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単位の換算 - Wikipedia

単位たんい換算かんさん(たんいのかんさん、Conversion of units)とは、あるおおきさのりょう Q をある単位たんい u1あらわした数値すうち q1 から、べつ単位たんい u2あらわした数値すうち q2もとめることである。この操作そうさを、単位たんい u1 から単位たんい u2 への換算かんさんという。単位たんい換算かんさんのことを「単位たんい換算かんさん」、「単位たんい変換へんかん」、「単位たんい変換へんかん」ともいう。ほん項目こうもくではおも物理ぶつり単位たんい換算かんさんれいってべる。

単位たんい換算かんさん必要ひつようせい

編集へんしゅう

おな物理ぶつりりょうであったとしても、そのおおきさを定量ていりょうてきしめすために使つかわれている単位たんいことなる場合ばあいがある。たとえばながさを表現ひょうげんする単位たんいとしては、m のほかに、km 、光年こうねん、Å などの様々さまざま単位たんいがある。通常つうじょうは、「太陽たいよう地球ちきゅう距離きょり」と「Siの共有きょうゆう結合けつごう半径はんけい」を比較ひかくすることよりも、「太陽たいよう地球ちきゅう距離きょり」と「太陽たいよう木星もくせい距離きょり」を比較ひかくすることがおおいことから、どういちスケールの現象げんしょう比較ひかく便利べんりなように、どういちスケールの現象げんしょう有効ゆうこう数字すうじ2けた程度ていど比較ひかくができるような単位たんいもちいられている。したがって、「太陽たいよう地球ちきゅう距離きょり」と「Siの共有きょうゆう結合けつごう半径はんけい」のようにことなるスケールの現象げんしょう物理ぶつりりょうもとづいて比較ひかくせねばならない場合ばあいには、通常つうじょう単位たんい換算かんさん必要ひつようである。

物理ぶつりがくをはじめとした定量ていりょう科学かがくでは、物理ぶつりりょう同士どうし関係かんけい数式すうしきあらわすことがおおい。物理ぶつりりょうあらわ数値すうち同士どうし関係かんけいあらわした等式とうしき数値すうち方程式ほうていしき[1][2]という。しかし、ある単位たんいあらわされた数値すうち方程式ほうていしきに、ことなる単位たんいあらわされた数値すうち代入だいにゅうせねばならない場合ばあいがある。たとえば、「m と kg と s をもちいてあらわされた公式こうしき」に、「mm と g と min であらわされた数値すうち」を代入だいにゅうせねばならない場合ばあいがある。このような場合ばあいにも、単位たんい換算かんさんおこな必要ひつようがある。

関連かんれん用語ようご定義ていぎ

編集へんしゅう

物理ぶつりりょう」にかんする用語ようご定義ていぎ意外いがいにも曖昧あいまいで、いくつかのことなる意味いみ使つかわれているため、混乱こんらんをさけるため以下いか用語ようご定義ていぎする。

物理ぶつりりょう
「kg原器げんきおもさ」、「ひかりが1秒間びょうかんにすすむ距離きょり」、「Si原子げんし共有きょうゆう結合けつごう半径はんけい」、「地球ちきゅう公転こうてん周期しゅうき」、「光速こうそく」、「A体重たいじゅう」などのように客観きゃっかんてき測定そくていでき、定量ていりょうてき議論ぎろん可能かのうりょうであり、かつ物理ぶつり化学かがくとう自然しぜん科学かがく工学こうがくにおける議論ぎろん対象たいしょうになるもの。あるいはそれのじつすうばい物理ぶつりりょうのことを「物理ぶつりりょう」ともいう。
物理ぶつりりょう種類しゅるい
具体ぐたいてき物理ぶつりりょうそれぞれを、「相互そうご比較ひかくできるかか」にもとづきグループけしたときのグループの名前なまえ。「ながさ」、「時間じかん」など。
単位たんい
「kg原器げんきおもさ」、「ひかりが1秒間びょうかんにすすむ距離きょり」のように具体ぐたいてき物理ぶつりりょうそのもの、あるいはそれの実数じっすうばいとしてさだめられる物理ぶつりりょうで、とく再現さいげんせいよく、誤差ごさすくなく測定そくていできるものであり、これと同一どういつ種類しゅるい物理ぶつりりょうぞくする物理ぶつりりょう測定そくていするさい基準きじゅんとなるもの。
物理ぶつりりょう数値すうち
わたし体重たいじゅう」のような具体ぐたいてき物理ぶつりりょうを、それと比較ひかく可能かのう単位たんい比較ひかくしたときに、その単位たんいなんばいであるかをしめしたかずわたし体重たいじゅうが53 kgであるときには、53という(単位たんいかない)実数じっすうが、物理ぶつりりょう数値すうちである。

教科書きょうかしょによっては、ほん記事きじでいうところの「物理ぶつりりょう種類しゅるい」や、「単位たんい」のことを「物理ぶつりりょう」としている場合ばあい、あるいは、どれをしているかあいまいな場合ばあいもある。また、「物理ぶつりりょう」という 用語ようごは、物理ぶつりりょう同義どうぎでつかわれる場合ばあいおおいが、じつは「物理ぶつりりょう数値すうち」と同義どうぎもちいられることもある。

換算かんさん係数けいすう換算かんさんひょう

編集へんしゅう

おな次元じげん物理ぶつりりょうの2つの単位たんいを u1 と u2 とすれば、どちらもさだめられた一定いっていおおきさなので、両者りょうしゃ k は定数ていすうである。この単位たんい換算かんさん係数けいすうばれ、様々さまざま単位たんいあいだ換算かんさん係数けいすうひょうにした換算かんさんひょうられている。ウィキペディアの単位たんい換算かんさん一覧いちらんにはおおくの物理ぶつりりょう換算かんさんひょう記載きさいされており、おも物理ぶつりりょう換算かんさんひょう理科りか年表ねんぴょうにも記載きさいされている。またおおくの物理ぶつりがく化学かがく教科書きょうかしょには、おも物理ぶつりりょう換算かんさんひょう付表ふひょうとして記載きさいしてあることがおおい。また『単位たんい辞典じてん丸善まるぜん[3]にはトル法とるほう以外いがいおおくの単位たんいについての換算かんさんひょう記載きさいされている。

物理ぶつりりょう単位たんい表記ひょうき

編集へんしゅう

物理ぶつりりょう測定そくていとは、ことなる物理ぶつりりょうを2つとり、そのどちらか片方かたがた基準きじゅんとしたときに、もう片方かたがた基準きじゅんとしたほうのなんばいになるかをめる行為こういである。このとき基準きじゅんとしたほう物理ぶつりりょう単位たんい[1] [4] [5] [6] [7]国際こくさい単位たんいけい(SI)のかんがかたではりょうthe value of a quantity)は数値すうちnumerical value)と単位たんいunit)のせきとらえられ、そのように表現ひょうげんされる。そして単位たんい記号きごうりょう記号きごう数値すうち記号きごうはすべて通常つうじょう数式すうしき演算えんざん規則きそくしたが[1][4][5]

   (1-1)
れい    (1-1a)

ただし、ひとつのりょうりょうおおきさ)をあらわ数値すうち記号きごう単位たんい記号きごうとのあいだには空白くうはくspace)がかれ、この空白くうはくせきあらわ記号きごうになる。また、ひとつの組立くみたて単位たんい表現ひょうげんのなかでの単位たんい記号きごう同士どうしせき空白くうはくまたは中点ちゅうてんhalf-height dot)であらわ[4]。なお、単位たんい記号きごうには、その周囲しゅうい文書ぶんしょ様式ようしき関係かんけいなく立体りったいもちいるとさだめられている。またりょう記号きごう一般いっぱんに、イタリックたい斜体しゃたい)の単独たんどく活字かつじあらわされる[4]

しき(1-1)は各項かくこう物理ぶつりりょうあらわりょう方程式ほうていしきであるが、数値すうち方程式ほうていしきとして数値すうちあらわ表記ひょうき方法ほうほうにはつぎのようなものがられている。

   (1-2)
れい    (1-2a)
   (1-3)
れい    (1-3a)
   (1-4)
   (1-4)'
れい    (1-4a)
れい    (1-4a)'

しき(1-2)はSIでさだめられている表記ひょうきであり、しき(1-1)を通常つうじょう数式すうしき演算えんざん規則きそくしたがって変形へんけいすればられる。ひょう項目こうもくめいしき(1-1)の左辺さへんかたち表記ひょうきすると、項目こうもくには単位たんいなしの数値すうちのみをくことになり、かく項目こうもくすべ単位たんいしる手間てまはぶける。

しき(1-3)はJIS-Z8202で例示れいじされている表記ひょうきであるが、推奨すいしょうされているわけではない。そもそも、「りょう方程式ほうていしき単位たんいえらかたには無関係むかんけいであるという利点りてんがある」ので、「通常つうじょうは、りょう方程式ほうていしきもちいるのがのぞましい」とされている[2]。この表記ひょうきは、SI規則きそく沿ったイタリックたいりょう記号きごうちゅう括弧かっこかこむことで、りょうではなく数値すうちあらわしていることを明示めいじし、下付かふ単位たんいしめしている。

またしき(1-4)の表記ひょうきはその使用しようほうにも一貫いっかんせいがないとの指摘してきがある[5]実際じっさい日本にっぽん初等しょとう中等ちゅうとう教育きょういく教科書きょうかしょでは、括弧かっこかこんだ単位たんい記号きごうをSIにおける単位たんい記号きごう同様どうようあつかうかのような、以下いかの(1-5)のような表記ひょうき使つかわれており[5]誤解ごかい余地よちしょうじやすいめんがある。

   (1-5)

ただし、しき(1-4)の記法きほうを、(1-4)'にあるような、L(m) のような記法きほう均等きんとう解釈かいしゃくした場合ばあいには、最近さいきんPhysical Review Lettersうえ論文ろんぶんたとえば [8]) でも頻繁ひんぱん使用しようされていて、しき(1-2)やしき(1-3)のような記法きほうは、(本来ほんらい正式せいしきのはずだが) 原著げんちょ論文ろんぶんじょうではほとんどかけられないものであるので、現状げんじょうもっとも「無難ぶなん」であろう。 (なお、(1-5)のような記法きほうは、ほとんどみられない)


しき(1-3)やしき(1-4)の単位たんい記号きごうりょう記号きごう一体いったいとなってひとつの数値すうち変数へんすうあらわしているのであり、単位たんい記号きごうだけを独立どくりつして移項いこうしたりできるものではない。しき(1-4)の表記ひょうきではりょう記号きごう単位たんい記号きごうおおきさが同等どうとうなので、しき(1-3)にくらべて両者りょうしゃ一体いったいであることを失念しつねんする可能かのうせいたかいかもれない。

SI方式ほうしきによる換算かんさん

編集へんしゅう

単位たんい u1 と u2 との換算かんさん係数けいすうを k とする。すなわち

 

とする。すると、通常つうじょう数式すうしき演算えんざん規則きそくしたがって単位たんい u1 から単位たんい u2 への換算かんさんおこなえる。

 

このようにひとつの単位たんいでの表記ひょうきからべつのひとつの単位たんいでの表記ひょうきへの換算かんさん単純たんじゅんである。とくSI接頭せっとう(センチ (c)、ミリ (m)、マイクロ (µ)、ナノ (n)、キロ (k) など)をけた単位たんいのように換算かんさん係数けいすうが10のべきじょうだけの場合ばあい位取くらいどりだけで数値すうち計算けいさん必要ひつようもない。

 

だがひとつのりょう表記ひょうき複数ふくすう単位たんい同時どうじ使つかい、しかもその複数ふくすう単位たんいあいだ換算かんさん係数けいすうが10のべきじょうではない場合ばあいはやや計算けいさん複雑ふくざつになる。ヤード・ポンドほう尺貫法しゃっかんほう関連かんれんする換算かんさんがそのれいである。またSI単位たんいではないが国際こくさい度量衡どりょうこう委員いいんかい(CIPM)でもみとめられている[9]時間じかん単位たんい (d)、時間じかん (h)、ぶん (min) の関連かんれんする換算かんさんや、角度かくど単位たんいたび (゚)、ぶん (')、びょう (") の関連かんれんする換算かんさんもそのれいである。なお時間じかんのSI単位たんいびょう (s) であり角度かくどのSI単位たんいラジアン (rad) である。

しかしひとつのりょう表記ひょうき複数ふくすう単位たんい同時どうじ使つか場合ばあいでもSI方式ほうしきしたがえば、通常つうじょう数式すうしき演算えんざん規則きそくしたがって変形へんけいしてゆくだけで換算かんさんができる。

  • れい1. ヤードポンドほうでの表記ひょうきからトル法とるほうでの表記ひょうきへの換算かんさん
     

このれいのように伝統でんとうてきおおくの単位たんいけいふくことなる単位たんいけいあいだ換算かんさん係数けいすうは、一般いっぱんには整数せいすうではなく、正確せいかくしょう数値すうちとしてさだめられていないことさえおおい。このようなことなる単位たんいけいあいだ換算かんさんでは、まず一方いっぽう単位たんいけいでひとつの単位たんいのみの表記ひょうき変換へんかんし、つぎ他方たほう単位たんいけいでのひとつの単位たんい変換へんかんすると、桁数けたすうおお換算かんさん係数けいすう使つか回数かいすうすくなくてみ、誤差ごさちいさくできるとかんがえられる。

  • れい2. びょう表記ひょうきから時間じかんふんびょうによる表記ひょうきへの変換へんかん
     

このれいのように、ちいさな単位たんいひとつだけでの表記ひょうきから複数ふくすう単位たんいへの変換へんかんではしょうあまもとめる演算えんざんかえすことになる。

また組立くみたて単位たんい換算かんさんを、そこにふくまれる基本きほん単位たんい同士どうし換算かんさん係数けいすうからもとめたいときも、通常つうじょう数式すうしき演算えんざん規則きそくしたがって単位たんい同士どうしせきおこなえばよい。

  • れい3. キロメートル毎時まいじからメートル毎秒まいびょうへの変換へんかん
     
  • れい4. 密度みつど単位たんいの lb⋅ft−3ポンドまい立方りっぽうフィート)から g⋅cm−3(グラムまい立方りっぽうセンチメートル)への変換へんかん
    やすくするために換算かんさん係数けいすうつぎ記号きごうあらわしておく。
       ここで、  
       ここで、  
    すると、
     

変換へんかんりつ方式ほうしきによる換算かんさん

編集へんしゅう

つぎ方法ほうほうは、英語えいごけん大学だいがく初年しょねんきゅう教科書きょうかしょによくっている。たとえば、 [10] [11] [12] [13] [14] [15]

この手順てじゅんはミスがすくなく複雑ふくざつ場合ばあいにも計算けいさん複雑ふくざつになりにくいとされ、機械きかいてきでミスがすくないので実務じつむけには方法ほうほうとされている[10]。なお、この方法ほうほうでもSI方式ほうしき同様どうように、単位たんい記号きごうはすべて物理ぶつりりょう(のおおきさ)をあらわしていて、単位たんい記号きごう数値すうち記号きごうはすべて通常つうじょう数式すうしき演算えんざん規則きそくしたがう。

単位たんい u1単位たんい u2おな物理ぶつりりょうあらわ単位たんいであり換算かんさん係数けいすうが k であることはつぎしきあらわせる。

 

変形へんけいすると、つぎしきられる。

 

この関係かんけい使つかい、変換へんかんもと単位たんいりょうに1を次々つぎつぎける形式けいしき計算けいさんする。ここでける分数ぶんすうかたち係数けいすう変換へんかんりつまたは変換へんかん[11]

 

組立くみたて単位たんい変換へんかんではつぎ例題れいだいのように複数ふくすう変換へんかんりつければよい。

  • れい1. キロメートル毎時まいじ (km⋅h−1 ) からメートル毎秒まいびょう (m⋅s−1) への変換へんかん
     

また、段階だんかい変換へんかん単位たんい換算かんさんおこな場合ばあいにも、変換へんかんりつ方式ほうしきでは最初さいしょの1ぎょうぜん段階だんかいでの変換へんかん表記ひょうきされる。これはつぎ例題れいだいしめされる。

  • れい2. 1週間しゅうかんなんびょうか?
     
    おなれい2さき紹介しょうかいしたSI方式ほうしきくと、つぎのようになる。
     

数値すうち方程式ほうていしきにおける単位たんい換算かんさん

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数値すうち方程式ほうていしきとは

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数値すうち方程式ほうていしきでは、物理ぶつりりょう単位たんい表記ひょうきべたしき(1-2), (1-3), (1-4) のような表記ひょうき使つかう。これを一般いっぱんしきしめすと、

 

のように、左辺さへんしめ1個いっこ従属じゅうぞく変数へんすう統計とうけいがく用語ようごでは目的もくてき変数へんすう)が、右辺うへんしめ1個いっこ以上いじょう独立どくりつ変数へんすう統計とうけいがく用語ようごでは説明せつめい変数へんすう)の関数かんすうひとしいという等式とうしきになる。

すなわち、数値すうち方程式ほうていしきとは、たとえば

   (2-1a)
   (2-1b)
   (2-1c)

のように、物理ぶつりりょう物理ぶつりりょうおおきさ)をあらわ数値すうち同士どうし関係かんけいしめした数式すうしき、つまり等式とうしきないし不等式ふとうしきである。すなわち数値すうち方程式ほうていしき各項かくこう物理ぶつりりょう物理ぶつりりょうおおきさ)ではなく数値すうちである。とくによく使つかわれるのは、左辺さへんたんいちこう等式とうしきであり、これは右辺うへん複数ふくすう数値すうちから左辺さへん単一たんいつ数値すうちみちび方法ほうほうしめしたしきになっている。たとえばしき(2-1)は、「加速度かそくど単位たんい m/s2表現ひょうげんした数値すうち」と「質量しつりょうを kg で表現ひょうげんした数値すうち」から「ちからを N で表現ひょうげんした数値すうち」をみちびす。

数値すうち方程式ほうていしき単位たんい換算かんさん

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数値すうち方程式ほうていしき使用しようする単位たんい依存いぞんするので、あたえられた数値すうち方程式ほうていしき使つかわれている単位たんい問題もんだいなか使つかわれている単位たんいとがことなるときは、単位たんい換算かんさん必要ひつようになる。数値すうち方程式ほうていしき単位たんいえるときにもりょう方程式ほうていしきから通常つうじょう数式すうしき演算えんざん規則きそくしたがって単位たんい換算かんさんおこない、その結果けっかから数値すうち方程式ほうていしき作成さくせいすることができる。

具体ぐたいてきには、以下いかのようにかんがえればよい。

L物理ぶつりりょうとした場合ばあい

  1. かんがかた1
      (3-1)
  2. かんがかた2
      (3-2a)
      (3-2b)
      (3-2c)
     

しき(3-1)については、L [u1] u1L [u2] u2 が「物理ぶつりりょう」であり、L [u1] や L [u2] は物理ぶつりりょうであり、u1 や u2単位たんいであることをかんがえれば想到そうとう出来できよう。

もっとえば、物理ぶつりりょう L が、物理ぶつりりょうと、単位たんいせきとして、

 

かれるという、物理ぶつりりょうの「定義ていぎ」そのものをっているにぎない。

れいかいするならば

いえから学校がっこうまでの距離きょり = 5 km = 5000 m

のようにっているにすぎない。このれいにおいては、

L = いえから学校がっこうまでの距離きょり
 
 
 
 

である。

しき(3-2)については、以下いかのようにかんがえればよい。

 

であれば、

 

である。したがって、

 

であり、

 
 

である。

れいかいするならば、ながL について

1 km = 1000 m

もちいて数値すうち方程式ほうていしき単位たんい換算かんさんかんがえた場合ばあい

L [km] = 1 ⇔ L [m] = 1000

である。したがって、

L [km] = xL [m] = 1000xx任意にんい実数じっすう

であり、

L [km] = (1/1000)L [m]
L [m] = 1000L [km]

となる。

より複雑ふくざつ場合ばあいたとえばしき(2-1)があたえられたときにつぎ問題もんだい場合ばあい同様どうようかんがかた可能かのうである。[note 1]

問題もんだい: 1 t(トン)の質量しつりょう物体ぶったいに、1 km/h⋅s の加速度かそくどあたえるちからを、kN単位たんいもとめたい。

  • 解法かいほう1しき(3-1) またはしき(3-2)をもちいて、それぞれの物理ぶつりりょうについて個別こべつ換算かんさんして、うしろもとしき代入だいにゅうする。まず個別こべつ換算かんさんすると
        (4-1)
    である。
    しき(3-1)より、
     
     
     
     
    である。したがって、物理ぶつりりょうのみに着目ちゃくもくすると、
     
     
     
     
    られる。これらをしき(4-1)に代入だいにゅうすると、
     
    となり、両辺りょうへん約分やくぶんすると、
     
    られる。
    結論けつろんを、JIS/ISOりゅう数値すうちこうしめ単位たんい情報じょうほう下付かふあらわす(これは単位たんいそのものと誤認ごにんされにくくするためである。)と、
     
    となる。
  • 解法かいほう2しき(3-1)またはしき(3-2)をもちいて、りょう方程式ほうていしきから通常つうじょう数式すうしき演算えんざん規則きそくしたがって、一斉いっせい単位たんい換算かんさんおこな方法ほうほうにてかんがえる。まず、
     
    すなわち、
     
    より、
     
    または
     
    であり、したがって、
     
     
    となることがわかる。

換算かんさん手順てじゅんのいくつかとその比較ひかく

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以下いか、「物理ぶつりりょう数値すうち換算かんさん」「数値すうち方程式ほうていしき単位たんい換算かんさん[16][17][11]について説明せつめいする。

物理ぶつりりょう」の単位たんい換算かんさん

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物理ぶつりりょう表記ひょうき方法ほうほうも、さまざまな流儀りゅうぎがあるが、以下いか記載きさいではつぎ表記ひょうき採用さいようした。

ある物理ぶつりりょうそのものをあらわすときには、SI, ISO, JISに準拠じゅんきょした表記ひょうき使つかう。物理ぶつりりょう単位たんい表記ひょうきべたしき(1-1)のごとき表記ひょうきである。

たとえば、時速じそく360 km/hで飛行ひこうする飛行機ひこうきはやさは、秒速びょうそく換算かんさんするとなに m/sになるか」という問題もんだいれいる。

さきべた変換へんかんりつ方式ほうしきでの方法ほうほう具体ぐたいてき上記じょうき例題れいだい適用てきようすると、つぎ解法かいほう1の手順てじゅんとなる。

  • 解法かいほう1
     
     
    より、
     

日本にっぽん小学校しょうがっこう中学校ちゅうがっこう方程式ほうていしき単元たんげん)でなら方法ほうほうは、大筋おおすじでは以下いか解法かいほう2または解法かいほう3のどちらかである[5][18]。これらの方法ほうほうは、計算けいさん過程かてい意識いしきできるため、単位たんい換算かんさん計算けいさん過程かてい理解りかいするじょういとされる。どちらの方法ほうほうも、数字すうじ単位たんい記号きごう通常つうじょう数式すうしき演算えんざん規則きそくしたがっており、解法かいほう3はSI方式ほうしき換算かんさんべた方法ほうほうとほぼおなじである。

  • 解法かいほう2
     
     
    くと、
     
    から、
     
    一方いっぽう
     
    から、
     
    よって、 
  • 解法かいほう3
     >
    よって
     

単位たんい換算かんさんまぎらわしさ

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以下いか換算かんさんミスについて記載きさいするが、このテーマでは主観しゅかんてき概念がいねんおおくなりがちなので、いくつかの言葉ことば定義ていぎ目安めやすべておく。

  • 複雑ふくざつである  計算けいさんステップがおおいこと。複雑ふくざつさは人間にんげんによる計算けいさんミスの一因いちいんになりうるが、すべてではない。本稿ほんこうでは計算けいさんりょう理論りろんにおけるような厳密げんみつ定義ていぎ意図いとしない。
  • まぎらわしい、あいだちがいやすい  人間にんげんによる計算けいさんミス(ヒューマンエラー)がしょうじやすいこと。個人こじん能力のうりょく体調たいちょうにも左右さゆうされるため主観しゅかんてき評価ひょうかとなりやすいとかんがえられるが、ある計算けいさん手順てじゅんべつ計算けいさん手順てじゅんくらべて間違まちがいやすいかどうかは統計とうけいてき測定そくてい可能かのうであり、その要因よういん複雑ふくざつさなどをふくめて客観きゃっかんてき考察こうさつ可能かのうともかんがえられる。

換算かんさんミスの事例じれい

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ことなる単位たんいけい定式ていしきされた公式こうしき数値すうち代入だいにゅうせねばならない事態じたいかさなると、使用しようすべき単位たんいあやま結果けっかちがいや計算けいさんミスをおか可能かのうせいがある。このミスはかえしのつかない事態じたいいたるまでがつかないこともありうる。

  • 福島ふくしまだいいち原子力げんしりょく発電はつでんしょ事故じこともなう2号機ごうき異常いじょうかんし、東京電力とうきょうでんりょくが2011ねん3がつ16にち午後ごご4におこなった記者きしゃ会見かいけん単位たんい換算かんさんミスにより450 kPaを45 kPa として誤報ごほうし、一時いちじ混乱こんらん発生はっせいした事件じけんはそれにあたる[19][20][21]
  • エア・カナダ143便びん滑空かっくう事故じこ - 運航うんこうちゅう旅客機りょかくきがエンジン停止ていし状態じょうたいとなり緊急きんきゅう着陸ちゃくりくした事故じこ原因げんいんは、給油きゅうゆトル法とるほうとヤード・ポンドほうとの単位たんい換算かんさんあやまったことによる燃料ねんりょうれだった。
  • マーズ・クライメイト・オービター - トル法とるほうとヤード・ポンドほうとの単位たんい換算かんさん設計せっけいミスで、探査たんさ火星かせい大気圏たいきけんないあやまって突入とつにゅう破壊はかいされた。

単位たんい表記ひょうきまぎらわしいてん

編集へんしゅう

りょうおおきさと数値すうちとのちがいの理解りかい曖昧あいまい場合ばあいは、りょう記号きごう数値すうち記号きごうとを混同こんどうしてたとえば以下いかの4つの等式とうしきちがいをまぎらわしくかんじたり、意味いみ誤解ごかいしたりする可能かのうせいがある。 下記かきの4つのしきは、内容ないようまったおなじことっているが、両辺りょうへんこう意味いみことなる

  •    (5-1)
  •    (5-2)
  •    (5-3)
  •    (5-4)

しき(5-1)としき(5-2)の両辺りょうへんりょうしめしているが、しき(5-3)としき(5-4)の両辺りょうへん数値すうちしめしていて、しき(5-3)の [km] と [m] およびしき(5-4)のしも付記ふきごう記号きごう Lというべきものである。しき(5-1), (5-2)の単位たんい記号きごうとはことなり、しき(5-3)の [km] と [m] は独立どくりつした記号きごうとして通常つうじょう数学すうがく記号きごう同様どうよう演算えんざん規則きそくしたがうものではなく、L [km] という記号きごうれつ一体いったいとなってひとつの数値すうちあらわ変数へんすう記号きごうあらわしている。括弧かっこりょう記号きごう下付かふ単位たんい記号きごうによるしき(5-4)の表記ひょうきはISOやJISで数値すうち方程式ほうていしきこう表記ひょうきとして推奨すいしょうされているものであり[1]しき(5-3)の表記ひょうきくらべて {L }km という記号きごうれつ一体いったいであることが認識にんしきされやすいであろう。

つまりしき(5-1), (5-2)はりょう方程式ほうていしきでありしき(5-3), (5-4)は数値すうち方程式ほうていしきなのだが、両者りょうしゃちがいを認識にんしきしていない場合ばあいには、以下いかしき(5-1), (5-2)としき(5-3), (5-4)の係数けいすうのかかりかたぎゃくであることに単位たんい換算かんさんまぎらわしさをかんじる可能かのうせいはある。

接頭せっとうのかかりかたにかんするまぎらわしいてん

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数学すうがくあつかわれる数式すうしきでは一般いっぱんに、ひとつの変数へんすうが1文字もじまたは1文字もじうえきやしたきのけた記号きごうあらわされることがおおい。それゆえ接頭せっとうきの単位たんい記号きごうが2変数へんすうせき誤解ごかいされる可能かのうせいがありうる。また接頭せっとうきの単位たんい記号きごうは2文字もじでひとつの変数へんすうあらわすことは理解りかいしていたとしても、1文字もじ単位たんい記号きごうもあるために、多数たすう単位たんい記号きごうせきしめ記号きごうれつ複数ふくすうどおりに解釈かいしゃくできてしまう可能かのうせいがある。

このような曖昧あいまいさをけるために、SIの規則きそくでは、「せき空白くうはくspace)または中点ちゅうてんhalf-height dot)であらわし、接頭せっとう単位たんい記号きごう間違まちがえられないようにする」とさだめている[4]

またしょうしめすために斜線しゃせん (/) をふくすうかい使つかうと、解釈かいしゃくまぎらわしくなる。そのためSIの規則きそくでは、「おおくの単位たんい記号きごう混在こんざいするときは、たとえば括弧かっこまけ指数しすうもちいて、曖昧あいまいさを排除はいじょしなければならない。曖昧あいまいさを排除はいじょするための括弧かっこ場合ばあいひとつの表現ひょうげんなか斜線しゃせんふくすうかいもちいてはならない。」とさだめている[4]

以上いじょうのような規則きそくまもらない表記ひょうきは、解釈かいしゃくまぎらわしく誤解ごかい余地よちしょうじる可能かのうせいがある。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ ここで km/h⋅s(キロメートル毎時まいじ毎秒まいびょう)は、物理ぶつりがく教科書きょうかしょではあまりみかけないかもしれないが、現実げんじつ測定そくていデータとしてはよくありえる。たとえば自動車じどうしゃ、エレベータとう速度そくどなまデータは km/h であり、すうじゅうびょう程度ていどのスケールで所定しょてい速度そくどたっするので、これらの、起動きどう加速度かそくどなまデータとしては直感ちょっかんてき相応ふさわしいであろう。そのため採用さいようした。

出典しゅってん

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関連かんれん項目こうもく

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