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ツリウム - Wikipedia

ツリウム

原子げんし番号ばんごう69の元素げんそ

ツリウム (えい: thulium θしーたjuːliəm]) は原子げんし番号ばんごう69の元素げんそ元素げんそ記号きごうTmランタノイド系列けいれつの13番目ばんめ元素げんそである。のランタノイドと同様どうように、もっとも一般いっぱんてき酸化さんかすうは+3であり、酸化さんかぶつ、ハロゲン化物ばけものなどの化合かごうぶつられる。ただし、系列けいれつ後半こうはんであるため、+2の酸化さんかすう結果けっかしょうじるほぼ完全かんぜんな4fからによっても安定あんていされる。水溶液すいようえきちゅうでは、ほかの後半こうはんのランタノイドの化合かごうぶつ同様どうように、可溶性かようせいのツリウム化合かごうぶつは9つの水分すいぶん錯体さくたい形成けいせいする。

エルビウム ツリウム イッテルビウム
-

Tm

Md
外見がいけん
ぎん白色はくしょく
一般いっぱん特性とくせい
名称めいしょう, 記号きごう, 番号ばんごう ツリウム, Tm, 69
分類ぶんるい ランタノイド
ぞく, 周期しゅうき, ブロック n/a, 6, f
原子げんしりょう 168.93421
電子でんし配置はいち [Xe] 4f13 6s2
電子でんしから 2, 8, 18, 31, 8, 2(画像がぞう
物理ぶつり特性とくせい
そう 固体こたい
密度みつど室温しつおん付近ふきん 9.32 g/cm3
融点ゆうてんでの液体えきたい密度みつど 8.56 g/cm3
融点ゆうてん 1818 K, 1545 °C, 2813 °F
沸点ふってん 2223 K, 1950 °C, 3542 °F
融解ゆうかいねつ 16.84 kJ/mol
蒸発じょうはつねつ 247 kJ/mol
熱容量ねつようりょう (25 °C) 27.03 J/(mol·K)
蒸気じょうきあつ
圧力あつりょく (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度おんど (K) 1117 1235 1381 1570 (1821) (2217)
原子げんし特性とくせい
酸化さんかすう 2, 3, 4(じゃく塩基えんきせい酸化さんかぶつ
電気でんき陰性いんせい 1.25(ポーリングの
イオン化いおんかエネルギー だい1: 596.7 kJ/mol
だい2: 1160 kJ/mol
だい3: 2285 kJ/mol
原子げんし半径はんけい 176 pm
共有きょうゆう結合けつごう半径はんけい 190 ± 10 pm
その
結晶けっしょう構造こうぞう 六方ろっぽうあきらけい
磁性じせい つね磁性じせい (300 K)
電気でんき抵抗ていこうりつ (r.t.) (poly) 676 nΩおめが⋅m
ねつ伝導でんどうりつ (300 K) 16.9 W/(m⋅K)
ねつ膨張ぼうちょうりつ (r.t.) (poly) 13.3 μみゅーm/(m⋅K)
ヤングりつ 74.0 GPa
剛性ごうせいりつ 30.5 GPa
体積たいせき弾性だんせいりつ 44.5 GPa
ポアソン 0.213
ビッカース硬度こうど 520 MPa
ブリネル硬度こうど 471 MPa
CAS登録とうろく番号ばんごう 7440-30-4
おも同位どういたい
詳細しょうさいツリウムの同位どういたい参照さんしょう
同位どういたい NA 半減はんげん DM DE (MeV) DP
167Tm syn 9.25 d εいぷしろん 0.748 167Er
168Tm syn 93.1 d εいぷしろん 1.679 168Er
169Tm 100 % 中性子ちゅうせいし100安定あんてい
170Tm syn 128.6 d βべーた- 0.968 170Yb
171Tm syn 1.92 y βべーた- 0.096 171Yb

1879ねん、スウェーデンの化学かがくしゃペール・テオドール・クレーベ希土類きどるい酸化さんかぶつであるエルビアからそれまでられていなかった2つの成分せいぶん分離ぶんりし、これをホルミアツリアんだ。これらはそれぞれホルミウムとツリウムの酸化さんかぶつである。ツリウム金属きんぞく比較的ひかくてき純粋じゅんすい試料しりょうは、1911ねんはじめてられた。

地球ちきゅうじょう微量びりょうにしかられない放射能ほうしゃのうてき不安定ふあんていプロメチウムいで、ランタノイドで2番目ばんめすくない元素げんそである。加工かこう簡単かんたん金属きんぞくで、あかるく銀灰色ぎんかいしょく光沢こうたくがある。かなりやわらかく空気くうきちゅうでゆっくりと変色へんしょくする。高価こうか希少きしょうであるにもかかわらず、はこびできるXせん装置そうち一部いちぶ固体こたいレーザー放射線ほうしゃせんげんとして使用しようされている。生物せいぶつがくてき重要じゅうよう役割やくわりはなく、とく毒性どくせいはない。

ツリウムは1879ねんにスウェーデンの化学かがくしゃペール・テオドール・クレーベにより、希土類きどるい元素げんそ酸化さんかぶつふくまれる不純物ふじゅんぶつさがすことで発見はっけんされた(この方法ほうほうはこのとき以前いぜんにいくつかの希土類きどるい元素げんそ発見はっけんするためにカール・グスタフ・モサンデル使用しようした方法ほうほうおなじであった)[1]。クレーベは、エルビア(Er2O3)の混合こんごうぶつのうちられているものをすべてのぞくことからはじめた。追加ついか処理しょりにより、茶色ちゃいろ緑色みどりいろの2つのあらたな物質ぶっしつた。茶色ちゃいろ物質ぶっしつホルミウム酸化さんかぶつであり、クレーベによりホルミアとばれた。みどり物質ぶっしつ未知みち元素げんそ酸化さんかぶつであり、この酸化さんかぶつツリアんだ。元素げんそめいであるツリウムは、スカンジナビアまたはアイスランド関連かんれんする古代こだいギリシア地名ちめいであるトゥーレにちなんで命名めいめいされた。ツリウムの元素げんそ記号きごうはTuであったが、Tmに変更へんこうされた[2][3][4][5][6][7][8]

ツリウムは非常ひじょうめずらしかったため、初期しょき研究けんきゅうしゃ実際じっさい緑色みどりいろるのに十分じゅうぶんりょう精製せいせいすることができなかった。エルビウムが次第しだいのぞかれるにつれて、2つの特徴とくちょうてき吸収きゅうしゅうたい強度きょうどつよくなるのを分光ぶんこうてき観察かんさつするのにあまんじるしかなかった。ほぼ純粋じゅんすいなツリウムを最初さいしょ研究けんきゅうしゃは、ダーラムニューハンプシャー大学だいがくだい規模きぼ研究けんきゅうおこなったチャールズ・ジェームス英語えいごばんであった。かれは1911ねん自身じしん発見はっけんした臭素しゅうそさん分別ふんべつさい結晶けっしょうほう使用しようして精製せいせいおこなった結果けっか報告ほうこくした。材料ざいりょう均質きんしつであることを確立かくりつするために15,000かい精製せいせい操作そうさ必要ひつようとした[9]

こう純度じゅんど酸化さんかツリウムは、イオン交換こうかん分離ぶんり技術ぎじゅつ採用さいようされて1950年代ねんだい後半こうはんはじめて商業しょうぎょうてき提供ていきょうされた。American Potash & Chemical CorporationのLindsay Chemical Divisionは純度じゅんど99%と99.9%の酸化さんかツリウムを提供ていきょうしていた。純度じゅんど99.9%の1キログラムあたりの価格かかくは1959ねんから1998ねんまでで4,600あめりかドルから13,300あめりかドルのあいだ推移すいいし、ランタノイドなかではルテチウムいで2番目ばんめたかかった[10][11]

性質せいしつ

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物理ぶつりてき性質せいしつ

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純粋じゅんすいなツリウム金属きんぞくあかるく銀色ぎんいろ光沢こうたくがあり、空気くうきにさらされると変色へんしょくする。モース硬度こうどが2から3であるため、ナイフでることができる[2]展性てんせい延性えんせいがある[12]。32 Kではつよ磁性じせい、32~56 Kでははんつよし磁性じせい、56 K以上いじょうではつね磁性じせいである[13]

2つのおも同素体どうそたい正方まさかたあきらαあるふぁ-Tmとより安定あんてい六方ろっぽうあきらβべーた-Tmがある[12]

化学かがくてき性質せいしつ

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ツリウムは空気くうきちゅうでゆっくりと変色へんしょくし、150 °C容易ようい燃焼ねんしょうして酸化さんかツリウム(III)形成けいせいする:

4 Tm + 3 O2 → 2 Tm2O3

かなり電気でんき陽性ようせいであり、冷水れいすいとはゆっくり、温水おんすいとはかなりはや反応はんのうして水酸化すいさんかツリウムを形成けいせいする:

2 Tm (s) + 6 H2O (l) → 2 Tm(OH)3 (aq) + 3 H2 (g)

ツリウムはすべてのハロゲン反応はんのうする。反応はんのう室温しつおんおそいが、200 °Cをえるとはげしくなる。:

2 Tm (s) + 3 F2 (g) → 2 TmF3 (s) (しろ)
2 Tm (s) + 3 Cl2 (g) → 2 TmCl3 (s) ()
2 Tm (s) + 3 Br2 (g) → 2 TmBr3 (s) (しろ)
2 Tm (s) + 3 I2 (g) → 2 TmI3 (s) ()

ツリウムは、まれ硫酸りゅうさん容易ようい溶解ようかいし、[Tm(OH2)9]3+錯体さくたいとして存在そんざいするあわ緑色みどりいろのTm(III)イオンをふく溶液ようえき形成けいせいする[14]

2 Tm (s) + 3 H2SO4 (aq) → 2 Tm3+ (aq) + 3 SO2−
4
(aq) + 3 H2 (g)

ツリウムは様々さまざま金属きんぞくおよび非金属ひきんぞく元素げんそ反応はんのう様々さまざまもと化合かごうぶつ形成けいせいする。たとえばTmN, TmS, TmC2, Tm2C3, TmH2, TmH3, TmSi2, TmGe3, TmB4, TmB6, TmB12である[よう出典しゅってん]。これらの化合かごうぶつではツリウムは原子げんし状態じょうたい+2および+3をしめすが、+3の状態じょうたいもっと一般いっぱんてきであり、この状態じょうたいのみがツリウム溶液ようえき観察かんさつされている[15]。ツリウムは溶液ようえきちゅうでTm3+イオンとして存在そんざいする。この状態じょうたいではツリウムイオンは9水分すいぶんかこまれている[2]。Tm3+イオンはあかるい青色あおいろ発光はっこうしめ[2]

唯一ゆいいつられているツリウムの酸化さんかぶつTm2O3である。この酸化さんかぶつは「ツリア」とばれることもある[16]あかみがかった紫色むらさきいろのツリウム(II)化合かごうぶつはツリウム(III)化合かごうぶつ還元かんげんによりつくることができる。ツリウム(II)化合かごうぶつれいには、ハロゲン化物ばけもの(フッ化物ばけもののぞく)がある。TmCl3·7H2OやTm2(C2O4)3·6H2Oなどの一部いちぶみずツリウム化合かごうぶつは、緑色みどりいろもしくはみどりがかった白色はくしょくである[17]塩化えんかツリウムはみず非常ひじょうはげしく反応はんのうする。この反応はんのうにより水素すいそガスとあかみがかった退色たいしょくしめTm(OH)3しょうじる[よう出典しゅってん]。ツリウムとカルコゲンわせると、カルコゲン化物ばけもの生成せいせいされる[18]

ツリウムは塩化えんか水素すいそ反応はんのうして水素すいそガスと塩化えんかツリウムを生成せいせいする。硝酸しょうさん使用しようすると、硝酸しょうさんツリウム(Tm(NO3)3)が生成せいせいされる[19]

同位どういたい

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ツリウムの同位どういたい145Tmから179Tmの範囲はんいである。もっと豊富ほうふ安定あんてい同位どういたいである169Tmのまえ主要しゅよう崩壊ほうかいモード電子でんし捕獲ほかくであり、主要しゅよう崩壊ほうかいモードはベータ崩壊ほうかいである。169Tmのまえおも崩壊ほうかい生成せいせいぶつ元素げんそ68(エルビウム同位どういたいであり、おも生成せいせいぶつ元素げんそ70(イッテルビウム)である[20]

ツリウム169は唯一ゆいいつ原始げんし同位どういたいであり、安定あんていであるとかんがえられている唯一ゆいいつ同位どういたいである。半減はんげん非常ひじょうながく、ホルミウム165にアルファ崩壊ほうかいすることが予測よそくされている[2][21]もっと半減はんげんなが放射ほうしゃせい同位どういたいは、半減はんげん1.92ねんのツリウム171と半減はんげん128.6にちのツリウム170である。のほとんどの同位どういたい半減はんげんすうふん以下いかである[22]。これまでに35同位どういたいと26かく異性いせいたい検出けんしゅつされている[2]。169統一とういつ原子げんし質量しつりょう単位たんいよりかるいツリウムのほとんどの同位どういたいは、電子でんし捕獲ほかくベータプラス崩壊ほうかいかいして崩壊ほうかいするが、有意ゆういアルファ崩壊ほうかい陽子ようし放出ほうしゅつしめすものもある。おも同位どういたいベータマイナス崩壊ほうかいする[22]

ツリウムにはいくつかの用途ようとがある。

ホルミウム-クロム-ツリウムトリプルドープトイットリウム・アルミニウム・ガーネット(Ho:Cr:Tm:YAG, or Ho,Cr,Tm:YAG) は、こう効率こうりつのアクティブレーザー媒質ばいしつ材料ざいりょうである。2080 nmの波長はちょうひかり放出ほうしゅつし、軍事ぐんじ用途ようと医学いがく気象きしょうがく幅広はばひろ使用しようされている。たん元素げんそツリウムドープトYAG (Tm:YAG) レーザーは2010nmで動作どうさする[23]。ツリウムをもとにしたレーザーの波長はちょうは、空気くうきちゅう水中すいちゅうでの凝固ぎょうこ深度しんど最小限さいしょうげんおさえ、組織そしき表面ひょうめんてき切除せつじょ非常ひじょう有効ゆうこうである。このため、ツリウムレーザーはレーザーにもとづいた手術しゅじゅつにとって好適こうてきである[24]

Xせんげん

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高価こうかであるが、はこびのできるXせん装置そうち原子げんし衝突しょうとつされつくられたツリウムを放射線ほうしゃせんみなもととして使用しようしている。これらの放射線ほうしゃせんげん耐用たいよう年数ねんすうやく1ねんで、医療いりょう歯科しか診断しんだん道具どうぐとして、また、ることのできない機械きかい部品ぶひん電子でんし部品ぶひん欠陥けっかん検出けんしゅつするために使用しようされている。このような放射線ほうしゃせんげんにはだい規模きぼ放射線ほうしゃせん防護ぼうご必要ひつようなく、ちいさいなまりのカップがあればよい[25]

ツリウム170は、しょうせんげん治療ちりょう密封みっぷうせんげん治療ちりょう)によるがん治療ちりょうのXせんげんとしての人気にんきたかまっている[26]。この同位どういたい半減はんげんは128.6にちであり、強度きょうど同等どうとうの5つの主要しゅよう輝線きせん (7.4, 51.354, 52.389, 59.4, 84.253 keV)がある[27]。ツリウム170は、放射線ほうしゃせん透過とうか検査けんさ使用しようされるもっと人気にんきのある4つの放射ほうしゃせい同位どうい元素げんその1つである[28]

イットリウム同様どうよう高温こうおんちょう伝導でんどうからだ使用しようされてきた。マイクロ機器きき使用しようされるフェライト、セラミック磁性じせい材料ざいりょう使用しようされる可能かのうせい[25]。また、スカンジウム同様どうよう元素げんそではカバーできない緑色みどりいろ発光はっこうせんというめずらしいスペクトルをつため、アーク照明しょうめい使用しようされている[29]紫外線しがいせんにさらされると青色あおいろ蛍光けいこうはっするため、偽造ぎぞう防止ぼうしのためにユーロ紙幣しへいれられている[30]。ツリウムをドープした硫酸りゅうさんカルシウムの青色あおいろ蛍光けいこうは、個人こじん線量せんりょうけい放射線ほうしゃせん目視もくし監視かんし使用しようされている[2]。ツリウムが2+のあたい電子でんし状態じょうたいにあるツリウムドープトハロゲン化物ばけものは、発光はっこうがた太陽たいよう集光器しゅうこうき原理げんりもとづいた効率こうりつてき発電はつでんウィンドウ(electricity generating window)を可能かのうにする有望ゆうぼう発光はっこう材料ざいりょうである[31]

存在そんざい

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ツリウムはモナズせきられる。

自然しぜんかい純粋じゅんすいかたちられることはないが、希土類きどるいとともに鉱物こうぶつなか少量しょうりょうふくまれている。イットリウムガドリニウムふく鉱物こうぶつ一緒いっしょられることがおおい。とくに、ガドリンせきという鉱物こうぶつふくまれるが[32]モナズせきゼノタイムユークセンせきという鉱物こうぶつにもふくまれている。希土類きどるいくらべてひろ範囲はんい鉱物こうぶつられるわけではない[33]地球ちきゅう地殻ちかくにおける存在そんざいりょう重量じゅうりょうにして0.5 mg/kgであり、モルで50ppbである。土壌どじょうやく0.4-0.8ppmを構成こうせいする。海水かいすいの250ppq(1000ちょうぶんの1)を構成こうせいする[2]太陽系たいようけいにおいては、重量じゅうりょうにして200ppt、モルで1pptの濃度のうど存在そんざいする[19]。ツリウムの鉱石こうせき中国ちゅうごくもっと一般いっぱんてきられるが、オーストラリアブラジルグリーンランドインドタンザニアおよびアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにも大量たいりょう埋蔵まいぞうされている。そう埋蔵まいぞうりょうやく10まんトンである。放射ほうしゃせいプロメチウムのぞ地球ちきゅうじょうもっとすくないランタノイドである[2]

生産せいさん

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おもかわすなふくまれるモナズせき(0.007%のツリウムをふくむ)からイオン交換こうかんにより抽出ちゅうしゅつされる。あたらしいイオン交換こうかんおよび溶媒ようばい抽出ちゅうしゅつ技術ぎじゅつにより希土類きどるい分離ぶんり容易よういになり、ツリウム生産せいさんのコストが大幅おおはば削減さくげんされた。今日きょうおも出所しゅっしょ中国ちゅうごく南部なんぶのイオン吸着きゅうちゃく粘土ねんどである。これらのなかふくまれるすべての希土類きどるいのうちやく3ぶんの2がイットリウムであり、ツリウムはやく0.5%である(もしくは希少きしょうであるためルテチウムとほぼむすびついている)。ツリウム酸化さんかぶつランタン金属きんぞくまたは密閉みっぺい容器ようきないカルシウムにより還元かんげんすることで分離ぶんりすることができる。ツリウムの天然てんねん化合かごうぶつはどれも商業しょうぎょうてき重要じゅうようではない。年間ねんかんやく50トンの酸化さんかツリウムが生成せいせいされる[2]。1996ねん酸化さんかツリウムの価格かかくは1グラムたり20あめりかドルであり、2005ねん純度じゅんど99%のツリウム金属きんぞく粉末ふんまつ価格かかくは1グラムあたり70あめりかドルである[12]

生物せいぶつがくてき役割やくわり注意ちゅういてん

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可溶性かようせいのツリウムしお軽度けいど毒性どくせいがあるが、不溶性ふようせいのツリウムしおまった毒性どくせいがない[2]注射ちゅうしゃすると、肝臓かんぞう脾臓ひぞう変性へんせいこし、ヘモグロビン濃度のうど変動へんどうすることもある。ツリウムによるきも損傷そんしょうは、めすのマウスよりもゆうのマウスのほう一般いっぱんてきである。このようなことはあるが、ツリウムの毒性どくせいレベルはひく[よう出典しゅってん]。ヒトではツリウムは肝臓かんぞう腎臓じんぞうほねもっとおおられる。ヒトは通常つうじょう年間ねんかんすうマイクログラムのツリウムを消費しょうひする。植物しょくぶつはツリウムを吸収きゅうしゅうせず、野菜やさい乾燥かんそう重量じゅうりょうには通常つうじょう1ppbのツリウムがふくまれている[2]。ツリウムの粉塵ふんじんおよび粉末ふんまつ吸収きゅうしゅうもしくは摂取せっしゅすると有毒ゆうどくであり、爆発ばくはつこす可能かのうせいがある。

出典しゅってん

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外部がいぶリンク

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