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揚水発電 - Wikipedia

揚水ようすい発電はつでん

ポンプとタービンで連結れんけつされた2つの貯水ちょすいそうもちいた発電はつでんしょ

揚水ようすい発電はつでん(ようすいはつでん、英語えいご: Pumped-storage hydroelectricity)は、夜間やかん休日きゅうじつ昼間ひるまなどの需要じゅようすくない時間じかんたい電力でんりょく系統けいとう電力でんりょく周波数しゅうはすう電圧でんあつちからりつ調整ちょうせいのため、発電はつでんところ余剰よじょう電力でんりょく下部かぶ貯水池ちょすいち下池しもいけ)から上部じょうぶ貯水池ちょすいち上池かみいけダム)へみずげておき、平日へいじつ昼間ひるま夕方ゆうがた電灯でんとう点灯てんとうなどの需要じゅよう増加ぞうかするときに、上池かみいけダムから下池しもいけみずみちびとすことで発電はつでんする水力すいりょく発電はつでん方式ほうしきである[1]

揚水発電の模式図 電力需要が下がる深夜等の余剰電力で下部貯水池から上部貯水池へ水の汲み上げを行い、昼間・夕方などの高需要時間帯に上部から下部へ水を流し発電することで需給調整を行う。
揚水ようすい発電はつでんしき
電力でんりょく需要じゅようがる深夜しんやとう余剰よじょう電力でんりょく下部かぶ貯水池ちょすいちから上部じょうぶ貯水池ちょすいちみずげをおこない、昼間ひるま夕方ゆうがたなどのこう需要じゅよう時間じかんたい上部じょうぶから下部かぶみずなが発電はつでんすることで需給じゅきゅう調整ちょうせいおこなう。

概要がいよう

編集へんしゅう
 
揚水ようすい発電はつでんしょ 発電はつでんしつ
 
関西電力かんさいでんりょくおく吉野よしの発電はつでんしょひだり下池しもいけ あさひダムとみぎ上池かみいけ 瀬戸せとダム

役割やくわり

編集へんしゅう

揚水ようすい発電はつでん役割やくわりは、だい容量ようりょう電力でんりょく貯蔵ちょぞうである。電力でんりょく需要じゅよう供給きょうきゅう平準へいじゅんねら蓄電ちくでん目的もくてきした、ダムのみずもちいて、電力でんりょく位置いちエネルギーとしてたくわえる巨大きょだい蓄電池ちくでんち、あるいは蓄電ちくでんしょうべきものである。

電力でんりょく需要じゅようは、夏季かき昼間ひるま冷房れいぼう需要じゅよう冬季とうき夕方ゆうがた電灯でんとう点灯てんとう暖房だんぼう同時どうじ使用しようなどのとき最高さいこうとなり、深夜しんや最低さいていとなる。そのため、こう負荷ふか電力でんりょく供給きょうきゅうりょくてい負荷ふか調整ちょうせいりょく問題もんだいとなる。また、太陽光たいようこう発電はつでんしょなど再生さいせい可能かのうエネルギー割合わりあいたか休日きゅうじつ昼間ひるま調整ちょうせいりょくとく問題もんだいとなっている。

揚水ようすいしき発電はつでんは、発電はつでん電力でんりょく供給きょうきゅうりょく揚水ようすい調整ちょうせいりょく供給きょうきゅうするため、深夜しんや休日きゅうじつ昼間ひるま揚水ようすい夏季かき昼間ひるま冬季とうき夕方ゆうがた発電はつでんする[2]

比較的ひかくてき短時間たんじかん揚水ようすい発電はつでんえができるため、だい規模きぼ電源でんげん脱落だつらく需要じゅよう予測よそく以上いじょう増加ぞうかそなえた予備よびりょくだい規模きぼ停電ていでんどき電力でんりょく系統けいとう復旧ふっきゅうよう初期しょき電源でんげんとして重要じゅうようである。また、原子力げんしりょく発電はつでんだい規模きぼ火力かりょく発電はつでんなが水力すいりょく発電はつでんしょ地熱じねつ発電はつでん太陽光たいようこう発電はつでん風力ふうりょく発電はつでんなど調整ちょうせいりょくちいさい電源でんげんめる割合わりあいおおきな需要じゅようすくない時間じかんたいに、即応そくおうせい調整ちょうせいりょくとして利用りようされている。

揚水ようすい発電はつでん世界せかいてきにもおこなわれているが、電力でんりょく系統けいとう他国たこくから独立どくりつし、電力でんりょく需要じゅようのピークとオフピークのおおきい日本にっぽんとく普及ふきゅうした蓄電ちくでん方法ほうほうである。

なお原理げんりてきには電力でんりょく交流こうりゅう周波数しゅうはすう変換へんかんする設備せつびとしても利用りようしうる。

アンシラリーサービス

編集へんしゅう

アンシラリーサービスは、電力でんりょく系統けいとう電力でんりょく需要じゅよう発電はつでんりょう一致いっちさせ、電力でんりょく周波数しゅうはすう電圧でんあつちからりつ調整ちょうせいするともに、供給きょうきゅう信頼しんらい確保かくほすることである。

  • 周波数しゅうはすう制御せいぎょすう : すうびょう以下いか変動へんどうたいしてははずみぐるま効果こうかによって、すうびょう~1ふん程度ていど変動へんどうたいしてはガバナ制御せいぎょによって、1ふんすうふん程度ていど変動へんどうたいしては負荷ふか周波数しゅうはすう制御せいぎょによってそれぞれ制御せいぎょすることができる。
  • 電圧でんあつ制御せいぎょ : 調しらべしょう運転うんてんによって無効むこう電力でんりょく自動じどう電圧でんあつ調整ちょうせい電圧でんあつ動力どうりょくりつ調整ちょうせいちからりつ調整ちょうせいする。
  • 潮流ちょうりゅう調整ちょうせい : だい規模きぼ電源でんげん脱落だつらく系統けいとうれんけい設備せつび事故じこ負荷ふかたいし、瞬時しゅんじ揚水ようすい遮断しゃだん発電はつでん出力しゅつりょく調整ちょうせいし、系統けいとう安定あんてい維持いじ負荷ふか解消かいしょうだい規模きぼ停電ていでん防止ぼうしおこなう。
  • ブラックスタート : 広範囲こうはんい停電ていでん発生はっせいした場合ばあい系統けいとう復旧ふっきゅうよう初期しょき電源でんげん
  • 試験しけん負荷ふか : だい容量ようりょう発電はつでんしょ遮断しゃだん試験しけん
  • 環境かんきょう規制きせいがある場合ばあい火力かりょく発電はつでん代替だいたい : 大気たいき汚染おせん警報けいほうなど

需給じゅきゅう制御せいぎょ

編集へんしゅう

ボイラーを使用しようする火力かりょく発電はつでん原子げんし使用しようする原子力げんしりょく発電はつでんでは電力でんりょく需要じゅようおうじた出力しゅつりょく調整ちょうせいむずかしい[1]。かつては火力かりょく発電はつでん常時じょうじ稼働かどうさせ、昼夜ちゅうや電力でんりょく調整ちょうせい水力すいりょく発電はつでんおぎなぬしすいしたがえばれる電力でんりょく構成こうせいもちいられたこともあった[1]。しかし産業さんぎょう発展はってんとともに水力すいりょく発電はつでんだけではおぎないきれなくなった[1]電力でんりょく安定あんてい供給きょうきゅうのため、停止ていししていてもすうふん以内いない最大さいだい電力でんりょく供給きょうきゅうできる出力しゅつりょく調整ちょうせい容易ようい施設しせつである揚水ようすいしき発電はつでん導入どうにゅうされた。

経済けいざい運用うんよう

編集へんしゅう

一般いっぱんてき電気でんきは1にち昼間ひるまおお消費しょうひされ、夜間やかん需要じゅようちいさくなるため、ピークとオフピークにはおおきなができる。しかし、電力でんりょくエネルギーは発電はつでん消費しょうひがほぼ同時どうじであり貯蔵ちょぞうしておくことがむずかしいエネルギーである[1]。そのため電力でんりょく会社かいしゃかりにピークの時間じかんわずかであっても、そのピークに対応たいおうできる発電はつでん設備せつび保有ほゆうしなくてはならない。それゆえピークにそなえた電力でんりょく設備せつびだい部分ぶぶん時間じかん利用りようされないため、設備せつび利用りようりつ一般いっぱんてきひくく、設備せつび投資とうし削減さくげん観点かんてんからもピークとオフのちいさいことがのぞましい。

設備せつび利用りようりつとく悪化あっかする夜間やかん既存きそん発電はつでん設備せつび発電はつでんする電力でんりょくみずをくみげ、需要じゅようがピークとなる昼間ひるま発電はつでんおこなうことで、ピークとオフピークのめることができ、設備せつび利用りようりつ全体ぜんたいてき向上こうじょうはかれる。しかし、揚水ようすい発電はつでん効率こうりつやく70%であり、発電はつでんするにあたってほか供給きょうきゅうもと発電はつでんしょやく1.5ばいのコストをようすることから、恒常こうじょうてき設備せつび利用りようりつ向上こうじょう電気でんきだい高騰こうとうまねく。

現状げんじょう課題かだい

編集へんしゅう

2014ねん11月、経済けいざい産業さんぎょうしょう同省どうしょう実施じっしした集計しゅうけいにより、2013年度ねんど揚水ようすい発電はつでんしょ設備せつび利用りようりつ全国ぜんこくでわずか3%にしかたっしていないことが判明はんめいしたと発表はっぴょうした[3][4]

日本にっぽん国内こくないに40ヶ所かしょ以上いじょうそう出力しゅつりょく2,600まんkWと世界せかい最大さいだい規模きぼ施設しせつがありながら、100%フル稼働かどう運転うんてんしたと仮定かていしたさい発電はつでんりょうじつ発電はつでんりょう比較ひかくしたところ設備せつび利用りようりつがわずか3%で、2010ねん以降いこう利用りようりつはほぼよこばいのままほとんど変化へんかしていないことがわかった。この3%というアメリカドイツ利用りようりつ10%と比較ひかくすると非常ひじょうひくである。

これは、日本にっぽん揚水ようすい発電はつでんしょそう出力しゅつりょくにおいては世界せかい最大さいだい規模きぼではあるものの、個々ここ貯水ちょすいりょうかんしては欧米おうべいのそれにくら小規模しょうきぼであるため、設備せつび利用りようりつにおいて欧米おうべいレベルの運用うんよう実施じっしすることが物理ぶつりてき不可能ふかのうなためである。

(おなじ10まんkWの揚水ようすい発電はつでんしょでも、貯水ちょすいりょうに3ばいがあれば当然とうぜんながら設備せつび利用りようりつも3ばいがつく)

揚水ようすい発電はつでん効率こうりつ

編集へんしゅう

揚水ようすい必要ひつよう電力でんりょくもちい、下池しもいけみずをポンプで上池かみいけげ、そのみず発電はつでんするあいだには、機器ききるいによる損失そんしつ水路すいろ摩擦まさつ損失そんしつうしなわれるエネルギーがあるため、電力でんりょくのインプットとアウトプットにはひらきがあり、その比率ひりつ揚水ようすい効率こうりつび、つぎしきあらわす。

 

  •  : 揚水ようすい効率こうりつ
  •  : 発電はつでん運転うんてん機器きき効率こうりつ
  •  : 揚水ようすい運転うんてん機器きき効率こうりつ
  •  : 有効ゆうこう落差らくさ
  •  : ぜんあげほど

揚水ようすい効率こうりつは、機器きき種類しゅるい水路すいろながさなどの地点ちてん特性とくせいによりわるが、上記じょうき機器きき効率こうりつがそれぞれ90%前後ぜんこう水路すいろ損失そんしつそう落差らくさの5%程度ていどとなるので、およそ70%程度ていどになることがおおい。

なお、揚水ようすい効率こうりつが1ではないことをもって、揚水ようすい発電はつでんシステムの存在そんざい意義いぎ否定ひていするのは早計そうけいで、発電はつでんシステムではなく電力でんりょく貯蔵ちょぞうシステムととらえ、蓄電池ちくでんちなど類似るいじシステムとの比較ひかく総合そうごうてき考量こうりょうすべきものである。

揚水ようすい発電はつでん種類しゅるい

編集へんしゅう
 
上池かみいけとしてさらじょう人造湖じんぞうこもうけたじゅん揚水ようすい発電はつでんしょれい国土こくど交通省こうつうしょう国土こくど画像がぞう情報じょうほう(カラー空中くうちゅう写真しゃしん)より作成さくせいした電源でんげん開発かいはつ沼原ぬまっぱら発電はつでんしょ(1976ねん11月18にちおよび22にち撮影さつえい))
 
タンデムしき揚水ようすい
 
可逆かぎゃくしき揚水ようすい

河川かせん利用りようによる分類ぶんるい

編集へんしゅう

混合こんごう揚水ようすい発電はつでん

編集へんしゅう

混合こんごう揚水ようすい発電はつでんは、流域りゅういき面積めんせきひろ年間ねんかん流量りゅうりょうおお貯水池ちょすいち上池かみいけっているもので、揚水ようすい運転うんてんをしなくても自然しぜん流量りゅうりょうだけでもそれなりに発電はつでんできるものである。おおくの場合ばあいは、貯水池ちょすいちしき水力すいりょく発電はつでん揚水ようすい発電はつでん追加ついかしたようなかたちで、豊水ほうすいには自然しぜん流量りゅうりょうだけを使つかい、渇水かっすいには揚水ようすい運転うんてん併用へいようすることで年間ねんかんつうじてピーク発電はつでん対応たいおうするものである。基本きほんてきには自然しぜん流量りゅうりょう使つか貯水池ちょすいちしき発電はつでんであるため、20まん〜40まんキロワット程度ていど出力しゅつりょく設計せっけいされる。

じゅん揚水ようすい発電はつでん

編集へんしゅう

じゅん揚水ようすい発電はつでんは、流域りゅういき面積めんせき非常ひじょうせま年間ねんかん流量りゅうりょうほとん貯水池ちょすいち上池かみいけっているもの。発電はつでん運転うんてんおこなうためには揚水ようすい運転うんてん必須ひっすとなる。短時間たんじかんのピーク調整ちょうせいとくするために落差らくさ使用しよう水量すいりょう非常ひじょうおおきく確保かくほしてあるので、出力しゅつりょく発電はつでんしょ全体ぜんたい最大さいだい100まん〜200まんキロワットと非常ひじょうおおきい。しかし、6〜10あいだ発電はつでん運転うんてん上池かみいけみずそこをついてしまう。貯水池ちょすいちちいさくするため、高揚こうようほどすすめられている。

発電はつでん配置はいちによる分類ぶんるい

編集へんしゅう

別置べっちしき

編集へんしゅう

別置べっちしきは、おな揚水ようすい発電はつでんしょにおいて、発電はつでん発電はつでん用水ようすいしゃとで構成こうせいする発電はつでん専用せんようとはべつに、電動でんどうポンプとで構成こうせいする揚水ようすい専用せんよう配置はいちしたもの。 建設けんせつ費用ひようたかく、現在げんざいはほとんどもちいられていない。

タンデムしき

編集へんしゅう

タンデムしきは、発電はつでんとしても揚水ようすいとしても運転うんてんできる1だい発電はつでん電動でんどうを、じくおなじくして発電はつでん用水ようすいしゃ揚水ようすいポンプとで共有きょうゆうするもの。 ヨーロッパ発展はってんした方式ほうしきで、発電はつでん揚水ようすいとで発電はつでん用水ようすいしゃ揚水ようすいポンプとを使つかけるので総合そうごうてき効率こうりつがよく、早期そうきよりこう落差らくさにも対応たいおうできていた。

2004ねん着工ちゃっこうした、オーストリアのKops II 揚水ようすい発電はつでんしょは、ポンプでげたみず一部いちぶ発電はつでん用水ようすいしゃ供給きょうきゅうすることで、発電はつでんがわ+100%から揚水ようすいがわ-100%までの出力しゅつりょく調整ちょうせいおこなっている。

可逆かぎゃくしき

編集へんしゅう

可逆かぎゃくしきは、発電はつでん電動でんどうと、発電はつでん用水ようすいしゃとしてもポンプとしても利用りようできるポンプ水車みずぐるまとで構成こうせいしたもの。ポンプ水車みずぐるまとしてはフランシスかたちポンプ水車みずぐるまひろ採用さいようされているほか、一部いちぶ低落ていらく揚水ようすい発電はつでんしょではデリアがたポンプ水車みずぐるま利用りようされている。 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく発展はってんした方式ほうしきで、日本にっぽんでもおお採用さいようされている。もともと別置べっちしき・タンデムしきくら建設けんせつ費用ひよう安価あんかであったポンプ水車みずぐるま改良かいりょうかさ効率こうりつ向上こうじょうし、さらにこう落差らくさにも対応たいおう現在げんざい主流しゅりゅうとなっている。

電動でんどう始動しどう方式ほうしきによる分類ぶんるい

編集へんしゅう

揚水ようすいおおくはさんそう同期どうき電動でんどう使つかわれる。電動でんどう停止ていし状態じょうたいから同期どうき速度そくどまで回転かいてんさせるために以下いかのような始動しどう装置そうち必要ひつようであり、かり停止ていし状態じょうたい給電きゅうでんすれば揚水ようすいのコイルが過熱かねつするおそれがある。揚水ようすい発電はつでんしょでは、かく揚水ようすいごとにことなった始動しどう方式ほうしき採用さいようする場合ばあいもある。

ぜん方式ほうしき共通きょうつうなのは、揚水ようすい運転うんてん開始かいし水車みずぐるま水中すいちゅうにある状態じょうたいでは非常ひじょうおおきな始動しどうトルクが必要ひつようとなり、容易よういには始動しどうできない。このため、始動しどうにはガイドベーンをぜん閉にして、圧縮あっしゅく空気くうき注入ちゅうにゅうし、水車みずぐるま空気くうきちゅうていかく回転かいてんすうにしたのちにガイドベーンを開放かいほうして揚水ようすい運転うんてん開始かいししている。

はん電圧でんあつ起動きどう方式ほうしき

編集へんしゅう

はん電圧でんあつ起動きどう方式ほうしきは、専用せんようだんによる結線けっせんえなどにより、系統けいとうから受電じゅでんした電圧でんあつ半減はんげんさせ、その電力でんりょく揚水ようすい電動でんどうとして加速かそくさせて始動しどうする方式ほうしき技術ぎじゅつてきには簡易かんいなため、昭和しょうわ30-40年代ねんだい前半ぜんはんあたりではもちいられていたが、系統けいとうあたえる影響えいきょうおおきいので、電圧でんあつ変動へんどうたいする要求ようきゅうきびしくなったそれ以降いこうでは、新規しんきにはもちいられなくなった。

同期どうき始動しどう方式ほうしき

編集へんしゅう

同期どうき始動しどう方式ほうしきは、電動でんどう始動しどうよう発電はつでん電気でんきてき接続せつぞくし、発電はつでん停止ていし状態じょうたいから徐々じょじょ回転かいてんさせていくことで電動でんどうてい周波しゅうは交流こうりゅう電力でんりょく供給きょうきゅうし、始動しどうする方式ほうしき。その発電はつでん回転かいてんすう上昇じょうしょうさせ、電動でんどう同期どうき速度そくどたっするまで牽引けんいんする。電動でんどう電力でんりょく系統けいとうへの並列へいれつ完了かんりょうしたのち、発電はつでんはなされる。電動でんどう並列へいれつまでは発電はつでん電動でんどうともに電力でんりょく系統けいとうからは独立どくりつしているので、電力でんりょく系統けいとうおよぼす影響えいきょうすくないのが特長とくちょうであるが、起動きどう電動でんどうとはべつどうクラスの発電はつでん必要ひつようとする制約せいやくがある。このため、複数ふくすうだい揚水ようすい発電はつでんがある発電はつでんしょでは、コスト削減さくげんめんからポニーモーター始動しどう方式ほうしき同期どうき起動きどう方式ほうしきとをコンビにして、ポニーモーター始動しどう方式ほうしき揚水ようすい発電はつでん同期どうき始動しどうさせる方式ほうしき採用さいようしているところもある。

ポニーモーター始動しどう方式ほうしき

編集へんしゅう

ポニーモーター始動しどう方式ほうしきは、電動でんどうを、じくおなじくしてもうけられた始動しどうよう電動でんどう(ポニーモーター)によって始動しどうする方式ほうしき並列へいれつ電力でんりょく系統けいとうへの影響えいきょうすくなくべつ発電はつでん必要ひつようないが、ポニーモーターの電源でんげん電力でんりょく系統けいとうから受電じゅでんする必要ひつようがあり相応そうおう電力でんりょく必要ひつようなため、通常つうじょう受電じゅでん設備せつびよりも増強ぞうきょうされた設備せつび必要ひつようになる。

サイリスタ始動しどう方式ほうしき

編集へんしゅう

サイリスタ始動しどう方式ほうしきは、サイリスタ周波数しゅうはすう変換へんかんVVVFインバータ)によっててい周波しゅうは交流こうりゅう電力でんりょく電動でんどう電機でんき供給きょうきゅうして始動しどう、その徐々じょじょ周波数しゅうはすう上昇じょうしょうさせていかく速度そくどまで加速かそくする方式ほうしき

変速へんそく揚水ようすい発電はつでん

編集へんしゅう

変速へんそく揚水ようすい発電はつでん(かへんそくようすいはつでん)は、ポンプ水車みずぐるま可変かへんそく発電はつでん電動でんどう駆動くどうし、揚水ようすい消費しょうひ電力でんりょく可変かへんとするものである [5]

原子力げんしりょく発電はつでんだい規模きぼ石炭せきたん汽力発電はつでんなどの割合わりあい増加ぞうか昼間ひるま夜間やかん消費しょうひ電力でんりょく増大ぞうだいなどで夜間やかん調整ちょうせい能力のうりょく余裕よゆうすくなくなっている。回転かいてんすうあげほど落差らくさ)・ポンプ水車みずぐるまの3要素ようそ揚水ようすい必要ひつよう電力でんりょくまるため、回転かいてんすう一定いってい同期どうきである従来じゅうらい揚水ようすいは、起動きどうしたさい急激きゅうげき系統けいとう負荷ふか変動へんどう問題もんだいとなってきた。また、最近さいきんでは再生さいせい可能かのうエネルギーの急速きゅうそく導入どうにゅうともなはるあきなどけい負荷ふかにちちゅう好天こうてんによる太陽光たいようこう発電はつでん出力しゅつりょくぞうかさなると電力でんりょく供給きょうきゅう過剰かじょう発生はっせいすることがあるが、通常つうじょう揚水ようすい発電はつでんじょうそく)は太陽光たいようこう発電はつでんによる余剰よじょう電力でんりょく吸収きゅうしゅうできても出力しゅつりょく変動へんどうまでは吸収きゅうしゅうしきれない欠点けってんがあった。

けい負荷ふか出力しゅつりょく調整ちょうせいりょくとして、変速へんそく揚水ようすいは、コンバインドサイクル発電はつでんなどと比較ひかくして、出力しゅつりょく変化へんか速度そくどおおきく・調整ちょうせい可能かのうはばおおきい。火力かりょく発電はつでん調整ちょうせいりょく供給きょうきゅうよう稼働かどうらし、燃料ねんりょう低減ていげん可能かのうとなる。また、揚水ようすい消費しょうひ電力でんりょく随時ずいじ調整ちょうせい可能かのうであり変動へんどうする太陽光たいようこう発電はつでん余剰よじょう電力でんりょく吸収きゅうしゅうにもてきしている[6]

その変速へんそく揚水ようすい利点りてんとしては、ポンプ水車みずぐるま効率こうりつ最高さいこうとなる回転かいてんすう発電はつでん運転うんてん揚水ようすい運転うんてんことなるので、運転うんてん損失そんしつすくなくすることができる。

一般いっぱんてき同期どうき直流ちょくりゅう励磁れいじ回転子かいてんし固定こてい回転かいてんすう固定こてい周波数しゅうはすうであるが、変速へんそくはインバータ/コンバータもしくはサイクロコンバータによりひく周波数しゅうはすう交流こうりゅうさんそうまきせん回転子かいてんし励磁れいじし、可変かへん回転かいてんすう固定こてい周波数しゅうはすう実現じつげんしている。

1981ねん(昭和しょうわ56ねん)に、日立製作所ひたちせいさくしょ関西電力かんさいでんりょく共同きょうどう開発かいはつはじめ、1987ねん(昭和しょうわ62ねん)に成出なるで発電はつでんしょ(富山とやまけん)で実証じっしょうプラントを建設けんせつ(22MW)して世界せかいはじめて実用じつようし、その大河内おおこうち発電はつでんしょけに世界せかい最大さいだい容量ようりょう(400MW)の発電はつでん設置せっちしている[7]

回転子かいてんし励磁れいじ比較ひかく
方式ほうしき 概要がいよう 半導体はんどうたい 無効むこう電力でんりょく こう電圧でんあつ 部品ぶひん点数てんすう 発電はつでん電動でんどう容量ようりょう
インバータ/コンバータ 一旦いったん直流ちょくりゅう変換へんかん 励式 消費しょうひしない 工夫くふうよう おお ちいさくできる
サイクロコンバータ 直接ちょくせつ交流こうりゅう変換へんかん 励式 消費しょうひする 容易ようい すくな おおきくなる
従来じゅうらいがた変速へんそくシステムの比較ひかく
システム ダム容量ようりょう利用りよう 地下ちか発電はつでんしょ空洞くうどう体積たいせき 電機でんきぶんコスト 水車みずぐるま効率こうりつ 運転うんてん範囲はんい 出力しゅつりょく変化へんか速度そくど
発電はつでん 揚水ようすい 通常つうじょう運転うんてん 過渡かと
じょうそく 100% 100% 基準きじゅん 50-100% 一定いってい 0-100%
/60びょう
不能ふのう
変速へんそく よりてい水位すいい運転うんてん可能かのう 105% 140% 最大さいだい出力しゅつりょく0.5%ぞう
中間ちゅうかん負荷ふか2.5%ぞう
30-100% 70-100% 0-100%
/60びょう
20MW
/0.1びょう
変速へんそく備考びこう 回転子かいてんし
変換へんかん
ロータ
励磁れいじ装置そうち
回転かいてん速度そくどえることで
こう効率こうりつ運転うんてん可能かのう
水車みずぐるま特性とくせい向上こうじょう 入力にゅうりょく速度そくどさんじょう比例ひれい 電気でんきてき制御せいぎょ 慣性かんせいエネルギーを電気でんきエネルギーに高速こうそく変換へんかん可能かのう

世界せかい各地かくち揚水ようすい発電はつでん

編集へんしゅう

1892ねんスイスチューリッヒに、発電はつでん発電はつでん用水ようすいしゃからなる水車みずぐるま発電はつでんと、電動でんどうとポンプからなる揚水ようすい別々べつべつ配置はいちした(別置べっちしき世界せかいはつ揚水ようすい発電はつでんしょ Lettern 発電はつでんしょ完成かんせいした。

1910年代ねんだい発電はつでん電動でんどう可逆かぎゃくとし兼用けんようする発電はつでん電動でんどうに、発電はつでん用水ようすいしゃとポンプをわせたタンデムしき開発かいはつされ、イタリアの Vivone 発電はつでんしょ採用さいようされた。

1931ねん、イタリア Lago Baiton 発電はつでんしょおよびドイツ Baldeney 発電はつでんしょに、発電はつでん用水ようすいしゃとポンプを兼用けんようするポンプ水車みずぐるま導入どうにゅうした。そのはポンプ水車みずぐるまこう効率こうりつすすみ、揚水ようすいだい容量ようりょうへのみちあゆむことになる。

日本にっぽん

編集へんしゅう

日本にっぽんはつ揚水ようすい発電はつでんしょは、1934ねん4がつ完成かんせいした長野ながのけん野尻湖のじりこのほとりにある池尻いけじりがわ発電はつでんしょである。その1かげつ富山とやまけん1931ねん完成かんせいしている既設きせつ普通ふつう水力すいりょく発電はつでんしょ小口川こぐちがわだいさん発電はつでんしょ揚水ようすいポンプが追加ついか別置べっちされ、揚水ようすい発電はつでんしょとして運転うんてん開始かいしした。

以下いか日本にっぽん建設けんせつされた揚水ようすい発電はつでんしょ一覧いちらんである。

  • 桃色ももいろらん建設けんせつちゅう一部いちぶ運用うんよう開始かいしふくむ)の揚水ようすい発電はつでんしょ
  • 青色あおいろらん揚水ようすい運用うんよう廃止はいしした一般いっぱん水力すいりょく発電はつでんしょ
  • 灰色はいいろらん廃止はいしされた発電はつでんしょ
発電はつでんしょめい
 [備 1]
認可にんか出力しゅつりょく
[備 2](kW)
水系すいけい 上池かみいけ 下池しもいけ 種類しゅるい
 [備 3]
運用うんよう開始かいし
 [備 4]
所在地しょざいち
 [備 5]
事業じぎょうしゃ
001/新冠にいかっぷ 0,200,000 新冠川にいかっぷがわ 新冠にいかっぷダム した新冠にいかっぷダム こん 1974ねん 01北海道ほっかいどう 北海道電力ほっかいどうでんりょく
002/高見たかみ 0,200,000 静内川しずないがわ
新冠川にいかっぷがわ
沙流川さるかわ
高見たかみダム 静内しずないダム こん 1983ねん 01北海道ほっかいどう 北海道電力ほっかいどうでんりょく
003/朱鞠内しゅまりない[8] 0,001,120 石狩川いしかりがわ 雨竜うりゅうだいいちダム 三股みつまた取水しゅすいせき こん 2013ねん 01北海道ほっかいどう 北海道電力ほっかいどうでんりょく
004/京極きょうごく 0,400,000
(600,000)
尻別川しりべつかわ 上部じょうぶ調整ちょうせい 京極きょうごくダム じゅん 2014ねん 01北海道ほっかいどう 北海道電力ほっかいどうでんりょく
005/池尻いけじりがわ 0,002,340 関川せきかわ 野尻湖のじりこ 池尻いけじりがわ調整ちょうせい こん 1934ねん 20長野ながのけん 東北電力とうほくでんりょく
006沼沢沼ぬまざわぬま 0,043,700/(43,700) 阿賀野川あがのがわ 沼沢湖ぬまざわこ 宮下みやしたダム じゅん 1952ねん 07福島ふくしまけん 東北電力とうほくでんりょく
007/だい沼沢しょうたく 0,460,000 阿賀野川あがのがわ 沼沢湖ぬまざわこ 宮下みやしたダム じゅん 1982ねん 07福島ふくしまけん 東北電力とうほくでんりょく
008/矢木やぎさわ 0,240,000 利根川とねがわ 矢木やぎさわダム 須田すだかいダム こん 1965ねん 10群馬ぐんまけん 東京電力とうきょうでんりょく
009/安曇あずみ 0,623,000 信濃川しなのがわ 奈川ながわわたるダム みず殿どのダム こん 1969ねん 20長野ながのけん 東京電力とうきょうでんりょく
010/みず殿どの 0,245,000 信濃川しなのがわ みず殿どのダム 稲核いねこきダム こん 1969ねん 20長野ながのけん 東京電力とうきょうでんりょく
011/しん高瀬川たかせがわ 1,280,000 信濃川しなのがわ 高瀬たかせダム 七倉ななくらダム こん 1979ねん 20長野ながのけん 東京電力とうきょうでんりょく
012/玉原たまはら 1,200,000 利根川とねがわ 玉原たまはらダム 藤原ふじわらダム じゅん 1981ねん 10群馬ぐんまけん 東京電力とうきょうでんりょく
013/今市いまいち 1,050,000 利根川とねがわ 栗山くりやまダム 今市いまいちダム じゅん 1988ねん 09栃木とちぎけん 東京電力とうきょうでんりょく
014/塩原しおばら 0,900,000 那珂川なかがわ はちしおダム 蛇尾川さびがわダム じゅん 1994ねん 09栃木とちぎけん 東京電力とうきょうでんりょく
015/葛野川かずのがわ 1,200,000
(1,600,000)
相模さがみがわ うえ日川にっかわダム 葛野川かずのがわダム じゅん 1999ねん 19山梨やまなしけん 東京電力とうきょうでんりょく
016/神流川かんながわ 0,940,000
(2,820,000)
利根川とねがわ 南相木みなみあいきダム 上野うえのダム じゅん 2005ねん 10群馬ぐんまけん 東京電力とうきょうでんりょく
017/はたけなぎだいいち 0,137,000 大井川おおいがわ はたけなぎだいいちダム はたけなぎだいダム こん 1962ねん 22静岡しずおかけん 中部電力ちゅうぶでんりょく
018/高根たかねだいいち 0,340,000 木曽川きそがわ 高根たかねだいいちダム 高根たかねだいダム こん 1969ねん 21岐阜ぎふけん 中部電力ちゅうぶでんりょく
019/馬瀬川まぜかわだいいち 0,288,000 木曽川きそがわ 岩屋いわやダム 馬瀬川まぜかわだいダム こん 1976ねん 21岐阜ぎふけん 中部電力ちゅうぶでんりょく
020/おく矢作やさくだいいち 0,315,000 矢作川やはぎかわ 黒田くろだダム 富永とみながダム じゅん 1980ねん 23愛知あいちけん 中部電力ちゅうぶでんりょく
021/おく矢作やさくだい 0,780,000 矢作川やはぎかわ 富永とみながダム 矢作やさくダム じゅん 1980ねん 23愛知あいちけん 中部電力ちゅうぶでんりょく
022/奥美濃おくみの 1,500,000 木曽川きそがわ 川浦かわうらダム 上大須かみおおすダム じゅん 1994ねん 21岐阜ぎふけん 中部電力ちゅうぶでんりょく
023/小口川こぐちがわだいさん 0,014,500 常願寺川じょうがんじがわ ゆうのべダム たてダム こん 1931ねん 16富山とやまけん 北陸電力ほくりくでんりょく
024/三尾みお 0,035,500 木曽川きそがわ 牧尾まきおダム 木曽きそダム こん 1963ねん 20長野ながのけん 関西電力かんさいでんりょく
025/喜撰山きせんやま 0,466,000 淀川よどがわ 喜撰山きせんやまダム 天ヶ瀬あまがせダム じゅん 1970ねん 26京都きょうと 関西電力かんさいでんりょく
026/おく多々良木たたらぎ 1,932,000 市川いちかわ 黒川くろかわダム 多々良木たたらぎダム じゅん 1974ねん 28兵庫ひょうごけん 関西電力かんさいでんりょく
027/おく吉野よしの 1,206,000 新宮しんぐうがわ 瀬戸せとダム あさひダム じゅん 1980ねん 29奈良ならけん 関西電力かんさいでんりょく
028/大河内おおこうち 1,280,000 市川いちかわ 太田おおたダム 長谷ながたにダム じゅん 1992ねん 28兵庫ひょうごけん 関西電力かんさいでんりょく
029/しん成羽川なりわがわ 0,303,000 こう梁川りょうせん しん成羽川なりわがわダム 田原たはらダム こん 1968ねん 33岡山おかやまけん 中国電力ちゅうごくでんりょく
030/南原なんばら 0,620,000 太田おおたがわ 明神みょうじんダム 南原なんばらダム じゅん 1976ねん 34広島ひろしまけん 中国電力ちゅうごくでんりょく
031/俣野またのがわ 1,200,000 日野川ひのかわ 土用どようダム 俣野またのがわダム じゅん 1986ねん 31鳥取とっとりけん 中国電力ちゅうごくでんりょく
032/大森川おおもりかわ 0,012,200 吉野川よしのがわ 大森川おおもりかわダム 長沢ながさわダム こん 1959ねん 39高知こうちけん 四国電力しこくでんりょく
033/穴内川あなないがわ 0,012,500 吉野川よしのがわ 穴内川あなないがわダム 繁藤しげとうダム こん 1964ねん 39高知こうちけん 四国電力しこくでんりょく
034/かげひらた 0,046,500 那賀川なかがわ 小見野おみの々ダム 長安ながやすこうダム こん 1968ねん 36徳島とくしまけん 四国電力しこくでんりょく
035/本川ほんがわ 0,615,000 吉野川よしのがわ 稲村いなむらダム 大橋おおはしダム じゅん 1982ねん 39高知こうちけん 四国電力しこくでんりょく
036/諸塚もろつか 0,050,000 耳川みみかわ 諸塚もろつかダム やま須原すばるダム こん 1961ねん 45宮崎みやざきけん 九州電力きゅうしゅうでんりょく
037/大平おおひら 0,500,000 球磨川くまがわ 内谷うちたにダム 油谷あぶらやダム じゅん 1975ねん 43熊本くまもとけん 九州電力きゅうしゅうでんりょく
038/天山てんざん 0,600,000 松浦川まつうらがわ 天山あまやまダム 厳木きゅうらぎダム じゅん 1986ねん 41佐賀さがけん 九州電力きゅうしゅうでんりょく
039/小丸川おまるがわ 1,200,000 小丸川おまるがわ 大瀬おおせないダム
かなすみダム
石河内いしかわうちダム じゅん 2007ねん 45宮崎みやざきけん 九州電力きゅうしゅうでんりょく
040/黒又川くむまたがわだい 0,017,000 信濃川しなのがわ 黒又川くむまたがわだいダム 黒又川くむまたがわだいいちダム こん 1964ねん 15新潟にいがたけん 電源でんげん開発かいはつ
041/池原いけはら 0,350,000 熊野川くまのがわ 池原いけはらダム ななしょくダム こん 1964ねん 29奈良ならけん 電源でんげん開発かいはつ
042/長野ながの 0,220,000 九頭竜川くずりゅうがわ 九頭竜くずりゅうダム わしダム こん 1968ねん 18福井ふくいけん 電源でんげん開発かいはつ
043/しん豊根とよね 1,125,000 天竜川てんりゅうがわ しん豊根とよねダム 佐久間さくまダム こん 1972ねん 23愛知あいちけん 電源でんげん開発かいはつ
044/沼原ぬまっぱら 0,675,000 那珂川なかがわ 沼原ぬまっぱらダム 深山ふかやまダム じゅん 1973ねん 09栃木とちぎけん 電源でんげん開発かいはつ
045/おくきよし 1,000,000 信濃川しなのがわ カッサダム きょダム じゅん 1978ねん 15新潟にいがたけん 電源でんげん開発かいはつ
046/下郷しもごう 1,000,000 阿賀野川あがのがわ 大内おおうちダム 大川おおかわダム じゅん 1988ねん 07福島ふくしまけん 電源でんげん開発かいはつ
047/おくきよしだい 0,600,000 信濃川しなのがわ カッサダム きょダム じゅん 1996ねん 15新潟にいがたけん 電源でんげん開発かいはつ
048/沖縄おきなわやんばる
海水かいすい揚水ようすい
0,030,000 - 名称めいしょう不明ふめい 太平洋たいへいよう じゅん 1999ねん 47沖縄おきなわけん 電源でんげん開発かいはつ
049/城山しろやま 0,250,000 相模さがみがわ 本沢ほんさわダム 城山しろやまダム じゅん 1965ねん 14神奈川かながわけん 神奈川かながわけん企業庁きぎょうちょう
  • 備考びこう
  1. ^ 事業じぎょうしゃごとに運用うんよう開始かいしふるじゅんならべた。このれつのソートボタンでもと順序じゅんじょもどる。
  2. ^ 2015ねん現在げんざい認可にんか出力しゅつりょくをキロワット単位たんいしめす。建設けんせつちゅう発電はつでんしょについて、1だい水車みずぐるま発電はつでん稼働かどうしていない場合ばあいは「-」とし、計画けいかくされている出力しゅつりょくをかっこないしめした。また、廃止はいしされた発電はつでんしょについては廃止はいしされる直前ちょくぜん出力しゅつりょくをかっこないしめした。
  3. ^ こん」は混合こんごう揚水ようすい、「じゅん」はじゅん揚水ようすい、「変速へんそく揚水ようすいユニットが設置せっちされているものをしめす。
  4. ^ 発電はつでんしょとしての運用うんよう開始かいしねんしめす。建設けんせつちゅう発電はつでんしょについて、1だい水車みずぐるま発電はつでん稼働かどうしていない場合ばあい運用うんよう開始かいし定年ていねんをかっこないしめした。
  5. ^ 水車みずぐるま発電はつでんかれた地点ちてんぞくする都道府県とどうふけんめいしめす。

揚水ようすい運転うんてん

編集へんしゅう

以下いかしめすのは、一般いっぱんてき揚水ようすい起動きどう過程かていである。ここではさんそう同期どうき発電はつでん電動でんどうとポンプ水車みずぐるま (VFR-1RS) で構成こうせいされる可逆かぎゃくしき揚水ようすいいちれいとする。

  1. 運転うんてん制御せいぎょ回路かいろ操作そうさ
    • 揚水ようすい運転うんてんシーケンス制御せいぎょ回路かいろにより自動じどうされている。揚水ようすい発電はつでん揚水ようすいとではことなる運転うんてんシーケンス制御せいぎょ回路かいろっており、運転うんてんいん揚水ようすい運転うんてんシーケンス制御せいぎょ回路かいろへとえる操作そうさおこなう。また、しゅ回路かいろにおいても発電はつでん運転うんてん揚水ようすい運転うんてんとでは回転かいてんきがぎゃくとなるため、しゅ回路かいろ中途ちゅうともうけられただんあい切替きりかえだん, G/M だん)によってさんそうのうちそうえられる。
  2. 運転うんてん操作そうさ
    • あつ装置そうち冷却れいきゃくすいポンプなど、揚水ようすい運転うんてんささえる運転うんてんする操作そうさおこなう。
    • 揚水ようすい発電はつでんしょではもまただい容量ようりょうである。したがって停止ていしちゅう停止ていしさせておくことで、発電はつでん所内しょないにおける消費しょうひ電力でんりょく低減ていげん運転うんてんコストの削減さくげんはかられている。
  3. 運転うんてん操作そうさ
    • 運転うんてんさせ、揚水ようすい運転うんてん必要ひつよう準備じゅんび完了かんりょうしたことを確認かくにんし、運転うんてんいん運転うんてん操作そうさおこなう。
  4. 入口いりくちべん開放かいほう
    • 入口いりくちべんおもべん)が開放かいほうされる。これによりケーシングがみずたされるが、げん段階だんかいではまだぜんとざしたガイドベーンによってみずさえぎられ、水車みずぐるまながむことはない。
  5. 回転子かいてんし浮上ふじょう
    • 回転子かいてんしをごくわずかに浮上ふじょうさせ、スラスト軸受じくうけめんでの摩擦まさつ抵抗ていこう低減ていげん始動しどう円滑えんかつする。おおくはスラスト軸受じくうけめんにギヤポンプなどをもちいておくあぶらし、回転子かいてんし油圧ゆあつげる方法ほうほうをとる。
  6. 水面すいめん
    • ポンプ水車みずぐるま発電はつでん落差らくさ有効ゆうこう利用りようするため、常時じょうじみずひたっている場合ばあいがほとんどである。揚水ようすい始動しどうにおいてはみず抵抗ていこう揚水ようすい始動しどう困難こんなんとさせるため、あらかじめドラフト(吸出すいだかん)の水面すいめんげておく。おおくはドラフトない大量たいりょう圧縮あっしゅく空気くうきおく方法ほうほうをとる。
  7. 始動しどう
    • 始動しどう装置そうちにより、揚水ようすい始動しどうさせる。この過程かてい始動しどう方式ほうしきによる。
  8. 並列へいれつ
    • 電動でんどう同期どうき速度そくどたっしたら、自動じどう同期どうき装置そうちによって同期どうき検定けんていおこない、電力でんりょく系統けいとう並列へいれつ接続せつぞくする。このあと揚水ようすい運転うんてん操作そうさおこなうまでは、ポンプ水車みずぐるま空転くうてんした状態じょうたい維持いじする。この状態じょうたい揚水ようすい待機たいき状態じょうたいという。
    • この状態じょうたいからさかい強弱きょうじゃくさせることで無効むこう電力でんりょく調整ちょうせいし、同期どうき調ちょうしょうとして調しらべしょう運転うんてんおこなうことができる機種きしゅもある。
  9. 揚水ようすい運転うんてん操作そうさ
    • 運転うんてんいんは、揚水ようすい待機たいき状態じょうたいから揚水ようすい運転うんてん移行いこうする操作そうさおこなう。
  10. 水面すいめん上昇じょうしょう
    • ドラフト内部ないぶじゅうてんした圧縮あっしゅく空気くうき排気はいきし、水面すいめん上昇じょうしょうさせポンプ水車みずぐるまみずひたす。
  11. ガイドベーン開放かいほう
    • 回転かいてんするポンプ水車みずぐるまはドラフトないみずはじめ、ぜんとざしたガイドベーンにかかる水圧すいあつたかまってゆく。この水圧すいあつがガイドベーンをひらいてすぐに揚水ようすい開始かいしできるにりるあげ圧力あつりょく(プライミング水圧すいあつ)にたっしたら、ガイドベーンを開放かいほうする。ガイドベーンはあげほどおうじた適正てきせいひらきへと自動的じどうてき調整ちょうせいされる。
  12. 揚水ようすい開始かいし

あたらしい技術ぎじゅつ

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海水かいすい揚水ようすい発電はつでん

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海水かいすい揚水ようすい発電はつでん(かいすいようすいはつでん)は、うみ下池しもいけとみなした揚水ようすい発電はつでん下池しもいけのためのダム建設けんせつ省略しょうりゃくできるので、建設けんせつコストを大幅おおはば削減さくげんでき開発かいはつ可能かのう地点ちてんひろがるが、海水かいすい利用りようするため水車みずぐるま水圧すいあつかんにはすぐれた耐食性たいしょくせい要求ようきゅうされる。またうみせい生物せいぶつ海水かいすい地上ちじょうげることによる環境かんきょう影響えいきょうとう考慮こうりょしなければならない。

電源でんげん開発かいはつ建設けんせつした沖縄おきなわやんばる海水かいすい揚水ようすい発電はつでんしょ実証じっしょう試験しけんおこなわれていたが、2016ねん7がつ19にちづけ廃止はいしされた[9]水力すいりょく発電はつでんしょがないうえ電力でんりょく会社かいしゃとのれんけい不可能ふかのう沖縄電力おきなわでんりょくでは、貴重きちょう調整ちょうせいりょくとして活用かつようされていた。

スプリッタランナ

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スプリッタランナ東芝とうしば東京電力とうきょうでんりょく共同きょうどう研究けんきゅう開発かいはつした、あたらしいフランシスかたちポンプ水車みずぐるまランナである。

従来じゅうらいのフランシスかたちポンプ水車みずぐるまランナは羽根はね(ランナベーン)のながさが一様いちようであったのにたいし、スプリッタランナではなが羽根はねちょうつばさ)とみじか羽根はねたんつばさ)とが交互こうご配置はいちされているのが特徴とくちょうである。最新さいしん流体りゅうたい力学りきがくによるさい設計せっけいとあわせて効率こうりつ向上こうじょう振動しんどう騒音そうおん低減ていげん実現じつげんした。

スプリッタランナはまず東京電力とうきょうでんりょく安曇あずみ発電はつでんしょ 4号機ごうき採用さいようされた。どう発電はつでんしょでは従来じゅうらいながさが一様いちようで6まい羽根ばねのフランシスかたちポンプ水車みずぐるま採用さいようしていたが、修理しゅうり工事こうじともなちょうつばさ4まいたんつばさ4まい合計ごうけい8まい羽根はねつスプリッタランナに更新こうしんされた。そのどう発電はつでんしょ 3号機ごうきどうランナへと更新こうしん、そして2005ねん12月に営業えいぎょう運転うんてん開始かいしされた東京電力とうきょうでんりょく神流川かんながわ発電はつでんしょでは、ちょう高落たかおちでの使用しよう対応たいおうしたちょうつばさ5まいたんつばさ5まい合計ごうけい10まい羽根はねつスプリッタランナが採用さいようされている。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e 武智たけち昭博あきひろ自家用じかよう電気でんき設備せつび疑問ぎもん解決かいけつじゅく 改訂かいてい2はん』2012ねん、168ぺーじ 
  2. ^ みずかれからっぽ 城山じょうざん、10ねんぶり点検てんけんめずらしい姿すがた”. 神奈川かながわ新聞しんぶん (2018ねん10がつ26にち). 2018ねん10がつ30にち閲覧えつらん
  3. ^ 揚水ようすい発電はつでん利用りようりつ3% 昨年度さくねんど再生さいせいエネ蓄電ちくでん活用かつようせず中日新聞ちゅうにちしんぶん2014ねん11月2にちづけ
  4. ^ 揚水ようすい発電はつでん活用かつよう世田谷せたがや再生さいせいエネシンポ東京とうきょう新聞しんぶん2014ねん10月31にちづけ
  5. ^ 変速へんそく揚水ようすい発電はつでん技術ぎじゅつ適用てきよう可能かのうせい調査ちょうさ ファイナルレポート 国際こくさい協力きょうりょく機構きこう (PDF)
  6. ^ コラム連載れんさい 長山ながやま浩章ひろあき くににおける揚水ようすい発電はつでんしょのありかた ?変速へんそく揚水ようすい発電はつでん価値かちをもっと評価ひょうかすべき- | 再生さいせい可能かのうエネルギー 経済けいざいがく講座こうざ 京都きょうと大学だいがく、2019ねん9がつ24にち閲覧えつらん
  7. ^ 400MW変速へんそく揚水ようすい発電はつでんシステム 日立ひたち評論ひょうろん (PDF)
  8. ^ ポンプ逆転ぎゃくてん水車みずぐるま採用さいようした朱鞠内しゅまりない発電はつでんしょ エバラ時報じほう (PDF)
  9. ^ 国頭くにがみむら揚水ようすい発電はつでんしょ廃止はいし 電源でんげん開発かいはつ世界せかいはつ海水かいすい利用りよう施設しせつ おきでんへのうれでん交渉こうしょう不調ふちょう 琉球新報りゅうきゅうしんぽう 2016ねん7がつ26にち 同日どうじつ閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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