デクロワゾー石せき

デクロワゾー石せき（Descloizite）は、塩基えんき性せいの鉛なまりとバナジン酸さん亜鉛あえんから構成こうせいされ、組成そせいは(Pb,Zn)₂(OH)VO₄の珍めずらしい鉱物こうぶつである。結晶けっしょう系けいは斜はす方かた晶あきらであり、オリーブ銅鉱どうこうと同形どうけいである。結晶けっしょう構造こうぞうの中なかには、かなりの量りょうのガリウムとゲルマニウムも取とり込こまれうる。

デクロワゾー石せき
ナミビアで産出さんしゅつしたデクロワゾー石せき、9.5 x 8.9 x 4.9 cm
分類ぶんるい	バナジン酸さん塩しお鉱物こうぶつ
シュツルンツ分類ぶんるい	08.BH.40
化学かがく式しき	(Pb,Zn)2VO4OH
結晶けっしょう系けい	斜はす方かた晶あきら
対称たいしょう	斜はす方かた晶あきら (2/m 2/m 2/m) - 双そう錐きり
単位たんい格子こうし	a = 7.593 Å, b = 6.057 Å, c = 9.416 Å; Z = 4
晶あきら癖へき	柱状ちゅうじょう結晶けっしょう、羽毛うもう状じょう集合しゅうごう体たい
へき開かい	なし
断だん口こう	不規則ふきそく、準じゅん貝殻かいがら状じょう
粘ねば靱性	脆もろい
モース硬度こうど	3 - 3.5
光沢こうたく	脂あぶら状じょう
色いろ	茶ちゃ赤色あかいろ、赤あか橙色だいだいいろ、赤あか茶色ちゃいろ、黒くろ茶色ちゃいろ、ほぼ黒色こくしょく
条じょう痕こん	橙色だいだいいろから茶ちゃ赤色あかいろ
透明とうめい度ど	透明とうめいから不透明ふとうめい
比重ひじゅう	6.1 - 6.2
光学こうがく性せい	2軸じく (-)
屈折くっせつ率りつ	nαあるふぁ = 2.185 nβべーた = 2.265 nγがんま = 2.350
複ふく屈折くっせつ	δでるた = 0.165
多色たしょく性せい	可視かし
光ひかり軸じく角かく 2V	85° - 90°
分散ぶんさん	強つよい r > v 稀まれに r < v
文献ぶんけん
プロジェクト:鉱物こうぶつ／Portal:地球ちきゅう科学かがく

色いろは深ふかいチェリーレッドから茶色ちゃいろまたは黒色こくしょくで、大おおきな結晶けっしょうは脂肪しぼう光沢こうたくを伴ともなう透明とうめいか半はん透明とうめいを示しめす。条じょう痕こんは橙だいだい黄色おうしょくから茶色ちゃいろで、比重ひじゅうは5.9-6.2、硬度こうどは3.5である。近きん縁えん種しゅのモットラム石せきは銅どうが亜鉛あえんに卓越たくえつしており、またバナジウムの代かわりに若干じゃっかんのヒ素ひそを含ふくむ。色いろは鈍にぶい緑色みどりいろで、皮膜ひまく状じょうや粉末ふんまつ状じょうの産出さんしゅつが多おおい。砒デクロワゾー石せきと呼よばれるヒ酸さん塩しおのアナログも存在そんざいする。

発見はっけんと生成せいせい

1854年ねんにアルゼンチンのコルドバにあるコルドバ山脈さんみゃく鉱床こうしょうで発見はっけんされ、フランスの鉱物こうぶつ学者がくしゃアルフレッド・デクロワゾーに因ちなんで命名めいめいされた。小ちいさなプリズム状じょうまたはピラミッド状じょうの結晶けっしょうとなり、しばしば結晶けっしょう集合しゅうごう体たいや鍾乳石しょうにゅうせき状じょうの集合しゅうごう体たい（繊維状せんいじょう結晶けっしょうからなる房ぼう状じょうの塊かたまり）を示しめす。

デクロワゾー石せきは、鉛なまり鉱床こうしょうの酸化さんか帯たいに産むし、関連かんれんする鉱物こうぶつには、緑みどり鉛なまり鉱こう、褐鉛鉱こう、モリブデン鉛なまり鉱こう、モットラム石せき、ミメット鉱こう、白しろ鉛なまり鉱こう等ひとしがある。

ナミビアのオタビ山地さんちには、かつて世界せかい最大さいだいのバナジウム鉱床こうしょうがあると考かんがえられていた。デクロワゾー石せきやモットラム石せきは、これらの鉱床こうしょうでの主要しゅような鉱物こうぶつであったが、現在げんざいでは掘ほり尽つくされている。その他たの採掘さいくつ場所ばしょとしては、アルゼンチンのコルドバ山脈さんみゃく、シエラ郡ぐん (ニューメキシコ州しゅう)のレイク・バレー、ペンシルベニア州しゅうのフェニックスビル、オーストリアケルンテン州しゅうのObir等とうである。

参考さんこう文献ぶんけん

•  この記事きじにはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく内うちで著作ちょさく権けんが消滅しょうめつした次つぎの百科ひゃっか事典じてん本文ほんぶんを含ふくむ: Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Descloizite". Encyclopædia Britannica (英語えいご). Vol. 8 (11th ed.). Cambridge University Press. p. 91.