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生産性 - Wikipedia

生産せいさんせい

経済けいざいがく生産せいさん活動かつどうたいする生産せいさん要素ようそ寄与きよ、あるいは、資源しげんから付加ふか価値かちさい効率こうりつ程度ていど

経済けいざいがくにおける生産せいさんせい(せいさんせい、えい: Productivity)は、経済けいざい政策せいさくたいする生産せいさん要素ようそ労働ろうどう資本しほんなど)の寄与きよ、あるいは、資源しげんから付加ふか価値かちさい効率こうりつ程度ていどである。つぎしき定義ていぎされる[1]

生産せいさんせい = 産出さんしゅつりょう / 投入とうにゅうりょう

すなわちよりすくない投入とうにゅうりょう(インプット)からよりおお産出さんしゅつりょう(アウトプット)がられるほど、より生産せいさんせいたかいという関係かんけいにある。ゆえに生産せいさん活動かつどう効率こうりつせいはか指標しひょうとして利用りようされる。

生産せいさんせいにはなに基準きじゅんいて評価ひょうかするかによっていくつか種類しゅるいがある。これはインプットとアウトプットの対象たいしょうによって、生産せいさんせいという言葉ことば意味いみことなるためである。一定いってい資源しげんからどれだけおおくの付加ふか価値かちせるかという測定そくていほうと、一定いってい付加ふか価値かちをどれだけすくない資源しげんせるかという測定そくていほうがある。またそれぞれの生産せいさんせい数値すうち尺度しゃくどは、それ単独たんどくもちいるよりも、他者たしゃ生産せいさんせい比較ひかくすることによってさらに有用ゆうよう指標しひょうベンチマーク)となる[2]

生産せいさんせいは、企業きぎょうくに生産せいさん実績じっせき左右さゆうする重要じゅうよう要素ようそである。くに生産せいさんせい向上こうじょうさせることは、生活せいかつ水準すいじゅん向上こうじょうにつなる。それは実質じっしつ所得しょとく増加ぞうかは、人々ひとびと商品しょうひんやサービスを購入こうにゅうしたり、余暇よかたのしんだり、住宅じゅうたく教育きょういく改良かいりょうしたり、社会しゃかいてき環境かんきょうてきプログラムに貢献こうけんしたりする能力のうりょく向上こうじょうさせるからである。また、生産せいさんせい向上こうじょうは、企業きぎょう収益しゅうえきせい向上こうじょうにもつながる[3]

また、国際こくさいてきには生産せいさんせいたか産業さんぎょうのこることが出来できるため、かく方面ほうめん生産せいさんせい改善かいぜん活発かっぱつおこなわれている。実際じっさい国際こくさいてき競争きょうそうにある製造せいぞうぎょう(貿易ぼうえきざい)の生産せいさんせいは、貿易ぼうえきざいであるサービスぎょうくらべてがいしてたかい。 生産せいさんせい改善かいぜんは、生産せいさんせいという発想はっそうのもとである、製造せいぞうぎょう生産せいさんラインにおいてはもっとつよ発揮はっきされている。一方いっぽうで、サービスぎょうは、フローの把握はあく分業ぶんぎょう進展しんてんしていないこともあり、生産せいさんせい向上こうじょうおくれている。

部分ぶぶんてき生産せいさんせい

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部分ぶぶんてき生産せいさんせいえい: partial productivities)は1種類しゅるい投入とうにゅう/産出さんしゅつ要素ようそ指標しひょうされた生産せいさんせいである[4]

もちいる要素ようそ種類しゅるいによって様々さまざま部分ぶぶんてき生産せいさんせい定義ていぎされている。つぎひょうはそのいちれいである。

Table. 部分ぶぶんてき生産せいさんせい分類ぶんるい
算出さんしゅつ
物的ぶってき 付加ふか価値かち
投入とうにゅう 資本しほん資本しほん生産せいさんせい 物的ぶってき資本しほん生産せいさんせい 付加ふか価値かち資本しほん生産せいさんせい
労働ろうどう労働ろうどう生産せいさんせい 物的ぶってき労働ろうどう生産せいさんせい 付加ふか価値かち労働ろうどう生産せいさんせい

マクロ経済けいざいがくにおいて部分ぶぶんてき生産せいさんせいとは、一般いっぱんてき労働ろうどう生産せいさんせいのことである。また一般いっぱんてき経済けいざい指標しひょうたんに「労働ろうどう生産せいさんせい」とった場合ばあい通常つうじょう付加ふか価値かち労働ろうどう生産せいさんせいす。

資本しほん生産せいさんせい

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資本しほん機械きかい貨物かもつ自動車じどうしゃひとし設備せつび)1単位たんいたいしてどれだけ価値かちめたかをす。通常つうじょう資本しほんあそばないようになるだけおお労働ろうどうしゃてると、資本しほん回転かいてんりつ上昇じょうしょう資本しほん生産せいさんせいたかまる。ただし、この場合ばあい労働ろうどう生産せいさんせい低下ていかする。 関係かんけいしきとしては、資本しほん生産せいさんせい生産せいさんりょう÷有形ゆうけい固定こてい資産しさんがあてはめられる。

労働ろうどう生産せいさんせい

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欧州おうしゅう労働ろうどう生産せいさんせい時間じかんあたりGDP)

労働ろうどう生産せいさんせいえい: Labour productivity)は労働ろうどうりょく1単位たんいたいする産出さんしゅつりょうである[5]。すなわちつぎしき定義ていぎされる:

 

労働ろうどう生産せいさんせい生産せいさんりょう物的ぶってきりょうあらわ場合ばあいは「物的ぶってき労働ろうどう生産せいさんせい」、付加ふか価値かちがくあらわ場合ばあいは「付加ふか価値かち労働ろうどう生産せいさんせい」とう。

通常つうじょう労働ろうどうりょくあそばないようになるべくおお資本しほん装備そうびすると、労働ろうどうりょく回転かいてんりつ上昇じょうしょうして労働ろうどう生産せいさんせいたかまる。ただし、この場合ばあい資本しほん生産せいさんせい低下ていかする。

関係かんけいしきとしては、

  • 物的ぶってき労働ろうどう生産せいさんせい)=(生産せいさんりょう)÷(従業じゅうぎょうしゃすう
  • 価値かち労働ろうどう生産せいさんせい)=(生産せいさんがく)÷(従業じゅうぎょうしゃすう)=((生産せいさんりょう)×(製品せいひん価格かかく))÷(従業じゅうぎょうしゃすう
  • 付加ふか価値かち労働ろうどう生産せいさんせい)=(付加ふか価値かちがく)÷(従業じゅうぎょうしゃすう

といったものがあてはめられる。

なお、ぞくサービス残業ざんぎょうなどに労働ろうどう強度きょうど増加ぞうかって生産せいさん、あるいは、利益りえきやすことを生産せいさんせいげると表現ひょうげんすることがあるが、上記じょうきからあきらかなようにその場合ばあい労働ろうどうりょく投入とうにゅうというインプットが増加ぞうかしているため、かりにアウトプットが増加ぞうかしても生産せいさんせい上昇じょうしょうするとはかぎらない。経済けいざい学者がくしゃ生産せいさんせいげるべきだと主張しゅちょうするときは、上記じょうきのようなあくまでインプット対比たいひでのアウトプットについてであるが、これが「労働ろうどう強度きょうどたかめて酷使こくしされるという意味いみである」と混同こんどうされる場合ばあいがあり、注意ちゅうい必要ひつようである。

要素ようそ生産せいさんせい

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ぜん要素ようそ生産せいさんせいえい: Total factor productivity; TFP)は複数ふくすう投入とうにゅう/産出さんしゅつ要素ようそ指標しひょうされた生産せいさんせいである。

通常つうじょうゆるやかな上昇じょうしょう基調きちょうであるが、イノベーションさいたか上昇じょうしょうせる。交通こうつう革命かくめい情報じょうほう革命かくめいなどが、その革新かくしん該当がいとうする(IT革命かくめいによるぜん要素ようそ生産せいさんせい改善かいぜんについては、なお、議論ぎろん余地よちる)。

国民こくみん経済けいざい生産せいさんせい産出さんしゅつりょうとしての国内こくないそう生産せいさん(GDP)を投入とうにゅうりょうとしての就業しゅうぎょうしゃ総数そうすうじょしたもの。労働ろうどう生産せいさんせい国際こくさい比較ひかくにおいて使用しようされるさいには、各国かっこく購買こうばいりょく平価へいか(PPP)でUSドル換算かんさんしたGDPがもちいられる。

生産せいさんせい景気けいき循環じゅんかん

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景気けいき循環じゅんかん生産せいさんせいおおきく影響えいきょうしている。通常つうじょうだい規模きぼイノベーションこらない場合ばあい労働ろうどう生産せいさんせい資本しほん生産せいさんせいぎゃくうごきをする。

景気けいき回復かいふくにはかけじょうでの労働ろうどう生産せいさんせいびがたかめに傾向けいこうがある。これは労働ろうどうしゃいちにんあたりの効率こうりつせい改善かいぜんしなくても稼働かどうりつたかめることによって生産せいさんだか増加ぞうかさせることができるためである。ぎゃくに、景気けいき後退こうたいには、労働ろうどう生産せいさんせいびがひくめに傾向けいこうがある。

労働ろうどうりょく調整ちょうせい硬直こうちょくてき経済けいざい終身しゅうしん雇用こようせいなど)の場合ばあい資本しほんがより循環じゅんかんするため、景気けいき回復かいふくには労働ろうどう生産せいさんせい上昇じょうしょうし、景気けいき下降かこうには労働ろうどう生産せいさんせい低下ていかする。

労働ろうどうりょく調整ちょうせい柔軟じゅうなん経済けいざい解雇かいこ比較的ひかくてき容易よういなど)の場合ばあい労働ろうどうりょくがより循環じゅんかんするため、景気けいき回復かいふくには資本しほん生産せいさんせい上昇じょうしょうし、景気けいき下降かこうには資本しほん生産せいさんせい低下ていかする。

生産せいさんせい向上こうじょう要因よういん

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G7各国かっこく平均へいきん賃金ちんぎん破線はせん)と、時間じかんあたりGDP(実線じっせん
  • 投資とうしによる資本しほんざい生産せいさん手段しゅだん蓄積ちくせき増加ぞうか
  • 教育きょういくによる人的じんてき資本しほん労働ろうどうりょく)のしつ向上こうじょう
  • てい生産せいさん部門ぶもんからこう生産せいさん部門ぶもんへの資源しげんさい配分はいぶんによる効率こうりつせい向上こうじょう
  • 研究けんきゅう開発かいはつによる技術ぎじゅつ進歩しんぽ[6]

最低さいてい賃金ちんぎん

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ノーベル経済けいざいがくしょう受賞じゅしょうしゃポール・クルーグマンは、近年きんねん実証じっしょう研究けんきゅう蓄積ちくせきもとづき、最低さいてい賃金ちんぎんげが雇用こようせい影響えいきょうあたえることを指摘してきする。そして賃金ちんぎん上昇じょうしょう労働ろうどうのターンオーバーをらし生産せいさんせいたかめると結論けつろんづける[7]米国べいこくでは、2016ねんまでに最低さいてい賃金ちんぎんを10.10ドルまでげる法案ほうあんトム・ハーキン提出ていしゅつし、これにおおくの主要しゅよう経済けいざい学者がくしゃ賛同さんどうしている[8] [9]。また2020ねんまでに米国べいこく最低さいてい賃金ちんぎんを15ドルと設定せっていする法案ほうあんバーニー・サンダース提出ていしゅつした[10]

生産せいさんせい向上こうじょうのための活動かつどう

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電通でんつう新入しんにゅう女性じょせい社員しゃいん自殺じさつ(2015ねん)もあり、政府せいふ過剰かじょう残業ざんぎょうをなくし(労働ろうどう生産せいさんせい向上こうじょう目指めざしてはたらかた改革かいかくすすめている[11]人材じんざいへの投資とうしによる生産せいさんせい向上こうじょうによる経済けいざい成長せいちょう目指めざしている[12]

生産せいさんせい向上こうじょう

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かく企業きぎょうでは、はたらひとがモチベーション(動機どうきけ)をたかめ、やりがいをかん組織そしきへのエンゲージメントをたかめることで、顧客こきゃく付加ふか価値かちをもたらす業務ぎょうむ集中しゅうちゅう生産せいさんせい向上こうじょう実現じつげんする活動かつどうおこなわれている[13][14]

生産せいさんせい個人こじんてき要因よういん

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謙虚けんきょ誠実せいじつさは生産せいさんせいたか関連かんれんせいがあり[15]生産せいさんせいたかいスタッフはカルト主義しゅぎしゃになりにくい[16]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ "生産せいさんせいとは、output(産出さんしゅつ) / input(投入とうにゅう)の関係かんけいあらわ指標しひょうであり" 日本にっぽん生産せいさんせい本部ほんぶ労働ろうどう生産せいさんせいぜん要素ようそ生産せいさんせいとは生産せいさんせいデータベース』 2023-06-06閲覧えつらん.
  2. ^ http://www.jpc-net.jp/movement/productivity.html
  3. ^ Courbois & Temple 1975, Gollop 1979, Kurosawa 1975, Pineda 1990, Saari 2006, Hitt and Brynjolfsson 1996, Sickles and Zelenyuk (2019)
  4. ^ Sumanth, David J. (1997-10-27) (英語えいご). Total Productivity Management (TPmgt): A Systemic and Quantitative Approach to Compete in Quality, Price and Time. CRC Press. p. 5. ISBN 9781574440577. https://books.google.com/books?id=mLAv09ocvTsC&q=%22Total+productivity%22&pg=PA5 
  5. ^ "労働ろうどう生産せいさんせい労働ろうどうしゃ 1 にんたりで成果せいか、あるいは労働ろうどうしゃが 1 あいだ成果せいか指標しひょうしたもの" 日本にっぽん生産せいさんせい本部ほんぶ労働ろうどう生産せいさんせいぜん要素ようそ生産せいさんせいとは生産せいさんせいデータベース』 2023-06-06閲覧えつらん.
  6. ^ スティグリッツ マクロ経済けいざいがく[リンク]
  7. ^ Liberals and WagesP. Krugman, The New York Times, The Opinion Pages, 17 June 2015
  8. ^ 75 economists back minimum wage hike CNN Money, January 14, 2014
  9. ^ Over 600 Economists Sign Letter In Support of $10.10 Minimum Wage Economist Statement on the Federal Minimum Wage, Economic Policy Institute
  10. ^ The rapid success of Fight for $15: 'This is a trend that cannot be stopped'S. Greenhouse, The Guardian, US-News, 24 Jul 2015
  11. ^ はたらかた改革かいかく実現じつげん”. 2017ねん12月13にち閲覧えつらん
  12. ^ 経済けいざい財政ざいせい運営うんえい改革かいかく基本きほん方針ほうしん2017 人材じんざいへの投資とうしつうじた生産せいさんせい向上こうじょう”. 2017ねん12月13にち閲覧えつらん
  13. ^ 入江いりえ 2018.
  14. ^ 次世代じせだい 生産せいさんせい向上こうじょう方法ほうほうろん”. 2017ねん12月13にち閲覧えつらん
  15. ^ Lee, Youngduk; Berry, Christopher M.; Gonzalez-Mulé, Erik (2019-12). “The importance of being humble: A meta-analysis and incremental validity analysis of the relationship between honesty-humility and job performance.” (英語えいご). Journal of Applied Psychology 104 (12): 1535–1546. doi:10.1037/apl0000421. ISSN 1939-1854. https://doi.apa.org/doi/10.1037/apl0000421. 
  16. ^ Mackey, Jeremy D. (2021-06-01). “Why and how predators pick prey: Followers’ personality and performance as predictors of destructive leadership” (英語えいご). Journal of Business Research 130: 159–169. doi:10.1016/j.jbusres.2021.03.002. ISSN 0148-2963. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0148296321001557. 

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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