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アルパド - Wikipedia
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アルパド

曖昧さ回避 この項目こうもくでは、古代こだいシリアの都市とし国家こっかについて説明せつめいしています。ハンガリー王おうについては「アールパード」をご覧らんください。

アルパド（Arpad）は、シリア北西ほくせい部ぶ、古代こだいアラム人じんのシロ・ヒッタイト国家こっか群ぐん（英語えいご版ばん）（シリア・ヒッタイト）の都市とし。高たかさ8メートルの城壁じょうへきを備そなえていた。紀元前きげんぜん9世紀せいきに一いち度どは新しんアッシリア帝国ていこくに服従ふくじゅうしたが、反乱はんらんに踏ふみ切きる。紀元前きげんぜん843年ねんに新しんアッシリア帝国ていこく軍ぐんの攻撃こうげきを受うけ、3年ねんの包囲ほうい戦せんの後のちに陥落かんらく、破壊はかいされた。その後ご、再建さいけんされたが、小規模しょうきぼなものにとどまった。

アルパド

Arpad
遺跡いせき
アルパドの位置（シリア内）
アルパド
アルパド
シリア内ないの位置いち
座標ざひょう：北緯ほくい36度ど28分ふん23秒びょう 東経とうけい37度ど05分ふん42秒びょう / 北緯ほくい36.473度ど 東経とうけい37.095度ど / 36.473; 37.095座標ざひょう: 北緯ほくい36度ど28分ふん23秒びょう 東経とうけい37度ど05分ふん42秒びょう / 北緯ほくい36.473度ど 東経とうけい37.095度ど / 36.473; 37.095
国くに シリアの旗 シリア
県けん アレッポ県けん
面積めんせき
 • 都市とし
 0.48 km2
人口じんこう
 • 都市とし部ぶ
 (推定すいてい)10,000−12,000人にん

歴史れきし

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アルパドは、アレッポの北東ほくとう約やく30キロメートルに位置いちし、おそらく現代げんだいのテル・リファート（英語えいご版ばん）に当あたるとされる[2] アルパドとはヘブライ語ごで「贖罪しょくざいの光ひかり」[3]または「私わたしは広ひろがる（支持しじされる）」[4]を意味いみするとされる。

紀元前きげんぜん9世紀せいき頃ころ、アラム人じんの小ちいさな部族ぶぞく国家こっか群ぐん「新しんヒッタイト」（Neo-Hittite、近年きんねんはシリア＝ヒッタイト Syro-Hittite とも呼よばれる）諸国しょこくがレバント周辺しゅうへんからアナトリア南部なんぶ、ユーフラテス川がわ中ちゅう流域りゅういきに散在さんざいしていた。紀元前きげんぜん9世紀せいきにヤハン（おそらく部族ぶぞく名めい[5]）のグシ王おうは、ユーフラテス川がわ西岸せいがんからアレッポ周囲しゅういまでの範囲はんいに広ひろがるビト・アグシ（Bit-Agusi）というアラム人じんの国家こっかを建設けんせつし、アルパドを首都しゅととした[6][7]。ビト・アグシは北きたのエザーズ（英語えいご版ばん）から南みなみのハマまで広ひろがっていた[8]。同どう時期じきのシリア＝ヒッタイト国家こっか群ぐんには、南みなみのハマト、ユーフラテス川がわ沿ぞいのカルケミシュ、その少すこし下流かりゅうにあるビト・アディニ（Bit-Adini、首都しゅとティル・バルシプ）、北きたのグルグム（Gurgum、首都しゅとマルカシ）、東ひがしのハブール川がわ沿岸えんがんにあるビト・バヒアニ（Bit-Bahiani、首都しゅとグザナ Tell Halaf/Guzana）などがある。ティル・バルシプからは、紀元前きげんぜん8世紀せいき頃ころにアルパドとの条約じょうやくを結むすんだことを示しめす石碑せきひが出土しゅつどしている。

紀元前きげんぜん753年ねん頃ごろ、アッシリアの王おうアッシュル・ニラリ5世せいはアルパドに遠征えんせいを行おこない、その王おうマティエルを服属ふくぞくさせる事ことに成功せいこうした。この際さいの条約じょうやくの一部いちぶは現在げんざいも残のこっており、マティエルが従したがわない場合ばあいにアッシリアが王族おうぞくや都市としにもたらす懲罰ちょうばつが延々えんえんと述のべられている。

しかし、マティエル王おうの死後しご、アルパドはウラルトゥと同盟どうめいし、シリアにおける同盟どうめい国こくの中心ちゅうしんになっていた。

紀元前きげんぜん743年ねん、新しんアッシリア王国おうこくの王おうティグラト・ピレセル3世せいはサムサット（英語えいご版ばん）でサルドゥリ2世せいのウラルトゥ軍ぐんに勝利しょうりすると、アルパドを包囲ほういしたが、アルパドはアッシリア軍ぐんの攻撃こうげきに屈こごめせず、3年ねんにわたる包囲ほうい戦せんを戦たたかった。おそらくアルパドの遺跡いせきであろうテル・リファートには、往事おうじには8メートルの高たかさの城壁じょうへきがあったことが分わかっている[9]。しかし、紀元前きげんぜん740年ねんにアルパドは陥落かんらくし、ティグラト・ピレセル3世せいは住民じゅうみんを殺戮さつりくし市街しがいを破壊はかい[10]。アッシリアには「金かね30タラント、銀ぎん2,000タラント、（および各種かくしゅの）動産どうさん」を持もち帰かえった[11]。

ビト・アグシはアッシリアに併合へいごうされ、東部とうぶはアルパド州しゅう、西部せいぶはツィンム州しゅうになり、アルパドは州都しゅうととして再建さいけんされたが、市域しいきは以前いぜんよりは小ちいさなものとなった [12] [13] [14]。セレウコス朝あさの時代じだいでも人ひとが住すんでいたようである。

支配しはい者しゃ

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トレヴァー・ブライスによれば、以下いかの支配しはい者しゃが確認かくにんされている[15]。

  • グシ（Gusi、紀元前きげんぜん890年ねん-紀元前きげんぜん880年ねん頃ごろに即位そくい[16]）
  • ハドラム（Hadram、アッシリア語ごではアドラムまたはアラメ、グシの息子むすこ、紀元前きげんぜん860年ねん頃ごろから紀元前きげんぜん830年ねん頃ごろ）
  • アッタル・シュムキ1世せい（Attar-šumki I、ハドラムの息子むすこ、紀元前きげんぜん830年ねん頃ごろから紀元前きげんぜん800年ねん頃ごろ）
  • バル・ハダド（Bar-Hadad、アッタル・シュムキ1世せいの息子むすこ、紀元前きげんぜん800年ねん頃ごろ）
  • アッタル・シュムキ2世せい（Attar-šumki II、バル・ハダドの息子むすこ、紀元前きげんぜん8世紀せいき前半ぜんはん）
  • マティール（Mati'ilu (Mati'el)、アッタル・シュムキ2世せいの息子むすこ、紀元前きげんぜん760年ねん頃ごろから紀元前きげんぜん745年ねん頃ごろ）

聖書せいしょにおける記述きじゅつ

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ヘブライ語ご聖書せいしょ（旧約きゅうやく聖書せいしょ）では、大おおきく分わけて二ふたつの場面ばめんで登場とうじょうする。

列れつ王おう紀おさむおよびイザヤ書しょ

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列れつ王おう紀おさむおよびイザヤ書しょでは、アッシリアの高官こうかんラブシャケが、ユダ王国おうこくのヒゼキヤ王おう（とエルサレム市民しみん）に降伏ごうぶくを求もとめる場面ばめんで、「アッシリアの強大きょうだいな力ちからに抵抗ていこうする諸しょ国民こくみんの神かみ々の無力むりょくさの証拠しょうことしてアルパドの命運めいうんに言及げんきゅうさ」れている[17]。

エレミヤ書しょ

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エレミヤ書しょでは、諸国しょこくに対たいする裁さばきの預言よげんの中なかで、地理ちり的てきに近ちかいダマスカス（アラム・ダマスカス王国おうこく（英語えいご版ばん））への裁さばきの前置まえおきとして名なを挙あげられている。

  • s:エレミヤ書しょ(口語こうご訳やく)#49:23
    • ダマスコの事ことについて、「ハマテとアルパデは、うろたえている、彼かれらは悪わるいおとずれを聞きいたからだ。彼かれらは勇気ゆうきを失うしない、穏おだやかになることのできない海うみのように悩なやむ。

考古学こうこがく的てき調査ちょうさ

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テル・リファート遺跡いせきは、楕円だえん形がたをしており長ちょう直径ちょっけい250メートル×短たん直径ちょっけい233メートル。この中なかで、主しゅ城塞じょうさいは142メートル×142メートルで最高さいこう部ぶは高たかさ30メートル。全域ぜんいきを囲かこむ防壁ぼうへきの延長えんちょうは約やく2マイル (3.2 km)である。 この遺跡いせきは、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン考古学こうこがく研究所けんきゅうじょ（英語えいご版ばん）またはロンドン大学だいがくのチームによって発掘はっくつされた。1956年ねんに予備よび調査ちょうさが行おこなわれた後のち、1961年ねんと1964年ねんの2シーズンにわたって発掘はっくつされた。発掘はっくつ隊たいはM. V. Seton Williamsが率ひきいた[18][19]。この3回かいの調査ちょうさでは、多数たすうのコインが発見はっけんされ、その年代ねんだいは紀元前きげんぜん2世紀せいきから紀元きげん後ご14世紀せいきまであった[20]。

1977年ねんには同おなじく考古学こうこがく研究所けんきゅうじょによって、テル・リファート周辺しゅうへんの考古学こうこがく的てき調査ちょうさが行おこなわれた[21]。

セフィレ碑文ひぶん

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セフィレ碑文ひぶん（英語えいご版ばん）は現存げんそんする古こアラム語ご最大さいだいの碑文ひぶんである[22]。アレッポの南東なんとう約やく25キロメートルのセフィレ村むらで発見はっけんされたもので、KTK(地名ちめいまたは国名こくめい)の王おうバル・ガアヤとアルパド王おう「アッタルセマク息子むすこマティエル」の間あいだで結むすばれた条約じょうやくである[23]。

古代こだいの法律ほうりつ文書ぶんしょの通例つうれいとして、末尾まつびは神かみ々を含ふくめた証人しょうにんの名なのリストとそれを破やぶった場合ばあいの呪のろいという形かたちになっている[24]。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Lipinsky 2000, p. 527.
  2. ^ Younger 2016, p. 509.
  3. ^ “Arpad Definition and Meaning - Bible Dictionary”. Bible Study Tools. 2020年ねん10月がつ27日にち閲覧えつらん。
    （『アルパドの定義ていぎと意味いみ』（聖書せいしょ事典じてん。バイブル・スタディ・ツール））
  4. ^ “NETBible: Arpad”. classic.net.bible.org. 2020年ねん10月がつ27日にち閲覧えつらん。
    （ネット聖書せいしょ『アルパド』の項こう）
  5. ^ Younger 2016, p. 503.
  6. ^ Younger 2016, pp. 504, 509, 523.紀元前きげんぜん849年ねんにそれまでの首都しゅとだったアルネ（Arne）がシャルマネセル3世せいに破壊はかいされたのち、首都しゅととなった。
  7. ^ Lipinsky 2000, p. 195.
  8. ^ Lipinsky 2000, p. 99.
  9. ^ Lipinsky 2000, p. 529.
  10. ^ Healy 1992, p. 25.
  11. ^ Lipinsky 2000, p. 219　仮かりにバビロニアと同おなじ1タラント＝30.2キログラムで計算けいさんすればおよそ金かね0.9トンと銀ぎん60トンになる。
  12. ^ Kipfer 2000, p. 626.
  13. ^ Ebeling & Meissner 1932, p. 153　Ernst Honigmann: Arpad（同どう文献ぶんけんp.153収録しゅうろくの「アルパド」（著ちょ：アーンスト・ホニグマン）より）
  14. ^ Younger 2016, pp. 546–547.
  15. ^ Bryce 2012, pp. 165–168, 308.
  16. ^ Younger 2016, p. 517.
  17. ^ “アルパド — ものみの塔とう オンライン・ライブラリー”. Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania (2020年ねん). 2020年ねん10月がつ27日にち閲覧えつらん。
  18. ^ Williams 1961, pp. 68–87.
  19. ^ Williams 1967, pp. 16–33.
  20. ^ Clayton 1967, pp. 143–154.
  21. ^ Matthers 1978, pp. 119–162.
  22. ^ 守屋もりや 1982, p. 39.
  23. ^ 酒井さかい 龍一りゅういち「古こアラム語ごによるセフィレ碑文ひぶんの検討けんとう(1)」『文化財ぶんかざい学がく報ほう』第だい18巻かん、2003年ねん3月がつ、63-84頁ぺーじ、ISSN 09191518、2020年ねん11月2日にち閲覧えつらん。 
  24. ^ 守屋もりや 1982, pp. 40, 51たとえばハンムラビ法典ほうてんの末尾まつびは神かみ々の祝福しゅくふくに基もとづく制定せいてい者しゃハンムラビの正義せいぎを強調きょうちょうしたあとで、破やぶった場合ばあいには神かみ々一人ひとり一いち人にんからどのような呪のろいが下くだされるかが、極きわめて具体ぐたい的てきかつ多量たりょうに記述きじゅつされている。英訳えいやくハンムラビ法典ほうてん参照さんしょう

参考さんこう文献ぶんけん

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