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ニトリル - Wikipedia

ニトリル (nitrile) は R−C≡N であらわされる構造こうぞう有機ゆうき化合かごうぶつ総称そうしょうである。カルボンさんやその誘導体ゆうどうたいと、炭素たんそ酸化さんかすうにおいて同等どうとうとされる。なお、手袋てぶくろなどの家庭かてい用品ようひんによく使つかわれるニトリルは、ニトリルゴム(ブタジエンアクリロニトリルきょう重合じゅうごうからだ)のことである。

ニトリルの一般いっぱん構造こうぞうしき

シアノもと

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ニトリルがつ、−C≡N とあらわされる 1官能かんのうもとシアノもと、またはニトリルもとばれる。炭素たんそがsp混成こんせいをとっており、直線ちょくせんがた分子ぶんし構造こうぞうつ。シアノもとつよ電子でんしもとめ引基である。

命名めいめいほう

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IUPAC命名めいめいほうでは炭素たんそすうひとしいアルカン語尾ごびに -ニトリル (-nitrile) をつけて命名めいめいする。または、母体ぼたいとなるカルボンさん語尾ごび (-oic acid または -ic acid) を (-onitrile) にえる。または、接頭せっとうとして「シアノ-」(cyano-) をもちいる。

性質せいしつ

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シアン化水素しあんかすいそ別名べつめいをメタンニトリルというものの、極性きょくせい溶媒ようばいではプロトンとシアノもと電離でんりするため、化学かがくてき性質せいしつことなるので一般いっぱんにはニトリルにはふくまない。したがってもっと単純たんじゅんなニトリルはエタンニトリル(アセトニトリル)である。

シアン化水素しあんかすいそ金属きんぞくシアニドは電離でんりしてシアン化物ばけものイオン放出ほうしゅつするが、ニトリルは通常つうじょう条件じょうけんでは分解ぶんかいしてシアン化物ばけものイオンを放出ほうしゅつすることはない。

合成ごうせい

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ニトリルはハロゲンアルキルシアン化カリウムしあんかかりうむ反応はんのうさせることで合成ごうせいできる。トシラートなど、スルホンさんエステルを基質きしつとしてもい。ハロゲンアリールをシアノする場合ばあいシアンどうくわえて加熱かねつする(ローゼンムント・フォンブラウン合成ごうせい)。

 
(X=Cl,Br,I,OS(=O)2R,etc.)

アルデヒドケトンなどのカルボニル化合かごうぶつシアン化カリウムしあんかかりうむ、あるいはシアン化水素しあんかすいそ付加ふかさせるとシアノヒドリンられる。

 

ストレッカー反応はんのうでは、アルデヒドからイミン発生はっせいさせてシアン化物ばけものイオンを付加ふかさせる反応はんのうかぎ段階だんかいとなっている。られるαあるふぁ-アミノニトリルを加水かすい分解ぶんかいしてαあるふぁ-アミノ酸あみのさんとする。

 

また、アルドキシム (R−CH=NOH) やカルバモイルもと (R−CONH2) にトリホスゲン塩化えんかリンなどの脱水だっすいざい作用さようさせてもられる。

2016ねん理化学研究所りかがくけんきゅうしょより、よっつのチタンをふくむチタン化合かごうぶつから特殊とくしゅ試薬しやくもちいずに窒素ちっそ分子ぶんし切断せつだんし、切断せつだんした窒素ちっそしゅ入手にゅうしゅ容易よういさん塩化えんかぶつから含窒もと有機ゆうき化合かごうぶつであるニトリルを直接ちょくせつ合成ごうせいする手法しゅほうが、発表はっぴょうされている。[1]

反応はんのう

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ニトリルをつよ酸性さんせい条件じょうけんあるいは塩基えんきせい条件下じょうけんか加水かすい分解ぶんかいするとカルボンさんとなる。加水かすい分解ぶんかい条件じょうけん適当てきとう調整ちょうせいして、1きゅうアミドへとみちびくことも可能かのうである。

 強酸きょうさんまたつよ塩基えんき また 

また、水素すいそアルミニウムリチウムなどで還元かんげんするとだい1きゅうアミンができる。この方法ほうほうだい1きゅうアミンをつくじょう有用ゆうようなものである。

 

シアノもと電子でんしもとめ引性をつので、αあるふぁくらい水素すいそつニトリルにつよ塩基えんき作用さようさせるとプロトンがかれてカルバニオン発生はっせいさせられる。ここにもとめ電子でんしざい反応はんのうさせることで、炭素たんそ-炭素たんそ結合けつごう生成せいせいくだりなえる。マロノニトリル(NC-CH2-CN)やシアノ酢酸さくさんエチル(NC-CH2-COOEt)などは活性かっせいメチレン化合かごうぶつとしてう。

シアノもとはまたαあるふぁ炭素たんそじょうのラジカルを安定あんていするはたらきもあり、たとえばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のラジカル開始かいしざいとしての特長とくちょうあらわれている。

シアノもと注意深ちゅういぶか水素すいそジイソブチルアルミニウム(DIBALH)で還元かんげんつづいて加水かすい分解ぶんかいすると、対応たいおうするアルデヒドられる。

 加水かすい分解ぶんかい

有機ゆうきアジ化物ばけものと[3+2]付加ふかたまき反応はんのうおこない、テトラゾールあたえる。

ニトリルに炭素たんそカチオンを作用さようさせると窒素ちっそ原子げんし付加ふかし、しょうじたニトリリウムイオンが加水かすい分解ぶんかいけてN-置換ちかんアミドあたえる(リッター反応はんのう)。

おもなニトリル

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工業こうぎょうてきもっと重要じゅうようなニトリルはアクリロニトリル(H2C=CHC≡N)で、ポリアクリロニトリル原料げんりょうとなる。アセトニトリルプロトンせい極性きょくせい溶媒ようばいとして重要じゅうようである。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ [1] 窒素ちっそ分子ぶんしから直接ちょくせつニトリルを合成ごうせい-アンモニアをもちいないしょう資源しげんしょうエネがた合成ごうせいほう