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ブランデー - Wikipedia

ブランデー

果実かじつしゅからつくった蒸留酒じょうりゅうしゅ

ブランデー(ブランディ、えい: brandy)は、果実かじつしゅからつくった蒸留酒じょうりゅうしゅ総称そうしょう語源ごげんオランダの「いたワイン」を意味いみする brandewijn から。明治めいじ時代じだい辞書じしょ袖珍しゅうちんどくしんりん』によれば「葡萄ぶどう地酒じざけ」とやくされている。漢字かんじで「やめらん[1]」「はくらん[2]」ともててかれた。

ブランデーグラスそそがれたブランデー

おもしろブドウのワインを蒸留じょうりゅうしてたるれ、熟成じゅくせいして製造せいぞうする(熟成じゅくせい期間きかんは5 - 8ねん種類しゅるいによっては25ねん以上いじょう熟成じゅくせいさせる。熟成じゅくせいさせすぎたものはあたらしいものとブレンドして若返わかがえらせる場合ばあいもある[3])。たんにブランデーとった場合ばあい通常つうじょうブドウ原料げんりょうワイン蒸留じょうりゅうしてつくられたものをすが、リンゴからつくったアップル・ブランデーサクランボからつくったチェリー・ブランデー存在そんざいする。アルコール度数どすうは40じゃくから50程度ていどである。

ノルウェーbrandeviinいたワイン」の)とばれていたものが、オランダbrandewijn[brɑndəwɛin] ブランダウェイン)となり、これが英語えいごbrandy-wine になり、いつしか wine がれ brandy([ˈbrændi] ブランディ)となってひろまったものである。

なお現代げんだいフランス語ふらんすごでは、ブランデーを eau-de-vie([odvi] オドヴィ「オー・ド・ヴィー」)とぶ。これは語義ごぎどおりに解釈かいしゃくすれば「いのちみず」で、語源ごげんまでさかのぼれば英語えいご whisky(ウィスキー) やspirits(スピリッツ)なども同様どうようである。

7~8世紀せいきごろより、スペインでワインを蒸留じょうりゅうしていたとわれる。15世紀せいきには、フランスアルマニャック地方ちほうコニャック地方ちほう生産せいさんはじまり、この地方ちほうのブランデーは現代げんだいでは世界せかいてきられている。1713ねんにはルイ14せいがフランスのブランデーを保護ほごする法律ほうりつつくった。それ以後いご、ヨーロッパ各国かっこく宮廷きゅうていれられ、「王侯おうこうさけ」の地位ちいていった。

19世紀せいき後半こうはん、アメリカから購入こうにゅうしたなえ付着ふちゃくしていたフィロキセラ(ブドウネアブラムシ)が、ヨーロッパブドウ(ヴィニフェラしゅ)に壊滅かいめつてき被害ひがいをもたらし、ブランデーの生産せいさん激減げきげんした(19世紀せいきフランスのフィロキセラ)。その代替だいたいとして、イギリスの上流じょうりゅう中産ちゅうさん階級かいきゅうスコッチ・ウイスキーまれるようになった[4]

ワインの生産せいさんこくはいずれもブランデーを生産せいさんしているが、なかでもワイン製造せいぞうさかんなフランスはブランデー生産せいさんこくとしても有名ゆうめいである。とくに「コニャック」や「アルマニャック」は、原産地げんさんち呼称こしょう保護ほごするアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ認証にんしょうけており、1909ねん以降いこう名称めいしょう使用しよう法律ほうりつきびしく制限せいげんされている。たとえフランスさんであっても、認証にんしょうのないものはコニャックやアルマニャックとしょうしてはならず、「フレンチブランデー」とされる[ちゅう 1]

世界せかいてきこと有名ゆうめいなブランドとしてレミーマルタンヘネシーマーテルクルボアジェがある。

2020年代ねんだいにおいて、ブランデーの世界せかい最大手さいおおて企業きぎょうは、M&Aにより複数ふくすうのブランドを傘下さんかおさめたフィリピン企業きぎょうエンペラドールである[5]

日本にっぽんにおいてブランデーの製造せいぞうほうられるようになったのはすくなくとも19世紀せいきまつで、オランダ留学りゅうがくから帰国きこくした榎本えのもと武揚ぶよう親族しんぞくにその製造せいぞうほう記述きじゅつしてつたえている[6]。その本格ほんかくてきつくられはじめたのは1950年代ねんだいからである[7]日本にっぽん国内こくない製造せいぞうしている主要しゅよう企業きぎょうには、サントリー[ちゅう 2]ニッカウヰスキー[ちゅう 3]麒麟麦酒きりんびーる代目だいめ以下いかキリン)[ちゅう 4]などがある。

かた

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ブランデーグラス

かたとしてもっとられているのは、ストレートである。ブランデーグラス[ちゅう 5]に、室温しつおんのブランデーを少量しょうりょうれて、かおりとともにあじわう。適度てきど温度おんどがるとかおりがつので、グラスのそこのひらでつつむようにしてらし、体温たいおんあたためながらあじわうのがいとされる。ただし、体温たいおんあたためるのはブランデーの品質ひんしつひくく、かおりがよわかった時代じだい名残なごりであり、現在げんざいのブランデーはあたためる必要ひつようがないともわれる。

また、最初さいしょにごく少量しょうりょうのブランデーをそそいでグラスの内側うちがわうすらすようにしてからマッチでアルコールをばし、そこにあらためて少量しょうりょうのブランデーをそそいで方法ほうほうがあるが、これはあくまでたのしませる演出えんしゅつ一種いっしゅかんがえてよい。

オン・ザ・ロックなどやしてむのはかおりがたないため推奨すいしょうされない。とくに、上質じょうしつのブランデーにこおりれる行為こういは、あじからないひとがやることだとられることがある。水割みずわは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは一般いっぱんてきおこなわれ、とくに、さけよわ女性じょせいなどが水割みずわりで傾向けいこうがあり、ウイスキー水割みずわりよりも上品じょうひんものとされる。フランスをはじめとするヨーロッパやロシアなどでは、基本きほんてきみずうすめて習慣しゅうかんい。また、ヨーロッパでは、ブランデーにかぎらず、上質じょうしつ蒸留酒じょうりゅうしゅをストレートで、安物やすもの蒸留酒じょうりゅうしゅをソーダりもしくはカクテルに使つかうため、ブランデーのソーダりは一般いっぱんてきでない。これにたいして、英国えいこくではブランデーのソーダりが王侯おうこう貴族きぞく知識ちしきじんたしなみとしてこのまれた。

調理ちょうり加工かこうひん

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ブランデーはステーキなどにく料理りょうりフランベにも使つかわれるほか、洋菓子ようがしかおけに使つかわれる。また、サラミ加工かこう段階だんかいでブランデーをくわえ、風味ふうみづけや殺菌さっきんほか乳酸にゅうさん発酵はっこううながしてpHげる[8]用途ようと使つかわれることもある。 香料こうりょうとしてブランデーをくわえた洋菓子ようがしとうなかには、アルコール成分せいぶんのこるものもあるため、20さい未満みまんものにん食用しょくよう自動車じどうしゃふく機械きかい運転うんてんするまえなどには注意ちゅういようする。 また、コーヒーかたカフェ・ロワイヤルでももちいられる。

熟成じゅくせい年数ねんすうあらわ符号ふごう

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ブランデーでは、ブレンドした原酒げんしゅちゅうもっとふるいものの熟成じゅくせい年数ねんすうあらわ符号ふごう一般いっぱんもちいられている。ただし、これは製造せいぞうこく製造元せいぞうもとコニャックアルマニャックひとし特定とくてい名称めいしょうによってことなる。

出典しゅってんにより熟成じゅくせい年数ねんすう表示ひょうじ様々さまざまで、ブレンドしたあたらしいさけ熟成じゅくせい年数ねんすうにもよるため、参考さんこうとして記述きじゅつ小泉こいずみ武夫たけお 講談社こうだんしゃ現代新書げんだいしんしょさけはなし』p.72による)。

1つほし
3 - 4ねん熟成じゅくせいさせたブランデー[3]
2つほし
5 - 6ねん熟成じゅくせいさせたブランデー[3]
3つほし
7 - 10ねん熟成じゅくせいさせたブランデー[3]。コニャック・アルマニャックの場合ばあいは、蒸留じょうりゅう最低さいていでも3ねん原酒げんしゅ使用しようしたものだけが表示ひょうじ可能かのう
VO
very old (とてもふるいブランデー)。11 - 15ねん熟成じゅくせいさせたもの[3]
VSO
very superior old (とてもすぐれたふるいブランデー)。16 - 20ねん熟成じゅくせいさせたもの[3]
VSOP
very superior old pale (とてもすぐれたふるんだブランデー)。20 - 30ねん熟成じゅくせいさせたもの[3]
コニャック・アルマニャックの場合ばあいは、蒸留じょうりゅう最低さいていでも5ねん原酒げんしゅ使用しようしたものだけが表示ひょうじ可能かのう
それ以上いじょうのグレードになると、通常つうじょう下記かき称号しょうごうあたえられており、等級とうきゅうべつ価格かかくがさらにがっていく。
VVSOP
very very superior old pale (とてもとてもすぐれたふるんだブランデー)
ナポレオンクラス - XOクラス - エクストラクラス
44 - 45ねん(XO)、70ねん(エクストラ)熟成じゅくせいさせたブランデー[3]。extra old(特別とくべつふるいブランデー)。
コニャック・アルマニャックの場合ばあい蒸留じょうりゅう最低さいていでも7ねん原酒げんしゅ使用しようしたもののみ表示ひょうじ可能かのう

コニャックやアルマニャックの場合ばあい、これらの称号しょうごう原酒げんしゅ一定いってい時間じかん熟成じゅくせいされていなければ名乗なのることは出来できないよう全国ぜんこくコニャック事務じむきょく(BNIC)や全国ぜんこくアルマニャック事務じむきょく(BNIA)においてきびしく規制きせいされているが、それ以外いがいのブランデーについてはラベル表示ひょうじかんしてなん規制きせいはない。このため、おなじナポレオンと名乗なのっていてもメーカーによっては価格かかくに10ばい以上いじょうひらきがあり、品質ひんしつ雲泥うんでいがある。たいてい無名むめいのブランドのナポレオンとうは2000えん前後ぜんこうはこしや粗末そまつびんはいってられている場合ばあいおおいが、これらのおおくは上記じょうき規制きせいのないフレンチブランデーであり、かならずしも長期ちょうき熟成じゅくせいたものではないので注意ちゅうい必要ひつようである。そうじて高級こうきゅうひんほどびんはこ贅沢ぜいたくにできており、あじもスムーズである。プレミアムコニャックの場合ばあい5まんえん以上いじょうして、すうじゅうねん熟成じゅくせいされたものもある。

コニャック・アルマニャックがフランスのさけにもかかわらず等級とうきゅうめい英語えいごであるのは、過去かこの、とくに18世紀せいきの、重要じゅうよう輸出ゆしゅつ相手あいてこくがイギリスであったことによる。

種類しゅるい

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葡萄ぶどうおも原料げんりょうとするもの

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葡萄ぶどう以外いがいおも原料げんりょうとするもの

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ ロシアでは「コニャック(КОНЯК)」がブランデーすべてを単語たんごであるが、フランスはロシアに「ブランデー(БРАНДИ)」をもちいるようもとめている。
  2. ^ サントリーせい製造せいぞうサントリースピリッツが、販売はんばい酒類しゅるい販売はんばい事業じぎょう会社かいしゃサントリー酒類しゅるい代目だいめ)がおこなっている。
  3. ^ ニッカウヰスキーせい販売はんばいは、機能きのう親会社おやがいしゃアサヒビールおこなっている。
  4. ^ キリンせい製造せいぞう機能きのう子会社こがいしゃキリンディスティラリーおこなっている。
  5. ^ チューリップがたのグラス。グラスのした部分ぶぶんのひらにせるようにしてようつくられている。これは、のひらの温度おんどでブランデーをあたため、かおりをたせるためである。また、くちがすぼまっているのはかおりをなかめ、拡散かくさんするのをふせぐためである。あしいたもの一般いっぱんてきだが、あしのないものもある。

出典しゅってん

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  1. ^ 村田むらた文夫ふみお洋語ようご音訳おんやく筌』(山城やましろ兵衛ひょうえ、1872ねん
  2. ^ 実用じつようしん辞典じてん : 発音はつおんすう』 - 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション
  3. ^ a b c d e f g h 小泉こいずみ武夫たけおさけはなし講談社こうだんしゃ講談社こうだんしゃ現代新書げんだいしんしょ〉、1991ねん5がつ17にちISBN 4-06-145676-8 
  4. ^ 土屋つちやまもる (2008-8), スコッチウィスキー紀行きこう, 東京書籍とうきょうしょせき, pp. 14-15, ISBN 4-487-80313-6 
  5. ^ 「フィリピン蒸留酒じょうりゅうしゅ 買収ばいしゅう攻勢こうせい/ブランデー世界せかい首位しゅい日本経済新聞にほんけいざいしんぶん』2022ねん4がつ7にちアジアBizめん同日どうじつ閲覧えつらん
  6. ^ 日本にっぽん歴史れきし研究けんきゅうはん へん大人おとな常識じょうしききたえる!!日本にっぽん歴史れきしりょく検定けんていリイドしゃ、2007ねん、197-198ぺーじISBN 978-4-8458-3230-9 
  7. ^ 渡辺わたなべ達也たつや (2018ねん2がつ19にち). “かも芳醇ほうじゅんかおり” (日本語にほんご). 読売新聞よみうりしんぶん (東京とうきょう): p. 15 
  8. ^ ハム・ソーセージのちょっとむずかしいはなし - ほりほりのハム・ソーセージうんちくばなし播州ばんしゅうハム工業こうぎょうしょHP、アーカイブ)2016ねん7がつ19にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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