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燃料噴射装置 - Wikipedia

燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち(ねんりょうふんしゃそうち、えい: Fuel injection system)は、混合こんごう燃焼ねんしょう機関きかんで、液体えきたい燃料ねんりょう吸入きゅうにゅう空気くうききりじょう噴射ふんしゃする装置そうちである。

概要がいよう

編集へんしゅう

ガソリンエンジンディーゼルエンジンなどの内燃ないねん機関きかんでは燃料ねんりょうをシリンダー内部ないぶ一瞬いっしゅん爆発ばくはつてき燃焼ねんしょうさせるため、液体えきたい燃料ねんりょうきりじょうにしてシリンダーにおく必要ひつようがある。

実用じつようてき燃料ねんりょう気化きか装置そうちとしてまず実用じつようされたのは、ベンチュリー効果こうか利用りようした、より簡便かんべん単純たんじゅんキャブレターであり、20世紀せいきちゅうにはひろもちいられた。しかしその簡便かんべんさゆえ、年々ねんねん強化きょうかされる自動車じどうしゃ排出はいしゅつガス規制きせいにキャブレターでは適合てきごうさせられなくなるなど、技術ぎじゅつてき限界げんかい直面ちょくめんするようになり、また電子でんし技術ぎじゅつ進歩しんぽともない、2001ねん以降いこう自動車じどうしゃ用途ようとでは電子でんし制御せいぎょしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちがほぼ全面ぜんめんてき採用さいようされ、キャブレターを駆逐くちくした。一方いっぽう電子でんし制御せいぎょしき作動さどうには電源でんげんをはじめ、加圧かあつポンプやコントロールユニットなどのるい必要ひつようで、装置そうち構造こうぞう複雑ふくざつ精密せいみつ、かつ高価こうかになることから、一部いちぶ搬式作業さぎょう機械きかいようエンジンなどでは、キャブレターがいまだに使つかわれている。

キャブレターは気圧きあつ温度おんどといった外気がいき状態じょうたい変化へんか左右さゆうされやすく、高度こうど大気たいき状態じょうたい極端きょくたん変化へんかする航空機こうくうきでは状況じょうきょうおうじた対応たいおうむずかしかった。また重力じゅうりょく利用りようしているため、装置そうち上下じょうげぎゃくになったり、ぎゃくGがかかる機動きどうおこな戦闘せんとう用途ようとでは、燃料ねんりょう途切とぎれてエンジンが停止ていしする問題もんだいがあった。そのため重力じゅうりょくそらりょくたよらず、ガソリンをじか加圧かあつしてスプレーする方式ほうしきはやくから研究けんきゅうされ、あるものは機械きかいしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちとして実用じつようされた。

機械きかいしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちだい世界せかい大戦たいせん終結しゅうけつまでのドイツ空軍くうぐん航空こうくうようエンジンとしてさかんにもちいられた。メッサーシュミット Bf109は、他国たこく戦闘せんとうがキャブレターを搭載とうさいしていた当時とうじ燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち採用さいようし、マイナスGのかかるぎゃく宙返ちゅうがえりや背面はいめん飛行ひこう可能かのうだった。日本にっぽんイタリアでもライセンス生産せいさんされ、燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち三菱重工業みつびしじゅうこうぎょう開発かいはつ製造せいぞうした航空機こうくうきようエンジンの火星かせい後期こうきがた金星かなぼし末期まっきがた採用さいようされた。

自動車じどうしゃへの適用てきよう1954ねん発表はっぴょうされたメルセデス・ベンツ・300SL最初さいしょであり、同時どうじ自動車じどうしゃようとしては世界せかいはつガソリンちょく噴エンジンでもあった。そのアメリカ、とくカリフォルニアしゅう環境かんきょう意識いしきたかまりからはいガス規制きせい厳格げんかくされると、汚染おせん物質ぶっしつ排出はいしゅつ原因げんいんである、シリンダーない燃料ねんりょう不完全ふかんぜん燃焼ねんしょう問題もんだい解決かいけつするため、より精密せいみつなエンジン制御せいぎょもとめられるようになった。これは機械きかいしきキャブレターでは対応たいおうしきれない要求ようきゅうであった。そこで自動車じどうしゃメーカー各社かくしゃ当時とうじ発達はったつしつつあったデジタル技術でじたるぎじゅつによる燃料ねんりょう供給きょうきゅう制御せいぎょ積極せっきょくてきみ、燃料ねんりょう噴射ふんしゃ車載しゃさいマイコンエンジンコントロールユニット(ECU)のプログラム制御せいぎょされるようになり、噴射ふんしゃりょう噴射ふんしゃタイミングをエンジンの負荷ふか回転かいてん速度そくどといった運転うんてんじょうきょうおうじてきめこまかく変化へんかさせるようになった。これにより排出はいしゅつガスふくまれる有害ゆうがい成分せいぶん低減ていげんすることだけでなく、出力しゅつりょく始動しどうせい向上こうじょう燃費ねんぴ改善かいぜん可能かのうとなった。

レシプロエンジン民間みんかんよう航空機こうくうきでは電子でんし制御せいぎょしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち採用さいようは、電子でんし制御せいぎょ信頼しんらいせい確立かくりつされていないなどの理由りゆう自動車じどうしゃようくらべるとややおそかったが、1990年代ねんだい以降いこうはほぼ全面ぜんめんてきわった。高度こうどにより大気たいきあつ空気くうき密度みつど)が変化へんかする航空機こうくうきではそらもえコントロール操作そうさ操縦そうじゅうしゃ負担ふたんであったが、電子でんし制御せいぎょにより自動じどう容易よういとなった。

オートバイでは1980年代ねんだい本田技研工業ほんだぎけんこうぎょう電子でんし制御せいぎょ燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちきエンジンを実用じつようし、日本にっぽん国内こくない市販しはんしゃでは1982ねん昭和しょうわ57ねん)に川崎重工業かわさきじゅうこうぎょうのZ750GP(Z750V1)にはじめて採用さいようされた。また、WGPが2ストロークに有利ゆうり規定きていだったこともあって、モータースポーツの世界せかいでは1994ねん登場とうじょうしたホンダ・RVF750/RC45登場とうじょうするまでは使用しようされていなかった。そのため、ホンダ以外いがいかくメーカーはヤマハは1999ねん限定げんてい発売はつばいされたYZF-R7はつ採用さいようであり、スズキは1998ねん発売はつばいされたTL1000Rが、カワサキにいたってはMotoGPに参戦さんせんするまでキャブレターを採用さいようしていた。一方いっぽうで、2003ねん平成へいせい15ねん)10がつ3にちには本田技研工業ほんだぎけんこうぎょう原動機げんどうきづけ自転車じてんしゃもちい49 cc4ストロークエンジン搭載とうさいした。2004ねん平成へいせい16ねん)10がつスズキ燃料ねんりょう重力じゅうりょく落下らっかしきとし、燃料ねんりょうポンプ噴射ふんしゃノズル一体化いったいかしたディスチャージポンプしき49 cc4ストロークエンジンをレッツ4搭載とうさいした。この方式ほうしきでは燃料ねんりょうポンプと高圧こうあつえる燃料ねんりょうパイプが不要ふようとなり、コストを低減ていげんさせるとともに機構きこう信頼しんらいせい確保かくほした。オートバイようとして燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち普及ふきゅうするようになるとスロットルひらきたいするエンジン出力しゅつりょく上昇じょうしょう急速きゅうそく特性とくせい緩和かんわする方策ほうさくをとる車種しゃしゅ登場とうじょうした[1]。これは1つの吸気きゅうき経路けいろに2つのバタフライバルブを直列ちょくれつもう一方いっぽうをアクセルワイヤーで動作どうさ。もう一方いっぽうはECUで制御せいぎょされたアクチュエーターモーターで動作どうささせるツインバルブともばれる機構きこうで、ECU制御せいぎょバルブは運転うんてんしゅ操作そうさたいするスロットルひらき応答おうとうおさえるはたらきをする[1]排気はいきりょう比較的ひかくてきおおきな車種しゃしゅ採用さいようされる。

2ストロークエンジンでは、ふねがいスノーモービル採用さいようされている。1990年代ねんだい本田技研工業ほんだぎけんこうぎょうがレースようバイクのNSR500採用さいようしたが、市販しはんしゃへの採用さいよう見送みおくられた。海外かいがいではビモータが1997ねんつつないちょく噴インジェクションを採用さいようした500V due市販しはんしたが、制御せいぎょめんでの不具合ふぐあい頻発ひんぱつ早期そうき販売はんばい終了しゅうりょうしている(この失敗しっぱい同社どうしゃ倒産とうさんする最大さいだい要因よういんになった)。コロラド州立しゅうりつ大学だいがく支援しえんけて営利えいり企業きぎょうのEnviroFitは東南とうなんアジアにおける大気たいき汚染おせんらすため、オービタルしゃ開発かいはつした技術ぎじゅつもとに2ストローク自動じどうりんけの改造かいぞうキットを開発かいはつした。

動作どうさ原理げんり

編集へんしゅう
 
フュエル・インジェクター構造こうぞう

燃料ねんりょうタンクにそなけられた燃料ねんりょうポンプにより燃料ねんりょう系統けいとうパイプに常時じょうじたか圧力あつりょく燃料ねんりょう圧力あつりょく)がけられる。燃料ねんりょう系統けいとうパイプの末端まったんもうけられたインジェクターは、電気でんき信号しんごう入力にゅうりょく内部ないぶプランジャー作動さどう、もしくは機械きかいしき噴射ふんしゃポンプによってこうあつとなった燃料ねんりょうによりひらきべんすることで、スプレーチップ先端せんたんノズルからインテークマニホールドうち吸気きゅうきポート付近ふきん燃料ねんりょう噴射ふんしゃする。

電子でんし制御せいぎょしきインジェクターは1分間ふんかん噴射ふんしゃできる燃料ねんりょう(300cc/minとう数値すうち判別はんべつできる)がさだめられており、エンジンの排気はいきりょう性能せいのうおうじて最適さいてき容量ようりょうのインジェクターが設計せっけい選択せんたくされる。規定きてい噴射ふんしゃりょうはごく簡単かんたんにはキャブレターにおけるメインジェットと同様どうように、先端せんたんのノズルのあなみちによってほぼ決定けっていされ、あなおおきくなるほどおな燃料ねんりょう圧力あつりょくでもよりおおくの燃料ねんりょう噴射ふんしゃできる。ぎゃくに、ノズルのあなみちおなじであっても規定きてい燃料ねんりょう圧力あつりょくことなる場合ばあいには燃料ねんりょう圧力あつりょくたかほどよりおおくの燃料ねんりょう噴射ふんしゃできる。

実際じっさいにエンジンない噴射ふんしゃされる燃料ねんりょうりょうはインジェクターの1ふんたり噴射ふんしゃりょうひらきべん時間じかんおよ燃料ねんりょう圧力あつりょくレギュレータによって決定けっていされた燃料ねんりょうあつりょくによって制御せいぎょされている。基本きほんてき噴射ふんしゃ時間じかんエアフロメーター計測けいそくされた吸入きゅうにゅう空気くうきりょうにより決定けっていされるが、そのままではラフなアクセル操作そうさなどにより急激きゅうげきもえ調ちょうくなったさいにエンジンが不調ふちょうとなったり、排気はいきガスの濃度のうどすため、排気はいき管内かんないもうけられたO2センサーそらもえ計測けいそくし、その計測けいそく結果けっかおうじてひらきべん時間じかん補正ほせいおこなうことで高性能こうせいのう排出はいしゅつガスのていエミッション両立りょうりつしている。

初期しょきのインジェクターは水鉄砲みずでっぽうようたんあなしきプレーンノズルであったが、近年きんねん[いつ?]のインジェクターはスプレーノズルen:Spray_nozzle)の概念がいねんれ、ノズルの内部ないぶ構造こうぞう複雑ふくざつなものとしたり、スプレーチップ先端せんたん複数ふくすうあなけられた樹脂じゅしカバーを装備そうびすることで燃料ねんりょうきりをより促進そくしんしてさらなる燃焼ねんしょう効率こうりつ向上こうじょうはかっているものもある。

制御せいぎょ方式ほうしき

編集へんしゅう

2013ねん現在げんざい、ほぼすべての燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち電子でんし制御せいぎょになった。

  • コモンレール方式ほうしきは、燃料ねんりょうを、噴出ふんしゅつ装置そうちまでレール(高圧こうあつパイプ)を使つかっておくり、電子でんし制御せいぎょ噴射ふんしゃする。
  • ユニットインジェクターは、シリンダー上部じょうぶ注射ちゅうしゃのようにけ、カムによって噴射ふんしゃする。電子でんし制御せいぎょは、噴射ふんしゃりょうらす操作そうさおこなう。インジェクターまでは低圧ていあつのパイプでつながっている。カムによる圧縮あっしゅくで2,000気圧きあつこうあつ噴射ふんしゃ可能かのうにしている。

機械きかいしき

編集へんしゅう

電子でんし制御せいぎょしき普及ふきゅうする以前いぜん機械きかいしきによる燃料ねんりょう噴射ふんしゃ技術ぎじゅつ

 
クーゲルフィッシャーのプランジャしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃポンプ

燃料ねんりょう噴射ふんしゃりょう決定けってい電子でんししき演算えんざん装置そうちもちいないもの全般ぜんぱんす。

クーゲルフィッシャー
ドイツのFAGドイツばん製造せいぞうしていた機械きかいしき燃料ねんりょうポンプで、基本きほん構造こうぞうとシステムとしてはディーゼルエンジン燃料ねんりょう噴射ふんしゃ方式ほうしき同様どうようで、気筒きとうすうぶんカムプランジャー内蔵ないぞうさせたインジェクションポンプをエンジンの動力どうりょくによって作動さどうさせ、かく気筒きとう吸気きゅうきポートに噴射ふんしゃさせる方式ほうしきつつない噴射ふんしゃではない)。噴射ふんしゃりょう制御せいぎょもディーゼル同様どうようアクセルひらき連動れんどうした遠心えんしんガバナーラック・アンド・ピニオンによるプランジャーの圧縮あっしゅくストローク制御せいぎょとなる。1960年代ねんだいから1970年代ねんだい前半ぜんはんポルシェメルセデス・ベンツBMWプジョーランチアなどに使用しようれいがある。
三菱重工業みつびしじゅうこうぎょうによるクーゲルフィッシャーのデッドコピーしな
大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐんだい世界せかい大戦たいせんなか同盟どうめいこくのドイツからの技術ぎじゅつ導入どうにゅうでインジェクターの国産こくさんねらったが、技術ぎじゅつ機密きみつ流出りゅうしゅつ危惧きぐしたドイツがわ拒否きょひされてしまった。そこでライセンス生産せいさん目的もくてきとして輸入ゆにゅうしたダイムラー・ベンツDB601エンジンに装着そうちゃくされていたインジェクターを三菱重工みつびしじゅうこうリバースエンジニアリングさせ、デッドコピー許可きょか複製ふくせい)で生産せいさんさせていた。三菱重工業みつびしじゅうこうぎょうがけた理由りゆうは、同社どうしゃ戦前せんぜんすでにちょく噴式ディーゼルエンジンを実用じつようしていたことによる。同社どうしゃ航空機こうくうきよう空冷くうれいほしがたエンジンほか、DB601を国産こくさんした愛知あいち航空機こうくうきせいアツタ川崎かわさき飛行機ひこうきせいハ40も、クーゲルフィッシャーの製造せいぞうライセンスがられなかったため、三菱みつびしのデッドコピーひん使用しようしていた。しかし、初期しょき工作こうさく不慣ふなれから、のち工業こうぎょう技術ぎじゅつりょく低下ていかにより、インジェクターとしての完成かんせいひんのうち検査けんさ合格ごうかくひんは2わり程度ていどだったとされる。一方いっぽうB-29迎撃げいげき活躍かつやくした局地きょくち戦闘せんとう雷電らいでんしき戦闘せんとうなど、三菱みつびしせいインジェクターエンジン搭載とうさいはそれなりの実績じっせきげている。
ボッシュ・Kジェトロニック (K-Jetronic) (1973–1994ねん
ディーゼルエンジンよう燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち流用りゅうようでは機構きこう構造こうぞう複雑ふくざつで、重量じゅうりょう価格かかくめんでも一般いっぱんてき量産りょうさんしゃにはかないため、コスト低減ていげんのために開発かいはつされたのがKジェトロニックである。フラップしきのエアフローメータが噴射ふんしゃりょう制御せいぎょするプランジャーに機械きかいてき直結ちょっけつしている。もえあつは、フューエルポンプであつおくされた燃料ねんりょうをレギュレーターで制御せいぎょするのみで、カムとプランジャーによる加圧かあつおこなわない。また、もえあつ上記じょうきディーゼル流用りゅうようタイプにくらべ、ひくい(おおむね5bar程度ていどと、後年こうねん電子でんし制御せいぎょしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃくらべればややたかいが)ことが特徴とくちょうで、ぜん気筒きとうたい連続れんぞくてき燃料ねんりょう噴射ふんしゃおこなう。こちらはフォルクスワーゲンアウディ、BMW、メルセデス・ベンツ、ロールス・ロイスベントレーロータスフェラーリ、プジョー、ルノーボルボデロリアンフォードヨーロッパなど18しゃ自動車じどうしゃメーカーが採用さいようした。
名称めいしょうの「K」は、ドイツで「連続れんぞくてきな、持続じぞくてきな」を意味いみする「Kontinuierlich」に由来ゆらいする。
ボッシュ・KAジェトロニック
さんげん触媒しょくばい装着そうちゃくしゃ対応たいおうするため、排出はいしゅつガスなか酸素さんそ濃度のうどおうじた噴射ふんしゃりょう制御せいぎょ機能きのう追加ついかしたタイプ。酸素さんそ濃度のうど測定そくていするO2センサー信号しんごうを、簡単かんたんコンピュータにより処理しょりし、燃料ねんりょう噴射ふんしゃりょう制御せいぎょするという意味いみでは「電子でんし制御せいぎょしき」であるが、主要しゅよう燃料ねんりょう噴射ふんしゃ制御せいぎょはKジェトロニック同様どうようのフラップしきエアフローメータが制御せいぎょプランジャーと構造こうぞうてき直結ちょっけつしているもの。

この時期じき機械きかいしきインジェクションはおもにエンジンの出力しゅつりょくアップを目的もくてきとしていたため、その排出はいしゅつガス規制きせいには適応てきおうできず、電子でんし制御せいぎょしきってわられた。

電子でんし制御せいぎょしき

編集へんしゅう

燃料ねんりょう噴射ふんしゃ電子でんしてき演算えんざんおこなうタイプをひろす。2013ねん現在げんざい燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち」や「インジェクション」というと大抵たいていこちらの電子でんし制御せいぎょしきである。

ボッシュ・Dジェトロニック(D-Jetronic)(1967–1976ねん
吸入きゅうにゅうされた空気くうきりょう直接ちょくせつ計測けいそくするシステムではなく、圧力あつりょくセンサーで計測けいそくしたスロットルボディ付近ふきん吸入きゅうにゅう空気圧くうきあつ基本きほんデータとし、吸気きゅうきぬるセンサーで計測けいそくした吸入きゅうにゅう空気くうき温度おんどとスロットルひらきセンサーからのスロットルバルブひらき情報じょうほう補足ほそくデータとして、吸入きゅうにゅうされた空気くうきりょう予測よそくする。これも初期しょきタイプは出力しゅつりょくアップのみを目的もくてきとしていたが、O2センサーとさんげん触媒しょくばい装着そうちゃくすることによって排気はいきガス浄化じょうかシステムとして継続けいぞくしている。
コストがおさえられるため日本にっぽんでは気筒きとうすうすくない軽自動車けいじどうしゃ小型こがた自動車じどうしゃようのインジェクションシステムとして使用しようされている。
'D'は ドイツの"Druck"(圧力あつりょく)を意味いみしており、エンジン温度おんど、エンジン回転かいてんすうならんで、吸入きゅうにゅうエアりょうをインテークマニホールドに設置せっちされたあつセンサで測定そくていしたインテークマニホールドあつもと計算けいさんおこなわれ、インジェクタないのシステムあつ一定いっていたも電動でんどうフューエルポンプとわせた。VW 1600 LE/TLE搭載とうさいされ、量産りょうさんがた乗用車じょうようしゃ世界せかいはつ電子でんし制御せいぎょしきガソリン燃料ねんりょう噴射ふんしゃシステムとして1967ねん登場とうじょうした。
ボッシュ・Lジェトロニック(L-Jetronic)(1974–1989ねん
吸入きゅうにゅうされた空気くうきりょうをエアクリーナーとスロットルボディのあいだ装着そうちゃくしたエアフローセンサーで直接ちょくせつ計測けいそくすることで、吸入きゅうにゅう空気くうきりょう基本きほんデータとして燃料ねんりょう噴射ふんしゃりょう決定けっていする。
エアフローセンサーは、初期しょきタイプではフラップしきのものが使つかわれていたが、これだと吸気きゅうき管内かんないでの抵抗ていこうになるため、ホットワイヤーしきカルマンうずしきのエアフローセンサーが採用さいようされるようになった。
吸入きゅうにゅう空気くうき脈動みゃくどうによる計測けいそく誤差ごさすくないので、気筒きとうすうおおいエンジンに採用さいようされることがおおい。また、吸入きゅうにゅう空気くうききゅうするターボチャージャースーパーチャージャー装着そうちゃくさせたエンジンにもいている。
さんげん触媒しょくばい排出はいしゅつガス浄化じょうかもちいられるようになり、O2センサーをもちいたフィードバック制御せいぎょ必要ひつようになった時期じきから急速きゅうそく発達はったつした。
名称めいしょうの "L" は、エアフローセンサーをドイツで "Luftmengenmesser" とぶことからている。
ボッシュ・KEジェトロニック(KE-Jetronic)(1985–1993ねん
吸入きゅうにゅうされた空気くうきりょうをフラップしきのエアフロセンサーで計測けいそくするシステムで、その機械きかいしきのインジェクションシステムとわりがかった。排気はいきガス浄化じょうかとしてO2センサーとさんげん触媒しょくばい装着そうちゃくして対応たいおうするようになった。

なお二輪車にりんしゃとう排出はいしゅつガス規制きせい対象たいしょうがい車種しゃしゅにおいては、電子でんし制御せいぎょしきながらしゅとしてアクセルひらきとエンジン回転かいてんすうから噴射ふんしゃりょう決定けっていしており、実際じっさい吸入きゅうにゅう空気くうきりょう質量しつりょう)を計測けいそくしていないものがある。

利用りよう方式ほうしき

編集へんしゅう

シングルポイントインジェクション

編集へんしゅう

シリンダーごとではなく、ぜんシリンダーにたいして一括いっかつしていち箇所かしょ1個いっこないし2)のインジェクターで燃料ねんりょう供給きょうきゅうする方式ほうしきSiSPIなどと省略しょうりゃくされる。低圧ていあつ燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちともばれる。

燃料ねんりょう噴射ふんしゃするインジェクターと、撹拌かくはん均一きんいつせいたか混合こんごうにするミキサー、それらをおさめるハウジングからなる。

キャブレター方式ほうしきのエンジンにも最小限さいしょうげん設計せっけい変更へんこう搭載とうさい可能かのう[ちゅう 1]吸気きゅうき抵抗ていこう低減ていげんふる設計せっけいのエンジンの電子でんし制御せいぎょなどが比較的ひかくてきローコストで実現じつげんできる。インジェクター総数そうすうが1ほんないし2ほん程度ていどむため、MPI形式けいしきくらべてインジェクター不良ふりょうによるエンジン始動しどう不能ふのうかくりつ相対そうたいてきひくくなることや、インジェクター不良ふりょうによるかく気筒きとうへの噴射ふんしゃりょうのバラツキに起因きいんするエンジントラブルがこらないというメリットがある。しかし相対そうたいてき性能せいのうではMPIのポート噴射ふんしゃしきインジェクターにはおよばない。

航空機こうくうきようとしては日本にっぽんでは中島なかじま飛行機ひこうきが「さかえ」や「ほまれ」の末期まっきがたよう開発かいはつした。しかし、空冷くうれいほしがたエンジンのかくシリンダーに均一きんいつ混合こんごう均一きんいつ圧力あつりょく供給きょうきゅうすることがむずかしく、改良かいりょうすすめられたが、実用じつようとほぼ同時どうじ終戦しゅうせんむかえ、実績じっせきはほとんどげていない。

自動車じどうしゃようでは、日本にっぽんしゃでの採用さいようれいトヨタのCi(採用さいようエンジンれい:1S-iLU・4S-Fi)、日産にっさんのEi(採用さいようエンジンれい:CA18iGA16iSR18DiVG30i)、また中島なかじま飛行機ひこうき後身こうしんである富士重工ふじじゅうこうが1,800ccエンジンのレオーネEA82けいアルシオーネEJ18けいレガシィ初期しょきにSPFIとしょうして採用さいようしたほか、軽自動車けいじどうしゃようスバル・ENがたエンジン採用さいようした。

これらのメーカーは燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちきエンジンのなかでも比較的ひかくてき低廉ていれんなグレードのものにSPIを採用さいようしていたが、三菱みつびしのECI(採用さいようエンジンれい:G63B、G54B、G32Bとうたてきエンジン)は、かくポート噴射ふんしゃしきのMPI(ECI-MULTI)を本格ほんかくてき採用さいようするまでのあいだは、ターボエンジンなどの上級じょうきゅうグレードの車種しゃしゅにも積極せっきょくてきにSPIを搭載とうさいしていた。三菱みつびしのSPIはスロットルボディのまえ配置はいちされた2ほんだい容量ようりょうインジェクターがスロットルにけて集中しゅうちゅうてき燃料ねんりょう噴射ふんしゃする独自どくじ形式けいしきで、WRC参戦さんせんする車両しゃりょうランサーEXスタリオン)のエンジンにも市販しはんしゃおな構造こうぞうのSPIを使用しようし、多数たすう実績じっせきおさめている。こうしたSPIのなか一番いちばん成功せいこうれいホンダだい1F1ようエンジンであろう(1964ねん - 1968ねんにかけて2しょう記録きろく)。日本にっぽん国外こくがいのメーカーで、日本にっぽんでの馴染なじみのふか車種しゃしゅとしてはイギリスローバーせいミニがその末期まっき採用さいようした。

アメリカではふるいエンジンように、キャブレターをインジェクションに変更へんこうするレトロフィットキットが現在げんざいでも市販しはんされている。

マルチポイントインジェクション

編集へんしゅう

シングルポイントインジェクションののち登場とうじょう[よう出典しゅってん]した技術ぎじゅつで、インテークマニホールドの吸気きゅうきポート付近ふきんにシリンダーごと1ほんのインジェクターを配置はいちし、かくシリンダーに独立どくりつして燃料ねんりょう噴射ふんしゃする方式ほうしきである。 マルチポートインジェクションともい、MPIなどと省略しょうりゃくされる。

SPIに比較ひかくしてきめこまかな制御せいぎょおこなえるためこう出力しゅつりょく高度こうど排出はいしゅつガス対策たいさくおこないやすい利点りてんがあり、市販しはん自動車じどうしゃにおいてMINIのフルモデルチェンジ(クラシック・MINI生産せいさん終了しゅうりょう)がなされたのち現在げんざいでは燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちのほぼすべてがこの形式けいしきである。しかし、SPIに比較ひかくしてインジェクター総数そうすうえるために特定とくてい気筒きとうのインジェクターが不調ふちょうとなることでエンジン全体ぜんたい不調ふちょうまね可能かのうせい相対そうたいてきおおきくなる欠点けってんがある。

2バルブ/マルチバルブエンジンどもにインジェクターの本数ほんすうはエンジンの気筒きとうすうおなじであったが、デュアルインジェクター[2]では気筒きとうすうの2ばいとなる。そのひやあいだ始動しどうどき専用せんようのコールドスタートインジェクターを1ほんつものがあり、チューニングカーでは、こう出力しゅつりょく燃焼ねんしょうしつ冷却れいきゃく破損はそん防止ぼうしようとしてインテークマニホールドにインジェクターを1 - 2ほん追加ついかする場合ばあいがある。

噴射ふんしゃ方式ほうしきにはおおきくけて下記かきの3種類しゅるい存在そんざいする。

同時どうじ噴射ふんしゃ方式ほうしき
すべてのインジェクターが同一どういつのECU信号しんごう同時どうじ噴射ふんしゃおこなうもの。形式けいしきこそMPIであるが、動作どうさ原理げんりはSPIにちかいものである。シリンダーによっては噴射ふんしゃから吸入きゅうにゅうまでややタイムラグが発生はっせいするため、当然とうぜんながら燃焼ねんしょう制御せいぎょ大雑把おおざっぱなものとなる。
グループ噴射ふんしゃ方式ほうしき
かく気筒きとう吸入きゅうにゅう工程こうていわせて噴射ふんしゃおこな形式けいしき。しかし、4気筒きとうエンジンで2気筒きとう吸入きゅうにゅう工程こうていにある場合ばあいその2ほんのインジェクターを同一どういつのECU信号しんごう駆動くどうするため、厳密げんみつ意味いみでのかく気筒きとう独立どくりつした制御せいぎょおこなえない。
シーケンシャル噴射ふんしゃ方式ほうしき
かく気筒きとう吸入きゅうにゅう工程こうていわせて噴射ふんしゃおこな形式けいしきで、すべてのインジェクターが独立どくりつしたECU信号しんごう噴射ふんしゃおこなうもの。ECUの制御せいぎょ複雑ふくざつになり、高価こうかとなりがちでもある。

現在げんざい[いつ?]主流しゅりゅう形式けいしきはシーケンシャル噴射ふんしゃであるが、さら厳密げんみつにはかくシリンダーの燃焼ねんしょう制御せいぎょ完全かんぜん個別こべつおこなわれているかどうかは、O2センサー配置はいちおおきく影響えいきょうけることに注意ちゅうい必要ひつようである。きわめて高度こうどなフィードバック制御せいぎょおこな場合ばあいには、O2センサーがかく気筒きとう排気はいきポートに独立どくりつして配置はいちされる必要ひつようがあるが、コストの問題もんだいでシーケンシャル噴射ふんしゃであってもO2センサーをシリンダーバンク単位たんいもしくはエンジン(さんげん触媒しょくばい)にたいして1個いっこしかたないものも存在そんざいする。このような場合ばあいには個別こべつにO2センサーが配置はいちされるものよりもシリンダー単位たんいでの燃焼ねんしょう制御せいぎょはやや大雑把おおざっぱになってしまう。

デュアルインジェクター(ツインインジェクター)

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気筒きとうごとに2ほんのインジェクタを配置はいちする方式ほうしき後述こうじゅつ追加ついかインジェクタのようことなる仕様しようのインジェクタをわせることも可能かのうだが、おな仕様しようのインジェクタを使用しようすることがおおい。1ほんだい容量ようりょうインジェクターではこまかい噴射ふんしゃりょう調整ちょうせいむずかしく、無効むこう噴射ふんしゃ時間じかん増大ぞうだいによる制御せいぎょせい低下ていか燃料ねんりょうきりせい悪化あっか噴射ふんしゃ時間じかん長大ちょうだいなどの欠点けってんがあるが、2ほんのインジェクタでおこなうことでこれらの欠点けってん解消かいしょう出来できるため、レーシングカーなどでは比較的ひかくてきもちいられていた手法しゅほうとなる。

近年きんねんにおいてはしょう燃費ねんぴ重視じゅうしする量産りょうさんしゃにおいても採用さいようすすんでいる。従来じゅうらい吸気きゅうき2バルブのエンジンでは2つの吸気きゅうきポートにたいしてひとつのインジェクタで対応たいおうしていたが、これらは2ほんのインジェクタがそれぞれのポートに対応たいおうする構成こうせいとなっている。噴射ふんしゃ燃料ねんりょう微粒びりゅうすることで燃焼ねんしょう安定あんていとくEGR大量たいりょう導入どうにゅうすることが一般いっぱんてきになってきているしょう燃費ねんぴしゃにおいてよりおおくのEGRの導入どうにゅう可能かのうとなるなどメリットはおおきい。 さらにインジェクタを吸気きゅうきバルブにちか位置いち配置はいち噴射ふんしゃ制御せいぎょ最適さいてきすることで、シリンダない直接ちょくせつ燃料ねんりょうはい割合わりあいえ、燃料ねんりょう気化きかによるシリンダない温度おんど低下ていか期待きたいできるてんおおきい。これによりノッキングを抑制よくせいされるため圧縮あっしゅくげることも可能かのうになる。ノッキング抑制よくせいはシリンダない直接ちょくせつ噴射ふんしゃするちょく噴エンジンほどではないが、コストのかかるこうあつインジェクタやポンプ、それらに対応たいおうするるい不要ふようであり、インジェクタぞうによるコストの増加ぞうかはあるものの既存きそんのポート噴射ふんしゃエンジンの若干じゃっかん改良かいりょう対応たいおう可能かのうである。 どう機構きこう国内こくないメーカーにおける呼称こしょうは、日産にっさんでは「デュアルインジェクター」、ホンダでは「ツインインジェクションシステム」、スズキでは「デュアルジェットエンジン」(デュアルインジェクターをふく複数ふくすう機構きこう採用さいようしたエンジンの総称そうしょう)、ダイハツでは「デュアルインジェクタ」となっている。どう機構きこう量産りょうさんしゃとしては日産にっさん世界せかいはつとしている[3]。また、2りんではスーパースポーツでは性能せいのう向上こうじょうとレスポンス向上こうじょうのために採用さいようされている。

コールドスタートインジェクタ

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気筒きとうごとにインジェクタをつ(マルチポイント)エンジンでは、ひやあいだ始動しどうせい向上こうじょうのためにコールドスタートインジェクタをつものがある。キャブレター時代じだいのチョーク機構きこうわりというべきもので、冷却れいきゃくすい温度おんど一定いってい以下いか状態じょうたいや、排気はいき温度おんど一定いってい以下いか状態じょうたい作動さどうするようコンピュータで管理かんりされている。真冬まふゆ寒冷かんれいなどでエンジン冷却れいきゃく水路すいろないサーモスタットひらきっぱなしになった場合ばあいなど、水温すいおんがなかなかがらない状況じょうきょうなどではうごきっぱなしとなり、燃費ねんぴ悪化あっかつながる。

かく自動車じどうしゃメーカーでの呼称こしょう

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EFI
Electronic Fuel Injection)
トヨタ自動車とよたじどうしゃ(マルチポイントしきのみ)・ダイハツ工業だいはつこうぎょうヤマハ発動機やまははつどうきでの呼称こしょう。また、フォードGM大宇だいう使用しようしていた。EFIの国内こくないでの商標しょうひょうはトヨタが所有しょゆうしているが、電子でんし制御せいぎょしきガソリン噴射ふんしゃシステムの呼称こしょうとして一般いっぱんしている。
初期しょきころはフラップしきエアフロメーターを使用しようしていたが、圧力あつりょくセンサーをもちいたDジェトロニックにわっていった。また一部いちぶ車輌しゃりょうではカルマンしきもちいられていた。現行げんこう車輌しゃりょうにおいてはほぼホットワイヤーしきのエアフロとなっている。
Ci
Central Injection)
トヨタしゃのシングルポイントインジェクション(上述じょうじゅつ)。
EGI
Electronic Gasoline Injection)
日産自動車にっさんじどうしゃマツダスバル(きゅう富士重工業ふじじゅうこうぎょう初期しょきはフラップしきエアフロメーターを使用しようしていたが、最近さいきん[いつ?]はホットワイヤーしきエアフロメーターが主流しゅりゅうである(日産自動車にっさんじどうしゃでは、日産にっさん・ECC電子でんし制御せいぎょキャブレター)からのながれをぎ、燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちふくめたエンジン集中しゅうちゅう制御せいぎょシステムECCSEngine Central Control System)として併記へいきしている場合ばあいおおい)。
PGM-FI
ProGraMmed Fuel Injection)
本田技研工業ほんだぎけんこうぎょう[ちゅう 2]での呼称こしょう採用さいようされていればF1から4サイクル50ccまで同一どういつ名称めいしょう使用しようされる[ちゅう 2]。オートバイようでデュアルインジェクションしきのものはPGM-DSFI(Dual Sequential Fuel Injection)となる。
EPI
Electronic Petrol Injection)
スズキでの呼称こしょう[ちゅう 3]。また、ターボチャージャーわされる場合ばあい呼称こしょうがEPIターボとなる。
ECI-MULTI
Electronic Controlled Injection-Multi
三菱自動車工業みつびしじどうしゃこうぎょうでの呼称こしょう。なおMultiとは、かくシリンダーに1つずつ噴射ふんしゃ装置そうち装備そうびされているということをあらわす。シングルポイントインジェクションの場合ばあいたんにECIとしょうしていた。初期しょきころから独自どくじのカルマンうずりゅうしきエアフロメーターを使用しようつづけていることが特徴とくちょうである。
ECGI
Electronically Controlled Gasoline Injection)
1970ねんいすゞ自動車ずじどうしゃ日本にっぽん最初さいしょ開発かいはつした自動車じどうしゃようアナログECUによるシステム。最初さいしょ採用さいようされたモデルは117クーペ
DFI
Digital Fuel Injection)
カワサキモータースせいオートバイようエンジンおよ汎用はんようエンジンに採用さいようされている燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち呼称こしょう
EMPi
Electric Multi-Point injection)
スバルが軽自動車けいじどうしゃけのエンジンコントロールシステムを場合ばあい使用しようしている呼称こしょう
MPFI
Multi-Point Fuel Injection)
1990年代ねんだいからスバルが日本にっぽん国外こくがい輸出ゆしゅつ車両しゃりょうのエンジンコントロールシステムを場合ばあい使用しようしている呼称こしょう

追加ついかインジェクタ

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いわゆるチューニングカーでもターボチャージャーだい容量ようりょうなどのいちじるしい出力しゅつりょく向上こうじょうはかるための改造かいぞうおこなった場合ばあいに、標準ひょうじゅんのインジェクタでは勿論もちろん純正じゅんせいえるタイプのインジェクタでも燃料ねんりょう噴射ふんしゃりょう不足ふそくする場合ばあいがある。きゅうあつたい燃料ねんりょうがリーンとなればノッキング原因げんいんとなり、結果けっか燃焼ねんしょうしつ(ピストントップ)の冷却れいきゃくいつかず、ねつったピストンがたなするなど、エンジンブロー原因げんいんとなる。そこで元々もともとのインジェクタにくわえ、こうきゅうあつ条件下じょうけんか燃料ねんりょう噴射ふんしゃするようなインジェクタをもう出力しゅつりょくそらもえちかづけるセッティングをおこなうことで、こうきゅうあつでの燃料ねんりょう噴射ふんしゃ確実かくじつおこなう。実際じっさいのセッティングは排気はいき温度おんどけいとA/Fけいおももちいておこなう。当然とうぜんエンジンブローにいたるまでのマージンはすくなくなる。またいわゆるNOS、ナイトロなどとばれるシステムにおいてはパワーを追求ついきゅうしていくと酸化さんか窒素ちっそガスのみの噴射ふんしゃ(ドライショット)では燃料ねんりょうりょう不足ふそくするため、酸化さんか窒素ちっそ燃料ねんりょう同時どうじ噴射ふんしゃするタイプ(ウェットショット)も存在そんざいする。

燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちのメンテナンス

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インジェクターはキャブレターくらべて経年けいねん劣化れっか長期ちょうき放置ほうちによる不具合ふぐあい発生はっせいすくない。 そのためバッテリーげないかぎりはほとんどの場合ばあい始動しどう通常つうじょう走行そうこう支障ししょうることはないといえる。

しかし、下記かき要件ようけんによりエンジンの初期しょき性能せいのう次第しだい発揮はっきできなくなってくるため、旧式きゅうしきした車両しゃりょう維持いじするさいにはかく項目こうもくにつき個別こべつのメンテナンスは必要ひつようになる。

  • 燃料ねんりょうポンプやプレッシャーレギュレータの経年けいねん劣化れっかによるもえあつみだ[ちゅう 4]
  • インジェクターないのフィルターまりによる噴射ふんしゃりょう低下ていか
  • インジェクターと燃料ねんりょうパイプの接続せつぞくのOリング劣化れっかによる燃料ねんりょう[ちゅう 5]
  • インジェクターのプランジャーへの異物いぶつみによる燃料ねんりょう[ちゅう 6]
  • インジェクターのスプレーチップ樹脂じゅしカバー破損はそんによる噴射ふんしゃパターンのみだ
  • O2センサーやエアフロメーターの故障こしょう汚損おそんによる噴射ふんしゃ制御せいぎょみだ

これらの経年けいねん劣化れっかのうち、燃料ねんりょうポンプやエアフロメーターに起因きいんするものはエンジンの始動しどう困難こんなんなど、その車両しゃりょう円滑えんかつ運行うんこう重大じゅうだい支障ししょうをきたすおそれがある。 また、インジェクター本体ほんたい起因きいんするものはとくにMPI形式けいしき場合ばあいかく気筒きとう供給きょうきゅうされる燃料ねんりょうりょうにバラツキがしょうじる直接ちょくせつ原因げんいんとなるため、アイドリングの不安定ふあんていてい回転かいてんいきのトルクの低下ていかなどの要因よういんとなる。基本きほんてきには不具合ふぐあいしょうじたインジェクターは新品しんぴん交換こうかんするしかないが、2000年代ねんだい前後ぜんこうからちょう音波おんぱ洗浄せんじょうもちいてインジェクターの噴射ふんしゃパターンの改善かいぜん噴射ふんしゃりょう均一きんいつおこなうサービスも登場とうじょうしてきている。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ そのため、キャブレターしゃおなおおきさのエアクリーナー使用しようされている。また、寒冷かんれいのエンジン始動しどう方法ほうほうもマルチポイントしきとはすこことなり、セルモーターをまわまえにアクセルペダルを1/10程度ていど必要ひつようがあった(1990年版ねんばんのP10プリメーラ説明せつめいしょより)。
  2. ^ a b いすゞ自動車ずじどうしゃOEM供給きょうきゅうされていた製品せいひんふくむ。その場合ばあいジェミニアスカのカタログにも、「PGM-FIは本田技研工業ほんだぎけんこうぎょう株式会社かぶしきがいしゃ登録とうろく商標しょうひょうです。」のむね記載きさいされている。
  3. ^ よんりんしゃでの呼称こしょう二輪車にりんしゃ場合ばあいたん「フューエルインジェクションシステム」記載きさいされている。
  4. ^ インジェクターがわひらきべん時間じかんおなもえあつひくほど噴射ふんしゃされる燃料ねんりょうるため、もえあつ低下ていかはエンジンの性能せいのう低下ていかつながる。ぎゃくもえあつつよすぎる場合ばあい噴射ふんしゃりょう増大ぞうだいするためはいガス浄化じょうか性能せいのう悪影響あくえいきょうあたえる。
  5. ^ インテークパイプの外部がいぶ直接ちょくせつ燃料ねんりょうすため、放置ほうちすれば車両しゃりょう火災かさい発生はっせいつながりかねない。
  6. ^ ぞくに「こうれ」ともばれる。軽微けいび場合ばあいでもエンジン停止ていしちゅう燃料ねんりょうパイプないもえあつ次第しだい低下ていかするため、再始動さいしどう始動しどう不良ふりょうなどにおちいることがある。重度じゅうど場合ばあいはシリンダーない燃料ねんりょうまってしまい、クランキングウォーターハンマー現象げんしょうこしてエンジンの破壊はかいつながるおそれもある。

出典しゅってん

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  1. ^ a b GSX-R1000に搭載とうさいしたS-DMS装置そうち開発かいはつについて” (PDF). 一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん機械きかい学会がっかい. 2015ねん2がつ25にち閲覧えつらん
  2. ^ デュアルインジェクター”. 日産自動車にっさんじどうしゃ (2010ねん4がつ). 2020ねん1がつ8にち閲覧えつらん
  3. ^ デュアルインジェクター | 日産にっさん技術ぎじゅつ開発かいはつ

関連かんれん項目こうもく

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