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ワイドボディ機 - Wikipedia

ワイドボディ

客室きゃくしつ通路つうろが2ほん航空機こうくうき

ワイドボディ(ワイドボディき)とは、旅客機りょかくきのうち、客室きゃくしつ1かい通路つうろが2ほんあるものをいう。これにたいして、通路つうろが1ほんだけの旅客機りょかくきナローボディばれる。

ワイドボディエコノミークラス エアバスA350のキャビン(ひだり)とビジネスクラス A350のキャビン(みぎ

長所ちょうしょ

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一般いっぱんにワイドボディでは1はこべる乗客じょうきゃくすうやせるために、航空機こうくうきそのものと、機上きじょう操縦そうじゅう地上ちじょうのスタッフ、地上ちじょう各種かくしゅ設備せつびるいなども乗客じょうきゃく1にんたりのかずすくなくてむので、運航うんこう経費けいひ削減さくげん寄与きよする。床下ゆかした貨物かもつしつひろれるので貨物かもつ輸送ゆそうでの収益しゅうえき増加ぞうか見込みこめる。また、空中くうちゅう飛行ひこうする時間じかんくらべて乗降じょうこう頻繁ひんぱん路線ろせんでは、通路つうろが2ほんあることは乗降じょうこう時間じかん短縮たんしゅくとなり収益しゅうえきせい向上こうじょう効果こうかおおきい[ちゅう 1][ちゅう 2][1][2]

短所たんしょ

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後方こうほう乱気流らんきりゅう

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それぞれの航空機こうくうきは、ICAOによって[3]つばさつばさはしから発生はっせいする後方こうほう乱気流らんきりゅうつよさで分類ぶんるいされている。 後方こうほう乱気流らんきりゅうつよさは一般いっぱん航空機こうくうき重量じゅうりょう関係かんけいしていて、「Light(ライト)」、「Medium(ミディアム)」、「Heavy(ヘビー)」、「Super(スーパー)」の4段階だんかいけられる。

このうちすべてのワイドボディと、ナローボディボーイング757が「Heavy」に分類ぶんるいされ、そのなかで、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく空域くういき飛行ひこうするエアバスA380さい重量じゅうりょうの「Super」と分類ぶんるいされている[4]

後方こうほう乱気流らんきりゅうアメリカン航空こうくう587便びんのような重大じゅうだい事故じこ原因げんいんにもなりうるため[ちゅう 3]、ワイドボディ離陸りりくした直後ちょくごは、つぎ離陸りりくする機体きたいとの距離きょり出来できるだけはな必要ひつようがある。

そのためアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなど一部いちぶくにでは、航空こうくう管制かんせいかんとの交信こうしんさい

Japan Air 791 Heavy, wind 060 at 8, Runway 08R, Cleared for takeoff.

日本航空にほんこうくう791便びん ヘビーふう方位ほうい060で8ノット、滑走かっそう08R、離陸りりく許可きょかする。)

というように、ワイドボディや757では、かならずコールサインの末尾まつびにヘビー(またはスーパー)をくわえなければならない。

そののデメリット

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2かいせきたないワイドボディでは、たん通路つうろではそれほど目立めだたなかった客室きゃくしつじょう無駄むだ空間くうかんおおきくなり、一部いちぶ乗務じょうむいんよう休憩きゅうけいしつなどへの利用りようおこなわれているが、ほとんど空気くうきはこんでいるにすぎない。胴体どうたいはばひろがると操縦そうじゅうせきからのがわかたなな後方こうほう視界しかいせまくなり、ボーイング747のように2かい操縦そうじゅうせきそなえるか、機体きたいさき頭部とうぶをやや縦長たてながにするなど工夫くふうもとめられる。機首きしゅ部分ぶぶんにだけ2かいせきもうけた機体きたいでは基本きほん構造こうぞう複雑ふくざつにして製造せいぞうコストをやす。

運用うんようにおいても、乗客じょうきゃくすう相応そうおうおお路線ろせん以外いがいでは運航うんこうしても座席ざせきめることはできないため、主要しゅよう路線ろせん以外いがいでは採用さいようしにくい。欧州おうしゅうでのハブ・アンド・スポークしきから地方ちほう空港くうこうあいだでの路線ろせん増加ぞうかのような中小ちゅうしょうがた主体しゅたいこまかく空港くうこうむす形態けいたいのポイント・トゥ・ポイントしき旅客りょかく輸送ゆそう今後こんごひろがりをせれば、輸送ゆそう効率こうりつではすぐれるワイドボディ不利ふりになり、航空こうくう会社かいしゃにとっては所有しょゆうすることがあしかせとなる可能かのうせいもある[2][1]

長所ちょうしょげられた床下ゆかした貨物かもつしつひろれるので貨物かもつ輸送ゆそうでの収益しゅうえき増加ぞうか見込みこめるめん通常つうじょうこのサイズの機体きたい航空こうくう貨物かもつようコンテナ使用しようした輸送ゆそうとなるが、航空機こうくうき運航うんこうめんでは専用せんよう地上ちじょう支援しえん機材きざい(ハイリフトローダー:コンテナを機体きたい貨物かもつしつまでげる機材きざい)などが必要ひつようとなり、空港くうこうによってはこれら機材きざいそろっていない空港くうこうもあり貨物かもつ取扱とりあつかい困難こんなんとなり実質じっしつ、ナローボディー以上いじょう時間じかんがかかり、効率こうりつ運用うんようとなることもある。

セミワイドボディ

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通路つうろが2ほんある旅客機りょかくきでも、機体きたいはばせまいためによこいちれつならべられる座席ざせきすうすくなく、床下ゆかした貨物かもつしつにもLD-3航空こうくう貨物かもつようコンテナ並列へいれつ搭載とうさいできないボーイング767[ちゅう 4]とくにセミワイドボディとしてワイドボディとは区別くべつされる場合ばあいがある。

各社かくしゃのワイドボディ

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エアバスA380(フルダブルデッキ)とボーイング747-400(フロントセクションのみダブルデッキ)の断面だんめん比較ひかく

登場とうじょう初期しょきには自動車じどうしゃバスのように大量たいりょう旅客りょかくはこべる旅客機りょかくき、という意味いみエアバスというかたもあった[ちゅう 5][ちゅう 6]が、これを社名しゃめい採用さいようしたエアバスしゃ世界せかいてき旅客機りょかくきメーカーとして台頭たいとうしてくると、このかた同社どうしゃおよび同社どうしゃ航空機こうくうきのみに使用しようされるようになった。

  マクドネル・ダグラス

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げんボーイング

げんロッキード・マーティン

  イリューシン

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  中国ちゅうごく商用しょうよう
  統一とういつ航空機こうくうき製造せいぞう会社かいしゃ

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ ナローボディでありながら乗客じょうきゃくすうおお大型おおがたは、乗降じょうこう時間じかんがかかりすぎるため、航空こうくう会社かいしゃ敬遠けいえんされる傾向けいこうがある
  2. ^ 2ほん通路つうろ客席きゃくせきとおせることで3せき+4せき+3せきという座席ざせき配置はいち可能かのうになった。通路つうろがわ窓側まどがわせきではすくなくとも片側かたがわにはじんがいないため心理しんりてき圧迫あっぱくかん軽減けいげんされるが、3にんせきでの中央ちゅうおう座席ざせきのように両側りょうがわ乗客じょうきゃくがいると、一般いっぱんてきにはあまり快適かいてきとはならない。これは「ミドルマンの悲劇ひげき」とばれ、航空こうくう会社かいしゃはできればミドルマンせきくしたい。ワイドボディ複数ふくすう通路つうろによって比較的ひかくてきミドルマンのせきらすことができた。ミドルマンの座席ざせきはばすこしだけひろくなっている。
  3. ^ AA587便びん場合ばあい前方ぜんぽう飛行ひこうしていた日本航空にほんこうくうボーイング747後方こうほう乱気流らんきりゅうたいする乗務じょうむいん不適切ふてきせつ操縦そうじゅうによって、垂直すいちょく尾翼びよく脱落だつらくしてしまった。
  4. ^ ボーイングしゃではセミワイドボディであるB-767販売はんばいにおいて、2せき+3せき+2せきという座席ざせき配置はいちによって「ミドルマンの悲劇ひげき」が1せきだけとなるとして乗客じょうきゃくへの快適かいてきせい向上こうじょうをアピールした。
  5. ^ ANA運航うんこう機材きざい歴史れきし|企業きぎょう情報じょうほう|ANAでは、同社どうしゃはつのワイドボディだったロッキード L-1011 トライスターを「『エアバス』とばれる定員ていいん300めいクラスの大型おおがた」と解説かいせつしている。
  6. ^ 柳田やなぎだ邦男くにおの『ぞく・マッハの恐怖きょうふ』(1971ねん初版しょはん)では「エアバスとは、国内線こくないせんおも目的もくてきさんにん前後ぜんこう標準ひょうじゅんとしたジャンボ・ジェット機じぇっとき」としており、具体ぐたいれいとしてボーイング747SR、ロッキード L-1011 トライスター、マクドネル・ダグラスDC-10をげている(新潮しんちょう文庫ぶんこばん P522-523)

出典しゅってん

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  1. ^ a b 久世くぜしんちょ、『旅客機りょかくき開発かいはつ』、日本航空にほんこうくう技術ぎじゅつ協会きょうかい、2006ねん9がつ11にちだい1はんだい1さつ発行はっこうISBN 4902151146
  2. ^ a b 青木あおきけん 『ボーイングVSエアバス』 2004ねん9がつ20日はつか発行はっこうイカロス出版いかろすしゅっぱんISBN 4871495892
  3. ^ EUROCONTROL — Revising wake turbulence categories to gain capacity (RECAT)”. Eurocontrol.int (2008ねん11月21にち). 2019ねん5がつ28にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2009ねん12がつ20日はつか閲覧えつらん
  4. ^ B. N. Sullivan (2008ねん8がつ4にち). “Professional Pilot News: Airbus A380 requires new 'super' wake separation category”. Propilotnews.com. 2019ねん5がつ28にち閲覧えつらん
  5. ^ A300-600 Airplane Characteristics for Airport Planning” (PDF). Airbus (December 1, 2009). 2019ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  6. ^ A310 Airplane Characteristics for Airport Planning” (PDF). Airbus (December 1, 2009). 2019ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  7. ^ A330 Airplane Characteristics for Airport Planning” (PDF). Airbus (July 1, 2018). 2019ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  8. ^ A340-200/300 Airplane Characteristics for Airport Planning” (PDF). Airbus (July 1, 2018). 2019ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  9. ^ A350 Airplane Characteristics for Airport Planning” (PDF). Airbus (June 1, 2018). 2019ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  10. ^ (PDF) A380 Airplane Characteristics for Airport Planning, Airbus, (2016ねん12月1にち), オリジナルの2018ねん11月13にち時点じてんにおけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20181113231546/airbus.com/content/dam/corporate-topics/publications/backgrounders/techdata/aircraft_characteristics/Airbus-Commercial-Aircraft-AC-A380-Dec-2016.pdf 
  11. ^ 747 Airplane Characteristics for Airport Planning” (PDF). Boeing (Dec 2012). 2019ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  12. ^ 767 Airplane Characteristics for Airport Planning” (PDF). Boeing (May 2011). 2019ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  13. ^ 777-200LR/300ER Airplane Characteristics for Airport Planning” (PDF). Boeing (March 2015). 2019ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  14. ^ 777-9 Airplane Characteristics for Airport Planning” (PDF). Boeing (March 2018). 2019ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  15. ^ 787 Airplane Characteristics for Airport Planning” (PDF). Boeing (March 2018). 2019ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  16. ^ DC-10 Airplane Characteristics for Airport Planning” (PDF). Boeing (May 2011). 2019ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  17. ^ MD-11 Airplane Characteristics for Airport Planning” (PDF). Boeing (May 2011). 2019ねん5がつ27にち閲覧えつらん
  18. ^ “L-1011-500 TriStar technical profile” (PDF), www.tristar500.net, オリジナルの2018ねん7がつ24にち時点じてんにおけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20180724183647/tristar500.net/articles/techprofile.pdf 
  19. ^ Bradley Perrett (12 Oct 2015). “Treading Carefully”. Aviation Week & Space Technology. 2015ねん10がつ12にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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