いられるようになった。
IOEのメリットとしては吸気 きゅうき と排気 はいき がヘッドとブロックで分 わ かれているためSV(Lヘッド)やOHVよりも大 おお きなバルブが使 つか いやすく、SVよりも燃焼 ねんしょう 室 しつ をコンパクトにでき、点火 てんか プラグをより理想 りそう 的 てき な位置 いち に配置 はいち 、吸気 きゅうき のスワール流 りゅう などを作 つく りやすいという点 てん などがある。また吸排気 はいき がヘッドとブロック で分離 ぶんり している事 こと から吸排気 はいき が隣接 りんせつ するターンフローOHVと比較 ひかく すると吸気 きゅうき 温度 おんど が排気 はいき の影響 えいきょう を受 う けにくく、吸排気 はいき の取 と り回 まわ しが容易 ようい であるなどSVとOHVの折衷 せっちゅう 的 てき な印象 いんしょう 以上 いじょう に相応 そうおう のメリットは存在 そんざい した。
一方 いっぽう で排気 はいき はサイドバルブと変 か わらないレイアウトのため、幾分 いくぶん かは改善 かいぜん されるとは言 い えサイドバルブのデメリットを引 ひ きずる形 かたち となり、燃焼 ねんしょう 室 しつ 形状 けいじょう がサイドバルブ同様 どうよう に制限 せいげん を受 う ける点 てん は変 か わらず大 おお きなデメリットとなった。
またヘッドにロッカーアーム などの動 どう 弁 べん 機構 きこう が配置 はいち される事 こと で全 ぜん 高 こう が高 たか くなるといったサイズ的 てき なデメリットや、それに関連 かんれん する形 かたち で複雑 ふくざつ 化 か によるコスト増 ぞう 、整備 せいび 性 せい の悪化 あっか などOHV化 か における短所 たんしょ と共 とも にSVの短所 たんしょ をいくらか引 ひ き摺 ず ったまま持 も つ形 かたち となる。特 とく にヘッドの複雑 ふくざつ 化 か による整備 せいび 性 せい の悪化 あっか は、ヘッド構造 こうぞう が簡略 かんりゃく であったサイドバルブの利点 りてん を大 おお きくスポイルする。
IOEレイアウトはSVエンジンのブロックの排気 はいき ポートやバルブトレーンを流用 りゅうよう でき、完全 かんぜん なOHV化 か に比 くら べてヘッド周 まわ りの構造 こうぞう が簡素 かんそ に済 す む点 てん など、SVエンジンの効率 こうりつ 化 か において採用 さいよう しやすい機構 きこう であった。このため完全 かんぜん なOHV化 か と比較 ひかく するとIOE化 か はより容易 ようい であり、現代 げんだい においても古 ふる いSVエンジンをIOE化 か するキットなども存在 そんざい する。
もっともSVとOHV両方 りょうほう の短所 たんしょ を抱 かか えるIOEレイアウトを用 もち いるならば吸排気 はいき ともにOHV化 か を踏 ふ み切 き るメーカーも多 おお く、それらメーカーにおいては過渡 かと 的 てき な存在 そんざい にとどまり、主流 しゅりゅう の方式 ほうしき とはならなかった。しかし、一時期 いちじき は特定 とくてい のメーカーで相応 そうおう に用 もち いられたレイアウトでもあった。第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 後 ご もローバー が高級 こうきゅう 車 しゃ やランドローバー も含 ふく む各 かく モデルに搭載 とうさい し、ランドローバー用 よう の一部 いちぶ は1980年代 ねんだい 初頭 しょとう まで生産 せいさん された。また1920年代 ねんだい に一時 いちじ OHVに移行 いこう 済 ず みだったロールス・ロイス においても、第 だい 二 に 次 じ 大戦 たいせん 直前 ちょくぜん に原型 げんけい が設計 せっけい されたシルヴァーレイス 用 よう エンジン(1946年 ねん 以降 いこう 市販 しはん )からこのレイアウトが使 つか われ、1959年 ねん まで作 つく られたシルヴァークラウドI まで使用 しよう されたほか、同 おな じ設計 せっけい でロールス・ロイスからイギリス軍用 ぐんよう 車両 しゃりょう 向 む けエンジンとして供給 きょうきゅう 、オースチン・チャンプ 等 ひとし に搭載 とうさい されている。日本 にっぽん 国内 こくない で馴染 なじ み深 ふか いものとしては三菱 みつびし ・ジープ に搭載 とうさい されたハリケーンエンジン(1950年 ねん - 1971年 ねん )があり、三菱 みつびし にてJH4エンジンとしてライセンス生産 せいさん し、製造 せいぞう 終了 しゅうりょう の1973年 ねん (昭和 しょうわ 48年 ねん )まで内 うち 製 せい 化 か されていた。
特 とく に前述 ぜんじゅつ のローバーIOEエンジンは戦後 せんご 長期 ちょうき に渡 わた って製造 せいぞう された事 こと からもわかるように、単 たん なるSVとOHVの折衷 せっちゅう 的 てき 設計 せっけい と言 い えるようなものではなく、傾斜 けいしゃ したシリンダーヘッド、独特 どくとく な形状 けいじょう のピストントップと燃焼 ねんしょう 室 しつ などを持 も ち、バルブの配置 はいち を含 ふく め一般 いっぱん 的 てき なFヘッドとは形容 けいよう しがたいレイアウトとなっている。それらから構成 こうせい される燃焼 ねんしょう 室 しつ 形状 けいじょう はHEMIエンジン などにみられる半球 はんきゅう 形 がた (正確 せいかく には逆 ぎゃく 半球 はんきゅう 形 がた )となり、IOEレイアウトにおいて最適 さいてき 化 か されたエンジンとなっていた。
また特殊 とくしゅ な例 れい とはなるがIOEとは逆 ぎゃく となる吸気 きゅうき 弁 べん がSV、排気 はいき 弁 べん がOHVというEOI(Exhaust over intake)エンジンも存在 そんざい した(例 れい :初期 しょき のABC Skootamota や1936/37年 ねん のIndian Four )。Indianでは燃料 ねんりょう 気化 きか の面 めん でメリットがあり実際 じっさい に出力 しゅつりょく も高 たか かったが、排気 はいき が通 とお るヘッドは高温 こうおん となり、排気 はいき 弁 べん リンケージの頻繁 ひんぱん な調整 ちょうせい も必要 ひつよう となった。このため、1938年 ねん からはIOEに戻 もど される事 こと になる。