オルガン (英 えい : organ )は、加圧 かあつ した空気 くうき を鍵盤 けんばん で選択 せんたく したパイプに送 おく ることで発音 はつおん する鍵盤 けんばん 楽器 がっき であり、パイプオルガン とも呼 よ ばれる。パイプオルガンに準 じゅん じた鍵盤 けんばん 楽器 がっき である、リードオルガン や電子 でんし オルガン もオルガンの名 な で呼 よ ばれる。
オルガン
別称 べっしょう :風琴 ふうきん
各 かく 言語 げんご での名称 めいしょう
英 えい
organ
独 どく
Orgel
仏 ふつ
orgue
伊 い
organo
中 なか
管 かん 风琴(簡体字 かんたいじ )管 かん 風琴 ふうきん (繁体字 はんたいじ )
パイプオルガン
分類 ぶんるい
気 き 鳴 な 型 かた 鍵盤 けんばん 楽器 がっき
オルガンは鍵盤 けんばん で操作 そうさ される管楽器 かんがっき である。多数 たすう のパイプを発音 はつおん 体 たい として備 そな えるが、1本 ほん のパイプに異 こと なる音 おと 高 だか を発生 はっせい させることはなく、各 かく パイプの音 おと 高 だか は固定 こてい 的 てき で、少 すく なくとも鍵盤 けんばん のすべての鍵 かぎ に対応 たいおう する数 かず のパイプを持 も つ必要 ひつよう がある。基準 きじゅん 音 おん 高 だか や音色 ねいろ の違 ちが うパイプ群 ぐん を複数 ふくすう 備 そな えていることが多 おお く、その場合 ばあい ストップ と呼 よ ばれる機構 きこう によって、発音 はつおん するパイプ群 ぐん を選択 せんたく できるようにしている。
オルガンは安定 あんてい して持続 じぞく する音 おと と、多彩 たさい な音色 ねいろ を持 も ち、これがオルガンならではの魅力 みりょく となっている。しかしパイプに機械 きかい 的 てき な仕組 しくみ で一定 いってい の空気 くうき を流 なが して発音 はつおん するために、一般 いっぱん の管楽器 かんがっき に比 くら べて強弱 きょうじゃく や音色 ねいろ の変化 へんか を微細 びさい に行 おこな うことはできない。そのため、たとえばストラヴィンスキー は「呼吸 こきゅう をしない怪物 かいぶつ 」と評 ひょう したことがある[注 ちゅう 1] 。オルガン演奏 えんそう における強弱 きょうじゃく 表現 ひょうげん は、ストップ の切 き り替 か えや、複数 ふくすう の鍵盤 けんばん の使 つか い分 わ け、スウェル・シャッター の使用 しよう などの他 ほか に、各 かく 音 おと の持続 じぞく 時間 じかん の長短 ちょうたん や、発音 はつおん の終始 しゅうし 速度 そくど の制御 せいぎょ によって心理 しんり 的 てき に音 おと の強弱 きょうじゃく をもたらすこともできる。
学校 がっこう のオルガン(二 に 十 じゅう 四 よん の瞳 ひとみ 映画 えいが 村 むら )
日本 にっぽん では単 たん に「オルガン」と言 い った場合 ばあい 、学校 がっこう などで使用 しよう されていた、足踏 あしぶ み式 しき のリードオルガン のことを意味 いみ する場合 ばあい もあり、パイプによるオルガンのことは、あえて区別 くべつ して「パイプオルガン」と呼 よ ぶことが多 おお い。
一方 いっぽう 、西欧 せいおう の言語 げんご では、たとえば英 えい : organ、独 どく : Orgel、仏 ふつ : orgue、伊 い : organo、西 にし : órgano とだけ言 い った場合 ばあい には、一般 いっぱん にパイプによるオルガンを指 さ す。リードによるオルガンを指 さ す場合 ばあい は、英 えい : reed organ などと明示 めいじ 的 てき に呼 よ ぶ必要 ひつよう がある。
なお、明治 めいじ から昭和 しょうわ 初期 しょき までの日本語 にほんご では、オルガンの和訳 わやく 「風琴 ふうきん (ふうきん)」が広 ひろ く用 もち いられた。なお日本語 にほんご の「風琴 ふうきん 」は、広義 こうぎ ではアコーディオン も含 ふく む。
(本節 ほんぶし のオルガンに関 かん する詳細 しょうさい は後述 こうじゅつ の「リード・オルガン族 ぞく 」を参照 さんしょう のこと)
ドイツのネニッヒの水 みず オルガンを描 えが いたモザイク(117年 ねん - 138年 ねん )
ギリシャ語 ご の "οργανον"(オルガノン)とは、本来 ほんらい は道具 どうぐ ・器官 きかん のことを意味 いみ し、演奏 えんそう するための組織 そしき 的 てき 道具 どうぐ という意味 いみ で、楽器 がっき についてもこの言葉 ことば が適用 てきよう されるようになった。後 のち にこの言葉 ことば が、各 かく 言語 げんご でのオルガンという単語 たんご になっていった。現在 げんざい も "organ" の語義 ごぎ は「機関 きかん 」「器官 きかん 」という意味 いみ である(en:Organ を参照 さんしょう )。
オルガンの起源 きげん は非常 ひじょう に古 ふる く、紀元前 きげんぜん 数 すう 世紀 せいき からオルガンの原形 げんけい にあたる楽器 がっき の存在 そんざい が認 みと められる。これらは、「パンの笛 ふえ 」や「シリンクス 」(en )などのように、複数 ふくすう の笛 ふえ を束 たば ねて吹 ふ くもので、中国 ちゅうごく や日本 にっぽん などの「笙 しょう 」も同族 どうぞく の楽器 がっき と見 み なされる。
クテシビオス の水 みず オルガン
紀元前 きげんぜん 264年 ねん にアレキサンドリア に住 す むクテシビオス が、水力 すいりょく によって空気 くうき を送 おく り込 こ み、手 て で弁 べん を開閉 かいへい させることによって音 おと を出 だ す楽器 がっき 「水 みず オルガン 」(ヒュドラウリス (Hydraulis)(en ))を製作 せいさく したことが記録 きろく に残 のこ っている。水 みず オルガンは青銅 せいどう と木 き でできており、大理石 だいりせき でできた円筒 えんとう 状 じょう の基礎 きそ に乗 の っていた。大理石 だいりせき の中 なか には貯水 ちょすい 槽 そう とピストンが備 そな えつけてあり、圧縮 あっしゅく 空気 くうき を上部 じょうぶ のパイプに送 おく り出 だ した。外見 がいけん はパンパイプ を機械 きかい 化 か し、直立 ちょくりつ させたものに近 ちか い。これをアレキサンドリアのヘロン とローマ人 じん 建築 けんちく 家 か のウィトルウィウス が改良 かいりょう し、地中海 ちちゅうかい 地方 ちほう に水 みず オルガンは普及 ふきゅう した[1] 。
水 みず オルガン奏者 そうしゃ たちは演奏 えんそう 会 かい で腕 うで を競 きそ いはじめ、デルフォイ の演奏 えんそう 会 かい ではアンティパトロスという奏者 そうしゃ が、丸 まる 2日間 にちかん 休 やす むことなく演奏 えんそう を続 つづ けて栄光 えいこう を勝 か ち取 と った。結婚式 けっこんしき 、競技 きょうぎ 場 じょう 、宣誓 せんせい 就任 しゅうにん 式 しき 、晩餐 ばんさん 会 かい 、劇場 げきじょう などでも水 みず オルガンが演奏 えんそう された。水 みず オルガンの奏者 そうしゃ は女性 じょせい が多 おお かったが、剣 けん 闘士 とうし の試合 しあい などでは男性 だんせい が演奏 えんそう したことがわかっている。また、ネロ 帝 みかど も水 みず オルガンを好 この んで演奏 えんそう した。水 みず オルガンはロ ろ ーマ帝国 まていこく の勢力 せいりょく が衰 おとろ えるにつれて地中海 ちちゅうかい 地方 ちほう では衰退 すいたい したが、ビザンティン帝国 ていこく では宮廷 きゅうてい の儀式 ぎしき 用 よう に用 もち いられ続 つづ けた(続 ぞく テオファネス年代 ねんだい 記 き には、皇帝 こうてい テオフィロス が宝石 ほうせき がちりばめた黄金 おうごん 製 せい オルガン2つと、60個 こ のブロンズ製 せい のパイプをもつオルガン1つを作 つく らせたとの記載 きさい がある)。一方 いっぽう 、アラビアにも伝播 でんぱ して改良 かいりょう が重 かさ ねられていった。
古代 こだい の水 みず オルガンの遺物 いぶつ の出土 しゅつど 例 れい
編集 へんしゅう
ギリシアのピエリア県 けん のディオン村 むら (英語 えいご 版 ばん ) には、ヘレニズム時代 じだい の都市 とし ディオンの古代 こだい 遺跡 いせき が残 のこ り、同村 どうそん にあるディオン考古学 こうこがく 博物館 はくぶつかん (英語 えいご 版 ばん ) に出土 しゅつど した1世紀 せいき の水 みず オルガンが展示 てんじ されている。
ディオン考古学 こうこがく 博物館 はくぶつかん (英語 えいご 版 ばん ) に展示 てんじ されている1世紀 せいき の水 みず オルガン
ハンガリーの首都 しゅと ブダペスト市内 しない にある古代 こだい ローマ都市 とし アクィンクム 遺跡 いせき でも水 みず オルガンが出土 しゅつど しており、復元 ふくげん 品 ひん がアクィンクム博物館 はくぶつかん に展示 てんじ されている。
紀元前 きげんぜん 1世紀 せいき はじめ、水 みず オルガンとは仕組 しく みの異 こと なるふいご によるオルガンが出現 しゅつげん していることが確認 かくにん されている。ふいご を用 もち いる改良 かいりょう は、オルガンにとって大 おお きな進化 しんか となった。音 おと を途切 とぎ れさせないためには複数 ふくすう のふいごを設置 せっち することでそれを防 ふせ いでいた。
9世紀 せいき に、ヨーロッパでオルガン製作 せいさく が再 ふたた び始 はじ まるようになった。当初 とうしょ は宗教 しゅうきょう とは特 とく に関係 かんけい はなかったが、13世紀 せいき には教会 きょうかい の楽器 がっき としても確立 かくりつ された。一方 いっぽう で、世俗 せぞく にも比較的 ひかくてき 小型 こがた の楽器 がっき が普及 ふきゅう した[2] 。
15世紀 せいき 後半 こうはん から16世紀 せいき のルネサンス 時代 じだい には、ストップ の多様 たよう な組 く み合 あ わせによって音色 ねいろ の変化 へんか が効果 こうか 的 てき に用 もち いられるようになった。現在 げんざい のほぼすべてのオルガンに採用 さいよう されている「スライダー・チェスト」が発明 はつめい されたのはこの時代 じだい で、スライダーを用 もち いてストップを選択 せんたく するという方式 ほうしき が定着 ていちゃく していった[3] 。オルガンが日本 にっぽん に伝来 でんらい したのはこの時期 じき で、1581年 ねん に高山 たかやま 右近 うこん 統治 とうち 下 か の高槻 たかつき の教会 きょうかい に設置 せっち されたパイプオルガンが日本 にっぽん で最初 さいしょ とされる[4] 。
17世紀 せいき から18世紀 せいき 前半 ぜんはん のバロック 時代 じだい はオルガン文化 ぶんか の全盛期 ぜんせいき にあたる。特 とく に北 きた ドイツでは、新教 しんきょう が大 だい オルガンを建造 けんぞう することを競 きそ い始 はじ めるようになり、巨大 きょだい 化 か が加速 かそく された。オルガン建造 けんぞう 家 か として現在 げんざい も伝説 でんせつ の巨匠 きょしょう とされるアルプ・シュニットガー [5] やジルバーマン兄弟 きょうだい もこの時代 じだい に活躍 かつやく した。世間 せけん にも広 ひろ まった時期 じき で、新興 しんこう 階級 かいきゅう の部屋 へや に置 お かれることもあった。
19世紀 せいき から20世紀 せいき 初頭 しょとう には、多様 たよう な8'の音色 ねいろ による交響楽 こうきょうがく 的 てき な設計 せっけい のオルガンが作 つく られ「シンフォニック・オルガン」や「ロマンティック・オルガン」と呼 よ ばれる。作曲 さっきょく 家 か たちの間 あいだ ではオルガン・ソロのための交響曲 こうきょうきょく を書 か くことが流行 りゅうこう したことからも、この時代 じだい のオルガンがどのような傾向 けいこう を持 も っていたかが窺 うかが える。建造 けんぞう 家 か としてはアリスティド・カヴァイエ=コル が特 とく に有名 ゆうめい である[6] 。
20世紀 せいき にドイツに起 お こった「オルガン運動 うんどう 」によって古 ふる い時代 じだい のオルガンが見直 みなお されるようになり、バロック時代 じだい のオルガンを模倣 もほう した「ネオバロック・オルガン」が数多 かずおお く造 つく り出 だ された[7] 。しかし、当時 とうじ は過去 かこ のオルガンに関 かん する研究 けんきゅう が不十分 ふじゅうぶん であり、歴史 れきし 的 てき オルガンの修復 しゅうふく にあたって多 おお くの過 あやま ちを犯 おか した。
現在 げんざい は、古 ふる い時代 じだい のオルガン建造 けんぞう 技術 ぎじゅつ が尊重 そんちょう され、歴史 れきし 的 てき 楽器 がっき の本来 ほんらい の音 おと に近 ちか づくために、より慎重 しんちょう な修復 しゅうふく や複製 ふくせい が行 おこな われるようになっている。
おもに教会 きょうかい やコンサートホール に設置 せっち される大 だい オルガンのほかに、小型 こがた の据 す え置 お き型 がた のポジティフ・オルガン (w:en:Positive organ )や、可 か 搬型のポルタティフ・オルガン (オルガネット)(w:en:Portative organ )などがある。
用途 ようと や設置 せっち 場所 ばしょ を特 とく に意図 いと したい場合 ばあい には、「教会 きょうかい オルガン」「コンサート・オルガン」「ハウス・オルガン」「劇場 げきじょう オルガン」「シアター・オルガン」「シネマ・オルガン」などの呼 よ び方 かた が使 つか われることもある。最後 さいご の3つは音楽 おんがく 鑑賞 かんしょう を主 おも 目的 もくてき としないもので、録音 ろくおん ・再生 さいせい 装置 そうち が広 ひろ く出回 でまわ る前 まえ の時代 じだい に、劇場 げきじょう の効果 こうか 音 おん や雰囲気 ふんいき づくりに使用 しよう された。たとえば映画 えいが で、音楽 おんがく を奏 そう するほか、蒸気 じょうき 機関 きかん 車 しゃ の蒸気 じょうき や汽笛 きてき の音 おと 、動物 どうぶつ の鳴 な き声 ごえ 、爆 ばく 発音 はつおん まで、さまざまな音 おと をオルガンの多彩 たさい なストップを応用 おうよう して模倣 もほう して出 だ す。
スイス ・
シオン 、ノートルダム・ドゥ・ヴァレール
教会 きょうかい 、1400
年 ねん ごろ(
演奏 えんそう 可能 かのう なもののうち
最古 さいこ )
ドイツ ・
リューベック 、
聖 せい ヤコビ
教会 きょうかい 、Stellwagen、1636
年 ねん
北 きた ドイツ・
シュターデ 、
聖 せい コスメ
教会 きょうかい 、B. Hussおよび
アルプ・シュニットガー 、1688
年 ねん
北 きた ドイツ・ノアデン、聖 せい ルドゲリ教会 きょうかい 、A. シュニットガー、1688年 ねん
フランス、
マルムーティエ 修道院 しゅうどういん 教会 きょうかい 、
アンドレアス・ジルバーマン 、1709
年 ねん
ドイツ・ヴァインガルテン、聖 せい マルティン教会 きょうかい 、ヨゼフ・ガブラー、1750年 ねん
ヴァインガルテンのガブラー・オルガン(クローズアップ)
南 みなみ ドイツ、オットーボイレン修道院 しゅうどういん 教会 きょうかい 、カール・ヨゼフ・リープ、1766年 ねん
ドイツ、アーモーバッハ修道院 しゅうどういん 教会 きょうかい 、Stumm工房 こうぼう 、1774年 ねん
ポルタティフ、ドイツ、1979年 ねん
レガール、ドイツ、1978年 ねん
テーブル・ポジティフ、ドイツ、1978年 ねん
日本 にっぽん 、
横浜 よこはま みなとみらいホール、1998
年 ねん
日本 にっぽん 、ポジティフ、
横浜 よこはま みなとみらいホール、2011
年 ねん
パイプはオルガンの発音 はつおん の主体 しゅたい であり、おもに錫 すず と鉛 なまり の合金 ごうきん や木材 もくざい で作 つく られる。一般 いっぱん に装飾 そうしょく を兼 か ねて前面 ぜんめん に配置 はいち されるパイプよりもはるかに多 おお くのパイプがケース内部 ないぶ には配置 はいち されている。パイプの発音 はつおん 構造 こうぞう は大 おお きく分 わ けて2種類 しゅるい あり、それぞれフルー(英語 えいご : flue )管 かん とリード(英語 えいご : reed )管 かん と呼 よ ばれる。フルー管 かん はリコーダー と同 おな じく歌口 うたぐち により発音 はつおん するもので、リード管 かん はクラリネット と同様 どうよう の1枚 まい リードの構造 こうぞう で発音 はつおん する。またパイプの太 ふと さや、開 ひらき 管 かん 、閉管、半開 はんかい 管 かん などの構造 こうぞう の違 ちが いにより多様 たよう な音色 ねいろ のパイプが存在 そんざい する。
鍵盤 けんばん に対応 たいおう した一 いち 揃 ぞろ いのパイプ列 れつ は、それぞれに名称 めいしょう がつけられ、ストップと呼 よ ばれる選択 せんたく 機構 きこう によって使用 しよう が選択 せんたく される。またパイプ列 れつ 自体 じたい をストップと呼 よ ぶことも一般 いっぱん 的 てき である。パイプ列 れつ の音 おと 高 だか はフィート 律 りつ で示 しめ される。すなわち標準 ひょうじゅん の音 おと 高 だか のパイプ列 れつ は8'と表現 ひょうげん され、それよりも1オクターヴ 高 たか いあるいは低 ひく い音 おと 高 だか のパイプ列 れつ はそれぞれ4'、16'となる。これは一般 いっぱん に鍵盤 けんばん の最低 さいてい 音 おん であるC音 おと のパイプの長 なが さが、おおよそ8フィートになることに基 もと づいている。
一般 いっぱん に大 だい 規模 きぼ なオルガンでは、パイプ群 ぐん はそれぞれが独立 どくりつ した小 しょう オルガンともいえるディヴィジョンに組織 そしき される。各 かく ディヴィジョンごとに鍵盤 けんばん が設 もう けられ、それによって音色 ねいろ や音量 おんりょう の対比 たいひ が可能 かのう となる[8] 。
パイプ3種 しゅ
金属 きんぞく 管 かん
木製 もくせい 管 かん
リード管 かん
パイプは1つずつ風 ふう 箱 ばこ (英 えい : wind chest、独 どく : Windlade、仏 ふつ : sommier、伊 い : somiere)と接続 せつぞく されている。風 ふう 箱 ばこ の内部 ないぶ は一定 いってい の気圧 きあつ に与 あずか 圧 お されており、鍵盤 けんばん が押 お されたときに弁 わきまえ (パレット)が開 ひら き、パイプに風 ふう を送 おく りこむ仕組 しく みになっている[9] 。
古 ふる い時代 じだい から現在 げんざい まで、もっとも多 おお く採用 さいよう されている風 ふう 箱 ばこ 構造 こうぞう はトーン・チャンネル・チェストで、1音 おと 高 だか ずつに分 わ かれた、共通 きょうつう 音 おん 溝 みぞ に異 こと なる管 かん 種 しゅ のパイプが接続 せつぞく する。音 おと 高 だか が共通 きょうつう する、異 こと なる管 かん 種 しゅ が同 どう 一 いち 時 じ に発音 はつおん するため、各 かく 管 かん 種 しゅ が融合 ゆうごう し、音楽 おんがく 的 てき に旋律 せんりつ 線 せん を明確 めいかく に演奏 えんそう できる構造 こうぞう となっている。
ロマンティック・オルガンの多 おお くには、ストップ・チャンネル・チェストが採用 さいよう された。管 かん 種 しゅ (ストップ)ごとの溝 みぞ に分 わ かれ、共通 きょうつう 溝 みぞ に同一 どういつ 管 かん 種 しゅ のパイプが接続 せつぞく する。同一 どういつ 管 かん 種 しゅ へ供給 きょうきゅう する風 ふう が共通 きょうつう の溝 みぞ を通 とお るため、ロマンティック・オルガン特有 とくゆう の個々 ここ の音色 ねいろ ごとに解 と け合 あ った響 ひび きとなる。
風 ふう 箱 ばこ への空気 くうき の供給 きょうきゅう は、19世紀 せいき 中頃 なかごろ までは人力 じんりき によるふいご によって行 おこな われた。小型 こがた のオルガンでは演奏 えんそう 者 しゃ 自身 じしん がふいごを操作 そうさ するものもあるが、より大型 おおがた のオルガンでは演奏 えんそう 者 しゃ の他 ほか にふいご手 て を必要 ひつよう とした。19世紀 せいき 後半 こうはん から人力 じんりき に代 か えて蒸気 じょうき 機関 きかん などを用 もち いることが行 おこな われ、20世紀 せいき に入 はい るころから電力 でんりょく 式 しき の送風 そうふう 装置 そうち が登場 とうじょう して、非常 ひじょう に大 おお きな風圧 ふうあつ も容易 ようい に得 え られるようになった。しかし、20世紀 せいき 末 まつ からは伝統 でんとう 的 てき な送風 そうふう 機構 きこう の音楽 おんがく 的 てき な価値 かち が見直 みなお されるようになり、電力 でんりょく による送風 そうふう に加 くわ えて、手動 しゅどう のふいごによる送風 そうふう が可能 かのう なものも作 つく られている[1] 。
スウェルは連続 れんぞく 的 てき な音量 おんりょう の変化 へんか を得 え るために、パイプ群 ぐん を箱 はこ (スウェル・ボックス)に納 おさ め、可動 かどう 式 しき の鎧戸 よろいど (スウェル・シャッター)を設 もう けたものである。演奏 えんそう 者 しゃ がペダル を操作 そうさ することによってシャッターが開閉 かいへい し、音量 おんりょう の変化 へんか が得 え られる。シャッターの各 かく 板 いた は、かつては水平 すいへい に設置 せっち されていたが、動作 どうさ にかかる負荷 ふか が大 おお きいため、現在 げんざい では垂直 すいちょく に設置 せっち されることが多 おお い。
キー・アクションは鍵盤 けんばん の動 うご きによって風 ふう 箱 ばこ のパレットを開閉 かいへい するための仕組 しく みである。
トラッカー・アクション は鍵盤 けんばん とパレットが機械 きかい 的 てき に直接 ちょくせつ 結合 けつごう しているものであり、古 ふる くから存在 そんざい するもっとも基本 きほん 的 てき なものである。鍵盤 けんばん の動 うご きが直接 ちょくせつ パレットを動 うご かすため微細 びさい なニュアンスの表現 ひょうげん が可能 かのう である。また、風圧 ふうあつ によってキーを押 お したときに独特 どくとく の抵抗 ていこう 感 かん を持 も つ感触 かんしょく が得 え られ、これが演奏 えんそう 者 しゃ と楽器 がっき の結 むす びつきを強 つよ める。これらの長所 ちょうしょ から、現代 げんだい でもトラッカー・アクションは広 ひろ く使用 しよう されている[10] 。
バーカー・レバー・アクション は、空気圧 くうきあつ のモーターを用 もち いて鍵盤 けんばん 操作 そうさ に要 よう する力 ちから を軽減 けいげん したものである[11] 。一般 いっぱん に大 だい オルガンなどに組 く み込 こ まれた装置 そうち で、中小 ちゅうしょう 規模 きぼ のオルガンでは使 つか われない。19世紀 せいき 初頭 しょとう のオルガンは高 たか い風圧 ふうあつ のために鍵盤 けんばん が非常 ひじょう に重 おも くなり、オルガン奏者 そうしゃ に過大 かだい な負担 ふたん を強 し いていた。バーカー(Charles Spackmann Barker、英 えい )が1832年 ねん にバーカー・レバーを発明 はつめい 、1839年 ねん 、フランスで特許 とっきょ を得 え た。カヴァイエ=コル (Aristide Cavaillé-Coll) はこの発明 はつめい を自身 じしん 設計 せっけい のオルガンに大々的 だいだいてき に組 く み込 こ んだ。バーカー・レバー・アクションはトラッカー・アクションに近 ちか いキーの感触 かんしょく を持 も つが、パレットを開閉 かいへい する速度 そくど の制御 せいぎょ はできない。
19世紀 せいき 後半 こうはん にはニューマティック・アクション が開発 かいはつ された。これは直接的 ちょくせつてき な結合 けつごう をすべて空気 くうき 管 かん で置 お き換 か えたもので、演奏 えんそう 台 だい をパイプから離 はな れた位置 いち に置 お くこともできる。しかしトラッカー・アクションの持 も っていた感触 かんしょく はなく、しばしば反応 はんのう が鈍 にぶ い。
エレクトリック・アクション は電磁石 でんじしゃく を利用 りよう してパレットを開閉 かいへい するものである。鍵盤 けんばん と風 ふう 箱 ばこ の間 あいだ は電線 でんせん でつながれるため、演奏 えんそう 台 だい の配置 はいち は完全 かんぜん に自由 じゆう である。電気 でんき の伝達 でんたつ 速度 そくど は瞬間 しゅんかん 的 てき であるが、アクションの作動 さどう 速度 そくど は開閉 かいへい 機構 きこう の品質 ひんしつ により、必 かなら ずしも瞬間 しゅんかん 的 てき な反応 はんのう を示 しめ すわけではない。鍵盤 けんばん は単 たん なる電気 でんき スイッチであるが、トラッカー・アクションに似 に せた感触 かんしょく が作 つく られることもある。
ローラー・ボードは、トラッカー・アクションでキーの上下 じょうげ の動 うご きを横 よこ 方向 ほうこう に伝達 でんたつ するための機構 きこう である[12] 。キーの上下動 じょうげどう でパレットを開閉 かいへい するためには、鍵盤 けんばん の各 かく キーの直上 ちょくじょう に各 かく パイプが配置 はいち されるのが理想 りそう であるが、多 おお くのオルガンでは、パイプとキーの位置 いち が一致 いっち しないため必要 ひつよう となる。歴史 れきし 的 てき には600年 ねん 以上 いじょう も前 まえ 、ゴシック時代 じだい のオルガンにすでに導入 どうにゅう されていた。ポジティフなどの小型 こがた オルガンでは、鍵盤 けんばん とパイプの配置 はいち のずれがあまりなく、ローラー・ボードを設置 せっち しないオルガンもある。
ローラー・ボード
ローラー・ボード、部品 ぶひん 名 めい
演奏 えんそう 台 だい
演奏 えんそう 台 だい (コンソール、独 どく : Spielschrank/Spieltisch、仏 ふつ ・英 えい : console、伊 い : consolle )は演奏 えんそう 者 しゃ が操作 そうさ する部分 ぶぶん で、発音 はつおん のトリガーとなる手 て 鍵盤 けんばん と足 あし 鍵盤 けんばん および音色 ねいろ を選択 せんたく するストップ が基本 きほん 的 てき 要素 ようそ となる[13] 。また現代 げんだい のオルガンでは、メモリ にストップのコンビネーションを記憶 きおく させられるものもあり、これを操作 そうさ するボタン類 るい が備 そな えつけられている。背後 はいご の指揮 しき 者 しゃ やコンサートマスター を視認 しにん することができるよう、譜面 ふめん 台 だい の上部 じょうぶ に鏡 かがみ やモニターテレビが備 そな えられていることもある。
オルガンの鍵盤 けんばん の音域 おんいき
小 しょう オルガンの集合 しゅうごう 体 たい である大 だい オルガンは、それぞれの小 しょう オルガンに対応 たいおう した鍵盤 けんばん があり、何 なに 段 だん もの手 しゅ 鍵盤 けんばん が備 そな えつけられることが多 おお い。鍵盤 けんばん は、下 した から数 かぞ えて第 だい 1鍵盤 けんばん 、第 だい 2鍵盤 けんばん 、第 だい 3鍵盤 けんばん と数 かぞ えていく。現代 げんだい の楽器 がっき では3段 だん 備 そな えたものが多 おお く、それ以上 いじょう ある場合 ばあい には、3段 だん の基本 きほん 的 てき なセットの上部 じょうぶ に追加 ついか されていく。4 - 5段 だん が大 だい オルガンとして一般 いっぱん 的 てき に見 み かける上限 じょうげん であり、それ以上 いじょう のものは例外 れいがい 的 てき である。通常 つうじょう は、主 しゅ 鍵盤 けんばん が3段 だん の中央 ちゅうおう に位置 いち しており、下 した から順 じゅん に、ポジティフ鍵盤 けんばん →主 しゅ 鍵盤 けんばん →スウェル鍵盤 けんばん と配置 はいち されているが、フランス式 しき では最 さい 下段 げだん が主 しゅ 鍵盤 けんばん とされていることが多 おお い。
多 おお くのオルガンは手 て 鍵盤 けんばん に加 くわ え足 あし 鍵盤 けんばん (ペダル鍵盤 けんばん 、独 どく : Pedal、仏 ふつ : pédale、英 えい : pedal、伊 い : pedale )を備 そな える。足 あし 鍵盤 けんばん のための独立 どくりつ したパイプ群 ぐん を持 も たないプルダウン型 がた のものもある。足 あし 鍵盤 けんばん の鍵 かぎ 数 すう や形状 けいじょう は、歴史 れきし 的 てき には多様 たよう である。形状 けいじょう にはボタンやピストンのようなものもある。
平面 へいめん 配置 はいち
平行 へいこう 型 がた
鍵 かぎ が平行 へいこう に並 なら んでいるもの。広 ひろ い音域 おんいき にまたがって動 うご くような楽 らく 句 く がある場合 ばあい には、鍵 かぎ が同 おな じ間隔 かんかく で並 なら べられているため、横 よこ 方向 ほうこう に演奏 えんそう しながら移動 いどう しやすいという特長 とくちょう がある。ただし、低 てい 音域 おんいき 、高 こう 音域 おんいき は遠 とお く、奏者 そうしゃ は腰 こし を安定 あんてい させたままで全 ぜん 音域 おんいき を難 なん なく演奏 えんそう するには訓練 くんれん が必要 ひつよう となる。
扇型 おうぎがた ・放射状 ほうしゃじょう
鍵 かぎ が放射状 ほうしゃじょう に並 なら んでおり、黒 くろ 鍵 かぎ 側 がわ が円弧 えんこ を描 えが くように設計 せっけい されている。広 ひろ い音域 おんいき にまたがって動 うご くような楽 らく 句 く がある場合 ばあい には、鍵 かぎ が同 おな じ間隔 かんかく で並 なら べられていないため、横 よこ 方向 ほうこう に演奏 えんそう しながら移動 いどう しにくいという欠点 けってん がある。ただし、低 てい 音域 おんいき 、高 こう 音域 おんいき は、より後 うし ろ側 がわ の鍵 かぎ ほど束 たば ねられる傾向 けいこう があるため、そのような場合 ばあい には、奏者 そうしゃ は後 うし ろの方 ほう を奏 そう することによって腰 こし の不安定 ふあんてい さを軽減 けいげん することができるという特長 とくちょう がある。しかし、足 あし の後 うし ろをもう片方 かたがた の足 あし が通過 つうか して奏 そう する場合 ばあい や、足 あし と足 あし とが接近 せっきん して重 じゅう 音 おと を奏 そう する場合 ばあい などには、後 うし ろ側 がわ の鍵 かぎ 同士 どうし の間隔 かんかく が狭 せま いために弾 ひ きづらくなるという欠点 けってん がある。
立体 りったい 配置 はいち
水平型 すいへいがた
鍵 かぎ が水平 すいへい に並 なら んでいるもの。広 ひろ い音域 おんいき にまたがって動 うご くような楽 らく 句 く がある場合 ばあい には、鍵 かぎ 同士 どうし が同 おな じ高 たか さにあるため、横 よこ 方向 ほうこう に演奏 えんそう しながら移動 いどう しやすいという特長 とくちょう がある。低 てい 音域 おんいき 、高 こう 音域 おんいき は遠 とお く、奏者 そうしゃ は腰 こし を安定 あんてい させたままで全 ぜん 音域 おんいき を難 なん なく演奏 えんそう するには訓練 くんれん が必要 ひつよう となる。
凹面状 じょう
中央 ちゅうおう の鍵 かぎ が窪 くぼ んだ形 かたち となっているもの。広 ひろ い音域 おんいき にまたがって動 うご くような楽 らく 句 く がある場合 ばあい には、鍵 かぎ 同士 どうし が異 こと なった高 たか さにあるため、横 よこ 方向 ほうこう に演奏 えんそう しながら移動 いどう しにくいという欠点 けってん がある。その代 か わり、低 てい 音域 おんいき ・高 こう 音域 おんいき はせり上 あ がって奏者 そうしゃ により近 ちか くなっているため、奏者 そうしゃ にとって負担 ふたん が少 すく ないという特長 とくちょう がある。
その他 た の形状 けいじょう
ボタン式 しき 足 あし 鍵盤 けんばん
鍵盤 けんばん とは呼 よ べないようなボタンが並 なら ぶ。補助 ほじょ 的 てき に低音 ていおん を奏 そう するような様式 ようしき のオルガンに見 み られる。
爪先 つまさき ペダル鍵盤 けんばん
鍵盤 けんばん とは呼 よ べないようなペダルが並 なら ぶ。補助 ほじょ 的 てき に低音 ていおん を奏 そう するような様式 ようしき のオルガンに見 み られる。
箱 はこ 型 がた 足 あし 鍵盤 けんばん (フランス式 しき )
現在 げんざい の足 あし 鍵盤 けんばん とは違 ちが い、細 ほそ い板 いた 状 じょう の足 あし 鍵盤 けんばん が並 なら んでいる。
傾斜 けいしゃ 型 がた 足 あし 鍵盤 けんばん (イタリア式 しき )
現在 げんざい の足 あし 鍵盤 けんばん とは違 ちが い、黒 くろ 鍵 かぎ 側 がわ が上部 じょうぶ に傾斜 けいしゃ をつけてせり上 あ がる形態 けいたい で設置 せっち されている。白 しろ 鍵盤 けんばん は多少 たしょう 弾 ひ きづらく、上体 じょうたい は後 うし ろに反 そ りやすくなるという弱点 じゃくてん がある。
現代 げんだい も見 み られる多 おお くの足 あし 鍵盤 けんばん では、鍵 かぎ 数 すう 30か32で落 お ち着 つ いている。
ベネシアンブラインドのような開閉 かいへい 窓 まど (スウェル・シャッター)を開閉 かいへい することによって、強弱 きょうじゃく (大小 だいしょう )をコントロールするためのペダル。
古 ふる くは足 あし 鍵盤 けんばん 奥 おく に僅 わず かに設 もう けられたスペースに、現代 げんだい ではその多 おお くが足 あし 鍵盤 けんばん の上部 じょうぶ に設 もう けられている。当初 とうしょ は右足 みぎあし で操作 そうさ されるように設計 せっけい されたため、現在 げんざい でも中央 ちゅうおう より右側 みぎがわ に設置 せっち されているが、実際 じっさい 的 てき には足 あし 鍵盤 けんばん の演奏 えんそう 中 ちゅう に空 あ いている方 ほう の足 あし によって操作 そうさ されるため、どちらの足 あし で操作 そうさ するとも限 かぎ らない。左足 ひだりあし で操作 そうさ する際 さい には多少 たしょう の苦労 くろう を伴 ともな うこととなる。
スウェル・シャッターの効果 こうか は、楽器 がっき によってまちまちであり、完全 かんぜん に閉 と じてもあまり音 おん が小 ちい さくならないものもあるため、奏者 そうしゃ は楽器 がっき の特性 とくせい を知 し っておかねばならない。特 とく に、多 おお くの場合 ばあい には、開 ひら き始 はじ めにその効果 こうか が非常 ひじょう に大 おお きく、半分 はんぶん 以上 いじょう 開 ひら いてからは、あまりその変化 へんか は感 かん じられない。そのため、半分 はんぶん までの開 ひら き具合 ぐあい を知 し ることが、スウェル・ペダルを扱 あつか ううえで重要 じゅうよう な点 てん となる[14] 。
アメリカ・イギリス式 しき のものは、奥 おく を踏 ふ むとスウェル・シャッターが開 ひら いて音 おと が大 おお きくなるが、ヨーロッパ諸国 しょこく ではその逆 ぎゃく のものも多 おお く見 み られるため、奏者 そうしゃ は最初 さいしょ に確認 かくにん しておく必要 ひつよう がある。また、スウェル・シャッターを閉 と じたままにしておくと、スウェル・ボックス内 ない に空気 くうき が停滞 ていたい して錆 さび の発生 はっせい などで楽器 がっき を傷 いた めるため、演奏 えんそう 後 ご はスウェル・ペダルは全開 ぜんかい にしておくことが望 のぞ ましい。
スウェル・シャッターによらない強弱 きょうじゃく 方法 ほうほう であり、このペダルを操作 そうさ すると、徐々 じょじょ にストップ数 すう を足 た していくことができ、最終 さいしゅう 的 てき にはトゥッティ に至 いた る[15] 。多 おお くの場合 ばあい には、スウェル・ペダルと併設 へいせつ されている。ストップが増 ふ えることにより段階 だんかい がついてしまい、スウェル・ペダルほど滑 なめ らかな強弱 きょうじゃく がつかないが、これによる強弱 きょうじゃく の幅 はば は非常 ひじょう に大 おお きい。クレッシェンド・ペダルで用 もち いるストップの追加 ついか 順序 じゅんじょ や組 く み合 あ わせは設計 せっけい 時 じ に決 き められてしまい、これが表現 ひょうげん 上 じょう の制限 せいげん となっていたが、現代 げんだい では、記憶 きおく 装置 そうち を併用 へいよう して奏者 そうしゃ がストップの組 く み合 あ わせや追加 ついか 順序 じゅんじょ を作成 さくせい することができるものもある。
コンビネーション(音 おと 栓 せん 操作 そうさ 記憶 きおく 装置 そうち )
編集 へんしゅう
足 あし ピストン
足 あし ピストン(独 どく : Piston/Fußpiston、仏 ふつ : champignon/piston、英 えい : toe piston、伊 い : pistone )は足 あし で軽 かる く押 お す(踏 ふ む)ことによってon/offを動作 どうさ させるピストンである。現代 げんだい では一般 いっぱん 的 てき には、あらかじめ奏者 そうしゃ が記憶 きおく 装置 そうち によって記憶 きおく したストップの自由 じゆう なコンビネーションを、演奏 えんそう 中 ちゅう に手 て でその切 き り換 か えができない場合 ばあい に、足 あし ピストンによって切 き り換 か えるために使用 しよう する。多 おお く見 み かけるものでは2種類 しゅるい あり、番号 ばんごう が振 ふ られたピストンによって記憶 きおく させたコンビネーションの番号 ばんごう をそのまま呼 よ び出 だ すものと、記憶 きおく させたコンビネーションを先送 さきおく りか後戻 あともどり しさせるものが一般 いっぱん 的 てき となっている。同様 どうよう の機能 きのう を持 も つボタンが、手 て 鍵盤 けんばん の直下 ちょっか などにもあることが多 おお い。両足 りょうあし が塞 ふさ がっているときには、手 て で同様 どうよう の操作 そうさ を行 おこな うこととなり、手 て も足 あし も塞 ふさ がっているときには、助手 じょしゅ がその操作 そうさ を手 て か足 あし で行 おこな うことも多々 たた ある。このことから、コンソール設計 せっけい においては、足 あし ピストンを奏者 そうしゃ 本人 ほんにん が扱 あつか いやすいだけでなく、助手 じょしゅ が操作 そうさ しても届 とど く範囲 はんい で、なおかつ奏者 そうしゃ の邪魔 じゃま にならないような位置 いち に設置 せっち することが求 もと められる。
ピアノが19世紀 せいき 末 まつ ごろにおおよそ現在 げんざい の形 かたち となり、20世紀 せいき に相当 そうとう 程度 ていど に標準 ひょうじゅん 化 か が進 すす んだのに対 たい し、オルガンの規格 きかく 化 か は非常 ひじょう に遅 おく れていた。現在 げんざい では、多 おお くの新 あたら しいオルガンが国際 こくさい 的 てき な規格 きかく に則 のっと って設計 せっけい されており、奏者 そうしゃ はより演奏 えんそう しやすくなった。しかし、小 ちい さな建造 けんぞう 家 か やメーカーは、それに沿 そ わないオルガンを製造 せいぞう し続 つづ けており、古 ふる いオルガンも数多 かずおお く現存 げんそん するため、オルガニストはどのようなオルガンにでも適応 てきおう する能力 のうりょく が求 もと められる。
一般 いっぱん 的 てき に見 み られるものは、以下 いか のBDO規格 きかく (ドイツというよりも実質 じっしつ 的 てき にはヨーロッパ規格 きかく )かAGO規格 きかく かによっている。
ドイツ・オルガン建造 けんぞう 職人 しょくにん 連合 れんごう 規格 きかく (BDO; Bund Deutscher Orgelbaumeister) 規格 きかく
平行 へいこう 型 がた を支持 しじ している。
アメリカ・オルガニスト協会 きょうかい 規格 きかく (AGO; American Guild of Organist) 規格 きかく
扇型 おうぎがた を支持 しじ している。
イギリス王立 おうりつ オルガニスト協会 きょうかい 規格 きかく (RCO; Royal College of Organists) 規格 きかく
チューニング・コーン
フルー管 かん の調律 ちょうりつ は、閉管の場合 ばあい は、蓋 ぶた の上下 じょうげ によって調整 ちょうせい する。金属 きんぞく 製 せい の開 ひらき 管 かん の場合 ばあい は、あらかじめ長 なが めに作 つく り開口 かいこう 部 ぶ を帯状 おびじょう に切 き り欠 か いて巻 ま き取 と ることでパイプの実効 じっこう 長 ちょう を調整 ちょうせい したり、あるいは短 みじか めに作 つく り上部 じょうぶ に筒 つつ を巻 ま いてスライドさせることで調律 ちょうりつ する。そのような仕組 しく みがない場合 ばあい は、チューニング・コーンを用 もち いてパイプの開口 かいこう 部 ぶ を変形 へんけい させることで調律 ちょうりつ する。開口 かいこう 部 ぶ を広 ひろ げることでピッチを上 あ げ、狭 せば めることでピッチを下 さ げる。木製 もくせい の開 ひらき 管 かん の場合 ばあい は、長 なが めに作 つく ったうえで切 き り込 こ みを入 い れ、そこにスライド式 しき の調整 ちょうせい 部 ぶ を設 もう けたり、短 みじか めに作 つく り開口 かいこう 部 ぶ に金属 きんぞく 製 せい の蓋 ぶた をとりつけて開口 かいこう 量 りょう を調節 ちょうせつ することで調律 ちょうりつ する。リード管 かん の調律 ちょうりつ はリードの振動 しんどう 長 ちょう を調節 ちょうせつ することで行 おこな う。
オルガンは原理 げんり 的 てき には管楽器 かんがっき であり、気温 きおん による音速 おんそく の変化 へんか によってピッチの変動 へんどう が生 しょう じる。しかしオルガンの調律 ちょうりつ は容易 ようい には行 おこな えないため、空調 くうちょう の設備 せつび の整 ととの わない教会 きょうかい のオルガンとの合奏 がっそう では問題 もんだい が生 しょう じることがある。気温 きおん の変化 へんか でオルガンのピッチが数 すう ヘルツ上下 じょうげ することは十分 じゅうぶん にあり得 え ることだからである。気温 きおん によるピッチの変化 へんか は同 おな じストップであれば同 おな じ比率 ひりつ で現 あらわ れるため、独奏 どくそう の範囲 はんい では和声 わせい に影響 えいきょう するわけではない。それでもリード管 かん とフルー管 かん では差 さ が出 で るため、フルー管 かん に合 あ わせるためにリード管 かん を一斉 いっせい に調律 ちょうりつ する仕組 しく みを持 も つものもある。
リードオルガン(Dominion Organ、カナダ )
明治 めいじ 時代 じだい のリードオルガン
フリー・リード を用 もち いた楽器 がっき の総称 そうしょう 。ハーモニウム 、アコーディオン 、コンサーティーナ 、鍵盤 けんばん ハーモニカ 、ハーモニカ などがある。フリー・リード を持 も つ楽器 がっき の多 おお くは19世紀 せいき 以降 いこう に発明 はつめい された新 あたら しい楽器 がっき であるが、笙 しょう は歴史 れきし の古 ふる いフリー・リード による管楽器 かんがっき 。
フリー・リード (自由 じゆう リード、自由 じゆう 簧)とは、各国 かっこく 語 ご では、英語 えいご :free reed(フリー・リード)、独語 どくご :durchschlagende Zunge(ドゥアヒシュラーゲンデ・ツンゲ)、einschlagende Zunge(アインシュラーゲンデ・ツンゲ)、freischwingende(フライシュヴィンゲンデ)、仏語 ふつご :anche libre(アンシュ・リーブル)、伊 い 語 ご :ancia libra(アンチャ・リブラ)などと称 しょう し、これは弾力 だんりょく 性 せい の高 たか い金属 きんぞく 片 へん (まれに竹 たけ 製 せい )が風 ふう で振動 しんどう させられる発音 はつおん 体 たい を指 さ す。平 たい らな板 いた に穴 あな を開 あ けておき、その穴 あな の脇 わき にフリー・リードの端 はし を固定 こてい して並 なら べる。穴 あな の反対 はんたい 側 がわ から空気 くうき を送 おく り込 こ むか吸 す い出 だ すかによって音 おと が生 う み出 だ される(en:Free_reed_aerophone )。一般 いっぱん 的 てき にはリードを固定 こてい している響 ひびき 板 ばん をリードに共鳴 きょうめい 振動 しんどう させて音量 おんりょう を確保 かくほ している(ヴァイオリンの胴 どう と同 おな じ効果 こうか )。スウェル、フルオルガン(グラン・ジュー)、エクスプレッションなど各種 かくしゅ の増幅 ぞうふく 装置 そうち がある。まれにクオリファイング・チューブ(特許 とっきょ あり)と呼 よ ばれる共鳴 きょうめい 管 かん を備 そな えるタイプがある。パイプによる発音 はつおん 体 たい を作 つく るよりもずっと簡単 かんたん で、丈夫 じょうぶ で音 おと も狂 くる う心配 しんぱい はなく、工場 こうじょう による大量 たいりょう 生産 せいさん も簡単 かんたん で、コストを非常 ひじょう に抑 おさ えることができ、鍵盤 けんばん 楽器 がっき としては小型 こがた で場所 ばしょ を取 と らないことから、大衆 たいしゅう 向 む けの安価 あんか な楽器 がっき として広 ひろ く一般 いっぱん に浸透 しんとう した。ただし本格 ほんかく 的 てき なリード列 れつ を持 も つハーモニウム類 るい の場合 ばあい 、もし現在 げんざい 同 おな じものを作 つく るとしたら、価格 かかく 面 めん ではパイプオルガンに匹敵 ひってき するほどになる。
リードの材質 ざいしつ の厚 あつ さ、長 なが さ、比重 ひじゅう 、弾力 だんりょく 性 せい などによって音 おと の高低 こうてい は決 き まる。音色 ねいろ は、リードの長 なが さと幅 はば の比率 ひりつ や、リードの材質 ざいしつ の比重 ひじゅう と弾力 だんりょく などによっても決 き まる。リードの微妙 びみょう な曲 ま げ方 かた 、形状 けいじょう によっても音色 ねいろ を変 か えている。パイプオルガンと同様 どうよう にピッチの異 こと なるストップを組 く み合 あ わせて音色 ねいろ を変化 へんか させる方法 ほうほう も行 おこな われる。二 に 枚 まい のリードの調律 ちょうりつ を少 すこ しずらしてセレステ効果 こうか を出 だ すストップもある。
送風 そうふう 用 よう ペダルは二 に 個 こ 備 そな わっており交互 こうご に踏 ふ むことで連続 れんぞく した音 おと を出 だ すことが出来 でき る。そのため、息継 いきつ ぎに相当 そうとう する無音 むおん を防 ふせ ぐことが出来 でき る。後述 こうじゅつ のアコーディオンのようにペダルで音量 おんりょう 調整 ちょうせい やアタックの調整 ちょうせい も可能 かのう であるが、通常 つうじょう は「ニー・スウェル」と呼 よ ばれる鍵盤 けんばん の真下 ました に取 と り付 つ けられた操作 そうさ 機構 きこう を横 よこ 方向 ほうこう に動 うご かして行 おこな う。 送風 そうふう が電動 でんどう 化 か されたリードオルガンには送風 そうふう 用 よう ペダルはなく、電子 でんし オルガンのような音量 おんりょう 調整 ちょうせい 用 よう ペダルが備 そな わるが、操作性 そうさせいわる の互換 ごかん のためにニー・スウェルが付 つ く場合 ばあい もある。
(英語 えいご : reed organ, harmonium、独語 どくご : Harmonium、仏語 ふつご : harmonium、伊 い 語 ご : armonium)足踏 あしぶ み式 しき のふいごが風力 ふうりょく 源 げん となり、手 て 鍵盤 けんばん を押 お すことによって発音 はつおん させるべきフリー・リードを選択 せんたく して風 ふう を開放 かいほう させ演奏 えんそう するこの据 す え置 お き型 がた のオルガンは、大 おお きく分 わ けて2種 しゅ ある。吸気 きゅうき 式 しき ふいごによるものと、吐気 はきけ 式 しき ふいごによるもので、北 きた アメリカでは吸気 きゅうき 式 しき を「リード・オルガン」、吐気 はきけ 式 しき を「ハーモニウム 」と呼 よ んで区別 くべつ してきた。ヨーロッパ諸国 しょこく ではどちらも区別 くべつ なく、一律 いちりつ に「ハーモニウム」と呼 よ ぶ。
"Aeoline"(エオリーネ)という楽器 がっき がベルンハルト・エッシェンバッハ (Bernhard Eschenbach, 1767-1852) とその従兄弟 いとこ のヨハン・カズパー・シュリンバッハ (Johann Caspar Schlimbach, 1777-1861) によって1810年 ねん に発明 はつめい された。また、"Physharmonika"(フィズハルモーニカ)という楽器 がっき がアントン・ハックル (Anton Haeckl) によって1821年 ねん にウィーンで特許 とっきょ 取得 しゅとく された。
また、アメリカではグッドリッチ (Ebenezer Goodrich) が最初 さいしょ の "Harmonium"(ハーモニウム)を1810年 ねん ごろに作 つく った。同 おな じころ、フランスのガブリエル・ジョゼフ・グルニエ (Gabriel Joseph Grenié, 1756-1837) が "Orgue expressif"(オルグ・エクスプレッシフ)を作 つく った。のちに世界 せかい 的 てき なパイプ・オルガン建造 けんぞう 家 か として伝説 でんせつ 的 てき な偉人 いじん となったカヴァイエ=コル (Aristide Cavaillé-Coll, 1811-1899) は、室内楽 しつないがく 向 む けの素晴 すば らしく完成 かんせい された芸術 げいじゅつ 的 てき 楽器 がっき を生 う み出 だ し、これを "Poïkilorgue"("poikilos":「多彩 たさい な」「芸術 げいじゅつ 的 てき な」+ "orgue":「オルガン」)と呼 よ んだ。フランク もこのための数 すう 多 おお くの作品 さくひん を作曲 さっきょく し、サン=サーンス やリスト も作曲 さっきょく している。
フランスのアレクサンドル・フランソワ・ドゥバン (Alexandre François Debain, 1809-1877) により "Harmonium"(アルモニオム)という名称 めいしょう で1842年 ねん に特許 とっきょ 取得 しゅとく されたのが、その最初 さいしょ の定義 ていぎ となっており、それは吐気 はきけ 式 しき によっていた。
バッシュマン (J.D.Buschmann) が1836年 ねん に、より簡単 かんたん な吸気 きゅうき 式 しき を考案 こうあん した。しかし、ヨーロッパではそれはまだ可能 かのう でなかった。吸気 きゅうき 式 しき の開発 かいはつ は、1860年代 ねんだい からアメリカで進 すす められた。その結果 けっか 、それが可能 かのう になったのはJames Cahartの発明 はつめい によるものとされている。のちにアメリカのメーソン&ハムリン社 しゃ が1861年 ねん にパリの万博 ばんぱく に吸気 きゅうき 式 しき のものを出展 しゅってん したとされている。万国博 ばんこくはく には各社 かくしゃ が毎回 まいかい 出品 しゅっぴん し、その際 さい の受賞 じゅしょう メダリオンを鍵盤 けんばん の上 うえ のストップボードに誇 ほこ らしげにプリントする習慣 しゅうかん が見 み られた。この習慣 しゅうかん を日本 にっぽん のヤマハも内国 ないこく 勧業 かんぎょう 博覧 はくらん 会 かい にて踏襲 とうしゅう していた。
リードオルガンは19世紀 せいき 後半 こうはん には人気 にんき の高 たか い楽器 がっき であり、米国 べいこく でも家庭的 かていてき な娯楽 ごらく として一般 いっぱん 的 てき だった。ピアノよりずっと安価 あんか で、調律 ちょうりつ は安定 あんてい しており、軽量 けいりょう かつ頑丈 がんじょう で運搬 うんぱん しやすく、馬車 ばしゃ 、蒸気 じょうき 機関 きかん 車 しゃ 牽引 けんいん の列車 れっしゃ などによる輸送 ゆそう に耐 た えた。米国 べいこく ではリードオルガンはパイプ・オルガンの代 か わりとして会衆 かいしゅう の歌 うた の伴奏 ばんそう に広 ひろ く使用 しよう された。この楽器 がっき の基本 きほん 的 てき な特徴 とくちょう は、微妙 びみょう な強弱 きょうじゃく 表現 ひょうげん ができ、小型 こがた である点 てん にあった。その結果 けっか 、パイプオルガンとは違 ちが い、当時 とうじ 勃興 ぼっこう していた多少 たしょう 裕福 ゆうふく な市民 しみん のサロンやパーラー(応接 おうせつ 室 しつ )、アメリカ、カナダ、アフリカ、中国 ちゅうごく 、インド、日本 にっぽん などの開拓 かいたく 伝道 でんどう 、辺境 へんきょう の小 しょう 教会 きょうかい にもオルガンを備 そな えるというニーズに応 こた えた。
1900年代 ねんだい 前半 ぜんはん のピアノ生産 せいさん 技術 ぎじゅつ の進歩 しんぽ によって、ピアノはより手頃 てごろ になった結果 けっか 、リード・オルガンの人気 にんき は急激 きゅうげき に低迷 ていめい した。リード・オルガンがピアノに取 と って代 か わられた他 ほか の理由 りゆう は、神聖 しんせい なパイプ・オルガンの代用 だいよう だったことと、世俗 せぞく 的 てき な家庭 かてい 用 よう オルガンの間 あいだ に揺 ゆ れ動 うご く曖昧 あいまい なその立場 たちば にあり、またリード・オルガンのための独創 どくそう 的 てき な作品 さくひん が不足 ふそく していたということが挙 あ げられる。なお、実際 じっさい には多 おお くの作品 さくひん があったが、20世紀 せいき 中 ちゅう ごろからピアノ作品 さくひん に駆逐 くちく されて演奏 えんそう されなくなった。
日本 にっぽん では「リード・オルガン」「足踏 あしぶ みオルガン」と呼 よ ぶのが一般 いっぱん 的 てき で、以前 いぜん は単純 たんじゅん に「オルガン」というと、この種 たね の楽器 がっき を第一義 だいいちぎ 的 てき に指 さ していた。その歴史 れきし 的 てき 背景 はいけい として、明治 めいじ 期 き から昭和 しょうわ 期 き にかけて、宣教師 せんきょうし が外国 がいこく 製 せい リードオルガンを持 も ち込 こ み、宣教 せんきょう 活動 かつどう に使用 しよう したことと、明治 めいじ 期 き から昭和 しょうわ 期 き にかけて国産 こくさん リードオルガンが100万 まん 台 だい を上回 うわまわ る台数 だいすう 、製造 せいぞう され、唱歌 しょうか 教育 きょういく の中 なか で直接的 ちょくせつてき に音楽 おんがく 普及 ふきゅう に貢献 こうけん したことがある。蓄音機 ちくおんき やラジオが家庭 かてい に普及 ふきゅう する以前 いぜん 、すでに公 おおやけ 教育 きょういく の中 なか でリードオルガン導入 どうにゅう が進 すす み、全国 ぜんこく の尋常 じんじょう 小学校 しょうがっこう で児童 じどう への唱歌 しょうか 教育 きょういく が成功 せいこう していた。明治 めいじ 期 き に普及 ふきゅう したのは安価 あんか な39鍵 かぎ 、49鍵 かぎ の小型 こがた で、大正 たいしょう 時代 じだい にはストップつきも珍 めずら しくなくなった。高級 こうきゅう 型 がた のリードオルガンは16フィートストップや4フィート、2フィート、セレステやフルオルガン、スウェルも備 そな え、おもに師範 しはん 学校 がっこう 、音楽 おんがく 学校 がっこう などに納入 のうにゅう された。少数 しょうすう ではあるがペダル鍵盤 けんばん つきも音楽 おんがく 学校 がっこう などに納入 のうにゅう されていた。
おもなメーカーは明治 めいじ 期 き に長尾 ながお 芳蔵 よしぞう の長尾 ちょうび オルガン、西川 にしかわ 虎吉 とらきち の西川 にしかわ オルガン(のちに日本 にっぽん 楽器 がっき 横浜 よこはま 工場 こうじょう )、山 やま 葉 は 寅 とら 楠 くすのき のヤマハオルガン(日本 にっぽん 楽器 がっき 製造 せいぞう 、浜松 はままつ 工場 こうじょう )、池内 いけうち 甚三 さん 郎 ろう の池内 いけうち オルガン(のちに東洋 とうよう 楽器 がっき 製造 せいぞう [16] 、龍野 たつの 市 し )、石原 いしはら 久之 ひさゆき 祐 ゆう の石原 いしはら オルガン、松本 まつもと 新吉 しんきち の松本 まつもと オルガン(東京 とうきょう 月島 つきしま 工場 こうじょう など)、昭和 しょうわ 期 き になって河合 かわい 小市 こいち のカワイオルガン、名古屋 なごや の山下 やました オルガンなどがあった。太平洋戦争 たいへいようせんそう のあとにも多数 たすう の楽器 がっき 会社 かいしゃ がリードオルガン製造 せいぞう を手 て がけた。楽器 がっき 会社 かいしゃ が製造 せいぞう して、相手 あいて 先 さき ブランドで家電 かでん メーカー、デパートやミシン会社 かいしゃ までもがリードオルガンを販売 はんばい していた。リードオルガンの製造 せいぞう ・販売 はんばい が日本 にっぽん の楽器 がっき 製造 せいぞう 業 ぎょう の基礎 きそ を築 きず いた。
また、この楽器 がっき のために多 おお くの楽譜 がくふ が出版 しゅっぱん 、販売 はんばい された。代表 だいひょう 的 てき な島崎 しまざき 赤 あか 太郎 たろう 編 へん 「オルガン教則 きょうそく 本 ほん 」は昭和 しょうわ 11年 ねん に146版 はん を重 かさ ねている。国民 こくみん 歌謡 かよう 「椰子 やし の実 み 」を作曲 さっきょく した大中 おおなか 寅二 とらじ はリードオルガン用 よう の芸術 げいじゅつ 的 てき な曲 きょく を数多 かずおお く作曲 さっきょく している。ほかに中田 なかた 章 あきら 、木 き 岡 おか 英三郎 えいざぶろう 、草川 くさかわ 宣雄 のりお 、眞 ま 篠 しの 俊雄 としお 、奥田 おくだ 耕 こう 天 てん 、秋元 あきもと 道雄 みちお らがリードオルガン用 よう の練習 れんしゅう 曲 きょく 集 しゅう などを発表 はっぴょう 、リードオルガンの教育 きょういく ・普及 ふきゅう に貢献 こうけん した。
アコーディオン は、オルガンの仕組 しく みをさまざまに取 と り込 こ んでおり、高級 こうきゅう なものは、ストップの切替 きりかえ ・組 く み合 あ わせにより音色 ねいろ を多様 たよう に変化 へんか させることができる。アコーディオンの音色 ねいろ は、パイプ・オルガンでの唸 うな 音 おと ストップによる響 ひび きによっている。
Drehorgel, Germany, 手回 てまわ しオルガン
ストリートオルガン (古河 ふるかわ 歴史 れきし 博物館 はくぶつかん 所蔵 しょぞう )
左 ひだり から風琴 ふうきん (オルガン)、紙 かみ 腔琴 (日本 にっぽん 風 ふう に改良 かいりょう した手回 てまわ しオルガン)、手風琴 てふうきん (アコーディオン )。十字屋 じゅうじや 楽器 がっき 店 てん 刊 かん 『手風琴 てふうきん 独 どく まなび』の表紙 ひょうし
手回 てまわ しオルガン(英語 えいご : barrel-organ 、独語 どくご : street organDrehorgel、仏語 ふつご : orgue de barbarie、伊 い 語 ご : organo di Barberia, organetto)は、ピンの出 で た円筒 えんとう に接続 せつぞく されたハンドルを手 て で回 まわ し、円筒 えんとう に隣接 りんせつ した鍵盤 けんばん をピンで押 お さえる仕組 しく みの自動 じどう オルガン。「ストリートオルガン 」の別名 べつめい のとおり、大道芸 だいどうげい などで使 つか われるのに適 てき するよう、首 くび や肩 かた からベルトで吊 つ るせる位 くらい の大 おお きさの箱 はこ に収 おさ まっているが、発音 はつおん 機構 きこう としてはパイプオルガンである。近年 きんねん ではジェルジ・リゲティ が自動 じどう 化 か されたこの楽器 がっき のために作品 さくひん を編曲 へんきょく している。
明治 めいじ 時代 じだい の日本 にっぽん では、和室 わしつ でも演奏 えんそう しやすいように改良 かいりょう した紙 かみ 腔琴 が開発 かいはつ された。
Williams, P., Owen, B., Bicknell, S. "organ". The New Grove Dictionary of Music and Musicians . 2nd ed. London: Macmillan, 2001.
オースティン・ナイランド『パイプオルガンを知 し る本 ほん 』 丹羽 にわ 正明 まさあき /小穴 おあな 晶子 あきこ 共 ども 訳 やく 、音楽之友社 おんがくのともしゃ 、第 だい 1刷 さつ 、1988年 ねん 2月 がつ 20日 はつか 。245頁 ぺーじ 。ISBN 4-276-12452-2 。
辻 つじ 宏 ひろし 『オルガンは歌 うた う―歴史 れきし 的 てき 建造 けんぞう 法 ほう を求 もと めて』 日本 にっぽん キリスト教団 きょうだん 出版 しゅっぱん 局 きょく 、2007年 ねん 。
中国 ちゅうごく におけるパイプオルガンの歴史 れきし -中世 ちゅうせい ・ 近世 きんせい (PDF ) 沈媛、聖徳大学 せいとくだいがく 『音楽 おんがく 文化 ぶんか 研究 けんきゅう 』第 だい 9号 ごう (2010年 ねん 3月 がつ )
現代 げんだい の著名 ちょめい なオルガン演奏 えんそう 者 しゃ
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