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保全命令 - Wikipedia

保全ほぜん命令めいれい(ほぜんめいれい)は、民事みんじ保全ほぜんほう規定きていされた「民事みんじ保全ほぜん命令めいれい」をし、「かり差押さしおさえ命令めいれい」と「仮処分かりしょぶん命令めいれい」の2つの総称そうしょうである。保全ほぜん命令めいれいもうてによって裁判所さいばんしょおこなう(民事みんじ保全ほぜんほう2じょう1こう)が、保全ほぜん執行しっこうもうてにより裁判所さいばんしょまたは執行官しっこうかんおこなう (どうじょう2こう) 。この区別くべつは、民事みんじ執行しっこうにおいて、債務さいむ名義めいぎ判決はんけつかり執行しっこう宣言せんげん支払しはらい督促とくそく執行しっこう受諾じゅだく文言もんごん公正こうせい証書しょうしょ)の作成さくせい公証こうしょうおこな機関きかん執行しっこう機関きかんとが分離ぶんりしていることに対応たいおうしている。ほんこうでは、保全ほぜん命令めいれい発令はつれいまでの手続てつづき概観がいかんする。

判断はんだん機関きかん

編集へんしゅう

保全ほぜん命令めいれい発令はつれい裁判所さいばんしょおこなう。民事みんじ保全ほぜん事件じけん迅速じんそくせいかんがみ、裁判官さいばんかん1めい裁判所さいばんしょ構成こうせい単独たんどく事件じけん処理しょりすることもおおいが、法的ほうてきとく複雑ふくざつ困難こんなん事件じけん社会しゃかいてきとく耳目じもくあつめる事件じけんなどでは合議ごうぎたい担当たんとうすることもおおい。なお、民事みんじ保全ほぜんかんする裁判さいばん決定けってい命令めいれいおこなわれるので、保全ほぜん異議いぎ以外いがい裁判さいばん特例とくれい判事はんじ単独たんどくおこなうことができる(民事みんじ保全ほぜんほう3じょう民事みんじ訴訟そしょうほう123じょう民事みんじ保全ほぜんほう36じょう)。

保全ほぜん命令めいれい事件じけん管轄かんかつ裁判所さいばんしょ原則げんそくとして本案ほんあん管轄かんかつ裁判所さいばんしょまたかりさえるべきものしくは係争けいそうぶつ所在地しょざいち管轄かんかつする裁判所さいばんしょである(12じょう1こう)。本案ほんあんうったえが特許とっきょけんとうかんするうったえである場合ばあいには、本案ほんあん東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょ大阪おおさか地方裁判所ちほうさいばんしょ専属せんぞくする関係かんけいじょう保全ほぜん命令めいれい事件じけん管轄かんかつ裁判所さいばんしょ東京とうきょう地裁ちさい大阪おおさか地裁ちさい限定げんていされている(2こう)。なお、保全ほぜん命令めいれい事件じけん管轄かんかつ専属せんぞく管轄かんかつである(6じょう)。専属せんぞく管轄かんかつ違反いはんした申立もうしたてがされた場合ばあい法律ほうりつじょう建前たてまえ移送いそうをすることになるが、実際じっさいには債権さいけんしゃ申立もうしたてじん)にたいして、申立もうしたてをげて、正当せいとう管轄かんかつ裁判所さいばんしょあらためてもうてるようにうながすことがほとんどである。その理由りゆうは、

  1. 移送いそう手続てつづきには、一定いってい時間じかんがかかるため迅速じんそく発令はつれいけられないこと
  2. 移送いそう決定けっていたい即時そくじ抗告こうこくする利益りえき債務さいむしゃにもみとめられるので移送いそう決定けってい債務さいむしゃ告知こくちしなければならず、保全ほぜん命令めいれい申立もうしたてがあったことを債務さいむしゃられてしまうこと

である。

審理しんり手続てつづき

編集へんしゅう

保全ほぜん命令めいれい審理しんり手続てつづきは、かり地位ちいさだめる仮処分かりしょぶんかり地位ちい仮処分かりしょぶん)とその保全ほぜん命令めいれいかり差押さしおさえ命令めいれい係争けいそうぶつかんする仮処分かりしょぶん係争けいそうぶつ仮処分かりしょぶん))とではおおきくことなる。

かり地位ちいさだめる仮処分かりしょぶんにおいては、口頭こうとう弁論べんろんまた債務さいむしゃうことのできるしんひろ期日きじつなければはっすることができない(23じょう2こう)。これは、かり地位ちい仮処分かりしょぶんにおいてはある程度ていど紛争ふんそう成熟せいじゅくしていること、いわゆる満足まんぞくてき仮処分かりしょぶんかり賃金ちんぎん支払しはらいなど本案ほんあん勝訴しょうそ判決はんけつをもらうのと事実じじつじょうわらない保障ほしょうあたえられるもの)がおお債務さいむしゃ手続てつづきてき保障ほしょう必要ひつようせいつよいことから、債務さいむしゃ主張しゅちょうかなければかり地位ちい仮処分かりしょぶん発令はつれいできないとしていうものである。なお、実務じつむじょうは、口頭こうとう弁論べんろん期日きじつひらかれることはまれである。

これにたいして、かり差押さしおさえ命令めいれいおよ係争けいそうぶつ仮処分かりしょぶんにおいては、債務さいむしゃ意見いけんかずに発令はつれいする。もし債務さいむしゃ意見いけんくことを要求ようきゅうするならば、債務さいむしゃ財産ざいさん処分しょぶん隠匿いんとく機会きかいあたえ、これらの保全ほぜん命令めいれい趣旨しゅしはんする事態じたいになるからである。なお、東京とうきょう地裁ちさい保全ほぜんではぜんけん債権さいけんしゃ面接めんせつおこなっている。

保全ほぜん命令めいれいは、保全ほぜん権利けんり存在そんざいし、債権さいけんしゃ係争けいそうぶつかんする権利けんりゆうまた債権さいけんしゃ債務さいむしゃあいだかり地位ちいさだめる必要ひつようせい一応いちおうみとめられる場合ばあい発令はつれいされるが、訴訟そしょう手続てつづき保全ほぜん権利けんり存在そんざいしなかったひとし判明はんめいすることもありうる。このような場合ばあい債務さいむしゃこうむ損害そんがい弁償べんしょうてるために担保たんぽてることが要求ようきゅうされることがある。担保たんぽてるかどうか、担保たんぽをいつてるか(発令はつれいまえのちか)は、事件じけんによってことなりうる。

担保たんぽ金銭きんせん裁判所さいばんしょ相当そうとうみとめる有価ゆうか証券しょうけん国債こくさいとう)を供託きょうたくしょ供託きょうたくする方法ほうほうによっておこなわれる(4じょう)。裁判所さいばんしょ許可きょかて、銀行ぎんこうとう金融きんゆう機関きかん支払しはらい保証ほしょう委託いたく契約けいやく通称つうしょう、ボンド)を締結ていけつする方法ほうほう担保たんぽ提供ていきょうしてもい(民事みんじ保全ほぜん規則きそくだい2じょう)。

この担保たんぽは、保全ほぜん処分しょぶんかり差押さしおさえ仮処分かりしょぶん)がげられるか、失効しっこうするか、本案ほんあん訴訟そしょう勝訴しょうそするか、債務さいむしゃだいさん債務さいむしゃ同意どういがあるときでないともどすことはできない。

保全ほぜん命令めいれい発令はつれい

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保全ほぜん命令めいれい決定けっていおこなわれるので、相当そうとう方法ほうほう告知こくちすればりるはずであるが、当事とうじしゃ送達そうたつする必要ひつようがある。もっとも、保全ほぜん執行しっこう必要ひつようになるかり差押さしおさえ命令めいれいおよ係争けいそうぶつ仮処分かりしょぶんにおいては債務さいむしゃ処分しょぶん隠匿いんとく防止ぼうしする必要ひつようから、債務さいむしゃへの告知こくち保全ほぜん執行しっこう完了かんりょうしたのちでされる。

不服ふふく申立もうしたて手段しゅだんとう

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保全ほぜん命令めいれい申立もうしたて却下きゃっか決定けっていたいして債権さいけんしゃ即時そくじ抗告こうこくをすることができる(19じょう)。

保全ほぜん命令めいれい認可にんかたいしては債務さいむしゃ保全ほぜん命令めいれいはっした裁判所さいばんしょたいして保全ほぜん異議いぎ(26じょう)、本案ほんあん起訴きそによる保全ほぜん取消とりけし(37じょう)、事情じじょう変更へんこうによる保全ほぜん取消とりけし(38じょう)、特別とくべつ事情じじょうによる保全ほぜん取消とりけし(39じょう)をもうてることができる。

債権さいけんしゃ債務さいむしゃともに、保全ほぜん異議いぎおよび保全ほぜん取消とりけしの結果けっかたいして不服ふふくがある場合ばあいは、保全ほぜん抗告こうこく(41じょう)をすることができる。

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