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ケロシン - Wikipedia

ケロシン

石油せきゆ分留ぶんりゅう成分せいぶんの1つ

ケロシン英語えいご: kerosene)とは、石油せきゆ分留ぶんりゅう成分せいぶんの1つである。およそ沸点ふってん150 - 280炭素たんそかず10 - 15密度みつど0.79 - 0.83のものである。ナフサガソリン原料げんりょう)よりおもく、軽油けいゆよりかるい。

ケロシンけいジェット燃料ねんりょう Jet A-1 を輸送ゆそうするトラック
ケロシンけいロケット燃料ねんりょうRP-1を使つかサターンV

ケロシンを主成分しゅせいぶんとして、灯油とうゆジェット燃料ねんりょう、ケロシンけいロケット燃料ねんりょうなどの石油せきゆ製品せいひんつくられる。灯油とうゆ成分せいぶんはケロシンだが、日本にっぽんでは灯油とうゆをケロシンとぶことはまれで、ケロシンといえば「ジェット燃料ねんりょうやロケット燃料ねんりょう」をすことがおおい。

英語えいごでは kerosene のほか kerosine ともつづり、また coal oil ともいう。中国ちゅうごくでは「すす」やぞくに「火水ひみず」という。ビル石油びるせきゆコストコガソリンスタンドで、灯油とうゆ給油きゅうゆには、英語えいごKerosineかれている。また、英国えいこくみなみアフリカでは イギリス英語えいご: paraffinパラフィン)ともぶ。

概要がいよう 編集へんしゅう

ケロシンは、無色むしょくえやすい液体えきたい炭化たんか水素すいそで、石油せきゆ分留ぶんりゅうで150 - 275分留ぶんりゅう区画くかくめる(炭素たんそすうで12 - 15に相当そうとう)。かつては灯油とうゆランプひろ使用しようされていたが、その灯油とうゆやロケット燃料ねんりょうやジェット燃料ねんりょうとして使用しようされる。ケロシンの名称めいしょうギリシアκかっぱηいーたρろーοおみくろん’ς(keros。ろう、ワックス)に由来ゆらいする。

原油げんゆから直接ちょくせつ蒸留じょうりゅうされた標準ひょうじゅんてきなケロシンは、硫黄いおう含有がんゆうとそれにともな腐食ふしょくせい減少げんしょうさせるために、いくつかの脱硫だつりゅう処理しょり必要ひつようとする。今日きょうではケロシンの一部いちぶ石油せきゆクラッキングによっても生産せいさんされる。つまりクラッキングにより、原油げんゆなかでも重油じゅうゆとして燃料ねんりょうにしかならない成分せいぶんから、価値かちのある成分せいぶんへとあらためただしている。

引火いんかてんは、37℃から65℃、発火はっかてんは、220℃。

用途ようと 編集へんしゅう

 
石油せきゆファンヒーター日本にっぽんせい

ケロシンに、水素すいそ添加てんかとめぶんクラッキング剰余じょうよぶんなどがブレンドされ、各種かくしゅ燃料ねんりょうつくられる。

灯油とうゆ 編集へんしゅう

灯油とうゆは、家庭かていよう燃料ねんりょうなどに使つかわれる。日本にっぽんでは、灯油とうゆ品質ひんしつJIS K 2203で標準ひょうじゅんされている。

灯油とうゆ調理ちょうりよう燃料ねんりょうとしての使用しようは、ほぼ発展はってん途上とじょうこくまたはバックパッカーにかぎられており、そのような用途ようとでは精製せいせいひくく、不純物ふじゅんぶつやゴミをふくんだものが使用しようされている。

日本にっぽんでは、家庭かていよう灯油とうゆストーブで暖房だんぼう燃料ねんりょうとしてひろ使用しようされており、ガソリンスタンドや宅配たくはいによって容易ようい入手にゅうしゅ可能かのうである。

ジェット燃料ねんりょう 編集へんしゅう

ジェット燃料ねんりょうは、ほぼケロシンからなる「ケロシンけい」と、ナフサをぜる「ワイドカットけい」にけられる。

民間みんかんよう規格きかくとしてはケロシンけいのJet AとJet A-1、ワイドカットけいとしてJet Bがある。これらはアメリカの工業こうぎょう規格きかくASTM D-1655で標準ひょうじゅんされており、日本にっぽんではJIS K 2209がそれに準拠じゅんきょしている。軍用ぐんようにも各種かくしゅ規格きかくがある。

ロケット燃料ねんりょう 編集へんしゅう

ロケットエンジンでは燃料ねんりょう大気圏たいきけんそとでも燃焼ねんしょうさせるため、液体えきたい水素すいそやケロシンなどの燃料ねんりょうのほかに酸化さんかざい搭載とうさいする必要ひつようがある。酸化さんかざいとしてもちいられる物質ぶっしつは、だい世界せかい大戦たいせんちゅうのヴァルターロケットでは過酸化水素かさんかすいそおなじくV2ロケットでは液体えきたい酸素さんそ戦後せんごのミサイルではあかけむり硝酸しょうさん塩素えんそさんアンモニウムなどである。ケロシンを燃料ねんりょうとするロケットの場合ばあい酸化さんかざいとしては液体えきたい酸素さんそおおもちいられる。

ロケット燃料ねんりょうとしての性能せいのう推力すいりょく)は噴射ふんしゃ速度そくどたかいほど、いいかえると燃焼ねんしょう温度おんどたか燃焼ねんしょうガスの分子ぶんしりょうかるいほど、最終さいしゅう飛翔ひしょうたい燃料ねんりょう重量じゅうりょうたん質量しつりょうぶ)がよくなる。したがって、理想りそうてきには液体えきたい水素すいそ液体えきたい酸素さんそわせがロケット燃料ねんりょうには最適さいてきである。しかしながら、液体えきたい水素すいそ密度みつどひくいためタンクが巨大きょだいになり、また液体えきたい酸素さんそとの沸点ふってんちがいからタンクの断熱だんねつ構造こうぞう複雑ふくざつになるなどの課題かだいがある。すなわち、実際じっさいには燃料ねんりょうタンクなどロケットの構造こうぞうざい重量じゅうりょうふくめて考慮こうりょされるべきで、サイズが巨大きょだいになる多段ただんしきロケットの1だんには、構造こうぞうざい装置そうち簡単かんたんになり軽量けいりょうはかれるケロシンが燃料ねんりょうとして採用さいようされることがおおい。

ケロシンけいロケット燃料ねんりょう 編集へんしゅう

RP-1
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくひろ使つかわれるロケットエンジンよう燃料ねんりょう
RG-1
きゅうソビエト連邦れんぽう/ロシア使用しようされるケロシンけいロケット燃料ねんりょうひとつ。
密度みつどが 0.82 - 0.85 g/mlで、RP-1の 0.81 g/mlより若干じゃっかんたかい。
TM-114
きゅうソビエト連邦れんぽう/ロシアで使用しようされるケロシンけいロケット燃料ねんりょうひとつ。
TM-185
きゅうソビエト連邦れんぽう/ロシアで使用しようされるケロシンけいロケット燃料ねんりょうひとつ。
Syntin
かつてきゅうソビエト連邦れんぽう/ロシアで使用しようされたケロシンけいロケット燃料ねんりょうひとつ。

ケロシンを燃料ねんりょうとするロケットエンジンのれい 編集へんしゅう

F-1
アポロ計画けいかくもちいられたサターンV がたロケット一段いちだんよう巨大きょだいエンジン。
RD-170/RD-171
ロシアの大型おおがたロケットアンガラウクライナゼニトようのエンジンで、F-1に匹敵ひってきする。
RD-107/RD-108
ロシアのソユーズ一段いちだんだんようエンジン(RD-108にRD-107を4ほんたばねて使つかうのが特徴とくちょう)。液体えきたい酸素さんそとケロシンけいのT-1またはRG-1燃料ねんりょう使用しようする。
RS-27/RS-27A/RS-27C
デルタII一段いちだんようエンジン。
MB-3-1(制式せいしきめいLR-79-7)
ソー・デルタ一段いちだんようエンジン。
MB-3-3
デルタN-IロケットN-IIロケットH-Iロケットなどデルタシリーズの1だんようエンジン。
Merlin
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくスペースXしゃファルコン1ファルコン9ファルコンヘビー使用しようされるエンジン。

各国かっこくでの呼称こしょう 編集へんしゅう

ケロシンと厳密げんみつ同義語どうぎごとはかぎらない[1]

英語えいごでのその呼称こしょう

出典しゅってん 編集へんしゅう

  1. ^ 英語えいごばんウィキペディア en:Kerosene#Common name[出典しゅってん無効むこう]
  2. ^ 食用しょくようのパラフィン(パラフィン)とはことなる。

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう