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プロジェクト・グーテンベルク - Wikipedia

プロジェクト・グーテンベルクProject Gutenberg略称りゃくしょうPG)は、著者ちょしゃ死後しご一定いってい期間きかん経過けいかし、(アメリカ著作ちょさくけんほうしたで)著作ちょさくけんれた名作めいさくなどの全文ぜんぶん電子でんしして、インターネットうえ公開こうかいするという計画けいかく。1971ねん創始そうしであり、もっと歴史れきしある電子でんし図書館としょかん印刷いんさつちちヨハネス・グーテンベルクかんし、人類じんるいたいする貢献こうけん目指めざしている。

プロジェクト・グーテンベルク
Project Gutenberg
URL
ホームページ
https://www.gutenberg.org/
タイプ 電子でんし図書館としょかん
分野ぶんや 著作ちょさくけん資料しりょう電子でんし公開こうかい
使用しよう言語げんご 英語えいご中心ちゅうしん
項目こうもくすう 30,000さつ以上いじょう
閲覧えつらん 無料むりょう
登録とうろく 不要ふよう
運営うんえいもと Project Gutenberg Literary Archive Foundation (PGLAF)[1]
営利えいりせい なし
設立せつりつ 1971ねん12月1にちから公開こうかい開始かいし[1]
設立せつりつしゃ マイケル・S・ハート
現状げんじょう コンテンツすう増加ぞうかちゅう

プロジェクト・グーテンベルクは、マイケル・S・ハートによって1971ねん創始そうしされた。当時とうじイリノイ大学だいがく学生がくせいであったハートは、学内がくない材料ざいりょう研究所けんきゅうじょにある大型おおがた汎用はんようコンピュータXerox Sigma Vへのアクセスけんた。管理かんりしゃ親切しんせつであったおかげで、実質じっしつてき無制限むせいげんな(当時とうじ価値かちで100まんドルとも1000まんドル相当そうとうとも算出さんしゅつされている[2])コンピュータ時間じかん利用りようできるアカウントをもらった。ハートは、なにかおおきな価値かちがあるとおもわれることをして、このおくものに「おかえし」をしたかったのだ、とべたことがある。

このコンピュータは、たまたま(のちにインターネット発展はってんする)コンピュータネットワークの15ノードひとつであった。ハートは、コンピュータが一般人いっぱんじんにもあつかえるようになる時代じだいがくるとしんじ、文学ぶんがく作品さくひん電子でんしてきかたち自由じゆう利用りようできるようにしようとめた。たまたまかばんなかにはアメリカ独立どくりつ宣言せんげん冊子さっしがあったので、これがプロジェクト・グーテンベルクの最初さいしょ電子でんしテキストになった。

プロジェクトの名前なまえは、15世紀せいき印刷いんさつ革命かくめいこしたドイツじんヨハネス・グーテンベルクり、ハートが名付なづけた。

1990年代ねんだい中頃なかごろまで、ハートはイリノイしゅうベネディクティン大学だいがく運営うんえいをしていた。よりおおくのボランティアがこの活動かつどう参加さんかするようになったが、スキャナOCRソフトが発展はってんしてひろ利用りようできるようになるまでは、だい部分ぶぶんのテキストが手作業てさぎょう入力にゅうりょくされていた。

のちに、カーネギー・メロン大学だいがくがプロジェクトの財政ざいせい管理かんり承諾しょうだくした。電子でんしテキストのりょうえると、ハートがおこなっていたプロジェクトの日常にちじょう業務ぎょうむまでをも、ボランティアがぐようになった。

2000ねんに、法的ほうてき事柄ことがら対処たいしょするため、NPO法人ほうじんProject Gutenberg Literary Archive Foundation, Inc.がミシシッピしゅう設立せつりつされた。寄付きふきん税金ぜいきん控除こうじょ対象たいしょうとなる。長年ながねんプロジェクトのボランティアをしてきたGregory Newbyが、法人ほうじん初代しょだいCEOになった。

おなじく2000ねん、Charles FranksがDistributed Proofreadersという、スキャンされたテキストの校正こうせいを、インターネットをつうじて、たくさんのボランティアにまかせることができるウェブサイトをつくった。このこころみにより、プロジェクト・グーテンベルクに追加ついかされるテキストのりょう種類しゅるいし、同時どうじあたらしくボランティアをはじめやすくなった。

イタリアじんのボランティアPietro Di Miceliが最初さいしょにプロジェクト・グーテンベルクのウェブサイトの作成さくせい管理かんりおこない、プロジェクトのオンラインカタログの整備せいびはじめた。10ねん(1994ねんから2004ねん)のあいだに、プロジェクトのウェブページは多数たすうしょう獲得かくとく。しばしば「最高さいこうのウェブサイト」リストにり、ほんプロジェクトの認知にんち上昇じょうしょう貢献こうけんした。[2]

2004ねんにはじまった、オンラインカタログの刷新さっしんは、プロジェクト・グーテンベルクのコンテンツの閲覧えつらんやアクセス、リンクをより容易よういにした。

現在げんざい、プロジェクト・グーテンベルクは、ノースカロライナ大学だいがくチャペルヒルこうibiblioうちホスティングされている。

収集しゅうしゅう範囲はんい

編集へんしゅう
 
1994ねんから2015ねんまでのテキストすう

2006ねん8がつ時点じてん公表こうひょうでは、プロジェクト・グーテンベルクが収集しゅうしゅうしたテキストは19000てんえ、しゅう平均へいきん50以上いじょうあたらしい電子でんし書籍しょせき追加ついかされている。[3]

これらは、ほとんど西洋せいよう文化ぶんかけん文学ぶんがく作品さくひんである。小説しょうせつ戯曲ぎきょくといった文学ぶんがく作品さくひんだけでなく、マニュアルや参考さんこうしょ雑誌ざっしるい収集しゅうしゅう対象たいしょうである。少量しょうりょうではあるが、音声おんせいファイルや楽譜がくふといった文書ぶんしょファイルも所蔵しょぞうされている。

だい部分ぶぶん英語えいごのテキストだが、言語げんごのテキストも非常ひじょうおおい。2006ねん8がつ現在げんざい英語えいご以外いがいとくおおいのは(じゅんに)フランス語ふらんすごドイツフィンランドオランダスペインのテキストである。

テキストは、可能かのうなかぎりプレーンテキスト状態じょうたい提供ていきょうされる。文字もじコードおもUS-ASCIIであるが、拡張かくちょうしてISO-8859-1使つかうことも多々たたある。のファイル形式けいしきでの公開こうかいもよく、ボランティアによる投稿とうこうにはHTML形式けいしきもっともよく利用りようされる。PDFのような編集へんしゅうむずかしい形式けいしきは、プロジェクト・グーテンベルクの目標もくひょう合致がっちしないと一般いっぱんみとめられているが、なんてん収集しゅうしゅうくわえられているものもある。XML使用しようすべきかとの議論ぎろんなんねんつづけられているが、進展しんてんおそい。

2004ねんにマイケル・ハートがした声明せいめいによれば、「プロジェクト・グーテンベルクの使命しめい単純たんじゅんだ。『電子でんし書籍しょせき作成さくせい配布はいふ推進すいしんすること』」[4]

プロジェクトのスローガンは「無学むがく教養きょうよう垣根かきねこわす」。というのも、おおくのボランティアは、ちょうど公共こうきょう図書館としょかんが20世紀せいき初頭しょとうはじめたように、遺産いさんとしてがれてきた文芸ぶんげい教養きょうよう鑑賞かんしょうを、継続けいぞくして大衆たいしゅうひろめることを目的もくてきとしているからである。

プロジェクト・グーテンベルクは、一極いっきょく集中しゅうちゅう意図いとてきけている。たとえば、どんなテキストがくわえられるべきかということについてポリシーをたない。わりに、めいめいのボランティアが、自分じぶん自身じしん関心かんしんっていること、提供ていきょうできることをおこなっているのである。

収集しゅうしゅうしたテキストはなが保存ほぞんすることを意図いとしているので、局所きょくしょてきなアクシデントであれば、損失そんしつふせげるようにしてある。保存ほぞん確実かくじつ実行じっこうするため、収集しゅうしゅう作品さくひん全体ぜんたい定期ていきてきにバックアップがられ、いくつものことなる地域ちいきにあるサーバにミラーリングされる。

著作ちょさくけん問題もんだい

編集へんしゅう

プロジェクト・グーテンベルクは、アメリカ著作ちょさくけんほうもとづく電子でんし書籍しょせき状態じょうたい確認かくにん慎重しんちょうである。テキストは、著作ちょさくけん確認かくにんけた場合ばあいのみアーカイブにくわえられ、確認かくにん記録きろくから参照さんしょうできるように保管ほかんされる。

いくつかの電子でんし図書館としょかんプロジェクトとはことなり、プロジェクト・グーテンベルクは公表こうひょうするテキストにたいしてあらたな著作ちょさくけん主張しゅちょうしない。わりに、自由じゆう複製ふくせい配布はいふすることを奨励しょうれいしている。ただしプロジェクト・グーテンベルクがそのテキストの出所しゅっしょであることを明示めいじする必要ひつようがある。ライセンスとう言及げんきゅうする記述きじゅつ削除さくじょしてさい配布はいふ改変かいへんおこなうことはライセンス違反いはんである[5]

プロジェクトない大半たいはん書籍しょせきは、アメリカ著作ちょさくけんほうのもと、パブリックドメイン配布はいふされている。プロジェクト・グーテンベルクの商標しょうひょう使用しようする場合ばあいかく電子でんし書籍しょせき付随ふずいする法律ほうりつ文書ぶんしょによって、テキストの利用りよういくつかの制限せいげん改変かいへん配布はいふ商用しょうよう利用りようなどにたいするもの)がくわえられる。"Project Gutenberg "はプロジェクト・グーテンベルクの商標しょうひょうであるので、この商標しょうひょうもちい、プロジェクトが公表こうひょうしたパブリック・ドメインのテキストを許可きょかなく無断むだん商業しょうぎょうてき利用りようすることはみとめていない[6]。ヘッダをけずって商標しょうひょう使用しようしない場合ばあいは、パブリックドメインのテキストは制限せいげんなしに利用りようすることができる[よう出典しゅってん]

著作ちょさくけんしゃ許可きょかけて配布はいふしているテキストもある。これらのテキストは、著作ちょさくけんしゃとくさだめた制限せいげんしたがう。

1998ねんソニー・ボノ著作ちょさくけん延長えんちょうほうによってアメリカでの著作ちょさくけん保護ほご期間きかんが20ねん延長えんちょうされた。これにより、延長えんちょう期間きかん20ねんぶんのアメリカの作品さくひんはパブリックドメインとなされなくなり、プロジェクトにくわえられることはなくなった。これらの追加ついか再開さいかいされるのは1923ねん発表はっぴょう作品さくひん保護ほご期間きかん満了まんりょう2019ねん1がつ1にち以降いこうとなる。

提携ていけいプロジェクト

編集へんしゅう

提携ていけいプロジェクト同士どうしは、理念りねん共有きょうゆうしてはいるが独立どくりつした組織そしきで、Project Gutenbergの商標しょうひょう使用しよう許可きょかされている。特定とくていくに言語げんご焦点しょうてんてたものがおおい。

  • Project Gutenberg Australiaは、アメリカではまだ著作ちょさくけん存続そんぞくしている(または不明ふめいである)が、オーストラリアの著作ちょさくけんほうではパブリックドメインになっているテキストを数多かずおお所収しょしゅうしている。また、オーストラリアじん作家さっかや、オーストラリアにかんする書籍しょせき焦点しょうてんてている。なお、オーストラリアでは2004ねん著作ちょさくけん保護ほご期間きかん延長えんちょうされたため、同年どうねん以降いこう大幅おおはば活動かつどう規模きぼ縮小しゅくしょういられている。
  • PG-EUは、EU著作ちょさくけんほう運営うんえいされている姉妹しまいプロジェクト。目的もくてきひとつは、プロジェクト・グーテンベルクに可能かのうなかぎりおおくの言語げんごふくめることである。確実かくじつにあらゆるアルファベットが簡単かんたんただしく表現ひょうげんされるよう、Unicode運営うんえいされている。
  • Gutenberg of the Philippinesは、フィリピンじんとフィリピン特別とくべつ焦点しょうてんてて、可能かのうなかぎりおおくのひとおおくの書籍しょせき利用りようできるようにすることを目的もくてきとしている。
  • Project Gutenberg Europeは、セルビアモンテネグロのProject Rastkoが運営うんえいするプロジェクト。ヨーロッパ全体ぜんたいのためのプロジェクト・グーテンベルクになることを目的もくてきとしており、最初さいしょのプロジェクトは2005ねん活動かつどうをはじめた。電子でんし書籍しょせき素早すばや作成さくせいするためのソフトウェア Distributed Proofreaders を運営うんえいしている。
  • Project Gutenberg Luxembourgは、ルクセンブルクかれた書籍しょせきおも公開こうかいしている。
  • Project Gutenberg Consortia Centerは、収集しゅうしゅう収集しゅうしゅうとくした提携ていけいプロジェクト。プロジェクト・グーテンベルク本家ほんけからの、編集へんしゅうしゃによる管理かんり一貫いっかんした整形せいけい作業さぎょうはない。様々さまざま言語げんごでの、特定とくていのテーマに沿った収集しゅうしゅう特徴とくちょうてき
  • Projekti Lönnrotは、フィンランドじんのボランティアがはじめたプロジェクト。

ほかに、Projekt Gutenberg-DEがGutenbergの名前なまえ使用しよう許可きょかされたが、理念りねんじょうちがいのために、提携ていけいプロジェクトとなされないこともある。Projekt Gutenberg-DEは、公開こうかいぶつあらたな著作ちょさくけんくわえ、ウェブばんへのアクセスを制限せいげんしている。

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ Hart, Michael S.. “United States Declaration of Independence by United States”. Project Gutenberg. 2007ねん2がつ17にち閲覧えつらん
  2. ^ The History and Philosophy of Project Gutenberg、1992ねん8がつ
  3. ^ gutindex-2006によれば、2006ねん最初さいしょの33週間しゅうかんで1653てん投稿とうこうがあった。平均へいきんすと、しゅうに50.09てんである。この数値すうちには、提携ていけいプロジェクトからの追加ついかぶんふくんでいない。
  4. ^ The Project Gutenberg Mission Statement、2004ねん10がつ23にち更新こうしん
  5. ^ Section 1. General Terms of Use and Redistributing Project Gutenberg-tm electronic work”. The Project Gutenberg. 2020ねん7がつ24にち閲覧えつらん。 “1.E.1. The following sentence, with active links to, or other immediate access to, the full Project Gutenberg-tm License must appear prominently whenever any copy of a Project Gutenberg-tm work (any work on which the phrase "Project Gutenberg" appears, or with which the phrase "Project Gutenberg" is associated) is accessed, displayed, performed, viewed, copied or distributed: This eBook is for the use of anyone anywhere in the United States and most other parts of the world at no cost and with almost no restrictions whatsoever. You may copy it, give it away or re-use it under the terms of the Project Gutenberg License included with this eBook or online at www.gutenberg.org. If you are not located in the United States, you'll have to check the laws of the country where you are located before using this ebook.”
  6. ^ The Project Gutenberg License”. The Project Gutenberg. 2020ねん7がつ24にち閲覧えつらん。 “Using the Project Gutenberg Trademark - If you want to use the name Project Gutenberg anywhere in the ebooks you distribute or on the distribution medium or in advertising you have to obey these rules: you may only distribute verbatim copies of the ebooks. No changes are allowed to the ebook contents. (Though reformatting the ebook to a different file format is considered okay). If you charge money for the copies you distribute, you have to pay royalties to Project Gutenberg. You must refund your clients for defective copies or if they don't agree with the Project Gutenberg license. If you don't agree with any of the above mentioned restrictions, you may not use the Project Gutenberg trademark. You may still distribute the ebooks if you strip the Project Gutenberg license and all references to Project Gutenberg.”

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう

外部がいぶリンク

編集へんしゅう
  • プロジェクト・グーテンベルク公式こうしきサイト (インターフェイスは英語えいご
  • Distributed Proofreadersおも英語えいご) - 編集へんしゅうのボランティアの世界せかいてきなグループ。 現在げんざい、プロジェクト・グーテンベルクの電子でんし書籍しょせきおもなソースとなっている。
  • HTML Writers Guild [リンク] - XHTMLおよびXMLのマークアップをプロジェクト・グーテンベルクで使用しようするためのガイド。
  • プロジェクト・グーテンベルクによる作品さくひん (インターフェイスは英語えいご(ただし、これらのおおくは、商標しょうひょう問題もんだいからかんされているだけで、プロジェクト・グーテンベルク自体じたい起源きげんたない)
  • GutenMark [リンク] - こう品質ひんしつのHTMLやLaTeXマークアップをプロジェクト・グーテンベルクの電子でんしテキストから自動じどう生成せいせいするツール。プロジェクト・グーテンベルク本家ほんけとの提携ていけいはない。