侍さむらい中ちゅう

侍さむらい中ちゅう（じちゅう）は、皇帝こうていの側近そっきんで皇帝こうていの質問しつもんに備そなえ、身辺しんぺんに侍じする役職やくしょくである。

中国ちゅうごくにおいては秦はた代だいに始はじまり、丞相じょうしょうの属官ぞっかんとして殿中でんちゅうの奏そう事ごとを司つかさどり、漢かん代だいに入はいると加か官かん（本職ほんしょくの他ほかの兼任けんにん専用せんようの役職やくしょく）となって皇帝こうていの乗じょう輿こし・服飾ふくしょくをも扱あつかった。漢かんから魏たかしにかけて荀彧が守まもり尚書しょうしょ令れいに侍さむらい中ちゅうを兼かね、続つづいて太ふとし尉じょう司馬しば懿と大将軍だいしょうぐん曹爽が侍さむらい中ちゅうを兼かねている。

魏ぎ以後いごは、専任せんにんの侍さむらい中ちゅうも設置せっちされ、概がいして4名めいが置おかれた。枢機すうきに参与さんよする重職じゅうしょくとなった。南朝なんちょうの梁りょうや北朝ほくちょうの北きた魏たかしでは、宰相さいしょうと同等どうとうの官かんとなった。

隋ずい代だいには納言なごんと改称かいしょうされたが、唐とう代だいに旧きゅうに復ふくした。唐から以後いごは門下もんか省しょうの長官ちょうかんを兼かねて2名めいが任命にんめいされ、事実じじつ上じょうの丞相じょうしょうとなる。だが、時代じだいの変遷へんせんに伴ともなって、その権限けんげんは縮小しゅくしょうされた。門下もんか省しょうは貴族きぞく勢力せいりょくの権益けんえきを代表だいひょうして皇帝こうてい権けんと対抗たいこうする部局ぶきょくであったが、唐とうの中期ちゅうき以降いこうは帝みかど権けんが強つよまるにつれて門下もんか省しょうの権威けんいは低下ていかし、中書ちゅうしょ省しょうに吸収きゅうしゅうされるに至いたる。

宋そう代だいに侍さむらい中ちゅうの官かん名めいは復ふくしたが、それは実務じつむを伴ともなった官職かんしょくではなく、元もと代だい以後いごには廃止はいしされた。

日本にっぽんでは蔵人くろうどの唐名とうみょうとして用もちいられる。

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