地上2階・地下1階建の木造建築で、施工は清水組。1階は応接間や台所、居間兼食堂、2階は主に寝室や浴室として使われていた。移築前は和館が併設されていたが、部材が残っておらず復元されなかった。
設計者のアントニン・レーモンドは、フランク・ロイド・ライトが1919年に帝国ホテル建設のため来日した際に助手として連れてきた建築家である[3]。レーモンドが独立して間もない頃の設計であり、5原則「自然、単純、直截、正直、経済的」に基づき独自のデザインを目指しているものの、家具など細部にはライトの影響がみられる。屋根の勾配を緩くし、1階と2階の間に庇を設け、水平性を強調する意匠とした。外壁は、1階は垂直方向の堅羽目板張り、2階は水平方向の下見板張りとして変化を付けている。2階の2か所に壁面を後退させてバルコニーを設け、寄棟造の屋根を雁行させて単調な直方体とすることを避けた[1]。窓など開口部は大きくとられ、青緑色の鎧戸が設えられている。全館にスチーム暖房が採用されていたが、施主のリクエストにより応接間に暖炉が設けられた。エリスマンの妻が日本人であったことから、浴室とトイレはそれぞれ独立した造りになっている[3]。
現在は元町公園の施設として、館内を無料で見学できる。2階では山手や洋館にまつわる資料を展示。台所はカフェに改装され、2014年からは「しょうゆきゃふぇ」として営業。醤油パンや生プリンなどを提供している[4]。地下は貸ホールとして展覧会などに貸し出される。同公園内にはベーリック・ホールと山手234番館も同様に一般公開されている。みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩8分、JR根岸線・市営地下鉄桜木町駅から神奈川中央交通バス11系統、「元町公園前」下車。第2水曜日休館。
- 田中禎彦、青木祐介、金井健『死ぬまでに見たい 洋館の最高傑作』エクスナレッジ、2012年10月1日、112-115頁。ISBN 978-4-7678-1451-3。
- インク・インコーポレーション『洋館さんぽ EAST』グラフィック社、2010年11月25日、36-37頁。ISBN 978-4-7661-2184-1。
- 横浜市歴史的資産調査会『都市の記憶―横浜の近代建築(II)』横浜市、1996年2月、35頁。
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