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サンゴ礁 - Wikipedia

サンゴ礁さんごしょう

みやつこ礁サンゴの群落ぐんらくによってつくられた地形ちけい

サンゴ礁さんごしょう(サンゴしょう、珊瑚礁さんごしょうさんごしょうcoral reef)は、みやつこ礁サンゴ群落ぐんらくによってつくられた地形ちけいひとつ。サンゴがその石灰せっかいしつ骨格こっかくかさねて海面かいめんちかくまでたかまりをつく地形ちけいのことをいう[1]熱帯ねったい外洋がいようめんした海岸かいがんによく発達はったつする。

ミクロネシア連邦れんぽうヌクオロ環礁かんしょうNASAによる衛星えいせい写真しゃしん
八重山やえやま黒島くろしま周辺しゅうへんのサンゴ

概要がいよう

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日本にっぽんサンゴ礁さんごしょう石垣島いしがきじま白保しらほ海岸かいがん
 
紅海こうかいエイラートサンゴ礁さんごしょう

みやつこ礁サンゴの繁殖はんしょくてきしているうみは、25-30℃ほどのこう水温すいおん、3-4%ほどのたか塩分えんぶん濃度のうどふかくても水深すいしん30mほどのあさくてきれいな海域かいいきである。赤道あかみち付近ふきんでは貿易ぼうえきふうによって西向にしむきの暖流だんりゅう発生はっせいし、高緯度こういど地方ちほうからの寒流かんりゅうがそのはいりこんでいる。太平洋たいへいようインド洋いんどよう大西おおにしひろしどれも西側にしがわサンゴ礁さんごしょう集中しゅうちゅうし、東側ひがしがわにあまりられないのはこの理由りゆうによる。また、だい規模きぼサンゴ礁さんごしょうでも、河口かこういきけるかたちをとっているのがられる。

日本にっぽんでは南西諸島なんせいしょとう伊豆諸島いずしょとう小笠原諸島おがさわらしょとうなど南部なんぶ島嶼とうしょサンゴ礁さんごしょうられるが、サンゴ礁さんごしょう水温すいおん18℃ほどまで形成けいせいされるので、日本にっぽん本土ほんどでも小規模しょうきぼなものならば対馬海峡つしまかいきょう以南いなん房総半島ぼうそうはんとう以南いなん各地かくちられる。

サンゴ礁さんごしょう土台どだいになっているしま温暖おんだん原因げんいんではなくサンゴ礁さんごしょう自身じしん沈下ちんかにより消滅しょうめつ一途いっと辿たどっている。

サンゴ礁さんごしょう火山かざん活動かつどう活発かっぱつところられることはすくなく、火山かざんからガスねつすい大量たいりょう噴出ふんしゅつするためそれらが海水かいすいけるとつよ酸性さんせいへと変化へんかものらしにくくなり、とくサンゴ礁さんごしょうはカルシウムのからつくって成長せいちょうするため、火山かざん影響えいきょうつよ酸性さんせいうみではからけてしまいきていけない。

みやつこ礁サンゴにはミドリイシノウサンゴキクメイシなどすう100種類しゅるいもあるが、これらは直径ちょっけい1cmらずのイソギンチャクちいさなポリプがたくさんあつまってぐんたいをなしたもので、様々さまざまかたちのサンゴは、たくさんのポリプがそれぞれの種類しゅるいによって独自どくじ骨格こっかく形成けいせいしたものである。

サンゴのポリプはプランクトン捕食ほしょくするが、体内たいない光合成こうごうせいおこな褐虫共生きょうせいさせ、その栄養分えいようぶんをもらうこともできる。成長せいちょうしたポリプは分裂ぶんれつしてえ、海水かいすいちゅう二酸化炭素にさんかたんそカルシウムりこみ、炭酸たんさんカルシウム主成分しゅせいぶんとした骨格こっかくをつくる。たくさんのみやつこ礁サンゴが生命せいめい活動かつどうおこなった結果けっか、サンゴのしたにはあつ石灰岩せっかいがんそうができ、サンゴ自身じしんはさらにうえへ、おきへと成長せいちょうする。

サンゴ礁さんごしょう付近ふきん砂浜すなはま波浪はろうれたり、動物どうぶつかじられたりしたサンゴの残骸ざんがいふくんでしろっぽくなる。ほかにも貝類かいるいウニゆうあなちゅうからなども海岸かいがん堆積たいせきする。このようにサンゴ礁さんごしょう砂浜すなはますなは、そのだい部分ぶぶん生物せいぶつ起源きげんであり、おおくが石灰せっかいしつである。これらの石灰せっかいぶん堆積たいせきし、一部いちぶけてふたたかたまることで、砂粒さりゅうふくんだまま岩石がんせきとなったものがビーチロックである。

こうした生物せいぶつ自然しぜんいとなみがなが時間じかんをかけてかさなった結果けっか石灰岩せっかいがん岩盤がんばんによるひろサンゴ礁さんごしょうができ、地形ちけいえてしまう。上空じょうくうからサンゴ礁さんごしょうのある海域かいいきると、藍色あいいろうみサンゴ礁さんごしょう浅瀬あさせ水色みずいろやエメラルドグリーンにかびがる。

分類ぶんるい

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サンゴ礁さんごしょうはその形態けいたいにより、おおまかにすそ礁、堡礁、環礁かんしょうの3つにけることができる。

海岸かいがんせっして発達はったつしたサンゴ礁さんごしょうすそ礁(きょしょう)という。そと礁(サンゴ礁さんごしょうえん)にかこまれた礁の内部ないぶあさい礁池(しょうち)となり、上空じょうくうからると水色みずいろえる。現在げんざい日本にっぽんサンゴ礁さんごしょうのほとんどがすそ礁である。

そと礁が防波堤ぼうはていのように環状かんじょうしまかこみ、礁としまあいだにややふかい礁湖(しょうこ・ラグーン)があるものを堡礁(ほしょう)という。チュークとう(トラック諸島しょとう)などがれいとしてげられる。堡礁は、中央ちゅうおうしまかこんでいるもの以外いがいに、大陸たいりくかこんでいるものもいう。大陸たいりく中心ちゅうしんかこんでいるので有名ゆうめいなのがオーストラリアグレート・バリア・リーフだい堡礁)である。

礁の中央ちゅうおうしまがなく、環状かんじょうそと礁と礁湖のみがあるものを環礁かんしょう(かんしょう)という。ムルロア環礁かんしょう沖ノ鳥島おきのとりしまなどがれいとしてげられる。

 
サンゴ礁さんごしょう形成けいせいすそ礁-堡礁-環礁かんしょう移行いこうしめすアニメーション

このようなサンゴ礁さんごしょう形態けいたいちがいは、しま沈降ちんこうもしくは海面かいめん上昇じょうしょうによるとかんがえられている。堡礁や環礁かんしょう形成けいせい過程かていについては、すそ礁をかかえるしま地殻ちかく変動へんどう侵食しんしょくにより沈降ちんこうし堡礁や環礁かんしょう変化へんかしたとする沈降ちんこうせつと、最終さいしゅうごおり海水かいすいじゅん変動へんどうによってしょうじたすそ礁が海面かいめん上昇じょうしょうにより堡礁や環礁かんしょう変化へんかしたとする氷河ひょうが制約せいやくせつとがあり、とも一定いってい評価ひょうかている。とく沈降ちんこうせつは、チャールズ・ダーウィンによるもので、現在げんざいではプレートテクトニクス連動れんどうしている。

サンゴ礁さんごしょう隆起りゅうき海面かいめん降下こうかによりしまとなる場合ばあいもある。宮古島みやこじま沖永良部島おきのえらぶしまなどがそのれいで、しま全体ぜんたいてき平坦へいたんかたちとなるのが特徴とくちょうである。また、北大東島きただいとうじま南大東島みなみだいとうじましま中央ちゅうおうへこんでおり、周囲しゅういかこむようにたか部分ぶぶんがある。これは、隆起りゅうきした環礁かんしょうであるとかんがえられている。

また、パラオなどはサンゴ礁さんごしょうないおおきな鍾乳洞しょうにゅうどうがあるが、鍾乳洞しょうにゅうどう陸上りくじょうでなければ形成けいせいされないので、かつてそこは陸上りくじょうだったことになる。これはサンゴ礁さんごしょう海面かいめん降下こうか海面かいめんじょうあらわれ、侵食しんしょくけて鍾乳洞しょうにゅうどうができ、ふたた海面かいめん上昇じょうしょうしたときに海底かいていとなったもので、現在げんざいとうとなっている部分ぶぶん侵食しんしょくされずにのこった部分ぶぶんである。

サンゴ礁さんごしょう構成こうせい化石かせき

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サンゴ礁さんごしょう形成けいせいするのは、かならずしもみやつこ礁サンゴだけではない。ほかにも石灰せっかいしつ骨格こっかくおおきく発達はったつさせるものがあれば、サンゴ礁さんごしょう形成けいせいする要素ようそとなりる。現在げんざいサンゴ礁さんごしょうでは、べにるいである石灰せっかいゆううらないする場所ばしょもある。また、かならずしもサンゴ礁さんごしょう形成けいせいにはかかわらないものの、石灰せっかいしつからつくるため、サンゴ礁さんごしょうでの石灰せっかいしつ蓄積ちくせきかかわるものとして、二枚貝にまいがいるいであるシャコガイや、大型おおがたゆうあなちゅうであるゼニイシホシズナ多数たすう生息せいそくしている。ホシズナはサンゴ礁さんごしょう砂浜すなはま構成こうせい要素ようそとなり、場所ばしょによってはほとんどホシズナだけの砂浜すなはまつかる。化石かせきとしてもサンゴ礁さんごしょう化石かせき古生代こせいだい以降いこう、たびたび出現しゅつげんしている。具体ぐたいてきには、みやつこ礁サンゴ化石かせきふく石灰岩せっかいがんかたちる。

現在げんざいサンゴ礁さんごしょう熱帯ねったい中心ちゅうしんとする、温暖おんだん透明とうめいたかく、あさ海域かいいきにのみ出現しゅつげんする。この理由りゆうは、みやつこ礁サンゴが褐虫という単細胞たんさいぼう藻類そうるい共生きょうせいさせているからである。これはたんなる偶然ぐうぜんや、栄養えいようじょう必要ひつようせいだけではなく、褐虫光合成こうごうせいがあってこそ、サンゴの石灰せっかいしつ骨格こっかくが、これだけの成長せいちょう速度そくど維持いじできるらしいとかんがえられている。ちなみに、シャコガイやホシズナも褐虫共生きょうせいさせている。このことから、過去かこサンゴ礁さんごしょうでもたような状況じょうきょうがあったものとかんがえられる。そこで、サンゴ礁さんごしょう化石かせき場合ばあい、その時代じだいのその場所ばしょは、熱帯ねったい亜熱帯あねったいの、温暖おんだんあさ海域かいいきであったと判断はんだんすることができる。このように、その化石かせき発見はっけんによって、その時代じだいのその場所ばしょ環境かんきょう判断はんだんできる場合ばあい、そのような化石かせきしめせしょう化石かせきとよんでいる。

ただし、サンゴ礁さんごしょう形成けいせい沈降ちんこうせつにもべられているように、しま沈降ちんこう海洋かいようプレートの移動いどうおおきくかかわっている。サンゴ礁さんごしょう形成けいせいされる海域かいいきと、化石かせきとなって発見はっけんされる地点ちてんおおきくわる可能かのうせいや、地層ちそうなかまれて出現しゅつげんする可能かのうせいかんがえなければならない。

サンゴ礁さんごしょう環境かんきょう生物せいぶつ

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外部がいぶ礁斜めん生息せいそくするアオヒトデミドリイシなどのサンゴやハナダイるいえる。写真しゃしん中央ちゅうおうひだりにいるのはオニヒトデではなくウミシダ

礁の外側そとがわきゅうふかくなっており、なみたかいが、そと礁にかこまれた礁池や礁湖は、そと礁がはげしい波浪はろうめる天然てんねん防波堤ぼうはていとなるため、なみおだやかである。サンゴのすきちいさな生物せいぶつかく場所ばしょ都合つごうがよく、それらを捕食ほしょくする大型おおがた動物どうぶつあつまってくる。さらに礁池の内外ないがいには砂浜すなはまアマモもできるので、これらもふくめるとサンゴ礁さんごしょうにはじつ多様たよう環境かんきょうつくられ、おおくの生物せいぶつ生息せいそくすることとなる。サンゴ礁さんごしょう生物せいぶつ多様たようせい観点かんてんからも重要じゅうよう場所ばしょといえよう。

ここではサンゴ礁さんごしょう生息せいそくする生物せいぶつのごく一部いちぶげる。

海岸かいがん

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サンゴ礁さんごしょう付近ふきん岩礁がんしょう海岸かいがん砂浜すなはま石灰せっかいぶんおおふくむので、石灰せっかいぶんおお土壌どじょう適応てきおうした特有とくゆう植物しょくぶつ自生じせいする。草本そうほんではイソフサギクサトベラハママンネングサなど、木本もくほんではオオハマボウアコウなどがげられる。これらの木陰こかげにはオカヤドカリヤシガニなどの動物どうぶつ生息せいそくする。なお、いわのすきウミヘビるいのねぐらや産卵さんらん場所ばしょとなる。

砂浜すなはまではハマヒルガオグンバイヒルガオコウライシバなどが自生じせいし、植物しょくぶつえない波打なみうぎわ付近ふきんにはミナミスナガニツノメガニなどのスナガニるい生息せいそくする。なお、砂浜すなはまウミガメるい産卵さんらん場所ばしょとなる。

礁の内側うちがわ

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なみおだやかな礁の内側うちがわにはおおくの生物せいぶつ生息せいそくする。ふだんは礁の外側そとがわ生息せいそくする大型おおがたぎょが、産卵さんらんえさのために礁の内側うちがわはいってくることもある。

海草かいそうじょう

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礁池ないの、しお下帯したおびあさいところから水深すいしんすうm程度ていどところにかけて、海草かいそう繁茂はんもするじょう各所かくしょ形成けいせいされる。たとえば沖縄おきなわではウミジグサボウアマモウミショウブなどの数種類すうしゅるい海草かいそう生息せいそくしている。じょう様々さまざま小型こがた動物どうぶつ生息せいそくじょうになり、魚類ぎょるい稚魚ちぎょどころとなる。さらにあい藻類そうるい多量たりょう生息せいそくすることで窒素ちっそ固定こていおこなわれるじょうでもあり、サンゴ礁さんごしょうたか生産せいさんりょくささえている。

礁の外側そとがわ

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そと礁をぎると水深すいしんきゅうふかくなる。斜面しゃめんにはおおくのサンゴがえだひろげ、礁の内側うちがわおなじようにしょうさかなもいるが、その周囲しゅういにはキントキダイシマアジフエダイハタなど大型おおがたぎょられ、オニイトマキエイシュモクザメなども姿すがたあらわす。

危険きけん生物せいぶつ

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いろとりどりのサンゴや生物せいぶついろどられたサンゴ礁さんごしょうだが、これらの生物せいぶつにはとげどくをもった生物せいぶつ獰猛どうもう生物せいぶつおおく、なかにはいのちかかわるほどのどくをもつものもいる。

また、食用しょくようぎょにも注意ちゅうい必要ひつようである。フグるいどくはよくられているが、サンゴ礁さんごしょういき生息せいそくするバラハタバラフエダイヒラマサイシダイイシガキダイなどの大型おおがたぎょ藻類そうるい由来ゆらいするシガトキシンというどく体内たいないたくわえる。ちいさな個体こたい危険きけんうすいが、大型おおがた個体こたい食用しょくようにするさい注意ちゅういしなければならない。

サンゴ礁さんごしょう生態せいたいけい

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サンゴ礁さんごしょうはきわめて多様たよう生物せいぶつが、たか密度みつど生息せいそくしている環境かんきょうである。ちょっとのぞいただけでも、いろとりどりのさかな乱舞らんぶするのがられる。いわうえにはナマコるいがゴロゴロしており、また、サンゴの隙間すきま転石てんせきしたても、さまざまな脊椎動物せきついどうぶつることができる。このように多様たよう生物せいぶつたか密度みつど生息せいそくできる理由りゆうとして、いくつかの要因よういんかんがえられる。

  • 年間ねんかんつうじて温暖おんだんであること。熱帯ねったい亜熱帯あねったいの、年間ねんかんつうじて高水たかみずあつし海域かいいきである。一般いっぱんに、寒冷かんれいぶしなどの物理ぶつり化学かがくてき条件じょうけんきびしい時期じきがない環境かんきょうのほうが生物せいぶつ多様たようせいたかい。
  • 海底かいていめるサンゴの骨格こっかくが、非常ひじょう多様たようそこしち足場あしば供給きょうきゅうすること。いたじょうえだじょうのサンゴは、さまざまなおおきさの隙間すきまつくり、そこが大小だいしょうさまざまの生物せいぶつかく提供ていきょうする。また、通常つうじょういわくらべてサンゴの骨格こっかくやわらかいので、さまざまな穿孔せんこうせい生物せいぶつみやすくなっている。また、サンゴ礁さんごしょう全体ぜんたい構造こうぞうもそれをささえている。
  • サンゴ礁さんごしょう透明とうめいたかい、あさうみであるから、太陽たいようひかりつよく、そのことが生態せいたいけい全体ぜんたいささえる生産せいさんりょう裏打うらうちしているともえる。しかしながら、透明とうめいたかいということは、ひん栄養えいようであり、しかもプランクトンすくないことを意味いみし、このことは生産せいさんりょう確保かくほするじょうでは不利ふりてんである。しかも、サンゴ礁さんごしょうでは大型おおがた海藻かいそうがあまりられない。では、サンゴ礁さんごしょうにおける生産せいさんしゃなにかとえば、やはりサンゴである。サンゴは動物どうぶつであるが、体内たいない褐虫共生きょうせいさせているので、実質じっしつてきには生産せいさんしゃとしての役割やくわりをもっている。ただし、サンゴを直接ちょくせつべる動物どうぶつはそれほどおおくない。サンゴの骨格こっかくごとかじりとるブダイるいや、オニヒトデがある程度ていどである。そとに、チョウチョウウオなどもサンゴのポリプなど、軟体をつまむようにべるらしい。それ以外いがいには、サンゴを直接ちょくせつべるものはあまりいない。それではどのように利用りようされているかとえば、サンゴがからだひょうから分泌ぶんぴつする粘液ねんえきがかなり利用りようされているらしい。
  • 生産せいさんしゃによる生産せいさんりょうかんする限定げんてい要因よういんになるものには、光合成こうごうせい直接ちょくせつかかわる要因よういんほかに、窒素ちっそやリンなど、肥料ひりょうぶんりょうがある。このてんでも、サンゴ礁さんごしょうでは、見掛みかじょう、それらの供給きょうきゅうおおいとはおもえない。窒素ちっそについては、礁池のすな表面ひょうめん生息せいそくするあい藻類そうるい窒素ちっそ固定こていおこなっているともいわれている。
  • 魚類ぎょるい種類しゅるい非常ひじょうおおく、チョウチョウウオやブダイるいでは近似きんじしゅ多数たすうあり、それぞれにことなった模様もよう共存きょうぞんしている。視覚しかくてき情報じょうほうたね見分みわけているともわれる。
  • また、サンゴの隙間すきまにも、さまざまな小型こがた脊椎動物せきついどうぶつ生息せいそくしている。そのなかにはサンゴと共生きょうせいしているものもられる。
  • サンゴ礁さんごしょうさかな一般いっぱんにハデな色彩しきさいをしている。本川ほんがわ達雄たつおによれば、かぎられた空間くうかんであるサンゴ礁さんごしょうには、様々さまざま種類しゅるいがひしめきっており、みず透明とうめいで、ハデないろさかな同士どうしのコミュニケーションの手段しゅだんであり、そのなかから自分じぶん仲間なかま配偶はいぐうしゃ識別しきべつしなければならないからという。

サンゴ礁さんごしょう危機きき

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赤土あかつち流出りゅうしゅつ

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りくでのらん開発かいはつとうにより、陸上りくじょう土壌どじょううみながむと、みずにごり、サンゴにひかりたらなくなるだけでなく、それが沈殿ちんでんするとサンゴの表面ひょうめんどろまり、そのためにサンゴが窒息ちっそくする場合ばあいもある。そのため、りくがわ貯水池ちょすいちつくり、泥土でいど沈殿ちんでんさせて除去じょきょするひとし対策たいさくおこなわれている。しかし、熱帯ねったい亜熱帯あねったい土壌どじょう特有とくゆうラテライト赤土あかつち)には、沈殿ちんでんしにくいごく微小びしょう粘土ねんど粒子りゅうし多量たりょうふくまれ、豪雨ごううなどは容易よういうみ流出りゅうしゅつする。そのため、広範囲こうはんいサンゴ礁さんごしょう破壊はかい原因げんいんとなっている。

褐虫がサンゴからけてしまうと、サンゴからいろけ、石灰せっかいしつから骨格こっかくしろいろばかりが目立めだつようになる。これをサンゴのしろしろ現象げんしょう)という。しろもともど場合ばあいもあるが、ながつづくとやがてサンゴのポリプも死滅しめつしてしまう。しろ現象げんしょう自体じたい古来こらいからられていたが、近年きんねんだい規模きぼこる傾向けいこうがある。

しろ現象げんしょう温度おんど閾値は30℃程度ていどで、海水温かいすいおんが30℃以上いじょうで褐虫活性かっせい酸素さんそしてしろきる[2][3]

2016年度ねんど環境省かんきょうしょう調査ちょうさでは、しろが100%から90%の地域ちいきられる[4]。2018年度ねんどサイエンス掲載けいさいされた論文ろんぶん "Spatial and temporal patterns of mass bleaching of corals in the Anthropocene"での世界せかい100カ所かしょの1980ねんから2016年間ねんかん調査ちょうさ結果けっかでも、地球ちきゅう温暖おんだんによってしろ期間きかんからの回復かいふく期間きかんみじか回復かいふくむずかしくなっている現状げんじょう報告ほうこくされた[5][6]

原因げんいん

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とみ栄養えいよう
サンゴ礁さんごしょうはもともと外洋がいようめんしており、光合成こうごうせい必要ひつよう無機むき塩類えんるいとぼしい環境かんきょうなので、海藻かいそう植物しょくぶつプランクトンすくない。サンゴの体内たいないの褐虫はライバルのすくない環境かんきょうで、サンゴが老廃ろうはいぶつ利用りようして光合成こうごうせいおこない、ひいては宿主しゅくしゅのサンゴもやしなうことができる。
うみとみ栄養えいようすると、海中かいちゅうただよ植物しょくぶつプランクトンのほう光合成こうごうせい有利ゆうりになるため、植物しょくぶつプランクトンの増殖ぞうしょくにより海水かいすい透明とうめい低下ていか、褐虫生存せいぞんできなくなる。
水温すいおん上昇じょうしょう
そのにも水温すいおん上昇じょうしょうなどにより、褐虫がサンゴの組織そしきない保持ほじできなくなる場合ばあいがある[5]。この場合ばあいのメカニズムは、とみ栄養えいようした海水かいすいちゅう水温すいおんたかくなると褐虫光合成こうごうせい活性かっせいいちじるしく上昇じょうしょうし、炭酸たんさん同化どうか使つかいきれないほどのひかりエネルギーを吸収きゅうしゅう、これが活性かっせい酸素さんそ大量たいりょう発生はっせいさせてサンゴのからだ組織そしき損傷そんしょう、褐虫排出はいしゅついたるとかんがえられている。
その
日焼ひやめにふくまれるパラベンなどの成分せいぶんがねとなりてい濃度のうどでもサンゴのしろ誘発ゆうはつすることがたしかめられており、また、あい有害ゆうがいなウイルスの増殖ぞうしょく誘発ゆうはつ同時どうじ確認かくにんされている[7]
マイクロプラスチックんだサンゴは、褐虫との共生きょうせい上手うまくいかないという研究けんきゅう結果けっかもある[8]

生物せいぶつによるサンゴ礁さんごしょう破壊はかい

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オニヒトデ
世界せかい各地かくちサンゴ礁さんごしょうオニヒトデによるみやつこ礁サンゴ食害しょくがい問題もんだいとなっている。オニヒトデは大型おおがたで、どくとげ全身ぜんしんえているため、駆除くじょむずかしい。オニヒトデの天敵てんてきみやつこ礁サンゴで、オニヒトデ浮遊ふゆう幼生ようせいみやつこ礁サンゴポリプがべて相互そうご天敵てんてき関係かんけいとなる。ホラガイがオニヒトデの天敵てんてきであるというせつがあるが、ナマコやウニなども捕食ほしょくするほか1個いっこのオニヒトデを消化しょうかするのに1週間しゅうかんかかるとわれており、だい発生はっせいしたオニヒトデのまえでは天敵てんてきとなりない。しかもホラガイのじつはおいしくて食用しょくよう利用りようされ、貝殻かいがらもきれいなので高価こうか取引とりひきされ、これらがホラかい減少げんしょうまねいている事実じじつもある。ホラガイの種苗しゅびょう生産せいさん技術ぎじゅつ確立かくりつしていない。
サンゴしょく巻貝まきがいるい
シロレイシガイダマシぞく貝類かいるいによる食害しょくがいが、場所ばしょによってはオニヒトデ以上いじょう被害ひがい[9]
テルピオス
テルピオスぞく海綿かいめんサンゴ礁さんごしょうおお窒息ちっそくさせることがある[9]

人災じんさい

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青酸せいさんカリ
ダイバーにとって一種いっしゅあこがれであるメガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)は、高級こうきゅう食材しょくざいとしても有名ゆうめいである。これを漁獲ぎょかくするためにシアン化カリウムしあんかかりうむ青酸せいさんカリ)を使用しようする漁業ぎょぎょうしゃがおり、そのためにインドネシアなどのサンゴ礁さんごしょうはぼろぼろになっている。
ばくだん漁法ぎょほう
ダイナマイト使つかさかなころしてがらせる漁法ぎょほうダイナマイトりょう)は通常つうじょう漁法ぎょほうよりも漁獲ぎょかくりょうおおいために世界せかい各地かくちおこなわれているが、サンゴ礁さんごしょうをひどく破壊はかいづくり礁サンゴを死滅しめつさせるおそれもある。
日焼ひやとうのスキンケア製品せいひん
日焼ひやなどのスキンケア製品せいひんふくまれる成分せいぶんサンゴ礁さんごしょう有害ゆうがいであるとして、ハワイ[10][11]パラオ共和国ぱらおきょうわこく[12]タイ王国おうこく[13]などで有害ゆうがい物質ぶっしつふくむものが禁止きんしされている。
おも禁止きんしされている化学かがく物質ぶっしつは、オキシベンゾンメトキシケイがわさんエチルヘキシル(別名べつめい:オクチノキサート)で、そのにブチルパラベン、メチルベンジリデンカンファなどである。

世界せかいサンゴ礁さんごしょう状況じょうきょう

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2012ねんにおけるサンゴ礁さんごしょう状況じょうきょう以下いかとおりである[14]

地域ちいき そう面積めんせき(せんkm2) 危機ききにある面積めんせき(%)
中東ちゅうとう 14.4 65
大西おおにしひろし 25.8 75
インド洋いんどよう 31.5 66
東南とうなんアジア 69.6 94
太平洋たいへいよう 66.0 48
オーストラリア 42.3 14
(モルディブ) 5.3 38
(フィリピン) 22.5 98
(ハワイ) 3.8 17
世界せかいけい 249.7 61

サンゴの移植いしょく植付うえつ

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映像えいぞうでのメッセージや植付うえつ本数ほんすう面積めんせきなどで広報こうほうしやすいことから、おおくの企業きぎょう環境かんきょう保護ほご活動かつどう環境かんきょう教育きょういくイベントとして、サンゴの移植いしょく植付うえつけをおこなっている。しかし、科学かがくてきには移植いしょくした海域かいいき環境かんきょう条件じょうけんがサンゴの育成いくせいにとってこのましくなければ、結局けっきょくそのサンゴは死滅しめつしてしまうこと、おやサンゴ(ドナー)を損傷そんしょうするおそれがあることなどから、日本にっぽんサンゴ礁さんごしょう学会がっかいではサンゴの移植いしょく奨励しょうれいしていない。

2004ねん11月、日本にっぽんサンゴ礁さんごしょう学会がっかいは「みやつこ礁サンゴの移植いしょくかんしてのガイドライン」を発表はっぴょうした[15]

サンゴ礁さんごしょう調査ちょうさ・モニタリング活動かつどう

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  • リーフチェック (Reef Check) - ダイバーによる世界せかい各地かくちおこなわれているサンゴ礁さんごしょう調査ちょうさ
  • コーラルウォッチ (CoralWatch) - サンゴに損傷そんしょうあたえずにしろ現象げんしょう監視かんしし、サンゴの健康けんこう状態じょうたい判定はんてい
  • モニタリングサイト1000(重要じゅうよう生態せいたいけい監視かんし地域ちいきモニタリング推進すいしん事業じぎょう[16] - 環境省かんきょうしょう自然しぜん環境かんきょうきょく生物せいぶつ多様たようせいセンター

サンゴ礁さんごしょう保全ほぜん活動かつどうんでいるおも日本にっぽん企業きぎょう

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 日本にっぽんサンゴ礁さんごしょう学会がっかい公式こうしきサイト : サンゴ礁さんごしょうQ&A”. www.jcrs.jp. 2023ねん12月4にち閲覧えつらん。 “「サンゴ」がその石灰せっかいしつ骨格こっかくかさねて海面かいめんちかくまでたかまりをつく地形ちけいを「サンゴ礁さんごしょう」といいます。”
  2. ^ The race to build climate-resilient coral reefs”. www.bbc.com. 2024ねん2がつ5にち閲覧えつらん
  3. ^ CORAL BLEACHING – A REVIEW OF THE CAUSES AND CONSEQUENCES”. 2009ねん12月29にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2024ねん6がつ3にち閲覧えつらん
  4. ^ モニタリングサイト1000サンゴ礁さんごしょう調査ちょうさ平成へいせい28年度ねんど調査ちょうさ結果けっか速報そくほう)について環境省かんきょうしょう
  5. ^ a b Coral reefs head for 'knock-out punch'(BBC)
  6. ^ Spatial and temporal patterns of mass bleaching of corals in the Anthropocene Hughes, T. P. et al. Science 2018, Vol.359, pp. 80–83.
  7. ^ 日焼ひやめでサンゴがしろ 大学だいがく実験じっけん確認かくにん
  8. ^ Microplastics disturb the anthozoan-algae symbiotic relationship Nami Okubo, Shunichi Takahashi, Yoshikatsu Nakano Marine Pollution Bulletin 2018, Vol. 135, pp. 83–89.
  9. ^ a b サンゴ食害しょくがい生物せいぶつ ちょ横地よこち洋之ひろゆき 公開こうかい環境省かんきょうしょう
  10. ^ S.B. NO. 2571 ハワイしゅう政府せいふ
  11. ^ べいハワイしゅう、サンゴに有害ゆうがい日焼ひや禁止きんし BBC 更新こうしん:2018ねん5がつ4にち
  12. ^ Responsible Tourism Education Act パラオ共和国ぱらおきょうわこく
  13. ^ Thailand bans coral-damaging sunscreens in marine parks BBC 更新こうしん:2021ねん8がつ5にち
  14. ^ 地理ちり 統計とうけい要覧ようらん 2014年版ねんばん ISBN 978-4-8176-0382-1 P,146
  15. ^ http://www.jcrs.jp/old/information/ishoku-guideline.pdf
  16. ^ モニタリングサイト1000
  17. ^ 今度こんどの『わたし青空あおぞら環境かんきょう貢献こうけん活動かつどうサンゴ礁さんごしょう再生さいせい!〜沖縄おきなわけん恩納おんなむらとの官民かんみん共同きょうどううみよみがえらせます〜
  18. ^ サンゴ礁さんごしょう保全ほぜんプロジェクト
  19. ^ 社会しゃかい貢献こうけん事業じぎょうサンゴ礁さんごしょう保全ほぜんプロジェクト」について
  20. ^ 雪肌精せっきすい「SAVE the BLUE」キャンペーン2ねん 化粧水けしょうすい乳液にゅうえき購入こうにゅうでボトルの底面ていめん積分せきぶん、サンゴのもりひろげます

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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