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メタアナリシス - Wikipedia

メタアナリシス

複数ふくすう研究けんきゅう結果けっか統合とうごうし、よりたか見地けんちから分析ぶんせきすること
メタ分析ぶんせきから転送てんそう

メタアナリシス英語えいご: Meta-analysis)とは、複数ふくすう研究けんきゅう結果けっか統合とうごうし、よりたか見地けんちから分析ぶんせきすること、またはそのための手法しゅほう統計とうけい解析かいせきのことである。メタ分析ぶんせきメタ解析かいせきともう。ランダム比較ひかく試験しけん(RCT)のメタアナリシスは、根拠こんきょもとづく医療いりょう (EBM) において、もっとしつたか根拠こんきょとされる[2]。メタアナリシスは科学かがくてき総合そうごう重要じゅうよう部分ぶぶんだが[3]、メタアナリシスを理解りかいせずに結論けつろんれるのは危険きけんである[4]

証拠しょうこ科学かがくてき根拠こんきょまたはエビデンス)のつよさは、うえくほどつよくなる。うえけて蓄積ちくせきされていくので研究けんきゅういち研究けんきゅうひろいきれないラグこりうる。また効果こうかのみを評価ひょうか副作用ふくさよう考慮こうりょしていない場合ばあいもある。
  in vitro試験管しけんかん)など

(ニューヨーク州立しゅうりつ大学だいがく作成さくせい[1]

メタアナリシスという言葉ことばは、情報じょうほう収集しゅうしゅうから吟味ぎんみ解析かいせきまでのシステマティック・レビュー同様どうようもちいられることがある[5]厳密げんみつ区別くべつする場合ばあい、メタアナリシスはデータ解析かいせき部分ぶぶん[6][5]。また、メタアナリシスとシステマティックレビューをまとめてリサーチ・シンセシスともう。

[グラフ]びまんせい内在ないざいせいきょう神経しんけいにかわしゅおよびその小児しょうに神経しんけいにかわしゅ症例しょうれい1,000けんちょうのメタアナリシスの概念がいねん関連かんれんする変異へんいふといろたい)と一般いっぱんてき転帰てんきさい外周がいしゅう矢印やじるし)にかんする情報じょうほうは、基礎きそとなるいち文献ぶんけんのうじょう断面だんめんおび)から抽出ちゅうしゅつ

20世紀せいき初頭しょとうの1904ねん報告ほうこくしょにて、イギリスの統計とうけい学者がくしゃカール・ピアソンが、臨床りんしょう試験しけん結果けっかをメタアナリシスによって最初さいしょ分析ぶんせきしたとされている[7]。その1920年代ねんだいには、イギリスの統計とうけい学者がくしゃロナルド・フィッシャー農業のうぎょう分野ぶんや複数ふくすう研究けんきゅう分析ぶんせき方法ほうほうげて、1935ねんには著書ちょしょ発表はっぴょうした[7]

1971ねんには、ノーベル化学かがくしょうとノーベル平和へいわしょう受賞じゅしょうしゃである化学かがくしゃライナス・ポーリングが、ビタミンC摂取せっしゅ風邪かぜ予防よぼう治療ちりょう効果こうかがあることは、4けんのランダム比較ひかく試験しけん統合とうごうした結果けっかによって裏付うらづけられているとしている[8]。これは医学いがくにおける初期しょきのメタアナリシスのひとつにかぞえられるものである[9]。なおこの予防よぼう効果こうかについては賛否さんぴ両論りょうろんのあるかたち研究けんきゅうつづいてきた[10]

1976ねんには統計とうけい学者がくしゃジーン・V・グラス英語えいごばんがメタアナリシスという用語ようごを「複数ふくすう研究けんきゅう統合とうごうして分析ぶんせきする」という意味いみ説明せつめいし、そのすうねんには医学いがく分野ぶんやさかんに採用さいようされるようになった[7]。また、1990年代ねんだい初頭しょとうまでには「文献ぶんけんかたよりなく探索たんさくする」システマティックレビューという言葉ことばとの混用こんようられるようになった[7]

2020ねん人工じんこう知能ちのう使つかったメタアナリシスの迅速じんそく作成さくせい方法ほうほう発明はつめいされた[11]

手順てじゅん

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メタアナリシスは、研究けんきゅう抽出ちゅうしゅつプール解析かいせき手順てじゅんむ。このさいに、主観しゅかんてきあるいは恣意しいてきなバイアスをけるのは、ランダム比較ひかく試験しけん(RCT)からの連続れんぞくである[よう説明せつめい][12]

  • 研究けんきゅう抽出ちゅうしゅつつかった研究けんきゅうすべてを対象たいしょうとする。恣意しいてき研究けんきゅう抽出ちゅうしゅつすることをける[13]
  • プール(pool):データを結合けつごうし、治療ちりょうぐん対照たいしょうぐんそれぞれのエンドポイントの平均へいきん算出さんしゅつする。
  • 効果こうかりょう英語えいご: effect size算出さんしゅつ治療ちりょうぐん対照たいしょうぐん平均へいきん差異さい標準ひょうじゅん偏差へんさる。効果こうかりょうが、治療ちりょうがプラスになるのかマイナスになるのかの客観きゃっかんてき尺度しゃくどとして算出さんしゅつされる。

ランダム比較ひかく試験しけんにおいて、治療ちりょうぐん対照たいしょうぐん改善かいぜん差異さいちいさい場合ばあい統計とうけいによる検出けんしゅつりょくひくく、統計とうけいてき有意ゆういせいのある差異さい発見はっけんされないことがある。しかし、メタアナリシスによって、母集団ぼしゅうだんかずおおきくすることで、この統計とうけいてき有意ゆういせいのある差異さい発見はっけんされる可能かのうせいがる。

バイアスの問題もんだい

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製薬せいやく会社かいしゃ自社じしゃ医薬品いやくひん有効ゆうこうせいせるために、結果けっか研究けんきゅうのみを選択せんたくしてプール解析かいせきおこな場合ばあいがあるが、厳密げんみつにはメタアナリシスではない[13]

選択せんたくてき包含ほうがんバイアス

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メタアナリシスにおける選択せんたくてき包含ほうがんバイアスを理解りかいするために、メタアナリシスがどのように試験しけん効果こうか推定すいてい測定そくていしているか公表こうひょう推奨すいしょうされることがある[14][15]

出版しゅっぱんバイアス

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否定ひていてき結果けっか論文ろんぶんとなって公表こうひょうされにくいという出版しゅっぱんバイアスにより[12]結合けつごうするもとのデータに肯定こうていてき結果けっかおおくなってしまう。こううつやくパキシル否定ひていてき結果けっかのデータの隠蔽いんぺいから、薬剤やくざい有効ゆうこうせい危険きけんせいさい評価ひょうかされた結果けっか評価ひょうかがったことから出版しゅっぱんバイアスの影響えいきょう懸念けねんされた[16]。パキシルの不祥事ふしょうじからの議論ぎろんは、世界せかい医師いしかい医学いがく雑誌ざっし編集へんしゅうしゃ国際こくさい委員いいんかいによる研究けんきゅう事前じぜん登録とうろくかんする声明せいめいや、2005ねん世界せかい保健ほけん機関きかん(WHO)や2007ねんのアメリカ医薬品いやくひんきょく(FDA)による研究けんきゅう登録とうろく制度せいど構築こうちくにつながった[17]出版しゅっぱんバイアスを軽減けいげんする方法ほうほうひとつに、情報じょうほう公開こうかいほうもとづいて、各国かっこく規制きせい機関きかんからくすり認可にんかのために提出ていしゅつされたぜんデータを入手にゅうしゅ分析ぶんせきする手法しゅほうがある[18]

メタアナリシスに灰色はいいろ文献ぶんけんふくめると、メタアナリシスの信頼しんらいせい向上こうじょうするとわれることがある。その理由りゆうは、灰色はいいろ文献ぶんけん厳密げんみつさは公表こうひょう文献ぶんけんわらないからであり[19]、おぞう問題もんだい解決かいけつさくとして灰色はいいろ文献ぶんけんをメタアナリシスにふくめるべきである。しかし、発表はっぴょう灰色はいいろ文献ぶんけん研究けんきゅう結果けっかふくまないメタアナリシスのしつおおきな影響えいきょうあたえるメタアナリシスはごく少数しょうすうであるとされることもある[20]

人工じんこう知能ちのうベースのメタアナリシス

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2020年代ねんだいはいり、人工じんこう知能ちのうもちいたメタアナリシスの方法ほうほうろん導入どうにゅうされている[11]人工じんこう知能ちのうのメタアナリシスへの応用おうようは、しょうじんだけでなく、従来じゅうらいのメタアナリシスの問題もんだいてんとして、解析かいせき期間きかんが1ねんせまり、最新さいしん論文ろんぶん考慮こうりょからはずれるケースがおおいことがげられる[21]。さらに、2021ねんと2022ねんには、世界中せかいじゅう年間ねんかん500まんほん以上いじょう論文ろんぶん発表はっぴょうされると推定すいていされており[22]人間にんげんがこれらすべての論文ろんぶん分析ぶんせきすることは困難こんなんである[21]くわえて、メタアナリシスをおこなさい集団しゅうだん思考しこうやそののバイアスがしょうじる可能かのうせい非常ひじょうたかいため、人工じんこう知能ちのうによる迅速じんそくなメタアナリシスの自動じどう現在げんざい重要じゅうようであるが[21]人工じんこう知能ちのう生成せいせいするメタアナリシスにたいする専門せんもんによる検閲けんえつは、2022ねん時点じてん必須ひっすとなる[23][24]

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ SUNY Downstate EBM Tutorial”. library.downstate.edu. 2004ねん3がつ23にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2015ねん9がつ3にち閲覧えつらん
  2. ^ 津谷つや正木まさき 2006, p. 12
  3. ^ Morrissey 2016, pp. 1922–1931
  4. ^ Ahn & Kang 2018, pp. 103–112
  5. ^ a b 津谷つや 2003, pp. 1415–1422
  6. ^ Box”. app.box.com. 2022ねん7がつ9にち閲覧えつらん
  7. ^ a b c d O'Rourke 2007, pp. 579–82
  8. ^ Pauling 1971, pp. 2678–81
  9. ^ Hemilä 2017, doi:10.3390/nu9040339
  10. ^ Office of Dietary Supplements - Vitamin C (Report) (英語えいご). アメリカ国立こくりつ衛生えいせい研究所けんきゅうじょ. 18 September 2018.
  11. ^ a b Michelson et al. 2020, pp. e20007
  12. ^ a b 津谷つや正木まさき 2006, pp. 9–12
  13. ^ a b アービング・カーシュ 2010, pp. 60–61.
  14. ^ Page et al. 2016, pp. e011863
  15. ^ Page, McKenzie & Forbes 2013, pp. 524–537
  16. ^ Joober et al. 2012, pp. 149–152
  17. ^ Bian & Wu 2010, p. 64
  18. ^ Huedo-Medina et al. 2012, pp. e8343
  19. ^ Conn et al. 2003, p. 256
  20. ^ Schmucker et al. 2017, pp. e0176210
  21. ^ a b c Meta-Analysis — A Comprehensive Guide to Utilizing AI” (英語えいご). SciSpace Resources (2024ねん4がつ3にち). 2024ねん9がつ23にち閲覧えつらん
  22. ^ Number of Academic Papers Published Per Year – WordsRated” (英語えいご) (2023ねん6がつ1にち). 2024ねん11月4にち閲覧えつらん
  23. ^ Christopoulou 2023, pp. 115–140
  24. ^ Feng et al. 2022, pp. 1425–1432

参考さんこう文献ぶんけん

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おも執筆しっぴつしゃ編者へんしゃじゅん

洋書ようしょ

外部がいぶリンク

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