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半硬式飛行船 - Wikipedia

はん硬式こうしき飛行船ひこうせん(はんこうしきひこうせん、えい: Semi-rigid airship)は、部分ぶぶんてき支持しじ構造こうぞう飛行船ひこうせんである。はん硬式こうしき飛行船ひこうせんは、外皮がいひしたたてじく沿って、かたい、ないし、ある程度ていど柔軟じゅうなんさのある「竜骨りゅうこつ[1]つ。この部分ぶぶんてき支持しじ構造こうぞう外皮がいひ内部ないぶにある場合ばあいもある。はん硬式こうしき飛行船ひこうせんは1900年代ねんだい初期しょきにはおお建造けんぞうされたが、1938ねん前後ぜんご以降いこうは、2、3の放棄ほうきされた計画けいかくのぞいてただ1つのタイプのみが飛行ひこうしている。

ノルゲごう探検たんけんロアール・アムンセンは1926ねんはん硬式こうしき飛行船ひこうせんノルゲごうきた極点きょくてん横断おうだんした。

はん硬式こうしき飛行船ひこうせんのゴンドラとエンジン(場合ばあいによっては尾翼びよくも)は、程度ていどはあるがふねから沿ってけられる。支持しじ構造こうぞうはこれらの付属ふぞくぶつ荷重かじゅうけ、また浮揚ふようガスをふねから表面ひょうめん全体ぜんたい均一きんいつわたらせる役目やくめっており、また、操船そうせんさいふねからたいするストレスを部分ぶぶんてきやわらげる効果こうかもあるとおもわれる。はん硬式こうしき飛行船ひこうせん軟式なんしき飛行船ひこうせん境界きょうかいはあいまいであり、とく小型こがたのタイプでは、構造こうぞうぶつたんなるゴンドラの延長えんちょうであって支持しじ構造こうぞうではなく荷重におも無関係むかんけいなのか、荷重かじゅう支持しじする「竜骨りゅうこつ」なのか、はっきりできない場合ばあいもある。

軟式なんしき飛行船ひこうせん場合ばあいおなじく、はん硬式こうしき飛行船ひこうせん空気くうき力学りきがくてき外形がいけい内部ないぶのガスのこうあつりょくによって維持いじされる。浮揚ふようガスの体積たいせき変化へんかは、空気くうきぼう使つかうことによってバランスがられる。空気くうきぼうはまたピッチング・コントロールをおこなうにも有用ゆうようである。小型こがたのタイプでは浮揚ふようガスは船体せんたいそのものによって維持いじされるが、大型おおがたのタイプではいくつかのガス嚢に分割ぶんかつされ、1つのガス嚢が破損はそんしても全体ぜんたいへの影響えいきょう軽減けいげんし、必要ひつようたか圧力あつりょく維持いじできるようになっている。

20世紀せいき最初さいしょの10年間ねんかんにおいては、はん硬式こうしき飛行船ひこうせん硬式こうしき飛行船ひこうせんちがってしぼめることができ、収納しゅうのうして陸路りくろまたは海路かいろ輸送ゆそうできることから、軍事ぐんじ利用りようによりふさわしいとかんがえられた[2]

初期しょき成功せいこうしたれいとしては、ベルリンの「だい2飛行船ひこうせん旅団りょだん(Luftschiffer-Bataillon Nr. 2)」のハンス・グロス少佐しょうさ設計せっけいしたグロス=バゼナッハGroß-Basenachごうであり、1907ねんだい1号機ごうきはつ飛行ひこうした。それは船体せんたい下部かぶかた構造こうぞうっていた。このデザインによってさらに1914ねんまでに4せき軍用ぐんよう飛行船ひこうせん建造けんぞうまたは改造かいぞうされ、M IないしM IVとしょうされた。[3]

大戦たいせんあいだでのもっと先進せんしんてきはん硬式こうしき飛行船ひこうせん建造けんぞうイタリアおこなわれた。国営こくえい工場こうじょうSCA(Stabilimento di Costruzioni Aeronautiche)ではすうせき建造けんぞうされた。のち将軍しょうぐんとなったウンベルト・ノビレはそのもっと有名ゆうめいなメンバーであり、きた極点きょくてん上空じょうくう飛行ひこうのための「ノルゲごうや、ソビエト連邦れんぽうのための「W6 OSOAVIAKhIMごうなどをふくむいくつかの飛行船ひこうせん設計せっけいし、飛行ひこうさせた。

ノビレ指揮しきした建造けんぞうされた飛行船ひこうせん以下いかのとおり。

製造せいぞうしゃにより、以下いかのようなはん硬式こうしき飛行船ひこうせんが1938ねんまでに建造けんぞうされた。

  • 「パクス(Pax)」(フランス) - ブラジルのアウグスト・セヴェーロ設計せっけい1902ねん、パリでの試験しけん飛行ひこう爆発ばくはつ炎上えんじょうし、乗員じょういん死亡しぼうした。
  • F.1「レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)」(イタリア、3,265 m3、40馬力ばりき) - エンリコ・フォルラニーニ建造けんぞう1909ねんはつ飛行ひこう1910ねん2がつ1にち修理しゅうり不能ふのう損傷そんしょう
  • F2「チッタ・デル・ミラノ(Città del Milano)」(イタリア、11,500 m3、85馬力ばりき2) - フォルラニーニ建造けんぞう1913ねん4がつ9にちはつ飛行ひこう1914ねん4がつ9にちコモにて破壊はかい
  • M.1(イタリア) - 1912ねんはつ飛行ひこうながさ83 m、直径ちょっけい17 m、各々おのおの1つのプロペラきのフィアットSA.76-4エンジン(250馬力ばりき)2装備そうび。ペイロード3,800 kg。はじ陸軍りくぐん、のち海軍かいぐん所属しょぞくし、164かい飛行ひこうおこなった。1924ねん退役たいえき
  • M.2「チッタ・ディ・フェラーラ(Città di Ferrara)」(イタリア) - 1913年初ねんしょ飛行ひこう。M.1と同一どういつながさ83 m、直径ちょっけい17 m)の外形がいけいち、125馬力ばりきのエンジン4で2つのプロペラを駆動くどうした。ペイロード3,000 kg。速度そくど85 km/h。海軍かいぐん所属しょぞくし、イェージ基地きちとした。1915ねん6月8にち、オーストリアの飛行ひこうてい撃墜げきついされた。
  • 「ジーメンス=シュッカート I(Siemens-Schuckert I)」 - 1911ねん
  • 「ルフトシッフ・フォン・フェー(Luftschiff von Veeh)」(または「フェー1(Veeh1)」または「シュタールルフトシッフ(Stahlluftschiff)」 - 1910年代ねんだいにアルベルト・パウル・フェー(Albert Paul Veeh)によってデュッセルドルフのアポルダで建造けんぞう
  • アウグスト・フォン・パルセファルAugust von Parseval)の飛行船ひこうせん
    • 「PL 26」、「PL 27」
    • 「パルセファル=ナーツ(Parseval-Naatz)」
  • 「グロス=バゼナッハ(Groß-Basenach)」がた飛行船ひこうせん - プロイセン陸軍りくぐんけに5せき建造けんぞう
  • 「ゾディアック V10(Zodiac V10)」 - フランス海軍かいぐんけに1930ねん建造けんぞう
  • その、ノビレの「W6 OSOAVIAKhIM」ごうのようなロシアの飛行船ひこうせん計画けいかく
  • 「ル・ジョーヌ(Le Jaune)」(フランス) - 1902ねん11月13にちはつ飛行ひこう[5]
  • 「SR.1」(イギリス) - Mタイプの飛行船ひこうせんをイタリアがイギリスけに建造けんぞう。1918ねん容積ようせき12,500 m6sup3;、ながさ83 m、直径ちょっけい17 mで、乗員じょういんは9にんである。内部ないぶ構造こうぞう三角形さんかっけいわせた鋼鉄こうてつせいであった。
  • 「O-1」(アメリカ) - イタリアのSCDAがただひとつ、アメリカ海軍かいぐんけに建造けんぞうしたはん硬式こうしき飛行船ひこうせん
  • 「RS-1」(アメリカ) - アメリカで建造けんぞうされた唯一ゆいいつ軍用ぐんようはん硬式こうしき飛行船ひこうせん(アメリカ陸軍りくぐん使用しよう)。グッドイヤーしゃせいはつ飛行ひこう1926ねん
  • 「ラーブ=カッツェンシュタイン27(Raab-Katzenstein 27)」 - 1929ねん5月4にちはつ飛行ひこう
  • だいはち飛行船ひこうせん」 - 日本にっぽん海軍かいぐん飛行船ひこうせんだいろく航空こうくうせん(N3)のだいふねとして建造けんぞう。1929ねん7がつ23にちはつ飛行ひこう[6]

1938ねん以降いこう

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2009ねん現在げんざい飛行ひこうしている有人ゆうじんはん硬式こうしき飛行船ひこうせんツェッペリンNTのみである。ツェペリン NTはわずかにあつされたひとつのガス嚢と、一定いっていおおきさに維持いじされた空気くうきぼうち、トラス構造こうぞう内蔵ないぞうしている。

それ以外いがいでは以下いかのものがある。

  • CL160「カーゴリフター(Cargolifter)」 - すで解散かいさんしたドイツのカーゴリフターしゃCargolifter AG、1996ねん-2003ねん)が計画けいかくしたもの。実現じつげんしなかった。[7]
    • 「カーゴリフター・ジョーイ(Cargolifter Joey)」 - カーゴリフターしゃによる小型こがた試作しさくはん硬式こうしき飛行船ひこうせん[7]

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 空気くうきよりおもい)飛行機ひこうきでは、べつ専門せんもん用語ようごがあるが、飛行船ひこうせんでは過渡かとであったため、水上みずかみ船舶せんぱく用語ようご流用りゅうようしている。
  2. ^ 「Flight」グローバル・アーカイブ(1909ねん7がつ4にち: 『飛行船ひこうせんはすべて軟式なんしきまたははん硬式こうしきであらねばならない。なぜならばヨーロッパにおける経験けいけんにより、軍用ぐんようとしての硬式こうしき飛行船ひこうせんは(ツェッペリンのれいにおいてはしてきられるように)、陸軍りくぐんしょう要求ようきゅうする「輸送ゆそうのためにちいさくりたたんで梱包こんぽうする」ことが不可能ふかのうであることがあきらかになっているからである。』
  3. ^ pilotundluftschiff.de. Halbstarre Luftschiffe vom Typ Groß Basenach last accessed 2009-02-11
  4. ^ 日本にっぽん飛行船ひこうせん物語ものがたり p.310
  5. ^ 「モワソンの草原そうげんからはなれのぼりするLebaudy 飛行船ひこうせんル・ジョーヌ」(1904ねん12月31にち[リンク]
  6. ^ 日本にっぽん飛行船ひこうせん物語ものがたり p.318
  7. ^ a b CargoLifter CL160 P1 Super Heavy-Lift Cargo Airship, Germany - Aerospace Technology

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 秋本あきもとみのる日本にっぽん飛行船ひこうせん物語ものがたり』(光人みつひとしゃNF文庫ぶんこ)2007ねん