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ビスタビジョン - Wikipedia

ビスタビジョンVistaVision)は、画面がめんアスペクトが1.66:1程度ていど横長よこなが画面がめんサイズのこと。1950年代ねんだいにアメリカのパラマウント・ピクチャーズしゃ20世紀せいきフォックスしゃシネマスコープ対抗たいこうして開発かいはつした。

35ミリ・よこ駆動くどうビスタビジョンカメラのフィルム。破線はせん実際じっさい使つかわれる領域りょういき

1954ねんの『ホワイト・クリスマス』ではじめて使用しようされた。35ミリフィルムのスタンダード・サイズにおける1コマは4パーフォレーションぶん、20.3mm×15.2mm、よこたては1.37:1である。これをよこ駆動くどうさせ、8パーフォレーションぶん、スタンダード・サイズの2コマで1コマを構成こうせいするようにした「ビスタビジョン・カメラ」においては、36mm×18.3mm、よこたては1.66:1となる。すなわちスチルカメラのフィルム・サイズ(ライカばん)とほぼ同等どうとうである。また、このことによって、スタンダード・サイズの2ばい以上いじょうのフィルム面積めんせき使つかって撮影さつえいすることが可能かのうとなり、そのぶん画質がしつ大幅おおはば向上こうじょうすることになる。

映画えいがかん映写機えいしゃきたて駆動くどうであるため、上映じょうえいようプリントはたて駆動くどうのポジフィルムに縮小しゅくしょうきつけすることになる。そのさい、スタンダード・サイズにくらべてたて比率ひりつちいさくなるため、画面がめん上下じょうげにマスクをして横長よこなが画面がめんる。このさい、パラマウントは1.85:1のアスペクト採用さいようした。

画質がしついものの、撮影さつえいようのフィルムが単純たんじゅんに2ばいかかる、そのため撮影さつえい可能かのう時間じかん減少げんしょうする、カメラが大型おおがたする、それまでのたて駆動くどうのスタンダードのフィルムとかくことなるなどの問題もんだいがあった。1960ねんはいるとフィルムのしつ向上こうじょうし、通常つうじょうのスタンダード撮影さつえい上下じょうげにマスクをかけた方式ほうしき一般いっぱんてきになり、1961ねんの『片目かためのジャック以降いこう使つかわれなくなった。

しかし、1977ねんの『スター・ウォーズ』で特撮とくさつ使用しようされたことからさい評価ひょうかされるようになる。光学こうがく合成ごうせいはいくつものプリントをるため画質がしつ劣化れっかしてしまう。そのためにはだい面積めんせきのフィルムで撮影さつえいする必要ひつようがあったが、それまで合成ごうせい使つかわれていた65mmフィルムはカメラもフィルムも高額こうがくだった。そのためパラマウントから中古ちゅうこ購入こうにゅうしたビスタビジョン・カメラが使用しようされた。結果けっか、ビスタビジョンの優秀ゆうしゅうせいしめされ、様々さまざま特撮とくさつシーンで使用しようされるにいたった。

使用しようじょうきょう

編集へんしゅう

以上いじょう本来ほんらいのビスタビジョンの原理げんりであるが、上述じょうじゅつのように特殊とくしゅなカメラを必要ひつようとするものであるため、出現しゅつげんしてからすうねんのうちに、本来ほんらいのビスタビジョンで撮影さつえいされることはほとんどなくなった。が、フィルムの性能せいのう向上こうじょうしたことや、映画えいがかんにおいても、テレビとの対抗たいこうじょう、「よこひろい」画面がめんもとめられたこともあって、画面がめんサイズとしてのビスタサイズは、その継続けいぞくして使用しようされるものとなった。このさいたて駆動くどう通常つうじょうのカメラでスタンダード・サイズで撮影さつえいし、上映じょうえいフィルムのプリントのさい上下じょうげにマスクをかける。これによって横長よこなが映像えいぞうる。

この撮影さつえい方法ほうほうパン・アンド・スキャン処理しょり手間てまがかからない。マスクがかかるまえのフィルムを利用りようすればそのままテレビ・サイズへ流用りゅうようできるからである。しかし、上下じょうげかくれることを前提ぜんてい撮影さつえいされているため、映画えいが不要ふよう撮影さつえい素材そざいうつりこんでしまうことがある(マイクやマットなど)。

ただし、上下じょうげのマスクのかけかた相違そういから、ヨーロピアン・ビスタ(1.66:1)とアメリカン・ビスタ(1.85:1)との2種類しゅるい出現しゅつげんした。日本にっぽん映画えいがにおいては大映だいえいはじめて採用さいようしたアメリカン・ビスタサイズがもちいられることがおおい。

なお、NTSC方式ほうしきテレビ放送ほうそう改良かいりょうしたワイドクリアビジョン放送ほうそう地上ちじょうデジタルテレビ放送ほうそうBSデジタル放送ほうそう採用さいようされているこう精細せいさいテレビジョン放送ほうそう日本にっぽん規格きかくハイビジョンのアスペクトは1.78:1(16:9)で、ビスタサイズとほぼおなじ。

ちなみに、現在げんざい日本にっぽん映画えいがかんシネマコンプレックスにおいては、アメリカン・ビスタかスコープサイズにしか対応たいおうしていないスクリーンがだい多数たすうである。よって、ヨーロピアン・ビスタやスタンダードサイズの映画えいがは、アメリカン・ビスタにめて上映じょうえいせざるをないため、おおくは「上下じょうげれた」状態じょうたいでの上映じょうえいになるか、左右さゆうをマスク状態じょうたいにして上映じょうえいされている。

DVDやブルーレイなどの場合ばあい画面がめんサイズは1.78:1、1.33:1で固定こていされているため、アメリカン・ビスタでは上下じょうげ若干じゃっかんおびが、ヨーロピアン・ビスタでは上下じょうげ左右さゆうおびかたちとなる。

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