(Translated by https://www.hiragana.jp/)
水力発電 - Wikipedia

水力すいりょく発電はつでん

みず位置いちエネルギーを利用りようする発電はつでん方式ほうしき

水力すいりょく発電はつでん(すいりょくはつでん、英語えいご: hydroelectricity)とは、みず位置いちエネルギー利用りようして、落水おちみず流水りゅうすいにより水力すいりょく羽根車はねぐるままわし、それによる動力どうりょく発電はつでんまわして電気でんきエネルギーをる(発電はつでんおこなう)方式ほうしきのことである[1]略称りゃくしょうは「みずはつ(すいはつ)」「水力すいりょく(すいりょく)」。

概要がいよう 編集へんしゅう

水力すいりょく発電はつでん発電はつでん一方いっぽうしきであり、水力すいりょく発電はつでんうごかし電力でんりょく方式ほうしきのことである[2]ダムしき水路すいろしき揚水ようすいしきなどがある[2]

また、水力すいりょく発電はつでんは、個人こじんちいさな水力すいりょく発電はつでん装置そうち自作じさく設置せっちしておこなうこともでき[3]とく小規模しょうきぼ水力すいりょく発電はつでんしょう水力すいりょく発電はつでん[4](マイクロ水力すいりょく発電はつでん)という。私道しどうわきみずながれ、小川おがわ渓流けいりゅうなどの、比較的ひかくてきちいさなみずなが利用りようして水力すいりょく発電はつでんおこなう。ただし河川かせん湖沼こしょう用水路ようすいろなどのみず利用りようについては水利すいりけん設定せっていされているため、権利けんりしゃとの協議きょうぎ許可きょか申請しんせいおこな必要ひつようがある。発電はつでん使用しようしたみずもともどしても、水流すいりゅう水質すいしつ変化へんか発生はっせいするためである。

一般いっぱんには、発電はつでん歴史れきしなかたしてきた役割やくわり重要じゅうようさ、発電はつでんりょうおおきさ、その設備せつび雄壮ゆうそう外観がいかんなどによって、水力すいりょく発電はつでんなかでもとくにダムしきのものや大河たいが利用りようしたものがよくられている。

 
水力すいりょく発電はつでん上位じょうい5カ国かこく近年きんねんそう出力しゅつりょく推移すいい

歴史れきし 編集へんしゅう

自然しぜんながれるみずちから動力どうりょくとして利用りようするというかんがえは、古代こだいよりつづくものである。れいとしては、ながれるみずちから水車みずぐるまによって動力どうりょくにし、製粉せいふん紡績ぼうせきなどをおこなっていた。

1832ねんフランスヒポライト・ピクシーにより現在げんざい交流こうりゅう発電はつでん原型げんけいとなるダイナモ発明はつめいされ、1840ねんにはイギリスウィリアム・アームストロング水力すいりょく動力どうりょくげんとする水力すいりょく発電はつでん発明はつめいした[5]

世界せかい最初さいしょ水力すいりょく発電はつでんは、1878ねん前出ぜんしゅつのアームストロングが自身じしん屋敷やしきもうけた絵画かいが展示てんじしつ照明しょうめい点灯てんとうさせるために、1kmはなれたかわ個人こじんでダムをきずき、発電はつでんいたものである[6]

 
垂直すいちょくがた水力すいりょく発電はつでんen:Terrell Croftしる、1917年刊ねんかん『 Electrical Machinery』171ぺーじ掲載けいさい

米国べいこくでは1881ねんナイアガラのたきちかくに水力すいりょく発電はつでんしょen:Robert Moses Niagara Hydroelectric Power Station)が竣工しゅんこうし、1882ねんには当時とうじ電流でんりゅう戦争せんそう交流こうりゅう方式ほうしき直流ちょくりゅう方式ほうしきあらそい)の最中さいちゅうにいたエジソンによる最初さいしょ水力すいりょく発電はつでんしょen:Vulcan Street Plant直流ちょくりゅう出力しゅつりょく12.5kW)がウィスコンシンしゅうアップルトン竣工しゅんこうした[7]。1886ねんには米国べいこくおよびカナダに45の水力すいりょく発電はつでんしょ、1889ねんには米国べいこくだけで200の水力すいりょく発電はつでんしょ稼働かどうしていた[8]。1890ねんにはウェスティングハウス交流こうりゅう長距離ちょうきょり送電そうでん開始かいしした[9]

日本にっぽん

日本にっぽん最初さいしょ発電はつでんしょは1887ねん竣工しゅんこうした東京とうきょう火力かりょく発電はつでんしょであった[5]水力すいりょく発電はつでんでは1888ねん明治めいじ21ねん)7がつ宮城みやぎ紡績ぼうせき設置せっちしたさんきょさわ発電はつでんしょ(5kW)で自家用じかよう発電はつでん開始かいし[注釈ちゅうしゃく 1]、その紡績ぼうせき会社かいしゃ鉱山こうざん会社かいしゃによる発電はつでんしょ設置せっちつづいた[10]

1891ねん明治めいじ24ねん)に米国べいこくコロラドしゅうアスペン水力すいりょく発電はつでんしょ参考さんこうにして[11]琵琶湖びわこ疏水そすい落差らくさ利用りようするうわ発電はつでんしょ水路すいろしき直流ちょくりゅう、160kW)が、運用うんよう開始かいしした。これが日本にっぽん最初さいしょ一般いっぱん電気でんき事業じぎょう用水ようすいりょく発電はつでんしょである[12]

初期しょき電力でんりょく需要じゅようおも電灯でんとうであったが、日本にっぽんでは1913ねん大正たいしょう2ねん)に電力でんりょく動力どうりょく需要じゅよう照明しょうめいよう需要じゅようえ、1914ねん大正たいしょう3ねん)には工業こうぎょうよう動力どうりょく電力でんりょく蒸気じょうきりょくえた[5]

 
山王さんのうざかから御代みよ集落しゅうらく勢至堂峠せいしどうとうげ方面ほうめんのぞ

日本にっぽん最初さいしょ長距離ちょうきょり送電そうでんは、猪苗代湖いなわしろこから福島ふくしまけん安積あさかぐん郡山こおりやままちげん郡山こおりやま)をむす安積あさか疏水そすい途中とちゅうにある沼上ぬまがみ瀑布ばくふ落差らくさ利用りようした沼上ぬまがみ水力すいりょく発電はつでんしょ出力しゅつりょく300kW)と、郡山こおりやま絹糸けんし紡績ぼうせき(げん日東紡績にっとうぼうせき)を送電そうでん距離きょり22.5km、送電そうでん電圧でんあつ11kVでむすんだのがはじまりとされる。 [13] [14] [15] [16]

また、1915ねん大正たいしょう4ねん)には逼迫ひっぱくする首都しゅとけん電力でんりょく需要じゅようこたえるべく、鉄道てつどう技術ぎじゅつしゃ経営けいえいしゃとしてられる仙石せんごくみつぐが、猪苗代いなわしろ水力すいりょく電気でんき株式会社かぶしきがいしゃ東京とうきょう電燈でんとう日本にっぽんはつ送電そうでん現在げんざい東京電力とうきょうでんりょく一部いちぶ)を設立せつりつし、猪苗代湖いなわしろこ北西ほくせい日橋川にっぱしがわに、当時とうじ世界せかいだいさん東洋とうよういち出力しゅつりょくほこる37,500kWの猪苗代いなわしろだいいち発電はつでんしょ完成かんせいさせ、115kVのこうあつもっ湖南こなん西部せいぶ黒森峠くろもりとうげ (福島ふくしまけん)みなみ勢至堂峠せいしどうとうげとおり、白河しらかわ開閉かいへいしょ宇都宮うつのみや開閉かいへいしょ古河ふるかわ開閉かいへいしょとおって、東京とうきょう田端たばた変電へんでんしょまで、じつに228kmにもわた送電そうでんもう構築こうちくし、日本にっぽんはつ長距離ちょうきょりだかあつ送電そうでん実現じつげんした[17] [18] [16] [19] [20] [21]

大正たいしょうから昭和しょうわ初期しょきにかけてだい規模きぼ水力すいりょく発電はつでんしょおおつくられ、1950年代ねんだいまでは電力でんりょく大半たいはん水力すいりょく発電はつでんによるものであった。このため、1950ねんから1951ねんふゆなど降水こうすいりょうすくない時期じきには、電力でんりょく需給じゅきゅうがひっぱくした[22]家庭かてい工夫くふう大口おおぐち工場こうじょう操業そうぎょう時間じかんをずらして「いちわり節電せつでん」をもとめたり、しゅうかい輪番りんばんせい銀座ぎんざなど繁華はんかがいネオンサイン消灯しょうとうするみがおこなわれた[23]

水力すいりょくエネルギーりょう 編集へんしゅう

包蔵ほうぞう水力すいりょく 編集へんしゅう

包蔵ほうぞう水力すいりょくとは、みず資源しげんのうち、技術ぎじゅつてき経済けいざいてき利用りよう可能かのう水力すいりょくエネルギーりょうのこと。包蔵ほうぞう水力すいりょくは、「すんで開発かいはつ」「工事こうじちゅう」「開発かいはつ今後こんご開発かいはつ有望ゆうぼう水力すいりょくエネルギー)」の3つに区分くぶんにわけられる[24]

世界せかい(2008ねん)の水力すいりょく発電はつでん電力でんりょくりょうは3,288TWhで、発電はつでん電力でんりょくりょうの16%きょうであり、また、世界せかい技術ぎじゅつてき開発かいはつ可能かのう包蔵ほうぞう水力すいりょくりょうは、16,400TWh/とし以上いじょう見積みつもられている。今後こんご開発かいはつにより水力すいりょく発電はつでんは2050ねんには最大さいだい電力でんりょくりょう6,000TWhまで発電はつでんすることが可能かのう推定すいていされる[25]。なお、日本にっぽん開発かいはつ有望ゆうぼう開発かいはつ水力すいりょく電力でんりょくりょうやく44,148,039MWhと試算しさんされている[26]

日本にっぽん水力すいりょくエネルギーりょう出力しゅつりょくべつ包蔵ほうぞう水力すいりょく一般いっぱん水力すいりょく
出力しゅつりょく区分くぶん(kW) すんで開発かいはつ 工事こうじちゅう 開発かいはつ
地点ちてん 出力しゅつりょく(kW) 電力でんりょくりょう(MWh) 地点ちてん 出力しゅつりょく(kW) 電力でんりょくりょう(MWh) 地点ちてん 出力しゅつりょく(kW) 電力でんりょくりょう(MWh)
1,000未満みまん 621 254,672 1,546,814 23 10,946 50,513 349 231,410 1,165,133
1,000~3,000 425 753,087 4,186,412 5 8,900 48,846 1,204 2,212,600 8,988,634
3,000~5,000 163 609,465 3,192,290 5 18,710 98,105 513 1,925,000 7,717,712
5,000~10,000 282 1,909,628 9,765,728 8 57,490 317,116 336 2,266,300 9,055,750
10,000~30,000 358 6,043,960 27,732,993 16 241,726 1,110,018 204 3,218,300 12,013,910
30,000~50,000 87 3,297,400 14,617,629 1 40,000 171,950 21 801,900 2,610,500
50,000~100,000 66 4,325,000 17,106,799 2 114,550 429,698 13 782,100 2,132,400
100,000以上いじょう 26 4,988,400 13,700,152 1 120,000 716,034 2 236,000 464,000
けい 2,028 22,181,612 91,848,817 61 612,322 2,942,280 2,642 11,673,610 44,148,039
平均へいきん - 10,938 45,290 - 10,038 48,234 - 4,418 16,710
2020ねん3がつ31にち現在げんざい[26]


火力かりょく発電はつでんとの比較ひかく 編集へんしゅう

1960年代ねんだい以降いこうは、日本にっぽん高度こうど成長せいちょうはい獲得かくとくした外貨がいか安価あんか化石かせき燃料ねんりょう確保かくほできるようになったこと、だい容量ようりょう水力すいりょく発電はつでんしょ建設けんせつ適地てきちすくなくなってきたことから、火力かりょく発電はつでん比重ひじゅう増大ぞうだいしていった。1955ねんには水力すいりょく発電はつでんぜん電力でんりょくの78.7%であったが、1962ねんには水力すいりょく46.1%と、火力かりょく逆転ぎゃくてんした。2005ねん水力すいりょく発電はつでんは8.3%までち、火力かりょくが59%、原子力げんしりょく31%であった[27]

日本にっぽんにおいて、過去かこ電力でんりょく利用りよう初期しょきには水力すいりょく発電はつでん発電はつでん主力しゅりょくであり、「水主みずししたがえ時代じだい(すいしゅかじゅうのじだい)」とばれている。その火力かりょく発電はつでんじくあしうつると「ぬしすいしたがえ時代じだい(かしゅすいじゅうのじだい)」となった。

また、揚水ようすい発電はつでんしょ建設けんせつはじまったが、この当時とうじ豊水ほうすい貯水ちょすいし、渇水かっすいはそのみずかえ発電はつでん利用りようすることで年間ねんかんつうじて発電はつでんおこなうようにするという、年間ねんかん調整ちょうせいしゅたる役割やくわりであり、火力かりょく原子力げんしりょく発電はつでんによる夜間やかん余剰よじょう電力でんりょく有効ゆうこう利用りようする現在げんざい方法ほうほう[28]とはちがった目的もくてきだった。

1962ねん昭和しょうわ38ねん)からのぬしすいしたがえ、1963ねん昭和しょうわ38ねん)に原子力げんしりょく発電はつでんしょ運用うんよう開始かいしは、高度こうど経済けいざい成長せいちょうによる昼間ひるま夜間やかんとの電力でんりょく需要じゅよう格差かくさ拡大かくだい問題もんだいとなっていた。火力かりょく原子力げんしりょく発電はつでんとう汽力発電はつでんはその出力しゅつりょく頻繁ひんぱん変動へんどうさせるということは困難こんなんであり、ほぼ一定いってい出力しゅつりょく運転うんてんつづけている。したがってにちちゅうこう需要じゅようわせて運転うんてんすると夜間やかん発電はつでん過剰かじょうとなり、夜間やかん余剰よじょう電力でんりょく揚水ようすい発電はつでんしょにおいて揚水ようすい運転うんてんとして消化しょうかするというかんがえががった。揚水ようすい発電はつでんしょは、単位たんい出力しゅつりょくあたりの建設けんせつ火力かりょく原子力げんしりょく発電はつでんしょよりやすいことが注目ちゅうもくされ、夜間やかん揚水ようすい貯水ちょすいし、昼間ひるまのピークにそなえるという目的もくてきへとうつっていき、それにとくするようにだい規模きぼじゅん揚水ようすい発電はつでんしょ建設けんせつされるようになった。ただし、その結果けっかみずふくまれる不純物ふじゅんぶつ原因げんいんのダムの堆積たいせきぶつ増加ぞうか問題もんだいはじめている[よう出典しゅってん]

環境かんきょうへの負荷ふか 編集へんしゅう

発電はつでん施設しせつおおきく取水しゅすい施設しせつ発電はつでん施設しせつ放水ほうすい施設しせつけられる。取水しゅすい放水ほうすい施設しせつみずせっするために河川かせん沿いとなる。発電はつでん施設しせつ水源すいげんとの距離きょり制限せいげんいが、取水しゅすい放水ほうすい施設しせつかん接続せつぞくされるためにその中間ちゅうかん設置せっちされることがおおい。そのため水力すいりょく発電はつでん施設しせつ山岳さんがく森林しんりん開発かいはつすることがほとんどとなり、自然しぜん保護ほご観点かんてん注意ちゅうい必要ひつようである。また取水しゅすい放水ほうすいによって河川かせんながれがわることも問題もんだいとなる。また、発電はつでんようダムを建設けんせつする場合ばあいだい規模きぼになることがおおく、すで形成けいせいされた自然しぜん地形ちけい地盤じばん河川かせん状況じょうきょう考慮こうりょするとすで人里ひとざと存在そんざいしている場所ばしょ候補こうほになりやすい。だい規模きぼダムが完成かんせいすると「水没すいぼつ」するむら過去かこにもおおれいがある。

完成かんせい環境かんきょう負荷ふかはほとんどいとわれることがおおいが、これは火力かりょく原子力げんしりょく発電はつでん比較ひかくした場合ばあいであり、問題もんだいとされやすいCO2排出はいしゅつ、NOx排出はいしゅつ放射ほうしゃせい物質ぶっしつ排出はいしゅつ皆無かいむとなる。稼働かどう開始かいし直後ちょくご水流すいりゅう変化へんかによる環境かんきょう負荷ふかはあるが、おおくの発電はつでん施設しせつ自然しぜん共生きょうせいする様態ようたいしめす。ダムにおいては水利すいり調節ちょうせつ機能きのう含有がんゆうする場合ばあいおおいので、洪水こうずい防止ぼうしかんばつの緩和かんわにもなる。今日きょうまでに既設きせつのダムがこわされたれいすくなく、発電はつでんしょ老朽ろうきゅう自然しぜんあたえる影響えいきょう不明ふめい部分ぶぶんおおい。

水力すいりょく発電はつでん分類ぶんるい 編集へんしゅう

落差らくさ方法ほうほうによる分類ぶんるい 編集へんしゅう

水路すいろしき発電はつでん
発電はつでんしょから上流じょうりゅう位置いちする河川かせん湖沼こしょうなどより取水しゅすいし、なる勾配こうばい水路すいろひらきみぞまたは暗渠あんきょ)によって発電はつでんしょまでみちびき、落差らくさるもの。おおくはながしきで、落差らくさ変動へんどうはほとんどない。
ダムしき発電はつでん
河川かせんないにダムをもうけて貯水ちょすいし、そこでしょうずる落差らくさ利用りようして発電はつでんするもの。発電はつでんしょはダム付近ふきん建設けんせつされる。ダムの水位すいい変化へんかによって、落差らくさ変動へんどうおおきくなる。
ダム水路すいろしき発電はつでん
ダムと水路すいろにより落差らくさをつくるもの。

運用うんようじょう分類ぶんるい 編集へんしゅう

 
プロペラ水車みずぐるま発電はつでんしき
A : 発電はつでん
1 : 固定こてい
2 : 回転子かいてんし
B : 水車みずぐるま
3 : 案内あんない羽根ばね
4 : ランナ
5 : 流水りゅうすい
6 : 主軸しゅじく
ながしき
河川かせん流量りゅうりょうをそのまま利用りようするもの。発電はつでんしょ出力しゅつりょく河川かせん流量りゅうりょう比例ひれいし、任意にんいでの出力しゅつりょく調整ちょうせいむずかしい。そう電力でんりょく需要じゅようのうちベース部分ぶぶんをまかなう。比較的ひかくてき小規模しょうきぼなものがおおい。
調整ちょうせいしき
にちあいだ週間しゅうかん電力でんりょく需要じゅよう変動へんどう対応たいおうするため、需要じゅようすくないけい負荷ふか出力しゅつりょくとして貯水ちょすいし、需要じゅようおおじゅう負荷ふか発電はつでん運転うんてんそなえるもの。そう電力でんりょく需要じゅようのうちピーク部分ぶぶんをまかなう。年間ねんかん流量りゅうりょう比較ひかくしてちゅう小規模しょうきぼ貯水ちょすいりょうゆうするダムをともなう。
貯水池ちょすいちしき
豊水ほうすい貯水ちょすいし、渇水かっすいでも安定あんていした発電はつでんができるだけの水量すいりょう確保かくほするもの。調整ちょうせいしきにちあいだ週間しゅうかん負荷ふか変動へんどうであるのにたいし、ぶしあいだ調整ちょうせいおこなう。そう電力でんりょく需要じゅようのうちピーク部分ぶぶんをまかなう。年間ねんかん流量りゅうりょう比較ひかくしてだい規模きぼ貯水ちょすいりょうゆうするダムをともなう。
ぎゃく調整ちょうせいしき
調整ちょうせいしき貯水池ちょすいちしき下流かりゅう流量りゅうりょう変動へんどう平滑へいかつするためにもうけるぎゃく調整ちょうせい落差らくさ利用りようし、一定いってい出力しゅつりょく運転うんてんするもの。
揚水ようすいしき
上下じょうげふたつの調整ちょうせいつもので、けい負荷ふか下部かぶ調整ちょうせいから上部じょうぶ調整ちょうせいみずをくみげておき、じゅう負荷ふか発電はつでんするものである。そう電力でんりょく需要じゅようのうちピーク部分ぶぶんをまかなう。
揚水ようすい発電はつでんには貯水池ちょすいちしき水力すいりょく発電はつでんをさらなるじゅう負荷ふか対応たいおうさせるために揚水ようすい発電はつでん設置せっちした混合こんごう揚水ようすいしきと、上池かみいけやま頂上ちょうじょうちかくなどにいた自然しぜん流入りゅうにゅうりょうがほとんどじゅん揚水ようすい発電はつでんがある。
揚水ようすい発電はつでんたいして、ながしき調整ちょうせいしき貯水池ちょすいちしきぎゃく調整ちょうせいしき一般いっぱん水力すいりょく発電はつでんあるいは自流じりゅうしき水力すいりょく発電はつでんという。
揚水ようすい発電はつでんのエネルギーげん原子力げんしりょく発電はつでんしょだい規模きぼ火力かりょく発電はつでんしょ電力でんりょくであり、一般いっぱん水力すいりょく発電はつでんみなもとあめゆきらせるもとになる海水かいすい蒸発じょうはつさせた太陽たいようエネルギーだというちがいがある。つまり一般いっぱん水力すいりょく発電はつでん再生さいせい可能かのうエネルギーであるが、揚水ようすい発電はつでん一種いっしゅ電池でんち蓄電池ちくでんち)である。
揚水ようすい発電はつでん揚水ようすい過程かてい)のしき
電力でんりょく需要じゅようがる深夜しんやとう余剰よじょう電力でんりょく発電はつでん電動でんどうをポンプとしてまわし、下部かぶ貯水池ちょすいちから上部じょうぶ貯水池ちょすいちみずげをおこなう。
揚水ようすい発電はつでん発電はつでん過程かてい)のしき
昼間ひるま夕方ゆうがたなどのこう需要じゅよう時間じかんたい上部じょうぶ貯水池ちょすいちから下部かぶ貯水池ちょすいちみずながし、発電はつでん電動でんどう水車みずぐるまとしてまわ発電はつでんすることで需給じゅきゅう調整ちょうせいおこなう。

おおられるわせ 編集へんしゅう

水路すいろしき発電はつでんながしき
河川かせん勾配こうばいきゅううえ中流ちゅうりゅうおおい。取水しゅすいするためのダムはあるが、落差らくさるほどのたかさはなく、流量りゅうりょう調整ちょうせい能力のうりょくがない。
ダムしき発電はつでん調整ちょうせいしき(または貯水池ちょすいちしき
河川かせん勾配こうばいゆるなか下流かりゅうおおい。水路すいろはあってもダムと発電はつでんしょむすぶだけで落差らくさるものではない。流量りゅうりょう調整ちょうせい能力のうりょくおうじて調整ちょうせいしき貯水池ちょすいちしきになる。
ダム水路すいろしき発電はつでん調整ちょうせいしき(または貯水池ちょすいちしき
河川かせん勾配こうばい適度てきどにある中流ちゅうりゅうおおい。ダムと水路すいろ両方りょうほう落差らくさる。流量りゅうりょう調整ちょうせい能力のうりょくおうじて調整ちょうせいしき貯水池ちょすいちしきになる。
ダムしき発電はつでん揚水ようすいしき
上下じょうげりゅう連続れんぞくしてふたつのダムを設置せっちし、られる落差らくさ容量ようりょう利用りようして揚水ようすい発電はつでんおこなうもの。自然しぜん流量りゅうりょう利用りようする混合こんごう揚水ようすいしきおおい。
ダム水路すいろしき発電はつでん揚水ようすいしき
隣接りんせつする河川かせんふたつのダムを設置せっちしてられる容量ようりょう両者りょうしゃむす水路すいろられる落差らくさ利用りようして揚水ようすい発電はつでんおこなうもの。落差らくさおおきいほどだい規模きぼしやすく経済けいざいてきになるので、上部じょうぶダムはしょう河川かせんさい上流じょうりゅう設置せっちすることがおおい。ほとんどがじゅん揚水ようすいしきであり、日本にっぽんでも外国がいこくでも近年きんねんこの形式けいしき揚水ようすい発電はつでんしょおおい。

出力しゅつりょく規模きぼによる分類ぶんるい 編集へんしゅう

統一とういつされた明確めいかく定義ていぎ団体だんたい機関きかんによる様々さまざま定義ていぎがある[29]

理論りろん 編集へんしゅう

みずのエネルギー 編集へんしゅう

流水りゅうすい位置いちエネルギー運動うんどうエネルギー圧力あつりょくエネルギーっている。流水りゅうすいつこれらのエネルギーを水力すいりょくという。

流水りゅうすい作用さようさせるてん基準きじゅんてんとすると、たか h (m) にある質量しつりょう m (kg) のみずは、mgh (J) の位置いちエネルギーをゆうしている。

質量しつりょう m (kg)、密度みつど ρろー (kg/m³) のみず自由じゆう落下らっかするとき、あるいちてんにおける流水りゅうすい速度そくど流速りゅうそく)を v (m/s)、圧力あつりょく水圧すいあつ)を p (Pa) とすると、この流水りゅうすいのエネルギーは以下いかさん形態けいたいによってあらわすことができる。

  • 位置いちエネルギー:   [J]
  • 運動うんどうエネルギー:   [J]
  • 圧力あつりょくエネルギー:   [J]

みずかんでのエネルギー消費しょうひかんがえないものとすれば、りゅうのどのてんにおいても流水りゅうすいつエネルギーの総和そうわエネルギー保存ほぞん法則ほうそくによりひとしい。これが、ベルヌーイの定理ていりである。それぞれを mg (N) でじょしたものを「みずあたま(すいとう)」という。

  [m]・・・ 位置いちすいあたま(いちすいとう)
  [m]・・・ 速度そくどすいあたま(そくどすいとう)
  [m]・・・ あつ力水ちからみずあたま(あつりょくすいとう)

みずあたまは「ヘッド (head)」 ともいい、たかさの単位たんいによってあらわす。

理論りろん水力すいりょく 編集へんしゅう

実際じっさい水路すいろには、流水りゅうすい壁面へきめんとのあいだ摩擦まさつがりの抵抗ていこうなどによりエネルギーの消費しょうひ損失そんしつ)がある。したがって、たかh (m) にある質量しつりょう m (kg) のみずつエネルギーのうち、損失そんしつぶんげんじたものが水車みずぐるま作用さようする有効ゆうこうなエネルギーとなる。

損失そんしつみずあたまによってしめしたものが損失そんしつすいあたま(そんしつすいとう)である。みずあたま有効ゆうこうぶんである有効ゆうこう落差らくさ(ゆうこうらくさ)を H (m)、損失そんしつすいあたまhl (m)、そう落差らくさ(そうらくさ) Ha (m) には以下いか関係かんけいがある。

 

だん面積めんせき A () のみずかんを、流速りゅうそく v [m/s] でみずながれたとき、その流量りゅうりょう Q [m³/s] はつぎしきあらわせる。

 

1 (m³) で質量しつりょう 1,000 (kg) のみず水車みずぐるま作用さようする理論りろんじょうのエネルギー、すなわち理論りろん水力すいりょく(りろんすいりょく) P0 は、流量りゅうりょう Q (m³/s) のとき、

 
 
 

となる。P0 のエネルギーは水車みずぐるま作用さようし、水車みずぐるま出力しゅつりょく Pwされ、最終さいしゅうてきには発電はつでん出力しゅつりょく電力でんりょく P となる。これは水車みずぐるま効率こうりつ ηいーたw と、発電はつでん効率こうりつ ηいーたgじょうじたものである。

P = 9.8 Q H ηいーたw ηいーたg [kW]
= 9.8 Q H ηいーた [kW]

水車みずぐるま効率こうりつ発電はつでん効率こうりつせき ηいーた を、総合そうごう効率こうりつ(そうごうこうりつ)という。ηいーた水車みずぐるま発電はつでん種類しゅるい構造こうぞう経年けいねんによって変化へんかするが、一般いっぱんてきにかなりたかく、近似きんじてきつぎしき成立せいりつする。

P8.5 Q H [kW]

水力すいりょく発電はつでんしょ出力しゅつりょくあらわすには、一般いっぱん以下いかさん種類しゅるいもちいられる。

最大さいだい出力しゅつりょく(さいだいしゅつりょく)
発電はつでんしょ発生はっせいできる電力でんりょく最大さいだい。このは、ある程度ていど時間じかん連続れんぞくして発生はっせいできるものでなければならない。
常時じょうじ出力しゅつりょく(じょうじしゅつりょく)
ながしき発電はつでんしょいち年間ねんかんのうち355日間にちかん以上いじょう発生はっせいすることができるとされる、発電はつでんしょ出力しゅつりょく基準きじゅん渇水かっすい取水しゅすいりょう基準きじゅんとして計算けいさんされる。
貯水池ちょすいちしき発電はつでんしょいち年間ねんかんのうち365日間にちかん以上いじょう発生はっせいすることができるとされる、発電はつでんしょ出力しゅつりょく基準きじゅん
常時じょうじとんがあたま出力しゅつりょく(じょうじせんとうしゅつりょく)
いち年間ねんかんのうち355日間にちかん以上いじょう毎日まいにちすくなくとも4あいだ発生はっせいすることができるとされる発電はつでんしょ出力しゅつりょく

大型おおがた水力すいりょく発電はつでん施設しせつ構成こうせい 編集へんしゅう

取水しゅすいこう 編集へんしゅう

 
取水しゅすいこう写真しゃしんおく

取水しゅすいこう(しゅすいこう)は、水力すいりょく発電はつでん利用りようするみずる(取水しゅすいする)ため、河川かせんいけ湖沼こしょうなどにもうけた設備せつびである。 より効率こうりつよく取水しゅすいするよう、えんつつみ堰堤えんてい)やダムもうける場合ばあいおおい。 また、取水しゅすいこうには上流じょうりゅうより漂着ひょうちゃくしたごみをのぞく、くしじょうスクリーンと、スクリーンにたまったごみをかきげるじょちり(じょじんき)がそなえられている。

許可きょか以上いじょう取水しゅすい違法いほう行為こういであるため、取水しゅすいこうでは取水しゅすいりょう監視かんしする必要ひつようがある。

沈砂 編集へんしゅう

沈砂(ちんさち)は、みずからすなのぞ設備せつびである。みずへの土砂どしゃ混入こんにゅうは、水車みずぐるま摩耗まもう原因げんいんとなるため、取水しゅすいこうからみず一時いちじてきに沈砂たくわえ、土砂どしゃ沈殿ちんでんさせてから水車みずぐるまおくる。

ダムしき・ダム水路すいろしき水力すいりょく発電はつでん場合ばあいは、ダムが沈砂ねるので設置せっちしないことがおおい。

導水どうすい 編集へんしゅう

導水どうすい(どうすいろ)は、みず発電はつでんしょまでみちび設備せつびで、水圧すいあつをかけた状態じょうたい送水そうすいする圧力あつりょく水路すいろ圧力あつりょくをかけずに自然しぜん流下りゅうかさせるあつ水路すいろとがある。構造こうぞうとしてはトンネルやぶたみぞ(がいきょ、カルバート)があり、必要ひつようおう水路すいろきょうやサイフォンが設置せっちされる。

内壁ないへき摩擦まさつによる流速りゅうそく低下ていか最小限さいしょうげんおさえるため、なめらかに仕上しあげられる。また、水棲すいせい生物せいぶつ付着ふちゃくなどにより出力しゅつりょく低下ていかがみられるような発電はつでんしょでは、水路すいろ清掃せいそう定期ていきてき実施じっしされる。

水槽すいそう 編集へんしゅう

水槽すいそう(すいそう)は、発電はつでんしょ出力しゅつりょく変動へんどうによるみず流量りゅうりょう変化へんか吸収きゅうしゅうする設備せつびである。 発電はつでんしょより急斜面きゅうしゃめんのぼった上部じょうぶにあり、上部じょうぶ水槽すいそう(じょうぶすいそう)ともいう。 水路すいろながれてきたみず水槽すいそう一時いちじてきたくわえられる。下記かき調しらべあつ水槽すいそう区別くべつするために普通ふつう水槽すいそううことがある。

水槽すいそうまでいた水路すいろ圧力あつりょく水路すいろであった場合ばあいには、発電はつでんしょ急激きゅうげき出力しゅつりょく変動へんどうによって発生はっせいしたみずげき作用さよう吸収きゅうしゅうするため、よりふかさに余裕よゆうをもたせた水槽すいそうもちいられる。 これをサージタンク、もしくは調しらべあつ水槽すいそう(ちょうあつすいそう)という。 発電はつでんしょ上部じょうぶポットのような寸胴ずんどうとうがあったとすれば、それはサージタンクである。

なお、ダムしき水力すいりょく発電はつでん場合ばあいは、水路すいろみじかいので水槽すいそうやサージタンクは必要ひつようがない。

水圧すいあつかん 編集へんしゅう

 
水圧すいあつかん

水圧すいあつかん(すいあつかんろ)は、水槽すいそうから発電はつでんしょまでのみずとおみちとなるかんである。水槽すいそうにためられたみずは、これより発電はつでんしょまでいた急斜面きゅうしゃめん水圧すいあつかんによってみちびかれる。大変たいへんたか水圧すいあつくわわるため、鋼鉄こうてつなどこう強度きょうど素材そざいもちい、堅牢けんろう構造こうぞうとする。

発電はつでんしょ急激きゅうげき出力しゅつりょく変動へんどうによって、水圧すいあつかんおおきな圧力あつりょく変動へんどうける。それを吸収きゅうしゅう緩和かんわする設備せつびとして、サージタンクや制圧せいあつがある。みずげき作用さようおおきさによって水圧すいあつかん破裂はれつ、もしくはつぶれてしまわないように、十分じゅうぶん注意ちゅういはらって設計せっけい施工しこうされる。

水圧すいあつかん本数ほんすう発電はつでんしょにある水車みずぐるま発電はつでん台数だいすうひとしい場合ばあいもあるが、発電はつでんしょ水圧すいあつかん分岐ぶんきさせ、かく水車みずぐるま発電はつでん接続せつぞくする場合ばあいもあるので一概いちがいにはえない。水圧すいあつかん地上ちじょう設置せっちされるれいおおいが、トンネルなどにより地下ちか設置せっちされることもある。

発電はつでんしょ 編集へんしゅう

 
水力すいりょく発電はつでんしょ建屋たきのや外観がいかん
岩津いわつ発電はつでんしょ中部電力ちゅうぶでんりょく

ここで狭義きょうぎの「発電はつでんしょ」は、水車みずぐるま発電はつでん調しらべそく制御せいぎょ装置そうち保護ほご装置そうち変電へんでん設備せつびなどによって構成こうせいされた建築けんちくぶつ建屋たきのや)をす。現在げんざい水力すいりょく発電はつでんしょおおくは無人ぶにんであり、遠方えんぽう制御せいぎょしょより遠隔えんかく操作そうさされている。

水力すいりょく発電はつでんしょ建屋たきのや内部ないぶ水車みずぐるま発電はつでんやそのるい制御せいぎょ装置そうちなどをおさめた屋内おくないしき(おくないしき)が一般いっぱんてきである。水車みずぐるま発電はつでん分解ぶんかい作業さぎょうようとして建屋たきのや天井てんじょうクレーンもうけられる。

一部いちぶでは水車みずぐるま発電はつでん屋外おくがい設置せっちした屋外おくがいしき(おくがいしき)や、天井てんじょう着脱ちゃくだつ可能かのうなふた(天蓋てんがい)とした簡易かんい建物たてもの内部ないぶおさめたはん屋外おくがいしき(はんおくがいしき)がある。いずれも屋外おくがいもんがたクレーンが設置せっちされる。なお、屋内おくないしきであっても変電へんでん設備せつび屋外おくがい屋上おくじょうもうけられることがおおい。

以上いじょう発電はつでんしょ地上ちじょう建設けんせつされた地上ちじょうしき発電はつでんしょであるが、これらを地下ちか空間くうかんおさめた地下ちかしき発電はつでんしょもある。地下ちかしき発電はつでんしょ堅固けんご地盤じばん必要ひつようとすることから、建設けんせつにあたっては建設けんせつ予定よてい入念にゅうねん地質ちしつ調査ちょうさ必要ひつようである。必然ひつぜんてき建設けんせつ高額こうがくなものとなるが、落差らくさ有効ゆうこう利用りようするための機器きき配置はいち制約せいやくすくないことや、発電はつでんしょ規模きぼおおきなものとなってもゆたかな自然しぜん景観けいかんそこねることがないなど利点りてんおおきい。

水力すいりょく発電はつでんしょ規模きぼ水車みずぐるま発電はつでん台数だいすうのほか、設置せっち方法ほうほうによっても左右さゆうされる。じく水平すいへいかせたよこじくがた(よこじくがた)水車みずぐるま発電はつでん接地せっち面積めんせきひろ占有せんゆうするものの、建屋たきのやいちかい平屋ひらやてとすることができる。おもしょう容量ようりょうのものに適用てきようされている。また、じく垂直すいちょくてたたてじくがた(たてじくがた)水車みずぐるま発電はつでん構造こうぞう複雑ふくざつ建屋たきのや階層かいそうおおくなるが、接地せっち面積めんせきすくなくてむことと落差らくさ有効ゆうこう利用りようできるという利点りてんがある。おもだい容量ようりょうのものに適用てきようされている。

たてじくがた水車みずぐるま発電はつでん支持しじする基礎きそ設計せっけいによってゆかしきたんゆかしきとに分類ぶんるいされる。前者ぜんしゃ発電はつでんがある発電はつでんしつと、そのいち階層かいそう水車みずぐるましつもうけるもの。かい構造こうぞうをとることがおおく、その場合ばあいとくしょうしきばれる。後者こうしゃ発電はつでんしつゆか省略しょうりゃくし、発電はつでん部分ぶぶん水車みずぐるましつてたバレルばれる円筒えんとうじょう基礎きそによって支持しじするもので、バレルしきともばれる。だい容量ようりょうではだい荷重かじゅう支持しじするためバレルしきおももちいられる。なお、バレルしきでありながらも発電はつでんしつ水車みずぐるましつとで階層かいそうけた、ふくあいてきなものも存在そんざいする。

放水ほうすい 編集へんしゅう

放水ほうすい(ほうすいろ)は、発電はつでんしたみず放水ほうすいこうみちび水路すいろで、導水どうすい同様どうよう役割やくわり区分くぶんがある。放水ほうすいにも水槽すいそうもうけることがある。みず河川かせん排出はいしゅつする設備せつび放水ほうすいこう(ほうすいこう)である。

なお、取水しゅすいする河川かせん放流ほうりゅうする河川かせんとは、かならずしも一致いっちするわけではない。

水力すいりょく発電はつでん費用ひよう収益しゅうえき構造こうぞう 編集へんしゅう

しょう水力すいりょく発電はつでん場合ばあいは、(装置そうち設備せつび選択せんたくにもよるが)そのおおくが、すうまんえんすうひゃくまんえん程度ていど初期しょき投資とうしとわずかな修繕しゅうぜん維持いじ費用ひようのみでみ、電力でんりょく大手おおて電力でんりょく会社かいしゃからつづける場合ばあい費用ひよう考慮こうりょすれば、すうねん程度ていど費用ひよう回収かいしゅうすることも可能かのうで、その金銭きんせんてきメリットの享受きょうじゅつづく。

中型ちゅうがた以上いじょうのものにかんしてえば、一般いっぱん水力すいりょく発電はつでん揚水ようすいしき発電はつでん水力すいりょく発電はつでんしょ費用ひよう原価げんか)は、(火力かりょく原子力げんしりょく発電はつでんしょなど発電はつでんしょ同様どうように)資本しほん修繕しゅうぜん人件じんけん諸税しょぜいなどからなる固定こてい発電はつでんりょう無関係むかんけいなもの)と揚水ようすい動力どうりょく揚水ようすいしき場合ばあいのみ)などからなる変動へんどう可変かへん発電はつでんりょう比例ひれいするもの)で構成こうせいされる、と説明せつめいされることがある。(ただし、事業じぎょうしゃ複数ふくすう発電はつでんしょ統括とうかつ管理かんりしている場合ばあいは、かならずしも地点ちてんごと算定さんていされるわけではなく、複数ふくすう水力すいりょく発電はつでん施設しせつ費用ひようじりうようにして計算けいさんされてしまっている。)このうち資本しほん」という項目こうもくは、しょ設備せつび建設けんせつ耐用たいよう年数ねんすう金利きんりなどにより算出さんしゅつされるもので、これがぜんコストの大部たいぶめる。建設けんせつ発電はつでんしょごと場所ばしょ特性とくせい地形ちけい地質ちしつ既存きそん土地とち使用しようしゃ有無うむなど)によりおおきく変動へんどうする。

日本にっぽんでは、一般いっぱん水力すいりょく発電はつでんしょかんしては、建設けんせつ観点かんてんから有利ゆうり地点ちてんからさき開発かいはつされてきた歴史れきしがあり、既存きそん事業じぎょうしゃがコストてき開発かいはつ可能かのう判断はんだんするような新規しんき地点ちてんはもういともされるが、再生さいせい可能かのうエネルギーとしての合理ごうりせい注目ちゅうもくされ、あらたな事業じぎょうしゃが、政策せいさくてき助成じょせい活用かつようしつつ、比較的ひかくてき小規模しょうきぼ水力すいりょく発電はつでんしょ設置せっちするうごきがすすみつつある。

揚水ようすいしき水力すいりょく発電はつでんしょ揚水ようすい動力どうりょくは、深夜しんやなど電力でんりょく需要じゅようすくない時間じかんたい火力かりょく原子力げんしりょく発電はつでんしょなどの余剰よじょう電力でんりょくもちいる。みずげすることなどにともなうエネルギー損失そんしつをも考慮こうりょすると、電源でんげん燃料ねんりょうなどにくらべて割高わりだか可変かへんとなりはするが、上記じょうき固定こてい部分ぶぶん電源でんげんくらべるとやす地点ちてん選定せんていできれば、比較的ひかくてきみじか時間じかんしか継続けいぞくしない電力でんりょく需要じゅようのピーク部分ぶぶん対応たいおうする供給きょうきゅうりょくとしては、十分じゅうぶん競争きょうそうりょくゆうする総合そうごうコストにすることが可能かのうである。そのため、「電力でんりょく系統けいとう経費けいひ最小さいしょうにする施策しさく」として揚水ようすい発電はつでんしょ一定いってい割合わりあい投入とうにゅう合理ごうりてきと、既存きそん事業じぎょうしゃなどでは分析ぶんせきされる。

ぎゃく調整ちょうせい 編集へんしゅう

水力すいりょく発電はつでん放水ほうすいりょう発電はつでんりょうにより変動へんどうする。これにより、下流かりゅう流量りゅうりょうおおきく変動へんどうすることを軽減けいげんするため、放水ほうすいこうよりも下流かりゅうもうけられる貯水池ちょすいちぎゃく調整ちょうせいび、そのために設置せっちされるダムをぎゃく調整ちょうせいダムぶ。ぎゃく調整ちょうせい落差らくさ利用りようした発電はつでんぎゃく調整ちょうせいしきぶ。

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく 編集へんしゅう

  1. ^ 後述こうじゅつする水力すいりょくドットコムのサイトでさんきょさわ記録きろくがある最古さいこ記述きじゅつされているが、薩摩さつまとうが1882ねんいそ庭園ていえん発電はつでんしょ運用うんよう開始かいししたとの参考さんこう記述きじゅつがある。

出典しゅってん 編集へんしゅう

  1. ^ 大辞泉だいじせん水力すいりょく発電はつでん
  2. ^ a b 広辞苑こうじえんだいろくはん水力すいりょく発電はつでん
  3. ^ 川上かわかみひろし小型こがた水力すいりょく発電はつでん実践じっせん: 手作てづく発電はつでんたのしむ』パワーしゃ、2006、ISBN 4827722870
  4. ^ 井上いのうえ 博成ひろなり; KEELEY Alexander 竜太りゅうた (2018). 日本にっぽんにおけるしょう水力すいりょく発電はつでん普及ふきゅうかか障壁しょうへき課題かだい事業じぎょう主体しゅたい視点してんから―”. 日本にっぽんエネルギー学会がっかい (日本にっぽんエネルギー学会がっかい) 97. doi:10.3775/jie.97.245. https://doi.org/10.3775/jie.97.245 2022ねん6がつ27にち閲覧えつらん. 
  5. ^ a b c Kidsエネルギア 電気でんきはどうやってできるの? 電気でんき歴史れきし”. 中国電力ちゅうごくでんりょく. 2019ねん11月6にち閲覧えつらん
  6. ^ 谷本たにもと和明かずあき小規模しょうきぼ再生さいせい可能かのうエネルギーの現状げんじょう可能かのうせい」『新潟にいがた国際こくさい情報じょうほう大学だいがく情報じょうほう文化ぶんか学部がくぶ紀要きようだい17ごう新潟にいがた国際こくさい情報じょうほう大学だいがく情報じょうほう文化ぶんか学部がくぶ、2014ねん4がつ、99-110ぺーじISSN 1343-490XNAID 110009753157 
  7. ^ Hydroelectric power - energy from falling water”. Clara.net. 2013ねん4がつ16にち閲覧えつらん
  8. ^ History of Hydropower”. U.S. Department of Energy. 2013ねん4がつ16にち閲覧えつらん
  9. ^ 水力すいりょくドットコム [1]
  10. ^ 水力すいりょくドットコム 日本にっぽん水力すいりょく発電はつでん歴史れきし. 明治めいじ21ねん明治めいじ30ねん
  11. ^ 技術ぎじゅつ教育きょういく教材きょうざいサイト うわ発電はつでんしょ
  12. ^ 京都きょうと情報じょうほうかん 水力すいりょく発電はつでん事業じぎょう発祥はっしょう
  13. ^ 明治めいじ時代じだい 電気でんき歴史れきし年表ねんぴょう”. 電気事業連合会でんきじぎょうれんごうかい. 2020ねん9がつ20日はつか閲覧えつらん
  14. ^ 沼上ぬまがみ発電はつでんしょ”. 日本にっぽん遺産いさん. 2020ねん9がつ20日はつか閲覧えつらん
  15. ^ 郡山こおりやま絹糸けんし紡績ぼうせき電気でんき郡山こおりやま”. 電力でんりょく絵葉書えはがき博物館はくぶつかん. 2020ねん9がつ20日はつか閲覧えつらん
  16. ^ a b 東京電力とうきょうでんりょくホールディングス株式会社かぶしきがいしゃ 沼上ぬまがみ発電はつでんしょ”. 水力すいりょくドットコム. 2020ねん9がつ20日はつか閲覧えつらん
  17. ^ 大正たいしょうから昭和しょうわ電気でんき歴史れきし年表ねんぴょう”. 電気事業連合会でんきじぎょうれんごうかい. 2020ねん9がつ20日はつか閲覧えつらん
  18. ^ 東京電力とうきょうでんりょくホールディングス株式会社かぶしきがいしゃ 猪苗代いなわしろだいいち発電はつでんしょ”. 水力すいりょくドットコム. 2020ねん9がつ20日はつか閲覧えつらん
  19. ^ 猪苗代いなわしろだいいち発電はつでんしょ”. 日本にっぽん遺産いさん. 2020ねん9がつ20日はつか閲覧えつらん
  20. ^ [|宮地みやじ英敏ひでとし]「日本にっぽんはじめて実現じつげんした長距離ちょうきょりだかあつ送電そうでん」『週刊しゅうかんしん発見はっけん日本にっぽん歴史れきしだい41かん朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、2014ねん、27ぺーじ 
  21. ^ 野村のむら俊一しゅんいち猪苗代いなわしろだいさんだいよん発電はつでんしょ近代きんだい諸相しょそう」『コンクリート工学こうがくだい53かんだい8ごう日本にっぽんコンクリートこう学会がっかい、2015ねん、670-671ぺーじdoi:10.3151/coj.53.670ISSN 0387-1061NAID 1300052545232021ねん5がつ10日とおか閲覧えつらん 
  22. ^ 緊急きんきゅう停電ていでん 家庭かてい明日あしたから 大口おおぐち工場こうじょうきょう実施じっし」『朝日新聞あさひしんぶん昭和しょうわ26ねん1がつ9にち
  23. ^ 家庭かていいちわり節電せつでん しゅうかいネオンもえる」『朝日新聞あさひしんぶん昭和しょうわ26ねん1がつ27にち3めん
  24. ^ 日本にっぽん水力すいりょくエネルギーりょう”. 経済けいざい産業さんぎょうしょう 資源エネルギしげんえねるぎちょう. 2021ねん9がつ13にち閲覧えつらん
  25. ^ 再生さいせい可能かのうエネルギー・エッセンシャルズ:水力すいりょく発電はつでん日本語にほんごばん”. OECD/IEA, 9 rue de la Fédération, 75739 Paris Cedex 15, France.. 2021ねん9がつ13にち閲覧えつらん
  26. ^ a b 日本にっぽん水力すいりょくエネルギーりょう出力しゅつりょくべつ包蔵ほうぞう水力すいりょく一般いっぱん水力すいりょく”. 経済けいざい産業さんぎょうしょう 資源エネルギしげんえねるぎちょう. 2021ねん9がつ12にち閲覧えつらん
  27. ^ パワーアカデミー ぬしすいしたがえ 原典げんてん:「電気でんき事業じぎょう辞典じてんかぶエネルギーフォーラム
  28. ^ 向井むかい一馬かずまだい規模きぼ電力でんりょく貯蔵ちょぞう 揚水ようすい発電はつでん:揚水ようすい発電はつでん 電力でんりょく貯蔵ちょぞう現状げんじょう将来しょうらい―2」『電気でんき学会がっかいだい123かんだい5ごう電気でんき学会がっかい、2003ねん、272-274ぺーじdoi:10.1541/ieejjournal.123.272ISSN 1340-5551NAID 130000755328 
  29. ^ 清水しみず徹朗てつろうしょう水力すいりょく発電はつでん現状げんじょう普及ふきゅう課題かだい (再生さいせい可能かのうエネルギー推進すいしん課題かだい)」『農林のうりん金融きんゆうだい65かんだい10ごう農林中央金庫のうりんちゅうおうきんこ ; [1948]-、2012ねん10がつ、634-652ぺーじISSN 1342-5749NAID 40019456088 

参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

外部がいぶリンク 編集へんしゅう

1978ねん科学技術庁かがくぎじゅつちょう企画きかくした東京とうきょうぶんうつ制作せいさくした短編たんぺん映画えいが現在げんざい上記じょうきサイトないいて無料むりょう公開こうかいちゅう》。