ザ・カー

『ザ・カー』（原題げんだい：The Car）は、1977年ねんにユニバーサル・ピクチャーズが公開こうかいしたアメリカ映画えいが。自動車じどうしゃとホラーを結むすびつけた映画えいがである。

ザ・カー
The Car
監督かんとく	エリオット・シルヴァースタイン
脚本きゃくほん	マイケル・バトラー デニス・シュラック レーン・スレート
原案げんあん	マイケル・バトラー デニス・シュラック
製作せいさく	マーヴィン・バート エリオット・シルヴァースタイン
出演しゅつえん者しゃ	ジェームズ・ブローリン キャスリーン・ロイド ジョン・マーリー エリザベス・トンプソン ロニー・コックス
音楽おんがく	レナード・ローゼンマン
撮影さつえい	ジェラルド・ハーシュフェルド
編集へんしゅう	マイケル・マククロスキー
製作せいさく会社かいしゃ	ユニバーサル・ピクチャーズ
配給はいきゅう	ユニバーサル・ピクチャーズ
公開こうかい	1977年ねん5月がつ13日にち 1977年ねん8月がつ13日にち
上映じょうえい時間じかん	98分ふん
製作せいさく国こく	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
言語げんご	英語えいご

あらすじ

舞台ぶたいはユタ州しゅうの田舎町いなかまちサンタ・イネス。ある日ひ、町まちの医師いしプルブルックの娘むすめスージーと、恋人こいびとの青年せいねんピーター・カイルがサイクリング中なかに相次あいついで自転車じてんしゃごとはね飛とばされて殺ころされた。その数時間すうじかん後ご、青年せいねんジョン・モリスがヒッチハイクをしようとした1台だいの黒くろい車くるまにはねられ、倒たおれた上うえにさらに3回かいも執拗しつように轢ひかれて殺ころされた。

地元じもとの保安ほあん官かんウェイドはこの事件じけんに使つかわれた漆黒しっこくの車くるまを断定だんていし捜査そうさに乗のり出だすが、相棒あいぼうのルークは被害ひがい者しゃの中なかに知人ちじんのピーターを見みつけショックを受うける。殺人さつじん車しゃの行動こうどうは次第しだいにエスカレートし、保安ほあん官かんたちまでが襲おそわれる。恐怖きょうふに見舞みまわれる事件じけんのさ中ちゅう、保安ほあん官かん事務所じむしょの外そとの空気くうきに触ふれていた所長しょちょうのエヴェレットがはねられてしまう。目撃もくげき者しゃであるネイティブ・アメリカンの老婆ろうばは「黒くろい大おおきな車くるまがエイモスの横よこを通とおり抜ぬけ、エヴェレットをはねた」と証言しょうげんし、通訳つうやくのチャスが言葉ことばを濁にごそうとしたのをウェイドが問といただすと「悪わるいことが風ふうと一緒いっしょに来くると報しらせがあり、奥地おくちに移動いどうする」と不可解ふかかいな言葉ことばを訳やくすのだった。チャスは老婆ろうばの証言しょうげんの一ひとつを老人ろうじんのたわごとだと言いって訳やくさなかったが、翌日よくじつその意味いみを分わかっていた無線むせん係がかりのドナがこう伝つたえてくる。「車くるまには運転うんてん手しゅがいなかった」と。

子供こども達たちと引率いんそつの教師きょうしでウェイドの恋人こいびとローレンがパレードの予行よこう演習えんしゅうをしていると、突然とつぜん風ふうが吹ふき荒あれて例れいの車くるまが出現しゅつげんし、彼かれらを襲おそってくる。ローレンらは必死ひっしに墓地ぼちへ逃にげ込こんだ。すると車くるまはなぜか墓地ぼちの中なかには入はいらず、イラつくように周囲しゅういをうろつく。ローレンは車くるまを罵倒ばとうし、囮おとりになって子供こども達たちを守まもろうとする。逃にげ出だした車くるまを保安ほあん官かん達たちはパトカーで追跡ついせきするが、待まち伏ぶせを受うけ保安ほあん官かんの1人ひとりはパトカーごと崖がけから突つき落おとされて死亡しぼうする。２台だいのパトカーが車くるまの前まえを塞ふさぐが、横よこにスピンしながら突つっ込こんできた車くるまに押おしつぶされてしまう。駆かけつけたウェイドは車くるまの前まえにバイクを転ころがして足止あしどめし銃撃じゅうげきするが、どこを撃うっても全まったく効果こうかがない。ウェイドは停車ていしゃした車くるまに対たいしドアを開あけてドライバーに降おりるよう迫せまるが、車くるまはドアを開あけると見みせかけ、近寄ちかよったウェイドにドアを叩たたきつけて逃走とうそうする。

その夜よる、娘むすめたちと一緒いっしょに泊とまるはずだったローレンは仕度したくのために自宅じたくに戻もどった際さい、その前まえでごく普通ふつうの風ふうに飛とばされたメモをローレンが追おいかけると、殺人さつじん車しゃが出現しゅつげんする前兆ぜんちょうの風かぜが吹ふいた。慌あわてて家いえの中なかに逃にげ込こみ電話でんわでウェイドに助たすけを求もとめるが、車くるまは家いえをぶち破やぶりローレンをひき殺ころしてしまう。チャスは送おくるだけではなくて一緒いっしょにいるべきだったと自責じせきの念ねんに駆かられるが、そんな時とき、ルークが車くるまの正体しょうたいに気きづく。殺戮さつりくを重かさねる車くるまは神聖しんせいなる土地とちである墓地ぼちには入いれない、つまり悪魔あくまが宿やどり動うごかしているのだと。

怒いかりに燃もえるウェイドと仲間なかま達たちは爆破ばくはのプロであるエイモスの協力きょうりょくを得えて、車くるまの破壊はかいを計画けいかくする。ところが決行けっこう日び当日とうじつ、ウェイドのガレージに突如とつじょとして車くるまが出現しゅつげん。激はげしいクラクションと排気はいき音おんで苦くるしめられ窮地きゅうちに立たたされながらも、ウェイドは爆ばく弾だんを仕掛しかけた崖がけへとバイクを走はしらせる。ギリギリまで追おい詰つめられるが車くるまを崖がけから落おとして爆破ばくはする。爆ばく炎えんの中なかには獣ししの様ような悪魔あくまの咆哮ほうこうと爆ばく炎えんで形作かたちづくった悪魔あくまの腕うでと笑えみが浮うかび、その笑えみから火ひを吐はき、吐はいた火ひが舌したの様ように見みえ、あかんべえをした様子ようすを見みせ消きえていった。

キャスト

役名やくめい	俳優はいゆう	日本語にほんご吹替
		日本にほんテレビ版はん	テレビ朝日てれびあさひ版はん （追加ついか収録しゅうろく部分ぶぶん）
ウェイド・ペアレント	ジェームズ・ブローリン	筈見はずみ純じゅん	小川おがわ真司しんじ
ローレン	キャスリーン・ロイド	小谷野こやの美智子みちこ	弥永やなが和子かずこ
ルーク	ロニー・コックス	納谷なや六朗ろくろう	富山とみやま敬たかし （稲葉いなば実みのる）
エヴェレット	ジョン・マーレイ	大木おおき民夫たみお	宮田みやた光ひかり
エイモス	R・G・アームストロング	大久保おおくぼ正信まさのぶ	田中たなか康郎やすお
ジョン・モリス	ジョン・ルービンスタイン	楠くすのき正ただし通どおり	井上いのうえ和彦かずひこ
マージー	エリザベス・トンプソン	有馬ありま瑞子みずこ	高島たかしま雅みやび羅ら
レイ・モット	ロイ・ジェンソン		藤本ふじもと譲ゆずる
リン・マリー	キム・リチャーズ	渕崎ふちざきゆり子こ	伊藤いとう美紀みき
デビー	カイル・リチャーズ	土方ひじかた結香ゆか	藤枝ふじえだ成子しげこ
ミス・マクドナルド	ケイト・マータフ		市川いちかわ千恵子ちえこ
バーサ	ドリス・ダウリング		竹口たけぐち安芸子あきこ
チャス	ヘンリー・オブライエン	細井ほそい重之しげゆき	加藤かとう精三せいぞう
デンソン	エディ・リトル・スカイ
ドナ	ジェラルディン・キームス	片岡かたおか富枝とみえ	高瀬たかせ淑子としこ
スージー	メロディ・トーマス		佐々木ささき優子ゆうこ
ピート	ボブ・ウッドロック		関せき俊彦としひこ
トンプソン	ジェームズ・ローリー		峰みね恵めぐみ研けん
その他た	N/A	松岡まつおか文雄ふみお 山本やまもと千鶴ちづる 東ひがし富士ふじ郎ろう 藤ふじ夏子なつこ 杉田すぎた俊也としや 高村たかむら章子あきこ 亀井かめい三郎さぶろう 池田いけだ真しん 中沢なかざわ佳けい仁ひとし	島しま香かおり裕ひろし 伊井いい篤史あつし 秋元あきもと羊ひつじ介かい
ナレーター	N/A	千葉ちば耕こう市し	N/A

• 日本にほんテレビ版ばん：初回しょかい放送ほうそう1981年ねん5月がつ13日にち『水曜すいようロードショー』
• テレビ朝日てれびあさひ版ばん：初回しょかい放送ほうそう1988年ねん6月がつ5日にち『日曜にちよう洋画ようが劇場げきじょう』※放送ほうそう時じにカットされた箇所かしょに追加ついか録音ろくおんを行おこなったものがDVDに収録しゅうろく。

※スティングレイから2021年ねん発売はつばい予定よていのBlu-rayには、テレビ朝日てれびあさひ（追加ついか録音ろくおん）版ばんと日本にほんテレビ版ばんの全ぜん吹替を収録しゅうろく。

スタッフ

• 監督かんとく：エリオット・シルヴァースタイン
• 制作せいさく：マーヴィン・ハート、エリオット・シルヴァースタイン
• 原案げんあん：デニス・シュラック、マイケル・バトラー
• 脚本きゃくほん：デニス・シュラック、レーン・スレート、マイケル・バトラー
• 撮影さつえい：ジェラルド・ハーシュフェルド
• SFX：アルバート・ウィトロック
• 音楽おんがく：レナード・ローゼンマン
• 美術びじゅつ：ロイド・ベーブス
• 編集へんしゅう：マイケル・マククロスキー

日本語にほんご版ばん

• 字幕じまく：金田かねだ文夫ふみお

-	日本にほんテレビ旧版きゅうばん	テレビ朝日てれびあさひ版ばん
演出えんしゅつ	鳥海とりうみ俊しゅん材ざい	小山こやま悟さとる
翻訳ほんやく	平田ひらた勝茂かつしげ	岩佐いわさ幸子さちこ
調整ちょうせい	栗林くりばやし秀年ひでとし	国末くにすえ光敏みつとし
効果こうか	PAG	遠藤えんどう堯雄 桜井さくらい俊哉としや
選曲せんきょく		N/A
制作せいさく	グロービジョン	東北新社とうほくしんしゃ

備考びこう

• 本ほん作さくの主役しゅやくともいえる殺人さつじん自動車じどうしゃは、1971年ねん式しきリンカーン・コンチネンタルマークIIIをベースに改造かいぞうされた。製作せいさくを担当たんとうしたのは、テレビシリーズ版ばん『バットマン』（1966年ねん）でバットモービルの製作せいさくも手てがけたジョージ・バリス。殺人さつじん自動車じどうしゃは6週間しゅうかんで計けい6台だいが製作せいさくされ、撮影さつえい期間きかん内ないにすべてクラッシュしたが、後のちに展示てんじ用ように7台だい目めが製作せいさくされた。7台だい目めはユニバーサル・スタジオで一時いちじ展示てんじされた後のち、バリスに返還へんかんされ、1980年代ねんだいにコレクターに売却ばいきゃくされた。
• 本ほん作さくの冒頭ぼうとうでチャーチ・オブ・サタンの司祭しさい長ちょう、アントン・ラヴェイの文句もんくが引用いんようされる。後のちにラヴェイは、本ほん作さくの「テクニカルアドバイザー」としてクレジットされた。
• ストーリーは『ヨハネの黙示録もくしろく』をなぞらえており、黙示録もくしろくのキーワードである「ラッパ」「風ふう」「荒あれ野のに逃にげ込こむ女おんな」などが要所ようしょに織おり込こまれると同時どうじに、殺人さつじん自動車じどうしゃの正体しょうたいを暗示あんじしている。
• ラストの殺人さつじん自動車じどうしゃの落下らっかシーンは、後のちにテレビドラマ『ナイトライダー』で、K.A.R.R.（カール）の転落てんらくシーンに流用りゅうようされた（日本にっぽんでは、日曜にちよう洋画ようが劇場げきじょう『ナイトライダー6』の後半こうはんエピソードとして放送ほうそう）。
• 2018年ねんに『ザ・カー　ロード・トゥ・リベンジ』としてリメイクされた。

後継こうけい映画えいが

これ以降いこうに公開こうかいされた「自動車じどうしゃホラー」を扱あつかった映画えいが

• クリスティーン
• 地獄じごくのデビル・トラック
• 処刑しょけいライダー　など

外部がいぶリンク

• ザ・カー - allcinema
• ザ・カー - KINENOTE
• The Car - IMDb（英語えいご）
• The Car - オールムービー（英語えいご）
• The Car - Rotten Tomatoes（英語えいご）