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パイパー PA-34 - Wikipedia

パイパー PA-34 セネカ(Piper PA-34 Seneca)は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく航空機こうくうきメーカー・パイパー・エアクラフト開発かいはつしたけい飛行機ひこうきはつ飛行ひこう1967ねん4がつ25にち

パイパー PA-34-200T セネカ II

概要がいよう

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同社どうしゃ単発たんぱつけい飛行機ひこうきであるPA-32 チェロキー・シックス発展はってんがたであり、同機どうき双発そうはつして降着こうちゃく装置そうちしきとし、胴体どうたい構造こうぞうあたらしくしたもの。座席ざせきすうは7。ポーランドのPZLミエレクやブラジルエンブラエルでもライセンス生産せいさんされており、前者ぜんしゃ機体きたいM-20メワ(Mewa)、後者こうしゃ機体きたいEMB-810呼称こしょうされている。

PA-34-200 セネカ I

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最初さいしょ量産りょうさんモデル・PA-34-200 セネカ Iは1971ねんはつ飛行ひこうし、同年どうねん量産りょうさんはいった。当時とうじパイパーしゃではPA-23 アズテックPA-30 ツインコマンチなどの双発そうはつのシリーズをゆうしていたが、セネカより大型おおがたのアズテックは旧式きゅうしきしてきており、より小型こがたのツインコマンチはキャビン容量ようりょう積載せきさいりょうてん自家用じかよう以外いがい用途ようとには不向ふむきであり、あらたな双発そうはつのニーズにこたえるためセネカはしん設計せっけいされた。

速度そくど性能せいのうより実用じつようせい取扱とりあつかいの容易たやすさなどにおもきをいて開発かいはつされ、同社どうしゃPA-32がた(チェロキー・シックス)の部品ぶひんおお活用かつようしている。胴体どうたいはほとんどそのまま利用りよう主翼しゅよく矩形くけいつばさつばさ断面だんめん NACA652-415 そうりゅうつばさ)のままつばさはばを10mから11.9mに延長えんちょう、これはたんけた構造こうぞうにプレーンエルロンと人力じんりき手動しゅどうスロッテッドフラップのシンプルなつくりである。水平すいへい尾翼びよくはスタビレーターしき踏襲とうしゅうしスパンを延長えんちょう垂直すいちょく尾翼びよくつるちょうたかさともに拡大かくだいされ、大型おおがたされたトリムタブをつ。車輪しゃりんPA-28R(チェロキーアロー)構造こうぞう活用かつようした。あしげは電動でんどうポンプによる油圧ゆあつおこなう。エンジンはライカミングしゃ IO-360-C1E6 4気筒きとう 200hp/2700rpm、左右さゆうエンジンがぎゃく回転かいてんとなっており、直進ちょくしんせい向上こうじょうとともにかたはい臨界りんかい発動はつどう概念がいねん不要ふようにした。左右さゆうエンジンの互換ごかんせいこそくなったが、取扱とりあつかいの容易たやすさにはおおきく寄与きよしている。当時とうじパイパーしゃ双発そうはつシリーズでは、プロペラじく延長えんちょうしエンジンナセルからとおざけてプロペラ効率こうりつげる手法しゅほう喧伝けんでんされていたが、PA-34ではこの構造こうぞう採用さいようされなかった。幅広はばひろ胴体どうたい客室きゃくしつ後方こうほう大型おおがたとびらによりキャビンアクセス、居住きょじゅうせい積載せきさいせい大幅おおはば向上こうじょう速度そくど性能せいのうこそツインコマンチにおとる(PA-30 246mph 24000ft : PA-34 196mph SL)ものの、大型おおがた主翼しゅよくによって離着陸りちゃくりく性能せいのう上昇じょうしょう性能せいのう有償ゆうしょう積載せきさいりょう(PA-30 1340lb :PA-34 1620lb)は向上こうじょうしている。これらの実用じつようめんでの性能せいのう評価ひょうかされ、またツインコマンチより安価あんかであったこともあり、発売はつばい当初とうしょからきがく、以後いごパイパーしゃ中型ちゅうがたレシプロ双発そうはつ主役しゅやくとなっていった。

PA-34-200T セネカ II

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1975ねんからは、改良かいりょうしたPA-34-200T セネカ IIの生産せいさんはいっている。セネカ Iがた安定あんていせい機体きたいであったが、状況じょうきょうによってはかじおもいとの指摘してきもあり、こういった飛行ひこうちゅう操作性そうさせいわる(Flight Quality)を向上こうじょうするため操縦そうじゅう系統けいとう改良かいりょうした。エルロンを拡大かくだい均衡きんこうしき変更へんこう、ラダーにバランスタブを追加ついか、スタビレータのバランスウエイトを大型おおがたした結果けっか改善かいぜんられた。またエンジンもコンチネンタルしゃせい TSIO-360-E6 (200hp /2575rpm SL)6気筒きとうにグレードアップされ、とくにターボきゅう装備そうびすることになったので高空こうくう性能せいのう高地こうちからの離陸りりく性能せいのう大幅おおはば向上こうじょうした。エンジンの製造せいぞうメーカが変更へんこうになったが左右さゆうエンジンぎゃく回転かいてんわらず、取扱とりあつかいが容易よういという美点びてんわらない。

PA-34-220T セネカ III

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1981ねんには改良かいりょうしたPA-34-220T セネカ IIIが完成かんせい。エンジンをコンチネンタルしゃせい TSIO-360-KB にかわそう。セネカ IIのエンジンとくらべて排気はいきりょう不変ふへんだが、離陸りりくよりたか回転かいてんすう(2800rpm、5分間ふんかんのみ)をもちいることが可能かのうになり、離陸りりく出力しゅつりょく220hp/2800rpmをている。その結果けっか最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう初期しょき上昇じょうしょう性能せいのう向上こうじょうした。コクピット風防ふうぼうなか桟を廃止はいし視界しかい向上こうじょう失速しっそく警報けいほう装置そうち改良かいりょう操縦そうじゅうせき計器けいきパネルを改良かいりょう従来じゅうらいのチェロキーシリーズの流用りゅうようがた(アルミフレームにプラスチック化粧けしょうパネルネジめ)から、一般いっぱんてきなアルミパネルのみの構成こうせいとなり、上下じょうげ方向ほうこう寸法すんぽう拡大かくだいあわせて、計器けいき装備そうび面積めんせき拡大かくだい、アビオニクス機器きき搭載とうさいスペースを拡大かくだい、エンジン計器けいき視認しにんせい向上こうじょうくわえて、レイアウトの自由じゆうしている。

PA-34-220T セネカ IV

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1994ねんからセネカ IVに発展はってん機体きたい・エンジンどもにセネカ IIIとおおきな変更へんこうてんはないが、エンジンナセル形状けいじょうをより空気くうき抵抗ていこうすくないものに改良かいりょう航続こうぞく性能せいのう向上こうじょうさせた。フラップが電動でんどうしきになる。セネカ IVの完成かんせいまえにパイパーしゃでは再編さいへんがあり、あらたに設立せつりつされたニューパイパーしゃから発表はっぴょうされ、機体きたいのカラースキームなどは従来じゅうらいからイメージを一新いっしんさせた。コクピットも従来じゅうらい黒色こくしょくけいからボーイングしゃ旅客機りょかくきのコクピットのような薄茶うすちゃけい変更へんこうされ、あかるい雰囲気ふんいきとなる。

PA-34-220T セネカ V

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1998ねんからはカウルをさい改良かいりょうし、計器けいきるい配置はいち見直みなおしたセネカ Vの生産せいさんおこなわれている。エンジンナセルはさら空気くうき抵抗ていこうらすように改良かいりょうされ、巡航じゅんこう性能せいのう寄与きよしている。コクピット計器けいきばん改良かいりょうおこなわれ、エンジン計器けいきジェット機じぇっときのような小径しょうけい計器けいき2れつ配置はいち採用さいよう、それまでのセネカではエンジン計器けいき基本きほん計器けいき隣接りんせつして散在さんざいしていたため、この改良かいりょうによって視認しにんせい向上こうじょうした。またスイッチるい計器けいきばんから天井てんじょうパネルに移動いどうした。これによって前面ぜんめん風防ふうぼう上下じょうげ方向ほうこううすくなり多少たしょう視界しかいせまくなったが、自家用じかようとしては大型おおがたのような雰囲気ふんいきが、訓練くんれんとしては教官きょうかんせきから操作そうさ確認かくにんがしやすいてんいずれも好評こうひょうなようである。 2006ねんモデルからはアビオニクス機器ききにAvidyneしゃせいグラスコックピット選択せんたくできるようになった。これらのグラスコックピットには、基本きほんてき計器けいき情報じょうほう、エンジン情報じょうほう航法こうほう情報じょうほう、のほかにチェックリストやおおくのオプション(気象きしょうレーダー、航空機こうくうき位置いち情報じょうほう燃料ねんりょう計算けいさん地面じめん衝突しょうとつ警告けいこくかみなり計測けいそくなど)の情報じょうほう同時どうじ表示ひょうじすることが可能かのうで、よりふくあいてきなフライトマネジメントが可能かのうになっている。

採用さいようこく軍用ぐんよう

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  ブラジル
  ホンジュラス
  パナマ
  セルビア

要目ようもく(セネカ V)

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  • 全長ぜんちょう:8.72 m
  • 全幅ぜんぷく:11.86 m
  • 全高ぜんこう:3.72 m
  • つばさ面積めんせき:19.39 m2
  • 自重じちょう:1,457 kg
  • 最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう:2,155 kg
  • エンジン:コンチネンタル TSIO/LTSIO-360-RB 水平すいへい6気筒きとうピストンエンジン(220馬力ばりき) × 2
  • 最大さいだい速度そくど:378 km/h(高度こうど7,000 m)
  • 実用じつよう上昇じょうしょう限度げんど:7,620 m
  • 航続こうぞく距離きょり:1,611 km
  • ペイロード:乗客じょうきゃく最大さいだい6めい
  • 乗員じょういん:1めい

外部がいぶリンク

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