リガーゼ

リガーゼ（ligase）または合成ごうせい酵素こうそ^[1]とはEC番号ばんごう6群ぐんに属ぞくする酵素こうそであり、ATPなど高こうエネルギー化合かごう物ぶつの加水かすい分解ぶんかいに共役きょうやくして触媒しょくばい作用さようを発現はつげんする特徴とくちょうを持もつ^[2]^[3]。英語えいごの発音はつおんに従したがってライゲースと表記ひょうきされる場合ばあいもある^[4]。リガーゼは別名べつめいとしてシンテターゼ（シンセテース^[4]）と呼よばれる。日本語にほんごではリガーゼを指さして合成ごうせい酵素こうそと呼よぶことがあるが、合成ごうせい酵素こうそといった場合ばあいはEC6群ぐんのシンテターゼの他ほかにEC4群ぐんのシンターゼを含ふくむので留意りゅういが必要ひつようである。シンテターゼはATPなどの高こうエネルギー化合かごう物ぶつ分解ぶんかいと共役きょうやくしているのに対たいして、シンターゼ(シンセース^[4])はリアーゼ（ライエース^[4]）の一種いっしゅであり高こうエネルギー化合かごう物ぶつ分解ぶんかいの共役きょうやくは不要ふようである。^[5]

概要がいよう

リガーゼには生なま合成ごうせい経路けいろ上じょうで重要じゅうような酵素こうそが多おおく、代表だいひょう的てきな酵素こうそとしては

各種かくしゅアミノアシルtRNAシンテターゼ - ペプチド合成ごうせい系けい
アシルコエンザイムAシンテターゼ - 脂肪酸しぼうさん合成ごうせい系けい
アスパラギンシンテターゼ、グルタミンシンテターゼ - アミノ酸あみのさん合成ごうせい系けい

などが挙あげられる。

リガーゼの基質きしつとなる高こうエネルギー化合かごう物ぶつはATPがほとんどであるが、GTPやNADなどもある。リガーゼはこれらの高こうエネルギー化合かごう物ぶつと他たの基質きしつとがアデニル化か，リン酸化さんか，またはピロリン酸化さんかされた活性かっせい中間なかま体たいを経由けいゆするとともに、加水かすい分解ぶんかいにより発生はっせいする自由じゆうエネルギー変化へんかを駆動くどう力りょくにして触媒しょくばい反応はんのうが生成せいせい側がわに進行しんこうする。

シンテターゼ

リガーゼの常用じょうよう命名めいめい法ほうによりシンテターゼの語尾ごびを持もつ酵素こうそが多おおい。すなわち、化合かごう物ぶつXとYとをATP加水かすい分解ぶんかいに共役きょうやくして結合けつごうさせる酵素こうそは系統けいとう名めいではX:Yリガーゼと命名めいめいされるが、常用じょうよう名めいではX-Yシンテターゼと命名めいめいされる^[6]。例たとえばアシルコエンザイムAシンテターゼは脂肪酸しぼうさん〈アシル基もと〉とコエンザイムAとをATP分解ぶんかいのエネルギーを利用りようして合成ごうせいする酵素こうそである。^[7]

一覧いちらん

EC 6.1.- (炭素たんそ-酸素さんそ結合けつごうを形成けいせいするもの)

EC 6.1.1.- (アミノアシル-tRNAおよび関連かんれん化合かごう物ぶつを生成せいせいするリガーゼ)

EC 6.1.2.- (酸さん-アルコールリガーゼ（エステルシンターゼ）)

EC 6.1.2.1 D-アラニン-(R)-乳酸にゅうさんリガーゼ

EC 6.2.- (炭素たんそ-硫黄いおう結合けつごうを形成けいせいするもの)

EC 6.2.1.- (酸さん-チオールリガーゼ)

EC 6.3.- (炭素たんそ-窒素ちっそ結合けつごうを形成けいせいするもの)

EC 6.3.1.- (酸さん-アンモニア（またはアミン）リガーゼ（アミドシンターゼ）)

EC 6.3.1.1 アスパラギンシンテターゼ（アスパラギン酸さんアンモニアリガーゼ）
EC 6.3.1.2 グルタミンシンテターゼ（グルタミン酸ぐるたみんさんアンモニアリガーゼ）
EC 6.3.1.3 欠番けつばん → EC 6.3.4.13
EC 6.3.1.4 アスパラギン酸さん-アンモニアリガーゼ (ADP生成せいせい)
EC 6.3.1.5 NAD+合成ごうせい酵素こうそ
EC 6.3.1.6 グルタミン酸ぐるたみんさん—エチルアミンリガーゼ
EC 6.3.1.7 4-メチレングルタミン酸さん—アンモニアリガーゼ
EC 6.3.1.8 グルタチオニルスペルミジン合成ごうせい酵素こうそ
EC 6.3.1.9 トリパノチオン合成ごうせい酵素こうそ
EC 6.3.1.10 アデノシルコバラミンリン酸さん合成ごうせい酵素こうそ
EC 6.3.1.11 グルタミン酸ぐるたみんさん—プトレシンリガーゼ
EC 6.3.1.12 D-アスパラギン酸さんリガーゼ

EC 6.3.2.- (酸さん-D-アミノ酸あみのさんリガーゼ（ペプチドシンターゼ）)

EC 6.3.3.- (シクロリガーゼ)

EC 6.3.4.- (その他たの炭素たんそ-窒素ちっそリガーゼ)

EC 6.3.5.- (グルタミンがアミド-N-供与きょうよ体たいとなる炭素たんそ-窒素ちっそリガーゼ)

EC 6.3.5.1 NADシンテターゼ
EC 6.3.5.2 GMPシンターゼ (グルタミン加水かすい分解ぶんかい)
EC 6.3.5.3 ホスホリボシルホルミルグリシンアミジン合成ごうせい酵素こうそ
EC 6.3.5.4 アスパラギン合成ごうせい酵素こうそ (グルタミン加水かすい分解ぶんかい)
EC 6.3.5.5 カルバミン酸さんリン酸さん合成ごうせい酵素こうそ (グルタミン加水かすい分解ぶんかい)
EC 6.3.5.6 アスパラギン酸さんtRNA合成ごうせい酵素こうそ (グルタミン加水かすい分解ぶんかい)
EC 6.3.5.7 グルタミン酸ぐるたみんさんtRNA合成ごうせい酵素こうそ (グルタミン加水かすい分解ぶんかい)
EC 6.3.5.8 欠番けつばん → EC 2.6.1.85
EC 6.3.5.9 ヒドロゲノビリニック酸さん-a,c-ジアミドシンターゼ(グルタミン加水かすい分解ぶんかい)
EC 6.3.5.10 アデノシンコブリック酸さん合成ごうせい酵素こうそ (グルタミン加水かすい分解ぶんかい)

EC 6.4.- (炭素たんそ-炭素たんそ結合けつごうを形成けいせいするもの)

EC 6.5.- (リン酸さんエステル結合けつごうを形成けいせいするもの)

EC 6.6.- (窒素ちっそ-金属きんぞく結合けつごうを形成けいせいするもの)

EC 6.6.1 (錯体さくたいを形成けいせいするもの)

出典しゅってん

^ “新設しんせつされた酵素こうそ分類ぶんるい EC7 の和名わみょう提案ていあんについて”. 2024年ねん4月がつ13日にち閲覧えつらん。
^ リガーゼ、『世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん』CD-ROM版ばん、平凡社へいぼんしゃ、1998年ねん
^ リガーゼ、『理化学りかがく辞典じてん』、第だい5版はん、岩波書店いわなみしょてん
^ ^a ^b ^c ^d 文部もんぶ科学かがく省しょう監修かんしゅう学術がくじゅつ用語ようご集しゅうの「学術がくじゅつ語ごの訳わけ字じ通則つうそく」に従したがうとリアーゼ、シンテターゼ、シンターゼが正式せいしきとなる。投稿とうこう雑誌ざっしによっては英語えいご読よみのカタカナ表記ひょうきであるライエース、シンセテース、シンセースは推奨すいしょうされない場合ばあいがある
^ 合成ごうせい酵素こうそ、『理化学りかがく辞典じてん』、第だい5版はん、岩波書店いわなみしょてん
^ シンテターゼ、『理化学りかがく辞典じてん』、第だい5版はん、岩波書店いわなみしょてん
^ 酵素こうそ命名めいめい法ほう（英語えいご）

外部がいぶリンク

『リガーゼ』 - コトバンク

[1] “新設しんせつされた酵素こうそ分類ぶんるい EC7 の和名わみょう提案ていあんについて”. 2024年ねん4月がつ13日にち閲覧えつらん。

[2] リガーゼ、『世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん』CD-ROM版ばん、平凡社へいぼんしゃ、1998年ねん

[3] リガーゼ、『理化学りかがく辞典じてん』、第だい5版はん、岩波書店いわなみしょてん

[註1-4] 文部もんぶ科学かがく省しょう監修かんしゅう学術がくじゅつ用語ようご集しゅうの「学術がくじゅつ語ごの訳わけ字じ通則つうそく」に従したがうとリアーゼ、シンテターゼ、シンターゼが正式せいしきとなる。投稿とうこう雑誌ざっしによっては英語えいご読よみのカタカナ表記ひょうきであるライエース、シンセテース、シンセースは推奨すいしょうされない場合ばあいがある

[5] 合成ごうせい酵素こうそ、『理化学りかがく辞典じてん』、第だい5版はん、岩波書店いわなみしょてん

[6] シンテターゼ、『理化学りかがく辞典じてん』、第だい5版はん、岩波書店いわなみしょてん

[7] 酵素こうそ命名めいめい法ほう（英語えいご）

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