C60 フラーレンの発見 はっけん は1985年 ねん であるが、それ以前 いぜん に C60 構造 こうぞう の存在 そんざい は予測 よそく されていた。
1965年 ねん 、C60 H60 の二 に 十 じゅう 面体 めんてい トポロジー構造 こうぞう が可能 かのう であることが報告 ほうこく された[2] 。
バックミンスター・フラー の建築 けんちく 物 ぶつ であるジオデシック・ドーム
1970年 ねん 、当時 とうじ 北海道大学 ほっかいどうだいがく の大澤 おおさわ 映 うつ 二 に は、ベンゼン が5つ集 あつ まって皿 さら 状 じょう になった「コランニュレン 」という物質 ぶっしつ の構造 こうぞう がサッカーボールの一部 いちぶ と同 おな じであることに気 き づいた。ここから、実際 じっさい にサッカーボール状 じょう の C60 も存在 そんざい しうると考 かんが え、考察 こうさつ の結果 けっか を和文 わぶん 雑誌 ざっし などに公表 こうひょう した[3] [4] 。だが、これが掲載 けいさい されたのは日本語 にほんご の文献 ぶんけん のみで、英語 えいご などでは発表 はっぴょう していなかったため、欧米 おうべい の科学 かがく 者 しゃ には知 し られることはなかった。
同 おな じく1970年 ねん 、R. W. HensonはC60 の構造 こうぞう モデルを提唱 ていしょう した。だが、このモデルが現実 げんじつ に存在 そんざい するとは誰 だれ にも思 おも われず、彼 かれ の同僚 どうりょう にすら受 う け入 い れられなかった。そのため、このアイデアの論文 ろんぶん は発表 はっぴょう されることはなかったことが、1999年 ねん のCarbon 誌 し に明 あ かされている[5] [6] 。
これらの成果 せいか とは独立 どくりつ に、1973年 ねん 、Prof.Bochvar率 ひき いるロシアの科学 かがく 者 しゃ グループは、C60 の安定 あんてい 性 せい の量子 りょうし 化学 かがく 的 てき 分析 ぶんせき を行 おこな い、この分子 ぶんし 構造 こうぞう の電子 でんし 状態 じょうたい を計算 けいさん した。この計算 けいさん 結果 けっか も学界 がっかい では受 う け入 い れられなかった。この論文 ろんぶん は1973年 ねん のロシアの"Proceeding of USSR Academy of Sciences"から発表 はっぴょう された
[7] 。
1985年 ねん 、C60 フラーレン の実在 じつざい がハロルド・クロトー 、リチャード・スモーリー 、ロバート・カール らによって初 はじ めて発見 はっけん された。この発見 はっけん により、発見 はっけん 者 しゃ の三 さん 人 にん は、1996年 ねん 度 ど のノーベル化学 かがく 賞 しょう を受賞 じゅしょう した。
1992年 ねん 、ロシア のカレリア共和 きょうわ 国 こく 産 さん の"炭素 たんそ 鉱物 こうぶつ シュンガ石 せき (shungite )"(まだ正式 せいしき に鉱物 こうぶつ 種 しゅ とは認 みと められていない) に C60 が含 ふく まれていると報告 ほうこく された。その後 ご 京都大学 きょうとだいがく で分析 ぶんせき が行 おこな われ、2004年 ねん に重量 じゅうりょう 比 ひ で約 やく 20ppm の C60 が含 ふく まれていると発表 はっぴょう された[8] 。2007年 ねん 現在 げんざい 、生成 せいせい の機構 きこう は不明 ふめい である。
2010年 ねん 9月4日 にち 、C60 フラーレン発見 はっけん 25年 ねん を記念 きねん して、Google ホームページのロゴが特別 とくべつ バージョンとなった(画像 がぞう )。
炭素 たんそ 原子 げんし 60個 こ からなる切 きり 頂 いただき 二 に 十 じゅう 面体 めんてい (サッカーボール 状 じょう )構造 こうぞう 、直径 ちょっけい 7.1Å[9] のフラーレンを、C60 フラーレン と呼 よ ぶ。IUPAC命名 めいめい 法 ほう では (C60 -Ih )[5,6]フラーレン という。また、同様 どうよう の構造 こうぞう を持 も ったドームジオデシック・ドーム のデザイナーであるバックミンスター・フラー の名 な をとって、バックミンスターフラーレン (Buckminsterfullerene) 、バッキーボール (Buckyball) とも呼 よ ぶ。6員 いん 環 たまき が20、5員 いん 環 たまき が12、60本 ほん の単 たん 結合 けつごう 、30本 ほん の二 に 重 じゅう 結合 けつごう で形成 けいせい されており、余 あま った結合 けつごう が出 で ない安定 あんてい な構造 こうぞう である。
フラーレン (C60 ) は、固体 こたい 構造 こうぞう (ファンデルワールス結晶 けっしょう )をとる場合 ばあい がある。C60 を一 ひと つの粒子 りゅうし とみなして、その粒子 りゅうし が面 めん 心 こころ 立方 りっぽう 構造 こうぞう (常温 じょうおん での安定 あんてい 相 しょう )をとる。260 K 以下 いか では、単純 たんじゅん 立方 りっぽう 構造 こうぞう が安定 あんてい となる。また、常温 じょうおん での準 じゅん 安定 あんてい 相 しょう として六方 ろっぽう 晶 あきら 構造 こうぞう も存在 そんざい する。これらの構造 こうぞう で、個々 ここ のフラーレンは高速 こうそく で回転 かいてん している。常温 じょうおん で毎秒 まいびょう およそ108 から109 回転 かいてん するが、低温 ていおん では回転 かいてん は遅 おそ くなる。さらに、その粒子 りゅうし 間 あいだ (C60 間 あいだ )にアルカリ金属 きんぞく などがインターカレート した構造 こうぞう も存在 そんざい (面 めん 心 こころ 立方 りっぽう 的 てき 構造 こうぞう 、体 からだ 心 こころ 立方 りっぽう 的 てき 構造 こうぞう などとなる)する。アルカリ金属 きんぞく などをインターカレートした構造 こうぞう の中 なか には、超 ちょう 伝導 でんどう を示 しめ すものも存在 そんざい する。カリウム をドープした K3 C60 は C60 を面 めん 心 こころ 立方 りっぽう (fcc) で組 く み上 あ げ C60 分子 ぶんし 間 あいだ に K+ が入 はい り込 こ む形 かたち になっていて、その転移 てんい 温度 おんど は30 Kを超 こ える。他 た に二 に 価 か 金属 きんぞく のBaでも Ba4 C60 となり、10 K以下 いか だがやはり超 ちょう 伝導 でんどう を示 しめ す。
炭素 たんそ 原子 げんし の数 かず が60個 こ を超 こ えているクラスターも存在 そんざい する。これを高次 こうじ フラーレンと呼 よ ぶ。アーク放電 ほうでん 法 ほう などによるC60 フラーレン合成 ごうせい の際 さい 、これら高次 こうじ フラーレンが少量 しょうりょう ながら生成 せいせい される。炭素 たんそ 数 すう が70, 74, 76, 78……のものなどが単 たん 離 はな されている。これらも全 すべ て5員 いん 環 たまき ・6員 いん 環 たまき から成 な っており、7員 いん 環 たまき 以上 いじょう の環 たまき を持 も つフラーレンは実際 じっさい には発見 はっけん されていない。炭素 たんそ の数 かず がいくつになっても5員 いん 環 たまき の数 かず は12と決 き まっており、6員 いん 環 たまき の数 かず だけが増 ふ えていく(オイラーの多面体 ためんたい 定理 ていり より)。
また、フラーレン骨格 こっかく においては5員 いん 環 たまき は隣 とな り合 あ わせにならないという規則 きそく がある(孤立 こりつ 5員 いん 環 たまき 則 そく 、IPR)。C60 フラーレンはIPRを満 み たす最小 さいしょう のフラーレンであり、その次 つぎ が C70 となる。C62 や C68 などが発見 はっけん されないのは、これらがIPRを満 み たし得 え ない炭素 たんそ 数 すう だからと考 かんが えられる(ただし後述 こうじゅつ のように、内包 ないほう フラーレンでは例外 れいがい が存在 そんざい する)。
炭素 たんそ 原子 げんし が60個 こ 以下 いか のフラーレンは、特殊 とくしゅ な例 れい を除 のぞ いて安定 あんてい しては存在 そんざい できない。
炭素 たんそ によって作 つく られる六 ろく 員 いん 環 たまき ネットワーク(グラフェン シート)が単 たん 層 そう あるいは多層 たそう の同軸 どうじく 管状 かんじょう になった物質 ぶっしつ 。炭素 たんそ の同素体 どうそたい で、フラーレンの一種 いっしゅ に分類 ぶんるい されることがある。詳 くわ しくはカーボンナノチューブ を参照 さんしょう 。
フラーレンを原料 げんりょう に高温 こうおん 高 だか 圧 あつ 下 か で生成 せいせい される物質 ぶっしつ 。ダイヤモンド・ナノロッド凝集 ぎょうしゅう 体 たい (Aggregated diamond nanorod、ADNR)とも呼 よ ばれる。市販 しはん の多 た 結晶 けっしょう 質 しつ ダイヤモンドより3倍 ばい 程度 ていど 硬 かた い(摩耗 まもう 抵抗 ていこう 、破壊 はかい 靱性)とされる[10] [11] 。詳 くわ しくはハイパーダイヤモンド を参照 さんしょう 。
C60の結晶 けっしょう
クロトー、スモーリー、カールは真空 しんくう 状態 じょうたい でグラファイト にレ れ ーザ ざ ー光線 こうせん を当 あ てて蒸発 じょうはつ させ、フラーレンを発見 はっけん した。この方法 ほうほう によって得 え られるフラーレンの量 りょう は極 ごく 少量 しょうりょう であったが、1990年 ねん にドイツでアーク放電 ほうでん により大量 たいりょう にフラーレンを合成 ごうせい する方法 ほうほう が発見 はっけん され、フラーレンの研究 けんきゅう が進展 しんてん するきっかけとなった。その後 ご 、炭化 たんか 水素 すいそ を燃焼 ねんしょう させたりプラズマ で分解 ぶんかい するなど、さまざまな方法 ほうほう が開発 かいはつ されている。2000年代 ねんだい に入 はい り、燃焼 ねんしょう 法 ほう によるトン単位 たんい の大量 たいりょう 生産 せいさん も行 おこな われるようになった。
一方 いっぽう 、フラーレンの有機 ゆうき 化学 かがく 的 てき 手法 しゅほう による合成 ごうせい は難航 なんこう したが、2002年 ねん になって、11段階 だんかい で作 つく った前駆 ぜんく 体 たい を瞬間 しゅんかん 真空 しんくう 熱 ねつ 分解 ぶんかい (英語 えいご 版 ばん ) で処理 しょり することにより初 はじ めて成功 せいこう した(収 おさむ 率 りつ は約 やく 0.1%–1%)[12] 。その後 ご 、トルキセン から三 さん 段階 だんかい で作 つく った前駆 ぜんく 体 たい を白金 はっきん 上 うえ で加熱 かねつ することにより効率 こうりつ よくフラーレンに変換 へんかん することに成功 せいこう した[13] [14] 。また、単 たん 層 そう グラフェンに担持した同 おな じ前駆 ぜんく 体 たい に電子 でんし 線 せん 照射 しょうしゃ することによってフラーレンに変換 へんかん される様子 ようす を原子 げんし 分解能 ぶんかいのう の電子 でんし 顕微鏡 けんびきょう 映像 えいぞう として記録 きろく することにも成功 せいこう している[15] 。
フラーレン生成 せいせい 時 じ にある種 しゅ の金属 きんぞく 元素 げんそ をグラファイト中 ちゅう に加 くわ えておくと、中空 なかぞら の骨格 こっかく 内 ない に金属 きんぞく 原子 げんし を包 つつ み込 こ んだフラーレンが得 え られる。これを内包 ないほう フラーレンと呼 よ び、M@C60 などと書 か き表 あらわ す。これまでスカンジウム 、ランタン 、セリウム 、チタン などを内包 ないほう したフラーレンが得 え られているが、アルミニウム や鉄 てつ 、金 きむ などを内包 ないほう したものは得 え られておらず、こうした選択 せんたく 性 せい の理由 りゆう ははっきりしていない。
金属 きんぞく ではなく窒素 ちっそ 原子 げんし を閉 と じこめた N@C60 、2つ以上 いじょう の金属 きんぞく 原子 げんし を含 ふく んだ (Sc2 C2 )@C72 、2種 しゅ 以上 いじょう の元素 げんそ を内包 ないほう した (Sc3 N)@C80 などの化合 かごう 物 ぶつ も得 え られている。ウラン は C82 に、トリウム は C84 に入 はい る。また、ウラン2個 こ が C80 に入 はい るなど、元素 げんそ によって炭素 たんそ 数 すう との相性 あいしょう がある。
京都大学 きょうとだいがく の小松 こまつ 紘一 こういち らは、有機 ゆうき 化学 かがく 的 てき な手法 しゅほう によってフラーレン骨格 こっかく に穴 あな を開 あ け、水素 すいそ 分子 ぶんし を封入 ふうにゅう した上 うえ で穴 あな を閉 と じて元 もと のフラーレン骨格 こっかく を再生 さいせい し、H2 @C60 という分子 ぶんし を人工 じんこう 合成 ごうせい することに成功 せいこう している。小松 こまつ はこれを「分子 ぶんし 手術 しゅじゅつ (Molecular Surgery)」と呼 よ んでいる。
名古屋大学 なごやだいがく の坂田 さかた 誠 まこと らはSPring-8 の放射光 ほうしゃこう と最大 さいだい エントロピー法 ほう (MEM) を用 もち いて Sc2 @C66 の構造 こうぞう 解析 かいせき を行 おこな い、孤立 こりつ 5員 いん 環 たまき 則 そく を破 やぶ るフラーレンの存在 そんざい を証明 しょうめい した。
フラーレンは物理 ぶつり 的 てき に極 きわ めて安定 あんてい で、水 みず や有機 ゆうき 溶媒 ようばい に溶 と けにくい性質 せいしつ を持 も つ。このため、この物体 ぶったい 単体 たんたい の利用 りよう 開発 かいはつ が妨 さまた げられている。だが、化学 かがく 反応 はんのう 性 せい に富 と み、化学 かがく 修飾 しゅうしょく をほどこし水溶 すいよう 性 せい を増 ま すことで、様々 さまざま な試薬 しやく と反応 はんのう することが知 し られており、様々 さまざま な分野 ぶんや での開発 かいはつ 研究 けんきゅう が進 すす められている。これは球面 きゅうめん 状 じょう に芳香 ほうこう 環 たまき が歪 ゆが められているため芳香 ほうこう 族 ぞく 性 せい が低下 ていか し、適当 てきとう な反応 はんのう 性 せい を持 も つためと考 かんが えられる。現在 げんざい までに様々 さまざま な反応 はんのう が報告 ほうこく されており、C60 は単一 たんいつ 分子 ぶんし として最 もっと も反応 はんのう 性 せい がよく調 しら べられた分子 ぶんし となっている。
主 おも な反応 はんのう として水素 すいそ やハロゲン の付加 ふか 反応 はんのう 、有機 ゆうき 金属 きんぞく 試薬 しやく の求 もとめ 核 かく 付加 ふか 反応 はんのう 、[3+2]・[4+2]などの環 たまき 化 か 付加 ふか 反応 はんのう などがある。また二 に 重 じゅう 結合 けつごう は白金 はっきん やイリジウム などの配 はい 位 い 子 こ としても働 はたら き、錯体 さくたい を形成 けいせい することが知 し られている。また、2個 こ の C60 が結合 けつごう して出来 でき た二 に 量 りょう 体 たい や、さらに密 みつ に結合 けつごう した落花生 らっかせい 型 がた などの C120 、3個 こ が結合 けつごう したトリマーの C180 や、多数 たすう のフラーレンが結合 けつごう したポリマーなども合成 ごうせい されている。
フラーレンに置換 ちかん 基 もと を導入 どうにゅう する反応 はんのう の中 なか でも、以下 いか の二 ふた つの反応 はんのう がよく知 し られている。
Bingel-Hirsh反応 はんのう とも呼 よ ばれる。ブロモ マロン酸 さん エステル をDBU によりエノラート化 か し、フラーレンに求 もとめ 核 かく 付加 ふか する。その後 ご 、フラーレンに生 しょう じた負 ふ 電荷 でんか がSN 2反応 はんのう でマロン酸 さん 部位 ぶい を攻撃 こうげき し、三 さん 員 いん 環 たまき 構造 こうぞう を形成 けいせい する。ヨウ素 もと やテトラブロモメタン を共存 きょうぞん させることで、ハロゲン化 か されていないマロン酸 さん エステルも反応 はんのう させることが可能 かのう である。
Bingel反応 はんのう
アルデヒド 化合 かごう 物 ぶつ とグリシン などのアミノ酸 あみのさん をまず反応 はんのう させ、アゾメチンイリド を形成 けいせい させる。次 つ いでフラーレンと1,3-双極 そうきょく 子 こ 付加 ふか 反応 はんのう を起 お こさせ、最終 さいしゅう 的 てき にフラーレン上 じょう にピロリジン 環 たまき が形成 けいせい される。
ヒト免疫 めんえき 不全 ふぜん ウイルス (HIV)の特効薬 とっこうやく としての利用 りよう が検討 けんとう されている。HIVは増殖 ぞうしょく の際 さい にHIVプロテアーゼ という酵素 こうそ を必要 ひつよう とする。この酵素 こうそ は脂 あぶら 溶性 ようせい の空隙 くうげき があり、ここにちょうどフラーレンがはまり込 こ んでその作用 さよう を阻害 そがい する。このためある種 しゅ のフラーレン誘導体 ゆうどうたい は抗 こう HIV活性 かっせい を示 しめ し、臨床 りんしょう 試験 しけん が進行 しんこう 中 ちゅう である。
遺伝子 いでんし の導入 どうにゅう にフラーレンが有効 ゆうこう であることが判明 はんめい している[16] [17] 。C60 フラーレンに四 よっ つのアミノ基 もと をつけた水溶 すいよう 性 せい フラーレン(TPFE)はDNAとの結合 けつごう が可能 かのう である。DNA と結合 けつごう したTPFEは細胞 さいぼう 膜 まく を通 とお り抜 ぬ けた後 のち に分離 ぶんり し、放 はな たれたDNAは発現 はつげん する。フラーレンは低 てい 毒性 どくせい で、TPFEを使 つか った遺伝子 いでんし 治療 ちりょう は安全 あんぜん だといわれている。遺伝子 いでんし 導入 どうにゅう には今 いま までウイルス や脂質 ししつ 類似 るいじ 物 ぶつ を「運 はこ び屋 や 」として使 つか う方法 ほうほう があったが、臓器 ぞうき 障害 しょうがい などの安全 あんぜん 性 せい の問題 もんだい があった。しかし、東大 とうだい 大学院 だいがくいん 理学 りがく 系 けい 研究 けんきゅう 科 か の中村 なかむら 栄一 えいいち 教授 きょうじゅ と東大 とうだい 医学部 いがくぶ 付属 ふぞく 病院 びょういん の野入 のいり 英世 ひでよ 准 じゅん 教授 きょうじゅ らの、マウスを使 つか った実験 じっけん ではTPFEによる遺伝子 いでんし 導入 どうにゅう に臓器 ぞうき 障害 しょうがい が見 み られなかったという。また、TPFEは安価 あんか で大量 たいりょう 生産 せいさん できるため、TPFEによる遺伝子 いでんし 治療 ちりょう は安価 あんか で利用 りよう できるという。
活性 かっせい 酸素 さんそ やラジカル を消去 しょうきょ する作用 さよう [18] [19] により、美肌 びはだ 効果 こうか や肌 はだ の老化 ろうか 防止 ぼうし 効果 こうか があるとされており[要 よう 出典 しゅってん ] 、美容 びよう 液 えき やローション などに配合 はいごう されている。
n型 がた 半導体 はんどうたい 材料 ざいりょう として、PCBM などの誘導体 ゆうどうたい を用 もち いた研究 けんきゅう が進 すす められている。
基礎 きそ 研究 けんきゅう の段階 だんかい ではC60 フラーレンをボールベアリング のボールのように用 もち いて動 どう 摩擦 まさつ をほぼゼロにできる事 こと が分 わ かっており、ナノマシン の潤滑 じゅんかつ 剤 ざい としての用途 ようと などが考 かんが えられている[20] 。日本 にっぽん では、2000年代 ねんだい にバーディークラブという過去 かこ に存在 そんざい したメーカーがフラーレンC60を使用 しよう し、摩擦 まさつ 低減 ていげん を効果 こうか 的 てき に実現 じつげん する添加 てんか 剤 ざい を製造 せいぞう していた。しかし、製造 せいぞう コストが高 たか かった事 こと もあり、短期間 たんきかん で製造 せいぞう が打 う ち切 き られた。
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