プロメチウム

外見がいけん
	銀ぎん白色はくしょく(プロメチウム金属きんぞくがどのように見みえるかのフォトモンタージュ。放射ほうしゃ性せいが高たかすぎて実際じっさいの画像がぞうは利用りようできません)
一般いっぱん特性とくせい
名称めいしょう, 記号きごう, 番号ばんごう	プロメチウム, Pm, 61
分類ぶんるい	ランタノイド
族ぞく, 周期しゅうき, ブロック	n/a, 6, f
原子げんし量りょう	[145]
電子でんし配置はいち	[Xe] 4f5 6s2
電子でんし殻から	2, 8, 18, 23, 8, 2（画像がぞう）
物理ぶつり特性とくせい
相そう	固体こたい
密度みつど（室温しつおん付近ふきん）	7.26 g/cm3
融点ゆうてん	1,315 K, 1,042 °C, 1,908 °F
沸点ふってん	3,273 K, 3,000 °C, 5,432 °F
融解ゆうかい熱ねつ	7.13 kJ/mol
蒸発じょうはつ熱ねつ	289 kJ/mol
原子げんし特性とくせい
酸化さんか数すう	3（弱じゃく塩基えんき性せい酸化さんか物ぶつ）
電気でんき陰性いんせい度ど	? 1.13（ポーリングの値ね）
イオン化いおんかエネルギー	第だい1： 540 kJ/mol
	第だい2： 1,050 kJ/mol
	第だい3： 2,150 kJ/mol
原子げんし半径はんけい	183 pm
共有きょうゆう結合けつごう半径はんけい	199 pm
その他た
結晶けっしょう構造こうぞう	六方ろっぽう晶あきら系けい
磁性じせい	常つね磁性じせい
電気でんき抵抗ていこう率りつ	(r.t.) est. 0.75 µΩおめが⋅m
熱ねつ伝導でんどう率りつ	(300 K) 17.9 W/(m⋅K)
熱ねつ膨張ぼうちょう率りつ	(r.t.) (αあるふぁ, poly) est. 11 μみゅーm/(m⋅K)
ヤング率りつ	(αあるふぁ form) est. 46 GPa
剛性ごうせい率りつ	(αあるふぁ form) est. 18 GPa
体積たいせき弾性だんせい率りつ	(αあるふぁ form) est. 33 GPa
ポアソン比ひ	(αあるふぁ form) est. 0.28
CAS登録とうろく番号ばんごう	7440-12-2
主おもな同位どうい体たい
	詳細しょうさいはプロメチウムの同位どうい体たいを参照さんしょう
	表示ひょうじ;

プロメチウム（英えい: promethium [proʊˈmiːθしーたiəm]）は、原子げんし番号ばんごう61の元素げんそ。元素げんそ記号きごうは Pm。希土類きどるい元素げんその一ひとつ（ランタノイドにも属ぞくす）。安定あんてい同位どうい体たいは存在そんざいしない。発見はっけんされた同位どうい体たいの中なかで最もっとも半減はんげん期きが長ながいのは、プロメチウム145の17.7年ねん。ウランの核分裂かくぶんれつ生成せいせい物ぶつよりマクロの量りょうで得えられているのはプロメチウム147である^[3]^[4]。

名称めいしょう

プロメチウムという元素げんそ名めいはギリシャ神話しんわに登場とうじょうするプロメテウス（人類じんるいに火ひを伝つたえたとされる）にちなんで名付なづけられた^[5]。

性質せいしつ

銀ぎん白色はくしょくの金属きんぞくで、常温じょうおん、常つね圧あつで安定あんていな結晶けっしょう構造こうぞうは、複ふく六方ろっぽう最さい密みつ充填じゅうてん構造こうぞう（ABACスタッキング）。比重ひじゅうは7.2で、融点ゆうてんは1,168 °C、沸点ふってんは2,460 °C。原子げんし価かは 4f⁴ の電子でんし配置はいちをとる3価かが安定あんていで、水みず和わイオン Pm³⁺ aq は淡紅あわべに色しょくである。物理ぶつり的てき、化学かがく的てき性質せいしつは不明ふめいな部分ぶぶんが多おおい。

放射ほうしゃ性せいがあるため、青あお白色はくしょく～緑色みどりいろの蛍光けいこうを放出ほうしゅつするという性質せいしつがある^[5]。このためプロメチウム147は夜光やこう塗料とりょう（→時計とけいの文字もじ盤ばんなどに利用りよう）に添加てんかされ発光はっこうの元もととして利用りようされていた（安全あんぜん性せいが問題もんだいになり、現在げんざいでは日本にっぽん国内こくないでは使つかわれていない）。他たに、蛍光けいこう灯とうのグロー放電ほうでん管かんにも利用りようされる。

また、シリコンなどの半導体はんどうたいに挟はさみ、放出ほうしゅつされるβ線べーたせんエネルギーを電気でんきエネルギーに変換へんかんする原子力げんしりょく電池でんちの素材そざいとしての用途ようとが考かんがえられている^[3]。

歴史れきし

1902年ねんにチェコの化学かがく者しゃブラウナー（Bohuslav Brauner）がネオジムとサマリウムの間あいだの原子げんし量りょうの差さが当時とうじ知しられていた全ぜんランタノイド中ちゅう最大さいだいであることを発見はっけんし、この2元素げんその間あいだに両者りょうしゃの中なか間あいだ的てきな性質せいしつを持もった未み発見はっけんの新しん元素げんそがある可能かのう性せいを示唆しさした^[6]。 1913年ねんに英国えいこくの物理ぶつり学者がくしゃモーズリーが原子げんし番号ばんごうが原子核げんしかく中ちゅうの正せい電荷でんか(=陽子ようしの数かず)に対応たいおうしていることを発見はっけん（モーズリーの法則ほうそく）し、これに伴ともなってそれまで原子げんし量りょうの順じゅんに配列はいれつされていた周期しゅうき表ひょうが、正まさしく原子げんし番号ばんごう順じゅんの配置はいちに改あらためられた。これによって、モリブデンとルテニウムの間あいだの43番ばん元素げんそ（テクネチウム）およびネオジムとサマリウムの間あいだの61番ばん元素げんそ（プロメチウム）その他たが未み発見はっけんであることが明確めいかくになった。しかし両りょう元素げんそとも知しられている全すべての核種かくしゅが放射ほうしゃ性せいで不安定ふあんていであったため、その後ご発見はっけんされるまで時間じかんがかかった。

いくつかの発見はっけんの報ほうがあるが、確実かくじつと思おもわれるのは、1947年ねんにマリンスキー（J. A. Marinsky)、グレンデニン（L. E. Glendinin）、コリエル（C. D. Coryell）等とうがウラン235の核分裂かくぶんれつ生成せいせい物ぶつ中ちゅうからイオン交換こうかん法ほうを用もちいて、プロメチウム147、149を分離ぶんりして発見はっけんしたというものである^[7]^[5]。

天然てんねんでの存在そんざい

マリンスキーらの発見はっけん方法ほうほうより、天然てんねんにおけるプロメチウムは、プロメチウム147が天然てんねんのウラン鉱石こうせき中ちゅうに非常ひじょうにごく僅わずかに存在そんざいが認みとめられている。これはウランの自発じはつ核分裂かくぶんれつの結果けっか、極ごく僅わずかに生成せいせいしたものとされている。しかしその存在そんざい量りょうは極きわめてわずかで、地球ちきゅう全体ぜんたいの存在そんざい量りょうはわずかに780gと見積みつもられている^[5]。

プロメチウムには安定あんてい同位どうい体たいが存在そんざいせず、全すべての同位どうい体たいが放射ほうしゃ性せいである。このように放射ほうしゃ性せい同位どうい体たいしかない元素げんそ（放射ほうしゃ性せい元素げんそ）は、他たにはテクネチウムとビスマス以降いこうの元素げんそがある。

恒星こうせいアンドロメダ座ざGY星ほしからは、輝線きせんスペクトル中なかにプロメチウムが発見はっけんされている。

出典しゅってん

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Promethium.jpg
^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds Archived 2012年ねん1月がつ12日にち, at the Wayback Machine., in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
^ ^a ^b N.E.Topp著ちょ、塩川しおかわ二郎じろう、足立あだち吟ぎん也　共とも訳やく　『希土類きどるい元素げんその化学かがく』　化学かがく同人どうじん、1986年ねん
^ FA コットン, G. ウィルキンソン著ちょ, 中原なかはら勝まさる儼げん訳やく　『コットン・ウィルキンソン無機むき化学かがく』　培風館ばいふうかん、1987年ねん
^ ^a ^b ^c ^d 桜井さくらい弘ひろし『元素げんそ111の新しん知識ちしき』講談社こうだんしゃ、1998年ねん、273頁ぺーじ。ISBN 4-06-257192-7。
^ Laing, Michael (2005). “A Revised Periodic Table: With the Lanthanides Repositioned”. Foundations of Chemistry 7 (3): 203–233. doi:10.1007/s10698-004-5959-9.
^ Jacob A. Marinsky, Lawrence E. Glendenin, Charles D. Coryell: "The Chemical Identification of Radioisotopes of Neodymium and of Element 61", J. Am. Chem. Soc., 1947, 69 (11), pp. 2781–2785; doi:10.1021/ja01203a059.

[1] ttps://commons.wikimedia.org/wiki/File:Promethium.jpg

[magnet-2] Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds Archived 2012年ねん1月がつ12日にち, at the Wayback Machine., in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.

[Topp-3] N.E.Topp著ちょ、塩川しおかわ二郎じろう、足立あだち吟ぎん也　共とも訳やく　『希土類きどるい元素げんその化学かがく』　化学かがく同人どうじん、1986年ねん

[Cotton-4] FA コットン, G. ウィルキンソン著ちょ, 中原なかはら勝まさる儼げん訳やく　『コットン・ウィルキンソン無機むき化学かがく』　培風館ばいふうかん、1987年ねん

[sakurai-5] 桜井さくらい弘ひろし『元素げんそ111の新しん知識ちしき』講談社こうだんしゃ、1998年ねん、273頁ぺーじ。ISBN 4-06-257192-7。

[6] Laing, Michael (2005). “A Revised Periodic Table: With the Lanthanides Repositioned”. Foundations of Chemistry 7 (3): 203–233. doi:10.1007/s10698-004-5959-9.

[7] Jacob A. Marinsky, Lawrence E. Glendenin, Charles D. Coryell: "The Chemical Identification of Radioisotopes of Neodymium and of Element 61", J. Am. Chem. Soc., 1947, 69 (11), pp. 2781–2785; doi:10.1021/ja01203a059.

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