熱ねつ力学りきがくサイクル

熱ねつ力学りきがくサイクル（ねつりきがくサイクル、英えい: thermodynamic cycle）あるいは単たんにサイクルは、ヒートポンプを含ふくむ熱ねつ機関きかんの作業さぎょう物質ぶっしつ^{[注ちゅう 1]}が行おこなう循環じゅんかん的てきな動作どうさを理想りそう化か（単純たんじゅん化か）したものである。

実際じっさいの熱ねつ機関きかんの動作どうさは多少たしょうなりとも不可ふか逆ぎゃく変化へんかを伴ともなっており、理論りろん上じょうの熱ねつ力学りきがくサイクルとは異ことなっているが、熱ねつ力学りきがくサイクルは熱ねつ機関きかんの原理げんり的てき理解りかいや基本きほん設計せっけいには必要ひつようなものである。

理想りそうサイクル

カルノーサイクル

外そと燃もえ機関きかんの熱ねつ力学りきがくサイクル

「外そと燃もえ機関きかん」も参照さんしょう

蒸気じょうきタービン
スターリングエンジン - 冷凍れいとう機きとしても使用しようされる。
- スターリングサイクル（カークサイクル）
  - 分離ぶんり型がたスターリングサイクル
- ヴィルマイアーサイクル
- ギフォードマクマホンサイクル（G.Mサイクル）

内燃ないねん機関きかんの熱ねつ力学りきがくサイクル

「内燃ないねん機関きかん」も参照さんしょう

内燃ないねん機関きかんの実際じっさいの動作どうさは、作業さぎょう物質ぶっしつ自身じしんの燃焼ねんしょう、組成そせい変化へんか、排気はいきの残留ざんりゅう、成分せいぶんの解離かいり・結合けつごう、弁べんの開閉かいへい等とうのために、かなり複雑ふくざつなものとなる。このため、これを次つぎのように理想りそう化かしたサイクル（空気くうき標準ひょうじゅんサイクル）を考かんがえる^[1]。

動作どうさ物質ぶっしつは純粋じゅんすいな空気くうきとする
空気くうきは比熱ひねつが一定いっていの（狭義きょうぎの）理想りそう気体きたいとする
閉とじたサイクルを行おこない、燃焼ねんしょうと排気はいき・吸気きゅうきに代かえて外部がいぶ熱源ねつげんとの間あいだで熱ねつの授受じゅじゅを行おこなう(外そと燃もえ式しき)
変化へんかは全すべて可逆かぎゃく的てきに行おこなわれるものとする

以下いかのサイクルは、この仮定かていに基もとづいた空気くうき標準ひょうじゅんサイクルである。

冷凍れいとう機きの熱ねつ力学りきがくサイクル

「冷凍れいとう機き」も参照さんしょう

「冷凍れいとうサイクル」も参照さんしょう

理想りそうサイクル
- 逆ぎゃくカルノーサイクル
蒸気じょうき圧縮あっしゅく冷凍れいとう機き - 一般いっぱん的てきな冷凍れいとうサイクル。
- 蒸気じょうき圧縮あっしゅく冷凍れいとうサイクル - エア・コンディショナー、冷蔵庫れいぞうこ
  - ローレンツサイクル - 非ひ共きょう沸にえ混合こんごう冷媒れいばいを利用りようした高こう効率こうりつサイクル
- 多段ただん蒸気じょうき圧縮あっしゅく冷凍れいとうサイクル - 極ごく低温ていおん用よう冷凍れいとう機き
- 多元たげん冷凍れいとうサイクル - 天然てんねんガス液化えきか、ドライアイス・液体えきたい空気くうき製造せいぞう
吸収きゅうしゅう式しき冷凍れいとう機き
極ごく低温ていおん冷凍れいとうサイクル
ヘリウム冷凍れいとう
その他たの冷凍れいとうサイクル
- 吸着きゅうちゃく冷凍れいとうサイクル
  - 水素すいそ吸着きゅうちゃく合金ごうきん利用りようヒートポンプ
- ペルティエ効果こうか（電子でんし冷却れいきゃく）
- 空気くうき冷凍れいとうサイクル
- 蒸気じょうき噴射ふんしゃ冷凍れいとうサイクル
- ボルテックスチューブ冷凍れいとうサイクル

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

^ シリンダー内うちにピストンで閉とじ込こめられた気体きたいのような、熱ねつや仕事しごとを外部がいぶとやり取とりする物質ぶっしつ。

出典しゅってん

^ 柘植つげ盛男もりお、『機械きかい熱ねつ力学りきがく』(1967)、朝倉書店あさくらしょてん

参考さんこう文献ぶんけん

佐藤さとう俊しゅん、国友くにとも孟はじめ、熱ねつ力学りきがく、丸善まるぜん