チェルノブイリの戦たたかい

チェルノブイリの戦たたかい
	ロシアのウクライナ侵攻しんこう中なか
	; ウクライナ北部ほくぶのロシア軍ぐん占領せんりょう地域ちいき
時とき	2022年ねん2月がつ24日にち
場所ばしょ	ウクライナ; キーウ州しゅうチェルノブイリ; 北緯ほくい51度ど16分ふん東経とうけい30度ど13分ふん / 北緯ほくい51.267度ど東経とうけい30.217度ど座標ざひょう: 北緯ほくい51度ど16分ふん東経とうけい30度ど13分ふん / 北緯ほくい51.267度ど東経とうけい30.217度ど
結果けっか	ロシアの勝利しょうりロシア軍ぐんがチェルノブイリ原子力げんしりょく発電はつでん所しょ、チェルノブイリ立入禁止たちいりきんし区域くいき、プリピャチを占領せんりょう後ごに撤退てったい;
衝突しょうとつした勢力せいりょく
ロシア; 支援しえん:; ベラルーシ	ウクライナ
部隊ぶたい
ロシア陸軍りくぐん第だい5諸しょ兵科へいか連合れんごう軍ぐん; 第だい29諸しょ兵科へいか連合れんごう軍ぐん; 第だい35諸しょ兵科へいか連合れんごう軍ぐん; ロシア海軍かいぐん第だい155海軍かいぐん歩兵ほへい旅団りょだん;	ウクライナ国家こっか親衛隊しんえいたい第だい1国家こっか重要じゅうよう施設しせつ防護ぼうご大隊だいたい;
被害ひがい者しゃ数すう
不明ふめい	捕虜ほりょ200人にん

2022年ねんロシアのウクライナ侵攻しんこう > チェルノブイリの戦たたかい

チェルノブイリの戦たたかい（チェルノブイリのたたかい）は、2022年ねん2月がつ24日にち、ロシアのウクライナ侵攻しんこうの初日しょにちからチェルノブイリ立入禁止たちいりきんし区域くいきで始はじまった、ロシア軍ぐんとウクライナ軍ぐんの軍事ぐんじ的てき対立たいりつ^[6]。ベラルーシから侵入しんにゅうしたロシア軍ぐんは、その日ひの終おわりまでにチェルノブイリ原子力げんしりょく発電はつでん所しょ地域ちいきを占領せんりょうした^[7]^[8]^[9]。ロシア軍ぐんが占拠せんきょ後ご3月がつ7日にちまでに、300人にんの一般人いっぱんじん、100人にんの労働ろうどう者しゃ、200人にんのウクライナ側がわ警備けいび隊たいが発電はつでん所内しょないにとじこめられた^[5]。3月31日にち、チェルノブイリを占領せんりょうしているロシア軍ぐんが再さい編成へんせいのために引ひき上あげたと報道ほうどうされた。

背景はいけい

2010年ねん時点じてんでのチェルノブイリの検問けんもん所しょ

1986年ねんのチェルノブイリ原子力げんしりょく発電はつでん所しょ事故じこでは、チェルノブイリ原子力げんしりょく発電はつでん所しょから周囲しゅういの環境かんきょうに大量たいりょうの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつが放出ほうしゅつされた^[10]。爆発ばくはつした原子げんし炉ろを取とり巻まく半径はんけい30キロメートル (19 mi)は、ソビエト当局とうきょくによって避難ひなん命令めいれいが出だされ、封鎖ふうさされた。これはチェルノブイリ立入禁止たちいりきんし区域くいきとして正式せいしき化かされ、その境界きょうかいは時間じかんを追おって変かわっていった^[11]。ソビエト連邦れんぽうの崩壊ほうかい後ご、この地域ちいきは新あらたに独立どくりつしたウクライナの一部いちぶとなり、ウクライナ国家こっか緊急きんきゅう事態じたい省しょうによって管理かんりされた^[12]。

戦闘せんとう経過けいか

2022年ねんロシアのウクライナ侵攻しんこう初日しょにち2022年ねん2月がつ24日にちの午後ごごにウクライナ政府せいふは、ロシア軍ぐんがチェルノブイリ立入禁止たちいりきんし区域くいきを占領せんりょうするための攻撃こうげきを開始かいししたと発表はっぴょうした^[13]。発電はつでん所しょでは、原子げんし炉ろを守備しゅびする民間みんかんの警備けいび部隊ぶたいが侵入しんにゅうしたロシア軍ぐんに応戦おうせん、戦闘せんとう状態じょうたいに入はいったと当日とうじつにウクライナ内務省ないむしょうが発表はっぴょうしている^[4]。その日ひの終おわりまでに、ウクライナ政府せいふは、ロシア軍ぐんがチェルノブイリとプリピャチを占領せんりょうしたと公表こうひょうした^[14]。ロシアが除外じょがい区域くいきを占領せんりょうした後のち、アメリカ政府せいふは「ロシア兵へいが現在げんざいチェルノブイリ施設しせつの職員しょくいんを人質ひとじちに取とっているという信頼しんらいできる報告ほうこく」を発表はっぴょうした^[15]。

AP通信つうしんは放射ほうしゃ性せい廃棄はいき物ぶつの保管ほかん場所ばしょが砲撃ほうげきされ、放射ほうしゃ性せい量りょうの増加ぞうかが観察かんさつされたと報告ほうこくした^[16]。しかし、国際こくさい原子力げんしりょく機関きかん(IAEA)は「死傷ししょう者しゃや破壊はかいはなかった」と述のべている^[17]。ロシア軍ぐんは「ウクライナ人じんと一緒いっしょに(同地どうちの)安全あんぜんを守まもっている」と後のちに報道ほうどうされている^[18]。ここでのロシア軍ぐんは第だい41合同ごうどう軍ぐんとみられている。

各国かっこくの反応はんのう

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領だいとうりょうは、ロシアによるチェルノブイリの占領せんりょうを「ヨーロッパ全体ぜんたいに対たいする宣戦せんせん布告ふこく」と呼よんだ^[19]。ウクライナ大統領だいとうりょう府ふの顧問こもんであるミハイロ・ポドリアックは、「まったく無意味むいみな攻撃こうげき」^[20]であり、「旧きゅうチェルノブイリ原子力げんしりょく発電はつでん所しょ、閉とじ込こめ構造こうぞう物ぶつ、核かく廃棄はいき物ぶつ貯蔵ちょぞう施設しせつの状態じょうたいはわからない」と述のべた^[21]。しかしIAEAは、「死傷ししょう者しゃも破壊はかいもなかった」と述のべ、「いかなる方法ほうほうでも影響えいきょうを受うけたり中断ちゅうだんされたりするべきではない点てんで、チェルノブイリ核かく施設しせつの安全あんぜんで確実かくじつな運用うんようが重要じゅうようだ」と述のべた^[17]。

キエフ攻勢こうせいのより大局たいきょく的てき見地けんちから言いえば、チェルノブイリの占領せんりょうはロシア軍ぐんがキエフに進出しんしゅつする中なか間あいだ地点ちてんにある。元もと米国べいこく陸軍りくぐん総そう司令しれい官かんのベン・ホッジス（英語えいご版ばん）は、立入禁止たちいりきんし区域くいきは「その立地りっちのために重要じゅうようであり、仮かりにロシア軍ぐんが北きたからキエフを攻撃こうげきしようとする場合ばあい、まさにチェルノブイリはその途中とちゅうにある。」と述のべた^[22]。

放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつの問題もんだい

ロシア、ウクライナ、ユーラシア担当たんとうの元もとアメリカ国防こくぼう副ふく次官補じかんほであるイブリン・ファルカス（英語えいご版ばん）は、ロシア軍ぐんは「首都しゅとを包囲ほういしたい」と述のべ、「ウクライナが反乱はんらんを起おこした場合ばあいに舞まい上あがりやすい放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつが宙ちゅうに舞まうことを確実かくじつに望のぞんでいない」と述のべた^[22]。

立入禁止たちいりきんし区域くいきは、1986年ねんのチェルノブイリ原子力げんしりょく発電はつでん所しょ事故じこからの放射ほうしゃ性せい降下こうか物ぶつを封ふうじ込こめるために重要じゅうようである。そのためウクライナ内務省ないむしょう顧問こもんであるアントン・ヘラシチェンコは、「もし占領せんりょう者しゃの砲撃ほうげきが核かく廃棄はいき物ぶつ貯蔵ちょぞう施設しせつを直撃ちょくげきした場合ばあい、放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつがウクライナ、ベラルーシ、EU諸国しょこくの領土りょうどを覆おおう可能かのう性せいがある」と述のべた^[19]。BBCによると、この地域ちいきの観測かんそく所しょは、放射線ほうしゃせんレベルが20倍ばいの1時じ間あいだあたり最大さいだい65マイクロシーベルトの増加ぞうかを報告ほうこくした。これは1回かいの大西洋たいせいよう横断おうだん飛行ひこうの約やく5倍ばいにあたる。シェフィールド大学だいがくのクレア・コークヒルは、この増加ぞうかは局所きょくしょ的てきなものであり、「チェルノブイリ立入禁止たちいりきんし地域ちいき内ないおよび周辺しゅうへんでの人ひとと車くるまの移動いどうの増加ぞうかにより、地上ちじょうにある放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつが巻まき上あがったことが一ひとつの原因げんいん」と述のべた^[23]。

3月9日にち、ウクライナ外務がいむ大臣だいじんドミトロ・クレーバはチェルノブイリ原子力げんしりょく発電はつでん所しょへの電源でんげん供給きょうきゅうが被害ひがいを受うけ電源でんげん喪失そうしつしたため、ディーゼル発電はつでん機きのバックアップシステムが冷却れいきゃくのため48時じ間あいだの燃料ねんりょうしかなく、放射能ほうしゃのう漏もれが起おこる危険きけん性せいがあると発表はっぴょうした^[24]。

4月がつ1日にち、ウクライナの国営こくえい原子力げんしりょく企業きぎょうのエネルゴアトム社しゃは、ロシア軍ぐんが原発げんぱつ周辺しゅうへんを4週間しゅうかんにわたり占拠せんきょしていた間あいだ、兵士へいしたちが放射線ほうしゃせんにさらされた可能かのう性せいが高たかいとの見方みかたを示しめした。最もっとも汚染おせん度どの高たかい場所ばしょで塹壕ざんごうを掘ほっていたほか、車両しゃりょうの走行そうこうにより放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを含ふくむ粉ふんじんを巻まき上あげたとみられる^[25]。

4月がつ5日にち、ウクライナのエネルギー相しょうのヘルマン・ハルシチェンコは、チェルノブイリ原発げんぱつ近ちかくでロシア兵へいが被ひばくし、75人にん前後ぜんこうがベラルーシの病院びょういんで治療ちりょうを受うけていると述のべた^[26]。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ Coakley, Amanda. “Lukashenko Is Letting Putin Use Belarus to Attack Ukraine” (英語えいご). Foreign Policy. 24 February 2022時じ点てんのオリジナルよりアーカイブ。25 February 2022閲覧えつらん。
^ ^a ^b ^c ^d Підрозділи ЗС РФ, що окуповували Київщину Truth Hounds
^ The Only Easy Day was Yesterday. Hostomel. “Omega” MIL.IN.UA
^ ^a ^b 【速報そくほう】ロシア軍ぐんかチェルノブイリ原発げんぱつエリアに侵入しんにゅう　ウクライナ内務省ないむしょうが発表はっぴょう FNN 2022年ねん2月がつ26日にち（FNN配信はいしん）
^ ^a ^b Tobias, Ben (7 March 2022). “Ukraine war: Chernobyl workers' 12-day ordeal under Russian guard”. BBC News. オリジナルの9 March 2022時点じてんにおけるアーカイブ。 7 March 2022閲覧えつらん。
^ Reuters (24 February 2022). “Chernobyl power plant captured by Russian forces -Ukrainian official”. Reuters 24 February 2022閲覧えつらん。
^ “Chernobyl nuclear plant targeted as Russia invades Ukraine”. Al Jazeera. 24 February 2022閲覧えつらん。
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^ “Russian forces seize Chernobyl nuclear power plant” (英語えいご). BBC News. (2022年ねん2月がつ25日にち) 2022年ねん2月がつ25日にち閲覧えつらん。
^ “Chernobyl Nuclear Accident”. www.iaea.org (14 May 2014). 2022年ねん2月がつ26日にち閲覧えつらん。
^ Bondarkov, Mikhail D.; Oskolkov, Boris Ya.; Gaschak, Sergey P.; Kireev, Sergey I.; Maksimenko, Andrey M.; Proskura, Nikolai I.; Jannik, G. Timothy; Farfán, Eduardo B. (October 2011). “Environmental Radiation Monitoring in the Chernobyl Exclusion Zone – History and Results 25 Years After”. Health Physics 101 (4): 442–485. doi:10.1097/HP.0b013e318229df28. PMID 21878769.
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^ Restuccia (24 February 2022). “White House Calls for Release of Any Hostages at Chernobyl Site”. Wall Street Journal. 24 February 2022閲覧えつらん。
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^ https://www.boston.com/news/world-news/2022/02/25/ukraines-capital-under-threat-as-russia-presses-invasion/
^ ^a ^b Shabad, Rebecca (24 February 2022). “'This is a declaration of war against the whole of Europe': Zelenskyy warns Russia is trying to seize Chernobyl”. NBC News. オリジナルの24 February 2022時点じてんにおけるアーカイブ。 24 February 2022閲覧えつらん。
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^ ^a ^b Seitz-Wald (24 February 2022). “Why would Russia want to take Chernobyl?”. NBC News. 24 February 2022閲覧えつらん。
^ Gill (25 February 2022). “Chernobyl: Radiation spike at nuclear plant seized by Russian forces”. BBC. 25 February 2022閲覧えつらん。
^ Kuleba, Dmytro [@DmytroKuleba] (2022年ねん3月がつ9日にち). "The only electrical grid supplying the Chernobyl NPP and all its nuclear facilities occupied by Russian army is damaged. CNPP lost all electric supply. I call on the international community to urgently demand Russia to cease fire and allow repair units to restore power supply 1/2". 2022年ねん3月がつ10日とおか時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。X（旧きゅうTwitter）より2022年ねん3月がつ12日にち閲覧えつらん。
^ “ロシア兵へい、チェルノブイリで被ひばくかウクライナ当局とうきょく”. AFP通信つうしん (2022年ねん4月がつ2日にち). 2022年ねん4月がつ6日にち閲覧えつらん。
^ “ロシア兵へい多数たすうが被ひばくか　一時いちじ制圧せいあつのチェルノブイリ原発げんぱつ”. 東京とうきょう新聞しんぶん (2022年ねん4月がつ6日にち). 2022年ねん4月がつ8日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2022年ねん4月がつ6日にち閲覧えつらん。