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ディオファントス方程式 - Wikipedia

ディオファントス方程式ほうていしき

整数せいすうおよび変数へんすう定数ていすうじょう加減かげん乗算じょうざんからなる方程式ほうていしき

ディオファントス方程式ほうていしき(ディオファントスほうていしき、Diophantine equation)とは、せいがかり数多あまた変数へんすう高次こうじ不定ふてい方程式ほうていしきである。文脈ぶんみゃくとして、整数せいすうかい有理数ゆうりすうかい問題もんだいにしたい場合ばあいもちいられる用語ようごであり、おもかずろん研究けんきゅう課題かだいかんがえられている。古代こだいアレクサンドリア数学すうがくしゃディオファントス著作ちょさく算術さんじゅつ』で、その有理数ゆうりすうかい研究けんきゅうされたのにちなんだ名称めいしょうである。

ディオファントス方程式ほうていしきとは、せいがかり数多あまた変数へんすう高次こうじ不定ふてい方程式ほうていしき

 

である。整数せいすうおよび変数へんすう定数ていすうじょう加減かげん乗算じょうざんからなる方程式ほうていしきは、すべてディオファントス方程式ほうていしきである。

指数しすう部分ぶぶん変数へんすうした方程式ほうていしきも、広義こうぎのディオファントス方程式ほうていしきである。このような方程式ほうていしき指数しすうがたディオファントス方程式ほうていしき(exponential Diophantine equation)とばれる。実際じっさいには、指数しすうがたディオファントス方程式ほうていしき通常つうじょうのディオファントス方程式ほうていしき複数ふくすうくみ還元かんげんできることがられている[1][2]

特殊とくしゅれい

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ディオファントス方程式ほうていしき特殊とくしゅれいには以下いかのようなものがある。

ベズー方程式ほうていしき a x + b y = d
ユークリッドの互除ほう応用おうようにより、一般いっぱん整数せいすうかいもとまる。
ピタゴラス方程式ほうていしき x2 + y2 = z2
直角ちょっかく三角形さんかっけいあたりちょう対応たいおうする。とくに自然しぜんすうかいピタゴラスすうといい、一般いっぱん生成せいせい公式こうしき存在そんざいする。
ペル方程式ほうていしき x2 - n y2 = 1
連分数れんぶんすう応用おうようにより、一般いっぱん整数せいすうかいもとまる。
楕円だえん曲線きょくせん y2 = f (x) (f (x) は重根しこねをもたない、3または4多項式たこうしき
かずろん中心ちゅうしんてき課題かだいひとつである。とくに有理数ゆうりすうかいについての構造こうぞう定理ていりモーデルの定理ていり)がある。整数せいすうかい有限ゆうげんしか存在そんざいせず、原理げんりてきにはすべての整数せいすうかいもとめることが可能かのう有限ゆうげんたいうえ楕円だえん曲線きょくせん構造こうぞう考察こうさつされており、暗号あんごう理論りろんなどに応用おうようされている。
ちょう楕円だえん曲線きょくせん y2 = f (x) (f (x) は重根しこねをもたない、5以上いじょう多項式たこうしき
整数せいすうかい有限ゆうげんしか存在そんざいせず、原理げんりてきにはすべての整数せいすうかいもとめることが可能かのうファルティングスの定理ていりにより、有理数ゆうりすうかい有限ゆうげんしか存在そんざいしないが、それをすべもとめることができるとはかぎらない。
トゥエ方程式ほうていしき f (x, y) = kf (x, y) は3以上いじょうひとしすんでやく多項式たこうしき
整数せいすうかい有限ゆうげんしか存在そんざいせず、原理げんりてきにはすべての整数せいすうかいもとめることが可能かのう。この曲線きょくせん次数じすうが3ならば楕円だえん曲線きょくせんそう有理ゆうり同値どうちになる。次数じすうが4以上いじょうならば、ファルティングスの定理ていりにより、有理数ゆうりすうかい有限ゆうげんしか存在そんざいしないが、それをすべもとめることができるとはかぎらない。

ディオファントス方程式ほうていしき整数せいすうかい有理数ゆうりすうかいをもとめる問題もんだいは、ふるくから非常ひじょう難問なんもんとしてられており、ディオファントス自身じしんや、近代きんだいフランス数学すうがくしゃフェルマーらが代表だいひょうてき研究けんきゅうしゃとして有名ゆうめいである。

アリヤバータは499ねん著作ちょさく線型せんけいディオファントス方程式ほうていしき  整数せいすうかい解法かいほうはじめて明確めいかくしるし、これを「クッタカほう」とんだ。のちのブラーマグプタは「チャクラバーラほう (Chakravala methodもちいて、2のディオファントス方程式ほうていしきあつかった。1150ねんには、バースカラ2せいがブラーマグプタの解法かいほう改良かいりょうし、ペル方程式ほうていしきほか不定ふてい方程式ほうていしきディオファントス方程式ほうていしき一般いっぱんかいつけている。

現在げんざいでは、すべての方程式ほうていしきについて整数せいすう範囲はんいでの一般いっぱん解法かいほう存在そんざいしないことが証明しょうめいされている。整数せいすうかい存在そんざい判定はんてい限定げんていしても、9変数へんすう一般いっぱんてき判定はんていほう存在そんざいしないことがすでに証明しょうめいされている。2変数へんすう一般いっぱんてき判定はんていほう未知みちである(たねすう1の場合ばあい、および yk = f (x) のかたち方程式ほうていしきについては原理げんりてきには判定はんてい可能かのうである)。また、有理数ゆうりすう範囲はんいでの一般いっぱんてき判定はんてい方法ほうほう存在そんざいするかどうかも未知みちである。

1900ねん提示ていじされた「ヒルベルトの23の問題もんだい」のだい10問題もんだいが「ディオファントス方程式ほうていしき一般いっぱんてき有限ゆうげんてきかいせい判定はんてい方法ほうほうをもとめよ」であったが、これは1970ねんロシア数学すうがくしゃユーリ・マチャセビッチによって否定ひていてき解決かいけつされた[1]。(→計算けいさん可能かのうせい理論りろん)この証明しょうめい副産物ふくさんぶつとして、再帰さいきてき枚挙まいきょ可能かのう任意にんい整数せいすう集合しゅうごう(たとえば素数そすう集合しゅうごう)には、その要素ようそ整数せいすうかいとするディオファントス方程式ほうていしきが、かならず存在そんざいすることが証明しょうめいされている。日本にっぽん廣瀬ひろせけんはマチャセビッチとどう時期じき独立どくりつ部分ぶぶんてき解決かいけつをしていたとされる。

2変数へんすう2方程式ほうていしきa x2 + b y + c = 0 の整数せいすうかい存在そんざい判定はんてい問題もんだいNP完全かんぜん問題もんだいであることが証明しょうめいされている。(→計算けいさん複雑ふくざつせい理論りろん

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b これらの話題わだいについては Martin Davis, Hilbert tenth problem is unsolvable, Amer. Math. Monthly 80 (1973), 233--269 で解説かいせつされている。
  2. ^ たとえばHilbert's Tenth Problem is Unsolvable の Lemma 3.5 によれば、m = nk ( )と、以下いかのディオファントス方程式ほうていしきけいm所与しょよさいにそれ以外いがい変数へんすう )についてかいつことは同値どうちである。すなわち、指数しすうがたディオファントス方程式ほうていしき以下いか通常つうじょうのディオファントス方程式ほうていしきけい帰着きちゃくされる。
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    この証明しょうめいは、ペル方程式ほうていしきかい性質せいしつ三角さんかく関数かんすうド・モアブルの定理ていり)との関連かんれんせい着目ちゃくもくしてろんじられている。

関連かんれん項目こうもく

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