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ジュール - Wikipedia

ジュール

エネルギー、仕事しごと熱量ねつりょう電力でんりょくりょう単位たんい

ジュールえい: joule記号きごうJ)は、エネルギー仕事しごと熱量ねつりょう電力でんりょくりょう単位たんいである。ジェームズ・プレスコット・ジュールちなむ。

ジュール
joule
記号きごう J
けい 国際こくさい単位たんいけい (SI)
種類しゅるい 組立くみたて単位たんい
りょう エネルギー仕事しごと熱量ねつりょう電力でんりょくりょう
組立くみたて kg·m2· s−2, N· m
定義ていぎ 1ニュートンのちからがそのちから方向ほうこう物体ぶったいを1メートルうごかすときの仕事しごと[1]
語源ごげん ジェームズ・プレスコット・ジュール
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1 ジュールは標準ひょうじゅん重力じゅうりょくしたで 102.0 グラム(ほぼキウイフルーツまたはマンガン乾電池かんでんち質量しつりょう)の物体ぶったいを 1 メートルげるとき仕事しごと相当そうとうする(ニュートン (単位たんい)#リンゴによるちから表現ひょうげん参照さんしょう)。

国際こくさい単位たんいけい (SI) およ日本にっぽん計量けいりょうほうにおけるジュール J の定義ていぎ以下いかとおり。

  • 1 ニュートンちからがそのちから方向ほうこう物体ぶったいを 1メートルうごかすときの仕事しごと[2][3]

ジュールはSI組立くみたて単位たんいであり、 Nm またSI基本きほん単位たんいもちいて kgm2s−2 と表記ひょうきされる[4]

ジュールと形式けいしきてきにはおな単位たんいちからのモーメント[5](これはエネルギーではない)にももちいることができるが、仕事しごとやエネルギーの単位たんいとして「ニュートンメートル」を使用しようすると混乱こんらんまねくおそれがあるため注意ちゅうい必要ひつようである[6]

1 ジュールは、1 ボルト (V) の電圧でんあつなかで 1 クーロン (C) の電荷でんかうごかすのに必要ひつよう仕事しごととも定義ていぎできる[7]

  • J = C⋅V

1 秒間びょうかんに 1 ジュールの仕事しごとおこなわれるときの仕事率しごとりつが 1 ワット (W) であり、ワット W はジュール J とびょう s から定義ていぎされる。

  • W = J/s

日本にっぽん計量けいりょうほうは、仕事しごと熱量ねつりょう電力でんりょくりょう単位たんいとして、ジュールとともにワットびょう(ジュールとひとしい)、ワット (= 3600 J) の使用しようみとめている[8]

電力でんりょくりょう単位たんいとして、1 キロワット (= 1000 J/s) の電力でんりょくを 1 時間じかん (= 3600 s) 消費しょうひしたときの電力でんりょくりょうである 1 キロワット時きろわっとじ (= 1 kJ/s × 3600 s = 3.6 MJ) がよくもちいられる。

単位たんいへの換算かんさん

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1 ジュールはつぎのように換算かんさんされる。

ここで g0 = 9.80665 m/s2標準ひょうじゅん重力じゅうりょく加速度かそくどe = 1.602176634×10−19 C電気でんきもとりょうであり、c = 299792458 m/s真空しんくうちゅう光速こうそくである。またカロリーは 1 cal = 4.184 J とする計量けいりょう単位たんいれい定義ていぎもちいた[9][注釈ちゅうしゃく 1]

倍量ばいりょう分量ぶんりょう単位たんい

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ジュール (J) の倍量ばいりょう分量ぶんりょう単位たんい
分量ぶんりょう 倍量ばいりょう
記号きごう 名称めいしょう 記号きごう 名称めいしょう
10−1 J dJ デシジュール 101 J daJ デカジュール
10−2 J cJ センチジュール 102 J hJ ヘクトジュール
10−3 J mJ ミリジュール 103 J kJ キロジュール
10−6 J µJ マイクロジュール 106 J MJ メガジュール
10−9 J nJ ナノジュール 109 J GJ ギガジュール
10−12 J pJ ピコジュール 1012 J TJ テラジュール
10−15 J fJ フェムトジュール 1015 J PJ ペタジュール
10−18 J aJ アトジュール 1018 J EJ エクサジュール
10−21 J zJ ゼプトジュール 1021 J ZJ ゼタジュール
10−24 J yJ ヨクトジュール 1024 J YJ ヨタジュール
10−27 J rJ ロントジュール 1027 J RJ ロナジュール
10−30 J qJ クエクトジュール 1030 J QJ クエタジュール
よく使つかわれる単位たんい太字ふとじしめ

キロジュール

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キロジュール記号きごう:kJ)は、ジュールの 103 = 1000 ばいである。

  • 1 kJ の仕事しごとは、仕事率しごとりつ 1 kWの装置そうちが 1 秒間びょうかんにする仕事しごとである。
  • 1 kJ の熱量ねつりょうで、0 °Cみず固体こたいを 3 g かすことができる。
  • 1 kJ の熱量ねつりょうで、0 °C、5 g のみず液体えきたい)の温度おんどを 50 °C げることができる[注釈ちゅうしゃく 2]
  • 地球ちきゅうじょうで 100 kg の物体ぶったいを 1 m(または 1 kg の物体ぶったいを 100 m)鉛直えんちょく方向ほうこうげたときにしょうじる仕事しごとは 100 kgw·m、やく 1 kJ である。
  • 1 kJ は、10/36 W·h(やく 0.28 W·h)にひとしい。

メガジュール

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メガジュール記号きごう:MJ)は、ジュールの 106 = 1000000 ばいである。

  • 1 MJ の仕事しごとは、仕事率しごとりつ 1 kW で動作どうさする装置そうちが 1000 s(16 ふん 40 秒間びょうかん)にする仕事しごとである。
  • 1 MJ の熱量ねつりょうで、0 °Cこおりを 3 kg かすことができる。
  • 1 MJ は、10/36 kW·h(やく 0.28 kW·h)にひとしい。

ペタジュール

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ペタジュール記号きごう:PJ)は、ジュールの1015 = いちせんちょうばいである。エネルギー統計とうけいでよく使つかわれる単位たんいで、原油げんゆ25,800kLの熱量ねつりょう相当そうとうする[10]

CGS単位たんいけいにおけるエネルギーの単位たんいとして、1882ねんエルグ(erg)が導入どうにゅうされた。同年どうねん8がつ、イギリス科学かがく振興しんこう協会きょうかい会長かいちょう就任しゅうにんしたカール・ウィルヘルム・シーメンス英語えいごばんは、その就任しゅうにん演説えんぜつにて、熱量ねつりょう単位たんいとして「ジュール」の導入どうにゅうはじめて提唱ていしょうした。シーメンスが提唱ていしょうしたジュールは、「1オーム電気でんき抵抗ていこうに1アンペア電流でんりゅうを1びょうあいだながしたとき発生はっせいする熱量ねつりょう」というもので、107エルグにひとしいとされた。ジュールという単位たんい名称めいしょうもシーメンスがこのとき提唱ていしょうしたものだが、めいジェームズ・プレスコット・ジュールは、当時とうじ引退いんたいはしていたが存命ぞんめいだった。

このような熱量ねつりょう単位たんいがもし許容きょようされるなら、それはねつ力学りきがく発展はってん貢献こうけんしたかれってジュールとぶべきだろうとおも[注釈ちゅうしゃく 3]

1889ねん8がつ31にちだい2かい国際電気こくさいでんき会議かいぎにて、電力でんりょく単位たんいワット(watt)、インダクタンス単位たんいクワドラント(quadrant)(のちヘンリー(henry)に改称かいしょう)とともにジュールが正式せいしき採用さいようされた[11]めいのジュールは同年どうねん10がつ11にちくなった。1893ねんだい4かい国際電気こくさいでんき会議かいぎにおいて、従来じゅうらいげんしめせ方法ほうほうことなる国際こくさいアンペア」と「国際こくさいオーム」定義ていぎされ、ジュールも、これらからてられる「国際こくさいジュール」となった[12]

1935ねん国際電気こくさいでんき標準ひょうじゅん会議かいぎ国際電気こくさいでんき会議かいぎ後継こうけい)においてジョヴァンニ・ジョルジ提唱ていしょうしたジョルジ単位たんいけい採用さいようされ、ジュールは磁気じき定数ていすうもとづいてさい定義ていぎされた。ジョルジ単位たんいけいは1946ねん国際こくさい度量衡どりょうこう委員いいんかい承認しょうにんされ、現行げんこう国際こくさい単位たんいけい(SI)のもととなるMKSA単位たんいけいとなったが、このさい国際こくさい度量衡どりょうこう委員いいんかいはジュールを「1メートルの距離きょりで1単位たんいちから[注釈ちゅうしゃく 4]おこな仕事しごと単位たんい」と定義ていぎした[13]。1948ねんだい9かい国際こくさい度量衡どりょうこう総会そうかいでこの定義ていぎ採択さいたくされた。またこのさいに、熱量ねつりょう単位たんいとしてもジュールを使用しようするものとし、それまで熱量ねつりょう単位たんいとされていたカロリー正式せいしき廃止はいしされた[14]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ カロリーは SI 単位たんい
  2. ^ 温度おんど上昇じょうしょうによってみず熱容量ねつようりょう変化へんかしない場合ばあい
  3. ^ "The unit of heat has hitherto been taken variously as the heat required to raise a pound of water at the freezing-point through 1° Fahrenheit or Centigrade, or, again, the heat necessary to raise a kilogramme of water 1° Centigrade. The inconvenience of a unit so entirely arbitrary is sufficiently apparent to justify the introduction of one based on the electro-magnetic system, viz. the heat generated in one second by the current of an Ampère flowing through the resistance of an Ohm. In absolute measure its value is 107 C.G.S. units, and, assuming Joule's equivalent as 42,000,000, it is the heat necessary to raise 0.238 grammes of water 1° Centigrade, or, approximately, the 11000th part of the arbitrary unit of a pound of water raised 1° Fahrenheit and the 14000th of the kilogramme of water raised 1° Centigrade. Such a heat unit, if found acceptable, might with great propriety, I think, be called the Joule, after the man who has done so much to develop the dynamical theory of heat."Carl Wilhelm Siemens, Report of the Fifty-Second Meeting of the British Association for the Advancement of Science. S. 6 f.
  4. ^ 「ニュートン」のことだが、当時とうじはまだ固有こゆう名称めいしょうがなかった。

出典しゅってん

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  1. ^ 計量けいりょう単位たんいれい平成へいせいよんねんじゅういちがつじゅうはちにち政令せいれいだいさんひゃくじゅうななごう別表べっぴょうだいいち じゅうろく仕事しごと
  2. ^ 計量けいりょう単位たんいれい平成へいせいよんねんじゅういちがつじゅうはちにち政令せいれいだいさんひゃくじゅうななごう 別表べっぴょうだい1 こうばん26 「仕事しごと」のらん
  3. ^ 国際こくさい文書ぶんしょ 国際こくさい単位たんいけい (SI) だい 8 はん日本語にほんごばん (2006) p. 56 CIPM1946ねん ジュールは,1 MKS 単位たんいちから[ニュートン]の作用さようてんがそのちから方向ほうこうに 1 メートルにひとしい距離きょりだけ移動いどうするときになされる仕事しごとである
  4. ^ 国際こくさい文書ぶんしょ 国際こくさい単位たんいけい (SI) だい 8 はん日本語にほんごばん (2006) p.29 ひょう3
  5. ^ 計量けいりょう単位たんいれい平成へいせいよんねんじゅういちがつじゅうはちにち政令せいれいだいさんひゃくじゅうななごう 別表べっぴょうだい1 こうばん21、「ちからのモーメント」のらん計量けいりょう単位たんい:ニュートンメートル、定義ていぎ:ある定点ていてんからいちメートルへだたったてんにその定点ていてんかって直角ちょっかく方向ほうこういちニュートンのちからくわえたときのその定点ていてんのまわりのちからのモーメント
  6. ^ 国際こくさい文書ぶんしょ 国際こくさい単位たんいけい (SI) だい 8 はん日本語にほんごばん (2006) p. 30–31。ジュールは,形式けいしきてきにニュートンメートル又るまたはキログラムメートル 2 じょう毎秒まいびょう毎秒まいびょうあらわせる.しかし (中略ちゅうりゃく) 実際じっさいには,あるりょうたいして,固有こゆう単位たんいめいをつかうか,単位たんいめいわせを使つかうかの選択せんたくは,おな次元じげんことなるりょう区別くべつしやすいように,どちらかを優先ゆうせんすることとなる
  7. ^ 数学すうがく理科りか法則ほうそく定理ていりしゅう』48ぺーじ
  8. ^ 計量けいりょう単位たんいれい平成へいせいよんねんじゅういちがつじゅうはちにち政令せいれいだいさんひゃくじゅうななごう別表べっぴょうだいいち じゅうろく仕事しごとさんじゅう熱量ねつりょうよんじゅうはち電力でんりょくりょう計量けいりょう単位たんい定義ていぎだいじょう ほうだいさんじょう規定きていする計量けいりょう単位たんい定義ていぎは、別表べっぴょうだいいちのとおりとする
  9. ^ 計量けいりょう単位たんいれい平成へいせいよんねんじゅういちがつじゅうはちにち政令せいれいだいさんひゃくじゅうななごう別表べっぴょうだいろくだいじょう関係かんけいじゅうさんカロリー : ジュール又るまたはワットびょうよんいちはちよんばい
  10. ^ エネルギーの安定あんてい供給きょうきゅう確保かくほ」『原子力げんしりょく総合そうごうパンフレット』日本にっぽん原子力げんしりょく文化ぶんか財団ざいだん、2021ねんhttps://www.jaero.or.jp/sogo/detail/cat-01-05.html 
  11. ^ Pat Naughtin: A chronological history of the modern metric system, metricationmatters.com, 2009.
  12. ^ Proceedings of the International Electrical Congress. New York: American Institute of Electrical Engineers. (1894). https://archive.org/details/proceedingsinte01chicgoog 
  13. ^ CIPM, 1946, Resolution 2, Definitions of electric units. bipm.org.
  14. ^ 9th CGPM, Resolution 3: Triple point of water; thermodynamic scale with a single fixed point; unit of quantity of heat (joule)., bipm.org.

関連かんれん項目こうもく

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エネルギーの単位たんい
ジュール
(J = kg·m2/s2)
キロワット時きろわっとじ
(kW·h)
電子でんしボルト
(eV)
重量じゅうりょうキログラムメートル
(kgf·m)
国際こくさい蒸気じょうきひょうカロリー
(calIT)
1 J = 1 2.778×10−7 6.242×1018 1.020×10−1 2.388×10−1
1 kW·h = 3.6×106 = 1 2.247×1025 3.671×105 8.598×105
1 eV = 1.602176634×10−19 4.450×10−26 = 1 1.634×10−20 3.827×10−20
1 kgf·m = 9.80665 2.724×10−6 6.121×1019 = 1 ≈ 2.342
1 calIT = 4.1868 1.163×10−6 2.613×1019 4.269×10−1 = 1


参考さんこう文献ぶんけん

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