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ファーストフード - Wikipedia

ファーストフード

短時間たんじかん効率こうりつよく安価あんかべられるメニュー。ハンバーガーやサンドイッチなど外資がいしけいチェーンてんおおい。

ファーストフード(またはファストフード仮名かめい表記ひょうき参照さんしょう〉、えい: fast food[よう検証けんしょう]とは、短時間たんじかん調理ちょうり、あるいは注文ちゅうもんしてからすぐべられる手軽てがる食品しょくひん食事しょくじのこと。料理りょうりともに、それらを提供ていきょうしている外食がいしょく産業さんぎょうについて記述きじゅつする。なお、「ファスト」(fast・ファスト)は「迅速じんそく」という意味いみで、「だいいちの」の意味いみ(first・ファースト)ではない。

典型てんけいてきなファストフードのメニュー。ハンバーガーとポテト、ドリンクが定番ていばんである。(写真しゃしんマクドナルド販売はんばいされているビッグマックセット)

各地かくち様子ようす

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アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく

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ドライブスルー
 
フィッシュ・アンド・チップス

しょく文化ぶんかは、民族みんぞく地域ちいきによってことなるため、それらのわくえてひろがるには時間じかんがかかる。それどころか、まった伝播でんぱしないことさえある。米国べいこく民族みんぞく国家こっか広大こうだい国土こくどゆうするため、民族みんぞく出身しゅっしんこく人種じんしゅ国内こくないでの地域ちいきなどでかれるしょく文化ぶんかわくえなければ、おおきなビジネスにはならない宿命しゅくめいがあった。

アメリカにおけるファストフードは、国内こくないにおける民族みんぞく地域ちいきわくえて民族みんぞく横断おうだんてきれられる味付あじつけであったことにくわえ、エンゲル係数けいすうたかかった時代じだいに「安価あんか」であったことが最大さいだい武器ぶきとなってひろまった。中産ちゅうさん階級かいきゅうにおいては、安価あんかであることよりも、手軽てがるべられ、食物しょくもつエネルギーがおおきいファストフードは、労働ろうどう効率こうりつげる食事しょくじとしてれられていった。ハンバーガーホットドッグフライドチキンサンドイッチピザなど、種類しゅるいごとに「フードチェーン」があらわれだい企業きぎょうしていった。

だい世界せかい大戦たいせんのち、チェーンてん本格ほんかくてき外国がいこく展開てんかいはじめた。しかし、アメリカのノウハウそのままで海外かいがい進出しんしゅつした場合ばあい為替かわせ問題もんだいでファストフードはかなり「高額こうがく」な食事しょくじになってしまった。とくに、うし肉食にくしょく文化ぶんかがあまりないくに出店しゅってんするさいは、材料ざいりょう入手にゅうしゅでさらにコストががり、「ファストフード = 富裕ふゆうそう食事しょくじ」という、アメリカ国内こくないではかんがえられない図式ずしき導入どうにゅうされることとなった。

海外かいがい進出しんしゅつ初期しょきにおいては「安価あんか」ではないファストフードであったが、「アメリカ資本しほん」の「巨大きょだいフードチェーン」の進出しんしゅつは、競争きょうそうりょくのないそれぞれのくに国内こくない産業さんぎょう圧迫あっぱくするとともに、米国べいこく文化ぶんか侵略しんりゃく象徴しょうちょうとみなされ、出店しゅってん規制きせいおこなわれることが多々たたられた。

健康けんこうかんする知識ちしきうと貧困ひんこんそうほど食事しょくじめるファストフードの比率ひりつたかく、そのため貧困ひんこんそうほど肥満ひまんになりやすいこと報告ほうこくされている。また調理ちょうり時間じかんがかからず、安価あんかてんからファストフードをえらばざるをない事情じじょうがあるという[1][よう文献ぶんけん特定とくてい詳細しょうさい情報じょうほう]

自国じこく産業さんぎょう保護ほごする政策せいさくつよく、巨大きょだい資本しほんのアメリカけい企業きぎょう規制きせいがかけられているくにがある。とくフランスでは、アメリカ資本しほんのファストフードチェーンはすくない。しかし、国内こくない企業きぎょうのファストフードチェーンや、個人こじん経営けいえいちかいファストフードけいみせられ、フィッシュアンドチップスチキンアンドチップスパニーノ、グレック(ケバブサンド)、シシカバブのほか、新興しんこうスパイスバッグのような、アメリカとはことなった種類しゅるいのファストフードもられる。

アメリカの主導しゅどうするグローバリズム象徴しょうちょうとしてファストフードがげられる場合ばあいもあり、はんグローバリズムスローフードフェアトレードなどの、経済けいざい論理ろんり文化ぶんかろんざった「はんファストフード運動うんどう」がられる。

日本にっぽん

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蕎麦そばうえっているざいかきネギである)

江戸えど時代じだいには、蕎麦そばうどんてんぷら寿司すしおでんうなぎ串焼くしやなどが、まちちゅうなが屋台やたい手軽てがる素早すばやべられる料理りょうりとしてられていた[2]

アメリカしきのファストフードは、1970年代ねんだい初頭しょとう日本にっぽん流入りゅうにゅうした。1970ねん英国えいこくウインピーをはじめ、ケンタッキーフライドチキンドムドムハンバーガー、1971ねんマクドナルドミスタードーナツ、1972ねんロッテリアモスバーガー出店しゅってん開始かいしした。なお、べいぐん統治とうち沖縄おきなわけんでは、1963ねん北中城きたなかぐすくむらA&Wの1ごうてん開店かいてんしている。なおモスバーガーはのハンバーガーチェーンてん形態けいたい似通にかよっているが、注文ちゅうもんけて調理ちょうりすることなどから、ハンバーガーレストランに分類ぶんるいされ、ファストフードてんには該当がいとうしないという解釈かいしゃくもある。

日本にっぽんには、いそばなどのふるくからのものや、アメリカから伝来でんらいしたハンバーガーやチキンのほかにも、牛丼ぎゅうどんラーメンカレーライスなど、近代きんだいになってから日本にっぽん嗜好しこうされるようになったものも、チェーンストアを展開てんかいしている。ファミリーレストラン定食ていしょく回転かいてん寿司ずしセルフうどんのように店内てんない飲食いんしょくするものから、手軽てがる弁当べんとう菓子かしパン惣菜そうざいまで、軽食けいしょく産業さんぎょうひろがっている。

ファストフードは「やすさ」がりのひとつである。経営けいえいしゃ人件じんけんげる必要ひつようせいせまられる場合ばあいおおい。そのためスキルを必要ひつようとしない経営けいえいおこなわれ、簡易かんいまたはマニュアルされた手順てじゅんしょ用意よういし、常用じょうよう社員しゃいんではなく正規せいき雇用こようしゃ雇用こようし、主婦しゅふ学生がくせいなどをパートタイムで雇用こようし、自社じしゃ工場こうじょうまたは協力きょうりょく企業きぎょう製造せいぞうした冷凍れいとう食品しょくひんを、かく店舗てんぽ輸送ゆそうし、電子でんしレンジ調理ちょうりしてきゃくことおおい。

中華ちゅうかけん

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香港ほんこんしきファストフードのひとつである焗豬扒飯

中国ちゅうごくでファストフードは「かい餐(クワイツァン、kuàicān)」とばれる。もともと中華ちゅうか料理りょうりには、炒飯ちゃーはん麺類めんるいはじめとするしょうども、および餃子ぎょうざちまきはじめとする点心てんしんといったファストフードの性格せいかく料理りょうりがあり、夜市やじちゃ餐廳などをつうじて提供ていきょうされてきた。夜市やじさかんな台湾たいわんではいまでも様々さまざま台湾たいわんしょうども中国語ちゅうごくごばん存在そんざいする。また、生活せいかつスタイルの変化へんかやアメリカしきのファストフードが流入りゅうにゅうはじめたことにより、香港ほんこんでは1970年代ねんだい以降いこう香港ほんこんしきファーストフード中国語ちゅうごくごばんみなとしきかい)」とばれる独自どくじのファストフード文化ぶんか発達はったつした。

中国ちゅうごく大陸たいりくでは1980年代ねんだいはじまった改革かいかく開放かいほう政策せいさく結果けっか、ケンタッキーフライドチキンやマクドナルドなどの世界せかいてきファストフードてん経済けいざい特区とっく北京ぺきん上海しゃんはいなどの大都市だいとしから出店しゅってんはじめ、すでに内陸ないりく地方ちほう都市としにまで普及ふきゅうしている。欧米おうべいのチェーンてんについで、台湾たいわん資本しほん豆乳とうにゅうものにするファストフードてん人気にんきあつめるようになると、中華ちゅうか料理りょうり基本きほんにしたファストフードチェーンも種々しゅじゅオープンするようになった。トレーに中華ちゅうか料理りょうりってべさせる定食ていしょくなどにも「かい餐」の看板かんばんかかげられている。最近さいきんでは台湾たいわんふうおにぎりチェーンや、にちしきラーメンみせカレーライスみせなどにも人気にんきている。

2010ねん中国ちゅうごく料理りょうり協会きょうかい中国ちゅうごく大陸たいりくにおけるファストフード企業きぎょう上位じょうい50しゃのリストを発表はっぴょうした。調査ちょうさによれば、上位じょうい5しゃヤム・ブランズげんヤム中国ちゅうごく英語えいごばん)、マクドナルド、ディコスあじせんであった[3]

おも店舗てんぽ

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健康けんこう問題もんだい

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2003ねん世界せかい保健ほけん機関きかん(WHO)の報告ほうこくしょは、ファストフードは肥満ひまん関連かんれんすると報告ほうこくしている[4]。2007ねん世界せかいがん研究けんきゅう基金ききんによる報告ほうこくしょは、がん予防よぼうのためにファストフードの摂取せっしゅひかえめにすべきだとしている[5]。アメリカでは、マクドナルドやペプシコなど11の主要しゅようなメーカーが、12さい以下いかどもにファストフードなどの広告こうこくをやめることで合意ごういしている[6]

2009ねん台湾たいわん政府せいふは、ファストフードなど健康けんこうもの特別とくべつ課税かぜいする方針ほうしん食生活しょくせいかつ改善かいぜん肥満ひまん低下ていか目的もくてきとしている。同国どうこくでは、肥満ひまん子供こどもよんにん一人ひとり以上いじょうになっており肥満ひまん問題もんだいげられている。

米国べいこくでも問題もんだいとなっており、べい成人せいじんじつに3ぶんの2が肥満ひまんとなっており医療いりょう支出ししゅつは900おくドルをえる[7]

妊娠にんしんまえにファストフードを頻繁ひんぱんべた場合ばあい糖尿とうにょうびょう罹患りかんリスクが増大ぞうだいすることが報告ほうこくされている[8]

仮名かめい表記ひょうき

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「fast food」の仮名かめい表記ひょうきでは表記ひょうきゆれしょうじており、おもに「ファストフード」と「ファーストフード」の2種類しゅるい使用しようされている。

実態じったい調査ちょうさ

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NHK放送ほうそう文化ぶんか研究所けんきゅうじょが2002年度ねんど平成へいせい14年度ねんど)にった調査ちょうさでは、「ファーストフード」と回答かいとうしゃが72%をめた。しかし2010ねん街頭がいとうインタビューをおこなったところ、若者わかものなかに「ファストフード」を使つかひとおおくいた。以前いぜんは「ファーストフード」とっていたが、"はやい"という意味いみで『ファストフード』を意識いしきするようになったという回答かいとうもあった[9]

一方いっぽう、よりあたらしいかたりである「fast fashion」は「ファストファッション」とするのが一般いっぱんてきである。

広辞苑こうじえん(だい6はん)、明鏡めいきょう国語こくご辞典じてん(だい2はん)、ジーニアス和英かずひで辞典じてん(だい2はん)の見出みだでは「ファーストフード」がもちいられている。

大辞林だいじりん(だい4はん)、しん明解めいかい国語こくご辞典じてん(だい8はん)、スーパー・アンカー英和えいわ辞典じてん(だい5はん)の見出みだでは「ファストフード」がもちいられている。

マスメディア

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日本にっぽんのマスメディアでは「fast」を「ファスト」と発音はつおん表記ひょうきすることにめているため[9]共同通信社きょうどうつうしんしゃをはじめとする大手おおて通信つうしんしゃ日本にっぽん新聞しんぶん協会きょうかい、NHKと日本民間放送連盟にほんみんかんほうそうれんめいでは「ファストフード」を統一とういつ表記ひょうきとしている[ちゅう 1]。「はやい」を意味いみする「fast」を「ファスト」、「だいいち」を意味いみする「first」を「ファースト」とけることで、カタカナされた外来がいらい意味いみ混乱こんらん回避かいひしているとの説明せつめいもある[10]

政府せいふ機関きかん

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厚生こうせい労働省ろうどうしょう公式こうしきサイトないでは統一とういつされておらず、「ファーストフード」と「ファストフード」のどちらももちいられている(2019ねん11がつ現在げんざい[11][出典しゅってん無効むこう]

英国えいこくしき米国べいこくしき

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fast」の英国えいこくでの発音はつおんは[fɑːst]であり「ファースト」にちかいが、「fast food」の概念がいねん由来ゆらいもとである米国べいこくでの発音はつおんは[fæst]であり「ファスト」にちか[12]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 用字ようじ用語ようごしゅうにもそのむね記載きさいしている。

出典しゅってん

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  1. ^ CNN ニュースの肥満ひまん特集とくしゅうより
  2. ^ 江戸えどのテイクアウトとファストフード文化ぶんか!?物売ものうり屋台やたい寿司すしてんぷらの販売はんばい方法ほうほう紹介しょうかい”. 小学しょうがくかん (2020ねん4がつ10日とおか). 2021ねん10がつ31にち閲覧えつらん
  3. ^ “ファーストフード50きょう発表はっぴょう 上位じょうい海外かいがいブランドが独占どくせん. レコードチャイナ. https://www.excite.co.jp/news/article/Recordchina_20100411005/ 2020ねん9がつ9にち閲覧えつらん 
  4. ^ Joint WHO/FAO Expert Consultation Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases (WHO technical report series ; 916). World Health Organization, Geneva, 2003:147-149.
  5. ^ World Cancer Research Fund and American Institute for Cancer Research (2007). Food, Nutrition, Physical Activity, and the Prevention of Cancer: A Global Perspective. Amer. Inst. for Cancer Research. p. 378-379. ISBN 978-0972252225. http://wcrf.org/int/research-we-fund/continuous-update-project-cup/second-expert-report  日本語にほんご要旨ようしべもの、栄養えいよう運動うんどうとがん予防よぼう世界せかいがん研究けんきゅう基金ききん米国べいこくがん研究けんきゅう機構きこう
  6. ^ Limiting Ads of Junk Food to Children (New York Times, July 18, 2007)
  7. ^ べい疾病しっぺい対策たいさくセンター(CDC)の推計すいけい[よう文献ぶんけん特定とくてい詳細しょうさい情報じょうほう]
  8. ^ 妊娠にんしんまえにファストフードを頻繁ひんぱんべた場合ばあい妊娠にんしん糖尿とうにょうびょうリスクがおよそ2ばい 日経にっけいメディカルオンライン 記事きじ:2013ねん6がつ25にち
  9. ^ a b ファーストフード? ファストフード? -NHK「梅津うめづ正樹まさき ことばおじさんのになることば」, (2003ねん10がつ28にち), オリジナルの2012ねん01がつ14にち時点じてんにおけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20120114152735/http://www.nhk.or.jp/kininaru-blog/67971.html 
  10. ^ 「ファーストフード?」 NHK放送ほうそう文化ぶんか研究所けんきゅうじょ、1999ねん8がつ1にち、2020ねん9がつ8にち閲覧えつらん
  11. ^ 厚生こうせい労働省ろうどうしょう
  12. ^ 英和えいわ辞典じてん Weblio辞書じしょ

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 新版しんぱん毎日新聞まいにちしんぶん用語ようごしゅう毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ 454ページ ISBN 4620904821

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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