データベーススペシャリスト試験しけん

データベーススペシャリスト試験しけん（データベーススペシャリストしけん、英えい: Database Specialist Examination、略号りゃくごう: DB）は、情報処理じょうほうしょりの促進そくしんに関かんする法律ほうりつ第だい29条じょう第だい1項こうに基もとづき経済けいざい産業さんぎょう大臣だいじんが行おこなう国家こっか試験しけんである情報処理じょうほうしょり技術ぎじゅつ者しゃ試験しけんの一いち区分くぶんである。試験しけん制度せいどのスキルレベル4（スキルレベルは1 - 4が設定せっていされている）に相当そうとうし、高度こうど情報処理じょうほうしょり技術ぎじゅつ者しゃ試験しけんに含ふくまれる。

データベーススペシャリスト試験しけん
英名えいめい	Database Specialist Examination
実施じっし国こく	日本にっぽん
資格しかく種類しゅるい	国家こっか資格しかく
分野ぶんや	コンピュータ・情報処理じょうほうしょり
試験しけん形式けいしき	筆記ひっき
認定にんてい団体だんたい	経済けいざい産業さんぎょう省しょう
認定にんてい開始かいし年月日ねんがっぴ	1994年ねん（平成へいせい6年ねん）
根拠こんきょ法令ほうれい	情報処理じょうほうしょりの促進そくしんに関かんする法律ほうりつ
公式こうしきサイト	https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/db.html
特記とっき事項じこう	実施じっしはIT人材じんざい育成いくせいセンター国家こっか資格しかく・試験しけん部ぶが担当たんとう
ウィキプロジェクト 資格しかく ウィキポータル 資格しかく

対象たいしょう者しゃ像ぞうは「データベースに関係かんけいする固有こゆう技術ぎじゅつを活用かつようし、最適さいてきな情報じょうほうシステム基盤きばんの企画きかく・要件ようけん定義ていぎ・開発かいはつ・運用うんよう・保守ほしゅにおいて中心ちゅうしん的てきな役割やくわりを果はたすとともに、固有こゆう技術ぎじゅつの専門せんもん家かとして情報じょうほうシステムの企画きかく・要件ようけん定義ていぎ・開発かいはつ・運用うんよう・保守ほしゅへの技術ぎじゅつ支援しえんを行おこなう者もの」。

概要がいよう

データベースの技術ぎじゅつ的てきな専門せんもん性せいを有ゆうすることを認定にんていする国家こっか試験しけんである。システムエンジニアの中なかでも主おもにデータベースの設計せっけい担当たんとう者しゃや管理かんり責任せきにん者しゃ、いわゆるデータ管理かんり者しゃ（DA）、データベース管理かんり者しゃ（DBA）の他ほか、インフラエンジニアも対象たいしょうとする。

試験しけん対象たいしょう者しゃには、データベースの専門せんもん家かとして、企業きぎょう活動かつどうを支ささえる膨大ぼうだいなデータ群ぐんを管理かんりし、パフォーマンスの高たかいデータベースシステムを構築こうちくして、顧客こきゃくのビジネスに活用かつようできるデータ分析ぶんせき基盤きばんを提供ていきょうできる能力のうりょくが求もとめられる。

対象たいしょう業務ぎょうむの概念がいねん設計せっけいや論理ろんり設計せっけいといったシステム開発かいはつの上流じょうりゅう工程こうていのスキルが重視じゅうしされるため、DBAよりもDA向むけの能力のうりょく認定にんてい試験しけんとしての傾向けいこうが強つよい。そのため、実務じつむにおいてデータベース製品せいひん特有とくゆうの知識ちしきを保有ほゆうしデータベースへの実装じっそうや保守ほしゅ・運用うんようする能力のうりょくを証明しょうめいする為ために、合格ごうかく者しゃはオラクルマスターなどのベンダー資格しかくもあわせて保持ほじしていることが多おおい。

この試験しけんは1988年ねん（昭和しょうわ63年ねん）に創設そうせつされたオンライン情報処理じょうほうしょり技術ぎじゅつ者しゃ試験しけんを起源きげんとし、1994年ねん（平成へいせい6年ねん）よりデータベースに特とく化かした試験しけん区分くぶんとして分割ぶんかつされた。2001年ねん（平成へいせい13年ねん）にテクニカルエンジニア(データベース)試験しけんに改称かいしょうされたものの、2009年ねん（平成へいせい21年ねん）にデータベーススペシャリストの試験しけん名称めいしょうに戻もどされ、現在げんざいに至いたる。

IT技術ぎじゅつ者しゃ向むけの能力のうりょく認定にんてい試験しけんとしては、ネットワークスペシャリスト試験しけんと並ならんで昔むかしから社会しゃかい的てきな認知にんち度ど・評価ひょうかが高たかく、合格ごうかくすると技術ぎじゅつ者しゃとして一定いっていの水準すいじゅんに達たっしたと見みなされる。

基本きほん情報じょうほう技術ぎじゅつ者しゃ試験しけん（旧きゅう・第だい二に種しゅ情報処理じょうほうしょり技術ぎじゅつ者しゃ試験しけん）や応用おうよう情報じょうほう技術ぎじゅつ者しゃ試験しけん（旧きゅう・第だい一種いっしゅ情報処理じょうほうしょり技術ぎじゅつ者しゃ試験しけん）の上位じょうい試験しけんにあたり、データベース技術ぎじゅつの専門せんもん性せいを追求ついきゅうするために制定せいていされた試験しけんである。

沿革えんかく

• 1988年ねん（昭和しょうわ63年ねん） - オンライン情報処理じょうほうしょり技術ぎじゅつ者しゃ試験しけん新設しんせつ、秋期しゅうきに年とし1回かい実施じっし。
• 1993年ねん（平成へいせい5年ねん） - オンライン情報処理じょうほうしょり技術ぎじゅつ者しゃ試験しけんはこの年としをもって廃止はいし、ネットワークスペシャリスト試験しけんとデータベーススペシャリスト試験しけんに分割ぶんかつ。
• 1994年ねん（平成へいせい6年ねん） - データベーススペシャリスト試験しけんは春期しゅんきに実施じっし。
• 2001年ねん（平成へいせい13年ねん） - 制度せいど改正かいせいによりデータベーススペシャリスト試験しけんからテクニカルエンジニア(データベース)試験しけんと改称かいしょうおよび形式けいしき変更へんこう。
• 2005年ねん（平成へいせい17年ねん） - 午前ごぜんの試験しけん時間じかん延長えんちょう及および出題しゅつだい数すう増加ぞうか。
• 2009年ねん（平成へいせい21年ねん） - 制度せいど改正かいせいにより形式けいしき変更へんこう及および改称かいしょう、「データベーススペシャリスト」の名称めいしょうが復活ふっかつ。
  • また、同年どうねん情報じょうほうセキュリティアドミニストレータとテクニカルエンジニア(情報じょうほうセキュリティ)試験しけんが統合とうごうし情報じょうほうセキュリティスペシャリスト試験しけんが実施じっしされることになる。この試験しけんは年としに2回かい開催かいさいするため、データベーススペシャリスト試験しけんを受験じゅけんする前まえに情報じょうほうセキュリティスペシャリスト試験しけんの合格ごうかくを目指めざす者ものが増ふえた。また民間みんかんでは各種かくしゅベンダー試験しけんなどの整備せいびが進すすみ同様どうように合格ごうかく者しゃが増加ぞうかした。これらが一因いちいんとなりネットワークスペシャリスト試験しけんならびにデータベーススペシャリスト試験しけんの受験じゅけん者しゃ層そうのレベルが上昇じょうしょうし合格ごうかく率りつの上昇じょうしょうを招まねいたとも考かんがえられている。
• 2020年ねん（令れい和わ2年ねん） - 午前ごぜんII科目かもくで情報じょうほうセキュリティ分野ぶんやからの出題しゅつだいが強化きょうかされる。また、新型しんがたコロナウイルス（COVID-19）の影響えいきょうにより、2020年ねん4月がつに予定よていされていた春期しゅんき試験しけんが中止ちゅうしとなり、10月に「令れい和わ2年度ねんど10月がつ試験しけん」として秋期しゅうき試験しけんとして実施じっし。翌年よくねん以降いこうも、秋期しゅうき試験しけんに時期じきを変更へんこうして実施じっし。

形式けいしき

午前ごぜんI

試験しけん時間じかん50分ふん。四肢しし択一たくいつ式しき（マークシート使用しよう）で30問もん出題しゅつだいされ全問ぜんもん解答かいとう。他たの高度こうど情報処理じょうほうしょり技術ぎじゅつ者しゃ試験しけんと共通きょうつうのスキルレベル3相当そうとうで、データベースとは関連かんれんが薄うすい「情報じょうほう化かと経営けいえい」、「システム監査かんさ」等とうも含ふくめた全ぜん分野ぶんやの問題もんだいが出題しゅつだいされる。満点まんてんの60%を基準きじゅん点てんとし、基準きじゅん点てん以上いじょうで午前ごぜんI試験しけん通過つうかとなる。基準きじゅん点てんに達たっしなかった場合ばあいは不ふ合格ごうかくで、午前ごぜんII・午後ごごI・午後ごごIIは採点さいてんされない。

午前ごぜんII

試験しけん時間じかん40分ふん。四肢しし択一たくいつ式しき（マークシート使用しよう）で25問もん出題しゅつだいされ全問ぜんもん解答かいとう。データベース関連かんれん問題もんだい（レベル4）が中心ちゅうしんであるが、「コンピュータシステム」「情報じょうほうセキュリティ」「開発かいはつ技術ぎじゅつ」のレベル3も試験しけん対象たいしょうである。満点まんてんの60%を基準きじゅん点てんとし、基準きじゅん点てん以上いじょうで午前ごぜんII試験しけん通過つうかとなる。基準きじゅん点てんに達たっしなかった場合ばあいは不ふ合格ごうかくで、午後ごごI・午後ごごIIは採点さいてんされない。

例年れいねん、データベース分野ぶんやから20問もん程度ていど、その他た関連かんれん領域りょういきから5問もん程度ていど出題しゅつだいされる。

「情報じょうほうセキュリティ」はデータベースセキュリティやアプリケーションセキュリティに関かんする内容ないようを中心ちゅうしんに出題しゅつだいされる。2020年ねん度ど（令れい和わ2年度ねんど）の試験しけんより、「情報じょうほうセキュリティ」はスキルレベル4かつ重点じゅうてん分野ぶんやに引ひき上あげられる予定よていである。

データベーススペシャリスト試験しけんの午前ごぜんI試験しけんおよび午前ごぜんII試験しけんの出題しゅつだい範囲はんい

分類ぶんるい	午前ごぜんIと午前ごぜんIIの両方りょうほうで出題しゅつだいされる領域りょういき 特とくに午前ごぜんIIではスキルレベル4かつ重点じゅうてん分野ぶんや	午前ごぜんIと午前ごぜんIIの両方りょうほうで出題しゅつだいされる領域りょういき スキルレベル3	午前ごぜんIでのみ出題しゅつだいされる領域りょういき（午前ごぜんIIでは対象たいしょう外がい） スキルレベル3
テクノロジ系けい	データベース 情報じょうほうセキュリティ（データベースセキュリティ、アプリケーションセキュリティなど）：2020年度ねんど（令れい和わ2年度ねんど）よりスキルレベル4かつ重点じゅうてん分野ぶんやに引ひき上あげられる。	コンピュータ構成こうせい要素ようそ、システム構成こうせい要素ようそ システム開発かいはつ技術ぎじゅつ、ソフトウェア開発かいはつ管理かんり技術ぎじゅつ	基礎きそ理論りろん（離散りさん数学すうがく、応用おうよう数学すうがく、アルゴリズム、プログラミングなど） ハードウェア、ソフトウェア ヒューマン・インタフェース・デバイス、マルチメディア コンピュータネットワーク
マネジメント系けい			プロジェクトマネジメント ITサービスマネジメント、システム監査かんさ
ストラテジ系けい			システム戦略せんりゃく、システム企画きかく 経営けいえい戦略せんりゃくマネジメント、技術ぎじゅつ戦略せんりゃくマネジメント、ビジネスインダストリ 企業きぎょう活動かつどう、法務ほうむ

午後ごごI

試験しけん時間じかん90分ふん。データベース基礎きそ理論りろん、データベース設計せっけい、DBMSの保守ほしゅ・運用うんようなど中規模ちゅうきぼの問題もんだいが3問もん出題しゅつだいされ、2問もんを選択せんたくして解答かいとう。満点まんてんの60%を基準きじゅん点てんとし、基準きじゅん点てん以上いじょうで午後ごごI試験しけん通過つうかとなる。基準きじゅん点てんに達たっしなかった場合ばあいは不ふ合格ごうかくで、午後ごごIIは採点さいてんされない。

午後ごごII

試験しけん時間じかん120分ふん。業務ぎょうむ分析ぶんせきからデータベース設計せっけい、運用うんよう（パフォーマンスチューニングを含ふくむ）までを扱あつかう事例じれい解析かいせき問題もんだいが2問もん出題しゅつだいされ1問もんを選択せんたくして解答かいとうする。満点まんてんの60%を基準きじゅん点てんとし、基準きじゅん点てん以上いじょうで最終さいしゅう的てきに合格ごうかくとなる。基準きじゅん点てんに達たっしなかった場合ばあいは不ふ合格ごうかく。

科目かもく免除めんじょ

下記かきの試験しけんに合格ごうかく又または基準きじゅん点てんを得えれば2年間ねんかん、午前ごぜんIの科目かもく免除めんじょが受うけられる。

• 応用おうよう情報じょうほう技術ぎじゅつ者しゃ試験しけんに合格ごうかくすること。
• いずれかの高度こうど情報処理じょうほうしょり技術ぎじゅつ者しゃ試験しけんに合格ごうかくすること。
• 情報処理じょうほうしょり安全あんぜん確保かくほ支援しえん士し試験しけんに合格ごうかくすること。
• いずれかの高度こうど情報処理じょうほうしょり技術ぎじゅつ者しゃ試験しけんの午前ごぜんIに基準きじゅん点てん以上いじょうを得えること。
• 情報処理じょうほうしょり安全あんぜん確保かくほ支援しえん士し試験しけんの午前ごぜんIに基準きじゅん点てん以上いじょうを得えること。

合格ごうかく者しゃの特典とくてん

• 合格ごうかく又または午前ごぜんIに基準きじゅん点てん以上いじょうを得えれば2年間ねんかん、他たの高度こうど情報処理じょうほうしょり技術ぎじゅつ者しゃ試験しけん及および情報処理じょうほうしょり安全あんぜん確保かくほ支援しえん士し試験しけんの午前ごぜんIの科目かもく免除めんじょが受うけられる。
• 科目かもく免除めんじょ又または任用にんよう資格しかく、これには従前じゅうぜんのテクニカルエンジニア(データベース)を含ふくむ。
  • 弁理べんり士し試験しけんの科目かもく免除めんじょ（理工りこうV・情報じょうほう）
  • 技術ぎじゅつ士し試験しけん（情報じょうほう工学こうがく部門ぶもん）の科目かもく免除めんじょ（第だい一いち次じ試験しけん専門せんもん科目かもく）
  • ITコーディネータ（ITC）試験しけんの科目かもく免除めんじょ
  • 技術ぎじゅつ陸りく曹・海曹かいそう・空そら曹及および予備よび自衛じえい官かん補ほ（技能ぎのう公募こうぼ）の任用にんよう資格しかく
  • 警視庁けいしちょう特別とくべつ捜査そうさ官かんなど都道府県とどうふけん警察けいさつの4級きゅう職しょく（警部補けいぶほ）のサイバー犯罪はんざい捜査そうさ官かんの任用にんよう資格しかく
  • 中央ちゅうおう省庁しょうちょうの4級きゅう職しょく～6級きゅう職しょくCIO補佐ほさ官かん（主査しゅさ,課長かちょう補佐ほさ,班長はんちょう,企画きかく官かん,調査官ちょうさかん）等とうの職員しょくいんの任用にんよう資格しかく
  • 各かく独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじんの情報じょうほう技術ぎじゅつ関連かんれん職員しょくいんの任用にんよう資格しかく
• 本ほん試験しけんは官公庁かんこうちょうでの階級かいきゅう評価ひょうか試験しけんとして、また大手おおてメーカ、金融きんゆう機関きかん、シンクタンク、大手おおて情報じょうほうサービス業ぎょうなどの階級かいきゅう評価ひょうかや昇格しょうかく試験しけん、報奨ほうしょう一いち時じ金きん、昇給しょうきゅうなどの要件ようけんとして採用さいようされている。また、警察けいさつ、自衛隊じえいたい以外いがいの官公庁かんこうちょうでも合格ごうかく者しゃを職員しょくいんとして採用さいようすることがある。

その他た

• IT人材じんざい育成いくせいセンター国家こっか資格しかく・試験しけん部ぶの統計とうけい資料しりょうによる累計るいけい値ち

区分くぶん		受験じゅけん者しゃ数すう（人ひと）	合格者数ごうかくしゃすう（人ひと）	合格ごうかく率りつ（%）
データベーススペシャリスト	1994年度ねんど秋期しゅうき～2000年度ねんど	40,430	3,086	7.6
テクニカルエンジニア（データベース）		95,342	8,528	8.9

統計とうけい資料しりょうの応募おうぼ者しゃ・受験じゅけん者しゃ・合格ごうかく者しゃの推移すいい表ひょうにおいて、上記じょうきの数値すうちは本ほん試験しけんに計上けいじょうされている（オンライン情報処理じょうほうしょり技術ぎじゅつ者しゃはネットワークスペシャリストに計上けいじょう）。

関連かんれん項目こうもく

• 情報処理じょうほうしょり推進すいしん機構きこう (IPA)
  • IT人材じんざい育成いくせいセンター国家こっか資格しかく・試験しけん部ぶ（旧きゅう：情報処理じょうほうしょり技術ぎじゅつ者しゃ試験しけんセンター）
• データベース
• データベース管理かんりシステム
• データベース設計せっけい
• データベース言語げんご
• オラクルマスター
• オープンソースデータベース技術ぎじゅつ者しゃ認定にんてい試験しけん（OSS-DB）
• マイクロソフト認定にんていプロフェッショナル（Microsoft Certified Professional、MCP）
• 日本にっぽんの情報じょうほうに関かんする資格しかく一覧いちらん

外部がいぶリンク

• データベーススペシャリスト試験しけん
• デジタル大辞泉だいじせん『データベーススペシャリスト試験しけん』 - コトバンク
• ASCII.jpデジタル用語ようご辞典じてん『テクニカルエンジニア(データベース)』 - コトバンク