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クラリネット - Wikipedia

クラリネット

シングルリードの木管もっかん楽器がっき

クラリネット管楽器かんがっき一種いっしゅで、1まいの簧(リード)を振動しんどうげんとしておとたん簧(シングル・リード)の木管もっかん楽器がっきである[1][2]

クラリネット
かく言語げんごでの名称めいしょう
えい clarinet
どく Klarinette
ふつ clarinette
clarinetto
なか たん簧管, 单簧かん
クラリネット
Bクラリネット
ベーム・システムおよびエーラー・システム
分類ぶんるい

木管もっかん楽器がっき
 - クラリネットぞく

音域おんいき
おん
演奏えんそうしゃ

概要がいよう

編集へんしゅう

クラリネットは、ドイツニュルンベルクヨハン・クリストフ・デンナーが、1700ねんころシャリュモーふつ: chalumeau)を改造かいぞうして製作せいさくしたのがはじまりとされる[3]。シャリュモーはフランス古楽こがくであって、シングルリードの円筒えんとう形木かたぎ管楽器かんがっきであり、18世紀せいき後半こうはんごろまでオーケストラに使用しようされていたといわれている。しかし、現存げんそんする楽器がっき作者さくしゃしょうのものがおおく、関連かんれん資料しりょうもわずかしかのこっていないので、製作せいさく年代ねんだいはよくかっていない。

パンフルート同様どうよう閉管構造こうぞう楽器がっきであって、全長ぜんちょうのほとんどをめるかんたいふとさはほぼ一定いってい円筒えんとうがた)である。閉管なので、おなながさのひらきかん楽器がっきよりも最低さいていおんが1オクターヴひくい。偶数ぐうすう倍音ばいおんがほとんど発生はっせいしない[2]ので、音波おんぱ波形はけい矩形くけいちかく、独特どくとく音色ねいろをもっている。

本体ほんたいおおきく4つに分割ぶんかつすることができ、吹口のがわからマウスピースバレルたわらかん)、かんたいベルぶ。マウスピースには、リードリガチャーによって固定こていされている。たんにクラリネットとった場合ばあいはソプラノ・クラリネットをし、へん調ちょう(B♭)かんとイ調ちょう(A)かん一般いっぱんてきである。両者りょうしゃは吹口の部分ぶぶん共通きょうつうなので、この部分ぶぶんだけをえることもできる。B♭かん場合ばあい全長ぜんちょう670 mm、内径ないけい15 mm程度ていどである。ソプラノ・クラリネット以上いじょうおおきさのものでは、かんたいをさらに上部じょうぶかんうえかん)と下部かぶかんしたかん)に分割ぶんかつできるものがおお[ちゅう 1]少数しょうすうではあるが、ソプラノ・クラリネットでも一体いったいがたかんたいのものがある。

クラリネットには同属どうぞく楽器がっきおおく、クラリネットぞく総称そうしょうする。音域おんいきえるためにかんながさをえたものであり、うんゆびなどはほとんどおなじである。ハ調ちょうのソプラノ・クラリネット以外いがいは、移調いちょう楽器がっきとしてあつかわれる。同属どうぞくなかバセット・ホルン1770ねんころバイエルンのマイヤーホーファー (Mayerhofer) によってつくられ、バス・クラリネットなどのひく音域おんいきのクラリネットの原型げんけい1838ねんころベルギーアドルフ・サックスによってつくられたといわれている[1][3]

音域おんいき音色ねいろ

編集へんしゅう

以下いか説明せつめいぶんで、イロハおんめいでの表記ひょうきおんす。

クラリネットの音域おんいきは、中央ちゅうおうおとしたのホからうえやく4オクターヴじゃくである。フルートなどひらけかん木管もっかん楽器がっきではだい2倍音ばいおんである1オクターヴじょうおとが、おなじかまたはうんゆびとなる。しかし、閉管のクラリネットぞくではだい2倍音ばいおん使つかえないので、だい3倍音ばいおんである1オクターヴと完全かんぜん5うえおと類似るいじうんゆびとなる。すなわち、最低さいていおんのホですべてのがわあなじ、ヘ-ト-イ-ロ-ハ-ニ-ホ-ヘ-ト-イとへんロまで順次じゅんじけてき、1オクターヴと完全かんぜん5じょうのロでふたたびすべてのがわあなじる。このときだい3倍音ばいおんしやすくするためにレジスター・キー(楽器がっきでのオクターヴ・キーに相当そうとう)のあなだけひらく。うえのロの直下ちょっかへんロおよびイの音域おんいき頭部とうぶみじか部分ぶぶんだけで共鳴きょうめいするので、「のどおと」(スロート・トーン)とばれ、音域おんいきとはことなる音色ねいろとなる(木管もっかん楽器がっき#おとたかさをえる方法ほうほう参照さんしょう)。

クラリネットのヴィブラート奏法そうほうクラシック音楽おんがくではすくないが、ジャズなどではすくなくない。

クラリネットの音域おんいきは、つぎの4つの領域りょういきけられる[1]

シャリュモー音域おんいき
でE3-F#4)
もっとひく音域おんいき基音きおんによって領域りょういきでシャリュモー音域おんいきばれ、おとふとまるく、よくとおる。このは、もととなったフランスの古楽こがくである前述ぜんじゅつシャリュモーにちなむ。シャリュモー音域おんいきなかてい音域おんいき野性やせいてきひびきをあわち、あやしげな雰囲気ふんいきかもすことも可能かのうである。
ブリッジ音域おんいき
でG4-Bb4)
シャリュモー音域おんいきのすぐうえはブリッジ音域おんいきばれ、いわゆる「のどおと」の領域りょういきである。シャリュモー音域おんいき同様どうよう基音きおんであるが、デンナーがシャリュモーを改良かいりょうしたさいに、シャリュモー音域おんいきとクラリオン音域おんいき次項じこう)のあいだを"橋渡はしわたし"するためにキーをけた領域りょういきなので"ブリッジ"音域おんいきばれるのである。この音域おんいき倍音ばいおんとぼしく、くらくくすんだような音色ねいろになりがちである。標準ひょうじゅんうんゆびでは、うえ音域おんいきとのあいだする場合ばあい、たくさんのゆびいちうごかす必要ひつようがあるのでうんゆびむずかしく、また共鳴きょうめいする管長かんちょういちじるしく変化へんかするため呼気こきのコントロールもむずかしい。
クラリオン音域おんいき
でB4-C6(C#6))
ブリッジ音域おんいきのすぐうえだい3ばいおんによって領域りょういきで、クラリオン音域おんいきばれる。あかるく開放かいほうてきつやがあり、金管楽器きんかんがっきクラリオン彷彿ほうふつさせる。「ちいさな(接尾せつびet)クラリオン(clarion)」という意味いみの「クラリネット(clarinet)」という名称めいしょうもこの音色ねいろからきている。
アルティッシモ音域おんいき
でD6-A6)
もっとたか音域おんいき(シャリュモー音域おんいきの3オクターヴじょう)は、だい5、7、9ばいおんによって領域りょういきで、アルティッシモ音域おんいきばれる。比較的ひかくてき細目さいもくきわめてとおりのおとである。しかし、音程おんていはとりにくく、がるにつれてするどさがってくる。

キー・システム

編集へんしゅう

クラリネットの前身ぜんしん楽器がっきであるシャリュモーが一般いっぱんしなかったのは、前述ぜんじゅつのようにだい2倍音ばいおん使つかえないので、1オクターヴと完全かんぜん5おとのためにことなるゆびあなけなければならない。それではあなおおすぎるうえ間隔かんかくひろすぎて人間にんげん手指しゅしではさえきれないので、せま音域おんいきしか実用じつようにならなかったためである。しかし、キー装置そうち開発かいはつされたことにより、必要ひつようなとき以外いがいつねじておいたり、ゆびとどかないところにけたあな開閉かいへいしたりすることもできるようになった。これによって、はじめて1オクターヴと完全かんぜん5ゆびあな対応たいおうし、基音きおんだい3倍音ばいおんとのあいだ隙間すきまのない、連続れんぞくしたひろ音域おんいきった楽器がっきつくれるようになったのである。

ゆびあな配列はいれつならびにキー・システムは、現在げんざいまでさまざまなものが開発かいはつされている。

ベームしき(フランスしき
もっと一般いっぱんてきなシステム。1843ねんにフランスのビュッフェ(L. A. Buffet 1885ねんぼつ)とクローゼ(H. E. Klosé 1808ねん-1880ねん)によって、1832ねんのベームしきフルートのキー・システムを応用おうようして開発かいはつされ[4]1844ねん特許とっきょた。機構きこう複雑ふくざつであるが、うんゆび比較的ひかくてき単純たんじゅん機動きどうせいたかく、初心者しょしんしゃにもあつかいやすい。日本にっぽんでは、ほとんどの奏者そうしゃがベームしき楽器がっき使用しようしている。
エーラーしき(ドイツしき
1812ねんにミュラー(I. Müller)が開発かいはつした13キーのクラリネットをもとに、ベームしきクラリネットの発明はつめいからやく60ねんオスカール・エーラーによって開発かいはつされたシステム。ベームしき利点りてんれられ、音色ねいろもよいことから、とくにドイツのクラシック演奏えんそうしゃはエーラーしきこのんで使つかっている。吹奏楽すいそうがくではあまり使つかわれず、オーケストラでもちいられる。
その
オーストリアではウィーンアカデミーしき(ウィーンしき)という楽器がっき使用しようされている。
アルバートしきは、音量おんりょうおおきいが、音色ねいろがベームしきやエーラーしきとはあきらかにことなる。ふるいスタイルのジャズでよく使つかわれたが、最近さいきんはあまりもちいられていない。
リフォーム・ベームしきは、エーラーしきようかんたいに、ベームしきキー・システムを実装じっそうしたものである。エーラーしき音色ねいろのよさとベームしき機動きどうせいとをそなえている。

かつては木材もくざい象牙ぞうげキー製造せいぞうした時代じだいもあった。しかし、現在げんざいはほとんどが金属きんぞくせいで、おもようしろもちいられており、表面ひょうめんぎんメッキあるいはニッケルメッキほどこされているのが一般いっぱんてきである。金属きんぞく配合はいごう比率ひりつやメッキのしつあつさなどは、メーカーによってことなっている。キーは素手すで簡単かんたんげられる程度ていど強度きょうどなので、楽器がっきて・分解ぶんかいさい変形へんけいさせないよう注意ちゅういする必要ひつようがある。変形へんけいするとキーバランスがくずれ、音質おんしつ音程おんてい影響えいきょうする。

キーのうち、おとあなゆび直接ちょくせつふさ部分ぶぶん以外いがいには、タンポ(次項じこう)が接着せっちゃくされている。また、キーを操作そうさしたとき、かんたいのキーとれる部分ぶぶんにはコルクなどがられており、このあつみもキーバランスに影響えいきょうする。

材質ざいしつ構造こうぞう

編集へんしゅう

タンポ(タンポンとも)はおとあなのうちゆびでは直接ちょくせつ開閉かいへいできない部分ぶぶんをカバーするためにキーにけられた、円盤えんばんがた柔軟じゅうなんせいゆうする部品ぶひんで、通常つうじょうシェラックばれる天然てんねん素材そざい接着せっちゃくざいでキーに固定こていされている。

タンポの素材そざいとしては、フェルトをフィッシュスキンでつつんだものが一般いっぱんてきである。実際じっさいひつじなどのちょうがわであることがおおい。ブラダーともばれる。かわもちいたものもあり、アルト・クラリネット以下いか低音ていおん楽器がっきすべかわタンポが一般いっぱんてきである。レジスターキーにはコルクがもちいられることがおおい。また、近年きんねんでは合成ごうせい皮革ひかくやハイテク素材そざい廉価れんかばんにはスチロールをもちいたものもある。屋外おくがい使用しようされることがおおいプラスチックせい楽器がっき初心者しょしんしゃけのものでは、耐久たいきゅうせい価格かかくめんから合成ごうせい素材そざいおおもちいられる。

マウスピース

編集へんしゅう

ベック、うたこう歌口うたぐちともいい、硬質こうしつゴムせいもっと一般いっぱんてきであるが、もともとは木製もくせいであった。現在げんざいでも木製もくせい歌口うたぐちこの奏者そうしゃおおい。クリスタル・マウスピースというガラスせいのものや、セラミックスもちいたものなどもある。音色ねいろおおきな影響えいきょうあたえることから、かんたい選定せんてい以上いじょう使つか奏者そうしゃすくなくない。

硬質こうしつゴムなかではながらくエボナイト使用しようされてきたが、硫黄いおうぶんおおふくんでおり、硫化りゅうかによってキーのメッキ変色へんしょくしたり、人体じんたいへの影響えいきょう懸念けねんされるなどで、近年きんねんではアクリル樹脂じゅしABS樹脂じゅしもちいたものがえてきている。

ダンチクせいがもっとも一般いっぱんてき[5]収穫しゅうかくすう年間ねんかん乾燥かんそうさせてからリード形状けいじょう加工かこうされ、あつさ・コシのつよさなどによって分別ふんべつされる。表示ひょうじは1(Soft)から5(Medium)など、メーカーによってさまざまである。ただし、個々ここのメーカーがさだめた独自どくじ基準きじゅん標準ひょうじゅんはされておらず、おな表示ひょうじでもメーカーによってかたさがことなることがある[6]

リードは、使用しようするマウスピースやリガチャー、奏者そうしゃこのみにおうじて適切てきせつなものをえらぶ。マウスピースメーカーによっては、推奨すいしょうされる範囲はんいかたさをしめしている場合ばあいもある。奏者そうしゃ大半たいはんはメーカーせいのリードを購入こうにゅうする。しかし、そのおおくがリードの調整ちょうせいおこなっており、また一部いちぶではリードを自作じさくする奏者そうしゃもいる[7]。リードの調整ちょうせいは、こまかいかみヤスリや特殊とくしゅなナイフ、専用せんようのカッターをもちいる。

プラスチックせいのリードや、木材もくざいかしんだ特殊とくしゅ繊維せんい圧縮あっしゅくしてつくられたリードもある。天然てんねん素材そざいでないぶん気温きおん湿度しつど影響えいきょうけにくく、長持ながもちするといわれる。しかし、音色ねいろてん敬遠けいえんする奏者そうしゃおおい。

リードをマウスピースに固定こていする部品ぶひんで、ふるくはひも使つかわれていた。現在げんざいは、ベルトじょうかわまたは人造じんぞう皮革ひかくにねじをけたものと、金属きんぞくせいのリガチャーが一般いっぱんてきである。かわわりに合成ごうせいゴム使用しようしたものや、リードやマウスピースに接触せっしょくする部分ぶぶん極力きょくりょくるよう金属きんぞくぼうつくられた骨組ほねぐみのようなものもある。リガチャーはクラリネットの音源おんげんとなるリードの振動しんどうめるものであるから、音色ねいろにも影響えいきょうする。

かわなどをもちいたリガチャーはリードの振動しんどう吸収きゅうしゅうし、やわらかい音色ねいろになる。これは、リードの振動しんどうエネルギーをリガチャーにがしてしまうということでもあるので、金属きんぞくせいのリガチャーにくらおな音量おんりょうるのによりつよいき必要ひつようになる。しかし、おとあばれは金属きんぞくせいくらべてすくないとされる。

金属きんぞくせいのリガチャーはリードの振動しんどう吸収きゅうしゅうしにくいので、よりよわいきでもらく音量おんりょうせる。とく高次こうじ倍音ばいおんぞく音色ねいろしんなどとばれる)が吸収きゅうしゅうされにくいので、よくとおおとらくせるとされている。

マウスピース、リード、リガチャーは密接みっせつ関係かんけいにあり、ひとつをえても吹奏すいそうかん音色ねいろおおきくわることがある。

たる、ビルネ、ネックともいい、マウスピースとかんたいとを接続せつぞくする部品ぶひんである。しかし、音色ねいろ吹奏すいそうかんおおきく影響えいきょうする。したがって、近年きんねんでは楽器がっきのメーカーがかんたいおな材質ざいしつ以外いがいにも、さまざまな素材そざい、さまざまな形状けいじょう互換ごかんバレルをつくっている。バレルのながさが楽器がっき全体ぜんたいのピッチを変化へんかさせるので、かくメーカーとも、ながさのことなる純正じゅんせいバレルをなん種類しゅるい用意よういしていることがおおい。

かんたい

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木製もくせい一般いっぱんてきで、グラナディラという黒檀こくたんくろくてかたもっともよくもちいられている。近年きんねん良質りょうしつなグラナディラの入手にゅうしゅ困難こんなんになってきていることから、グラナディラの粉末ふんまつとグラスファイバーなどを混合こんごうして成形せいけいした合成ごうせい素材そざいのものもある。このほかローズウッドココボロツゲなどももちいられている。

廉価れんかモデルではABS樹脂じゅし合成ごうせい樹脂じゅし一種いっしゅせいのものもあり、かるあつかいが容易よういうえ天然てんねんにつきものの「れ」を心配しんぱいする必要ひつようもないため、教育きょういく現場げんばなどで多用たようされ、野外やがいでの使用しようにもてきしている。

メタル・クラリネットという、真鍮しんちゅうぎんなどの金属きんぞくかんつくられたものもある。とくコントラバスクラリネットなど、大型おおがたのクラリネットでは、材木ざいもく入手にゅうしゅ困難こんなんせい耐久たいきゅうせい問題もんだいなどから、金属きんぞくかんのものもすくなくない。

マウスピースの反対はんたいがわ位置いちする部品ぶひんで、閉管楽器がっきのクラリネットといえども、この部分ぶぶんだけは円錐えんすいがたである。材質ざいしつはバレルと同様どうようである。ベルにはおとあなもキーもないのが一般いっぱんてきである。しかし、なかにはベルにもおとあなとキーがけられたものもあり、また音質おんしつ音程おんていへの配慮はいりょからあなけられているモデルもある。

 
クラリネットのかくパーツ。うえから、マウスピース、バレル、かんたいうえかんしたかん)、ベル。

特殊とくしゅ奏法そうほう

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クラリネットには様々さまざま特殊とくしゅ奏法そうほうがあり、おもジャズ現代げんだい音楽おんがくなどにもちいられている。

じゅうおと奏法そうほう
同時どうじ複数ふくすうおと奏法そうほう。クラリネットの場合ばあい、「きれいなおと」にはならないことがおおい。
フラッターツンゲ(フラッタータンギング)
じたのごとく "r r r r r r" と発音はつおんする奏法そうほう。 
循環じゅんかん呼吸こきゅう
はなからはい空気くうき吸引きゅういんするあいだ口腔こうくうないめた空気くうきにより楽器がっきらしつづける奏法そうほう
微分びぶんおん程度ていどグリッサンドまたはポルタメント
グリッサンドは2おとあいだひとしそくゆびすべらせて移行いこうする奏法そうほう、ポルタメントはつぎおとうつ瞬間しゅんかんわたりをつけるようにゆびすべらせて移行いこうする奏法そうほう。このとおりに、両者りょうしゃことなる技法ぎほうである。グリッサンドは、ガーシュウィン作曲さっきょくラプソディ・イン・ブルー」の最初さいしょのソロでもちいられていることでよくられている。

おも教則きょうそくほん

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  • J.R.グルウサンちょ、J.ランスロ監修かんしゅう二宮にのみや和子かずこやく 『クラリネット学習がくしゅうため合理ごうりてき原則げんそく』 ブージー & ホークスしゃ ISBN 4636013816初心者しょしんしゃようとして定番ていばん教則きょうそくほん
  • H.クローゼちょ、S.ベリソン編著へんちょ 『クローゼ・クラリネット教本きょうほん1』 全音楽譜出版社ぜんおんがくふしゅっぱんしゃ ISBN 4-11-548311-3 (2017ねん現在げんざい絶版ぜっぱん
  • H.クローゼちょ、S.ベリソン編著へんちょ 『クローゼ・クラリネット教本きょうほん2』 全音楽譜出版社ぜんおんがくふしゅっぱんしゃ ISBN 4-11-548312-1 (2017ねん現在げんざい絶版ぜっぱん
  • 板倉いたくら康明やすあき 校訂こうてい 『クローゼ・クラリネット教則きょうそくほん全音楽譜出版社ぜんおんがくふしゅっぱんしゃ ISBN 4-11-549501-4

同属どうぞく楽器がっき

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クラリネットぞく: ひだりからバス・クラリネット、バセット・ホルン、ニ調ちょうへん調ちょう、イ調ちょう、ト調ちょうへん調ちょうのクラリネット、イ調ちょうのバセット・クラリネット
 
コントラバス・クラリネット(ひだり)とコントラアルト・クラリネット

よりたかおとひくおともとめて同属どうぞく楽器がっきつくられている。おもなものはつぎとおりで、いずれも原則げんそくてきおなうんゆびもちいることができる。

調ちょうのソプラノ・クラリネットをのぞいて、通常つうじょう移調いちょう楽器がっきとしてあつかわれ、おん記号きごうされる。しかし、バス・クラリネット以下いか低音ていおん楽器がっきおん記号きごうされることもある。

呼称こしょう かん調ちょう おんたいする
実音みお
備考びこう
和名わみょう かく言語げんごめい どく えい
ソプラニーノ・クラリネット
(ピッコロ・クラリネット)
しょうクラリネット)
:clarinetto piccolo
どく:kleine Klarinette
  (Piccoloklarinette)
ふつ:petite clarinette
  (clarinette sopranino)
えい:sopranino clarinet
  (piccolo clarinet)
As A♭ へん たん6 しょう編成へんせいのバンドなどで使つかわれる。
G G 完全かんぜん5 シュランメル音楽おんがく使つかわれる。
F F 完全かんぜん5 メンデルスゾーンの吹奏楽すいそうがくのための序曲じょきょく作品さくひん24で使用しようされている。
Es E♭ へん たん3 ぞくにエスクラとばれる。とく近代きんだい以降いこうだい編成へんせい管弦楽かんげんがくきょく多用たようされる。
D D ちょう2 モルターの協奏曲きょうそうきょく、リヒャルト・シュトラウスのティルオイレンシュピーゲルの愉快ゆかい悪戯いたずら、レスピーギのローマのまつりなどで活躍かつやくする。
ソプラノ・クラリネット
(クラリネット)
:clarinetto
  (clarinetto soprano)
どく:Klarinette
  (Sopranoklarinette)
ふつ:clarinette
  (clarinette soprano)
えい:clarinet
  (soprano clarinet)
C C どう B♭かん代用だいようされてきたが、音色ねいろ楽器がっき開発かいはつされ、よく使つかわれるようになっている。
B B♭ へん ちょう2 もっと標準ひょうじゅんてきなクラリネット。
A A たん3 管弦楽かんげんがくでは標準ひょうじゅんてき
吹奏楽すいそうがくではほとんど使つかわれない。
G G 完全かんぜん4 トルコ民族みんぞく音楽おんがく使つかわれる。
バセット・クラリネット :clarinetto di bassetto
どく:Bassettklarinette
ふつ:clarinette de basset
えい:basset clarinet
B B♭ へん ちょう2 てい音域おんいきバセット・ホルン相当そうとうおんCまで拡張かくちょうしたもの。モーツァルトこのんでこの楽器がっきのために楽曲がっきょくいた。
A A たん3
クラリネット・ダモーレ :clarinetto d'amore
どく:klarinette d’amore
ふつ:clarinette d'amour
えい:clarinet d'amore
G G 完全かんぜん4 コールアングレまるじょう洋梨ようなしのようなベルをそなけたクラリネット。現代げんだいではてい音域おんいき拡張かくちょうされている。
バセット・ホルン :corno di bassetto
どく:Bassetthorn
ふつ:cor de basset
えい:basset horn
G G 完全かんぜん4 構造こうぞう普通ふつうのクラリネットとは若干じゃっかんことなり、てい音域おんいきひろい。
F F 完全かんぜん5 てい音域おんいきさら拡張かくちょうしたもの。かつてはFアルトで代用だいようされてきた。
アルト・クラリネット :clarinetto contralto
どく:Altklarinette
ふつ:clarinette alto
えい:alto clarinet
F F 完全かんぜん5 バセットホルン代用だいようとして使つかわれる。
Es E♭ へん ちょう6 吹奏楽すいそうがくひとしヴィオラ音域おんいき担当たんとうする。
バス・クラリネット :clarinetto basso
  (clarone)
どく:Bassklarinette
ふつ:clarinette basse
えい:bass clarinet
B B♭ へん ちょう2仏式ぶっしき だい編成へんせい管弦楽かんげんがく吹奏楽すいそうがくてい音域おんいきになう。ファゴットには苦手にがて弱音よわねや、敏速びんそくうごきも可能かのう
1オクターヴ+
ちょう2どくしき
A A たん3仏式ぶっしき ワーグナードヴォルザークラベルエルガーなどに用例ようれいがある。
1オクターヴ+
たん3どくしき
コントラアルト・クラリネット :clarinetto contra-alto
どく:Kontra-altklarinette
ふつ:clarinette contralto
えい:contra-alto clarinet
Es E♭ へん ちょう6仏式ぶっしき 吹奏楽すいそうがく・クラリネットアンサンブルとう使つかわれ、重厚じゅうこうひびきをくわえる。
1オクターヴ+
ちょう6どくしき
コントラバス・クラリネット :clarinetto contrabbasso
どく:Kontrabass-klarinette
ふつ:clarinette contrebasse
えい:contrabass clarinet
B B♭ へん 1オクターヴ+
ちょう2仏式ぶっしき
同上どうじょう
2オクターヴ+
ちょう2どくしき
オクトコントラアルト・
クラリネット

どく
ふつ
えい:octocontra-alto clarinet
Es E♭ へん 1オクターヴ+
ちょう6仏式ぶっしき
2オクターヴ+
ちょう6どくしき
オクトコントラバス・
クラリネット

どく
ふつ
えい:octocontrabass clarinet
B B♭ へん 2オクターヴ+
ちょう2仏式ぶっしき
3オクターヴ+
ちょう2どくしき

代表だいひょうてき楽曲がっきょく

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おもなメーカー

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ これは搬性のためであって、音色ねいろ音質おんしつ音程おんていなどがすぐれているわけではない。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c 下中しもなか直也なおやへん)『音楽おんがくだい事典じてんぜん6かん平凡社へいぼんしゃ、1981ねん
  2. ^ a b 安藤あんどうゆかりてん新版しんぱん 楽器がっき音響おんきょうがく音楽之友社おんがくのともしゃ、1996ねんISBN 4-276-12311-9
  3. ^ a b アンソニー・ベインズ(ちょ)、奥田おくだ恵二けいじわけ) 『木管もっかん楽器がっきとその歴史れきし音楽之友社おんがくのともしゃ、1965ねん
  4. ^ N.H.Fletcher、T.D.Rossing(ちょ)、きし 憲史けんじ わけ)『楽器がっき物理ぶつりがく』 シュプリンガー・ジャパン、2002ねんISBN 978-4-431-70939-8;2012ねん丸善まるぜん出版しゅっぱんより再刊さいかん ISBN 978-4621063149
  5. ^ Obataya E; Norimoto M. (1999ねん8がつ). “Acoustic properties of a reed (Arundo donax L.) used for the vibrating plate of a clarinet”. J. Acoust. Soc. Am. 106 (2): 1106–1110. doi:10.1121/1.427118. https://www.researchgate.net/publication/243524477_Acoustic_properties_of_a_reed_%28Arundo_donax_L.%29_used_for_the_vibrating_plate_of_a_clarinet. 
  6. ^ Pinksterboer, Hugo (2001). Tipbook Clarinet. Hal Leonard Corporation. ISBN 1-85828-753-7 
  7. ^ Intravaia, Lawrence J; Resnick, Robert S. (1968ねんはる). “A Research Study of a Technique for Adjusting Clarinet Reeds”. Journal of Research in Music Education (MENC) 16 (1): 45–58. doi:10.2307/3344436. JSTOR 3344436. 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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