フォルヒ

フォルヒ・ギターズ (FURCH GUITARS) は、チェコ共和きょうわ国こくのギターメーカー。

フォルヒ

現地げんち語ご社名しゃめい	Furch Musical Instruments Company
種類しゅるい	非公開ひこうかい会社かいしゃ
業種ぎょうしゅ	製造せいぞう業ぎょう
事業じぎょう分野ぶんや	ギターおよび関連かんれん製品せいひんの製造せいぞう
設立せつりつ	1981年ねん (1981)
創業そうぎょう者しゃ	フランティセク・フォルヒ
本社ほんしゃ	Městečko 27 691 63 Velké Němčice 、 チェコ
主要しゅよう人物じんぶつ	ピーター・フォルヒ
売上うりあげ高だか	92,556,000 チェコ・コルナ (2019年ねん)
営業えいぎょう利益りえき	−371,000 チェコ・コルナ (2019年ねん)
利益りえき	−393,000 チェコ・コルナ (2019年ねん)
総そう資産しさん	52,606,000 チェコ・コルナ (2019年ねん)
従業じゅうぎょう員数いんずう	74 (2019年ねん)
ウェブサイト	furchguitars.com

来歴らいれき

ギターリストとしてブルーグラスを演奏えんそうしていたフランティセク・フォルヒ (Frantisek Furch) が、1981年ねんに自分じぶんと数すう名めいの友人ゆうじんのためにギターを製作せいさくしたことからはじまる。当時とうじチェコ・スロバキアは、共産きょうさん主義しゅぎ体制たいせい下かであり、西側にしがわの輸入ゆにゅう品ひんのギターは高価こうかで一般人いっぱんじんには手ての届とどかないものであった。またギターメーカーとして起業きぎょうする事こと自体じたいが違法いほう行為こういであり、自宅じたくのガレージ程度ていどのごく小規模しょうきぼなスペースで密ひそかに製作せいさく・販売はんばいしていたという。

初はじめて製作せいさくしたアコースティックギターは、成型せいけいの容易たやすさからオベーションのような樹脂じゅし製せいのボウル形状けいじょうのボディバックを持もっていた。その後ごは試作しさくと検証けんしょうを繰くり返かえしながら徐々じょじょに品質ひんしつを高たかめ、プロ・アマ問とわず地元じもとプレイヤーの高たかい評価ひょうかを得えるまでになる。そして1989年ねんから93年ねんにかけての民主みんしゅ化かののちチェコ共和きょうわ国こくとなり、その93年ねん時点じてんで20名めいほどのスタッフを抱かかえるギターメーカーになっており、本格ほんかく的てきに市場いちばへと参入さんにゅうする事こととなる。以降いこうは隣国りんごくドイツへの輸出ゆしゅつ開始かいしからヨーロッパ各国かっこくへの広ひろがりを見みせる。日本にっぽんでは2003年ねんより株式会社かぶしきがいしゃエム・プロダクト スタジオエムが正規せいき輸入ゆにゅう代理だいり店てんとして販売はんばいを行おこなっている。

Furch CNR システム

1. 順じゅん反そり・逆ぎゃく反そり両方りょうほうに対応たいおうするダブルアクショントラスロッド。
2. トラスロッドを覆おおうカーボン製せいチューブは、ネックの剛性ごうせいを飛躍ひやく的てきに高たかめ、不規則ふきそくなネックの反そりを抑制よくせいし、トラスロッドの効果こうかを補助ほじょする。
3. ネックの取とり付つけ角度かくどを正確せいかくに保持ほじし続つづけ、弦つる振動しんどうの伝達でんたつ効率こうりつを向上こうじょうさせる特殊とくしゅ合金ごうきん製せいジョイントバーツ。

2015年ねん頃ごろよりフランティセクから社長しゃちょうの座ざを引ひき継ついだ実子じっしのピーター・フォルヒ (Petr Furch) は、民主みんしゅ化か後ごに育そだったグローバルな世代せだいである。従来じゅうらいからの熟練工じゅくれんこうによる手作業てさぎょうの良よさをいかしつつ、炭素たんそ繊維せんいによって補強ほきょうされたトラスロッドと軽量けいりょう合金ごうきん製せいのバーツをネックヒールに内蔵ないぞうする革新かくしん的てきなネックジョイント方式ほうしきCNR (Composite Neck Reinforce) システムや、極きわめて薄うすい塗装とそう仕上しあげを可能かのうにする紫外線しがいせん硬化こうか塗料とりょうの採用さいよう、近代きんだい的てきな工作こうさく機械きかいの導入どうにゅうによる品質ひんしつの安定あんてい化かなど、新あたらしい視点してんからフォルヒギターの更さらなる発展はってんを推おし進すすめている。

ギターのデザインとラインナップ

2003年ねん以降いこう

中心ちゅうしん的てきなシリーズである23シリーズを例れいに挙あげると、見みた目めは華美かびな装飾そうしょくはなく落おち着ついた雰囲気ふんいきを持もっている。シンプルでクリーンなデザインに、ボディバインディングやペグボタンにべっ甲こう柄がらのプラスチックパーツを使用しようした雰囲気ふんいきは、伝統でんとう的てきなクラシックギターから少すくなからず影響えいきょうを受うけているためである。

さらに上位じょういシリーズでは、ウッドバインディングやアバロン貝かいによるインレイなどが施ほどこされるモデルが用意よういされており、プレミアム感かんが高たかくなる。それでも派手はでさはなくシックなデザインバランスが保たもたれる。最さい上位じょういの25シリーズは、日本にっぽん市場いちば向むけにスタジオエムが企画きかくした商品しょうひんであり、実際じっさいにそのオーダーの通とおり製作せいさくしたフォルヒがそのデザイン性せいの良よさを気きに入いり、日本にっぽんだけでなくレギュラーラインナップに加くわえる事ことになったという逸話いつわがある。

33 34 35という30番台ばんだいのシリーズは、アメリカン・ヴィンテージギターの手法しゅほうに倣ならったフォルヒ流りゅうのギターである。スクエアなヘッドストックや、オープンギヤのペグ、ダイヤモンド＆キャッツアイのポジションマーク、ヘリンボーンとアイボリーのバインディングといった外観がいかんとなっている。塗装とそうは、一旦いったん艶出つやだしに仕上しあげられた後のち、手作業てさぎょうで半分はんぶんほど艶つやを落おとし、使つかい込こんだ風合ふうあいの外観がいかんを醸かもし出だす独特どくとくの仕上しあげを採用さいようしている。

2018年ねん以降いこう

代表だいひょう的てきなモデルのひとつ Yellow Gc-CR

2018年ねんに大幅おおはばなラインナップ改変かいへんが行おこなわれ、これまでのナンバリングによるシリーズを廃止はいしし、カラーによるシリーズ名めいに変更へんこうされた。「数字すうじがシリーズの上位じょうい・下位かいを表あらわすというイデオロギーを無なくし、各かくシリーズには個別こべつの魅力みりょくがあり、それを求もとめるプレイヤーにとってはベストな選択せんたくであって欲ほしい。」という思おもいからだという。

例たとえば前述ぜんじゅつの23シリーズは、デザインをほとんど変かえずにYellowシリーズとして引ひき継つがれいる。また、上位じょういシリーズでは、アバロン貝かいなどを使用しようした華はなやかな装飾そうしょくよりは、美うつくしい木目もくめを持もつ木材もくざいの組くみ合あわせによって表現ひょうげんされる落おち着ついたデザインにシフトしている。

ピックアップを標準ひょうじゅん搭載とうさいし、ステージ用ようギターとして高たかめられたGreenシリーズ。スチール弦つるのネック形状けいじょうをそのまま採用さいようし、持もち替かえても違和感いわかんのないナイロン弦つるのギターGrand Nylonシリーズ。ネックを取とり外はずしてボディ内ないに収納しゅうのうできるコンパクトなトラベルギターLittle Janeなども新あらたに登場とうじょうした。

Rainbowシリーズ

さらに、カスタムオーダー専せん門もんのRainbowシリーズでは、ボディサイズ・トップ材ざい・サイドバック材ざい・指ゆび板ばん＆ブリッジ材ざい・バインディング・パフリング・ポジションマークやインレイなど、様々さまざまな項目こうもくを自由じゆうに組くみ合あわせて理想りそうの1本ほんを作つくり上あげることができる。

モデル名めいの表記ひょうき

2018年ねん以降いこうの現げんラインナップについて解説かいせつする。

モデル名めいは、[シリーズをシリーズを表あらわすカラー] [ボディサイズを表あらわすアルファベット] [トップの木材もくざい] [サイドバックの木材もくざい] の順じゅんで表記ひょうきされる。

ボディサイズについては後述こうじゅつする。

各種かくしゅ木材もくざいを表あらわすアルファベットは、シトカスプルース (S)、ウエスタンシダー (C)、イングルマンスプルース (E)、アルパインスプルース (L)、アディロンダックスプルース (A)、インディアンローズウッド (R)、マダガスカルローズウッド (G)、ココボロ (C)、ブラックウォルナット (W)、マホガニー (M) などがある。

例れいとして「Yellow Gc-CR 」をあげると、Yellowシリーズ、Gサイズのカッタウェイボディ、シダートップ、インディアンローズウッドサイドバック となる。

ボディサイズ

9種類しゅるいのボディサイズが用意よういされており、各かく特徴とくちょうを簡単かんたんに説明せつめいすると以下いかの通とおりである。

OOM-ダブルーオーエム

ダブルオーエム

650mmのフルレングスのスケールを持もつギターとしては最もっとも小振こぶりなボディ。12フレットジョイントのネックとブリッジの位置いち関係かんけいが生うみ出だすサウンドは、サイズ感かんを超こえた力強ちからづよさと温あたたかみが感かんじられる。それに伴ともないボディの中心ちゅうしんに位置いちするブリッジが生うみ出だす。

OM-オーケストラモデル

オーケストラモデル (カッタウェイ)

小柄こがらなボディのため、ピッキングから音おとの立たち上あがりまでの反応はんのうが早はやくダイレクトな演奏えんそう感かんが得えられる。またフィンガーピッキングなど入力にゅうりょくが弱よわいプレイでも、ボディ全体ぜんたいを十分じゅうぶんに鳴ならし切きれる。各かく弦つる・各かくフレットポジションにおいて均一きんいつな音量おんりょうバランスで、指先ゆびさきのコントロールでサウンドに表情ひょうじょうを付つけたいプレイヤーに向むいている。ディープボディやショートスケールというオプションも選択せんたく可能かのう。

G-グランドオーディトリアム

OMより幅広はばひろで厚あつめのボディであり、ドレッドノートに次つぐボディサイズ。一般いっぱん的てきにボディが大型おおがた化かするほど中ちゅう低てい音域おんいきが強調きょうちょうされたサウンドバランスとなるため、OMに比くらべてボリューム感かんの豊ゆたかな奥行おくゆきのある響ひびきが得えられる。フォルヒのラインナップでは中型ちゅうがたのサイズとされ、演奏えんそうジャンルやプレイスタイルを問とわずに選えらばれ、OMボディの反応はんのうの良よさと後述こうじゅつするDボディのパワー感かんを良よいバランスで求もとめるプレイヤーに向むいている。

D-ドレッドノート

ドレッドノートは大型おおがたボディのアコースティックギターでは代表だいひょう的てきなスタイルである。特有とくゆうの下腹かふくに響ひびくような低音ていおんが魅力みりょくである。ドレッドノートにこだわるプレイヤーは、この低音ていおんに魅了みりょうされている場合ばあいが多おおい。サイズとしては後述こうじゅつのRSと同どう程度ていどであるが、Dのほうがより低音ていおんの強調きょうちょうされたサウンドバランスとなる。

RS-ラウンドショルダー

ラウンドショルダー

ラウンドショルダーはドレッドノートと同等どうとうのボディサイズである。ラウンドショルダーのほうが音おとの立たち上あがりや歯切はぎれの良よさが出だし易やすく、パーカッシヴなリズムプレイにおいて迫力はくりょくのあるサウンドを生うみ出だす。

S-スーパージャンボ

幅広はばひろなジャンボボディ。余裕よゆうのサイズを生いかした大おおきくクリアなサウンドが特徴とくちょうであり、豊ゆたかな低音ていおんときらびやかな高音こうおんが得えられる、いわゆるドンシャリな傾向けいこうのキャラクターを持もつ。ピックでの演奏えんそうにおいてもよどみなく響ひびかせる事ことができ、フィンガーピッキングでも強つよいタッチでクリアで豊ゆたかな音量おんりょうを求もとめるプレイヤーに向むいている。 (Rainbowシリーズでのみ選択せんたく可能かのう)

GNc-グランドナイロン

グランドナイロン

ナイロン弦つる専用せんように開発かいはつされたボディ。フォルヒでは、いわゆるクラシックギターではなく、スチールギター奏者そうしゃが持もち替かえて演奏えんそうに違和感いわかんのないナイロンギターとして開発かいはつされている。カッタウェイボディの12フレットジョイントという仕様しようで、組くみ合あわされるネックもスチールギターと同どう形状けいじょうのナイロン弦つるとしてはスリムな45mmナット幅はばとなる。

GSc-グランドスチール

スチールギターからアレンジされて生うまれたナイロンギター用ようのボディ (GNc) を、さらにアレンジして生うまれたスチール弦つる専用せんようボディ。つまり「スチール生うまれ、ナイロン育そだちのスチールギター」である。OMとほぼ同どうサイズでありながら、ナイロン育そだちのふくよかな響ひびき方かたがある (Rainbowシリーズでのみ選択せんたく可能かのう)。

Little Jane-トラベルギター

LJ10-CM

ワンタッチでネックを取とり外はずしてボディ内ないに収納しゅうのうすることで、コンパクトに運搬うんぱんすることができるトラベルギター。ロック式しきペグの採用さいようなどにより、分解ぶんかい～組くみ立たてを行おこなっても弦つるのチューニングがある程度ていどキープされ、すぐに演奏えんそうをスタートできる。デイパックのような形状けいじょうのケースが付属ふぞくする。旅たび好すきのフランティセクが、「所有しょゆうするハーレー・ダビッドソンでキャンプに出掛でかける際さいに、バイク後部こうぶの収納しゅうのうボックスに入はいるサイズのギターが欲ほしい。」という遊あそび心ごころから生うまれたギターである。

その他た

日本にっぽん国内こくないでは2000年代ねんだいに起おこったアコースティックギターのインストゥルメンタル (ソロギター) ブームの影響えいきょうや、カッタウェイボディやネック形状けいじょうなどが現代げんだい的てきなプレイスタイルにフィットした事ことから、日本にっぽんでの販売はんばい当初とうしょはソロギタープレイヤーを中心ちゅうしんに注目ちゅうもくされた。のちに様々さまざまなジャンルのプレイヤーに広ひろがりを見みせた。

国内外こくないがいを問とわずプロミュージシャンにも愛用あいよう者しゃが多おおく、日本にっぽん国内こくないでは赤崎あかさき郁いく洋よう、Dr.K (徳武とくたけ弘文ひろふみ)、池田いけだ聡さとし、中川なかがわイサト、井上いのうえ堯之、中西なかにし圭三けいぞう、岡崎おかざき倫りん典てん、山本やまもとコウタロー、岸部きしべ眞明まさあき、UK (MOROHA)、山木やまき将すすむ平たいら、西村にしむらケントなどが使用しようしている。

外部がいぶリンク

• 公式こうしきウェブサイト
• フォルヒギター日本にっぽん総そう代理だいり店てん スタジオエム